特開2016-207364(P2016-207364A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2016-207364(P2016-207364A)
(43)【公開日】2016年12月8日
(54)【発明の名称】コネクタ
(51)【国際特許分類】
   H01R 13/42 20060101AFI20161111BHJP
【FI】
   H01R13/42 E
   H01R13/42 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2015-85645(P2015-85645)
(22)【出願日】2015年4月20日
(71)【出願人】
【識別番号】000227995
【氏名又は名称】タイコエレクトロニクスジャパン合同会社
(74)【代理人】
【識別番号】100094330
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 正紀
(74)【代理人】
【識別番号】100109689
【弁理士】
【氏名又は名称】三上 結
(72)【発明者】
【氏名】塚本 吉顕
【テーマコード(参考)】
5E087
【Fターム(参考)】
5E087EE02
5E087EE07
5E087EE14
5E087FF06
5E087GG31
5E087GG32
5E087RR04
(57)【要約】
【課題】端子の仮係止と本係止との2段階係止を行なう、小型化に適したコネクタを提供する。
【解決手段】このコネクタ1は、ハウジング10とリテーナ20と2本の端子(不図示)とを有する。ハウジング10は、横に並ぶ2つの端子収容室と、横向きのリテーナ挿入口14とを有する。リテーナ20は、ハウジング10内に、仮係止位置と本係止位置との2段階に挿し込まれて、端子収容室に挿し込まれた端子を係止する。ランス24の係止部241は、リテーナ20が仮係止位置に挿し込まれているときに端子収容室内に突き出た状態にある。端子が挿し込まれるとランス24が一旦撓んで端子を受け入れ、元の形に復帰して端子30を係止する。リテーナ20を本係止位置に移動させると、仮係止位置においてランス24が係止していた端子の被係止部に本係止部25の一対の本係止片251,252が入り込んで、強固に抜け止めする。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
前後方向に延びる端子収容室を有するとともに、該前後方向に交わる方向に該端子収容室に通じる穴が設けられたハウジングと、
前後方向に延び、抜け止め用に係止される被係止部を有し、前記端子収容室に挿し込まれる端子と、
前記穴から前記ハウジング内に、仮係止位置と本係止位置との2段階に挿し込まれて、前記端子収容室に挿し込まれた端子を係止する係止部材とを備え、
前記係止部材が、
前記仮係止位置に挿し込まれた状態において前記端子収容室内に突き出て、該端子収容室に挿し込まれてきた前記端子に押されて撓むことで該端子に挿入を許容し、該端子が所定位置に挿入された段階で撓んだ状態から復帰し前記被係止部を係止して該端子の抜けを阻止する弾性係止部と、
前記仮係止位置から前記本係止位置への移動により、該仮係止位置において前記弾性係止部が係止していた前記被係止部の係止を該弾性係止部から交代する非弾性の本係止部とを有することを特徴とするコネクタ。
【請求項2】
前記本係止部が、互いに近づく向きに突き出た一対の本係止片を有することを特徴とする請求項1に記載のコネクタ。
【請求項3】
前記ハウジングが、前記係止部材の挿込み方向に配列され前記端子がそれぞれに挿し込まれる複数の前記端子収容室を有し、
前記係止部材が、当該係止部材の挿込み方向に交互に並ぶ複数の前記弾性係止部と複数の前記本係止部とを有することを特徴とする請求項1または2に記載のコネクタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ハウジング内に挿入した端子をそのハウジング内に挿し込まれた係止部材で係止することで端子を抜け止めする構造のハウジングに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に、従来の一般的なコネクタの一例が背景技術として紹介されている。そのコネクタでは、コネクタハウジングの端子収容室の内部に端子の抜け止め用のランスが設けられている。コネクタハウジングの端子収容室に端子が挿入されると、そのランスが撓みながら端子の挿入を許容する。端子が所定位置まで挿入されると、ランスが撓んだ状態から復帰し端子の係合部に係合して端子を抜け止めする。この端子は、コネクタハウジングの側部から差し込んだリテーナにより、さらに強固に本係止される。
