【解決手段】本発明の粘土組成物は、乾燥後に透明性を有するものであり、非イオン系界面活性剤と、水に不溶な高沸点不揮発性液体と、シリカとを混合することにより、シリカ分散体を形成した後、ポリ酢酸ビニルエマルジョンと上記シリカ分散体とを混合することにより製造する。また、アニオン系界面活性剤と、水と、シリカとを混合することにより、シリカ分散体を形成した後、ポリ酢酸ビニルエマルジョンと上記シリカ分散体とを混合することにより製造する。このように、ポリ酢酸ビニルエマルジョンを用いることで、粘土組成物の接着性を高めることができる。また、シリカをあらかじめ分散媒と混合することにより、粘土組成物へのシリカの分散性が良好となり、シリカの凝集物の発生を抑制することができる。これにより、白点の防止により透明性が向上し、ひび割れを防止することができる。
【発明を実施するための形態】
【0011】
(検討事項)
まず、実施の形態を説明する前に、本発明者が検討した事項について説明する。
【0012】
エチレン−酢酸ビニル共重合体にシリカを加えることで透明性を持たせ、シリカの添加による粘土の性質低下を防止するためにポリビニルピロリドンやポリビニルアルコールとセルロースエーテルを加えた粘土組成物について検討した(検討技術1)。この検討技術1で得られた粘土組成物は、接着性が不十分であった。乾燥後に、無数の白点(白い斑点)が確認された。また、肉厚を厚くした場合、乾燥後にひび割れが発生した。
【0013】
また、エチレン−酢酸ビニル共重合体に代えてポリアクリル酸エステルエマルジョンやポリ酢酸ビニルエマルジョンを使用した場合について検討した(検討技術2)。この場合、樹脂の気密性の高さや結晶性の高さ、粉体成分の分散性の悪さが原因となり、乾燥後の透明性を得ることができなかった。
【0014】
上記無数の白点やひび割れは、シリカ粉末の分散性の悪さに起因する不具合であると考えられる。例えば、粘土組成物の混合の最後の段階で、シリカ粉末を添加する場合には、粘土組成物の粘性が高すぎるため、シリカ粉末の分散性が低下する。また、粘土組成物に成分の不均一性が生じ、例えば、揮発成分が多い箇所においては、乾燥後にひび割れが生じやすくなる。
【0015】
上記検討技術1で得られた粘土組成物の接着性、白点の発生、ひび割れの改善のため、その原因をさらに詳細に検討する。
【0016】
原因の1つは、透明性、柔軟性、ゴム質感を付与するためにメインバインダーとしてエチレン−酢酸ビニル共重合体エマルジョン(エチレン−酢酸ビニル共重合体のエマルジョン)を使用していることにある。これは、粘土組成物の接着性の悪さの原因となっている。エチレン−酢酸ビニル共重合体エマルジョンは、その樹脂構造上にエチレンユニットを含むため、酢酸ビニルのホモポリマーのエマルジョンに比べて、接着性が低下する。
【0017】
もう1つは、粘土組成物の構成成分、特に、シリカ粉末の分散性が不十分であることである。これは、白点の発生、ひび割れの原因となっている。特に、超微粒子状無水シリカ粉末は、その粒子の細かさゆえに、二次凝集を非常に起こしやすい。特に、超微粒子状無水シリカ粉末を粘土組成物の製造の最終段階で加え、粘土組成物の硬さの調整を行う場合、粘土組成物の内部で超微粒子無水シリカ成分が凝集していたり、成分の偏りが生じていたりしていると考えられる。ここで十分に分散できなかった凝集物が、乾燥後に白点となり、成分の偏りが乾燥時の粘土の収縮率の疎密を生み、ひび割れの原因となっている。
【0018】
そこで、本発明者は、まず、接着性の改善の為にエチレン−酢酸共重合体ビニルエマルジョンをポリ酢酸ビニルエマルジョンに変更することによって、粘土全体の接着性の向上を試みた。これにより、透明性を呈する粘土組成物の接着性を向上させることが可能となる。しかしながら、接着性と共に粘土組成物の粘性が高くなってしまい、2つ目の不具合の原因である粘土組成物の成分(主に超微粒子状無水シリカ粉末)の分散不良が起こりやすい状態となった。粘性の高い状態のものに吸水性の高い超微粒子無水シリカ粉末を均一に分散することは極めて困難である。このため、超微粒子状無水シリカ粉末をポリ酢酸ビニルに混合する前に、粘性の低い分散媒(例えば、水または水に不溶の高沸点不揮発性液体)にあらかじめ分散することとした。これにより、粘土組成物中に含まれる超微粒子状無水シリカ粉末の分散性を向上させ、白点やひび割れの発生を抑制することに成功した。
【0019】
あらかじめ分散媒に分散させておくべき材料は、超微粒子状無水シリカ粉末に限らない。例えば、着色材など粘土組成物中に組み込みたい成分についても、分散媒にあらかじめ分散しておくことで、粘土組成物の着色性などを向上させることができる。
【0020】
