【解決手段】一方及び他方のコネクタ部11、11Aを有するコネクタ10であって、一方及び他方のコネクタ部11、11Aは、接触部22を有する雌雄同型のコンタクト12と、雌雄同型のハウジング29、29Aと、を有し、コンタクト12は、一方のコネクタ部11に少なくとも1本設けられた場合は、他方のコネクタ部11Aに複数設けられ、又は、一方のコネクタ部11に複数設けられた場合には、他方のコネクタ部11Aに少なくとも1本設けられ、一方及び他方のコネクタ部11、11Aの間には、短絡部材57が設けられ、一方及び他方のコネクタ部11、11Aが接続された場合、一方のコネクタ部11のコンタクト12の接触部22と他方のコネクタ部11Aのコンタクトの接触部との間に短絡部材57が設けられている。
前記ハウジングの接続方向に対して直交する側の面は、上段面と、前記上段面に対して接続方向側であって、前記上段面より低い位置に設けられ、前記設置部が形成された下段面と、前記上段面と前記下段面の間の段差を繋ぐ壁面部とを有し、
前記一方のコネクタ部と前記他方のコネクタ部が接続された場合、前記一方のコネクタ部及び前記他方のコネクタ部のそれぞれの前記ハウジングの前記下段面同士が近接されることを特徴とする請求項2に記載のコネクタ。
前記設置部は、前記一方のコネクタ部と前記他方のコネクタ部とが接続された場合に、前記短絡部材が前記コンタクトの前記接触部とすべて接触されるような範囲に形成されていることを特徴とする請求項2〜4のいずれかに記載のコネクタ。
前記ハウジングは、接続方向に対して両側の幅方向側に、接続された前記一方のコネクタ部と前記他方のコネクタ部が固定されるロック機構を有していることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載のコネクタ。
相手方ハウジング及び相手方コンタクトを有する相手方コネクタ部と接続され、前記相手方ハウジング及び前記相手方コンタクトと雌雄同型のハウジング及びコンタクトを有するコネクタ部であって、
前記コンタクトは、前記相手方コネクタ部に少なくとも1本設けられた場合は、複数設けられ、又は、前記相手方コネクタ部に複数設けられた場合には、少なくとも1本設けられ、
前記前記相手方コネクタ部との間には、複数の前記コンタクトを短絡させる短絡部材が設けられ、
前記相手方コネクタ部と接続された場合、前記相手方コンタクトの前記接触部と前記コンタクトの前記接触部と前記相手方コンタクトの対応する部分との間に前記短絡部材が設けられていることを特徴とするコネクタ部。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1に開示されたジョイントコネクタでは、ハウジング及び接続端子と相手方コネクタを構成する相手方のハウジング及び相手方接続端子はそれぞれ異なる形状で形成されている。そのため、ジョイントコネクタのハウジング及び相手方コネクタのハウジングを形成するためには、それぞれ異なる金型を必要とし、また、ジョイントコネクタの接続端子及び相手方コネクタの相手方接続端子の形成も異なる製造工程を必要としており、部品点数が多くなると共に、製造コストが高くなるという課題がある。
【0005】
本発明の目的は、一方のコネクタと他方のコネクタを構成するそれぞれのハウジング及びコンタクトを共通の構造とすると共に、それぞれのハウジングに複数のコンタクトを短絡させる短絡部材を設けることができる構成とすることで、部品点数を減らし、製造コストや製造の手間を削減した、短絡仕様のコネクタを提供することにある。
【0006】
また、本発明の他の目的は、相手方コネクタ部を構成する相手方ハウジング及び相手方コンタクトと雌雄同型のハウジング及びコンタクトを有すると共に、複数のコンタクトを短絡させる短絡部材を設けることができる構成とすることで、部品点数を減らすことができ、短絡仕様とすることができるコネクタ部を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明の第1の態様のコネクタは、一方のコネクタ部及び他方のコネクタ部を有するコネクタであって、
前記一方のコネクタ部及び前記他方のコネクタ部は、接触部を有する雌雄同型のコンタクトと、前記コンタクトが収容される雌雄同型のハウジングとをそれぞれ有し、
前記コンタクトは、前記一方のコネクタ部に少なくとも1本設けられた場合は、前記他方のコネクタ部に複数設けられ、又は、前記一方のコネクタ部に複数設けられた場合には、前記他方のコネクタ部に少なくとも1本設けられ、
前記一方のコネクタ部及び前記他方のコネクタ部の間には、複数の前記コンタクトを短絡させる短絡部材が設けられ、
