【解決手段】上記課題を解決するため、物体側から順に配置された、正の屈折力の第1レンズ群G1と、負の屈折力の第2レンズ群G2と、正の屈折力の第3ンズ群G3と、正の屈折力の第4レンズ群G4と、負の屈折力の第5レンズ群G5と、正の屈折力の第6レンズ群G6とから構成されるズームレンズにおいて、第1レンズ群G1及び第6レンズ群G6を光軸方向に固定させた状態で、第1レンズ群G1及び第2レンズ群G2の間隔が大きくなり、第2レンズ群G2及び第3レンズ群G3の間隔が小さくなるように、第2レンズ群G2〜第5レンズ群G5を相対的に移動させることで広角端から望遠端への変倍を行わせる。
物体側から順に配置された、正の屈折力の第1レンズ群と、負の屈折力の第2レンズ群と、正の屈折力の第3ンズ群と、正の屈折力の第4レンズ群と、負の屈折力の第5レンズ群と、正の屈折力の第6レンズ群とから構成され、
前記第1レンズ群及び第6レンズ群を光軸方向に固定させた状態で、前記第1レンズ群及び前記第2レンズ群の間隔が大きくなり、前記第2レンズ群及び前記第3レンズ群の間隔が小さくなるように、第2レンズ群、第3レンズ群、第4レンズ群及び第5レンズ群を相対的に移動させることで広角端から望遠端への変倍を行うことを特徴とするズームレンズ。
前記第2レンズ群が光軸に対して略垂直方向に移動可能に構成されており、第2レンズ群を光軸に対して略垂直方向に移動させることで、光軸に対して略垂直方向に像を移動させる請求項1から請求項8のいずれか一項に記載のズームレンズ。
前記ズームレンズの像側に、前記ズームレンズによって形成された光学像を電気的信号に変換する撮像素子を備えたことを特徴とする請求項1から請求項9のいずれか一項に記載の撮像装置。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本件発明に係るズームレンズ及び撮像装置の実施の形態を説明する。
【0013】
1.ズームレンズ
1−1.光学系の構成
本実施の形態のズームレンズは、物体側から順に配置された、正の屈折力の第1レンズ群と、負の屈折力の第2レンズ群と、正の屈折力の第3ンズ群と、正の屈折力の第4レンズ群と、負の屈折力の第5レンズ群と、正の屈折力の第6レンズ群とから構成され、前記第1レンズ群及び第6レンズ群を光軸方向に固定させた状態で、前記第1レンズ群及び前記第2レンズ群の間隔が大きくなり、前記第2レンズ群及び前記第3レンズ群の間隔が小さくなるように、第2レンズ群、第3レンズ群、第4レンズ群及び第5レンズ群を相対的に移動させることで広角端から望遠端への変倍を行うことを特徴とする。
を特徴とする。
【0014】
本実施の形態のズームレンズでは、上記正・負・正・正・負・正の6群構成を採用するとともに、各レンズ群間の間隔(空気間隔)を上記のように変化させて、各レンズ群に変倍作用を分担させると共に、変倍時の収差変動を抑制することで、高い変倍比を有し、且つ、変倍域全域にわたって良好な光学性能を有する小型のズームレンズを提供することができる。以下、各レンズ群の構成等を説明した上で、各種動作及び当該ズームレンズが満足することが好ましい条件式について説明する。
【0015】
(1)第1レンズ群
本実施の形態のズームレンズにおいて、第1レンズ群は正の屈折力を有する限り、その具体的なレンズ構成は特に限定されるものではない。例えば、当該第1レンズ群を物体側から順に配置された、1枚の負レンズ及び1枚の正レンズからなる接合レンズと、少なくとも1枚の正の単レンズとを備える構成とすることができる。このように構成することで、望遠端における球面収差の補正が容易になり、特に望遠端における光学性能をより向上することができる。
【0016】
(2)第2レンズ群
本実施の形態のズームレンズにおいて、第2レンズ群は負の屈折力を有する限り、その具体的なレンズ構成は特に限定されるものではない。しかしながら、例えば、少なくとも1枚の正レンズを含む構成とすることが好ましい。このように構成することで、色収差補正等を良好に行うことができ、より光学性能の高いズームレンズを得ることができる。
【0017】
(3)第3レンズ群
