【解決手段】テープスプライサー10は、テープ2を順次繰り出すとともに、先のテープ2Aに次のテープ2Bを接続するテープスプライサーである。このテープスプライサー10は、テープ2が巻回された複数のリール1を保持するとともに、これらリール1を順次所定の供給位置Pに間欠的に送るリール送り機30と、供給位置Pよりも下流側に設けられ、先に供給位置Pに位置した先のリール1から引き出された先のテープ1Aと次に供給位置Pに位置した次のリール1から引き出される次のテープ2Bを接合するテープ接合機90と、テープ接合機90よりも下流側に設けられ、テープ接合機90によって先のテープ2Aと次のテープ2Bが接合されるまで先のテープ2Aの経路長を短く調整する経路長調整部と、を備える。
前記テープ接合機によって前記先のテープと前記次のテープが接合された後に前記経路長調整部がこれらテープの経路長を長く調整することを特徴とする請求項1に記載のテープスプライサー。
前記第一送り部が先に前記供給位置に位置する先のリールから引き出された先のテープの末端を前記テープ接合機に位置させた状態で前記先のテープの送りを停止しつつ、前記第二送り部が前記先のテープを送る際に、前記リール送り機が次のリールを前記供給位置に送って、前記繰り出し部が前記次のリールから次のテープの先端を前記テープ接合機へ繰り出し、前記テープ接合機が前記先のテープの末端と前記次のテープの先端を接合することを特徴とする請求項3に記載のテープスプライサー。
前記テープ接合機の接合動作後に、前記第一送り部が前記第二送り部によるテープ送り速度よりも高いテープ送り速度で前記先のテープ及び前記次のテープを送った後に、前記第一送り部が前記第二送り部によるテープ送り速度に等しい送り速度で前記次のテープを送ることを特徴とする請求項4に記載のテープスプライサー。
前記第一位置決め処理では、前記制御部が前記先のテープの保持力を前記第一送り部に持たせた状態で前記第一送り部を停止させることを特徴とする請求項6に記載のテープスプライサー。
前記制御部が、前記通常送り処理、前記第一位置決め処理、前記リール送り処理、前記テープ繰り出し処理、前記第二位置決め処理、前記接合処理、前記高速送り処理及び前記減速処理を繰り返し実行することを特徴とする請求項6又は7に記載のテープスプライサー。
前記繰り出し部よりも下流側であって前記テープ接合機よりも上流側に設けられ、テープを切断するテープ切断機を更に備えることを特徴とする請求項3から8の何れか一項に記載のテープスプライサー。
前記テープ切断機は先に前記供給位置に位置する先のリールから引き出された先のテープの末端が前記テープ接合機に至る前に前記先のテープの切断を行うことを特徴とする請求項9に記載のテープスプライサー。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、特許文献1の記載の技術では、キャリアテープ同士の接続を手作業で行うので、キャリアテープを交換するには、キャリアテープの送りを一時停止させる必要がある。つまり、電子部品の供給が一時的に止まることになる。下流工程の処理能力向上のためには、電子部品の供給を連続的且つ高速で行いたいが、キャリアテープの交換が手作業であるため限度がある。
【0006】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものである。本発明が解決しようとする課題は、テープの送りを止めることなく、機械的に先のテープと次のテープの接続を行えるようにすることである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
以上の課題を解決するために、テープを順次繰り出すとともに、先のテープに次のテープを接続するテープスプライサーは、テープが巻回された複数のリールを保持するとともに、これらリールを順次所定の供給位置に間欠的に送るリール送り機と、前記供給位置よりも下流側に設けられ、先に前記供給位置に位置した先のリールから引き出された先のテープと次に前記供給位置に位置した次のリールから引き出される次のテープを接合するテープ接合機と、前記テープ接合機よりも下流側に設けられ、前記テープ接合機によって前記先のテープと前記次のテープが接合されるまで前記先のテープの経路長を短く調整する経路長調整部と、を備える。
