特開2016-205419(P2016-205419A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社ジェイテクトの特許一覧
<>
  • 特開2016205419-車輪用軸受装置の製造方法 図000003
  • 特開2016205419-車輪用軸受装置の製造方法 図000004
  • 特開2016205419-車輪用軸受装置の製造方法 図000005
  • 特開2016205419-車輪用軸受装置の製造方法 図000006
  • 特開2016205419-車輪用軸受装置の製造方法 図000007
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2016-205419(P2016-205419A)
(43)【公開日】2016年12月8日
(54)【発明の名称】車輪用軸受装置の製造方法
(51)【国際特許分類】
   F16C 41/00 20060101AFI20161111BHJP
   G01P 3/487 20060101ALI20161111BHJP
   F16C 19/18 20060101ALI20161111BHJP
【FI】
   F16C41/00
   G01P3/487 F
   F16C19/18
【審査請求】未請求
【請求項の数】1
【出願形態】OL
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2015-83340(P2015-83340)
(22)【出願日】2015年4月15日
(71)【出願人】
【識別番号】000001247
【氏名又は名称】株式会社ジェイテクト
(74)【代理人】
【識別番号】110000394
【氏名又は名称】特許業務法人岡田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】高松 一貴
【テーマコード(参考)】
3J217
3J701
【Fターム(参考)】
3J217JA03
3J217JA13
3J217JA24
3J217JA34
3J217JA42
3J217JA44
3J217JA46
3J217JA49
3J217JB14
3J217JB17
3J217JB25
3J217JB34
3J217JB55
3J217JB64
3J217JB84
3J701AA02
3J701AA32
3J701AA43
3J701AA54
3J701AA62
3J701BA80
3J701DA09
3J701DA20
3J701FA41
3J701GA03
(57)【要約】
【課題】車輪用軸受装置の製造方法において、パルサリングを組み付けるにあたり、内輪に対するパルサリングの位置決め精度を向上させる。
【解決手段】固定フランジ52を有する外輪50と、ハブ軸と、内輪40と、複列の玉(転動体)と、内輪40の回転を検出する回転速度検出器における環状のパルサリング80と、を備え、パルサリング80を内輪40の円筒面42(外周面)に組み付ける車輪用軸受装置の製造方法であって、ハブ軸10に複列の玉、外輪50及び内輪40を組み付ける組付け工程と、固定フランジ52のナックル(車両固定部材)に固定される固定面53を基準面として、治具100を押圧してパルサリング80を内輪40の円筒面42に圧入することにより内輪40に対するパルサリング80の軸方向における位置決めを行う圧入工程と、を有する。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
外周面から径方向外方に延出され車両固定部材に固定される固定フランジを有する外輪と、
該外輪の径方向内方に同心に配設される軸部の一端側において径方向外方に延出され車輪を取り付ける取付フランジを有するハブ軸と、
該ハブ軸の軸部のうち取付フランジと反対の他端側に装着される内輪と、
前記ハブ軸及び内輪と、前記外輪との間の環状空間に転動可能に配設される複列の転動体と、
前記内輪の回転を検出する回転速度検出器における環状のパルサリングと、を備え、
該パルサリングを前記内輪の外周面に組み付ける車輪用軸受装置の製造方法であって、
前記ハブ軸に前記複列の転動体、前記外輪及び前記内輪を組み付ける組付け工程と、
前記固定フランジの前記車両固定部材に固定される面を基準面として、治具を押圧して前記パルサリングを前記内輪の外周面に圧入することにより前記内輪に対する前記パルサリングの軸方向における位置決めを行う圧入工程と、