本実施の形態のズームレンズにおいて、第3レンズ群は正の屈折力を有する限り、その具体的なレンズ構成は特に限定されるものではないが、例えば、少なくとも1枚の正レンズを含み、当該正レンズの少なくとも1面が非球面とすることが好ましい。この場合、変倍比の高いズームレンズとした場合も、変倍域全域において、球面収差及びコマ収差の補正を良好に行うことができる。
【0018】
また、第3レンズ群は、少なくとも1枚の負レンズを含むことも好ましい。例えば、第3レンズ群を1枚の正レンズと1枚の負レンズとから構成することにより、少ないレンズ枚数で、高解像力のズームレンズを実現することができ、ズームレンズの小型化、軽量化及び低コスト化を図ることができる。ただし、第3レンズ群を1枚の正レンズと1枚の負レンズとから構成した場合、上述した理由から、この正レンズの少なくとも1面が非球面であることがより好ましい。
【0019】
(4)第4レンズ群
本実施の形態のズームレンズにおいて、第4レンズ群は正の屈折力を有する限り、その具体的なレンズ構成は特に限定されるものではない。正の屈折力の第3レンズ群の像側に、正の屈折力の第4レンズ群を配置することにより、変倍域全域にわたって、球面収差、コマ収差及び像面湾曲の補正が容易になり、良好な光学性能を実現することが容易になる。
【0020】
(5)第5レンズ群
本実施の形態のズームレンズにおいて、第5レンズ群は負の屈折力を有する限り、その具体的なレンズ構成は特に限定されるものではない。ただし、第5レンズ群を1枚の負レンズにより構成することで、当該ズームレンズの小型化及び軽量化を図ることができる。
【0021】
(6)第6レンズ群
本実施の形態のズームレンズにおいて、第6レンズ群は正の屈折力を有する限り、その具体的なレンズ構成は特に限定されるものではない。当該ズームレンズにおいて、最も像面側に配置されるレンズ群の屈折力を正にすることにより、バックフォーカスを短くすることができ、ズームレンズ全系の全長を短くすることができる。また、第6レンズ群は1枚のレンズから構成することが好ましい。このように構成することで、当該ズームレンズの小型化及び軽量化を図ることができる。
【0022】
(7)絞り
本実施の形態のズームレンズにおいて、絞りの配置は特に限定されるものではない。絞りが当該ズームレンズ内のどの位置に配置された場合であっても、本件発明に係る光学的効果を得ることができる。また、当該絞りは、像面に対して固定であってもよいし、移動可能に構成されてもよい。しかしながら、当該ズームレンズの大口径化を実現しながら、径方向の小型化を図るという観点から、第3レンズ群の物体側に絞りを配置することが好ましい。
【0023】
1−2.変倍時の動作
次に、本実施の形態のズームレンズの変倍時における動作を説明する。当該ズームレンズでは、広角端から望遠端への変倍の際に、前記第1レンズ群及び第6レンズ群を光軸方向に固定させた状態で、前記第1レンズ群及び前記第2レンズ群の間隔が大きくなり、前記第2レンズ群及び前記第3レンズ群の間隔が小さくなるように、第2レンズ群、第3レンズ群、第4レンズ群及び第5レンズ群を相対的に移動させることで広角端から望遠端への変倍を行う。これにより、上述したとおり、変倍作用を各群で分担することができ、変倍時における各レンズ群の移動量を小さくすることができる。このため、変倍比の高いズームレンズとしたときも、当該ズームレンズ全系の全長が長くなるのを抑制することができる。また、各群を移動させることにより、変倍時の収差変動を抑制することができる。このため、変倍比の高いズームレンズとしたときも、変倍域全域にわたって良好な光学性能を実現することができる。すなわち、少ないレンズ枚数で良好な収差補正を行うことができるため、解像力の高い小型のズームレンズを得ることができる。以下、各レンズ群毎に説明する。
【0024】
(1)第1レンズ群