【0008】
以上のように、先のテープと次のテープがテープ接合機によって接合されるに際して、テープ接合機よりも下流側に設けられた経路長調整部によって先のテープの経路長が短く調整されると、先のテープをテープ接合機に位置決めした状態でも先のテープの繰り出しを停止させずに済む。よって、機械的に先のテープと次のテープの接続を行え、テープスプライサーによるテープの繰り出しを連続的且つ高速にすることができる。
【0009】
好ましくは、前記テープ接合機によって前記先のテープと前記次のテープが接合された後に前記経路長調整部がこれらテープの経路長を長く調整する。
【0010】
以上のように、先のテープとそれと接合された次のテープとの経路長が経路長調整部によって長く調整されるので、次のテープと次々回のテープの接合の際に次のテープの経路長が経路長調整部によって短く調整されることに備えることができる。
【0011】
好ましくは、前記テープスプライサーは、前記テープ接合機よりも下流側に設けられ、前記供給位置に位置するリールから引き出されたテープを送る第一送り部と、前記第一テープ送り部よりも下流側に設けられ、前記第一送り部によって送られたテープを下流へ送る第二送り部と、前記複数のリールごとに前記リール送り機に設けられ、次に前記供給位置に位置する次のリールから前記テープ接合機へ次のテープを繰り出す繰り出し部と、を更に備え、前記経路長調整部が前記第一送り部と前記第二送り部との間に設けられ、前記第一送り部から前記第二送り部までのテープの経路長を調整する。
【0012】
以上のように経路長調整部が第一送り部と第二送り部との間に設けられているので、第一送り部によるテープの送り速度と第二送り部によるテープの送り速度が等しくなくても、第一送り部から第二送り部までのテープの経路長が経路長調整部によって調整される。そのため、先に供給位置に位置した先のリールから先のテープの全体が引き出されて、次のリールを供給位置にリール送り機によって送る際に、先のテープを第一送り部によってテープ接合機に位置決めしつつ、その先のテープを第二送り部によって下流へ送ることができる。更に、供給位置に送られた次のリールから次のテープを繰り出し部によって繰り出す際に、先のテープを第一送り部によってテープ接合機に位置決めしつつ、その先のテープを第二送り部によって下流へ送ることができる。そうすると、先のテープを第二送り部によって送りつつ、テープ接合機によって先のテープと次のテープを接合することができる。よって、機械的に先のテープと次のテープの接続を行え、テープの送りを連続的且つ高速にすることができる。
【0013】
好ましくは、前記第一送り部が先に前記供給位置に位置する先のリールから引き出された先のテープの末端を前記テープ接合機に位置させた状態で前記先のテープの送りを停止しつつ、前記第二送り部が前記先のテープを送る際に、前記リール送り機が次のリールを前記供給位置に送って、前記繰り出し部が前記次のリールから次のテープの先端を前記テープ接合機へ繰り出し、前記テープ接合機が前記先のテープの末端と前記次のテープの先端を接合する。
【0014】
以上によれば、第一送り部が先のリールから引き出された先のテープの末端をテープ接合機に位置させた状態で先のテープの送りを停止しつつ、第二送り部が先のテープを送っても、先のテープの経路長が経路長調整部によって短く調整される。そのため、第二送り部による先のテープの送りを止めずに済む。
また、リール送り機が次のリールを供給位置に送って、繰り出し部が次のリールから次のテープの先端をテープ接合機へ繰り出すことによって、先のテープの末端と次のテープの先端を突き合わせた状態にすることができる。そのため、先のテープの末端と次のテープの先端をテープ接合機によって接合することができる。
【0015】
より好ましくは、前記テープ接合機の接合動作後に、前記第一送り部が前記第二送り部によるテープ送り速度よりも高いテープ送り速度で前記先のテープ及び前記次のテープを送った後に、前記第一送り部が前記第二送り部によるテープ送り速度に等しい送り速度で前記次のテープを送る。
【0016】