を有する車輪用軸受装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は車輪用軸受装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、回転速度検出器付きのハブユニットは、被検出面としてのパルサリングが内輪に組み付けられることが知られている。図5には、下記特許文献1に開示された車輪用軸受装置を示す。特許文献1は、図5に示すように外輪350の車両インナ側端面355を基準面として治具300を押圧してパルサリング380を内輪340の外周面342に圧入する技術が開示されている。これにより内輪340に対するパルサリング380の軸方向における位置決めを行っていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−076750号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、外輪350の車両インナ側端面355は、外輪350の製造工程において外輪350のフランジ352のうちナックルに固定する固定面353を基準として機械加工される。一般に機械加工においては、加工面の仕上げ寸法に公差を有する。よって、外輪350の車両インナ側端面355は、軸方向寸法に交差を有している。このため、本発明者は、上述のパルサリング380の位置決めの方法では外輪350の車両インナ側端面355の寸法公差の影響があり、良好な位置決めの精度を確保できないことを見出した。
【0005】
本発明は、このような点に鑑みて創案されたものであり、本発明が解決しようとする課題は、車輪用軸受装置の製造方法において、パルサリングを組み付けるにあたり、内輪に対するパルサリングの位置決め精度を向上させることにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明の車輪用軸受装置の製造方法は次の手段をとる。
【0007】
外周面から径方向外方に延出され車両固定部材に固定される固定フランジを有する外輪と、該外輪の径方向内方に同心に配設される軸部の一端側において径方向外方に延出され車輪を取り付ける取付フランジを有するハブ軸と、該ハブ軸の軸部のうち取付フランジと反対の他端側に装着される内輪と、前記ハブ軸及び内輪と、前記外輪との間の環状空間に転動可能に配設される複列の転動体と、前記内輪の回転を検出する回転速度検出器における環状のパルサリングと、を備え、該パルサリングを前記内輪の外周面に組み付ける車輪用軸受装置の製造方法であって、前記ハブ軸に前記複列の転動体、前記外輪及び前記内輪を組み付ける組付け工程と、前記固定フランジの前記車両固定部材に固定される面を基準面として、治具を押圧して前記パルサリングを前記内輪の外周面に圧入することにより前記内輪に対する前記パルサリングの軸方向における位置決めを行う圧入工程と、を有する。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、車輪用軸受装置の製造方法において、パルサリングを組み付けるにあたり、内輪に対するパルサリングの位置決め精度を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本実施形態に係る車輪用軸受装置に車輪が装着された状態を示す断面図である。
図2図1のII部を拡大した断面図ある。
図3】パルサリングの圧入工程を図2のIII部の領域によって示した断面図ある。
図4】本実施形態のパルサリングの圧入工程の変形例として図3に対応して示した断面図ある。
図5】従来のパルサリングの圧入工程を示した断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明を実施するための形態を図面を用いて説明する。ここで、各図に適宜矢印で示す方向は、車輪用軸受装置を車両に組み付けた状態における車両インナ側と、車両アウタ側を示している。図1に示すように、車両における車輪1は、タイヤ2及びホイール4を有する。車輪1は、車輪用軸受装置6及びブレーキロータ5を介して回転可能に支持される。車輪用軸受装置6は、車両のナックル7(車両固定部材)に支持されている。図2に示すように車輪用軸受装置6は、外輪50、ハブ軸10、内輪40、複数の玉67、68(転動体)、パルサリング80を有する。
【0011】
外輪50は、中空状の軸部で形成されている。外輪50の外周面には、径方向外方に延出される固定フランジ52を有する。固定フランジ52は、ナックル7においてボルト8で固定される。固定フランジ52の車両インナ側の端面は、ナックル7と面接触する固定面53である。固定面53は、ナックル7に固定される面であるため、面精度の高い平滑な面で仕上げられている。外輪50は、固定フランジ52よりも車両インナ側にナックル7と嵌合する円筒状のナックル嵌合部54を有する。ナックル嵌合部54の車両インナ側は、外輪インナ側端面55を有する。外輪50の内周面には、外輪軌道面57、58が形成される。外輪軌道面57、58は、後述する玉67、68の外周面に対応して円弧面で形成される。
【0012】