前記一方のコネクタ部及び前記他方のコネクタ部が接続された場合、前記一方のコネクタ部の前記コンタクトの前記接触部と前記他方のコネクタ部の前記コンタクトの前記接触部との間に前記短絡部材が設けられていることを特徴とする。
【0008】
また、本発明の第2の態様のコネクタは、第1の態様のコネクタにおいて、前記接触部は、前記コンタクトの長手方向に対して直交する方向に突出して設けられ、
前記ハウジングの接続方向に対して直交する側の面には、前記短絡部材が設けられる設置部が形成され、前記設置部が形成された部分からは前記コンタクトの前記接触部が突出されており、
前記一方のコネクタ部及び前記他方のコネクタ部が接続された場合、前記一方のコネクタ部及び前記他方のコネクタ部の前記接触部が突出された前記ハウジングの前記接続方向に対して直交する側の面同士が近接され、前記接触部の間に前記短絡部材が設けられていることを特徴とする。
【0009】
また、本発明の第3の態様のコネクタは、第2の態様のコネクタにおいて、前記ハウジングの接続方向に対して直交する側の面は、上段面と、前記上段面に対して接続方向側であって、前記上段面より低い位置に設けられ、前記設置部が形成された下段面と、前記上段面と前記下段面の間の段差を繋ぐ壁面部とを有し、
前記一方のコネクタ部と前記他方のコネクタ部が接続された場合、前記一方のコネクタ部及び前記他方のコネクタ部のそれぞれの前記ハウジングの前記下段面同士が近接されることを特徴とする。
【0010】
また、本発明の第4の態様のコネクタは、第2又は第3の態様のコネクタにおいて、前記設置部は、前記短絡部材の一部が嵌り込むように前記ハウジングを窪ませて形成されていることを特徴とする。
【0011】
また、本発明の第5の態様のコネクタは、第2〜第4のいずれかの態様のコネクタにおいて、前記設置部は、前記一方のコネクタ部と前記他方のコネクタ部とが接続された場合に、前記短絡部材が前記コンタクトの前記接触部とすべて接触されるような範囲に形成されていることを特徴とする。
【0012】
また、本発明の第6の態様のコネクタは、第1〜第5のいずれかの態様のコネクタにおいて、前記短絡部材は、平面視で四角形状の板状体であることを特徴とする。
【0013】
また、本発明の第7の態様のコネクタは、第1〜第6のいずれかの態様のコネクタにおいて、前記ハウジングは、接続方向に対して両側の幅方向側に、接続された前記一方のコネクタ部と前記他方のコネクタ部が固定されるロック機構を有していることを特徴とする。
【0014】
また、本発明の第8の態様のコネクタは、第7の態様のコネクタにおいて、前記ロック機構は、
前記一方のコネクタ部及び他方のコネクタ部のそれぞれの前記ハウジングの前記壁面部の両端側に設けられた係止突起と、前記下段面の接続方向側の両端側であって、接続方向側の面側に設けられた係止部とで構成されており、
前記一方のコネクタ部の前記係止突起と前記他方のコネクタ部の前記係止部とが係止され、且つ、前記他方のコネクタ部の前記係止突起と前記一方のコネクタ部の前記係止部とが係止されることを特徴とする。
【0015】
本発明の第9の態様のコネクタ部は、相手方ハウジング及び相手方コンタクトを有する相手方コネクタ部と接続され、前記相手方ハウジング及び前記相手方コンタクトと雌雄同型のハウジング及びコンタクトを有するコネクタ部であって、
前記コンタクトは、前記相手方コネクタ部に少なくとも1本設けられた場合は、複数設けられ、又は、前記相手方コネクタ部に複数設けられた場合には、少なくとも1本設けられ、
前記前記相手方コネクタ部との間には、複数の前記コンタクトを短絡させる短絡部材が設けられ、
前記相手方コネクタ部と接続された場合、前記相手方コンタクトの前記接触部と前記コンタクトの前記接触部と前記相手方コンタクトの対応する部分との間に前記短絡部材が設けられていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
第1の態様のコネクタによれば、一方のコネクタ部及び他方のコネクタ部が同じ構造のコンタクト及びハウジングで形成されているため、ハウジング及びコンタクトをそれぞれ一種類ずつ製造することで部品点数を削減でき、製造コストや製造の手間を減らすことができる。また、短絡部材は、一方のコネクタ部及び他方のコネクタ部が接続される際に内蔵されるため、外れることが抑制され短絡の性能を維持することができる。さらに、一方のコネクタ部又は他方のコネクタ部に短絡部材を組み込む必要がないので、組み立ての工程が簡単になる。
【0017】
また、第2の態様のコネクタによれば、一方のコネクタ部と他方のコネクタ部の接続方向に対して直交する側の面同士を近接させて接続させるため、それぞれのハウジングの深い位置で接続されることで小型化を図ることができる。