第一送り部が第二送り部によるテープ送り速度よりも高いテープ送り速度で先のテープ及び次のテープを送ることによって、これらテープの経路長が経路長調整部によって長く調整されるので、次のテープと次々回のテープの接続に備えることができる。
【0017】
好ましくは、前述のテープスプライサーは、前記リール送り機、前記第一送り部、前記第二送り部、前記テープ接合機及び前記繰り出し部を制御する制御部と、前記テープ接合機の上流側に設けられ、テープを検出するテープ検出部と、を更に備え、前記制御部は、前記供給位置に位置する先のリールから引き出された先のテープを前記第一送り部に送らせるとともに、前記第一送り部によるテープ送り速度と等しい送り速度で前記先のテープを前記第二送り部に送らせる通常送り処理と、前記通常送り処理の際に前記先のテープの末端が前記テープ検出部によって検出されたら、前記先のテープの末端が前記テープ接合機に位置するまで前記先のテープを前記第一送り部に送らせた後に、前記第二送り部を停止させずに前記第一送り部を停止させる第一位置決め処理と、前記通常送り処理の際に前記先のテープの末端が前記テープ検出部によって検出されたら、前記供給位置に位置する先のリールに隣り合う次のリールを前記供給位置まで前記リール送り機に送らせるリール送り処理と、前記リール送り処理後に、前記次のリールから引き出された次のテープを前記繰り出し部に繰り出させるテープ繰り出し処理と、前記テープ繰り出し処理の際に前記次のテープの先端が前記テープ検出部によって検出されたら、前記次のテープの先端が前記テープ接合機に位置するまで前記次のテープを前記繰り出し部に繰り出させた後に、前記繰り出し部を停止させる第二位置決め処理と、前記第一位置決め処理及び前記第二位置決め処理の後に前記テープ接合機に前記先のテープの末端と前記次のテープの末端を接合させる接合処理と、前記接合処理後に前記第二送り部によるテープ送り速度よりも高い送り速度で前記先のテープ及び前記次のテープを前記第一送り部に送らせる高速送り処理と、前記高速送り処理後に前記第一送り部によるテープ送り速度を前記第二送り部によるテープ送り速度まで減速させる減速処理と、を実行する。
より好ましくは、前記第一位置決め処理では、前記制御部が前記先のテープの保持力を前記第一送り部に持たせた状態で前記第一送り部を停止させる。
また、前記制御部が、前記通常送り処理、前記第一位置決め処理、前記リール送り処理、前記テープ繰り出し処理、前記第二位置決め処理、前記接合処理、前記高速送り処理及び前記減速処理を繰り返し実行する。
【0018】
以上によれば、リール送り機、第一送り部、前第二送り部、テープ接合機及び繰り出し部が制御部によって制御されることによって、第二送り部によるテープの送りを止めることなく、テープを順次繰り出すとともに先のテープに次のテープを接続することを自動的に行うことができる。
【0019】
好ましくは、前述のテープスプライサーは、前記繰り出し部よりも下流側であって前記テープ接合機よりも上流側に設けられ、テープを切断するテープ切断機を更に備える。
より好ましくは、前記テープ切断機は先に前記供給位置に位置する先のリールから引き出された先のテープの末端が前記テープ接合機に至る前に前記先のテープの切断を行う。
【0020】
以上によれば、先のテープの末端側がテープ接合機によって切断されることによって、リールに巻かれることにより生じた巻き癖の付いた部分を除去することができる。そのため、先のテープと次のテープの接合を良好に行うことができる。
【0021】
好ましくは、前記経路長調整部が、前記テープ接合機の下流側に設けられ、繰り出されるテープが掛けられる固定ローラー及びダンサローラーを有し、前記ダンサローラーが繰り出されるテープの張りに応じて前記固定ローラーに対して接離する。
【0022】
