【課題】操縦装置を運転席の側方に設けるとともに当該操縦装置を上方に向けて回動可能とした場合に、走行時や作業時に生じる振動に起因する操縦装置の振動を抑制することができる作業機及び操縦装置の支持機構を提供する。
【解決手段】作業機は、運転席と、操縦レバーを有するとともに運転席の側方の第1位置と、第1位置よりも上方である第2位置との間で回動可能とされている操縦装置と、操縦レバーにより操作される作業装置とを備え、回動の支点は、操縦装置が第1位置にあるとき当該操縦装置の重心位置より上方に位置している。操縦装置の支持機構は、操縦レバーを有する操縦装置を、運転席の側方である第1位置と、第1位置よりも上方である第2位置とに回動可能に支持する支持部を備え、支持部は、操縦装置が第1位置にあるとき、回動の支点を当該操縦装置の重心位置より上方に支持する。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態について、図面に基づき説明する。
図25は本発明に係る作業機1の全体構成を示す概略図であり、旋回作業機である後方小旋回型のバックホーが例示されている。
作業機1は、機体2と走行装置3と作業装置4とを備えている。機体2上には、運転席5が設けられている。以下、運転席5に着座した運転者の前側(
図25の左側)を前方、運転者の後側(
図25の右側)を後方、運転者の左側(
図25の手前側)を左方、運転者の右側(
図25の奥側)を右方として説明する。また、前後の方向K1(
図25参照)に直交する方向である水平方向K2(
図24参照)を機体幅方向として説明する。また、機体2の中央部から右部或いは左部へ向かう方向を機体外方として説明する。言い換えれば、機体外方とは、機体幅方向であって、機体2から離れる方向である。機体外方とは反対の方向を、機体内方として説明する。言い換えれば、機体内方とは、機体幅方向であって、機体2に近づく方向である。
【0014】
機体2は、走行装置3のフレーム上に、軸受体6を介して縦軸回りに旋回自在に支持された旋回台7を有している。旋回台7は、油圧モータからなる旋回モータ(図示略)の駆動により旋回する。旋回台7の前部には、作業装置4が装着されている。旋回台7の後部には、作業装置4との重量バランスをとるためのカウンタウエイト8が装着されている。旋回台7上の後部はボンネット9により覆われている。
【0015】
ボンネット9の上面は前方から後方に向けて高くなる傾斜面とされており、当該上面には運転席5が載置されている。ボンネット9の下方にはエンジンルームEが設けられている。エンジンルームEの内部には、エンジン10、油圧ポンプ(図示略)、作動油タンク(図示略)等が配置されている。ボンネット9は、後下部がカウンタウエイト8に対して横軸回りに回動可能に枢支されている。
【0016】
走行装置3は、クローラ式の走行装置であって、機体2の右側と左側の下方にそれぞれ設けられている。走行装置3は、油圧モータからなる走行モータ63により駆動する。走行装置4の前部にはドーザ11が設けられている。ドーザ11は、ドーザシリンダ(図示略)により駆動される。
作業装置4は、ブーム12とアーム13と作業具(バケット)14とを有している。さらに作業装置4は、これらのブーム等の駆動機構として、ブームシリンダ15と、アームシリンダ16と、作業具シリンダ17とを有している。ブームシリンダ15、アームシリンダ16、作業具シリンダ17及びドーザシリンダは、油圧シリンダにより構成されている。これらの油圧シリンダ(油圧アクチュエータ)は、作動油タンクから油圧ポンプを介して供給される作動油により駆動する。
【0017】
図25に示すように、ブーム12の基端部は、旋回台6の右前部に設けられたブラケット18に横軸回りに揺動自在に枢支されている。ブラケット18は、旋回台6に設けられた受けブラケット29に対して縦軸回りに揺動自在に枢支されている。旋回台6には油圧シリンダからなるスイングシリンダ(図示略)が装着されており、ブラケット18は当該スイングシリンダの駆動により揺動する。ブーム12の先端部には、アーム13の基端部が横軸回りに揺動自在に枢支されている。アーム13の先端部には作業具14が装着されている。
【0018】
ブームシリンダ15は、ブラケット18とブーム12の中途部とを連結している。ブーム12は、ブームシリンダ15の伸縮により上下に揺動する。アームシリンダ16は、ブーム12の中途部とアーム13の基端部とを連結している。アーム13は、アームシリンダ16の伸縮により上下に揺動する。作業具シリンダ17は、アーム13の基端部と作業具14の取付部とを連結している。作業具14は、作業具シリンダ17の伸縮によりスクイ・ダンプ動作する。
【0019】
旋回台7上の前部には、ステップ19が設けられている。ステップ19上の前部であって、運転席5及びボンネット9の前方には、操縦塔20が設けられている。
図3、
図4、
図11等に示すように、操縦塔20は、操縦塔カバー21と、支持部41と、支持部カバー23とを有している。また、操縦塔20には、操作レバーとしての走行レバー22L,22Rが設けられている。
【0020】