【0018】
また、第3の態様のコネクタによれば、ハウジングが上段面と下段面の2段となり、この下段面同士を近接させて一方のコネクタ部と他方のコネクタ部を接続させるので、より小型化を図ることができる。
【0019】
また、第4の態様のコネクタによれば、ハウジングを窪ませて短絡部材の一部が嵌り込むようにされていることで、一方のコネクタ部と他方のコネクタ部を接続させる場合に、短絡部材の移動が抑制され円滑に行なうことができる。
【0020】
また、第5の態様のコネクタによれば、短絡部材が設けられる設置部を、すべてのコンタクトを短絡させることができる範囲に形成することができる。
【0021】
また、第6の態様のコネクタによれば、短絡部材の構造を簡単にすることができ、製造が容易となる。
【0022】
第7の態様のコネクタによれば、それぞれのハウジングにロック機構が設けられていることで、接続された一方及び他方のコネクタ部の固定を容易に行なうことができる。
【0023】
また、第8の態様のコネクタによれば、ロック機構は、一方のコネクタ部及び他方のコネクタ部のそれぞれのハウジングの壁面部の両側の係止突起と、他方のコネクタ部及び一方のコネクタ部のそれぞれのハウジングの下段面の接続方向側の両端側の接続部とが係止されて固定されるように構成されており、合計4箇所で固定されることで、確実に固定を維持することができる。
【0024】
第9の態様のコネクタ部によれば、相手方コネクタ部と同じ構造のコンタクト及びハウジングで構成されているため、ハウジング及びコンタクトをそれぞれ一種類ずつ製造することで部品点数を削減でき、製造コストや製造の手間を減らすことができる。また、短絡部材は、相手方コネクタ部と接続される際に内蔵されるため、外れることが抑制され短絡の性能を維持することができる。さらに、短絡部材を組み込む必要がないので、組み立ての工程が簡単になる。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、図面を参照して本発明の実施形態を説明する。但し、以下に示す実施形態は、本発明の技術思想を具体化するためのコネクタを例示するものであって、本発明をこれに特定することを意図するものではなく、特許請求の範囲に含まれるその他の実施形態のものにも等しく適応し得るものである。
【0027】
[実施形態]
図1〜
図10を参照して、実施形態に係るコネクタ10について説明する。本発明の実施形態に係るコネクタ10は、
図1A及び
図1Bに示すように、一方のコネクタ部11、他方のコネクタ部11A、及び一方のコネクタ部11及び他方のコネクタ部11Aの間に設けられる短絡部材57とで構成されており、これらのコネクタ部11、11Aの間に短絡部材57が挟まれた状態で接続されて形成される。このとき、接続された一方のコネクタ部11及び他方のコネクタ部11Aは、各ハウジング29、29Aに形成されたロック機構56(
図10参照)により固定されるようになっている。
【0028】
また、実施形態のコネクタ10を構成する一方のコネクタ部11と他方のコネクタ部11Aは、同じ形状で形成された、いわゆる雌雄同型のハウジング29、29Aと、雌雄同型のコンタクト12、12Aとでそれぞれ構成されている。そのため、一方のコネクタ10側のハウジング29及びコンタクト12を左右及び上下を反転させると、他方のコネクタ部11A側のハウジング29A及びコンタクト12Aとなる。なお、実施形態では、一方のコネクタ部11側のコンタクト12の本数に比べ、他方のコネクタ部11A側のコンタクト12Aの本数の方が多くなっている。
【0029】
また、一方のコネクタ部11及び他方のコネクタ部11Aを接続させる場合において、短絡部材57は、一方のコネクタ部11及び他方のコネクタのいずれかのハウジングのうち、後述する短絡部材57が設けられる設置部34が重力方向とは反対側の上方を向いている方に設けられている。そのため、実施形態では、
図2A、
図2Bに示すように、設置部34が上方を向いている一方のコネクタ部11側に短絡部材57が設けられ、それぞれのコネクタ部11、11Aの接続が行なわれる(
図2C、
図2D参照)。
【0030】
以下、実施形態のコネクタ10の各構成について説明する。なお、説明において使用される他方のコネクタ部11Aの記載については、一方のコネクタ部11の説明に用いた各符号の後に「A」を加えた符号を付している。
【0031】
一方のコネクタ部11は、
