特開2016-205206(P2016-205206A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2016-205206(P2016-205206A)
(43)【公開日】2016年12月8日
(54)【発明の名称】内燃機関
(51)【国際特許分類】
   F02M 26/00 20160101AFI20161111BHJP
   F02D 9/04 20060101ALI20161111BHJP
   F02M 26/22 20160101ALI20161111BHJP
   F02D 21/08 20060101ALI20161111BHJP
   F01N 5/02 20060101ALI20161111BHJP
   F02M 26/14 20160101ALI20161111BHJP
【FI】
   F02M25/07 550H
   F02D9/04 C
   F02M25/07 580E
   F02M25/07 580Z
   F02M25/07 550R
   F02D21/08 301Z
   F01N5/02 G
   F02M25/07 580A
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2015-86564(P2015-86564)
(22)【出願日】2015年4月21日
(71)【出願人】
【識別番号】000006286
【氏名又は名称】三菱自動車工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001737
【氏名又は名称】特許業務法人スズエ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】金山 訓己
【テーマコード(参考)】
3G062
3G065
3G092
【Fターム(参考)】
3G062AA01
3G062AA05
3G062EA10
3G062ED08
3G062ED10
3G062FA08
3G062GA08
3G062GA09
3G062GA21
3G065AA01
3G065EA02
3G065FA11
3G065GA08
3G065GA09
3G092AA02
3G092AA17
3G092DB03
3G092DC09
3G092DC10
3G092EA01
3G092EA02
3G092GA02
3G092HD07Z
3G092HE08Z
(57)【要約】
【課題】冷態時の暖機を促進しながら、排気再循環の機能を有効に活かすことができる内燃機関を提供する。
【解決手段】排気路に排気スロットル弁を配置し、その排気路における排気スロットル弁より上流側の位置に流れる排気ガスを排気再循環路によって吸気路に導く。排気再循環路には熱交換器を配置し、排気再循環路に流れる排気ガスの熱をその熱交換器を介してエンジン冷却水に与える。排気再循環路における熱交換器より下流側の位置に第1流量調整弁を配置し、排気再循環路における熱交換器と第1流量調整弁との間に流れる排気ガスを排気路における排気スロットル弁より下流側の位置に導く。暖機経路には第2流量調整弁を配置する。そして、排気スロットル弁、第1流量調整弁、及び、第2流量調整弁のそれぞれの開度変化を制御する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃焼用空気を燃焼室に導く吸気路と、
前記燃焼室から流出する排気が通る排気路と、
前記排気路に配置された排気スロットル弁と、
前記排気路における前記排気スロットル弁より上流側の位置に流れる排気ガスを前記吸気路に導く排気再循環路と、
前記排気再循環路に流れる排気ガスの熱と当該内燃機関の冷却水の熱とを交換する熱交換器と、
前記排気再循環路における前記熱交換器より下流側の位置に配置された第1流量調整弁と、
前記排気再循環路における前記熱交換器と前記第1流量調整弁との間に流れる排気ガスを前記排気路における前記排気スロットル弁より下流側の位置に導く暖機経路と、
前記暖機経路に配置された第2流量調整弁と、
前記排気スロットル弁、前記第1流量調整弁、及び、前記第2流量調整弁のそれぞれの開度変化を制御する制御手段と、
