(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2016-207179(P2016-207179A)
(43)【公開日】2016年12月8日
(54)【発明の名称】バッテリー修理貸与管理システム及び使用済みバッテリーを修理し代替バッテリーを貸与する方法
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/06 20120101AFI20161111BHJP
B65G 61/00 20060101ALI20161111BHJP
【FI】
G06Q50/06
B65G61/00 400
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】書面
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2015-97729(P2015-97729)
(22)【出願日】2015年4月20日
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り 1.ウェブサイトによる公開(1) 掲載年月日:平成26年10月24日 掲載アドレス: http://willbe−trade.co.jp/ http://willbe−trade.co.jp/shop/products/list.php?category_id=7 2.ウェブサイトによる公開(2) 掲載年月日:平成26年10月23日 掲載アドレス: http://www.amazon.co.jp/gp/aw/b/A1NVKBGBD12201 http://www.amazon.co.jp/gp/aw/sp.html?mp=&oid=&s=A1NVKBGBD12201&t=about−seller 3.ウェブサイトによる公開(3) 掲載年月日:平成27年4月20日 掲載アドレス:http://www.rakuten.co.jp/willbe−trade/
(71)【出願人】
【識別番号】515127614
【氏名又は名称】株式会社ウイルビートレードコーポレーション
(72)【発明者】
【氏名】横田 賢一
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049CC06
(57)【要約】 (修正有)
【課題】電動アシスト自転車のバッテリー修理時に代替バッテリーを貸与するバッテリー修理貸与管理システムを提供する。
【解決手段】発注管理手段21は、利用者情報及び利用者バッテリー情報を記憶し、在庫管理手段22は、貸与用バッテリーの情報を記憶し、情報処理手段20は、利用者情報、利用者バッテリー情報及び貸与用バッテリー情報から、利用者に貸与すべきバッテリーが配置されている物流拠点を特定し、バッテリー回収配送指示手段23は、物流拠点端末12に利用者のバッテリーの回収と貸与用バッテリーの配送を指示する。前記発注管理手段21は、物流拠点を特定したのち、物流拠点端末12に対し、利用者情報と利用者バッテリー情報を送信し、物流拠点端末12に対して利用者へ代替バッテリーを貸与し、利用者の使用済みバッテリーを回収してバッテリー修理工場に送付するよう指示する。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
発注管理手段、在庫管理手段、情報処理手段、バッテリー回収配送指示手段を有するサーバー装置を備えたバッテリー修理貸与管理システムにおいて、
前記発注管理手段は、利用者端末から送信される利用者情報及び利用者の所有する利用者バッテリーの利用者バッテリー情報を記憶する、
前記在庫管理手段は、物流拠点に配置されている貸与用バッテリーの情報及び利用者に貸与中のバッテリーの情報を記憶する、
前記情報処理手段は、前記利用者情報、前記利用者バッテリー情報及び前記貸与用バッテリー情報から、利用者に貸与すべき貸与用バッテリーが配置されている物流拠点を特定する、
前記バッテリー回収配送指示手段は、物流拠点に利用者のバッテリーの回収と貸与用バッテリーの配送を指示する、