走行レバー22L,22Rは、操縦塔カバー21の上部から上方に突出している。走行レバー22Lは、左側の走行装置3を操作するレバーである。走行レバー22Rは、右側の走行装置3を操作するレバーである。
図11に示すように、支持部41は、支持部カバー23により覆われており、操縦塔20に対して支持アーム42の一端側を回動可能に支持している。
図2、
図3等に示すように、支持アーム42の他端側には操縦装置30が装着されている。支持部41、支持アーム42及び操縦装置30の具体的構成については後述する。支持部41は運転席5の座面よりも上方に位置している。支持部カバー23は、左側の支持カバー23Lと右側の支持カバー23Rとを有する。支持カバー23L,23Rは、操縦塔カバー21の上部に固定されている。支持部カバー23Lは走行レバー22Lの左方に設けられている。支持部カバー23Rは走行レバー22Rの右方に設けられている。
【0021】
図4〜
図6に示すように、支持部カバー23L,23Rの機体幅方向外側の面は、下方に向かうにつれて機体幅方向中心に向かうように傾斜している。具体的には、支持部カバー23Lの左側面23SLは、下方に向かうにつれて右側に向かうように傾斜している。また、支持部カバー23Rの右側面23SRは、下方に向かうにつれて左側に向かうように傾斜している。これにより、運転者の足元(膝周辺)に広いスペースを確保することができる。加えて、運転席5の左前方にあるアクセルレバー58と、運転席5の右前方にあるドーザレバー59とを操作し易くなる。
【0022】
図2、
図3に示すように、操縦塔カバー21は、ボンネット9の前面と対向するように且つ当該前面との間に空間Sをあけて配置されている。操縦塔カバー21の高さは、ボンネット9よりも高く且つ運転席5の座面よりも低い。
図4〜
図6に示すように、操縦塔カバー21の右側面と左側面(機体外方側の面)は、運転席5の座面よりも下方において、下方に向かうにつれて機体内方に向かうように傾斜している。これにより、操縦塔カバー21の幅(機体幅方向の長さ)は、下部が上部に比べて小さくなっている。操縦塔カバー21の下部の幅W1は、運転席5の座面の幅(機体幅方向の長さ)W2(
図3参照)よりも狭くなっている。操縦塔カバー21の上部の幅(最大幅)W3は、運転席の座面の幅W2と略等しく且つ後述する第1操縦装置30Rと第2操縦装置30Lとの間の距離D(
図3、
図5参照)よりも狭くなっている。これにより、運転者の足元(膝周辺)に広いスペースが確保されている。
【0023】
図4に示すように、操縦塔カバー21内の下部には、バルブユニットVUが配置されている。バルブユニットVUは、作業装置4の油圧アクチュエータを制御する複数の制御バルブを機体幅方向に並列して一体化したものである。バルブユニットVUは、各制御バルブのスプールが縦方向に配置され且つポートが後方に向くように配置されている。
制御バルブは、例えば、旋回モータ用の旋回バルブ、アームシリンダ16用のアームバルブ、ブームシリンダ15用のブームバルブ、作業具シリンダ17用の作業具バルブ、右側及び左側の走行モータ63用の走行バルブ、走行モータ63の変速用の変速バルブ、ドーザシリンダ用のドーザバルブ、スイングシリンダ用のスイングバルブ等からなる。これらの制御バルブは、必要に応じて適宜変更される。
【0024】
制御バルブのうち、走行バルブ、ドーザバルブ、変速バルブ、スイングバルブは、リンク等を介して操作力が伝達される機械式制御バルブである。旋回バルブ、アームバルブ、ブームバルブ、作業具バルブは、油圧ポンプから供給されるパイロット油の圧力により操作される油圧式バルブである。
走行レバー22L,22R、アクセルレバー58、ドーザレバー59は、リンク等(図示略)を介して機械的に制御バルブと接続されている。具体的には、走行レバー22L,22Rは走行バルブと接続されている。アクセルレバー58は変速バルブと接続されている。ドーザレバー59はドーザバルブと接続されている。スイングバルブは、機械的にスイングペダル(図示略)と接続されている。また、旋回バルブ、アームバルブ、ブームバルブ、作業具バルブは、油圧管(パイロットホース)を介して、後述するパイロットバルブ(リモコンバルブ)と接続されている。この実施形態では、
図10、
図8に示すように、パイロットバルブは、第1パイロットバルブ32R,第2パイロットバルブ32Lである。
【0025】
旋回台7上には、運転席保護装置としてのキャノピ24が設けられている。
図1、
図4等に示すように、キャノピ24は、ベース25L,25Rと、取付体26と
、支柱27L,27Rと、連結部材28U,28Dとを有している。左側のベース25Lは、操縦塔20の左方に配置されている。右側のベース25Rは、操縦塔20の右方に配置されている。ベース25L,25Rの下部は、ステップ19の上面に固定されている。ベース25L,25Rの上部には、取付体26が取り付けられている。
【0026】
取付体26は、左部26Lと右部26Rと連結部26Cとを有している。左部26Lは、ベース25Lに取り付けられている。右部26Rは、ベース25Rに取り付けられている。連結部26Cは、左部26Lと右部26Rとを操縦塔20の前方で連結している。取付体26の左部26Lには、アクセルレバー58が取り付けられている。取付体26の右部26Rには、ドーザレバー59が取り付けられている。アクセルレバー58は、エンジン10の回転を制御する。ドーザレバー59は、ドーザシリンダを駆動してドーザ11を上下に揺動させる。