ハブ軸10は、軸部11と、取付フランジ20と、嵌合軸部30と、が一体に形成される。軸部11は、外輪50の径方向内方に同心に配設される部位である。軸部11と外輪50の間の環状空間60には、複列のアンギュラ玉軸受41が組み付けられる。軸部11は、車両アウタ側の取付フランジ20から車両インナ側に向かって大径軸部12と、小径軸部14によって段軸状に形成される。大径軸部12の外周面には、複列のアンギュラ玉軸受41の内、車両アウタ側の内輪軌道面17が形成される。内輪軌道面17は、後述する玉67の外周面に対応して円弧面で形成される。小径軸部14の外周面には、後述する内輪40が嵌め込まれる。小径軸部14は、後述の内輪40の軸方向長さより長く形成される。小径軸部14の端面には、凹部15が形成される。
【0013】
取付フランジ20は、車輪1を取り付ける部位である。取付フランジ20は、軸部11の車両アウタ側(軸部11の一端側)において径方向外方へ延出している。取付フランジ20は、ボルト孔24が貫設されている。ボルト孔24には、車輪1(図1参照)を締め付けるハブボルト27が圧入される。取付フランジ20の車両アウタ側には、嵌合軸部30が形成される。
【0014】
嵌合軸部30は、車輪1及びブレーキロータ5を同心に案内する部位である。嵌合軸部30は、大径軸部12よりも大径に形成される。嵌合軸部30は、取付フランジ20側から車両アウタ側に向かってブレーキロータ用嵌合部31と、車輪用嵌合部32が連続して形成される。ブレーキロータ用嵌合部31は、取付フランジ20側に配設される。ブレーキロータ用嵌合部31は、ブレーキロータ55の内径に対応する径を有する。ブレーキロータ用嵌合部31より車両アウタ側には、車輪用嵌合部32が配設される。車輪用嵌合部32は、車輪1の中心孔に対応する径を有する。車輪用嵌合部32は、ブレーキロータ用嵌合部31よりも若干小径である。
【0015】
内輪40は、小径軸部14と略同径の内径を有する環状の部材である。内輪40の外周面は、車両アウタ側から車両インナ側に向かって内輪軌道面48と円筒面42が連続して形成される。車両アウタ側の内輪軌道面48は、大径軸部12と略同径の外周面と、後述の玉68を案内する円弧面が連続して形成される。車両インナ側の円筒面42は、大径軸部12より大径に形成される。
【0016】
車両アウタ側の内輪軌道面17と外輪軌道面57との間には、周方向に複数個の玉67(転動体)が保持器62によって保持されている。車両インナ側の内輪軌道面48と外輪軌道面58との間には、周方向に複数個の玉68(転動体)が保持器63によって保持されている。
【0017】
回転速度検出器70は、車両にアンチロックブレーキシステム(ABS)、トラクションコントロール(TCS)を搭載する場合に、係るABS、TCSの制御に必要となる。回転速度検出器70は、センサ71と、パルサリング80を有する。パルサリング80は、内輪40に圧入固定される。センサ71は、パルサリング80に対して一定の軸方向対向距離を介して車両側に固定される。回転速度検出器70は、ハブ軸10の回転に伴って回転するパルサリング80の回転速度をセンサ71にて検出する。これにより、回転速度検出器70は、車輪1の回転速度、回転方向などを検出する。
【0018】
パルサリング80は、スリンガ82と、被検出部88を有する。被検出部88は、周方向に交互にS極とN極とに着磁してなる環状のゴム磁石などである。スリンガ82は、圧入部84と、環状部86によって断面略L字状に形成される。圧入部84は、内輪40の円筒面42に圧入される部位であり、筒状に形成される。環状部86は、圧入部84の軸方向一端から径方向内方に延出した環状の平板の部位である。環状部86のうち、車両インナ側の面が被検出面87とされる。この被検出面87に被検出部88が固着される。
【0019】
パルサリング80より車両インナ側には、有蓋筒状のカバー部材72が圧入固定される。カバー部材72は、外輪50のナックル嵌合部54の内周面56に嵌合される。カバー部材72の蓋板部73には、センサ71がその検出部をパルサリング80の被検出部88に臨ませて取り付けられる。ここで、センサ71とパルサリング80の被検出部88の間の距離をセンサギャップという。係るセンサギャップは、センサ71が回転するパルサリング80の被検出部88の磁気の検出感度が良好な最適な距離に規定される。
【0020】
ハブ軸10に複列の玉67、68、外輪50及び内輪40を組み付ける組付け工程を説明する。ハブ軸10の取付フランジ20におけるボルト孔24に、車輪1を締め付けるためのハブボルト27を圧入する。ハブ軸10の内輪軌道面17に玉67と保持器62を組み込む。外輪40の内方にハブ軸10の軸部11を挿通させる。軸部11は、外輪50の径方向内方に同心に配設される。ハブ軸10の内輪軌道面58に玉68と保持器63を組み込む。内輪40をハブ軸10の小径軸部14に嵌合する。小径軸部14の凹部15にかしめ工具(図示省略)を及ばせる。小径軸部14の軸端は、径方向外方に塑性変形されてかしめ部16が形成される。内輪40は、このかしめ部16によって小径軸部14の外周面に固定されると共に、軸方向の抜け止めが防止される。また、かしめ部16は、係るかしめ力に基づいて所要とする軸方向の予圧が付与される。これによりハブ軸10のと外輪50の間の環状空間60には、複列のアンギュラ玉軸受41が組み付けられる。