前記発注管理手段は、さらに、前記物流拠点を特定したのち、当該物流拠点の物流拠点端末に対し、前記利用者情報と前記利用者バッテリー情報を送信し、当該物流拠点端末に対して前記利用者情報に記載の利用者に対して、前記利用者バッテリー情報に記載の利用者バッテリーの代替えとなる貸与用バッテリーを貸与し、利用者の使用済みの利用者バッテリーを回収してバッテリー修理工場に送付するよう指示する、
ことを特徴とするバッテリー修理貸与管理システム
【請求項2】
上記バッテリー回収配送指示手段は、バッテリー修理工場に保有されるバッテリー修理工場端末に対して、修理後の前記利用者バッテリーを利用者に返送するとともに、利用者に貸与していた貸与用バッテリーを利用者から回収する旨の指示を行う、請求項1に記載のバッテリー修理貸与管理システム。
【請求項3】
上記在庫管理手段において、物流拠点又はバッテリー修理工場において、バッテリー配送用の通い箱に付されたバーコードタグをバーコードリーダーで読み込むことにより、通い箱内のバッテリーの在庫管理情報が更新されることを特徴とする、請求項1又は2に記載のバッテリー修理貸与管理システム。
【請求項4】
利用者の使用済みバッテリーを修理し代替バッテリーを貸与する方法であり、以下のステップ、
(1)利用者端末から利用者の住所などの利用者情報及び顧客のバッテリーの型番などのバッテリー情報を受領するステップ、
(2)前記バッテリー情報から代替バッテリーが配置されている物流拠点を特定するステップ、
(3)前記物流拠点において、代替バッテリーを選択するステップ、
(4)代替バッテリーを利用者に配送するステップ、
(5)利用者から使用済みバッテリーを回収するステップ、
(6)前記使用済みバッテリーをバッテリー修理工場に配送するステップ、
(7)バッテリー修理工場で前記使用済みバッテリーを修理するステップ
(8)修理後のバッテリーを利用者に返送するステップ
(9)利用者から代替バッテリーを回収するステップ、
(10)回収した代替バッテリーを物流拠点に返送するステップ
を上記順番で含むことを特徴する方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電動アシスト自転車の使用済みバッテリーの修理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
電動アシスト自転車とは、バッテリーでモーターを動かし、搭乗者がペダルでこぐ力を補助する自転車を意味する。1990年代の発売当初から右肩あがりで販売が増加しており、2013年で44.8万台、2020年に62万台まで普及すると予想されている。当初は、主婦などの女性などによる買い物や通勤通学が主な用途であったが、現在は、子育てファミリーの幼児送迎用の購入が増加している。現在、日本の自転車保有台数のうち、8.6%である600万台が電動アシスト自転車の保有となっている。2020年の電動アシスト自転車の保有台数は1000万台と予測され、マーケットがさらに拡大する。電動アシスト自転車のユーザー層は30代が4割と多く、子供乗せ電動アシスト自転車の普及によるものが大きいとかんがえられる。また50代以上も多く、坂道などが多い地方都市の利用も増えている。
【0003】
一方、電動アシスト自転車は便利であるが、バッテリーの充放電を繰り返すことによってその性能が低下し、走行できる距離が短くなる。そのため、一定期間使用するとバッテリーの交換が必要になる。
【0004】
電動アシスト自転車の製造販売メーカーは、バッテリーの製造販売の期間を6年間とし、その後は継続の互換性のあるバッテリーの販売を行うだけで、部品の供給やメンテナンス業務は行っていない。ニッカド電池、ニッケル水素電池を使った電動アシスト自転車の利用者には、バッテリーの製造を中止している為、リチウムイオンバッテリーを搭載した電動アシスト自転車への乗り換えを進められるだけで、アフターサービスを受けられず困っている人も多い。
また、バッテリー交換は新品だと35,000〜50,000円程度の費用がかかり、子育てママや高齢者にとって、非常に高額なものとなる。そのため、中にはバッテリー交換費用が高額なので普通の自転車に戻す人も見受けられる。
