特開2016-205328(P2016-205328A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2016-205328(P2016-205328A)
(43)【公開日】2016年12月8日
(54)【発明の名称】エンジンのオイルレベル検出装置
(51)【国際特許分類】
   F01M 11/06 20060101AFI20161111BHJP
   F01M 5/00 20060101ALI20161111BHJP
   G01F 23/26 20060101ALI20161111BHJP
【FI】
   F01M11/06 B
   F01M5/00 P
   G01F23/26 A
【審査請求】有
【請求項の数】2
【出願形態】OL
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2015-91009(P2015-91009)
(22)【出願日】2015年4月28日
(71)【出願人】
【識別番号】000002853
【氏名又は名称】ダイキン工業株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000108890
【氏名又は名称】株式会社ダイキンアプライドシステムズ
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】特許業務法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】川端 清弘
(72)【発明者】
【氏名】塚本 幸生
(72)【発明者】
【氏名】竹中 重治
(72)【発明者】
【氏名】逢坂 治輝
【テーマコード(参考)】
2F014
3G015
3G313
【Fターム(参考)】
2F014AB01
2F014AC04
2F014EA00
3G015BB00
3G015BL01
3G015BL07
3G015CA07
3G015DA02
3G015EA15
3G015FC05
3G015FC11
3G015FD00
3G313BD27
3G313BD46
(57)【要約】
【課題】エンジン(1)のオイルレベル検出装置(10)の構成を複雑にすることなく、オイルレベルを正確に測定できるようにする。
【解決手段】液面センサ(11)を、オイルパン(3)の底面にエンジン(1)のクランクシャフトやフライホイールのような可動金属部(7)と干渉せずに装着され、エンジンオイルの液面高さを直接に計測する静電容量式液面センサにする。液面センサ(11)の上端部には、エンジン(1)の可動金属部(7)が近接したときに、その可動金属部(7)により液面高さの誤検知を防止するキャップ状の絶縁性部材(12)を装着する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
エンジン(1)のクランク室(2)の下部に設けられたオイルパン(3)に貯留するエンジンオイルの液面高さを検出する液面センサ(11)を備えたエンジン(1)のオイルレベル検出装置であって、
上記液面センサ(11)は、上記オイルパン(3)の底面にエンジン(1)の可動金属部(7)と干渉しないように装着されてエンジンオイルの液面高さを直接に計測するセンサであることを特徴とするエンジン(1)のオイルレベル検出装置。
【請求項2】
請求項1において、
上記液面センサ(11)は、1つの静電容量式液面センサ(11)であり、
該液面センサ(11)の一部には、該液面センサ(11)に上記エンジン(1)の可動金属部(7)が近接したときに該可動金属部(7)により液面高さの誤検知が生じるのを防止するための絶縁性部材(12)が装着されていることを特徴とするエンジン(1)のオイルレベル検出装置。
【請求項3】
請求項2において、
上記絶縁性部材(12)は、上記液面センサ(11)の上端部に装着されるようにキャップ状に形成されていることを特徴とするエンジン(1)のオイルレベル検出装置。
【請求項4】
請求項1において、