以上によれば、第一送り部によるテープの送り速度が第二送り部によるテープの送り速度よりも低ければ、ダンサローラーが固定ローラーに近づいて、テープの経路長が短くなる。また、第一送り部によるテープの送り速度が第二送り部によるテープの送り速度よりも高ければ、ダンサローラーが固定ローラーから離れて、テープの経路長が長くなる。第一送り部によるテープの送り速度が第二送り部によるテープの送り速度に等しければ、テープの経路長が維持される。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、先のテープの送りを止めることなく、しかも高速で送りながら先のテープと次のテープを機械的に接続することができるので、下流工程の高速化に対応可能となる。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態について説明する。但し、以下に述べる実施形態には、本発明を実施するために技術的に好ましい種々の限定が付されている。そのため、本発明の範囲を以下の実施形態及び図示例に限定するものではない。
【0026】
図1は、テープスプライサー10の側面図である。
図2は、テープスプライサー10の正面図である。このテープスプライサー10は、テープを順次繰り出すとともに、先に繰り出したテープの末端を次に繰り出すテープの先端に接続する装置である。従って、このテープスプライサー10は、複数のテープを順次連続的に繰り出すテープ繰り出し装置である。
【0027】
テープスプライサー10に使用されるテープは、
図3に示すようなキャリアテープ2である。エンボステープ3にカバーテープ4が貼着されることによって、キャリアテープ2が構成される。エンボステープ3及びカバーテープ4は、一定幅で細長く帯状に形成された樹脂製又は紙製のものである。エンボステープ3には、複数の収容凹部5がエンボステープ3の長手方向に沿って等間隔で配列されるように形成されている。収容凹部5には、ICチップ6が収容されている。カバーテープ4が、これら収容凹部5を覆うようにしてエンボステープ3に貼り合わせられている。また、エンボステープ3の幅方向一端側には、複数の送り穴7がエンボステープ3の長手方向に沿って等間隔で配列されるように形成されている。
【0028】
キャリアテープ2はリール1に巻回され、そのようなリール1がテープスプライサー10に装着される。
図2に示すように、複数のリール1が並列されており、こられリール1が順次供給源となる。キャリアテープ2に複数のICチップ6が収容されているので、このテープスプライサー10は、キャリアテープ2を下流に繰り出すことによってICチップ6を下流へ順次供給する電子部品供給装置として利用される。テープスプライサー10の下流側には、テープスプライサー10によって順次送られてきたICチップ6を回路基板等に実装する電子部品実装装置、或いは、順次送られたICチップ6を錠剤等に埋め込む電子部品埋込装置(例えば打錠機)等が設けられている。
【0029】
図1及び
図2に示すように、テープスプライサー10は、制御部15、機台20、リール送り機30、第一送り部50、第二送り部60、経路長調整部70、テープ切断機80及びテープ接合機90等を備える。
【0030】
機台20が床面に載置される。機台20の前部の上にリール送り機30が搭載され、機台20の後部の上に機枠22が搭載され、機枠22に第一送り部50、第二送り部60、経路長調整部70、テープ切断機80及びテープ接合機90が取り付けられている。
【0031】
リール送り機30は、複数のリール1を回転可能に保持するとともに、これらリール1を順次所定の供給位置P(
図2参照)に間欠的に送るものである。リール送り機30はリニアガイド31、キャリッジ32、駆動装置33及び複数のカセット34等を有する。
【0032】
リニアガイド31は、機台20上に敷設されているとともに、左右方向(
図1の紙面に垂直な方向)に延在する。リニアガイド31上にキャリッジ32が設けられ、キャリッジ32には複数のカセット34が搭載され、これらカセット34が左右方向に並列されている。リニアガイド31によってキャリッジ32及びカセット34が左右方向に案内される。駆動装置33によってキャリッジ32が駆動されることによって、キャリッジ32及びカセット34が左右に往復移動する。駆動装置33は動力源(例えばステッピングモーター又はサーボモーター)及び動力伝達機構(例えばピニオンラック機構、ベルト伝動機構、ボールねじ伝動機構)等から構成され、動力源の動力が動力伝達機構によってキャリッジ32に伝達される。
【0033】