この方法を行うにあたって、粘土を混練する際に減圧下で混練を行うことで、粘土組成物の温度を高めることなく、粘土組成物中の水分を蒸発させることで、硬さの調整を行うことに成功した。
【0021】
以下、「実施の形態」および「実施例」の欄において、本発明者の検討事項をさらに詳細に説明する。
【0022】
(実施の形態)
<粘土組成物>
本実施の形態の粘土組成物は、ポリ酢酸ビニルエマルジョンと、シリカ分散体との混合体よりなる。このシリカ分散体は、界面活性剤と、分散媒と、シリカとの混合物である。
【0023】
より具体的に、本実施の形態の粘土組成物は、(a)バインダー、(b)充填材及び増量材、(c)増粘材、(d)界面活性剤、(e)可塑剤、(f)防腐防カビ剤、(g)その他の添加助剤等を有する。
【0024】
(a)バインダー
バインダーは、粘土組成物の主成分である。粘土組成物の固化性、粘着性、粘土組成物の乾燥物の機械的強度は、バインダーの性質により大きく変化する。
【0025】
本実施の形態においては、バインダーとして、ポリ酢酸ビニルを用いる。ポリ酢酸ビニルは、酢酸ビニル(C
4H
6O
2、CH
3−CO−O−CH=CH
2、ビニルアセタートともいう)の重合体(樹脂)である。より具体的には、バインダーとして、ポリ酢酸ビニルエマルジョンを用いる。ポリ酢酸ビニルエマルジョンは、酢酸ビニルのポリマーと乳化剤(例えば、ポリビニルアルコール等)の混合物である。
【0026】
バインダーとしては、ポリ酢酸ビニルをメインバインダーとしたものであれば、他のバインダーを併用してもよい。例えば、ポリビニルアルコールやポリビニルピロリドンなどをバインダーとして併用してもよい。ポリビニルアルコールとしては、部分ケン化ポリビニルアルコールの他、低ケン化ポリビニルアルコールや完全ケン化ポリビニルアルコールなど、ケン化度によらず使用することができる。また、ポリ酢酸ビニルの粉末エマルジョンもまた併用して使用することができる。ポリ酢酸ビニル、ポリビニルアルコールおよびポリビニルピロリドンは、透明性および接着性が高いため、バインダーとして用いて好適である。
【0027】
(b)充填材及び増量材
充填材及び増量材は、粘土組成物の嵩増しや粘性調整の為のものである。また、粘土組成物が乾燥した際に透明性を付与するものである必要がある。本実施の形態においては、充填剤及び増量材として、シリカ粉末を用いる。シリカの中でも、無水シリカを用いることが好ましい。また、無水シリカの一次粒径(直径)としては、35nm以下のものを用いることが好ましい。シリカ粉末の他、加工澱粉などを充填材及び増量材として併用してもよい。
【0028】
(c)増粘材
増粘材は、粘土組成物に粘度を付与し、離型性を付与する成分である。増粘材として、例えば、セルロース誘導体、アクリル誘導体、ビニルピロリドン誘導体などを使用することができる。
【0029】
セルロース誘導体としては、例えば、水溶性セルロースエーテル、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース等を使用することができる。
【0030】
アクリル酸誘導体としては、例えば、ポリアクリルアミド、ポリアクリル酸ナトリウム等を使用することができる。
【0031】
ビニルピロリドン誘導体としては、例えば、ポリビニルピロリドンホモポリマーを使用することができる。
【0032】
また、ポリエチレンオキサイドを用いてもよい。
【0033】
充填材及び増量材として使用する無水シリカ粉末や加工澱粉に関しても若干の増粘性を有する。
【0034】
(d)界面活性剤
界面活性剤は、液体の表面張力を減じると共に、液体間や液体と固体間の界面張力を減じる効果を有する成分であり、粘土の各成分の混合効果を高めるものである。
【0035】
この界面活性剤としては、非イオン系界面活性剤、アニオン系界面活性剤を使用することができる。
【0036】
非イオン系界面活性剤としては、例えばポリオキシエチレンアルキルエーテルやグリセリン脂肪酸エステル等を使用することができる。
【0037】
アニオン系界面活性剤としては、例えば、アルキル硫酸エステル塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩等を使用することができる。
【0038】
(e)可塑剤
可塑剤は、粘土にやわらかさを付与する成分である。また、予めシリカ等の充填材を分散する際に分散媒として使用できる。例えば、グリセリン、エチレングリコール、プロピレングリコールなどの多価アルコール、アジピン酸ジイソノニル等のアジピン酸エステル類、トリフェニルホスフェートなどのリン酸エステル類、クエン酸トリエチルなどのクエン酸エステル類、アルキルスルホン酸フェニルエステルなどのスルホン酸エステル類、脂肪酸(二塩基酸)エステル等を使用することができる。この脂肪酸(二塩基酸)エステルとしては、ビス(ブチルジグリコール)アジペート等を使用することが好ましい。内分泌かく乱物質(いわゆる環境ホルモン)の懸念はあるが、特許文献1(特開2005−281643号公報)に記載されているジブチルフタレートなどのフタル酸エステル類についても使用することができる。しかしながら、安全性の疑わしき成分は極力使用しない方が良い。また、流動パラフィンやシリコンオイルも使用することができる。