を備えることを特徴とする内燃機関。
【請求項2】
前記制御手段は、前記内燃機関を流れる冷却水の温度が第1設定値未満の場合、前記第1流量調整弁および前記排気スロットル弁を全閉にして、前記第2流量調整弁を全開にする
ことを特徴とする請求項1に記載の内燃機関。
【請求項3】
前記制御手段は、前記冷却水の温度が前記第1設定値以上であって前記第1設定値より高い第2設定値未満の場合、前記排気スロットル弁の全閉を保った状態で、前記第1流量調整弁の開度を増していき、かつ前記第2流量調整弁の開度を徐々に絞る
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の内燃機関。
【請求項4】
前記制御手段は、前記冷却水の温度が前記第1設定値以上であって前記第1設定値より高い第2設定値未満の場合、前記第1流量調整弁の開度を所定の速さで増していき、その第1流量調整弁が全開に至った後、その第1流量調整弁が全開に至るまでの開度変化より遅い速さで前記第2流量調整弁の開度を徐々に絞る
ことを特徴とする請求項3記載の内燃機関。
【請求項5】
前記制御手段は、前記冷却水の温度が前記第2設定値以上となった場合、前記第1流量調整弁の全開を保った状態で、前記第2流量調整弁を全閉にしかつ前記排気路から前記吸気路への排気再循環量が目標値となるよう前記排気スロットル弁の開度を制御する
ことを特徴とする請求項3又は4に記載の内燃機関。
【請求項6】
前記制御手段は、前記冷却水の温度が前記第2設定値に達するまでの期間において、当該内燃機関の負荷が所定値以上となった場合、前記排気スロットル弁を前記冷却水の温度にかかわらず強制的に所定開度に開く
ことを特徴とする請求項3から請求項5のいずれか1項に記載の内燃機関。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、排気ガスの一部を吸気側に導く排気再循環の機能を備えた内燃機関に関する。
【背景技術】
【0002】
排気ガスの一部を吸気側に導く排気再循環いわゆるEGR(Exhaust Gas Recirculation)により、排気ガスに含まれる窒素酸化物(NOx)等の有害物質の低減および燃費の向上を図るようにした内燃機関が知られている。
【0003】
この内燃機関では、排気路と吸気路との間に排気再循環路である低圧EGR流路が配置され、そのEGR流路にEGRクーラおよびEGRバルブが配置される。EGRクーラは、EGR流路に流れる排気ガスの熱を当該内燃機関の冷却水(エンジン冷却水)に与える熱交換器である。このEGRクーラを通る排気ガスは、エンジン冷却水に熱を奪われることで温度低下し、ガス密度が高まった状態で吸気路に流れる。
【0004】
このような内燃機関では、エンジン冷却水の温度が低い冷態時、エンジン内の潤滑油の粘度が高くてフリクションが大きく、また燃焼室から逃げていく熱量も多いため、燃費が悪化してしまう。対策として、冷態時は、排気路中の全ての排気ガスをEGR流路に流入させてEGRクーラに通し、EGRクーラを経た排気ガスを吸気路でなく排気路に導く流路が形成される。この流路により、全ての排気ガスの熱がエンジン冷却水を温める暖機に使用される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007−24022号公報
【特許文献2】特開2009−127513号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記のように、全ての排気ガスをEGRクーラに通して排気路に導く内燃機関では、暖機は促進されるが、暖機中はせっかくの排気再循環の機能がまったく活かされない状態となる。
【0007】