カセット34は前側及び上側が開口した箱状に設けられている。カセット34の内側の下部から後部にかけて複数のローラー35が回転可能に取り付けられ、これら複数のローラー35が円周に沿って配列されている。リール1が立てられた状態でカセット34内に収容され、リール1の外周面が複数のローラー35に接触することによってローラー35が回転可能な状態で支持される。以上のようなカセット34が採用されているので、カセット34にリール1を差し込んだり、カセット34からリール1を引き出したりするだけで、リール1の交換作業を容易に行うことができる。
【0034】
カセット34の上側には、カセット34に収容されたリール1のキャリアテープ2をテープ接合機90へ繰り出す繰り出し部40が設けられている。繰り出し部40の数がカセット34の数と同数であり、カセット34のそれぞれに繰り出し部40が設けられている。従って、繰り出し部40もキャリッジ32及びカセット34とともに左右に移動する。
【0035】
繰り出し部40が従動ローラー41、駆動ローラー42及び圧接ローラー43を有する。従動ローラー41がカセット34の上側において回転可能に設けられ、駆動ローラー42が従動ローラー41の前側において回転可能に設けられ、圧接ローラー43が駆動ローラー42の上側において回転可能に設けられている。圧接ローラー43が駆動ローラー42に対して接離可能に設けられ、バネ等の付勢部が圧接ローラー43を付勢してその圧接ローラー43を駆動ローラー42に接触させる。
【0036】
リール1から引き出されたキャリアテープ2は従動ローラー41を経由して圧接ローラー43及び駆動ローラー42に案内されている。すなわち、キャリアテープ2は、従動ローラー41に掛けられているとともに、圧接ローラー43と駆動ローラー42との間に挟まれる。駆動ローラー42はスプロケット付きのローラーであり、そのスプロケットの歯がキャリアテープ2の送り穴7に挿入されて引っ掛かる。これにより、駆動ローラー42が回転されると、キャリアテープ2が送られ、キャリアテープ2が駆動ローラー42に対して滑らない。
【0037】
駆動装置33によってキャリッジ32が駆動されることによって、複数のカセット34、複数のリール1及び複数の繰り出し部40が所定の供給位置P(具体的には、リニアガイド31の中間部)に順次送られる。ここで、複数のカセット34のうち所定の供給位置Pに位置するカセット34を供給元カセット34といい、他のカセット34を待機カセット34といい、供給元カセット34に収容されたリール1を供給元リール1といい、待機カセット34に収容されたリール1を待機リール1という。
【0038】
供給元リール1から引き出されたキャリアテープ2は、繰り出し部40の駆動ローラー42及び圧接ローラー43から更に下流側へと引き出されていて、繰り出し部40、テープ切断機80、テープ接合機90、第一送り部50、経路長調整部70、第二送り部60の順に案内されている。一方、待機リール1から引き出されたキャリアテープ2の先端の位置が圧接ローラー43及び駆動ローラー42に合わせられている。ここで、事前準備として、作業者が待機リール1からキャリアテープ2を引き出して、キャリアテープ2の先端部を圧接ローラー43と駆動ローラー42との間に挟み込む。更に、事前準備として、作業者は、最初に供給位置Pに配置した供給元リール1からキャリアテープ2を引き出して、繰り出し部40、テープ切断機80、テープ接合機90、第一送り部50、経路長調整部70、第二送り部60の順に配索する。第二送り部60の下流側では、使用済みのキャリアテープ2を巻取リール等に巻回する。
【0039】
供給位置P近傍には、ステッピングモーター(又はサーボモーター)及び歯車伝動機構等からなる駆動装置45が設けられている。供給位置Pに位置する繰り出し部40の駆動ローラー42が駆動装置45に連結され、その駆動装置45の動力が駆動ローラー42に伝達され、その駆動ローラー42が駆動される。一方、他の繰り出し部40の駆動ローラー42は駆動装置45から切り離され、駆動装置45の動力がそれら駆動ローラー42から遮断される。以下、供給位置Pに位置するとともに供給元カセット34と組となる繰り出し部40をアクティブ繰り出し部40といい、供給位置Pにからずれて配置されているとともに待機カセット34と組となる繰り出し部40を非アクティブ繰り出し部40という。
【0040】