【0027】
支柱27L,27Rは、運転席5の前方に、機体幅方向に互いに間隔をあけて設けられている。左側の支柱27Lの下端部は、取付体26の左部26Lに固定されている。右側の支柱27Rの下端部は、取付体26の右部26Rに固定されている。左側の支柱27Lと右側の支柱27Rとは、互いに平行に上方に向けて延びている。
連結部材28U,28Dは、支柱27Lと支柱27Rとを連結している。連結部材28Uは、支柱27Lと支柱27Rの各上端部より上方に延びてから湾曲して後方に延び、運転席5の上方で繋がっている。連結部材28Dは、左側の支柱27Lと右側の支柱27Rとを、支持部カバー23L,23Rの前方において連結している。
【0028】
図1〜
図4等に示すように、運転席5の側方であってボンネット9の上方には操縦装置30が配置されている。操縦装置30は、支持機構40により位置変更可能に支持されている。支持機構40は、後述するように、操縦装置30を、運転席5の側方である第1位置(
図1〜
図10参照)と、運転席の前方であって第1位置よりも上方である第2位置(
図21〜
図23参照)とに支持する。以下、特に記載する場合を除いて、操縦装置30が第1位置にあるときを基準として、構成要素の位置関係を説明する。
【0029】
操縦装置30は、第1操縦装置30Rと第2操縦装置30Lとを有している。第1操縦装置30Rは、運転席5の一側方(右方)に配置されている。第2操縦装置30Lは、運転席5の他側方(左方)に配置されている。
第1操縦装置30Rと第2操縦装置30Lは主要な構成が共通しているため、先ず
図10に基づいて第1操縦装置30Rの構成を説明する。第2操縦装置30Lについては、第1操縦装置30Rと異なる点のみを説明し、共通する構成については説明を省略する。
【0030】
第1操縦装置30Rは、ブーム・バケット操作用の装置である。
図10に示すように、第1操縦装置30Rは、第1操縦レバー31Rと、第1パイロットバルブ32Rと、マニホールド33と、ケーシング34とを有している。
第1操縦レバー31Rは、ケーシング34の上部に装着されており、前方、後方、左方及び右方に揺動可能とされている。第1パイロットバルブ32R及びマニホールド33は、ケーシング34内に収容されている。
【0031】
第1パイロットバルブ32Rは、第1操縦レバー31Rの下方に配置されており、第1操縦レバー31Rによって操作される。マニホールド33は、第1パイロットバルブ32Rの下方に配置され、油圧管(図示略)を介して第1パイロットバルブ32Rと接続されている。マニホールド33は、直方体状のブロック33aと、ブロック33aの内部に形成された油路33bとを有する。油路33bは、ブロック33aの上面に設けられた上部ポートと、ブロック33aの前面に設けられた前部ポートを繋ぐように、ブロック内部でL字状に形成されている。これにより、マニホールド33の厚さ(高さ)が小さくなり、ケーシング34の厚さ(高さ)を抑制できる。ブロック33aの上部ポートは、第1パイロットバルブ32Rと接続されている。ブロック33aの前部ポートには、管継手35を介して油圧管36の一端部が接続されている。油圧管36は、パイロット油を流通させる油圧ホースである。油圧管36の他端部は、バルブユニットVUのブームバルブ及び作業具バルブと接続されている。つまり、第1パイロットバルブ32Rは、マニホールド33及び油圧管36を介して、ブームバルブ及び作業具バルブと接続されている。
【0032】
第2操縦装置30Lは、旋回・アーム操作用の装置である。
図8に示すように、第2操縦装置30Lは、第2操縦レバー31Lと、第2パイロットバルブ32Lと、マニホールド33と、ケーシング34とを有している。第2パイロットバルブ32L及びマニホールド33は、ケーシング34内に収容されている。第2パイロットバルブは、第2操縦レバー31Lの下方に配置されており、第2操縦レバー31Lによって操作される。第2パイロットバルブ32Lは、マニホールド33及び油圧管(図示略)を介して、バルブユニットVUの旋回バルブ及びアームバルブと接続されている。
【0033】
ケーシング34の上部には、リストレスト37が取り付けられている。リストレスト37は、第1操縦レバー31Rの後方及び第2操縦レバー31Lの後方に夫々設けられている。リストレスト37は、ケーシング34の上面から上方に延びてから屈曲して後方に延びている。
図8の仮想線(二点鎖線)に示すように、運転者は、運転席5に着座した状態で、リストレスト37に腕を置いた状態で、第1操縦レバー31R及び第2操縦レバー31Lを操作することができる。
【0034】
ケーシング34の後部には、取っ手38が取り付けられている。取っ手38は、扁平な球状の頭部を有するノブから形成されている。取っ手38は、リストレスト37の下方に位置し、ケーシング34の後面から後方に向けて突出している。運転者は、取っ手38を把持することで、操縦装置30の位置を第1位置と第2位置とに変更する操作(回動操作)を容易に行うことができる。