この発明の目的は、冷態時の暖機を促進しながら、排気再循環の機能を有効に活かすことができる内燃機関を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1に係る発明の内燃機関は、燃焼用空気を燃焼室に導く吸気路と、前記燃焼室から流出する排気が通る排気路と、この排気路に配置された排気スロットル弁と、前記排気路における前記排気スロットル弁より上流側の位置に流れる排気ガスを前記吸気路に導く排気再循環路と、この排気再循環路に流れる排気ガスの熱と当該内燃機関の冷却水の熱とを交換する熱交換器と、前記排気再循環路における前記熱交換器より下流側の位置に配置された第1流量調整弁と、前記排気再循環路における前記熱交換器と前記第1流量調整弁との間に流れる排気ガスを前記排気路における前記排気スロットル弁より下流側の位置に導く暖機経路と、この暖機経路に配置された第2流量調整弁と、制御手段と、を備える。制御手段は、前記排気スロットル弁、前記第1流量調整弁、及び、前記第2流量調整弁のそれぞれの開度変化を制御する。
【0009】
請求項2に係る発明の内燃機関は、請求項1に係る発明の制御手段について限定している。制御手段は、前記内燃機関を流れる冷却水の温度が第1設定値未満の場合、前記第1流量調整弁および前記排気スロットル弁を全閉にして、前記第2流量調整弁を全開にする。
【0010】
請求項3に係る発明の内燃機関は、請求項1又は2に係る発明の制御手段について限定している。制御手段は、前記冷却水の温度が前記第1設定値以上であって前記第1設定値より高い第2設定値未満の場合、前記排気スロットル弁の全閉を保った状態で、前記第1流量調整弁の開度を増していき、かつ前記第2流量調整弁の開度を徐々に絞る。
【0011】
請求項4に係る発明の内燃機関は、請求項3に係る発明の制御手段について限定している。制御手段は、前記冷却水の温度が前記第1設定値以上であって前記第1設定値より高い第2設定値未満の場合、前記第1流量調整弁の開度を所定の速さで増していき、その第1流量調整弁が全開に至った後、その第1流量調整弁が全開に至るまでの開度変化より遅い速さで前記第2流量調整弁の開度を徐々に絞る。
【0012】
請求項5に係る発明の内燃機関は、請求項3又は4に係る発明の制御手段について限定している。制御手段は、前記冷却水の温度が前記第2設定値以上となった場合、前記第1流量調整弁の全開を保った状態で、前記第2流量調整弁を全閉にしかつ前記排気路から前記吸気路への排気再循環量が目標値となるよう前記排気スロットル弁の開度を制御する。
【0013】
請求項6に係る発明の内燃機関は、請求項3から5のいずれか1項に係る発明の制御手段について限定している。制御手段は、前記冷却水の温度が前記第2設定値に達するまでの期間において、当該内燃機関の負荷が所定値以上となった場合、前記排気スロットル弁を前記冷却水の温度にかかわらず強制的に所定開度に開く。
【発明の効果】
【0014】
この発明によれば、冷態時の暖機を促進しつつ、排気再循環の機能を有効に活かすことができる。これにより、燃費の大幅な向上が図れるとともに、窒素酸化物等の有害物質の低減効果が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】この発明の一実施形態の内燃機関の構成を示す図。
図2】同実施形態の制御を示すフローチャート。
図3】同実施形態におけるエンジン冷却水温度、低圧EGR流量、暖機経路流量を各バルブの開度変化と共に示すタイムチャート。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、この発明の一実施形態を図面を参照しながら説明する。
図1において、多気筒の筒内直接噴射式内燃機関であるディーゼルエンジン1は、吸気ポート2から燃焼室1aに取込んだ空気をピストンで圧縮し、その圧縮空気に燃料を噴射することで着火・燃焼を行い、燃焼により生じる排気ガスを排気ポート3から排出する。
【0017】
吸気ポート2は、吸気管(吸気路)11およびその吸気管11に配置されたインタークーラ12を介してターボチャージャ13の過給側流路に連通される。ターボチャージャ13は、吸気管(吸気路)14およびその吸気管14に配置された塵埃除去用のフィルタ15を通して大気を取込み、取込んだ大気をタービン回転により圧縮し吐出する。吐出される空気は、吸気管11およびインタークーラ12を通って吸気ポート2に流入する。また、吸気管11には、吸気の流れ方向においてインタークーラ12より下流側の位置に、吸気流量調整用の吸気スロットル弁16が配置される。
