特開2016-205795(P2016-205795A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2016-205795(P2016-205795A)
(43)【公開日】2016年12月8日
(54)【発明の名称】薪ストーブ
(51)【国際特許分類】
   F24B 1/02 20060101AFI20161111BHJP
   F23G 5/16 20060101ALI20161111BHJP
   F23G 5/00 20060101ALI20161111BHJP
   F23B 10/02 20110101ALI20161111BHJP
【FI】
   F24B1/02 CZAB
   F23G5/16 D
   F23G5/00 119G
   F23B10/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】書面
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2015-102256(P2015-102256)
(22)【出願日】2015年4月27日
(71)【出願人】
【識別番号】592106306
【氏名又は名称】音瀬 春三
(72)【発明者】
【氏名】音瀬 春三
【テーマコード(参考)】
3K046
3K062
3K078
【Fターム(参考)】
3K046AA06
3K046AB08
3K046AC06
3K046AD01
3K046BA02
3K046CA10
3K046FA02
3K062AA19
3K062AB01
3K062AC17
3K078BA03
3K078CA02
3K078EA06
(57)【要約】      (修正有)
【課題】簡易な構成でありながら安全な燃焼と燃焼筒による優れた発熱効果を発揮する薪ストーブを提供する。
【解決手段】燃焼室1の上部壁後方部に燃焼筒10の挿通を可能とする挿通孔12を穿ち、こ燃焼筒は、突起11を介して燃焼室内に吊設された形にする。そして、燃焼筒の上部は、煙突13と連結し、下端は、燃焼室の底部14との間に所要の間隙がある構成にする。また、吸気口6内側には金網を着脱可能に取り付ける。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃焼室の扉も含む全側壁が金属で成る薪ストーブにおいて、該燃焼室の上部壁に、燃焼室内に設置する燃焼筒の挿通を自在とする挿通孔を穿設し、この挿通孔に上端より下部となる外周に突起を設けた燃焼筒を、その下端を先にして挿脱可能に挿通して吊設し、且つ燃焼筒の下端と燃焼室の底部との間に所要の距離の間隙ができる構成とした薪ストーブ。
【請求項2】
燃焼室の上壁の挿通孔に挿通して、燃焼室内に吊設した燃焼筒の下部を吸気口側に鉤状に曲折した構成にした請求項1に記載の薪ストーブ。
【請求項3】
燃焼室の扉に設けた吸気口の内側に、細目の金網を着脱可能に取り付けた構成の請求項1又は2記載の薪ストーブ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、簡易な構成でありながら安全な燃焼と燃焼筒による優れた発熱効果を発揮する薪ストーブに関する。
【背景技術】
【0002】
薪ストーブに係る先行技術は多数あるが、その中に、その機能において本発明に似ている発明に、「燃焼装置」がある。この装置は、図で示すように、耐火材で被覆して成る燃焼室の天井の一半に薪の投入と空気の吸入を可能とする蓋体を設け、また、蓋体の、反対側の
天井、又は側面に煙突を接続する排気口を設け、且つ、上記蓋体と排気口の間の燃焼室の床面との間に、燃焼室の高さの1/3〜1/4の空隙を設けた構成にしている(例えば特許文献1参照)。
【0003】
また、いま一つ、燃焼の機構が本発明に類似していると思われる薪ストーブにロケットストーブがある(図5参照)、(例えば、非特許文献1参照)。このストーブは、外郭が、円筒で成る燃焼部の中に、外側面に断熱材を被覆した燃焼筒を,前記燃焼部との間に、空隙をもたせてその中に設置すると共に、上記燃焼部の下部と薪の焚口とを、横行のバーントンネル(燃焼室)を介して連通し、また、前記燃焼部の下部では、燃焼部と、燃焼筒との の空隙と、蓄熱部の円筒の一端を繋ぎ、他端は上方へ伸びる煙突と連通する構成にしている。