【0035】
図7〜
図9に示すように、ケーシング34は、第1操縦レバー31Rの前方及び第2操縦レバー31Lの前方に延びる前方延出部39を有している。前方延出部39の上面は、前方に延びるにつれて下向きに傾斜しており、当該上面には上方に向けて開口する円筒状の接続部39a(
図7参照)が設けられている。
図9に示すように、接続部39aには、支持アーム42の他端側が接続されている。マニホールド33の管継手35に接続された油圧管36は、接続部39aの開口を通ってケーシング34から上方に取り出され、後述する支持アーム42内部の挿通路49R,49Lに導入される。前方延出部39の下部は、前方に延びるにつれて上向きに傾斜している。
【0036】
図7、
図9に示すように、前方延出部39の運転席5側の側部39bは、前方に向かうにつれて次第に運転席5から離れる斜め方向に延びている。言い換えれば、前方延出部39は、運転席5側の側部に面取りがなされている。これにより、運転席5に着座した運転者の足元(膝周辺)のスペースを広く確保することができる。
図8、
図10等に示すように、ケーシング34の下部には緩衝部材47が設けられている。緩衝部材47は、ゴム等の弾性体により円柱状に形成されている。緩衝部材47は、ねじ48によりマニホールド33に固定されている。ねじ48は、ケーシング34の下面から下方に突出し、突出部分に緩衝部材47が取り付けられている。ねじ48を回転させることにより、緩衝部材47の位置(ケーシング34の下面からの距離)を調整することができる。緩衝部材47は、操縦装置30が第1位置にあるとき、運転席5側方のボンネット9の上面に当接する。これにより、操縦装置30を第2位置から第1位置へと移動させたときに、ケーシング34がボンネット9の上面に直接勢いよく当たることが防がれる。
【0037】
支持機構40は、運転席5の周囲に設けられた支持部材と、この支持部材により回動可能に支持された支持アーム42とを有している。
本実施形態では、支持部材として、運転席5の前方に設けられた操縦塔20が採用されている。但し本発明において、支持部材は操縦塔20には限定されず、例えば、キャノピ24の支柱27L,27Rを支持部材として採用することもできる。また、操縦塔20や支柱27L,27Rとは別の支持部材を設けてもよい。以下の説明では、支持部材として操縦塔20を採用した場合について述べる。
【0038】
支持アーム42は、第1支持アーム42Rと第2支持アーム42Lとを有している。第1支持アーム42Rは、操縦塔20の一側方(右方)に回動可能に支持されている。第2支持アーム42Lは、操縦塔20の他側方(左方)に回動可能に支持されている。詳しくは、第1支持アーム42Rの一端部は、右側の支持部カバー23Rの内部において支持部
41に回動可能に支持されている。また、第2支持アーム42Lの一端部は、左側の支持部カバー23Lの内部において支持部41に回動可能に支持されている。
【0039】
第1支持アーム42Rの他端部には、第1操縦装置30Rが装着されている。具体的には、第1支持アーム42Rの他端部は、第1操縦装置30Rのケーシング34の前方延出部39の接続部39aに接続されている。第2支持アーム42Lの他端部には、第2操縦装置30Lが装着されている。具体的には、第2支持アーム42Lの他端部は、第2操縦装置30Lのケーシング34の前方延出部39の接続部39aに接続されている。
【0040】
これにより、第1支持アーム42Rが支持部41を支点として回動したとき、第1操縦装置30Rは前記第1位置と前記第2位置との間で位置を変更する。また、第2支持アーム42Lが支持部41を支点として回動したとき、第2操縦装置30Lは前記第1位置と前記第2位置との間で位置を変更する。
図9に示すように、第1支持アーム42Rは、支持部41から延びる第1延設部421Rと、第1延設部421Rから屈曲して第1操縦装置30Rに向けて延びる第2延設部422Rとを有している。つまり、第1支持アーム42Rは、支持部41から第1操縦装置30Rまでに至るまでの中途部420Rで屈曲している。第2支持アーム42Lは、支持部41から延びる第1延設部421Lと、第1延設部421Lから屈曲して第2操縦装置30Lに向けて延びる第2延設部422Lとを有している。つまり、第2支持アーム42Lは、支持部41から第2操縦装置30Lまでに至るまでの中途部420Lで屈曲している。第1支持アーム42Rの第1延設部421Rと、第2支持アーム42Lの第1延設部421Lとは、支持部41から延びるにつれて次第に離間している。また、中途部420Rの屈曲中心C1は支柱27Rの軸心C3よりも機体外方側にあり、中途部420Lの屈曲中心C2は支柱27Lの軸心C4よりも機体外方側にある。また、第1位置において、第1延設部421Rと第2延設部422Rの機体内方側の角度α1と、第1延設部421Lと第2延設部422Lの機体内方側の角度α2は、90度以上に設定されている。これらの構成により、第1操縦装置30R及び第2操縦装置30Lを第1位置から第2位置に回動させたときに、第1操縦装置30R及び第2操縦装置30Lが支柱27L,27Rに当たることが防止される。つまり、