【0018】
排気ポート3から排出される排気ガスは、排気管(排気路)21、ターボチャージャ13のタービン側流路、排気管(排気路)22、その排気管22に配置された酸化触媒23およびディーゼルパティキュレートフィルタ24を通って大気中に放出される。ディーゼルパティキュレートフィルタ24は、排気ガスに含まれる微粒子状物質(Particulate)を除去する。また、排気管22には、排気の流れ方向においてディーゼルパティキュレートフィルタ24より下流側の位置に、排気流量調整用の排気スロットル弁25が配置される。
【0019】
排気管21に排気再循環路である高圧EGR流路(配管)17の一端が接続され、その高圧EGR流路17の他端が吸気管11における吸気スロットル弁16より下流側の位置に接続される。そして、高圧EGR流路17の中途部に、高圧EGRバルブ18が配置される。高圧EGR流路17は、排気管21に流れる排気ガスの一部を吸気管11に導く。高圧EGRバルブ18は、全閉から全開まで開度が連続的に変化する流量調整弁であり、開度変化によって排気ガスの流量を調整する。
【0020】
排気管22におけるディーゼルパティキュレートフィルタ24と排気スロットル弁25との間の位置に排気再循環路である低圧EGR流路(配管)26の一端が接続され、その低圧EGR流路26の他端が吸気管14におけるフィルタ15とターボチャージャ13との間の位置に接続される。そして、低圧EGR流路26の中途部に、低圧EGRクーラ27および低圧EGRバルブ28が配置される。
【0021】
低圧EGR流路26は、排気管22から流入する排気ガスを吸気管14に導く。低圧EGRクーラ27は、排気ガスが通る排気ガス流路、および冷却水タンクとの間で循環するエンジン冷却水が通る水流路を含み、排気ガス流路とエンジン冷却水とを熱交換を行う熱交換器である。低圧EGRバルブ28は、全閉から全開まで開度が連続的に変化する流量調整弁(第1流量調整弁)であり、その開度変化によって排気ガスの流量を調整する。なお、低圧EGRクーラ27と低圧EGRバルブ28の位置関係は、排気ガスの流れ方向において、低圧EGRクーラ27が上流側、低圧EGRバルブ28が下流側の関係となる。
【0022】
低圧EGR流路26における低圧EGRクーラ27と低圧EGRバルブ28との間の位置に暖機経路(配管)31の一端が接続され、その暖機経路31の他端が排気管22における排気スロットル弁25より下流側の位置に接続される。そして、暖機経路31の中途部に、暖機経路バルブ32が配置される。暖機経路31は、低圧EGR流路26に流れる排気ガスを排気管22における排気スロットル弁25より下流側の位置に導く。暖機経路バルブ32は、全閉から全開まで開度が連続的に変化する流量調整弁(第2流量調整弁)であり、その開度変化によって排気ガスの流量を調整する。
【0023】
一方、コントロールユニット40に、吸気スロットル弁16、高圧EGRバルブ18、排気スロットル弁25、低圧EGRバルブ28、暖機経路バルブ32、冷却水温度センサ(温度検知手段)41、およびアクセル開度センサ42が接続される。冷却水温度センサ41は、上記冷却水タンク内のエンジン冷却水の温度Twを検知する。アクセル開度センサ42は、エンジン1の負荷の大きさに対応するアクセル開度(アクセルペダルの踏込み量)を検知する。
【0024】
コントロールユニット40は、冷却水タンク内のエンジン冷却水の温度Twと、排気管22から吸気管14への排気再循環量(低圧EGR流量)とを、排気スロットル弁25、低圧EGRバルブ28、暖機経路バルブ32のそれぞれ開度変化により制御するもので、主要な機能として次の(1)〜(4)の手段を備える。
(1)冷却水温度センサ41の検知温度Twが設定値(第1設定値)Tw1未満の場合、低圧EGRバルブ28および排気スロットル弁25を全閉にして、暖機経路バルブ32を全開にする第1制御手段。
【0025】
(2)冷却水温度センサ41の検知温度Twが設定値Tw1以上かつ設定値(第2設定値)Tw2未満の場合、排気スロットル弁25の全閉を保った状態で、低圧EGRバルブ28の開度を増していき、かつ暖機経路バルブ32の開度を徐々に絞っていく第2制御手段。設定値Tw2は、設定値Tw1より高い完全暖機温度である。