【0003】
しかしながら、コネクタハウジング内にランスを設けると、コネクタハウジングの形状が複雑となり、成形が困難である。また、ランスには弾性を持たせる必要があるため、成形材料の制限を受け、ガラス入りなどの強度のある樹脂材料などの使用が困難である。
【0004】
そこで、特許文献1では、リテーナにランスを設けることが提案されている。ランスをリテーナに設けることで、ランスをコネクタハウジングに設ける場合の問題点の一部は解決される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2010−73375号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1で提案されたリテーナの場合、コネクタハウジングの端子の挿入方向について、そのリテーナの前寄りにランスを設け、後寄りに本係止部を設けている。したがって、端子にも、前寄りの位置にランスと係合する係合部が設けられ、それよりも後寄りの位置にリテーナの本係止部と係合する係合部が設けられている。すなわち、端子には、その長手方向別々の位置に2つの係合部が設けられている。このため、端子の長さが必要であり、また端子の設計の自由度が制限される。また、端子が長いので、コネクタハウジングも大型化し、コネクタ全体としての小型化が困難である。
【0007】
本発明は、端子の仮係止と本係止との2段階係止を行なう、小型化に適したコネクタを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成する本発明のコネクタは、
前後方向に延びる端子収容室を有するとともに、前後方向に交わる方向に端子収容室に通じる穴が設けられたハウジングと、
前後方向に延び、抜け止め用に係止される被係止部を有し、端子収容室に挿し込まれる端子と、
上記穴からハウジング内に、仮係止位置と本係止位置との2段階に挿し込まれて、端子収容室に挿し込まれた端子を係止する係止部材とを備え、
上記係止部材が、
仮係止位置に挿し込まれた状態において端子収容室内に突き出て、端子収容室に挿し込まれてきた端子に押されて撓むことで端子に挿入を許容し、端子が所定位置に挿入された段階で撓んだ状態から復帰し被係止部を係止して端子の抜けを阻止する弾性係止部と、
仮係止位置から本係止位置への移動により、仮係止位置において弾性係止部が係止していた被係止部の係止を弾性係止部から交代する非弾性の本係止部とを有することを特徴とする。
【0009】
本発明のコネクタの場合、係止部材に弾性係止部と非弾性の本係止部とが設けられている。そして、係止部材を仮係止位置に挿し込んでおいて端子を挿し込むことで、弾性係止部で端子の被係止部を係止する。その後、係止部材を仮係止位置から本係止位置に移動させる。すると、仮係止部位置において弾性係止部が係止していた被係止部の係止が、弾性係止部から本係止部に交代する。したがって、端子には、被係止部を1箇所設ければよく、その長さを減じることができる。また、端子の設計の自由度も増す。端子の長さが短くて済むことからハウジングも小型化される。
【0010】
ここで、本発明のコネクタにおいて、上記本係止部が、互いに近づく向きに突き出た一対の本係止片を有することが好ましい。
【0011】
端子を一対の本係止片の双方で係止することにより、一層強固な抜け止めが実現する。
【0012】
また、本発明のコネクタは、上記ハウジングが、係止部材の挿込み方向に配列され端子がそれぞれに挿し込まれる複数の端子収容室を有し、上記係止部材が、その係止部材の挿込み方向に交互に並ぶ複数の弾性係止部と複数の本係止部とを有するものであってもよい。
【0013】
本発明のコネクタは複数の端子を備える構造にも適している。
【発明の効果】
【0014】
以上の本発明によれば、仮係止と本係止との2段階の係止を行なう、小型化に適したコネクタが実現する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の一実施形態としてのコネクタの分解斜視図である。
図2】本発明の一実施形態としてのコネクタの分解斜視図である。
図3】ハウジングの正面図である。
図4図3に示す矢印A−Aに沿う断面図である。
図5図3に示す矢印B−Bに沿う断面図である。
図6図5に示す矢印C−Cに沿う断面図である。