上記液面センサ(11)は、それぞれが異なる液面高さを測定する複数の液面センサ(11a,11b,11c,…11n)であることを特徴とするエンジン(1)のオイルレベル検出装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エンジンオイルの液面高さを検出するオイルレベル検出装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、エンジンオイルの液面高さを検出する装置として、エンジンと別置きの液面センサを設けてその液面センサをエンジンのオイルパンと連通管で接続し、この液面センサでエンジンオイルの液面高さを測定するようにしたものがある(例えば、特許文献1参照)。この特許文献1の装置では、オイルパンには制御弁を介してオイルタンクが接続されており、液面センサで測定したオイルレベル(液面高さ)に応じて上記制御弁を開閉してオイルタンクとオイルパンの間の油の流出入を制御し、オイルパンのオイルレベルを調整するようにしている。
【0003】
ここで、上記従来の構成では、オイルの温度が低下して粘度が高くなった場合には、液面センサで測定されるオイルレベルがオイルパンの実際のオイルレベルの変化に追従しにくくなり、正確なオイルレベルを測定しにくくなる問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−046153号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
そこで、特許文献1の装置では、連通管でオイルを加熱することで液面センサのオイルレベルとオイルパンのオイルレベルとを実質的に一致させるようにし、液面高さの検出を安定させるようにしている。しかし、このようにすると、加熱機構が必要になるなど、構成が複雑になる問題がある。
【0006】
本発明は、このような問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、エンジンのオイルレベル検出装置の構成を複雑にすることなく、オイルレベルを正確に測定できるようにすることである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第1の発明は、エンジン(1)のクランク室(2)の下部に設けられたオイルパン(3)に貯留するエンジンオイルの液面高さを検出する液面センサ(11)を備えたエンジン(1)のオイルレベル検出装置を前提としている。
【0008】
そして、このエンジン(1)のオイルレベル検出装置は、上記液面センサ(11)が、上記オイルパン(3)の底面にエンジン(1)の可動金属部(7)と干渉しないように装着されてエンジンオイルの液面高さを直接に計測するセンサであることを特徴としている。
【0009】
この第1の発明では、エンジンオイルの液面高さがオイルパン(3)上で直接に測定される。
【0010】
第2の発明は、第1の発明において、上記液面センサ(11)が、1つの静電容量式液面センサ(11)であり、該液面センサ(11)の一部には、該液面センサ(11)に上記エンジン(1)の可動金属部(7)が近接したときに該可動金属部(7)により液面高さの誤検知が生じるのを防止するための絶縁性部材(12)が装着されていることを特徴としている。
【0011】
第3の発明は、第2の発明において、上記絶縁性部材(12)が、上記液面センサ(11)の上端部に装着されるようにキャップ状に形成されていることを特徴としている。
【0012】
この第2,第3の発明では、静電容量式液面センサ(11)を用いてオイルパン(3)の上でエンジンオイルの液面を直接に測定できるとともに、絶縁性部材(12)を設けたことにより液面高さの誤検知を防止できる。
【0013】
第4の発明は、第1の発明において、上記液面センサ(11)が、それぞれが異なる液面高さを測定する複数の液面センサ(11a,11b,11c,…11n)を含んでいることを特徴としている。
【0014】
この第4の発明では、複数の液面センサ(11a,11b,11c,…11n)を用いてエンジンオイルの液面をオイルパン(3)の上で直接に測定できる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、エンジン(1)のオイルパン(3)に液面センサ(11)を取り付けてエンジンオイルの液面高さを直接に測定するようにしているので、エンジン(1)の外部の液面センサ(11)を連通管でオイルパン(3)と接続していた従来の装置と比べて構成が簡単であり、しかも液面高さの測定中にエンジンオイルを加熱しなくてもオイルレベルを正確に測定できる。
【0016】
上記第2,第3の発明によれば、静電容量式の液面センサ(11)を用い、その一部に絶縁性部材(12)を装着しているので、液面センサ(11)による液面高さの誤検知を簡単な構成で防止できる。
【0017】