機枠22の前部には、ガイドローラー対49が取り付けられている。ガイドローラー対49は、互いに平行であって互いに当接した2つの従動ローラーから構成されている。ガイドローラー対49は、供給位置Pに位置するアクティブ繰り出し部40の駆動ローラー42及び圧接ローラー43の後ろ側に配置されている。供給位置Pに位置しない非アクティブ繰り出し部40の駆動ローラー42及び圧接ローラー43は、ガイドローラー対49から左又は右にずれている。アクティブ繰り出し部40から引き出されるキャリアテープ2は、ガイドローラー対49の二つのローラーの間に挟まれる。
【0041】
第一送り部50は、供給位置Pに位置する供給元リール1からキャリアテープ2を引き出して、そのキャリアテープ2を下流へ送るものである。第一送り部50はローラー対51、従動ローラー対52、ローラー対53及び駆動装置54等を備える。ローラー対51は、互いに平行であって互いに当接した2本のローラーから構成されている。従動ローラー対52及びローラー対53についても同様である。
【0042】
ローラー対51、従動ローラー対52及びローラー対53は、ガイドローラー対49の後ろ側において機枠22に取り付けられている。そして、前から後ろに向かってガイドローラー対49、ローラー対51、従動ローラー対52、ローラー対53の順に配列されている。左右方向(
図1の紙面に垂直な方向)におけるガイドローラー対49、ローラー対51、従動ローラー対52、ローラー対53及び送りローラー対61の位置は供給位置Pに揃っている。
【0043】
アクティブ繰り出し部40から引き出されたキャリアテープ2は、ガイドローラー対49、ローラー対51、従動ローラー対52、ローラー対53の順にこれらのローラー対49,51〜55によって案内される。ローラー対51の二つのローラーはそれらの間にキャリアテープ2を挟み込む。従動ローラー対52及びローラー対53についても同様である。
【0044】
ローラー対51のうち一方又は両方のローラーは、ステッピングモーター(又はサーボモーター)及び歯車伝動機構等からなる駆動装置54によって駆動される駆動ローラーである。ローラー対53のうち一方又は両方のローラーについても同様である。ローラー対51のうち一方の駆動ローラーはスプロケット付きのローラーであり、そのスプロケットの歯がキャリアテープ2の送り穴7に挿入されて引っ掛かる。ローラー対51のうち一方の駆動ローラーについても同様である。ローラー対51,53の駆動ローラーが駆動装置54によって駆動されることによって、キャリアテープ2がガイドローラー対49からローラー対53に向けて送られる。
【0045】
第二送り部60は、第一送り部50よりも下流側においてキャリアテープ2を下流へ送るものである。第二送り部60は送りローラー対61及び駆動装置62を備える。送りローラー対61は、互いに平行であって互いに当接した2本のローラーから構成されている。送りローラー対61は機枠22の後端部に取り付けられている。送りローラー対61はローラー対53から後ろ斜め上に離れている。供給元リール1から引き出されたキャリアテープ2がローラー対53から経路長調整部70を経由して送りローラー対61まで案内されて、送りローラー対61の二つのローラーがそれらの間にキャリアテープ2を挟み込む。送りローラー対61のうち一方又は両方のローラーは、ステッピングモーター(又はサーボモーター)及び歯車伝動機構等からなる駆動装置62によって駆動される駆動ローラーである。そして一方の駆動ローラーにはスプロケットが設けられ、そのスプロケットの歯がキャリアテープ2の送り穴7に挿入されて引っ掛かる。送りローラー対61の駆動ローラーが駆動装置62によって駆動されることによって、キャリアテープ2が送りローラー対61から下流へ送られる。なお、送りローラー対61よりも下流では、使用済みキャリアテープ2が巻取リール等に巻回されることによって、キャリアテープ2が引かれる。
【0046】