図7】端子がハウジングに挿し込まれた状態のハウジングの正面図である。
図8図7に示す矢印D−Dに沿う断面図である。
図9図7に示す矢印D−Dに沿う断面斜視図である。
図10】端子がハウジングに挿し込まれ、さらにリテーナを本係止位置に移動させた状態におけるハウジングの正面図である。
図11図10に示す矢印E−Eに沿う断面図である。
図12図10に示す矢印E−Eに沿う断面斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施の形態を説明する。
【0017】
図1図2は、本発明の一実施形態としてのコネクタの分解斜視図である。ただし、これら図1図2には端子は示されておらず、ハウジング10とリテーナ20が示されている。また、図1図2は、互いに異なる方向から眺めた形状を示している。
【0018】
これら図1図2において、矢印Fは前方、矢印Rは後方を示している。また、矢印Iは、リテーナ20のハウジング10への挿込みの方向を示している。
【0019】
このハウジング10は、中央部10Aと外枠10Bとを有する。外枠10Bは、中央部10Aとの間に空間が設けられた状態で、中央部10Aを取り巻いている。
【0020】
中央部10Aの内部には、端子30が挿し込まれる端子収容室11が形成されている(例えば図8参照)。端子30は、中央部10Aの端子収容室11内に、矢印Fの向きに、すなわち後方から前方に向かって、挿し込まれる。また、このハウジング10の前端面12が相手コネクタ(不図示)との嵌合面となっている。その前端面12には、相手コネクタのピン形状の端子(不図示)が挿し込まれる相手端子挿入口13が横に2つ並んで設けられている。すなわち、このコネクタは、横に並ぶように配置された2本の端子30を備えている。これに対応して、相手コネクタにもピン形状の端子が2本備えられている。また、このハウジング10の側面には、リテーナ20が挿し込まれるリテーナ挿入口14が設けられている。
【0021】
このリテーナ挿入口14は、ハウジング10内の端子収容室11(図8参照)に繋がる穴となっている。ここで、本実施形態におけるリテーナ20は、本発明にいう係止部材の一例に相当する。
【0022】
また、ハウジング10の上面には、ロック穴15とロック解除用押圧部16が設けられている。ロック穴15には、嵌合した相手コネクタのロック部が入り込んで、嵌合状態を維持するようにロックされる。ロック解除用押圧部16を押し下げるとそのロックが外れ、相手コネクタとの嵌合を解除することができる。
【0023】
また、このハウジング10の後端部には、端子に接続された電線を覆うカバー部材(不図示)が嵌め込まれる嵌込部17が設けられている。
【0024】
リテーナ20は、ハウジング10のリテーナ挿入口14からハウジング10内に、仮係止位置と本係止位置との2段階に挿し込まれる。
【0025】
このリテーナ20には、係止突起21が設けられている。
【0026】
一方、ハウジング10には、図3に示すように、仮係止ノッチ181と本係止ノッチ182が形成されている。仮係止ノッチ181は、リテーナ20がハウジング10に仮係止位置まで挿し込まれたときに、リテーナ20の係止突起21が嵌り込む窪みである。また、本係止ノッチ182は、リテーナ20がハウジング10に本係止位置まで挿し込まれたときに、リテーナ20の係止突起21が嵌り込む窪みである。リテーナ20には、挿し込み時に係止突起21の部分が撓むように、その直上に水平方向に延びる長孔22が形成されている。そして、係止突起21は、その長孔22により両持ち梁形状に形成された部分に設けられている。
【0027】
また、このリテーナ20には、挿し込み方向(矢印I方向)の後端側に、縦長の長孔23が設けられている。この長孔23は、ハウジング10内の本係止位置まで挿し込んだ状態のリテーナ20を仮係止位置に移動させるときに冶具が差し込まれる孔である。
【0028】
また、リテーナ20には、2つのランス24と2つの本係止部25が、リテーナ20の挿し込みの方向(矢印I方向)に交互に並ぶように設けられている。ここで、ランス24は、本発明にいう弾性係止部の一例に相当する。
【0029】