【0005】
電動アシスト自転車のバッテリーが劣化して電気容量が低下した場合、自転車販売店より新品のバッテリーを購入する方法がある。最近では、バッテリーのリサイクルサービスが始まっている。リサイクルサービスとは、利用者のバッテリーを預かり、バッテリー内部の充電池をすべて新しいものに交換し、バッテリーの電池容量を新品と同様の状態に修理するサービスである。
通常、バッテリーケースや制御装置は、製造期間が6年程度と短く、その後の修理や部品交換もされずに捨てられてきた。電動アシスト自転車は10年以上使用することも可能であるが、バッテリーの修理や電池交換ができる事は一般的に知られていない。
【0006】
図1にバッテリーの修理の様子を示す。バッテリーのケースや電子回路基板はそのままで、バッテリー内部の充電池(セル)を取り出し新品セルに置き換える。
交換された充電池の寿命は、純正面の充電池と変わらない。一方で、利用者が、バッテリー修理サービスを利用した場合、メーカー純正の新品バッテリーを購入した場合と比べて、おおよそ40%もの費用削減ができる。また、メーカー純正のバッテリーが販売終了した場合でも、バッテリー修理が可能である。当該サービスでは、一般にバッテリー内部の充電池すべてが新品に交換される。
【0007】
利用者がバッテリーを充電した際、バッテリーや充電器が熱くなることがある。この現象は、バッテリーの経年劣化(ヘタリ)により、電池の内部抵抗力が高まり、電気がバッテリーに蓄電されず、熱くなって放熱している。長時間充電を行ってもバッテリーに充電(蓄電)ができなくなり、電気の浪費とバッテリーの消耗や損傷につながる。バッテリーの電気容量が低下した時点で、バッテリーの修理を頂く事が、省エネにつながる。
【0008】
利用者がバッテリーの修理サービスを利用することで、新品のバッテリーを製造するために使用するエネルギー(CO2の排出量に換算すると200g)の削減や使用済みバッテリーを廃棄・処理する際に排出されるCO2の削減に貢献することができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
電動アシスト自転車のバッテリーの修理期間は、バッテリー内充電池を新品と交換し、基板を再生するため、おおよそ2〜4週間かかる。電動アシスト自転車は、駆動モーター、ギアが自転車ペダル部分のシャフトと直結されている為、バッテリーが使えない時は、ペダルの踏込力が必要となり、バッテリーを外した状態で漕ぐと普通の自転車を漕ぐ以上に脚力が必要となる。このため、バッテリーの修理期間は、脚力弱い人にとって、電動アシスト自転車が重くて使いづらいという課題がある。
【0009】
本発明は、上記課題を鑑みてなされたものであり、バッテリーを買い換える資力のない利用者、脚力が弱い利用者に対して、電動アシスト自転車のバッテリー修理時に代替バッテリーを貸与するバッテリー修理管理システムを提供する。
【課題を解決するための手段】
上記課題を達成するために、本発明のバッテリー修理貸与管理システムは、
発注管理手段、在庫管理手段、情報処理手段、バッテリー回収配送指示手段を有するサーバー装置を備え、
前記発注管理手段は、利用者端末から送信される利用者情報及び利用者の所有する利用者バッテリーの利用者バッテリー情報を記憶する、
前記在庫管理手段は、物流拠点に配置されている貸与用バッテリーの情報及び利用者に貸与中のバッテリーの情報を記憶する、
前記情報処理手段は、前記利用者情報、前記利用者バッテリー情報及び前記貸与用バッテリー情報から、利用者に貸与すべき貸与用バッテリーが配置されている物流拠点を特定する、
前記バッテリー回収配送指示手段は、物流拠点に利用者のバッテリーの回収と貸与用バッテリーの配送を指示する、
前記発注管理手段は、さらに、前記物流拠点を特定したのち、当該物流拠点の物流拠点端末に対し、前記利用者情報と前記利用者バッテリー情報を送信し、当該物流拠点端末に対して前記利用者情報に記載の利用者に対して、前記利用者バッテリー情報に記載の利用者バッテリーの代替えとなる貸与用バッテリーを貸与し、利用者の使用済みの利用者バッテリーを回収してバッテリー修理工場に送付するよう指示する。