図9の仮想線(二点鎖線)及び
図22に示すように、第1支持アーム42R及び第2支持アーム42Lは、第2位置において、第1操縦装置30R及び第2操縦装置30Lを支柱27L,27Rの側方に退避させる。
【0041】
図9、
図11に示すように、第1支持アーム42Rは、第1パイロットバルブ32Rに接続する油圧管36を通す挿通路49Rを有している。
図9、
図10に示すように、第2支持アーム42Lは、第2パイロットバルブに接続する油圧管を通す挿通路49Lを有している。本実施形態では、第1支持アーム42R及び第2支持アーム42Lは、円形パイプから形成されており、当該パイプの内部空間が挿通路49R,49Lとなっている。
【0042】
操縦塔20は、上述した通り、第1支持アーム42Rと第2支持アーム42Lを回動可能に支持する支持部41を有している。
図11に示すように、支持部41は、支持柱43と支持ブラケット44とを有している。尚、
図11では、右側の操縦塔20に設けられた支持部41を示しているが、左側の操縦塔20にも同様の支持部41が設けられている。支持柱43と支持ブラケット44とは、支持部カバー23により覆われている。
【0043】
図4に示すように、支持柱43は、操縦塔カバー21の上部から突出して上方に延びている。左側の支持柱43は、走行レバー22Lの左方に配置されている。右側の支持柱43は、走行レバー22Rの右方に配置されている。
図11に示すように、支持柱43は油圧管36を通す挿通路57を有している。本実施形態では、支持柱43は、角形パイプから形成されており、当該角形パイプの内部空間が挿通路57となっている。支持柱43の下部は、操縦塔カバー21の内部に延びている。これにより、油圧管36を支持柱43の上部から操縦塔カバー21の内部に向けて通すことができる。
【0044】
油圧管36は、操縦塔カバー21の内部に配置されたバルブユニットVUの制御バルブと接続されている。具体的には、第1パイロットバルブ32Rに接続された油圧管36は、第1支持アーム42R内の挿通路49Rを通って支持部カバー23R内に入り、右側の支持柱43内の挿通路57を通って下方に延び、操縦塔カバー21内に入ってバルブユニ
ットVUのブームバルブ及び作業具バルブと接続されている。第2パイロットバルブ32Lに接続された油圧管は、第2支持アーム42L内の挿通路49Lを通って支持部カバー23L内に入り、左側の支持柱内の挿通路を通って下方に延び、操縦塔カバー21内に入ってバルブユニットVUの旋回バルブ及びアームバルブと接続されている。
【0045】
上述の通り、パイロットバルブと制御バルブとを接続する油圧管(パイロットホース)は、ケーシング34の内部から、第1支持アーム42R及び第2支持アーム42Lの挿通路49R,49Lと、支持柱43の挿通路57を通ってバルブユニットVUの制御バルブまで延びている。これにより、油圧管が外部に露出することなく内装化されている。
図11に示すように、支持柱43の上部には支持ブラケット44が装着されている。右側の支持ブラケット44は、第1支持アーム42Rを支持している。左側の支持ブラケット(図示略)は、第2支持アーム42Lを支持している。右側の支持ブラケットと左側の支持ブラケットは構成が共通しているため、
図11に基づいて右側の支持ブラケット44の構成を説明し、左側の支持ブラケットについては説明を省略する。
【0046】
支持ブラケット44は、下ブラケット44Dと上ブラケット44Uとを有している。
下ブラケット44Dは、下横板部44aと下縦板部44bとを有している。下横板部44aは、支持柱43の上部寄り位置に固定されて機体外方側(
図11の左側)に延設されている。下横板部44aは、下長穴44cを形成する前後方向に延びる環状の縁部を有している。下縦板部44bは、下横板部44aの機体外方側から上方に延びている。
【0047】
上ブラケット44Dは、下ブラケット44Dの上方に配置されている。上ブラケット44Dは、上横板部44dと、一対の上縦板部44eとを有している。尚、図示の都合上、
図11では一方(機体内方側)の上縦板部44eを仮想線で示している。
上横板部44dは、支持柱43の上部位置に固定されて機体外方側に延設されている。上横板部44dは、上長穴44fを形成する前後方向に延びる環状の縁部を有している。上横板部44dは、下横板部44aと平行に配置されている。上横板部44dの上面には、取付板44gが固定されている。取付板44gには、後述する切換スイッチ60のセンサ61が取り付けられている。上長穴44fを形成する環状の縁部は、下長穴44cの上方に配置されており、下長穴44cを形成する環状の縁部に比べて前後方向に長く形成されている。
【0048】
一対の上縦板部44eは、下長穴44cを形成する環状の縁部を挟んで機体幅方向に間隔をあけて配置されており、上横板部44dから上方に延びている。一対の上縦板部44eの側面には、夫々円環状のブッシュ45が固定されている。即ち、ブッシュ45は、機体幅方向に間隔をあけて一対設けられている。一対の上縦板部44eには円形穴を形成する環状の縁部が設けられており、当該円形穴及びブッシュ45には、第1支持アーム42Rの一端側が挿通されている。