【0026】
(3)冷却水温度センサ41の検知温度Twが設定値Tw2以上となった場合、低圧EGRバルブ28の全開を保った状態で、暖機経路バルブ32を全閉しかつ低圧EGR流量が目標値となるよう排気スロットル弁25の開度を制御する第3制御手段。
【0027】
(4)冷却水温度センサ41の検知温度Twが設定値Tw2に達するまでの期間において、アクセル開度センサ42により検知されるアクセル開度(エンジン1の負荷)が所定値以上となった場合、排気スロットル弁25を第1および第2制御手段の制御にかかわらず所定開度に開く第4制御手段。
【0028】
なお、上記(2)の第2制御手段は、具体的には、冷却水温度センサ41の検知温度Twが設定値Tw1以上かつ設定値(第2設定値)Tw2未満の場合、排気スロットル弁25の全閉を保った状態で、低圧EGRバルブ28の開度を所定の速さで増していき、その低圧EGRバルブ28が全開に至った後、その低圧EGRバルブ28が全開に至るまでの開度変化より遅い速さで暖機経路バルブ32の開度を徐々に絞っていく。
【0029】
つぎに、コントロールユニット40が実行する制御を図2のフローチャートおよび図3のタイムチャートを参照しながら説明する。図3は、エンジン冷却水の温度Tw、低圧EGR流量、暖機経路流量の変化を排気スロットル弁25、低圧EGRバルブ28、暖機経路バルブ32の開度変化と共に示している。
【0030】
[1]Tw<Tw1の場合
冷却水温度センサ41の検知温度Twが設定値Tw1未満の場合(ステップS1のYES)、コントロールユニット40は、低圧EGRバルブ28を全閉し(ステップS2)、排気スロットル弁25を全閉し(ステップS3)、かつ暖機経路バルブ32を全開する(ステップS4)。そして、コントロールユニット40は、ステップS1の温度判定処理に戻る。
【0031】
低圧EGRバルブ28および排気スロットル弁25が全閉して暖機経路バルブ32が全開するので、排気管22のディーゼルパティキュレートフィルタ24を経た排気ガスはその全てが低圧EGR流路26に流入する。低圧EGR流路26に流入した排気ガスは、低圧EGRクーラ27を通る際に、低圧EGRクーラ27に流れるエンジン冷却水と熱交換する。低圧EGRクーラ27を経た排気ガスは、その全てが暖機経路31に流入する。暖機経路31に流入した排気ガスは、全開の暖機経路バルブ32を通って排気管22の末端側に流れる。
【0032】
排気ガスの全てが低圧EGRクーラ27を通って流れるので、エンジン冷却水の温度Twが効率よく迅速に上昇し、暖機が促進される。よって、燃費の大幅な向上が図れる。また、暖機経路バルブ32が全開するので、低圧EGRクーラ27から流出する排気ガスを排気管22に効率よく導くことができる。
【0033】
なお、コントロールユニット40は、アクセル開度センサ42により検知されるアクセル開度(エンジン1の負荷)が所定値以上となった場合、全閉状態となっている排気スロットル弁25を冷却水温度センサ41の検知温度Twにかかわらず所定開度に開く。排気スロットル弁25が開くことにより、排気の圧力損失が解消される。つまり、暖機よりも圧力損失の解消が優先される。
【0034】
[2]Tw1≦Tw<Tw2の場合
冷却水温度センサ41の検知温度Twが上昇して設定値Tw1以上・設定値Tw2未満の領域に達した場合(ステップS1のNO、ステップS5のYES)、コントロールユニット40は、排気スロットル弁25の全閉を保った状態で(ステップS6)、低圧EGRバルブ28の開度を所定の速さで増していくとともに(ステップS7)、この低圧EGRバルブ28の開度変化より遅い速さで暖機経路バルブ32の開度を徐々に絞っていく(ステップS8)。そして、コントロールユニット40は、ステップS1の温度判定処理に戻る。
【0035】
低圧EGRバルブ28が開いていくので、低圧EGRクーラ27を経て暖機経路31に流入していた排気ガスが、少しずつ低圧EGRバルブ28および低圧EGR流路26を通って吸気管14に流入するようになる。すなわち、低圧EGRバルブ28の開度変化に伴って低圧EGR流量が徐々に増えていく。低圧EGR流量は、暖機経路バルブ32の開度変化に委ねられる。