経路長調整部70は、第一送り部50と第二送り部60との間に設けられている。そして、経路長調整部70は、第一送り部50から第二送り部60までのキャリアテープ2の経路長を調整して、そのキャリアテープ2を張った状態に維持する。ここで、経路長調整部70は、固定ローラー71a,71b,71c,71d,ダンサローラー72a,72b,72c,72d、移動体73、ガイド部74及び付勢部75を備える。固定ローラー71a,71b,71c,71dは、これらの順に前から後ろへ等間隔で配列されているとともに、ローラー対53の後ろ側且つ上側において機枠22に取り付けられている。これら固定ローラー71a,71b,71c,71dは、送りローラー対61の前側に配置されているとともに、位置が固定されている。これらローラー71a,71b,71c,71dの下側からガイド部74が下方へ延び、そのガイド部74が機枠22に設けられている。ガイド部74には移動体73が取り付けられて、移動体73がガイド部74によって上下方向(鉛直方向)に案内される。移動体73の上下方向の可動範囲はガイド部74によって定められている。移動体73にはダンサローラー72a,72b,72c,72dが回転可能に取り付けられている。これらダンサローラー72a,72b,72c,72dは、これらの順に前から後ろへ等間隔で配列されている。
【0047】
供給元リール1から引き出されたキャリアテープ2は、ローラー対53から送りローラー対61に向かって、ローラー71a,72a,71b,72b,71c,72c,71d,72dの順に掛けられていて、葛折り状の経路をとる。
【0048】
ダンサローラー72a,72b,72c,72d及び移動体73は、それらの自重と巻き掛けられたキャリアテープ2のテンションとのバランスに応じて上下動する。これにより、第一送り部50によるテープ送り速度と第二送り部60によるテープ送り速度の差に応じて、キャリアテープ2の経路長が経路長調整部70によって調整される。
【0049】
具体的には、第二送り部60によるテープ送り速度と第二送り部60によるキャリアテープ2の送り速度が第一送り部50によるキャリアテープ2の送り速度よりも高速であれば、キャリアテープ2の張りが強くなるので、ダンサローラー72a,72b,72c,72d及び移動体73が上昇により固定ローラー71a,71b,71c,71dに近づき、キャリアテープ2の経路長が短くなる。第二送り部60によるキャリアテープ2の送り速度が第一送り部50によるキャリアテープ2の送り速度よりも低速であれば、キャリアテープ2の張りが弱くなるので、移動体73及びダンサローラー72a,72b,72c,72dが下降により固定ローラー71a,71b,71c,71dから離れ、キャリアテープ2の経路長が長くなる。第二送り部60によるキャリアテープ2の送り速度が第一送り部50によるキャリアテープ2の送り速度に等しければ、キャリアテープ2の張りが一定であるので、移動体73及びダンサローラー72a,72b,72c,72dが昇降せず、キャリアテープ2の経路長が維持される。
なお、ダンサローラー72a,72b,72c,72d及び移動体73の自重が重過ぎる場合には、カウンターウエイトを設けるなどして調整を行う。
【0050】
図4は、従動ローラー41からローラー対53までのキャリアテープ2の経路を拡大して示した側面図である。
図4に示すように、供給位置Pと第一送り部50との間には、第一テープセンサー89、テープ切断機80、第二テープセンサー98、チップセンサー99及びテープ接合機90が設けられている。
【0051】
テープ切断機80はガイドローラー対49とローラー対51との間に設けられ、テープ接合機90はテープ切断機80とローラー対51との間に設けられている。テープ切断機80は、ガイドローラー対49の下流側且つテープ接合機90の上流側においてキャリアテープ2を切断するものである。テープ切断機80は上刃81、下刃82及びカッター駆動装置83等を備える。上下動可能な上刃81がキャリアテープ2の上側で待機し、上下動可能な下刃82がキャリアテープ2の下側で待機し、カッター駆動装置83が上刃81及び下刃82を上下に駆動することによってこれら上刃81と下刃82を接離させる。カッター駆動装置83はソレノイド又はモーター等から構成されている。
【0052】
テープ接合機90は、テープ切断機80による切断箇所よりも下流側且つローラー対51の上流側において先のキャリアテープ2の末端と次のキャリアテープ2の先端を接合するものである。具体的には、先のキャリアテープ2の末端と次のキャリアテープ2の先端がテープ切断機80による切断箇所よりも下流側で突き合わせられた状態で、テープ接合機90がこれらのキャリアテープ2,2の両面又は片面に接合テープを貼着することによって、先のキャリアテープ2の末端と次のキャリアテープ2の先端が接合される。駆動装置91はテープ接合機90の動力源である。