本実施の形態のズームレンズにおいて、第1レンズ群は固定群である。ズームレンズの場合、一般に、第1レンズ群を構成するレンズは、他のレンズ群を構成するレンズよりも外径が大きく、重い。このため、第1レンズ群を固定群とすることにより、変倍時に移動する移動群を駆動するための駆動機構等の小型化を図ることができる。また、第1レンズ群を固定群とすることにより、変倍時における重心位置の移動を防止することができる。さらに、当該ズームレンズ全系の全長が変化せず、鏡筒構成を簡素にすることができる。ただし、当該ズームレンズ全系の全長とは、第1レンズ群において最も物体側に配置されたレンズの物体面と、像面との間の光軸上の距離をいう。
【0025】
(2)第2レンズ群
本実施の形態のズームレンズにおいて、第2レンズ群は、広角端から望遠端への変倍の際に、第1レンズ群及び第2レンズ群の間隔が大きくなり、第2レンズ群及び第3レンズ群の間隔が小さくなるように移動する。第2レンズ群を移動させることにより高変倍比のズームレンズを得ることが容易になる。
【0026】
(3)第3レンズ群
本実施の形態のズームレンズにおいて、第3レンズ群は、変倍時に各レンズ群の間隔が他のレンズ群との関係で上記のようになる限り、変倍の際に光軸方向に固定された固定群であってもよく、光軸方向に沿って移動する移動群であってもよい。しかしながら、より変倍比が高く、光学性能の高いズームレンズを得るという観点から、第3レンズ群は移動群であることが好ましい。第3レンズ群を移動群とする場合、広角端から望遠端への変倍の際に、第3レンズ群を像側に向かって凹の軌跡を描くように移動させることが好ましい。変倍の際に第3レンズ群をこのように移動させることにより、変倍に伴う結像位置の変化を抑制することができ、変倍域全域において、より高解像力のズームレンズを得ることができる。
【0027】
(4)第4レンズ群
本実施の形態のズームレンズにおいて、第4レンズ群は変倍時に各レンズ群の間隔が他のレンズ群との関係で上記のようになる限り、移動群及び固定群のいずれであってもよい。しかしながら、変倍時に第4レンズ群を移動させることで、変倍に伴う結像位置の変化を抑制することができ、変倍域全域において、より高解像力のズームレンズを得ることができる。
【0028】
また、第4レンズ群を移動群とするとき、第3レンズ群と第4レンズ群との間隔が、広角端から中間焦点距離への変倍の際には小さくなり、中間焦点距離から望遠端への変倍の際には大きくなるように、第4レンズ群を第3レンズ群に対して相対的に移動させることが好ましい。変倍の際に、第3レンズ群と第4レンズ群との間隔をこのように変化させることにより、変倍に伴う結像位置の変化を抑制し、変倍域全域において、高解像力のズームレンズを得ることができる。この際、変倍に伴う結像位置の変化をより良好に抑制するという観点から、広角端から望遠端への変倍の際に、第3レンズ群及び第4レンズ群をそれぞれ異なる軌跡で像側に向かって凹の軌跡を描くように移動させることが好ましい。
【0029】
(5)第5レンズ群
本実施の形態のズームレンズにおいて、第5レンズ群は変倍時に各レンズ群の間隔が他のレンズ群との関係で上記のようになる限り、移動群及び固定群のいずれであってもよい。但し、上記効果を得る上で、第5レンズ群も移動群とすることが好ましい。負の屈折力の第5レンズ群を移動させることで、変倍時における結像位置の変動を抑制することができ、変倍域全域にわたって良好な光学性能を維持することが容易になる。
【0030】
(6)第6レンズ群
本実施の形態のズームレンズにおいて、第6レンズ群は固定群である。第6レンズ群を固定群とすることにより、移動群を移動させるための上記駆動機構の構成を簡素にすることができる。また、第1レンズ群及び第6レンズ群を固定群とすることで、鏡筒を密閉構造とすることが容易になり、鏡筒内に水や埃が進入するのを防止することができる。
【0031】
(7)絞り
上述したとおり、絞りは像面に対して固定であっても、移動可能に構成されていてもよい。しかしながら、第3レンズ群の物体側に絞りを配置した場合、変倍時に第3レンズ群を移動させるときは、絞りと第3レンズ群とを一体的に移動させることが好ましい。これにより、上述したとおり、当該ズームレンズの大口径化を実現しながら、径方向の小型化を図ることができる。
【0032】
1−3.合焦時の動作