【0049】
一対のブッシュ45のうち機体内方側のブッシュ45の側面の上部には、第1支持アーム42Rの上方回動位置を規制する規制部材46が固定されている。規制部材46は、一対の上縦板部44eの間に向けて突出するように設けられている。本実施形態では、規制部材46はボルトの円柱状頭部から形成されており、当該ボルトはナットNによりブッシュ45に固定されている。
【0050】
図11、
図12に示すように、支持部41には緩衝機構50が設けられている。緩衝機構50は、操縦装置30を第2位置から第1位置に回動させたときの衝撃を緩和する機構である。緩衝機構50は、第1支持アーム42Rと第2支持アーム42Lの各支持部41にそれぞれ設けられている。第1支持アーム42Rの支持部41に設けられた緩衝機構と、第2支持アーム42Lの支持部41に設けられた緩衝機構とは、構成が共通しているため、
図11及び
図12を参照して、第1支持アーム42Rに設けられた緩衝機構50についてのみ説明する。
【0051】
緩衝機構50は、可動部材51とダンパ54とを有している。可動部材51は、第1支持アーム42Rの回動に伴って回動する部材であり、一対のガイド板52と、連結体53とを有している。一対のガイド板52は、一対の上縦板部44eの間に、機体幅方向に間隔をあけて配置されている。各ガイド板52は、円弧状に形成されており、第1支持アー
ム42Rの第1延設部421Rの外周に沿って固定されている。各ガイド板52は、長穴52aを形成する縁部を有している。長穴52aは、第1支持アーム42Rの外周に沿って延びる円弧状に形成されている。連結体53は、一対のガイド板52の間に介装され、一対のガイド板52を連結している。
【0052】
ダンパ54は伸長する方向の付勢力を有している。ダンパ54の一端側は、ガイド板52の長穴52aに挿入されている。詳しくは、ダンパ54の一端部にはピン55が取り付けられており、ピン55は一対のガイド板52の各長穴52aに挿入されている。ピン55は、長穴52aに沿って移動可能とされている。ダンパ54の他端部は、枢軸56を介して下ブラケット44Dの下部に固定されている。ダンパ54は、支持ブラケット44の上長穴44f及び下長穴44cを貫通している。これにより、ダンパ54は、上長穴44f及び下長穴44cの内部で、枢軸56を支点として前後に傾動可能である。
【0053】
ダンパ54は、操縦装置30が第2位置から第1位置へと回動する際に抵抗を付与する抵抗付与部を構成している。尚、抵抗付与部としてはダンパ54が好適に用いられるが、ダンパ54に代えてバネやブレーキ等の別の機構を用いることもできる。
以下、支持機構40及び緩衝機構50の作用について、操縦装置30を下方に回動させるときと上方に回動させるときに分けて説明する。
【0054】
<操縦装置を下方に回動させるとき>
(第2位置→第3中途位置)
図21〜
図23は、操縦装置30が第2位置にある状態を示している。運転者が、この第2位置から操縦装置30を下方に回動させると、
図19、
図20に示すように、支持アーム42は下方に回動し、これに伴って操縦装置30は機体内方に寄りながら後方且つ下方に移動する。
【0055】
(第3中途位置→第2中途位置)
図19、
図20の状態から引き続いて操縦装置30を下方に回動させると、
図16、
図17に示すように、支持アーム42Rは下方に回動し、操縦装置30は更に機体内方に寄りながら後方且つ下方に移動する。また
図18に示すように、支持アーム42の下方回動に伴って、ガイド板52が前方に回動する。これにより、長穴52aがピン55に対して相対的に前方に移動し、ピン55が長穴52aの長さ方向の一方の縁部52bに当接する。
【0056】
(第2中途位置→第1中途位置)
図16〜
図18の状態から引き続いて操縦装置30を下方に回動させると、
図13、
図14に示すように、支持アーム42は更に下方に回動し、操縦装置30は更に機体内方に寄りながら後方且つ下方に移動する。また
図15に示すように、支持アーム42の下方回動に伴って、ガイド板52が更に前方に回動する。すると、長穴52aが前方に移動するため、ピン55が一方の縁部52bから押圧力を受けてダンパ54が短縮する。このように、
図18の状態から
図15の状態の間、ダンパ54の付勢力に抗して縁部52bが移動する。これにより、ダンパ54が短縮して支持アーム42の下方への回動に対して抵抗を付与する。これにより、操縦装置30の下方への回動が抑制されて急激に下降することが防がれる。
【0057】
(第1中途位置→第1位置)
図13〜
図15の状態から引き続いて操縦装置30を下方に回動させると、
図2,
図4に示すように、支持アーム42は更に下方に回動し、操縦装置30は機体外方に寄りながら後方且つ下方に移動する。また
図12に示すように、支持アーム42の下方回動に伴って、ガイド板52が更に前方に回動する。この回動は、
図2に示すように、緩衝材47がボンネット9の上面に当たることにより阻止される。つまり、支持アーム42の回動は
図2、
図4、
図12に示す位置(第1位置)で止まる。