【0039】
(f)防腐防カビ剤
防腐防カビ剤は、粘土に防腐効果および防カビ効果を付与する成分である。この防腐防カビ剤としては、例えば、ブロモポール系防腐防カビ剤、イソチアゾリン系防腐防カビ剤等を使用することができる。添加する防腐防カビ剤としては、安全性を有し、十分な防腐防カビ効果を得ることができるものがあれば特に限定されない。
【0040】
(g)その他の添加助剤
その他の添加助剤は、粘土の性質を強化、改善するために配合する成分であり、目的とする粘土の特性に応じて、様々なものを添加することができる。その他の添加助剤としては、例えば、アルファ澱粉などの加工澱粉を含む澱粉誘導体、カルボキシルメチルセルロースなどのセルロース誘導体、また、顔料や染料などの着色材を使用してもよい。
【0041】
さらに、粘土組成物は、少なくとも(a)バインダーおよび(b)充填材及び増量材を混合させてなるものであれば、他の材料((c)〜(g))については、必要に応じて適宜添加すればよい。また、(c)〜(g)以外の材料(その他の添加助剤、その他の成分)を適宜配合してもよい。
【0042】
また、粘土組成物の充填材として、シリカ粉末を用いる場合は、主成分であるバインダーとしては、屈折率がシリカと同じ程度のものを使用することが好ましい。
【0043】
<粘土組成物の製造方法>
本実施の形態の粘土組成物の製造方法について説明する。
【0044】
(A)強力混練機に、シリカ粉末と、分散媒とを投入する。シリカ粉末としては、超微粒子無水シリカ粉末(粒径:35nm以下)を用いる。分散媒としては、水または水に不溶な高沸点不揮発性液体を用いることができる。水に不溶な高沸点不揮発性液体は、(e)可塑剤として用いる成分から選択することができる。また、分散媒としての水は、上記(a)〜(g)以外の成分であり、後述するアニオン系界面活性剤を用いた場合の分散媒としての役割を果たす。但し、(a)のバインダー、例えば、ポリ酢酸ビニルエマルジョンなどの中には水(水分)を含む場合がある。
【0045】
次いで、界面活性剤を投入する。界面活性剤としては、分散媒により適切な界面活性剤を選択する。例えば、水の場合には、アニオン系界面活性剤を、水に不溶な高沸点不揮発性液体の場合には、非イオン系界面活性剤を用いる。
【0046】
以上のシリカ粉末、分散媒および界面活性剤を混練機により混練(混合、攪拌)する。このように、シリカ粉末をあらかじめ分散媒と混練混合することにより、後述の(B)工程において、シリカ粉末の分散性が良好となり、シリカ粉末の凝集物の発生を抑制することができる。シリカ粉末、分散媒および界面活性剤の混練混合物をシリカ分散体(易分散化処理加工体)ということがある。
【0047】
また、使用する混練機に制限はないが、3本ロールミルを使用して分散させることが好ましい。この3本ロールミルは、3本のローラの回転数の差を用いた分散機の一種であり、材料に対して、ローラ間の圧力を利用した圧縮と、速度差によるせん断を行い、分散・混練することができる。このような材料の圧縮と、せん断を利用した混練機を使用してシリカ粉末を分散することによって、例えば、乳鉢等を用いて混練する場合と比較し、シリカ粉末の分散性が良好となり、シリカ粉末の凝集物の発生を抑制することができる。
【0048】
(B)次いで、減圧混練が可能な強力混練機に、(A)工程で得られた混練物、ポリ酢酸ビニル(酢酸ビニル樹脂、ポリ酢酸ビニルエマルジョン)、と共に、増粘材、防腐防カビ剤などのその他の成分((c)増粘材、(d)界面活性剤、(e)可塑剤、(f)防腐防カビ剤、(g)その他の添加助剤等)を一気に加え、密閉して撹拌する。
【0049】
このように、(A)工程において、シリカ粉末をあらかじめ分散媒と混練混合しておくことにより、本工程((B)工程)において、シリカ粉末の分散性が良好となり、シリカ粉末の凝集物の発生を抑制することができる。また、粘土組成物の成分の均一性を向上し、成分の不均一性による乾燥後のひび割れを抑制することができる。
【0050】