図3に示すように、例えば、電線28が接続された一本のコンタクト12と、このコンタクト12が収容され、装着されるハウジング29とで構成されている。また、ハウジング29には、一方のコネクタ部11と他方のコネクタ部11Aを接続させた際に、接続が固定されるロック機構56を構成する部分が設けられている。このロック機構56は、一方のコネクタ部11のハウジング29と他方のコネクタ部11Aのハウジング29Aのそれぞれに形成された各部分を組み合わせることで、固定されるようになっている(
図10参照)。ロック機構の詳細については後述する。なお、実施形態では、コンタクト12は、一方のコネクタ部11のハウジング29の端に装着されているが、その位置は任意の位置とすることができる。また、一方のコネクタ部11側には、短絡部材57が設けられている。
【0032】
他方のコネクタ部11Aは、
図4に示すように、電線28Aが接続された複数のコンタクト12A、例えば、4本のコンタクト12Aと、これらのコンタクト12Aが収容され、装着されるハウジング29Aとで構成されている。なお、他方のコネクタ部11Aを構成するハウジング2A及びコンタクト12Aの構造は、一方のコネクタ部11を構成するハウジング29及びコンタクト12と共通する。
【0033】
以下、各構成部品について説明する。なお、一方のコネクタ部11及び他方のコネクタ部11Aを構成するコンタクト12、12A及びハウジング29、29Aはそれぞれ同じ構造となっているので、各構成部品については一方のコネクタ部11側を代表して説明する。
【0034】
まず、コンタクト12について説明する。コンタクト12は、
図5及び
図8に示すように、所定の長さを有するコンタクト本体13と、短絡部材57と接触される接触部22と、接触部22とは反対側であって電線28が接続される接続部25とで構成されており、金属製の板状体を打ち抜き、折り曲げ加工等することで形成されている。
【0035】
コンタクト本体13は、所定の長さを有し、底部14と、底部14の長手方向に沿った両端辺を屈曲して立設された一方の側部16及び他方の側部17と、一方の側部16の底部14とは反対側の端部が屈曲され、底部14と対向するように設けられた上部18と、を有する略四角形状の筒状体で形成されている。
【0036】
コンタクト本体13の底部14は、底部14の中間から接続部25の間に開口された部分を有しており、この開口された部分がハウジング29のコンタクト収容部54に収容された際に位置決め固定される固定孔15となっている。
【0037】
コンタクト本体13の一方の側部16及び他方の側部17は、所定の高さで立設されており、一方の側部16及び他方の側部17で挟まれた内側を後述する接触部22の接触片23が移動できるようになっている。
【0038】
また、コンタクト本体13の上部18は、接続部25側と接続部25とは反対側の先端27側に設けられており、その間の部分には開放された開口部20が設けられている。
【0039】
先端27側の上部18aは、長手方向の略中心線上でさらに底部14側とは反対側に屈曲されて延設された突起部19が形成されている。また、接続部25側の上部18bには、開口部20側に、後述する接触片23の端部24を引っ掛ける、引っ掛け部21が形成されている。
【0040】
接触部22は、コンタクト本体13の長手方向に対して直交する方向に突出して形成された接触片23を有している。この接触片23は、コンタクト本体13の先端27の底部14側の端部から延設された金属片を屈曲させて先端27側を軸として弾性変形できるように形成されている。また、接触片23は、上部18の開口部20から突出されるような山型に形成され、さらに、接触片23の端部24は、コンタクト本体13の接続部25側の上部18bに形成された引っ掛け部21に底部14側から引っ掛けられている。なお、接触片23は山型に形成された接触面23aを有し、この接触面23aが短絡部材57と接触されるようになる。そのため、接触片23は上方から下方に押圧されることで弾性変形が可能となり、弾性変形された場合は、上方へ押圧する押圧力を有するようにされている。また、接触片23の端部24が引っ掛け部21に引っ掛けられることで、接触片23が上方への移動が規制されている。
【0041】
接続部25は、電線28と接続される部分であり、電線28と接続するための接続片26が形成されている。電線28との接続は、接続部25に置かれた電線28に対して、各接続片26をそれぞれ電線側に屈曲させて電線28を挟み込むようにして行なわれる。このとき、接続片26は、電線28の導電部と接続されることで電気的な接続が行なわれる。
【0042】
次に、ハウジング29について説明する。ハウジング29は、
図3、
図6及び