図15の状態から
図12の状態となる過程で、ピン55が縁部52bから離れて、ダンパ54のガイド板52に対する付勢力が解放される。
【0058】
上述したように、操縦装置30が第2位置から第1位置へと回動する過程で、ダンパ54が当該回動に対して抵抗を付与することにより、操縦装置30が急激に下降することが
防がれる。つまり、緩衝機構50は、操縦装置30が第2位置から第1位置に回動したときの衝撃を緩和する。
また、操縦装置30が第1位置(
図12参照)にあるとき、ダンパ54は伸長した状態となる。そのため、第1位置では、ダンパ54が伸長しようとする付勢力が生じず、ダンパ54の付勢力によって操縦装置30が第1位置から上方に回動することが防がれる。また、作業機1が作業時等に振動した場合には、この振動をダンパ54の短縮によって吸収することができるため、操縦装置30が第1位置から浮き上がることが防止できる。
【0059】
<操縦装置を上方に回動させるとき>
(第1位置(通常状態))
運転者が作業装置4を使用して作業をしている時は、操縦装置30は運転席5の側方の第1位置にある(
図1〜
図6、
図8参照)。このとき、
図12に示すように、支持アーム42は下方位置にあり、ガイド板52は前方側に位置している。また、ダンパ54は直立姿勢となっており、ピン55は長穴52aの長さ方向の中間位置にある。
【0060】
(第1位置→第1中途位置)
運転者が、操縦装置30を第1位置から支持部41を支点として上方に回動させると、
図13,
図14に示すように、支持アーム42が上方に回動し、操縦装置30は機体内方に寄りながら前方且つ上方に移動する。また、支持アーム42の上方回動に伴って、ガイド板52が後方に回動し、
図15の仮想線に示すように、長穴52aの長さ方向の他方の縁部52cがピン55に当接する。これにより、ダンパ54の付勢力(伸長しようとする力)がガイド板52に作用する状態となる。
【0061】
(第1中途位置→第2中途位置)
図13,
図14及び
図15(仮想線参照)の状態から引き続いて操縦装置30を上方に回動させると、
図16、
図17に示すように、支持アーム42は更に上方に回動し、操縦装置30は機体外方に寄りながら前方且つ上方に移動する。また、
図18に示すように、ガイド板52が更に後方に回動する。ガイド板52の回動に伴って、ピン55は縁部52cにより押されて後方に移動し、ダンパ54は短縮しながら枢軸56を支点として前方側から後方に傾動する。ピン55が、
図18の仮想線に示す位置(回動支点Oと枢軸56を結ぶ線上)を越えて前方側から後方に移動することで、ダンパ54が短縮から伸長に転じ、運転者が支持アーム42を上方に回動させる力を補助する。
【0062】
(第2中途位置→第3中途位置)
図16〜
図18の状態から引き続いて操縦装置30を上方に回動させると、
図19、
図20に示すように、支持アーム42は更に上方に回動し、操縦装置30は更に機体外方に寄りながら前方且つ上方に移動する。
【0063】
(第3中途位置→第2位置)
図19、
図20の状態から更に操縦装置30を上方に回動させると、
図21,
図22に示すように、支持アーム42は更に上方に回動し、操縦装置30は更に機体外方に寄りながら前方且つ上方に移動する。また
図23に示すように、ガイド板52が更に後方に回動し、ピン55は伸長しながら長穴52aに沿って後方に移動する。そして、ガイド板52は規制部材46に当たって回動が阻止される。これにより、支持アーム42の回動は
図21〜
図23に示す位置(第2位置)で止まる。
【0064】
この第2位置では、操縦装置30は、第1位置とは逆向きの状態、即ち操縦レバー31R,31Lを下方に向け且つ前方延出部39が後方に位置した状態となる。また、操縦装置30の最も高い部分は、運転席5よりも高くなる。また、
図22に示すように、正面視において、支持アーム42は支柱27R,27Lと略平行となる。
この第2位置では、
図21に示すように、操縦装置30の重心位置Gは、回動の支点Oより前方に位置する。そのため、操縦装置30には支点Oを中心として前方に回動しようとする力(モーメント)Fが作用した状態となり、運転者が手を離しても後方(下方)に回動することがない。つまり、操縦装置30は、支持機構40により運転席5の前方且つ上方の第2位置に支持される。
【0065】
また、操縦装置30は、
図13、
図14の位置から
図21,
図22の位置(第2位置)に回動するとき、機体外方に向けて移動する。そのため、第2位置において、操縦装置30を支柱27R,27Lの側方に退避させることができる。
次に、切換スイッチ60について説明する。
切換スイッチ60は、アンロードバルブのオンオフを切り換えることにより、作業装置4に作動油を供給するか否かを切り換える。
図11に示すように、切換スイッチ60は、センサ61と、当該センサ61により検知される検知対象部62とを有している。センサ61は、上ブラケット44Dの取付板44gに固定されている。センサ61は非接触式センサであり、本実施形態では磁気センサが使用されている。検知対象部62は、第1支持アーム42Rの第1延設部421Rの外周面に固定され、第1支持アーム42Rの回動に伴って移動する。検知対象部62は、センサ61により検知可能なものであればよく、本実施形態では磁石が使用されている。尚、説明を省略するが、第2支持アーム42Lにも同様の切換スイッチ60が設けられている。