上記第4の発明によれば、複数の液面センサ(11a,11b,11c,…11n)を用いてエンジンオイルの液面をオイルパン(3)の上で直接に測定できるので、第1の発明と同様にエンジン(1)の外部の液面センサ(11)を連通管でオイルパン(3)と接続していた従来の装置と比べて構成が簡単であり、しかも液面高さの測定中にエンジンオイルを加熱しなくてもオイルレベルを正確に測定できる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1図1(A)は、実施形態1に係るエンジンのオイルレベル検出装置の構造を示す概略断面図、図1(B)は図1のB−B線断面図である。
図2図2(A)は、液面センサに装着された絶縁性部材の側面図、図2(B)は平面図、図2(C)は斜視図である。
図3図3は、図1の液面センサをエンジンに適用した制御回路の回路図である。
図4図4は、他の実施形態に係るオイルレベル検出装置の制御回路の回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
【0020】
この実施形態は、環境試験に用いる定置用エンジン(1)のエンジンオイルの液面高さを検出するオイルレベル検出装置に関するものである。
【0021】
図1(A)に示すように、このオイルレベル検出装置(10)が適用されているエンジン(1)は、クランク室(2)の下部にオイルパン(3)を有している。上記エンジン(1)は、クランクシャフト(4)、コネクティングロッド(5)、ピストン(6)等を有している。そして、本実施形態のオイルレベル検出装置は、オイルパン(3)に貯留するエンジンオイルの液面高さを直接に検出する液面センサ(11)を備えている。
【0022】
上記液面センサ(11)は、棒状ないし線状のセンサであり、詳細は図示していないが、ナットなどの締結部材を用いてオイルパン(3)の底面に装着され、装着部にはシールが施されている。また、図1(A)のB−B線断面図である図1(B)に示すように、上記液面センサ(11)は、クランクシャフトやフライホイールのようなエンジン(1)の可動金属部(7)と干渉しないように位置が決められている。上記液面センサ(11)は、静電容量式の1つの液面センサ(11)であって、エンジンオイルの変化する液面高さを直接に計測するセンサである。
【0023】
液面センサ(11)の一部には、上記エンジン(1)の可動金属部(7)が近接したときに、該可動金属部(7)をエンジンオイルと誤検知してしまうのを防止するための絶縁性部材(12)が装着されている。上記絶縁性部材(12)は、具体的には図2(A)〜図2(C)に示すように、上記液面センサ(11)の上端部に装着されるようにキャップ状に形成されている。絶縁性部材(12)は、具体的には、天板部(13)と、天板部(13)の周縁部において相対する位置に形成された脚部(14)とを有し、天板部(13)と脚部(14)とが一体に形成されている。絶縁性部材(12)は、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)により形成されている。この絶縁性部材(12)は、脚部(14)がエンジン(1)の可動金属部(7)と液面センサ(11)の間に介在するように該液面センサ(11)に装着されている。このことにより、液面高さの誤検知が防止されるようになっている。
【0024】
図3は、この液面センサ(11)をエンジン(1)に適用した制御回路の回路図である。
【0025】
図3において、エンジン(1)は循環回路(20)を介して油温調節装置(21)と接続され、オイルパン(3)には温度センサ(15)が設けられている。循環回路(20)には、該循環回路(20)でエンジンオイルを循環させる循環ポンプ(22)が接続されている。循環回路(20)には、循環ポンプ(22)と並列の回路に調整タンク(23)が接続されている。循環ポンプ(22)の吸入側に接続された第1通路(24)には第1開閉弁(25)が設けられている。また、循環ポンプ(22)の吐出側に接続された第2通路(26)には第2開閉弁(27)が設けられている。
【0026】
この制御回路には、コントローラ(30)が接続されている。コントローラ(30)は、液面センサ(11)、温度センサ(15)、油温調節装置(21)、第1開閉弁(25)、及び第2開閉弁(27)と接続されている。コントローラ(30)は、液面センサ(11)や温度センサ(15)からの入力に応じて、油温調節装置(21)、第1開閉弁(25)、及び第2開閉弁(27)を制御する。
【0027】
−運転動作−