図7に示すように、上段面31、及びこの上段面31より低い位置になるように切り欠かれた下段面32と、上段面31と下段面32の段差部分の壁面部33と、で構成された上面30と、上面30と対向する底面43と、他方のコネクタ部11Aと接続する方向側の前面44と、前面44の反対側であって複数のコンタクト12が挿入される複数の挿入口49が形成された後面48と、一方の側面52及び他方の側面53を有する略直方体状で形成されている。また、ハウジング29の内部には、複数のコンタクト12が収容されて装着される複数のコンタクト収容部54がハウジング29の接続方向に沿って形成されている。また、複数のコンタクト収容部54はハウジング29の幅方向に並んで設けられている。
【0043】
ハウジング29の上面30は、他方のコネクタ部11Aのハウジング29Aと接する側の面であり、後面48側の上段面31と、他方のコネクタ部11Aと接続される方向側の前面44側であって、この上段面31より一段下がった低い位置に形成された下段面32と、上段面31と下段面32の段差部分の垂直な壁面部33とで構成されており、2段の面となるように形成されている。
【0044】
上面30の上段面31は、平坦に形成されており、後面48側の幅の狭い部分と、前面44側の幅の広い部分とを有している。
【0045】
また、下段面32は、他方のコネクタ部11Aと接続される際に、他方のコネクタ部11Aのハウジング29Aの下段面32Aと近接する面となる(
図1、
図2及び
図8参照)。下段面32は、接続方向に対して両側の幅方向側、すなわち一方の側面52側及び他方の側面53側に至るまで上段面31から一段下がった低い位置となるように形成されている。また、下段面32は、ハウジング29の内部のコンタクト収容部54が露出されており、この露出されたコンタクト収容部54と連通される複数の開口40を有し、これらの開口40からは、収容されたコンタクト12の接触部22が突出されるようになる。
【0046】
また、下段面32には、短絡部材57が設けられる設置部34が形成されている。設置部34は、下段面32を窪ませて、所定の深さ、例えば、短絡部材57の厚さの略半分の深さ(
図9B参照)となるように形成される。この設置部34が形成される窪ませた範囲は、ハウジング29の接続方向側においては、壁面部33と開口40から接触部22が突出される部分との間から、接続方向側の面としての前面44に至るまでの範囲となり、ハウジング29の接続方向に対して両側に向かう幅方向側においては、複数の開口40のうち、両外側の開口40を越え、後述する溝41との間までの範囲となっている。そして、これらの範囲を窪ませた四角形状の部分が設置部34となっている(
図3、
図6及び
図9参照)。
【0047】
また、設置部34の前面44側には開放された開放部35を有しており、その両端側は面取りがされている。また、接続方向に対して両側の設置部34と下段面32との間の立設した側壁は、短絡部材57が設けられる際に、短絡部材57の移動を案内する案内部36となっている。さらに、壁面部33側の設置部34と下段面32との間の立設した側壁は、短絡部材57が設けられた際に、移動が規制される規制部37となっている。なお、規制部37は、設置部34の両端に形成されている。
【0048】
また、上段面31と下段面32との段差部分の壁面部33は、垂直に形成され、後述する他方のコネクタ部11A側のハウジング29Aの前面44Aの当接部47Aが当接される部分となっている(
図8参照)。この壁面部33の両側の幅方向側、すなわち、一方の側面52側及び他方の側面53側には、ハウジング29の接続方向側である前面44側に向かうように突出した直方体状の嵌合突起38が下段面32との間に隙間Gを有するようにそれぞれ形成されている。なお、嵌合突起38の壁面部33とは反対側の接続方向側の各辺は、面取りがされている。また、嵌合突起38の下段面32側には、下段面32に向かうように突出された係止突起39がそれぞれ形成されている。この係止突起39は、嵌合突起38の接続方向側に形成されており、係止突起39の接続方向側は、面取りがされており、壁面部33側は、面取りがされておらず直角となっている。
【0049】
また、下段面32の接続方向側であって、接続方向に対して両側の幅方向側、すなわち一方の側面52側及び他方の側面53側には、接続方向に沿った溝41が形成されている。なお、この溝41は、後述する嵌合孔45と繋がっている。そして、溝41の前面44側には、この前面44側の溝41が閉じられた部分42bを有し、この溝41を囲うように、「コ」の字状の枠体42aで形成された係止部42がそれぞれ形成されている。また、この係止部42は、後述する嵌合孔45を覆うように形成されている。さらに、この係止部42は、枠体42aの閉じられた部分42bとは反対側を軸に弾性変形可能とされている。なお、この係止部42は、係止部42を構成する枠体42aの閉じられた部分42bに嵌合突起38に形成された係止突起39が係止される部分となる。