【0010】
また、本発明のバッテリー修理貸与管理システムは、
上記バッテリー回収配送指示手段が、バッテリー修理工場に保有されるバッテリー修理工場端末に対して、修理後の前記利用者のバッテリーを利用者に返送するとともに、利用者に貸与していたバッテリーを利用者から回収する旨の指示を行う。
【0011】
また、本発明のバッテリー修理貸与管理システムは、
上記在庫管理手段が、物流拠点又はバッテリー修理工場において、バッテリー配送用の通い箱に付されたバーコードタグをバーコードリーダーで読み込むことにより、通い箱内のバッテリーの在庫管理情報が更新される。
【0012】
また、本発明の利用者の使用済みバッテリーを修理する方法は、以下のステップ
(1)利用者端末から利用者の住所などの利用者情報及び顧客のバッテリーの型番などのバッテリー情報を受領するステップ、
(2)前記バッテリー情報から代替バッテリーが配置されている物流拠点を特定するステップ、
(3)前記物流拠点において、代替バッテリーを選択するステップ、
(4)代替バッテリーを利用者に配送するステップ、
(5)利用者から使用済みバッテリーを回収するステップ、
(6)前記使用済みバッテリーをバッテリー修理工場に配送するステップ、
(7)バッテリー修理工場で前記使用済みバッテリーを修理するステップ
(8)修理後のバッテリーを利用者に返送するステップ
(9)利用者から代替バッテリーを回収するステップ、
(10)回収した代替バッテリーを物流拠点に返送するステップ
を上記順番で含むことを特徴する。
【発明の効果】
【0013】
本件発明の効果は以下の通りである。
(1)バッテリー修理期間中に代替バッテリーを貸与することで、利用者が電動アシスト自転車を常時利用することができる。そして子育てママや高齢者の金銭的不安も解消する。
(2)バッテリーの修理及び貸与並びに貸与バッテリーの在庫管理を情報システムで行うため、常時自動で営業を行うことが可能となり、人件費を削減できるだけでなく、物流の流れの中で起こる人為的ミスも防ぐことができる。
(3)修理したバッテリーを配送し、代替バッテリーを回収する。そして、商品の受け取りと代替バッテリーの返却も同時にできる。そのため、サービス会社は代替バッテリーの回収リスクと手聞が省ける。
(4)物流拠点に代替バッテリーを配置し、利用者からの注文後すぐに代替バッテリーを利用者に配送することができる。
(5)また、貸与バッテリーの送付と、利用者のバッテリーの引取を同じ通い箱でおこなうため、利用者はバッテリーの配送する際、梱包の手間が不要となる。その結果、梱包のためのダンボールなどの無駄な廃棄物を出さずに環境負荷が小さい。
(6)バッテリーの利用者が持ち運ばず楽に代替バッテリーの受け取りと修理バッテリーの出荷ができる。利用者は「通い箱」を玄関口で取り出し、修理するバッテリーを同じ様に通い箱に入れるだけある。利用者は、送り状の作成や費用の支払も発生しない。
(7)循環型社会を実現することにより、環境負荷を低減させ社会に貢献することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】電動アシスト自転車のバッテリーの内部構造を示す図。バッテリーを修理する場合は、劣化セルを新品セルに交換する。
【
図2】電動アシスト自転車のバッテリーと当該バッテリーを配送する際に用いる通い箱。この通い箱はプラスチック製ダンボールで制作されている。
【
図3】本発明のバッテリー修理管理システムの模式図。利用者端末、サーバー装置、物流拠点端末、修理工場端末がインターネットを介して接続されている様子を示している。
【
図4】本発明のバッテリー修理貸与管理システムの概略図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を参照しながら本発明の実施の形態に係るバッテリー再生管理システムを説明する。
(ビジネスの方法)
【0016】