【0004】
また、上記のロケットストーブでは、焚口での薪の燃焼で発生した熱気流は、図5で示す矢印のように流れそれぞれの部位で燃焼や放熱の機能を果たすものとして説明している(例えば、非特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】 特許第3066066号公報
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】 「最高!薪&ロケットストーブ2014」農山漁村文化協会2014年p・18〜29
【発明の概要】
【発明が解決しようとせる課題】
【0007】
上述の従来技術としての「燃焼装置」は、燃焼室の天井に設けた蓋体を上方に開いて薪を入れる方式であるが、蓋体の開き角度が小さいことから、薪は投げ落としや投げ入れになりやすく、これが先行して燃えている薪に当たり、火の粉となって煙突から外に出たり、また薪が燃焼促進板に当たり、これを損壊する欠点が考えられる。
【0008】
なお、この燃焼装置における燃焼促進板は、赤熱されたり,投入の薪が当たったりして、損壊が起こりやすいものと思われるが、そのメンテナンスについての記載は全くないが、燃焼室の内部構造から燃焼促進板の補修には、大きな労力(煩労)が必要であると思われる。
【0009】
また、燃えている薪は、跳ねを生じやすいが上記の燃焼装置においては、蓋体が開いている時には、薪の跳ねによる炭火または火の粉が飛び出す危険が予測される。
【0010】
上記燃焼装置では、燃焼室の側壁を成す鉄板に耐火材を被覆しているので、燃焼室内で発生した熱は、外へ放出されにくくなるので、外気を暖めるストーブとしての機能は十分であるとは思えない。
【0011】
次に、ロケットストーブの問題点を検討する。ロケットストーブでは、薪を燃焼させる焚き口が、燃焼に関るバーントンネルや燃焼筒の外に置かれているので、焚き口の高さを超える高さの薪を入れた時には、燃え上がった薪が折れて、火のついたまま焚き口の外に落下したり、また。薪の跳ねによる炭火や火の粉の飛び出しが生じる欠点があり、これは本発明者の試験でも生じているところである。
【0012】
また、ロケットストーブでは、燃焼による熱気流が、上昇、下降、横行と複雑で抵抗のある流れになるので、熱気流も緩かな流れとなり、温度も低下し放熱の力も弱まることになる。従って、このストーブでは、覆土等に蓄熱して、薪の燃焼がない夜間等で、ゆるやかな放熱や対流を起こさせる効果はあっても、燃焼部からの放熱(輻射)を生かした暖房には、大きな期待はできないものと考える。
【0013】
また、ロケットストーブでは、その構成が複雑で長いので、熱気流の流れも緩やかになり、煤や灰がトンネルや筒内に溜りやすくなるので、そのメンテナンスには、大きな負担が必要であると考えられる。なお、土で覆われたところもあるので、修理を必要とする時も、大きな作業になると考えられる。
【0014】
本発明は、上記の引用例の欠点を検討し、また、本発明の目的も勘案し、次のような課題を以って、対処することとした。
【0015】
本発明は、その構成が、簡易であるにもかかわらず、燃焼性に優れ、部屋や囲まれた空間への熱の供給も多く、且つ、燃焼における安全性にも優れると共に、ストーブの器体のメンテナンスも簡易に行える機構の薪ストーブの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明では、燃焼室を囲む全側壁(扉も含む)を、厚さが3〜10mmの鉄板で容器状に構成し、その燃焼室の一側(前部)に、その上部に耐熱ガラスで成る窓を設けた薪入れ口扉を枢軸を介して取り付け、その薪入れ口扉の上記の窓の下部には、薪燃焼用の空気取り入れる吸気口を設け、該吸気口の内側には、細目の金網をアングルを介して着脱可能に取り付ける。また、吸気口の表側には、吸気調節板をビス止め又は溶接止めしたアングル又はガイドレール内でスライド可能に取り付けた構成にする。