上記制御回路では、エンジンオイルの温度を一定にする制御が行われる。具体的には、エンジンオイルの温度を温度センサ(15)で測定し、その測定値がコントローラ(30)に入力されて、該コントローラ(30)により油温調節装置(21)を制御して油温が調整される。
【0028】
また、上記制御回路では、液面センサ(11)の情報をコントローラ(30)が受信し、該コントローラ(30)で調整タンク(23)の中のエンジンオイルを使ってオイルレベルを調整する。具体的には、エンジン(1)内のエンジンオイルの液面が設定レベルよりも低い場合は、第1開閉弁(25)を開いて第2開閉弁(27)を閉鎖して、調整タンク(23)のエンジンオイルをエンジン(1)のオイルパン(3)に供給する。また、エンジン(1)内のエンジンオイルの液面が設定レベルよりも高い場合は、第2開閉弁(27)を開いて第1開閉弁(25)を閉鎖して、循環回路(20)を循環するエンジンオイルを第2通路(26)に分岐させて調整タンク(23)に回収することにより、オイルパン(3)のエンジンオイルの液面高さを低下させる。以上の制御を行う間、循環回路(20)では常にエンジンオイルが循環している。
【0029】
−実施形態の効果−
以上説明したように、本実施形態によれば、エンジン(1)のオイルパン(3)に液面センサ(11)を取り付けてエンジンオイルの液面高さを直接に測定するようにしているので、エンジン(1)の外部の液面センサ(11)を連通管でオイルパン(3)と接続していた従来の装置と比べてオイルレベル検出装置(10)の構成が簡単であり、しかも液面高さの測定中にエンジンオイルを加熱しなくてもオイルレベルを正確に測定できる。
【0030】
また、本実施形態では、静電容量式の液面センサ(11)を用い、その上部にキャップ状の絶縁性部材(12)を装着しているので、センサが誤検知するのを簡単な構成で防止できる。特に、絶縁性部材(12)に脚部(14)を設け、液面センサ(11)と上記可動金属部材(7)の間に介在させるようにしているので、簡単な構成で誤検知を防止できる。
【0031】
《その他の実施形態》
上記実施形態については、以下のような構成としてもよい。
【0032】
例えば、上記実施形態における液面センサ(11)の構成を図4に示すように変更してもよい。
【0033】
この図4の例では、上記液面センサ(11)として、それぞれが異なる液面高さを測定する複数の液面センサ(11a,11b,11c,…11n)を用いている。この液面センサ(11)としては、例えば上端部にフロートを有するセンサを用いてもよいし、他の形式のセンサを用いてもよい。
【0034】
このように構成すると、液面センサ(11a,11b,11c,…11n)の数は上記実施形態より増えるものの、上記実施形態と同様にエンジン(1)のオイルパン(3)に液面センサ(11)を取り付けてエンジンオイルの液面高さを直接に測定することにより、エンジン(1)の外部の液面センサ(11)を連通管でオイルパン(3)と接続していた従来の装置と比べて構成を簡単にすることができる。また、液面高さの測定中にエンジンオイルを加熱しなくてもオイルレベルを正確に測定できる効果を得られる点も、上記実施形態と同様である。
【0035】
なお、以上の実施形態は、本質的に好ましい例示であって、本発明、その適用物、あるいはその用途の範囲を制限することを意図するものではない。
【産業上の利用可能性】
【0036】
以上説明したように、本発明は、エンジンオイルの液面高さを検出するオイルレベル検出装置について有用である。
【符号の説明】
【0037】
1 エンジン
2 クランク室
3 オイルパン
7 可動金属部
10 オイルレベル検出装置
11 静電容量式液面センサ
12 絶縁性部材
図1
図2
図3
図4
【手続補正書】
【提出日】2016年7月14日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エンジンオイルの液面高さを検出するオイルレベル検出装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、エンジンオイルの液面高さを検出する装置として、エンジンと別置きの液面センサを設けてその液面センサをエンジンのオイルパンと連通管で接続し、この液面センサでエンジンオイルの液面高さを測定するようにしたものがある(例えば、特許文献1参照)。この特許文献1の装置では、オイルパンには制御弁を介してオイルタンクが接続されており、液面センサで測定したオイルレベル(液面高さ)に応じて上記制御弁を開閉してオイルタンクとオイルパンの間の油の流出入を制御し、オイルパンのオイルレベルを調整するようにしている。