【0050】
ハウジング29の底面43は、コンタクト収容部54が形成されている部分と、形成されていない部分とで段差を有し、コンタクト収容部54が形成されていない部分が一段低くなるようにされている。
【0051】
ハウジング29の前面44は、ハウジング29の内部のコンタクト収容部54と連通する複数の孔46が形成されており、この孔46の上面30側が他方のコネクタ部11Aのハウジング29Aの壁面部33Aと当接される当接部47となっている。なお、当接部47の下段面32側には設置部34の開放部35が形成されている。また、前面44の一方の側面52側及び他方の側面53側であって、下段面32に形成された係止部42の底面43側には、嵌合孔45がハウジング29の内部に向かってそれぞれ形成されている。なお、この嵌合孔45は、上面30の壁面部33に形成された嵌合突起38と嵌合される部分となる。また、嵌合孔45は下段面32に形成された溝41と繋がっており、さらに、下段面32に形成された係止部42は、この嵌合孔45を覆うように設けられている。
【0052】
ハウジング29の後面48は、複数のコンタクト12が挿入される複数の挿入口49が形成されている。また、この挿入口49には、上面30側の一部が狭くなるように形成された狭小部50が設けられている。この狭小部50は、コンタクト12を挿入させる際に、コンタクト12の先端27側に形成された突起部19を通過させるようにすることで、コンタクト12の向きを正しくすることができる。なお、後面48のコンタクト収容部54が形成されていない部分には、貫通孔51がそれぞれ形成されている。
【0053】
一方の側面52及び他方の側面53は、上面30に上段面31、下段面32及び壁面部33が形成されることに応じて、壁面部33を境に後面48側に比べて前面44側が一段低くなるように形成されている。
【0054】
また、ハウジング29の内部に形成されたコンタクト収容部54は、
図8に示すように、ハウジング29の接続方向に沿ってそれぞれ形成され、コンタクト12の全体が収容されるようになっている。また、コンタクト収容部54の底面43側には、コンタクト12を位置決め固定するための固定片55がそれぞれ形成されている。このコンタクト収容部54に形成された固定片55がコンタクト12に形成された固定孔15に嵌まり込むことで、コンタクト12が固定されると共に、抜け止めされるようになる。
【0055】
短絡部材57は、
図3Bに示すように、金属製の平坦な板状体で形成されており、平面視で矩形状の平面部58、59と、細長い側面側であって、長尺の長手側面部60、61と、短尺の短手側面部62、63と、を有する直方体となっている。また、短絡部材57は、各辺がそれぞれ面取りされている。
【0056】
次に、主に
図3及び
図8を参照して、一方のコネクタ部11の組立てについて説明する。一方のコネクタ部11の組立ては、まず、コンタクト12に電線を接続させ、コンタクト12の先端27側からハウジング29の後面48に形成された挿入口49にコンタクト12を挿入させる。コンタクト12の挿入は、コンタクト12の接続部25とは反対側の先端27側に形成された突起部19が挿入口49に形成された狭小部50を通過するように向きを合わせて行なわれる。そして、挿入口49から挿入したコンタクト12をハウジング29内のコンタクト収容部54まで押し込み、コンタクト収容部54に装着させる。
【0057】
このとき、コンタクト収容部54に押し込まれたコンタクト12は、コンタクト12の底部14に形成された固定孔15にコンタクト収容部54の底面43側に形成された固定片55が嵌り込むことで位置決め固定され、装着される。このとき、固定片55は、コンタクト12の底部14の先端27側に押されることで弾性変形してコンタクト12の底部14を摺動し、その後、固定片55が固定孔15に嵌り込むことで、弾性力が開放され、固定孔15と固定片55が係合され、コンタクト12の抜け止めがされる。
【0058】
なお、他方のコネクタ部11Aの組立ては、一方のコネクタ部11の組立てと比べ、装着されるコンタクト12Aの本数が異なるのみであり(
図4参照)、そのコンタクト12Aを装着させる工程は、上記の組立てと共通するので詳細な説明は省略する。
【0059】
次に、主に、
図1、
図2、
図8〜