【0036】
低圧EGRバルブ28が全開に至っても、暖機経路バルブ32が開いて暖機経路31がまだ導通しているので、しかも排気管22の末端側の内部圧力のほうが吸気管14の内部圧力よりも低いので、低圧EGR流路26から吸気管14に流れる低圧EGR流量は急には増大しない。できるだけ多くの排気ガスが低圧EGRクーラ27を通って暖機経路31に流入する暖機優先の流路が保たれる。
【0037】
この場合、暖機を優先しながらも、低圧EGRバルブ28が開き始めるのと同時に低圧EGRが導入開始となり、低圧EGR流量が徐々に増えていく。すなわち、低圧EGRの機能を有効に活かすことができる。これにより、窒素酸化物等の有害物質の低減効果が向上する。
【0038】
とくに、コントロールユニット40は、暖機経路バルブ32の開度を徐々に絞っていく処理を、低圧EGRバルブ28が全開した後で開始する。これにより、コントロールユニット40は、暖機経路バルブ32の開度変化を低圧EGR流量としてそのまま的確に認識することができる。
【0039】
なお、コントロールユニット40は、アクセル開度センサ42により検知されるアクセル開度(エンジン1の負荷)が所定値以上となった場合、全閉状態となっている排気スロットル弁25を冷却水温度センサ41の検知温度Twにかかわらず所定開度に開く。排気スロットル弁25が開くことにより、排気の圧力損失が解消される。つまり、暖機よりも圧力損失の解消が優先される。
【0040】
[3]Tw2<Twの場合
冷却水温度センサ41の検知温度Twがさらに上昇して完全暖機温度である設定値Tw2に達した場合(ステップS1のNO、ステップS5のNO)、コントロールユニット40は、低圧EGRバルブ28の全開を保った状態で(ステップS9)、暖機経路バルブ32を全閉し(ステップS10)、かつ低圧EGR流量が目標値となるよう排気スロットル弁25の開度を制御する(ステップS11)。そして、コントロールユニット40は、ステップS1の温度判定処理に戻る。
【0041】
暖機経路バルブ32が全閉するので、低圧EGRクーラ27を経た排気ガスは、低圧EGRバルブ28および低圧EGR流路26を通って吸気管14に流入する。コントロールユニット40は、エンジン1の運転に最適な低圧EGR流量を各種センサの検知結果を用いる演算により目標値として求め、求めた目標値に低圧EGR流量が一致するように排気スロットル弁25の開度を制御する。すなわち、低圧EGRの機能を最大限に活かすことができる。
【0042】
なお、コントロールユニット40は、冷却水温度センサ41の検知温度Twと設定値Tw1,Tw2とを比較する温度判定処理において、検知温度Twの上昇時は設定値Tw1,Tw2をそのまま用い、検知温度Twの下降時は設定値Tw1,Tw2よりヒステリシス値ΔTだけ低い値をTw1´(=Tw1−ΔT),Tw2´(=Tw2−ΔT)を用いる。
【0043】
[4]変形例
上記実施形態および変形例は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。この新規な実施形態および変形例は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、書き換え、変更を行うことができる。これら実施形態や変形は、発明の範囲は要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0044】
1…エンジン、1a…燃焼室、2…吸気ポート、3…排気ポート、11…吸気管(吸気路)、12…インタークーラ、13…ターボチャージャ、14…吸気管(吸気路)、15…フィルタ、21,22…排気管(排気路)、23…酸化触媒、24…ディーゼルパティキュレートフィルタ、25…排気スロットル弁、26…低圧EGR流路(排気再循環流路)、27…低圧EGRクーラ、28…低圧EGRバルブ(第1流量調整弁)、31…暖機経路、32…暖機経路バルブ(第2流量調整弁)、40…コントロールユニット、41…冷却水温度センサ、42…アクセル開度センサ
図1
図2
図3