【0003】
ここで、上記従来の構成では、オイルの温度が低下して粘度が高くなった場合には、液面センサで測定されるオイルレベルがオイルパンの実際のオイルレベルの変化に追従しにくくなり、正確なオイルレベルを測定しにくくなる問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−046153号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
そこで、特許文献1の装置では、連通管でオイルを加熱することで液面センサのオイルレベルとオイルパンのオイルレベルとを実質的に一致させるようにし、液面高さの検出を安定させるようにしている。しかし、このようにすると、加熱機構が必要になるなど、構成が複雑になる問題がある。
【0006】
本発明は、このような問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、エンジンのオイルレベル検出装置の構成を複雑にすることなく、オイルレベルを正確に測定できるようにすることである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第1の発明は、エンジン(1)のクランク室(2)の下部に設けられたオイルパン(3)に貯留するエンジンオイルの液面高さを検出する液面センサ(11)を備えたエンジン(1)のオイルレベル検出装置を前提としている。
【0008】
そして、このエンジン(1)のオイルレベル検出装置では、上記液面センサ(11)が、上記オイルパン(3)の底面にエンジン(1)の可動金属部(7)と干渉しないように装着されてエンジンオイルの液面高さを直接に計測するセンサである
【0009】
この第1の発明では、エンジンオイルの液面高さがオイルパン(3)上で直接に測定される。
【0010】
また、第1の発明では、上記液面センサ(11)が、1つの静電容量式液面センサ(11)であり、該液面センサ(11)の一部には、該液面センサ(11)に上記エンジン(1)の可動金属部(7)が近接したときに該可動金属部(7)により液面高さの誤検知が生じるのを防止するための絶縁性部材(12)が装着されている
【0011】
また、第1の発明では、上記絶縁性部材(12)が、上記液面センサ(11)の上端部に装着されるように該液面センサ(11)よりも直径の大きなキャップ状に形成されている
【0012】
この第1の発明では、静電容量式液面センサ(11)を用いてオイルパン(3)の上でエンジンオイルの液面を直接に測定できるとともに、絶縁性部材(12)を設けたことにより液面高さの誤検知を防止できる。
【0013】
第2の発明は、第1の発明において、上記液面センサ(11)が、それぞれが異なる液面高さを測定する複数の液面センサ(11a,11b,11c,…11n)を含んでいることを特徴としている。
【0014】
この第2の発明では、複数の液面センサ(11a,11b,11c,…11n)を用いてエンジンオイルの液面をオイルパン(3)の上で直接に測定できる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、エンジン(1)のオイルパン(3)に液面センサ(11)を取り付けてエンジンオイルの液面高さを直接に測定するようにしているので、エンジン(1)の外部の液面センサ(11)を連通管でオイルパン(3)と接続していた従来の装置と比べて構成が簡単であり、しかも液面高さの測定中にエンジンオイルを加熱しなくてもオイルレベルを正確に測定できる。
【0016】
また、本発明によれば、静電容量式の液面センサ(11)を用い、その一部に絶縁性部材(12)を装着しているので、液面センサ(11)による液面高さの誤検知を簡単な構成で防止できる。
【0017】
上記第2の発明によれば、複数の液面センサ(11a,11b,11c,…11n)を用いてエンジンオイルの液面をオイルパン(3)の上で直接に測定できるので、第1の発明と同様にエンジン(1)の外部の液面センサ(11)を連通管でオイルパン(3)と接続していた従来の装置と比べて構成が簡単であり、しかも液面高さの測定中にエンジンオイルを加熱しなくてもオイルレベルを正確に測定できる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1図1(A)は、実施形態1に係るエンジンのオイルレベル検出装置の構造を示す概略断面図、図1(B)は図1のB−B線断面図である。