【0021】
パルサリング80を内輪40に圧入するための治具100について説明する。治具100は、筒状に形成されている。治具100の軸方向一端側は、径方向外方から内方に向かって、固定フランジ当接面112、外輪逃がし面114、スリンガ押圧面116が段差状に形成されている。固定フランジ当接面112は、固定フランジ52の固定面53と面接触する部位である。そのため、固定フランジ当接面112は、面精度の高い平滑な面で仕上げられている。外輪逃がし面114は、治具100を外輪50に対し押圧する際に、外輪インナ側端面55と離間した関係にあればよい。スリンガ押圧面116は、スリンガ82の被検出部88を押圧して、内輪40に対するパルサリング80の軸方向における位置決めを行う面である。そのため、スリンガ押圧面116は、面精度の高い平滑な面で仕上げられている。固定フランジ当接面112と外輪逃がし面114の間は、ナックル嵌合部54の軸長54Lより長い第1軸長101Lで形成される。第1軸長101Lにおける第1内周面118は、ナックル嵌合部54の外径54Dより大径の第1内径101Dで形成される。固定フランジ当接面112とスリンガ押圧面116の間は、固定面53と被検出部88の間として規定された第2軸長102Lで形成される。第2軸長102Lは、固定面53と被検出部88の間の距離と等しい。係る第2軸長102Lは、最終製品である車輪用軸受装置6においてパルサリング80の被検出部88の軸方向位置をセンサ71に対し最適な距離にする。第2軸長102Lにおける第2内周面120は、スリンガ82の圧入部84の外径84Dと略同径の第2内径102Dで形成されることが望ましい。これにより、治具100とパルサリング80を同心にセットすることができる。そのため治具100は、スリンガ82の圧入がしやすくなる。治具100の全長は、第1軸長101L、第2軸長102Lの何れよりも長い全長105Lで形成される。スリンガ押圧面116における第3内周面122は、スリンガ82の被検出部88の全面と面接触する第3内径103Dで形成される。
【0022】
パルサリング80を内輪40に圧入する圧入工程について説明する。圧入工程は、上述の組付け工程の後に治具100を用いる。図3における仮想線で示した治具100は、パルサリング80の圧入前を図示している。先ず、スリンガ82の圧入部84を治具100の第2内周面120に挿入させる。パルサリング80は、被検出部88がスリンガ押圧面116に当接する位置まで嵌め込む。これにより、パルサリング80は、治具100にセットされる。次に、治具100をハブ軸10の車両インナ側から近接させる。スリンガ82の圧入部84の内周面を内輪40の円筒面42に当接させた後、軸方向に押圧する。治具100は、固定フランジ当接面112が固定フランジ52の固定面53と面接触する位置まで圧入させる(図3の実線)。こうして、内輪40に対するパルサリング80の軸方向における位置決めが行われる。
【0023】
このように、本実施形態にかかる車輪用軸受装置の製造方法によれば、治具100は、固定フランジ当接面112とスリンガ押圧面116の間の第2軸長102Lを有している。そのため、治具100は、パルサリング80を、常に固定面53と被検出部88の間として規定された位置で圧入することができる。すなわち、固定面53は、内輪40に対するパルサリング80の位置決めの際の基準面として機能する。ここで、車両インナ側端面55は、外輪50の製造工程において固定面53を基準として機械加工されるため、加工面の仕上げ寸法(車両インナ側端面55の軸方向寸法)に公差を有する。そのため、パルサリング80の位置決めの方法は、車両インナ側端面55を基準面とした場合、車両インナ側端面55の寸法公差の影響があり良好な位置決めの精度を確保できない。ここで、固定面53は、ナックル7に固定される面であるためため、高い面精度を有している。そのため、パルサリング80は、係る固定面53を基準とするため、内輪40に対し精度よく取り付けることができる。よって、車輪用軸受装置の製造方法において、パルサリング80を組み付けるにあたり、内輪40に対するパルサリング80の位置決め精度を向上させることができる。