まず、本願発明の背景にあるビジネスの方法について説明する。バッテリー修理サービスを提供する会社(以下、「サービス会社」)は、(1)自社店舗、(2)ウェブページ、(3)Amazon、(4)楽天市場、等を活用し、全国の電動アシスト自転車をご利用されている方を利用者とし、バッテリー修理サービスを提供する。そして、バッテリーの修理期間中に代替バッテリーを貸与する。
【0017】
サービス会社はこのバッテリー修理期間中に利用者に代替バッテリー(貸与用バッテリー)をプラッスチック製ダンボールの「通い箱」(
図2参照)に入れ、利用者の居所まで配送し、同時に利用者が修理依頼した使用済みバッテリーを「通い箱」に入れて修理工場へ送る。工場で修理が終わると修理したバッテリーを「通い箱」に入れて利用者にお届けし、更に同時回収で代替バッテリーをサービス会社(又は物流拠点等)へ返却する。
【0018】
当該バッテリー修理貸与管理システムを利用したバッテリー修理サービスの概略以下に示す。
(1)バッテリーの修理を希望する利用者の利用者端末から利用者の住所などの利用者情報及び顧客のバッテリーの型番などのバッテリー情報を受領する。
(2)利用者のバッテリー情報から、互換性のある代替バッテリー(貸与用バッテリー)が配置されている物流拠点を特定する。
(3)物流拠点において、代替バッテリーを選択する。なお、代替バッテリーは
図2(右側)のような通い箱に収納されている。
(4)配送業者などを使って代替バッテリーを利用者に配送する。代替バッテリーは通い箱に入れた状態で配送する。
(5)利用者から使用済みバッテリーを回収する。使用済みバッテリーは、代替バッテリーが収納してあった通い箱に収納する。
(6)使用済みバッテリーを所定のバッテリー修理工場に配送する。
(7)バッテリー修理工場では、使用済みバッテリー内部の電池を交換するなどして修理を行う。
(8)修理後のバッテリーを利用者に返送する。
(9)利用者から代替バッテリーを回収する。
(10)回収した代替バッテリーを物流拠点に返送する。
【0019】
サービス会社は、この代替バッテリーの管理を「通い箱」の外側に付したバーコードタグを、代替バッテリーのメーカー型式番号、充電状況、在庫管理場所を識別する為に使用してもよい。バッテリーの種類は200種類以上あり、メーカー間の互換性はなく、バッテリーの種類(ニッカド電池、ニッケル水素電池、リチウムイオン電池等)が違うと互換性がなく、製造年月日でも互換性がない場合がある。このメーカー、バッテリー種類、製造年月日のデータ情報から、サービス会社のデータシステムで自動的に互換性がある代替バッテリーが選ぶ事ができる。
【0020】
利用者から物流拠点に戻った代替バッテリーは、物流拠点の倉庫で再充電した後、保管管理される。この保管情報については、当該バッテリー修理管理システムと連動され、在庫状況や利用者からの受注に対し互換性バッテリーを選ぶ際に活用される。
(実施の形態)
【0021】
本願発明者は、上記のビジネスの方法をインターネットを介したコンピュータ上で具体的に実現しうる情報システム(バッテリー修理貸与管理システム)を構築した。
以下、
図1〜
図4を参照しつつ、本発明に関するバッテリー修理管理システムの構成及び動作の詳細を説明する。
【0022】
図3に示すとおり、バッテリー使用者が利用する使用者端末11、サービス会社のサーバー装置10、物流拠点の物流拠点端末12a、12b、バッテリー修理工場の修理工場端末13はインターネットを介してそれぞれ接続されている。また、
図4に示すとおり、本発明のバッテリー修理管理貸与システム100は、サーバー装置10を備え、サーバー装置は、発注管理手段21、在庫管理手段22、バッテリー回収配送指示手段23及び情報処理手段20を有している。サーバー装置20は、サーバー機能を備えた一般的なパソコンでよいが、これに限るものではない。また、サーバー装置20は、かならずしもサービス会社に設置している必要もなく、クラウド上のサーバー装置などでもよい。
【0023】
(バッテリー修理依頼)