【0017】
また、上記燃焼室の他側の上部側壁には、燃焼筒の上端から10cm程度下方の外周に突起を設けた燃焼筒の挿通ができる挿通孔を穿説し、この挿通孔に上記の燃焼筒を突起の下まで挿通する。この時、燃焼筒は突起の機能で、挿脱可能に燃焼室内に吊設された形になるが、燃焼筒の下端と燃焼室の底部との間に、略8cmの間隙ができるようにする。
【0018】
なお、燃焼筒は、その厚さを4〜5mmとする金属(ここでは鉄材)で形成し、その外径を煙突の内径より小さくし、煙突が燃焼筒の突起まで被さるようにする。
【0019】
また、燃焼筒は、請求項2で示すように、その下部を鉤状に曲折し、その切り口は、薪入れ口側に向くように吊設した構成にしてもよい。この場合も、曲折部分の最下部と燃焼室の底部との間隔は略8cmである。
【0020】
燃焼筒の突起より上部には、煙突が被さるが、これにより、燃焼筒は燃焼筒自らの重さと挿通孔及び煙突の支えにより、燃焼室内に固定される。しかし、燃焼筒に設けた突起をネジ等で燃焼筒の上壁に固着する手段を用いてもよい。
【0021】
次に、本発明の薪ストーブについて、その作用を説明する。本薪ストーブを用いる時は吸気口を開け、次に薪入れ口扉を開き、薪を燃焼室に入れ、その上に焚き付け材を載せて点火する。この点火により、焚き付けが燃えはじめ、煙(ガス)及び熱気流が燃焼室内に発生するが、すぐに燃焼筒に吸い込まれて燃え、煙突への流れができると、吸気口からの空気の流入も多くなり、これにより、燃焼室内の未燃焼ガスや煙が炎や熱気流と一体になって燃焼筒に流れ込み、激しく燃焼し、やがて燃焼筒内は、灼熱の状態となり、この熱と燃焼室内の燃焼とで発生した熱とで、燃焼室の側壁は強く熱せられ、これが輻射熱や対流の熱となって、部屋や囲まれた周囲の空気を暖めることとなる。
【0022】
また、薪の燃焼が進み、燃焼室内に炭火が留まり、燃焼が強くなった時は、吸気調整板のスライド操作で燃焼の調整を行うことができる。吸気口の内側に取り付けられる金網は、脱却可能でメンテナンスが可能である。
【0023】
また、燃焼筒は、燃焼時の灼熱等により変形したり、損耗したりするので、その時は、燃焼筒から煙突を外して燃焼筒を引き上げて交換すればよく、その作業は容易である。また、吸気口の金網はスライドするだけで交換ができる。
【発明の効果】
【0024】
上述のように、本発明の薪ストーブは、燃焼を高める燃焼筒を燃焼室内に設置したことを特長とし、これにより、燃焼室内の炎、未燃焼ガス(煙)、空気等を、燃焼室内に取り込んで、激しく燃焼させることで、ほぼ完全燃焼を実現して、発熱量の多い画期的な薪ストーブにしている。従って、煙突から出る煙も少く、煙が近隣の迷惑になることも少ない。
【0025】
また、本発明では、燃焼筒の上端から10cm下に突起を周設すると共に、燃焼室の上壁には、上記燃焼筒の挿通を可能とする挿通孔を穿設し、この挿通孔に燃焼筒をその突起下まで挿通して、燃焼筒が挿脱可能に燃焼室内に吊設された構成にする。この構成により、燃焼時の灼熱による燃焼筒の変形や損耗があっても、燃焼筒の引き抜きにより、簡易に交換ができることとなる。これは、本発明の顕著な効果で、メンテナンスにおける強い味方である。
【0026】
薪は燃焼中に跳ねが生じることが多く、そのため、小さな間隙からでも火の粉や炭火が飛び出すことがある。しかし、本発明では、燃焼を高める燃焼筒を燃焼室内に納めており、また、吸気口には金網を取り付けているので、炭火や火の粉の外への飛び出しや大きな炭火の転がり出もなく、安全・安心である。
【0027】
また、本発明では、燃焼筒の下端と燃焼室の底部の間の間隙を略8cmとしているので 燃焼筒に入る熱気流が底部の灰を巻き上げることが少なくなる利点がある。特に請求項2の下部を鉤状に曲折した燃焼筒では、灰の巻き上げが少ない上に、気流の流れもスムーズになる効果と、燃焼の高まる効果が生じ、灰や煤の煙突内に溜ることも少くなるので、掃除等のメンテナンスも少くてすむ利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1】 本発明の構成を示す側面断面図である。
図2】 (a)(b)は、本発明の燃焼室下部の鉤状曲折例を示す側面図である。