当該ズームレンズにおいて、合焦群は特に限定されるものではないが、第4レンズ群を合焦群とすることが好ましい。本実施の形態のズームレンズの構成では、第4レンズ群を比較的外径の小さいレンズで構成することができ、合焦群の小型化及び軽量化を図ることができ、迅速なフォーカシングが可能になる。また、合焦群の移動量を小さくすることができるため、当該ズームレンズ全系の全長の小型化を図ることができる。
【0033】
1−4.防振時の動作
当該ズームレンズは、いわゆる防振群を備えてもよい。ここで、防振群とは、光軸に対して略垂直方向に移動可能に構成された1枚又は複数枚のレンズからなるレンズ群をいう。防振群を光軸に対して略垂直方向に移動させることで、光軸に対して略垂直方向に像を移動させることができる。これにより、手振れ等の撮像時の振動に伴う像ブレを補正することができる。
【0034】
当該ズームレンズを構成するレンズ群のうち、いずれか一のレンズ群を防振群とすることができる。また、当該ズームレンズを構成するいずれか一のレンズ群の一部を防振群としてもよい。例えば、第2レンズ群を防振群とすることにより、上記撮像時の振動に伴う像ブレを補正する際の防振群の移動量を小さくすることができる。
【0035】
1−5.条件式
1−5−1.条件式(1)
次に、各条件式について説明する。当該ズームレンズは、上記構成を採用すると共に、下記条件式(1)を満足することが好ましい。
【0036】
(1) 0.40 < F3/√(Fw×Ft) < 0.93
ただし、
F3は、第3レンズ群の焦点距離であり、
Fwは、広角端における当該ズームレンズ全系の焦点距離であり、
Ftは、望遠端における当該ズームレンズ全系の焦点距離であり、
【0037】
条件式(1)は、当該ズームレンズ全系の実効焦点距離に対する第3レンズ群の焦点距離の比を規定した式である。上条件式(1)を満足することにより、第3レンズ群の屈折力が適正な範囲内となり、35倍〜45倍程度の高い変倍比を実現した場合も、変倍域全域にわたって良好な光学性能を有する小型のズームレンズを得ることができる。
【0038】
条件式(1)の数値が上限値以上になると、すなわち第3レンズ群の屈折力が弱くなると、第3レンズ群を移動群としたときの第3レンズ群の移動量が大きくなる。このため、変倍比を高くしたとき、望遠端におけるズームレンズ全系の全長が長くなり、当該ズームレンズの小型化を図ることが困難になる。一方、条件式(1)の数値が下限値以下になると、すなわち第3レンズ群の屈折力が大きくなると、球面収差や軸外のコマ収差を良好に補正することが困難になり、要求される光学性能を実現するには、収差補正に要するレンズ枚数が多くなり、当該ズームレンズの大型化につながる。また、少ないレンズ枚数でズームレンズを構成することにより、当該ズームレンズの小型化及び低コスト化を図ることが容易になる。
【0039】
これらの効果を得る上で、条件式(1)の上限値は0.90であることが好ましく、0.85であることがより好ましい。条件式(1)の上限値が小さいほど、高い変倍比を実現した場合も、当該ズームレンズの小型化を図ることがより容易になる。一方、条件式(1)の下限値は0.50であることが好ましく、0.55であることがより好ましい。条件式(1)の下限値が大きいほど、変倍域全域にわたって良好な光学性能を得ることができる。このとき、収差補正に要するレンズ枚数を少なくすることがより容易になる。
【0040】
1−5−2.条件式(2)
当該ズームレンズは、以下の条件式(2)を満足することも好ましい。
(2) 0.40 < TTL/Ft < 0.65
ただし、TTLは、当該ズームレンズ全系の全長であり、Ftは上述したとおりである。
【0041】
条件式(2)は、当該ズームレンズ全系の全長と望遠端における当該ズームレンズの焦点距離との比を規定した式である。条件式(2)を満足することにより、高変倍比を実現したときも全長方向の小型化を図ることができる。また、条件式(2)を満足することにより、変倍域全域にわたって良好な光学性能を実現することができる。
【0042】