【0066】
検知対象部62は、第1操縦装置30Rが第1位置にあるとき(
図11、
図12参照)はセンサ61により検知される検知範囲R内にあり、且つ第1位置を外れて第2位置に達するまで(
図15、
図18、
図23参照)は検知範囲R外にある。
切換スイッチ60は、検知対象部62がセンサ61の検知範囲R内にあるときは、アンロードバルブ(図示略)をオフに切り換えて作業装置4への作動油の供給を許容する。一方、検知対象部62がセンサ61の検知範囲R外にあるときは、アンロードバルブをオンに切り換えて作業装置4への作動油の供給を許容しない。アンロードバルブは、操縦塔カバー21の内部であってバルブユニットVUの上部に配置されている。
【0067】
切換スイッチ60によるアンロードバルブの切り換え操作は、第1支持アーム42R又は第2支持アーム42Lを回動させることで行うことができる。以下、第1支持アーム42Rを回動させた場合について説明するが、第2支持アーム42Lを回動させた場合も同様である。
第1支持アーム42Rを上方に回動させて第1操縦装置30Rを第1位置から第2位置に向けて移動させると、検知対象部62は第1支持アーム42Rの回動に伴って移動してセンサ61から離れる。これにより、
図15に示すように、検知対象部62がセンサ61の検知範囲R外となって、アンロードバルブがオンに切り換わる。一方、第1支持アーム42Rを下方に回動させて第1操縦装置30Rを第2位置から第1位置に移動させると、検知対象部62は第1支持アーム42Rの回動に伴って移動してセンサ61に近づく。これにより、
図12に示すように、検知対象部62がセンサ61の検知範囲R内となり、アンロードバルブがオフに切り換わる。
【0068】
このように、第1支持アーム42Rは、アンロードバルブのオンオフにより作動油の供給の許否を切り換える操作部材として機能し、第2アーム43Lについても同様である。そのため、運転者が作業機1から降りるとき等に、第1支持アーム42R又は第2支持アーム42Lを上方に回動させると、当該回動に連動してアンロードバルブがオンに切り換えられ、作業装置4を動作させることができなくなる。従って、アンロードバルブをオンに切り換えるための専用のアンロードレバーを不要とすることができる。また、従来のようにアンロードバルブをオンに切り換えるために専用のアンロードレバーの操作を行う必要がない。
【0069】
図8に示すように、操縦装置30が第1位置にあるとき、操縦装置30の回動の支点Oは、操縦装置30の重心位置Gより上方に位置している。或いは、操縦装置30が第1位置にあるとき、支点Oは、操縦レバー31の下端部(ケーシング34への取付部)B、若しくは、パイロットバルブ(パイロットバルブ32L,32R)より上方に位置している。そのため、操縦装置30の自重と支持アーム42の重さによって、操縦装置30を下方に回動させようとする力が作用する。そのため、操縦装置30が第1位置から浮き上がりにくくなり、作業時等の振動に起因する操縦装置30の振動が抑制される。これにより、操作性が良好となるとともに、切換スイッチ60が運転者の意図に反して切り換わることが防がれ、安定してアンロード解除状態(アンロードバルブのオフ状態)を維持できる。また、操縦装置30を第1位置で固定するための構造を省略することができるため、
図8
に示すように、運転者の足元(膝周辺)に広いスペースを確保することができる。
【0070】
また、
図25に仮想線で示すように、操縦装置30を第1位置から第2位置に回動させることにより、ボンネット9を後方に回動させてエンジンルームEの上方を開放することが可能となる。これにより、エンジンルームE内の機器(エンジン10等)のメンテナンスを容易に行うことができる。
以上本発明について説明したが、今回開示された実施の形態は全ての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
【0071】
例えば、上述の実施形態では、操縦装置30が第1位置(
図12参照)にあるときには、ダンパ54が伸長した状態となるように構成していたが、長穴52aの長さを調整する等して長穴52aとダンパ54の一端部(ピン55)との位置関係を変更することにより、第1位置にあるときにダンパ54が短縮した状態となるように構成してもよい。この場合、ダンパ54が伸長しようとする付勢力によって、運転者が第1位置から支持アーム42を上方に回動させる力が補助され、当該回動を容易に行うことが可能となる。
【0072】
また、上述の実施形態では、支持機構40が操縦装置30を支持する第2位置を、運転席5の前方であって第1位置よりも上方の位置としていたが、運転席5の後方であって第1位置よりも上方の位置としてもよい。この場合、運転席5の後方であって第1位置よりも上方に支持部41を有する支持部材を設け、当該支持部41を支点として支持アーム42を回動させる構成とすればよい。