図3】 本発明の前部を示す拡大側面断面図である。
図4】 従来技術の「燃焼装置」の側面断面図である。
図5】 従来技術の「ロケットストーブ」に関する側面断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、本発明の形態の実施について、図1図5に基づいて説明する。
【0030】
図において、1は薪を燃焼する燃焼室で、その形状やサイズは任意で、また構成の素材は金属である。そして、その金属として、ここでは厚さが3〜10mmの鉄板を用い、燃焼室1を容器状に構成する。また、燃焼室1の前部には、薪入れ口2を設け、この外側に厚さ5〜10mmの鉄板で成る薪入れ口扉3を枢軸を介して燃焼室1に取り付ける。
【0031】
そして、薪入れ口扉3の上部には、窓5を穿ち、その裏側にグラスウール等を挟んで耐熱ガラスをガイドレールとビス等により取り付け、窓5を形成し、その下部には、空気を取り入れる吸気口6を形成し、その裏側の上下にガイドレールを取り付け、これに細目の金網7を、スライドと着脱可能に取り付ける。また、吸気口6の表側には、吸気調節板8をガイドレールを介してスライド可能に取り付けた構成にする。なお、上記におけるガイドレールの薪取り入れ口扉への取り付けは、ビス、ネジ、溶接のいずれの手段であってもよい。
【0032】
また、燃焼室1の後方の上部側壁9には、燃焼筒10の上端から10cm下部の外周に突起11を設けた燃焼筒10の挿通が可能となる挿通孔12を穿設し、この挿通孔12に燃焼筒10を突起11下まで挿通可能に挿通する。これにより、燃焼筒10は、燃焼室1内に吊設された形になる。
【0033】
燃焼筒10は、厚さが、4〜5mmの鉄製の筒で、突起11の上部は、煙突13の内径より若干小さな外径に構成し、燃焼筒10に煙突13が嵌るようにする。また燃焼筒10の下端は、燃焼室1の底部14との間に略8cmの間隔ができるようにする。
【0034】
また、[図2]の(a)と(b)で示す例のように、燃焼筒10の下端部を鉤状に曲折して、その端部が、図の(a)のように吸気口6側に向くようにしてもよく、また、図の(b)のように、その端部を上方に向いた斜め切りにして、吸気口6側に向く構成にしてもよい。上記(a)及び(b)は、いずれも灰の吸い込みが少く、燃焼性の良いものとなる。この場合も、燃焼筒の下端と燃焼室1の底部14間は略8cmである。
【0035】
そして、本発明の燃焼筒10の突起11の上部には、煙突13を嵌着する。これにより燃焼筒10は、自身の重さと挿通孔12及び煙突13の支えにより、略固定した状態で燃焼筒1内に吊設できることとなる。
【0036】
なお、本発明においては、燃焼機能を高める観点から、燃焼筒10は、その径や筒数を増やして、燃焼室1内に配設すると共に、煙突13と連通する部材によって連通させて実施してもよい。
【0037】
次に、本発明の作用について説明する。本薪ストーブを用いる時は、吸気口6を開いた薪入れ口扉3を開き、薪を燃焼室1に入れ、その上に焚き付けを載せて点火する。これにより燃焼室1は、一時煙が充満するが、すぐに燃焼筒10に吸い込まれて燃焼が始まると、吸気口6からの空気の流入も増し、これにより、燃焼室1内の未燃焼ガス(煙)や炎(熱気流)等が、混合一体となって、燃焼筒10内に流れ込み、激しく燃焼するので、燃焼筒10内は、灼熱状態となり、この熱と燃焼室1内の燃焼熱によって、燃焼室1の側壁は、強く熱せられるので、ここから輻射熱や対流の熱となって、部屋や囲まれた空間の空気を効率よく暖めることとなる。
【0038】
本発明は、意図して、燃焼室1の側壁に耐熱材や断熱材を被覆せず、鉄板だけで構成すると共に、燃焼室1内に燃焼を高める燃焼筒10を内設した機構にしていることは、本発明の大きな特長である。
【符号の説明】
【0039】
1 燃焼室
2 薪入れ口
3 薪入れ口扉
5 窓
6 吸気口
7 金網
8 吸気調節版
9 上部側壁
10 燃焼筒
11 突起
12 挿通孔
13 煙突
14 底部
15 調節レバー
16 開閉レバー
17 耐熱ガラス
18 アングル又はガイドレール
図1
図2
図3
図4
図5