条件式(2)の数値が上限値以上になると、変倍比の高いズームレンズとしたときに、当該ズームレンズ全系の全長が長くなるため、小型のズームレンズを実現することが困難になる。一方、条件式(2)の数値が下限値以下になると、像面湾曲や軸上色収差の補正が困難になり、変倍域全域にわたって良好な光学性能を維持することが困難になる。
【0043】
これらの効果を得る上で、条件式(2)の上限値は0.62であることが好ましく、0.61であることがより好ましい。条件式(2)の上限値が小さいほど、高い変倍比を実現した場合も、当該ズームレンズの小型化を図ることがより容易になる。一方、条件式(2)の下限値は、0.43であることが好ましく、0.45であることがより好ましい。条件式(2)の下限値が大きいほど、像面湾曲や軸上色収差の補正が容易になり、変倍域全域にわたって良好な光学性能を維持することがより容易になる。
【0044】
本実施の形態のズームレンズによれば、高い変倍比を有し、且つ、変倍域全域にわたって良好な光学性能を有する小型のズームレンズを提供することができる。本実施の形態のズームレンズは、35倍〜45倍程度の高変倍比を実現した場合も、変倍域全域にわたって良好な光学性能を有する小型のズームレンズを得ることができる。
【0045】
2.撮像装置
次に、本件発明に係る撮像装置について説明する。本件発明に係る撮像装置は、上記本件発明に係るズームレンズと、当該ズームレンズの像面側に設けられた、当該ズームレンズによって形成された光学像を電気的信号に変換する撮像素子とを備えたことを特徴とする。ここで、撮像素子等に特に限定はなく、CCDセンサやCMOSセンサなどの固体撮像素子等も用いることができ、本件発明に係る撮像装置は、デジタルカメラやビデオカメラ等のこれらの固体撮像素子を用いた撮像装置に好適である。また、当該撮像装置は、レンズが筐体に固定されたレンズ固定式の撮像装置であってもよいし、一眼レフカメラやミラーレス一眼カメラ等のレンズ交換式の撮像装置であってもよいのは勿論である。
【0046】
次に、実施例及び比較例を示して本件発明を具体的に説明する。ただし、本件発明は以下の実施例に限定されるものではない。以下に挙げる各実施例のズームレンズは、デジタルカメラ、ビデオカメラ、銀塩フィルムカメラ等の撮像装置(光学装置)に用いられる撮像光学系である。また、各レンズ断面図において、図面に向かって左方が物体側、右方が像面側である。
【実施例1】
【0047】
(1)ズームレンズの構成
図1は、本件発明に係る実施例1のズームレンズのレンズ構成を示すレンズ断面図であり、図面に向かって上から順に広角端状態、中間焦点距離状態及び望遠端状態における各レンズ断面図を示している。当該ズームレンズは、物体側から順に、正の屈折力の第1レンズ群G1と、負の屈折力の第2レンズ群G2と、正の屈折力の第3レンズ群G3と、正の屈折力の第4レンズ群G4と、負の屈折力の第5レンズ群G5と、正の屈折力の第6レンズ群とから構成されている。
【0048】
第1レンズ群G1は、物体側から順に配置される、物体側に凸面を向けた負のメニスカスレンズ及び正レンズからなる接合レンズと、正レンズとから構成される。
第2レンズ群G2は、物体側から順に配置された、負レンズと、両凹レンズ及び正レンズからなる接合レンズと、負レンズとから構成される。
第3レンズ群G3は、物体側から順に配置された、正レンズと、物体側に凸面を向けた負のメニスカスレンズとから構成される。
【0049】
第4レンズ群G4は、物体側から順に配置された、両凸レンズと、像側に凸面を向けた負のメニスカスレンズとからなる接合レンズとから構成される。
第5レンズ群G5は、1枚の負レンズから構成される。
第6レンズ群G6は、像側に凸面を向けた1枚の正レンズから構成される。
【0050】
当該実施例1のズームレンズにおいて、広角端から望遠端への変倍に際して、第1レンズ群G1は固定され、第2レンズ群G2は像側に移動し、第3レンズ群G3及び第4レンズ群G4はいずれも異なる軌跡で、像側に向かって凹の軌跡を描くように移動し、第5レンズ群G5は物体側に移動し、第6レンズ群G6は固定される。これにより、広角端から望遠端への変倍に際して、第1レンズ群及び第2レンズ群の間隔が大きくなり、第2レンズ群及び前記第3レンズ群の間隔が小さくなり、各レンズ群間の間隔が変化する。