バッテリー修理サービスを提供する会社(サービス会社)は、あらかじめ自社ホームページや楽天社やアマゾン社などのインターネット店舗において、使用済みバッテリー(利用者バッテリー)の修理の依頼を受け付ける注文画面などを準備する。注文画面では、利用者が修理を希望する使用済みバッテリーのメーカー名、製品番号、容量等、利用者が使用していたバッテリーの特定に必要なバッテリー情報を入力する。注文画面であらかじめメーカー名や容量などを選択できるようにしておいて、利用者はそれを選択するようにしてもよい。そして、利用者は利用者の氏名や住所などの利用者情報も注文画面に入力する。利用者の氏名、住所などの利用者情報は、配送業者による使用済みバッテリーの回収、貸与用バッテリーの送付の際に利用される。
【0024】
使用済みバッテリーの修理を希望する利用者は、PCやスマートフォンなどの利用者端末から上記の注文画面等を通して、サービス会社に対して使用済みバッテリーの修理を依頼する。利用者端末11から入力された、利用者情報及びバッテリー情報はバッテリー修理貸与管理システム100の発注管理手段21に送信され、サーバー装置に内蔵されたメモリなどに記憶される。
【0025】
(バッテリー修理貸与管理システム)
サービス会社は、利用者からの修理の依頼に対して、利用者の使用済みの利用者バッテリー30を回収し、バッテリー30の修理中に使用する貸与用バッテリー31を利用者に貸与する。利用者バッテリー30の回収及び貸与用バッテリー31の配送は、配送業者を利用する。
サービス会社は、貸与用バッテリー31を迅速に利用者に届けるために、物流拠点にあらかじめ貸与用バッテリー31を配置しておく。物流拠点は自社の物流倉庫や一般の物流会社の物流センターなどである。物流拠点に配置する貸与用バッテリー31は、修理を依頼する利用者に対してバッテリーの修理期間に貸与されるものであり、あらかじめ十分な充電をしておき、利用者が一定期間の利用が可能な状態にしておく。
【0026】
サービス会社は、どの物流拠点にどのバッテリーが配置されているか常時に把握しておく。貸与用バッテリー31のメーカー名、製品番号、容量などの貸与用バッテリー情報及びその貸与用バッテリー31が配置されている物流拠点の情報を関連づけて、サーバー装置10の在庫管理手段22に記憶しておく。その際、バッテリーの充電状態や外観や色などの付随する情報を記憶しておいてもよい。
【0027】
情報処理手段20は、利用者端末11から送られてきた利用者情報及び利用者バッテリー情報から、どの物流拠点に配置されている貸与用バッテリー31を利用者に届けるかを決定する。利用者の使用済みの利用者バッテリー30と互換性のある代替バッテリーを貸与用バッテリー31として選択する。
同タイプの貸与用バッテリー31が複数の物流拠点に配置されている場合は、どの物流拠点の貸与用バッテリー31を選択してもかまわないが、利用者居所に近い物流拠点に配置されている貸与用バッテリー31を選択することもできる。
【0028】
サーバー装置10のバッテリー回収配送指示手段23は、利用者に送付すべき貸与用バッテリー31が配置された物流拠点が特定されたのち、当該物流拠点の物流拠点端末12に対して、利用者の使用者バッテリー30を回収し、貸与用バッテリー31を利用者に貸与し、回収された使用者バッテリー30をバッテリー修理工場に配送する旨の指示を行う。その際、利用者情報と利用者バッテリー情報をあわせて物流拠点端末12に送信する。
【0029】
(通い箱)
サービス会社は、バッテリーの配送及び保管に「通い箱」を利用すると、より効率のよいサービスが提供できる。通い箱の概要を
図2に示す。物流拠点に貸与用バッテリー31を配置しておくときはこの通い箱に入れて保管する。物流拠点、利用者、バッテリー修理工場間のバッテリーの配送の際は、この通い箱にバッテリーを入れて配送を行う。この実施例の通い箱はプラスチック製ダンボールで構成され、軽くて丈夫であり、何度も再利用が可能である。通い箱の大きさは市販のどのようなタイプのバッテリーも収納できる大きさにする。そうすると、サービス会社が所有する通い箱の種類を減らすことができる。
図2の実施例の通い箱は、高さ157mm、長さ288mm、幅128mmで、材料の厚さは5mmである。