また、減圧しながら混練混合することで、粘土組成物の揮発成分の含有量を調整することができる。また、粘土組成物の混練時の摩擦熱による粘土組成物の温度上昇が、減圧下においては抑制される。このため、粘土組成物の熱による変質を抑制することができる。また、摩擦熱により温度勾配が生じた場合、粘土組成物から揮発する成分(主に水分)に偏りが生じ、乾燥後のひび割れの要因となり得る。これに対し、減圧混練によれば、温度上昇を抑制し、温度勾配の程度を低減することで、粘土組成物から揮発する成分(主に水分)の均一性を向上し、乾燥後においてもひび割れし難い粘土組成物を製造することができる。
【0051】
また、粘土組成物から揮発する成分(主に水分)の均一性を向上させることで、粘土組成物の硬さの調整を精度よく行うことができる。即ち、成分の不均一性を低減し、成分の均一性の高い粘土組成物を製造することができる。
【0052】
<粘土組成物の利用方法>
上記方法で製造された粘土組成物は、白色である。この粘土組成物は、ポリアミド系フィルムなどのガスバリア性の高い包材を使用し、空気を抜いた状態で保存される。使用時において、開封された粘土組成物を、造形用などとして利用する。使用残分は極力空気を抜いて密閉するか、粘土組成物をラップフィルム等に包んで保管する。
【0053】
本実施の形態の粘土組成物は、適度に柔軟で、可塑性を有しており、成形性に富んでいる。さらに、接着性が高く、ガラスや金属表面などへの塗布も可能である。このため、良好な作業性、成形性を実現しつつ、ガラスや金属表面などへの装飾も可能となり、利用の幅が広がる。
【0054】
また、造形後は、粘土組成物が乾燥(固化)し、乾燥物となる。言い換えれば、粘土組成物中の揮発成分が揮発し、可塑性を失う。乾燥物は、透明性(光透過性)を有する。
【0055】
本実施の形態の粘土組成物の乾燥物は、透明性が高く、乾燥後においても、弾力のある柔軟性を有する。また、乾燥後において、シリカ粉末の凝集による白点も少なく、成分の不均一(主に水分の偏り)によるひび割れも少ない。特に、白点は、透明性を呈する乾燥後に明らかとなるため、造形物の評価を低下させる。このため、白点の抑制は、使用者において非常に有効なものとなる。
【0056】
(実施例)
以下、実施例を詳細に説明するが、本発明は、以下の実施例に限定されるものではない。
【0057】
表1に示す各種成分を用いて、粘土組成物を製造した。数値は、ポリ酢酸ビニルエマルジョンの重量に対する各成分の重量割合を示す。また、製造方法については、各種成分を表2に示す2種の方法で混練し、粘土組成物を得た。
【表1】
【表2】
【0058】
表1において、各種成分と、(a)バインダー、(b)充填材及び増量材、(c)増粘材、(d)界面活性剤、(e)可塑剤、(f)防腐防カビ剤、(g)その他の添加助剤との対応関係を、(a)〜(g)の記号で示した。(h)は、その他の成分である。
【0059】
(1)粘土組成物の製造
表1に示す各成分を、表2に示す2種の方法で混練し、粘土組成物を得た。
【0060】
(実施例1)
表1の実施例1の欄に示す成分を用いて、以下の2種の製造工程により粘土組成物(実施例1−1、実施例1−2)を得た。以下の(工程−1)は、「事前にシリカの分散を行う」工程であり、上記「粘土組成物の製造方法」に対応する。また、(工程−2)は、「最後にシリカの分散を行う」工程である(表2参照)。(工程-2)は特許文献1及び特許文献2で実施されている製造方法を引用した。
【0061】
(工程−1)
実施例1−1の場合、具体的には、次のようにして粘土組成物を製造した。まず、超微粒子無水シリカ粉末20.0gに、非イオン系界面活性剤(例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル)3.0gと、流動パラフィン15.0gと、プロピレングリコール9.0gと、アルキルスルホン酸フェニルエステル2.0gと、グリセリン3.0gとを加え、大まかに混合した後、井上製作所製卓上3本ロールミルに5回通し、混練した。このようにして得られた第1混練物を容器に移し取った(前述の(A)工程参照)。このように、シリカ粉末をあらかじめ分散媒(ここでは、流動パラフィン、プロピレングリコール、アルキルスルホン酸フェニルエステル、グリセリンが該当する)と混合混練することにより、第1混練物中にシリカ粉末を、均一に分散させることができる。
【0062】
次いで、株式会社ダルトン製の真空混練が可能な縦型ニーダーに、水溶性セルロースエーテル10.0gと、ポリエチレンオキサイド3.0gとを入れ、1分間混合した後さらに、ポリ酢酸ビニルエマルジョン(例えば、昭和電工株式会社製、製品名ポリゾールS5501)100.0gと、上記第1混練物(水に不溶な高沸点不揮発性液体で前処理した超微粒子無水シリカ粉末)と、部分ケン化型ポリビニルアルコール15.0gと、防腐防カビ剤2.0gと、水35.0gとを入れ、10分間混合した。次いで、機械の羽根や側面に付着した材料を除去し、再度10分間混練した。これまでの20分間は、常圧で混練した。