図2図2(A)は、液面センサに装着された絶縁性部材の側面図、図2(B)は平面図、図2(C)は斜視図である。
図3図3は、図1の液面センサをエンジンに適用した制御回路の回路図である。
図4図4は、他の実施形態に係るオイルレベル検出装置の制御回路の回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
【0020】
この実施形態は、環境試験に用いる定置用エンジン(1)のエンジンオイルの液面高さを検出するオイルレベル検出装置に関するものである。
【0021】
図1(A)に示すように、このオイルレベル検出装置(10)が適用されているエンジン(1)は、クランク室(2)の下部にオイルパン(3)を有している。上記エンジン(1)は、クランクシャフト(4)、コネクティングロッド(5)、ピストン(6)等を有している。そして、本実施形態のオイルレベル検出装置は、オイルパン(3)に貯留するエンジンオイルの液面高さを直接に検出する液面センサ(11)を備えている。
【0022】
上記液面センサ(11)は、棒状ないし線状のセンサであり、詳細は図示していないが、ナットなどの締結部材を用いてオイルパン(3)の底面に装着され、装着部にはシールが施されている。また、図1(A)のB−B線断面図である図1(B)に示すように、上記液面センサ(11)は、クランクシャフトやフライホイールのようなエンジン(1)の可動金属部(7)と干渉しないように位置が決められている。上記液面センサ(11)は、静電容量式の1つの液面センサ(11)であって、エンジンオイルの変化する液面高さを直接に計測するセンサである。
【0023】
液面センサ(11)の一部には、上記エンジン(1)の可動金属部(7)が近接したときに、該可動金属部(7)をエンジンオイルと誤検知してしまうのを防止するための絶縁性部材(12)が装着されている。上記絶縁性部材(12)は、具体的には図2(A)〜図2(C)に示すように、上記液面センサ(11)の上端部に装着されるようにキャップ状に形成されている。絶縁性部材(12)は、具体的には、天板部(13)と、天板部(13)の周縁部において相対する位置に形成された脚部(14)とを有し、天板部(13)と脚部(14)とが一体に形成されている。絶縁性部材(12)は、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)により形成されている。この絶縁性部材(12)は、脚部(14)がエンジン(1)の可動金属部(7)と液面センサ(11)の間に介在するように該液面センサ(11)に装着されている。このことにより、液面高さの誤検知が防止されるようになっている。
【0024】
図3は、この液面センサ(11)をエンジン(1)に適用した制御回路の回路図である。
【0025】
図3において、エンジン(1)は循環回路(20)を介して油温調節装置(21)と接続され、オイルパン(3)には温度センサ(15)が設けられている。循環回路(20)には、該循環回路(20)でエンジンオイルを循環させる循環ポンプ(22)が接続されている。循環回路(20)には、循環ポンプ(22)と並列の回路に調整タンク(23)が接続されている。循環ポンプ(22)の吸入側に接続された第1通路(24)には第1開閉弁(25)が設けられている。また、循環ポンプ(22)の吐出側に接続された第2通路(26)には第2開閉弁(27)が設けられている。
【0026】
この制御回路には、コントローラ(30)が接続されている。コントローラ(30)は、液面センサ(11)、温度センサ(15)、油温調節装置(21)、第1開閉弁(25)、及び第2開閉弁(27)と接続されている。コントローラ(30)は、液面センサ(11)や温度センサ(15)からの入力に応じて、油温調節装置(21)、第1開閉弁(25)、及び第2開閉弁(27)を制御する。
【0027】
−運転動作−
上記制御回路では、エンジンオイルの温度を一定にする制御が行われる。具体的には、エンジンオイルの温度を温度センサ(15)で測定し、その測定値がコントローラ(30)に入力されて、該コントローラ(30)により油温調節装置(21)を制御して油温が調整される。
【0028】