一般に物流会社は配送品のサイズと送り先で輸送料金を設定している。この通い箱は、三辺合計が〜60cmであり、各物流会社の一番安い料金帯で出荷と回収が可能となる。利用者は配送用のダンボールの用意が不要で、出荷と集荷を同時に行うことができ、当該バッテリー修理サービスの利便性が向上する。プラスチック製ダンボールは、ダンボールと比較すると、再利用が行いやすく、廃棄物ゼロの環境物流が可能となる。
【0030】
(バーコードタグ)
また、「通い箱」の側面に情報の読み込みと消去が可能なバーコードタグを取り付けてもよい。当該バーコードタグには通い箱に収められているバッテリーに関する情報を記録しておく。バーコードタグをバーコードリーダーで読み込ませることで、サービス会社のバッテリー修理貸与管理システム100に情報が取り込まれ、この情報を元に物流拠点やバッテリー修理工場と情報を共有化させてもよい。物流拠点、バッテリー修理工場でもバーコード情報を読み込ませる事で、バッテリー修理貸与管理システム100に記録されている通い箱の位置情報を更新することができる。
貸与用バッテリー31(又は貸与用バッテリー31を入れてある通い箱)の底にもバーコードタグを配置してもよい。バーコードタグにはメーカー名、バッテリーの型番及びバッテリーの劣化テスト結果情報などが書き込まれている。利用者へ貸与用バッテリー31を貸与し、その後物流拠点に当該貸与用バッテリー31が戻った時点でバッテリーの充電を行う。充電が完了すると、その情報もバーコードリーダーで読み込ませ、充電状態の管理、貸与用バッテリー31の種類毎の保管管理を行うことができる。
【0031】
(物流拠点)
物流拠点ではバッテリー回収配送指示手段の指示に基づいて、物流拠点内に配置された利用者バッテリー30と同タイプの貸与用バッテリー31をピックアップし、配送業者に依頼して、利用者のもとに届け、利用者の利用者バッテリー30を回収し、バッテリー再生工場に配送する。このように、貸与用バッテリー31の配送と、利用者の利用者バッテリー30の集荷を同時に行うことで、物流コストが削減される。利用者にとっては、互換性のある貸与用バッテリー31の貸与を受けることで、利用者バッテリー30の修理中も電動アシスト自転車を利用し続けることができる。
物流拠点の現場作業者は、貸与用バッテリー31のピッキングを行い、▲1▼配送先の利用者情報、▲2▼同時回収されるバッテリー情報、▲3▼回収されたバッテリーの届け先情報、などを送り状にプリントアウトして、発送する。物流拠点では、利用者に配送する貸与用バッテリー31をピックアップする際、バーコードリーダーなどを通じてバッテリー修理貸与管理システム100の在庫管理手段22に対して、当該貸与用バッテリー31の使用状況を更新する。具体的には、当該貸与用バッテリーが貸し出し中である旨、さらには、配送先の利用者情報、配送予定のバッテリー再生修理工場の情報などを在庫管理手段22に送信する。在庫管理手段22では当該情報を受信したのち、在庫管理情報を更新する。
【0032】
(物流拠点→利用者→バッテリー修理工場)
配送業者は物流拠点から配送した貸与用バッテリー31を通い箱に入れ、利用者(修理依頼者(顧客))に配送する。配送業者は配送先において、通い箱から貸与用バッテリー31を取り出し、利用者に渡し、利用者から使用済みの利用者バッテリー31を預かり、当該通い箱に梱包する。その後、当該配送業者は当該通い箱を所定のバッテリー修理工場に配送する。バッテリー修理工場では、バッテリー内部の充電池(セル)を取り出し新品セルに置き換えるなどの所定のバッテリーの修理が行なわれる(
図1参照)。
【0033】
(バッテリー修理工場→利用者→物流拠点)
サーバー装置10のバッテリー回収配送指示手段23は、修理工場の修理工場端末13に対して、利用者から回収した使用者バッテリー30を修理したのち、当該修理したバッテリーを利用者に返送するとともに、利用者に貸与していた貸与用バッテリー31を回収して、物流拠点に返送するように指示する。さらには、サーバー装置10は、これから利用者バッテリー30を配送する旨の情報や、利用者バッテリー30が到着する予想日時などを利用者に対して送信してもよい。これらの指示は、バッテリー修理工場において、修理が完了した使用者バッテリー30(又は使用者バッテリー30を入れてある通い箱)に付されたバーコードタグをバーコードリーダーで読むことをトリガーにして行うとよい。