【0063】
次いで、混練槽内を−60〜−70cmHg程度まで減圧し、10分間、減圧混練を行い、第2混練物を得た。
【0064】
次いで、第2混練物の硬さを確認し、柔らかいようであれば、追加の減圧混練を行った。追加の減圧混練として、−60〜−70cmHgでの減圧混練を3分間行い、再度硬さを確認した。硬さの確認と減圧混練を繰り返し、所望の硬さの第3混練物を得た。この硬さの調整を終えた第3混練物を粘土組成物とした(前述の工程(B)参照)。このように、シリカ粉末をあらかじめ分散媒と混練したもの(シリカ分散体)を、ポリ酢酸ビニルエマルジョンと混合したので、シリカ粉末の分散性が良好となり、シリカ粉末の凝集物の発生を抑制することができた。また、減圧しながら混練することで、粘土組成物内の揮発成分量を調整することができ、また、粘土組成物の温度上昇に起因する変質や成分の不均一性を低減することができた。
【0065】
(工程−2)
実施例1−2の場合、具体的には、次のようにして粘土組成物を製造した。まず、ポリ酢酸ビニルエマルジョン(例えば、昭和電工株式会社製、製品名ポリゾールS5501)100.0gと、部分ケン化型ポリビニルアルコール15.0gと、アルキルスルホン酸フェニルエステル2.0gと、非イオン系界面活性剤(例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル)3.0gと、プロピレングリコール9.0gと、グリセリン3.0gと、防腐防カビ剤2.0gと、流動パラフィン15.0gと、水35.0gと、を混和機に順次注入して撹拌した。混和機としてワーナー型ニーダーを使用した。次いで、水溶性セルロースエーテル10.0gと、ポリエチレンオキサイド3.0gと、を少量ずつ順次添加して撹拌した。この撹拌は30分間行った。また、この撹拌の途中で、一度、混和機を停止して、内容物を取り出し、混和機の内壁に残存した原材料の溶け残りを除去し、ウエスや、たわしなどにより混和機を洗浄した。その後、混和機へ内容物を戻し、撹拌翼を逆回転させて、5分間撹拌した。その後、再び撹拌翼を順方向に回転させて5分間再撹拌した。なお、この5分間の逆回転の撹拌およびその後の5分間の再撹拌は、30分間の撹拌時間の最後の10分間に行った。
【0066】
次いで、超微粒子シリカ粉末20.0gを少量ずつ添加して撹拌した。この撹拌は20分間行った。また、途中で一度、上記と同様にして混和機を洗浄し、撹拌翼を逆回転させて、5分間撹拌し5分間再撹拌を行った。そして、捏ね上がった粘土の性状や硬さ等の物性を確認した。このようにして得られた混和物を粘土組成物とした。
【0067】
(実施例2)
表1の実施例2の欄に示す成分を用いて、実施例1と同様に2種の製造工程により粘土組成物(実施例2−1、実施例2−2)を得た。実施例2の成分としては、界面活性剤を非イオン系界面活性剤(例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル)からアニオン系界面活性剤(例えば、アルキル硫酸エステルナトリウム)に変更した点が、実施例1の成分と異なる。
【0068】
(工程−1)
実施例2−1の場合、具体的には、次のようにして粘土組成物を製造した。まず、超微粒子無水シリカ粉末20.0gに、アニオン系界面活性剤(例えば、アルキル硫酸エステルナトリウム)3.0gと水35.0gを大まかに混合した後、井上製作所製卓上3本ロールミルに5回通し、混練した。このようにして得られた第1混練物を容器に移し取った(前述の(A)工程参照)。このように、シリカ粉末をあらかじめ分散媒(ここでは、水)と混合することにより、第1混練物中にシリカ粉末を、均一に分散させることができる。
【0069】
次いで、株式会社ダルトン製の真空混練が可能な縦型ニーダーに、水溶性セルロースエーテル10.0gと、ポリエチレンオキサイド3.0gとを入れ、1分間混合した後さらに、ポリ酢酸ビニルエマルジョン(例えば、昭和電工株式会社製)100.0gと、上記第1混練物(界面活性剤を添加した水と混合した超微粒子無水シリカ粉末)と、部分ケン化型ポリビニルアルコール15.0gと、防腐防カビ剤2.0gと、流動パラフィン15.0gと、プロピレングリコール9.0gと、アルキルスルホン酸フェニルエステル2.0gと、グリセリン3.0gとを入れ、10分間混合した。次いで、機械の羽根や側面に付着した材料を除去し、再度10分間混練した。これまでの20分間は、常圧で混練した。
【0070】
次いで、混練槽内を−60〜−70cmHg程度まで減圧し、10分間、減圧混練を行い、第2混練物を得た。
【0071】