【0024】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明の車輪用軸受装置の製造方法は、本実施の形態に限定されず、その他各種の形態で実施することができるものである。なお、本実施形態は、被検出部88が外輪インナ側端面55より車両インナ側に配設される態様である。そのため、治具100は、上記形状に限定されるものではない。そのため、治具100は、外輪逃がし面114が外輪インナ側端面55と離間した関係にあればよい。例えば、第1軸長101Lは、第2軸長102Lと同一の長さ又はそれ以上の長さであってもよい。また、外輪逃がし面114と、スリンガ押圧面116は、同一の面であってもよい。また、第2内周面120は、スリンガ82の圧入部84の外径84Dより大径であってもよい。また、治具100は、第3内周面122を有する構成を示したが、押圧する際にハブ軸10と干渉しない態様であれば、第3内周面122を有さない有底であってもよい。また、本実施形態では、転動体は、玉であったが、円すいころであってもよい。
【0025】
また、車輪用軸受装置における外輪とパルサリングの軸方向の位置関係、及びパルサリングの形状は種々の態様がある。図4には、本実施形態の変形例を示す。変形例で示すパルサリング280は、上記実施形態に示したパルサリング80とは形態が異なる。すなわち、環状部286は、圧入部284の軸方向一端から径方向外方に延出する態様である。また、変形例では、パルサリング280の被検出部288が外輪インナ側端面55より車両アウタ側に配設される態様である。以下に、パルサリング280と、このパルサリング280を圧入する治具200の態様について説明する。なお、上記実施形態と実質的に同様の構成については、実施形態と同様の符号を付して詳細な説明は省略する。
【0026】
パルサリング280は、スリンガ282と、被検出部288を有する。被検出部288は、周方向に交互にS極とN極とに着磁してなる環状のゴム磁石などである。スリンガ282は、圧入部284と、環状部286によって断面略L字状に形成される。圧入部284は、内輪40の円筒面42に圧入される部位であり、筒状に形成される。環状部286は、圧入部284の軸方向一端から径方向外方に延出した環状の平板の部位である。環状部286のうち、車両インナ側の面が被検出面287とされる。この被検出面287に被検出部288が固着される。
【0027】
治具200は、筒状に形成されている。治具200の軸方向一端側は、径方向外方から内方に向かって、固定フランジ当接面212、外輪逃がし面214、スリンガ押圧面216が段差状に形成されている。固定フランジ当接面212は、固定フランジ52の固定面53と面接触する部位である。そのため、固定フランジ当接面212は、面精度の高い平滑な面で仕上げられている。外輪逃がし面214は、治具200を外輪50に対し押圧する際に、外輪インナ側端面55と離間した関係にあればよい。スリンガ押圧面216は、スリンガ282の被検出部288を押圧して、内輪40に対するパルサリング280の軸方向における位置決めを行う面である。そのため、スリンガ押圧面216は、面精度の高い平滑な面で仕上げられている。固定フランジ当接面212と外輪逃がし面214の間は、ナックル嵌合部54の軸長54Lより長い第1軸長201Lで形成される。固定フランジ当接面212とスリンガ押圧面216の間は、固定面53と被検出部288の間として規定された第2軸長202Lで形成される。ここで、被検出部288は、外輪インナ側端面55より車両アウタ側に配設される態様である。そのため、第1軸長201Lは、第2軸長202Lより長い。第1軸長201Lにおける第1内周面218は、ナックル嵌合部54の外径54Dより大径の第1内径201Dで形成される。スリンガ押圧面216の径方向外方は、ナックル嵌合部54の内周面56より小径の外径202Dで形成される。スリンガ押圧面216の径方向内方は、第3内周面222が形成される。第3内周面222は、スリンガ282の被検出部288の全面と面接触するように第3内径203Dで形成される。治具200の全長は、第1軸長201L、第2軸長202Lの何れよりも長い全長205Lで形成される。
【0028】
治具200を用いてパルサリング280を内輪40に圧入する圧入工程は、実質的に同様の工程のため詳細な説明は省略する。このような、変形例においても上記実施形態と同様の作用効果を得られる。また、治具200は、第3内周面222を有する構成を示したが、押圧する際にハブ軸10と干渉しない態様であれば、第3内周面222を有さない有底であってもよい。また、本実施形態では、転動体は、玉であったが、円すいころであってもよい。
【符号の説明】
【0029】
1 車輪
6 車輪用軸受装置
7 ナックル(車両固定部材)
10 ハブ軸
11 軸部
20 取付フランジ
40 内輪
42 円筒面(内輪の外周面)
50 外輪
52 固定フランジ
53 固定面(基準面)
60 環状空間
67、68 玉(転動体)
70 回転速度検出器
80 パルサリング
100 治具
図1
図2
図3
図4
図5