バッテリー修理工場から修理後の利用者バッテリー30を配送業者などを利用して利用者に返送する。利用者バッテリーを受け取った利用者は貸与用バッテリー31を当該配送業者に渡す。さらに、当該配送業者は、貸与用バッテリー31を物流拠点などに配送する。
【0034】
物流拠点では利用者から戻ってきた貸与用バッテリー31の使用状況を確認して、すぐに別の利用者に貸与できるように充電を行うなどの必要なメンテナンスを行う。
物流拠点では、返送されてきた貸与用バッテリー31のバーコードタグをバーコードリーダーで読むことで、バッテリー修理貸与管理システム100の在庫管理手段22に対して、当該貸与用バッテリー31の使用状況を更新する。在庫管理手段22では、当該貸与用バッテリー31が当該物流拠点に返送されいつでも貸与可能な状態であることを記憶する。
なお、物流拠点から、貸与用バッテリー31を利用者に配送し、利用者から利用者バッテリ30をバッテリー修理工場に配送し、修理後の利用者バッテリー30を利用者に返送し、利用者から貸与用バッテリー31を物流拠点に返送する際は、同じ通い箱を利用する。
【0035】
(応用例)
バーコードタグには次の情報を入力してもよい。利用者情報(▲1▼郵便番号、▲2▼住所、▲3▼電話番号、▲4▼お客様の名前)工場情報(▲1▼郵便番号、▲2▼住所、▲3▼電話番号、)、「通い箱」の情報(ポジション情報、物流コスト情報、バッテリーの情報(型式番号、互換性情報))、受注先情報(▲1▼自社店舗、▲2▼自社ウェブページ、▲3▼アマゾン、▲4▼楽天市場、等)、受注金額、発注金額、物流費、収益、出荷日、集荷日、工場受入日、修理情報、工場出荷日、納品日、返却日、利用者とのやり取り情報(クレーム情報)、決済情報(カード払い、代引き決済、入金先、入金予定日)などである。これらの情報は、出先から携帯端末、スマートフォン、I−Padなど閲覧ができ、システムを通じて出荷の指示が可能になる。
【0036】
また、バッテリーの種類は、メーカー毎、年式や型式の違いがある。共通して使用ができる種類をグループ化して管理してもよい。グループ化の情報は予めサーバー装置10の在庫管理手段22に記憶しておく。バッテリーにバーコードタグを取付けてバッテリーの情報をバーコードリーターでバッテリー修理貸与管理システム100に読み込む。在庫管理手段22には、在庫情報とバーコードリーダーにより出荷と入庫の情報が連動して入力される。
【0037】
利用者から注文に対して貸出される貸与用バッテリー(代替バッテリー)31の互換性情報をシステム化してもよい。利用者から修理依頼があったバッテリー型番を入力すると互換性があり物流センターで洙管されている貸与用バッテリーから選び出せるようにする。選び出される貸与用バッテリーの情報は「通い箱」の側面のバーコードタグで判別され、ピッキングされる。この「通い箱」の上面に物流拠点で印字された送り状を貼り付ける。
【0038】
送り状を通い箱の上面に2枚貼る下側に(利用者宅から工場間)の着払い伝票をビニールにいれて貼る。その上に(当社から利用者間)の元払い伝票を貼り、「同時回収あり」のスタンプを打つ。配送業者は、このような伝票により、利用者の玄関まで貸与用バッテリー31を届ける際、同時に利用者から出荷がある事を理解できる。着払い送り状は、配送業者が利用者に渡し、下部に貼ってある着払い伝票のお客機控えを渡して出荷する。配送業者は、「お届け作業」と「集荷作業」を同時に行え、コスト削減ができる。
【産業上の利用可能性】
【0039】
以上の実施例は、電動アシスト自転車のバッテリーの修理を対象にしたが、電動アシスト自転車以外にも、電動自転車のバッテリー、電動車いすのバッテリー、など各種バッテリーの修理にも応用できる。
【符号の説明】
【0040】
10 サーバー装置
11 利用者端末
12 物流拠点端末
12a 物流拠点端末
12b 物流拠点端末
13 バッテリー修理工場端末
20 情報処理手段
21 発注管理手段
22 在庫管理手段
23 バッテリー回収配送指示手段
30 利用者バッテリー
31 貸与用バッテリー