次いで、第2混練物の硬さを確認し、柔らかいようであれば、追加の減圧混練を行った。追加の減圧混練として、−60〜−70cmHgでの減圧混練を3分間行い、再度硬さを確認した。硬さの確認と減圧混練を繰り返し、所望の硬さの第3混練物を得た。この硬さの調整を終えた第3混練物を粘土組成物とした(前述の工程(B)参照)。このように、シリカ粉末をあらかじめ分散媒と混練したもの(シリカ分散体)を、ポリ酢酸ビニルエマルジョンと混合したので、シリカ粉末の分散性が良好となり、シリカ粉末の凝集物の発生を抑制することができた。また、減圧しながら混練することで、粘土組成物内の揮発成分量を調整することができ、また、粘土組成物の温度上昇に起因する変質や成分の不均一性を低減することができた。
【0072】
(工程−2)
実施例2−2に関しては、実施例1−2の界面活性剤を非イオン系界面活性剤からアニオン系界面活性剤(例えば、アルキル硫酸エステルナトリウム)に変更した以外は同一の工程で粘土組成物を製造した。
【0073】
以下の実施例3〜5は、着色材(顔料、染料)を添加した粘土組成物についてのものである。
【0074】
(実施例3)
表1の実施例3の欄に示す成分を用いて、実施例1と同様に2種の製造工程により粘土組成物(実施例3−1、実施例3−2)を得た。実施例3の成分としては、実施例1の成分に顔料を添加したものと対応する。顔料の添加のタイミングについては、(工程−1)の場合、即ち、シリカ粉末を事前に分散媒に分散させる場合は、分散媒と一緒に顔料を添加した。また、(工程−2)の場合、即ち、最後にシリカ粉末を添加する場合は、シリカ粉末を添加するタイミングで顔料を添加した。
【0075】
(実施例4)
表1の実施例4の欄に示す成分を用いて、実施例2と同様に2種の製造工程により粘土組成物(実施例4−1、実施例4−2)を得た。実施例4の成分としては、実施例2の成分に染料を添加したものと対応する。染料の添加のタイミングについては、(工程−1)の場合、即ち、シリカ粉末を事前に分散媒(ここでは水)に分散させた場合は、分散媒と一緒に染料を添加した。この場合、水溶性染料を使用した。水溶性染料については水で分散させた。(工程−2)の場合、即ち、最後にシリカ粉末を添加する場合は、シリカ粉末を添加するタイミングで染料を添加した。
【0076】
(実施例5)
表1の実施例5の欄に示す成分を用いて、実施例1と同様に2種の製造工程により粘土組成物(実施例5−1、実施例5−2)を得た。実施例5の成分としては、実施例1の成分に染料を添加したものと対応する。染料の添加のタイミングについては、(工程−1)の場合、即ち、シリカ粉末を事前に分散媒(ここでは、流動パラフィン、プロピレングリコール、アルキルスルホン酸フェニルエステル、グリセリンが該当する)に分散させる場合は、分散媒と一緒に染料を添加した。この場合、油溶性染料を使用した。即ち、油溶性染料については水に不溶な不揮発性液体で分散させた。(工程−2)の場合、即ち、最後にシリカ粉末を添加する場合は、シリカ粉末を添加するタイミングで染料を添加した。
【0077】
比較例1〜3は、前述の特許文献1〜3と対応する粘土組成物についてのものである。
【0078】
(比較例1)
表1の比較例1の欄に示す成分を用いて、実施例1の(工程−2)と同様の製造工程、即ち、最後にシリカ粉末を添加する工程により粘土組成物(比較例1)を得た。この粘土組成物およびその製造工程は、前述の特許文献2(特開2006−330412号公報)と対応する。
【0079】
(比較例2)
表1の比較例2の欄に示す成分を用いて、実施例1の(工程−2)と同様の製造工程、即ち、最後にシリカ粉末を添加する工程により粘土組成物(比較例2)を得た。この粘土組成物およびその製造工程は、前述の特許文献1(特開2005−281643号公報)と対応する。
【0080】
(比較例3)
表1の比較例3の欄に示す成分を用いて、実施例1の(工程−2)と同様の製造工程、即ち、最後にシリカ粉末を添加する工程により粘土組成物(比較例3)を得た。比較例3は、比較例1のメインバインダーをポリアクリル酸エマルジョンに変更したものである。この粘土組成物およびその製造工程は、前述の特許文献1(特開2005−281643号公報)と特許文献3(特開昭59−69466号公報)の組成の組み合わせに対応する。
【0081】
(2)粘土組成物とその乾燥物の評価
上記(1)の欄で説明した実施例、比較例の粘土組成物を使用して、粘土組成物およびその乾燥物の評価を行った。
【0082】
(2−a)接着性
接着性に関する評価を行った。接着性の評価方法は、実施例、比較例の粘土組成物を、直径2.5cmの球状物に成形した。その後、紙、アルミ、鉄、PETの板に対して、球の1/3が変形する程度押しつけ、接着させた。接着面が地面と垂直になるように板を立て、粘土組成物が板から剥がれ落ちる時間(接着時間、単位:秒)を計測した。結果を、表3に示す。