【0051】
また、無限遠から近接物体への合焦は、第4レンズ群G4を物体側に移動させることで行う。
【0052】
さらに、第2レンズ群G2は、防振群VCであり、光軸に対して略垂直方向に移動可能に構成されている。第2レンズ群を光軸に対して略垂直方向に移動させることで、光軸に対して略垂直方向に像を移動させて、手振れ等の撮像時の振動に伴う像ブレを補正することができる。
【0053】
なお、
図1において、第3レンズ群G3の物体側に示す「S」は開口絞りであり、変倍時に第3レンズ群G3と一体的に移動する。また、第5レンズ群G5の像面側に示す「CG」はカバーガラスであり、ローパスフィルターや赤外カットフィルター等を表す。また、カバーガラスの像側には、CCDセンサやCMOSセンサなどの固体撮像素子の撮像面、或いは、銀塩フィルムのフィルム面等の像面が配置される。これらの符号等は他の実施例で示す各レンズ断面図においても同様である。
【0054】
(2)数値実施例
次に、当該ズームレンズの具体的数値を適用した数値実施例について説明する。表1に当該ズームレンズのレンズデータを示す。表1において、「面番号」は物体側から数えたレンズ面の順番、「r」はレンズ面の曲率半径、「d」はレンズ面の光軸上の間隔、「nd」はd線(波長λ=587.6nm)に対する屈折率、「vd」はd線に対するアッベ数をそれぞれ示している。また、レンズ面が非球面である場合には、面番号の後に「*(アスタリスク)」を付し、レンズ面が回折面である場合には、面番号の後に「♯(シャープ)」を付している。レンズ面が非球面又は回折面である場合は、曲率半径「r」の欄には曲率半径を示している。
【0055】
表2(2−1)は、非球面データである。表(2−1)には、下記式で定義したときの非球面係数を示す。ただし、表2(2−1)において、「E−a」は、「×10−a」を示す。
【0056】
【数1】
【0057】
ただし、上記式において、「r」は曲率、「h」は光軸からの高さ、「k」は円錐係数、「A4」、「A6」、「A8」、「A10」は各次数の非球面係数を示す。
【0058】
表2(2−2)及び表2(2−3)に各種データを示す。表(2−2)には、広角端状態、中間焦点距離状態及び望遠端状態における当該ズームレンズ全系の焦点距離(F)、Fナンバー(Fno)、半画角(ω)及び可変間隔(D(i))を示す。また、表2(2−3)に各レンズ群の焦点距離を示す。
【0059】
表3は、回折面データである。表3には、下記位相差関数で定義したときの、回折次数(m)、規格化波長(λ)、回折面係数(C01、C02、C03、C04)を示す。ただし、C01、C02、C03、C04はそれぞれ下記位相差関数のC1、C2、C3、C4に対応する。
【0060】
【数2】
【0061】
また、各条件式(1)〜条件式(3)の数値を表12に示す。なお、各表中の長さの単位は全て「mm」であり、画角の単位は全て「°」である。これらの表に関する事項は他の実施例で示す各表においても同様であるため、以下では説明を省略する。
【0062】
さらに、
図2〜
図4に当該ズームレンズの広角端状態、中間焦点距離状態、望遠端状態における無限遠合焦時の縦収差図をそれぞれ示す。それぞれの縦収差図は、図面に向かって左から順に、球面収差、非点収差、歪曲収差を表している。球面収差を表す各図では、縦軸は開放F値との割合、横軸にデフォーカスをとり、実線がd線(波長λ=587.6nm)、破線がF線(波長λ=486.1nm)、一点鎖線がC線(波長λ=656.3nm)における球面収差を表す。非点収差を表す各図では、縦軸は像高、横軸にデフォーカスをとり、実線がサジタル面、破線がメリジオナル面での非点収差を表す。歪曲収差を表す各図では、縦軸は像高、横軸に%をとり、歪曲収差を表す。これらの縦収差図に関する事項は他の実施例で示す各図においても同様であるため、以下では説明を省略する。
【0063】
【表1】
【0064】
【表2】
【0065】
【表3】
【実施例2】
【0066】
(1)光学系の構成