ランス24は、その後端を固定端として前方に延びる片持ち梁形状を有する。そして、その前端寄りの部分に、上方に突き出た係止部241が設けられている。この係止部241の背面241aは円弧状の斜面となっている。このランスの係止部241は、リテーナ20がハウジング10内の仮係止位置に挿し込まれている状態において、端子収容室11内に突き出ている。そして、リテーナ20が仮係止位置にある状態において、端子30(図8参照)が後方から矢印Fの向きにハウジング10に挿し込まれる。すると、その端子30の前端31がランス24の係止部241の背面241aに突き当たる。この背面241aは円弧状の斜面となっているため、ランス24は、端子30が突き当たると下方に向かって弾性的に変形する。これにより、端子30の通過が許容され、端子30がそのランス24の上を通過してさらに所定位置まで挿し込まれる。端子30が所定位置まで挿し込まれると、端子30の接触部33の後端面である被係止部32が、ランス24の係止部241に対応する位置となる。そして、ランス24に加わっていた下向きの力が解除されてランス24の変形が解除され、ランス24は元の形状に復帰する。
【0030】
この元の形状への復帰により、ランス24の、突き出た形状の係止部241が、端子30の被係止部32に対向する。このランス24の係止部241の前面241bは、端子挿入の向きFに直交する方向に延びる壁面となっている。したがって、後方から挿入された端子30は、この前面241bに阻まれて、後方への抜けが防止される。
【0031】
また、このランス24の、係止部241よりも前方に、係止解除斜面242が形成されている。リテーナ20が仮係止位置に挿し込まれていて端子30が挿入されている状態において、ハウジング10の前面12の、相手端子挿入口13の下に設けられている溝19に冶具を挿し込んでリテーナ20の係止解除斜面242を押す。すると、係止解除斜面242が冶具で押されてランス24が下方に撓み、係止部241と、端子30の被係止部32との係止が解除される。その状態で端子30を後方に引き抜くことで、端子30をハウジング20から取り出すことができる。
【0032】
リテーナ20の本係止部25は、ランス24の係止部241に対し、リテーナ20の挿込み方向(矢印I方向)に並ぶ位置に設けられている。リテーナ20がハウジング10に仮係止位置まで挿し込まれて端子30が所定位置まで挿し込まれた後、リテーナ20を本係止位置に移動させる。すると、リテーナ20が仮係止位置にあったときにそのリテーナ20のランス24が係止していた端子30の被係止部32に、ランス24に代わり、今度はリテーナ20の本係止部25が入り込んで本係止部25が端子30を係止する。本係止部25は、ランス24とは異なり非弾性である。このため、端子30は、ランス24よりもさらに強固に抜け止めされる。また、1個の端子30に対して1個のランス24が、端子30の被係止部32と係合する。これに対し、本係止部25は、上下から互いに近づく向きに突き出た一対の本係止片251,252を有し、これら一対の本係止片251,252が、端子30の被係止部32と係合する。したがって、この点からも、本係止部25により、一層強固な抜け止めが図られている。
【0033】
なお、前述の通り、ハウジング10には、横に並ぶ2つの端子収容室11が形成されていて、各端子収容室11には端子30が1本ずつ挿し込まれる。このため、リテーナ20にも、2つのランス24と2つの本係止部25が交互に設けられている。リテーナ20が仮係止位置にあるときは、2つのランス24の係止部24が2つの端子収容室11にそれぞれ突き出た状態となる。また、リテーナ20を仮係止位置から本係止位置に移動させると、2つの本係止部25それぞれが、2つの端子収容室11にそれぞれ挿し込まれた2本の端子30の被係止部32とそれぞれ係合する。
【0034】
以下、図1図2とともに図3以降の図面を合わせて参照しながらさらに説明を続ける。
【0035】
図3は、ハウジングの正面図である。
【0036】
ここでは、リテーナ20は、ハウジング10内の仮係止位置に挿し込まれている。また、ここでは、端子30は未だ挿し込まれていない。この仮係止位置では、リテーナ20の仮係止突起21は、ハウジング10の仮係止ノッチ181に嵌まり込んでいる。これにより、リテーナ20は、この仮係止位置に安定的に配置されている。
【0037】
図4図5は、図3に示す、それぞれ矢印A−A,矢印B−Bに沿う断面図である。また、図6は、図5に示す矢印C−Cに沿う断面図である。
【0038】
リテーナ20が仮係止位置にあるときは、本係止部25は、図4図6に示すように、端子収容室11から横に外れた位置にある。一方、ランス24は、リテーナ20が仮係止位置にあるときは、図5図6に示すように横方向に関し、端子収容室11の位置と一致した位置にある。そして、この位置において、ランス24の係止部241は、端子収容室11の内側に下から突き出ている。また、図3に示すように、そのランス24の係止解除斜面242がハウジング10の前面12の、相手端子挿入口13よりも下に設けられている溝19から視認される位置にある。