【表3】
【0083】
接着性に関しては、いずれの実施例(1−1、2−1、3−1、4−1、5−1、1−2、2−2、3−2、4−2、5−2)においても、良好な接着性が確認された。また、紙、アルミ、鉄、PET(ポリエチレンテレフタラート)のいずれの材料においても、良好な接着性が確認された。また、表には示していないが、粘土組成物同士の接着性も良好であった。特に、表面が平滑な金属に対しても良好な接着性を有することが明らかとなった。
【0084】
比較例1〜3においては、紙に対する接着性は確認できたが、他の材料(アルミ、鉄、PET)への接着性は低かった。特に、ポリアクリル酸エマルジョンをメインバインダーとした比較例3は、紙以外の材料(アルミ、鉄、PET)への接着性が極端に低かった。また、粘土組成物同士の接着性も極端に低かった。比較例1および比較例2に関しても、紙以外の材料(アルミ、鉄、PET)への接着性が低かった。また、粘土組成物同士の接着性も低かった。
【0085】
このように、ポリ酢酸ビニルエマルジョンをメインバインダーとした粘土組成物は、接着性が高いことが判明した。また、この接着性は、(工程−1)の場合、即ち、シリカ粉末を事前に分散媒に分散させる場合、および、(工程−2)の場合、即ち、最後にシリカ粉末を添加する場合、のいずれのであっても高いことが判明した。
【0086】
(2−b)透明性
透明性に関する評価を行った。透明性の評価方法は、実施例、比較例の粘土組成物を、厚さ3mmまで薄く延ばし、10日間乾燥させ、乾燥物(乾燥後の粘土組成物)の透明性を比較した。透明性の比較は、白い紙に黒色のマジックで線を引き、その線を乾燥物越しに確認した。評価は3段階で評価し、境界線がしっかりと確認できるものを○、線自体は確認できるが境界線がはっきりしないものを△、線が確認できないものを×とした。結果を、表4に示す。
【表4】
【0087】
透明性に関しては、実施例(1−1、2−1、4−1、5−1)において、良好な透明性が確認された。
【0088】
最も透明性が低かったのは、比較例3であった。比較例3は、10日間の長時間の乾燥時間にもかかわらず、内部まで乾燥せず、白く濁ったままの状態であった。これは、メインバインダーのポリアクリル酸エマルジョンが乾燥した際、非常に密な表面被膜を作ることによって、内側の水分の蒸発を阻害してしまっていることが原因であると考察される。
【0089】
次いで、透明性がより低かったのは、実施例(3−1、1−2、2−2、3−2、4−2、5−2)、比較例1、2であり、中でも透明性がより低かったのは、実施例1−2、2−2であった。実施例3-1に関しては、使用した顔料に透明性がない為、実施例1−1、2−1と比べて透明性が低下した。
【0090】
ポリ酢酸ビニルエマルジョンは、粘性が高いため、(工程−2)の場合、即ち、最後にシリカ粉末を添加する場合には、粘土組成物の粘りが上昇し、超微粒子無水シリカ粉末がうまく分散されなかったことが原因であると考察される。
【0091】
一方、比較例1および2は、実施例1−2、2−2と比較し、乾燥物全体としての透明性はより高かったが、乾燥物中に、白点(無数の白い斑点)が確認され、これにより、境界面をしっかりと識別することができなかった。
【0092】
これに対し、実施例(1−1、2−1、4−1、5−1)において、白点はほぼ確認されず、極めて透明性の高い乾燥物を得ることができた。これは、(工程−1)、即ち、シリカ粉末を事前に溶媒に分散させることにより、シリカ粉末の分散性が良好となり、シリカ粉末の凝集物の発生を抑制することができたためと考察される。
【0093】
(2−c)ひび割れ
ひび割れに関する評価を行った。ひび割れの有無は、実施例、比較例の粘土組成物を、直径1.5cmの球状物、3個に成形した。その後、30日間乾燥させ、乾燥物(乾燥後の粘土組成物)の表面のひび割れ(亀裂)の有無について比較を行った。結果を、表5に示す。
【表5】
【0094】
ひび割れ(亀裂)の有無に関しては、実施例(1−1、2−1、3−1、4−1、5−1)において、良好な結果が得られた。
【0095】
実施例(1−2、2−2、3−2、4−2、5−2)および比較例1〜3については、ひび割れが確認された。中でも、ひび割れについて、実施例1−2、2−2は、比較例1、2よりも顕著に見られた。
【0096】
このひび割れの評価についても、透明性の評価と同様に、(工程−1)、即ち、シリカ粉末を事前に分散媒に分散させることで、シリカ粉末や揮発する成分(主に水分)の均一性を向上し、乾燥後においてもひび割れし難い粘土組成物が製造できたと考察される。
【0097】
(2−d)着色性
着色性については、実施例3〜5について、比較検討した。
【0098】