図5は、本件発明に係る実施例2のズームレンズのレンズ構成を示すレンズ断面図である。当該ズームレンズは、物体側から順に、正の屈折力の第1レンズ群G1と、負の屈折力の第2レンズ群G2と、正の屈折力の第3レンズ群G3と、正の屈折力の第4レンズ群G4と、負の屈折力の第5レンズ群G5と、正の屈折力の第6レンズ群とから構成されている。
【0067】
第1レンズ群G1は、物体側から順に配置された、物体側に凸面を向けた負のメニスカスレンズ及び正レンズからなる接合レンズと、正レンズとから構成される。
第2レンズ群G2は、物体側から順に配置された、負レンズと、両凹レンズ及び正レンズからなる接合レンズと、負レンズとから構成される。
第3レンズ群G3は、物体側から順に配置された、正レンズと、物体側に凸面を向けた負のメニスカスレンズとから構成される。
【0068】
第4レンズ群G4は、物体側から順に配置された、両凸レンズと、像側に凸面を向けた負のメニスカスレンズとからなる接合レンズとから構成される。
第5レンズ群G5は、1枚の負レンズから構成される。
第6レンズ群G6は、像側に凸面を向けた1枚の正レンズから構成される。
【0069】
当該実施例2のズームレンズにおいて、広角端から望遠端への変倍に際して、第1レンズ群G1は固定され、第2レンズ群G2は像側に移動し、第3レンズ群G3及び第4レンズ群はいずれも異なる軌跡で、像側に向かって凹の軌跡を描くように移動し、第5レンズ群G5は物体側に移動し、第6レンズ群G6は固定される。これにより、広角端から望遠端への変倍に際して、第1レンズ群及び第2レンズ群の間隔が大きくなり、第2レンズ群及び前記第3レンズ群の間隔が小さくなり、各レンズ群間の間隔が変化する。
【0070】
また、無限遠から近接物体への合焦は、第4レンズ群G4を物体側に移動させることで行う。
【0071】
さらに、第2レンズ群G2は、防振群VCであり、光軸に対して略垂直方向に移動可能に構成されている。第2レンズ群を光軸に対して略垂直方向に移動させることで、光軸に対して略垂直方向に像を移動させて、手振れ等の撮像時の振動に伴う像ブレを補正することができる。
【0072】
(2)数値実施例
次に、当該ズームレンズの具体的数値を適用した数値実施例について説明する。表4は、当該ズームレンズのレンズデータであり、表5(5−1)は非球面データであり、表5(5−2)及び表5(5−3)は各種データである。また、表6は、回折面データである。また、表12に条件式(1)〜条件式(3)の数値を示す。さらに、
図6〜
図8は、当該ズームレンズの広角端状態、中間焦点距離状態、望遠端状態における無限遠合焦時の縦収差図である。
【0073】
【表4】
【0074】
【表5】
【0075】
【表6】
【実施例3】
【0076】
(1)光学系の構成
図9は、本件発明に係る実施例3のズームレンズのレンズ構成を示すレンズ断面図である。当該ズームレンズは、物体側から順に、正の屈折力の第1レンズ群G1と、負の屈折力の第2レンズ群G2と、正の屈折力の第3レンズ群G3と、正の屈折力の第4レンズ群G4と、負の屈折力の第5レンズ群G5と、正の屈折力の第6レンズ群とから構成されている。
【0077】
第1レンズ群G1は、物体側から順に配置された、物体側に凸面を向けた負のメニスカスレンズ及び正レンズからなる接合レンズと、正レンズとから構成される。
第2レンズ群G2は、物体側から順に配置された、負レンズと、両凹レンズ及び正レンズからなる接合レンズと、負レンズとから構成される。
第3レンズ群G3は、物体側から順に配置された、正レンズと、物体側に凸面を向けた負のメニスカスレンズとから構成される。
【0078】
第4レンズ群G4は、物体側から順に配置された、両凸レンズと、像側に凸面を向けた負のメニスカスレンズとからなる接合レンズとから構成される。
第5レンズ群G5は、1枚の負レンズから構成される。
第6レンズ群G6は、像側に凸面を向けた1枚の正レンズから構成される。
【0079】