【0039】
図7は、端子がハウジングに挿し込まれた状態のハウジングの正面図である。
【0040】
また、図8図9は、図7に示す矢印D−Dに沿う、それぞれ断面図および断面斜視図である。これら図7図9では、端子30は挿し込まれているものの、リテーナ20は未だ仮係止位置にある。
【0041】
端子30は、ハウジング10に、その後端から矢印Fの向きに、図8図9に示す位置まで挿し込まれる。端子30が挿し込まれる途中では、ランス24が下に撓み、端子30が完全に挿し込まれるとランス24が元の形に復帰する。そして、ランス24の係止部241が端子30の被係止部32に対向する。これにより、端子30は、この挿し込まれた位置に仮係止される。ハウジング10内に一旦挿し込んだ端子30をハウジング10から取り外す必要を生じることがある。このときは、リテーナ20がこの仮係止位置にあるときに、溝19に冶具を挿し込んでランス24の係止解除斜面242を押す。すると、係止解除斜面242が冶具で押されてランス24が下に撓み、ランス24の係止部241が端子30の被係止部32から外れる。その状態で、端子30に固定されている電線(不図示)を後方(矢印Rの向き)に引く。こうすることにより、端子30をハウジング10から引き抜くことができる。
【0042】
図10は、端子がハウジングに挿し込まれ、さらにリテーナを本係止位置に移動させた状態におけるハウジングの正面図である。
【0043】
また、図11図12は、図10に示す矢印E−Eに沿う、それぞれ断面図および断面斜視図である。ただし、図12では、リテーナ20に関し、図9に示す仮係止位置にあるときの断面のまま、本係止位置に移動させた状態が示されている。
【0044】
リテーナ20が本係止位置に移動すると、リテーナ20の係止突起21がハウジング10の本係止ノッチ182に嵌まり込み、その位置で安定する。このとき、図11図12に示すように、本係止部25を構成する上下一対の本係止片251,252が端子30の被係止部32に対向する。これにより、端子30は、ハウジング10内の正視の位置に強固に抜き止め固定される。
【0045】
図10に示すように、リテーナ20が本係止位置にあるときは、溝19の奥には、本係止部25の下側の本係止片252があらわれている。また、リテーナ20がこの本係止位置にあるときは、図10に示すように、ハウジング10の中央部10Aと外枠10Bとの間の隙間から、リテーナ20に設けられている縦長の長孔23が視認される位置にある。端子30をハウジング10から一旦取り外す必要を生じたときは、その長孔23に冶具を差し込んで、リテーナ20の挿込みの向き(図1図2に示す矢印Iの向き)とは逆向きに力を加える。すると、リテーナ20の係止突起21がハウジング10の本係止ノッチ182から外れてリテーナ20が横に移動し、係止突起21が仮係止ノッチ181に嵌り込む。このようにしてリテーナ20を仮係止位置に移動させてから、溝19に冶具を挿し込んでランス24を押し下げることで、端子30をハウジング10から引き抜くことができる。
【0046】
以上の実施形態によれば、ランス24と、一対の本係止片251,252とで、端子30の、同じ被係止部32が係止される。したがって、端子30の長さを短縮化でき、また、端子30の設計の自由度が増す。また、端子30の長さを短縮化できることから、ハウジング10の長さも短縮化でき、小型のコネクタ1が実現する。
【0047】
なお、本実施形態では、ランス24(弾性係止部)と本係止部25とが交互に並んでいたが、本発明はこれに限定されない。例えば、複数の弾性係止部の隣に複数の本係止部を並べてもよいし、或いは、複数の弾性係止部を上列又は下列に並べ、複数の本係止部を下列又は上列に並べてもよい。
【符号の説明】
【0048】
1 コネクタ
10 ハウジング
10A 中央部
10B 外枠
11 端子収容室
12 前端面
13 相手端子挿入口
14 リテーナ挿入口
181 仮係止ノッチ
182 本係止ノッチ
19 溝
20 リテーナ
21 係止突起
22,23 長孔
24 ランス
241 係止部
241a 背面
241b 前面
242 係止解除斜面
25 本係止部
251,252 本係止片
30 端子
32 被係止部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12