また、上記制御回路では、液面センサ(11)の情報をコントローラ(30)が受信し、該コントローラ(30)で調整タンク(23)の中のエンジンオイルを使ってオイルレベルを調整する。具体的には、エンジン(1)内のエンジンオイルの液面が設定レベルよりも低い場合は、第1開閉弁(25)を開いて第2開閉弁(27)を閉鎖して、調整タンク(23)のエンジンオイルをエンジン(1)のオイルパン(3)に供給する。また、エンジン(1)内のエンジンオイルの液面が設定レベルよりも高い場合は、第2開閉弁(27)を開いて第1開閉弁(25)を閉鎖して、循環回路(20)を循環するエンジンオイルを第2通路(26)に分岐させて調整タンク(23)に回収することにより、オイルパン(3)のエンジンオイルの液面高さを低下させる。以上の制御を行う間、循環回路(20)では常にエンジンオイルが循環している。
【0029】
−実施形態の効果−
以上説明したように、本実施形態によれば、エンジン(1)のオイルパン(3)に液面センサ(11)を取り付けてエンジンオイルの液面高さを直接に測定するようにしているので、エンジン(1)の外部の液面センサ(11)を連通管でオイルパン(3)と接続していた従来の装置と比べてオイルレベル検出装置(10)の構成が簡単であり、しかも液面高さの測定中にエンジンオイルを加熱しなくてもオイルレベルを正確に測定できる。
【0030】
また、本実施形態では、静電容量式の液面センサ(11)を用い、その上部にキャップ状の絶縁性部材(12)を装着しているので、センサが誤検知するのを簡単な構成で防止できる。特に、絶縁性部材(12)に脚部(14)を設け、液面センサ(11)と上記可動金属部材(7)の間に介在させるようにしているので、簡単な構成で誤検知を防止できる。
【0031】
《その他の実施形態》
上記実施形態については、以下のような構成としてもよい。
【0032】
例えば、上記実施形態における液面センサ(11)の構成を図4に示すように変更してもよい。
【0033】
この図4の例では、上記液面センサ(11)として、それぞれが異なる液面高さを測定する複数の液面センサ(11a,11b,11c,…11n)を用いている。この液面センサ(11)としては、例えば上端部にフロートを有するセンサを用いてもよいし、他の形式のセンサを用いてもよい。
【0034】
このように構成すると、液面センサ(11a,11b,11c,…11n)の数は上記実施形態より増えるものの、上記実施形態と同様にエンジン(1)のオイルパン(3)に液面センサ(11)を取り付けてエンジンオイルの液面高さを直接に測定することにより、エンジン(1)の外部の液面センサ(11)を連通管でオイルパン(3)と接続していた従来の装置と比べて構成を簡単にすることができる。また、液面高さの測定中にエンジンオイルを加熱しなくてもオイルレベルを正確に測定できる効果を得られる点も、上記実施形態と同様である。
【0035】
なお、以上の実施形態は、本質的に好ましい例示であって、本発明、その適用物、あるいはその用途の範囲を制限することを意図するものではない。
【産業上の利用可能性】
【0036】
以上説明したように、本発明は、エンジンオイルの液面高さを検出するオイルレベル検出装置について有用である。
【符号の説明】
【0037】
1 エンジン
2 クランク室
3 オイルパン
7 可動金属部
10 オイルレベル検出装置
11 静電容量式液面センサ
12 絶縁性部材
【手続補正2】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
エンジン(1)のクランク室(2)の下部に設けられたオイルパン(3)に貯留するエンジンオイルの液面高さを検出する液面センサ(11)を備えたエンジン(1)のオイルレベル検出装置であって、
上記液面センサ(11)は、上記オイルパン(3)の底面にエンジン(1)の可動金属部(7)と干渉しないように装着されてエンジンオイルの液面高さを直接に計測するセンサであり、
上記液面センサ(11)は、1つの静電容量式液面センサ(11)であり、
該液面センサ(11)の一部には、該液面センサ(11)に上記エンジン(1)の可動金属部(7)が近接したときに該可動金属部(7)により液面高さの誤検知が生じるのを防止するための絶縁性部材(12)が装着され、
上記絶縁性部材(12)は、上記液面センサ(11)の上端部に装着されるように該液面センサ(11)よりも直径の大きなキャップ状に形成されていることを特徴とするエンジン(1)のオイルレベル検出装置。
【請求項2】
請求項1において、
上記液面センサ(11)は、それぞれが異なる液面高さを測定する複数の液面センサ(11a,11b,11c,…11n)であることを特徴とするエンジン(1)のオイルレベル検出装置。