図10を参照して、一方のコネクタ部11と他方のコネクタ部11Aの接続について説明する。一方のコネクタ部11と他方のコネクタ部11Aの接続は、まず、
図1A、
図2A、
図2B及び
図8Aに示すように、他方のコネクタ部11Aを一方のコネクタ部11に対して、上下及び左右を反転した状態、すなわち、一方のコネクタ部11のハウジング29及び他方のコネクタ部11Aのハウジング29Aの接続方向側となる各前面44、44Aを向かい合わせ、且つ、一方のコネクタ部11に対して、他方のコネクタ部11Aの上面30Aと底面43Aの位置が一方のコネクタ部11と反対となるように配置される。
【0060】
次に、一方のコネクタ部11のハウジング29の設置部34に短絡部材57を設ける。このとき、設置部34に短絡部材57が設けられることで、ハウジング29の下段面32の開口40から突出されたコンタクト12の接触片23が押圧されて弾性変形し、この変形に応じて発生した弾性力により接触片23の接触面23aが短絡部材57の平面部59を押圧して接触されるようになる。なお、ハウジング29の設置部34に設けられた短絡部材57は、短手側面部62、63が設置部34の両側の案内部36に案内されるように設置部34上を移動し、規制部37に到達すると短絡部材57の長手側面部61が当接し、移動が規制される。
【0061】
次に、向かい合わせた状態の一方のコネクタ部11及び他方のコネクタ部11Aの各上面30、30Aの各下段面32、32Aを近接させ、一方のコネクタ部11の前面44の当接部47と他方のコネクタ部11Aの上面30Aの壁面部33A、及び他方のコネクタ部11Aの前面44Aの当接部47Aと一方のコネクタ部11の上面30の壁面部33とがそれぞれ当接するまで移動される(
図1B、
図2C、
図2D及び
図8B参照)。
【0062】
このとき、一方のコネクタ部11と他方のコネクタ部11Aが接続方向に移動される際に、一方のコネクタ部11に形成された嵌合突起38が他方のコネクタ部11Aに形成された嵌合孔45Aに嵌合され、他方のコネクタ部11Aに形成された嵌合突起38Aが一方のコネクタ部11に形成された嵌合孔45に嵌合されるようになる。そして、この嵌合突起38、38Aが嵌合孔45、45Aにそれぞれ嵌合されることで、一方のコネクタ部11及び他方のコネクタ部11Aの接続の際の移動が案内され、円滑に接続を行なうことができるようになる(
図10参照)。
【0063】
また、一方のコネクタ部11と他方のコネクタ部11Aの各下段面32、32Aが近接することで、一方のコネクタ部11の下段面32の設置部34に設けられた短絡部材57と、他方のコネクタ部11Aの上面30Aの下段面32Aから突出した複数のコンタクト12Aの接触部22Aとが接触される。その際、他方のコネクタ部11Aのコンタクト12Aの接触部22Aを構成する接触片23Aがそれぞれ弾性変形し、接触面23Aaが弾性力により押圧されて短絡部材57と接触し、複数のコンタクト12Aが短絡するようになる。
【0064】
なお、一方のコネクタ部11に他方のコネクタ部11Aが接続される際に、一方のコネクタ部11側のハウジング29の設置部34に設けられた短絡部材57は、他方のコネクタ部11A側のハウジング29Aの設置部34に挿入されるようになる。すなわち、他方のコネクタ部11Aのハウジング29Aの設置部34Aの前面44A側の開放部35Aから短絡部材57が入り込み、その後、設置部34Aの両側の案内部36Aに沿って短絡部材57が移動される。そして、短絡部材57が他方のコネクタ部11Aの設置部34Aの規制部37Aに当接するように移動され、他方のコネクタ部11Aに短絡部材57が設けられるようになる。このとき、一方のコネクタ部11側のハウジング29の設置部34の規制部37と他方のコネクタ部11A側のハウジング29Aの設置部34Aの規制部37Aとの間に短絡部材57が嵌り込み、それぞれの規制部37、37Aに挟まれることで、短絡部材57の移動が規制されるようになる。
【0065】
また、
図9A及び
図9Bに示すように、一方のコネクタ部11側のハウジング29の下段面32において、壁面部33と前面44との間の長さをLとし、壁面部33と規制部37の間の長さをXとし、規制部37に当接したときの短絡部材57の短手方向の長さ(長手側面部60と長手側面部61の間の長さ)をYとし、短絡部材57の規制部37に当接された面である長手側面部61の反対側の面である長手側面部60からハウジング29の前面44までの長さをZとしたとき、L=X+Y+Zとなるように構成されることが好ましい。このとき、X=Zとなるようにするとより好ましい。なお、一方のコネクタ部11のハウジング29と他方のコネクタ部11Aのハウジング29Aは雌雄同型であり、短絡部材57は、共通の部材であるので、他方のコネクタ部11Aのハウジング29Aも同様の構成で形成されるようになる。このような構成とすることで、一方のコネクタ部11と他方のコネクタ部11Aが隙間なく接続することができるので、コネクタ10の小型化を図ることができる。