実施例3−1および3−2については、どちらについても着色が確認できた。用いた顔料が不透明であるため、やや透明性は低下したものの、適度な透明性を保持したまま着色することができた。特に、透明性のより高い実施例3−1の方が、実施例3−2より良い発色を示した。
【0099】
実施例4−1および4−2については、実施例4−1において、良好な着色が確認できた。実施例4−2については、染料が透明性を呈しているため、シリカ粉末の二次凝集物と考察される白点が目立ち、実施例4−1に比べると十分な着色および透明性は得られなかった。通常、水溶性染料は水との反応により発色するため、水分が蒸発した後は本来の発色を得られない。実施例4−1、4−2で見られた着色は、水溶性染料の乾燥粒子によるものであると考えられる。
【0100】
実施例5−1は可塑剤に十分に分散できるため、着色が良好であり、乾燥後の発色も良かった。5−2については、粘土内に染料がうまく分散せず、十分に着色されなかった。
【0101】
(その他の実施例)
なお、表1には明示していないが、実施例1の流動パラフィンをシリコンオイルに変更したり、アルファ化デンプンや粉末エマルジョンを加えたりした処方を、(工程−1)、即ち、シリカ粉末を事前に分散媒に分散させる方法で製造した粘土組成物についても同様の評価(接着性、透明性、ひび割れ)を行った。実施例1と同様の評価結果であった。
【0102】
(その他の例)
本発明の粘土組成物の成分やその配合割合は、上記実施例の値に限定されるものではなく、以下の範囲で適宜変更、調整することが可能である。
【0103】
例えば、上記実施例においては、ポリ酢酸ビニルエマルジョンとして、昭和電工株式会社製、ポリゾール S−5501を用いたが、この他、昭和電工株式会社製のポリゾール Sシリーズ、アイカ工業製アイカアイボンシリーズ、高圧ガス工業株式会社製のペガールシリーズなどのポリ酢酸ビニルエマルジョンを用いることができる。これらの製品の中でも、粘度が10,000〜100,000mPa・sのものを用いることが好ましい。
【0104】
ポリ酢酸ビニルエマルジョンは、30〜70重量%の範囲で配合することが好ましい。ポリ酢酸ビニルエマルジョンをこのような配合割合とすれば、粘土組成物に接着性を付与しつつ、他の配合成分による効果を十分に発揮することができる。また、このような観点から、配合割合を40〜60重量%とすることがより好ましく、45〜55重量%とすることが更に好ましい。
【0105】
超微粒子無水シリカ粉末は、5.0〜10.0重量%の範囲で配合することが好ましい。超微粒子無水シリカ粉末をこのような範囲のものとすれば粘土に透明性を付与することができると共に、粘土の作業性、保形性を十分なものとすることができる。またこのような観点から、配合割合を6.0〜9.0重量%とすることがより好ましく、7.0〜8.0重量%とすることが更に好ましい。
【0106】
非イオン系界面活性剤およびアニオン系界面活性剤は、0.1〜5.0重量%の範囲で配合することが好ましい。非イオン系界面活性剤をこのような範囲のものとすれば、ポリ酢酸ビニルエマルジョン中への超微粒子無水シリカ粉末の分散性を良くすることができ、結果として透明性が向上し、ひび割れが発生しにくい粘土組成物を作ることができる。このような観点から配合割合を0.5〜3.0重量%配合することがより好ましく、1.0〜1.5重量%とすることが更に好ましい。
【0107】
その他、部分ケン化ポリビニルアルコールは5.0〜10.0重量%、水溶性セルロースエーテルは2.0〜7.0重量%、ポリエチレンオキサイドは0.5〜5.0重量%、プロピレングリコールは2.0〜6.0重量%、流動パラフィンは3.0〜10.0重量%、アルキルスルホン酸フェニルエステルは0.3〜5.0重量%、グリセリンは0.3〜5.0重量%、防腐防カビ剤は0.3〜5.0重量%、水は5.0〜40.0重量%、顔料および染料は0.0〜1.0重量%の範囲でそれぞれ配合することが好ましい。
【0108】
また、上記実施例においては、着色材として、顔料や染料を例示したが、樹脂製のビーズや鉱物原料(マイカ系パール、メタリックフレーク)等を着色材として用いることも可能である。このような材料によれば、不均一な着色を表現することも可能となる。また、粘土組成物を、ペースト状やリキッド状としてもよい。このような調整は、例えば、粘土組成物中に含まれる水分量や水に不溶な高沸点不揮発性液体量、シリカ粉末量の増減により行うことができる。このように、物理的状態を変化させることで、被着剤とのぬれ性が向上し、接着性をより向上させることができる。
【0109】
このように、本発明は上記実施の形態や実施例に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。