当該実施例3のズームレンズにおいて、広角端から望遠端への変倍に際して、第1レンズ群G1は固定され、第2レンズ群G2は像側に移動し、第3レンズ群G3及び第4レンズ群G4はいずれも異なる軌跡で、像側に向かって凹の軌跡を描くように移動し、第5レンズ群G5は物体側に移動し、第6レンズ群G6は固定される。これにより、広角端から望遠端への変倍に際して、第1レンズ群及び第2レンズ群の間隔が大きくなり、第2レンズ群及び前記第3レンズ群の間隔が小さくなり、各レンズ群間の間隔が変化する。
【0080】
また、無限遠から近接物体への合焦は、第4レンズ群G4を物体側に移動させることで行う。
【0081】
さらに、第2レンズ群G2は、防振群VCであり、光軸に対して略垂直方向に移動可能に構成されている。第2レンズ群を光軸に対して略垂直方向に移動させることで、光軸に対して略垂直方向に像を移動させて、手振れ等の撮像時の振動に伴う像ブレを補正することができる。
【0082】
(2)数値実施例
次に、当該ズームレンズの具体的数値を適用した数値実施例について説明する。表7は、当該ズームレンズのレンズデータであり、表8(8−1)は非球面データであり、表8(8−2)及び表8(8−3)は各種データである。また、表9は、回折面データである。また、表12に条件式(1)〜条件式(3)の数値を示す。さらに、
図10〜
図12は、当該ズームレンズの広角端状態、中間焦点距離状態、望遠端状態における無限遠合焦時の縦収差図である。
【0083】
【表7】
【0084】
【表8】
【0085】
【表9】
【実施例4】
【0086】
(1)光学系の構成
図13は、本件発明に係る実施例4のズームレンズのレンズ構成を示すレンズ断面図である。当該ズームレンズは、物体側から順に、正の屈折力の第1レンズ群G1と、負の屈折力の第2レンズ群G2と、正の屈折力の第3レンズ群G3と、正の屈折力の第4レンズ群G4と、負の屈折力の第5レンズ群G5と、正の屈折力の第6レンズ群とから構成されている。
【0087】
第1レンズ群G1は、物体側から順に配置された、物体側に凸面を向けた負のメニスカスレンズ及び正レンズからなる接合レンズと、正レンズと、正レンズとから構成される。
第2レンズ群G2は、物体側から順に配置された、負レンズと、両凹レンズ及び正レンズからなる接合レンズと、負レンズとから構成される。
第3レンズ群G3は、物体側から順に配置された、正レンズと、物体側に凸面を向けた負のメニスカスレンズとから構成される。
【0088】
第4レンズ群G4は、物体側から順に配置された、両凸レンズと、像側に凸面を向けた負のメニスカスレンズとからなる接合レンズとから構成される。
第5レンズ群G5は、1枚の負レンズから構成される。
第6レンズ群G6は、像側に凸面を向けた1枚の正のメニスカスレンズから構成される。
【0089】
当該実施例4のズームレンズにおいて、広角端から望遠端への変倍に際して、第1レンズ群G1は固定され、第2レンズ群G2は像側に移動し、第3レンズ群G3及び第4レンズ群G4はいずれも異なる軌跡で、像側に向かって凹の軌跡を描くように移動し、第5レンズ群G5は物体側に移動し、第6レンズ群G6は固定される。これにより、広角端から望遠端への変倍に際して、第1レンズ群及び第2レンズ群の間隔が大きくなり、第2レンズ群及び前記第3レンズ群の間隔が小さくなり、各レンズ群間の間隔が変化する。
【0090】
また、無限遠から近接物体への合焦は、第4レンズ群G4を物体側に移動させることで行う。
【0091】
さらに、第2レンズ群G2は、防振群VCであり、光軸に対して略垂直方向に移動可能に構成されている。第2レンズ群を光軸に対して略垂直方向に移動させることで、光軸に対して略垂直方向に像を移動させて、手振れ等の撮像時の振動に伴う像ブレを補正することができる。
【0092】
(2)数値実施例
次に、当該ズームレンズの具体的数値を適用した数値実施例について説明する。表10は、当該ズームレンズのレンズデータであり、表11(11−1)は非球面データであり、表11(11−2)及び表11(11−3)は各種データである。また、表12に条件式(1)〜条件式(3)の数値を示す。さらに、
図14〜
図16は、当該ズームレンズの広角端状態、中間焦点距離状態、望遠端状態における無限遠合焦時の縦収差図である。
【0093】
【表10】
【0094】
【表11】
【0095】
【表12】