【0066】
さらに、短絡部材57は、
図9Bに示すように、一方のコネクタ部11側のハウジング29の設置部34の窪みと他方のコネクタ部11Aのハウジング29Aの設置部34の窪みの間に挟まれて設けられる。そのため、短絡部材57の厚さをTとし、一方のコネクタ部11側のハウジング29の設置部34の窪みの深さをDとしたとき、D=T/2、すなわち、設置部34の窪みの深さは、短絡部材57の厚さの半分となるように構成されることが好ましい。また、一方のコネクタ部11側のハウジング29と他方のコネクタ部11A側のハウジング29Aは雌雄同型であるので、設置部34の窪みの深さはDとなる。このように構成することで、短絡部材57が隙間なくそれぞれのハウジング29、29Aの設置部34、34Aに入り込むので、さらに小型化を図ることができる。
【0067】
その後、一方のコネクタ部11と他方のコネクタ部11Aを接続方向に移動させ、一方のコネクタ部11のハウジング29の前面44の当接部47と他方のコネクタ部11Aのハウジング29Aの壁面部33Aが当接され、また、他方のコネクタ部11Aのハウジング29Aの前面44Aの当接部47Aと一方のコネクタ部11のハウジング29の壁面部33が当接されと、一方のコネクタ部11と他方のコネクタ部11Aとが接続され、ロック機構56により接続が固定される。
【0068】
このロック機構56による接続の固定は、
図10に示すように、一方のコネクタ部11のハウジング29の各嵌合突起38に形成された係止突起39と、他方のコネクタ部11Aのハウジング29Aの下段面32Aの各嵌合孔45Aを覆うように形成された係止部42Aが係止され、また、他方のコネクタ部11Aのハウジング29Aの各嵌合突起38Aの形成された各係止突起39Aと、一方のコネクタ部11のハウジング29の下段面32の各嵌合孔45を覆うように形成された各係止部42がそれぞれ係止されることにより行なわれる。以上により、一方のコネクタ部11と他方のコネクタ部11Aの接続が完了する。
【0069】
このように、実施形態のロック機構56は、一方のコネクタ部11側のハウジング29に形成された2つの嵌合突起38と、他方のコネクタ部11A側のハウジング29Aに形成された2つの係止部42A、及び他方のコネクタ部11A側のハウジング29Aに形成された2つの係止突起39Aと、一方のコネクタ部11側のハウジング29に形成された2つの係止部42とがそれぞれ係止されることで、一方のコネクタと他方のコネクタの接続が4箇所で固定されるようになり、確実に固定を維持することができる。
【0070】
また、各係止突起39、39Aは各嵌合突起38、38Aに、各係止部42、42Aは嵌合孔45、45Aを覆うようにそれぞれ形成されているので、嵌合突起38、38Aと嵌合孔45、45Aの嵌合と、係止突起39、39Aと係止部42、42Aの係止を同一工程で行なうことができる。
【0071】
また、一方のコネクタ部11及び他方のコネクタ部11Aは、各嵌合突起38、38Aが嵌合孔45、45Aに嵌合されることで、各ハウジング29、29Aの下段面32、32Aが近接し、各コネクタが離れる方向に移動することが規制されるため、各コンタクト12の接触片23は、互いの弾性力によりそれぞれ押圧し合い、確実に接触が行なわれる。
【0072】
また、一方のコネクタ部11と他方のコネクタ部11Aは、それぞれのハウジング29、29A、及びそれぞれに装着されるコンタクト12、12Aが同じ形状で形成された雌雄同型のコネクタで構成されているので、製造される部品点数を削減することができる。
【0073】
なお、実施形態では、一方のコネクタ部11側に短絡部材57を設けた場合を示したが、これに限らず、他方のコネクタ部11A側に短絡部材57を設けるようにして接続を行なってもよい。すなわち、
図11に示すように、他方のコネクタ部11Aのハウジング29Aの上面が重力方向に対して反対側の上方を向いている場合、短絡部材57を他方のコネクタ部11A側に設けて、一方のコネクタ部11と接続が行なわれる。なお、各コネクタ部11、11Aの組立て、及び一方のコネクタ部11と他方のコネクタ部11Aの接続については、実施形態と共通するので詳細な説明は省略する。
【0074】
なお、一方のコネクタ部がコネクタ部と対応し、他方のコネクタ部が相手方コネクタ部と対応する。