【0053】
なお、テープ接合機90は、先のキャリアテープ2の末端と次のキャリアテープ2の先端を加熱することによってこれらを熱溶着するものでもよい。また、テープ接合機90は、先のキャリアテープ2の末端と次のキャリアテープ2の先端に接着剤を塗布するとともに、必要に応じて接着剤を紫外線或いは熱等によって硬化させるものでもよい。また、テープ接合機90は、先のキャリアテープ2の末端周辺と次のキャリアテープ2の先端周辺にステープルを打ち込むことによって、これらキャリアテープ2,2の端同士を接合するものでもよい。また、テープ接合機90は、縫い糸等で先のキャリアテープ2の末端周辺と次のキャリアテープ2の先端周辺に縫うことによって、これらキャリアテープ2,2の端同士を接合するものでもよい。何れの接合方式でも、先のキャリアテープ2の末端と次のキャリアテープ2の先端が突き合わせられた状態でこれらキャリアテープ2,2が接合される。
【0054】
テープ切断機80よりも上流側には、キャリアテープ2を検出する第一テープセンサー89が設けられている。より具体的には、第一テープセンサー89が駆動ローラー42とガイドローラー対49との間に設けられている。第一テープセンサー89は、例えば光電センサー(投光器及び受光器からなる)、近接センサー、接触センサー又はリミットスイッチである。
【0055】
テープ接合機90よりも上流側であってテープ切断機80よりも下流側には、第二テープセンサー98及びチップセンサー99が設けられている。より具体的には、第二テープセンサー98及びチップセンサー99がテープ切断機80の切断箇所とテープ接合機90の接合箇所との間に設けられ、第二テープセンサー98がチップセンサー99よりも上流側に配置されている。第二テープセンサー98はキャリアテープ2を検出するものであり、例えば光電センサー(投光器及び受光器からなる)、近接センサー、接触センサー又はリミットスイッチが第二テープセンサー98に採用される。チップセンサー99はICチップ6を検出するものであり、例えば収容凹部5内のICチップ6の有無がチップセンサー99によって判別される。これらセンサー89,98,99は検出結果を表す出力信号を後述の制御部15に出力する。
【0056】
図1及び
図2に示すように、リール送り機30の上方には制御部15が設けられている。制御部15は、コンピューター(例えば、プログラマブルロジックコントローラー)、モータードライバー及びハードウェアインターフェース等を有する。
図5のブロック図に示すように、制御部15には第一テープセンサー89、第二テープセンサー98及びチップセンサー99の出力信号が入力される。例えば、テープセンサー89,98によってキャリアテープ2が検出されている場合、テープセンサー89,98の出力信号がハイレベルであり、テープセンサー89,98によってキャリアテープ2が検出されていない場合、テープセンサー89,98の出力信号がローレベルである。テープセンサー89,98によってキャリアテープ2の末端が検出された場合、テープセンサー89,98の出力信号がハイレベルからローレベルに切り替わり、テープセンサー89,98によってキャリアテープ2の先端が検出された場合、ローレベルからハイレベルに切り替わる。
【0057】
制御部15は、駆動装置33,45,54,62,83,91を制御する。つまり、制御部15は、所定のタイミングで駆動装置33,45,54,62,83,91を作動させたり、駆動装置33,45,54,62,83,91の速度を制御したり、駆動装置33,45,54,62,83,91を停止させたりする。
【0058】
以下、テープスプライサー10の動作について説明する。
テープスプライサー10は通常送り動作と切替動作を交互に繰り返す。通常送り動作とは、供給元リール1にキャリアテープ2が残っているとともに、供給元リール1から引き出されたキャリアテープ2が第二送り部60の送りローラー対61まで案内されて、そのキャリアテープ2が下流へ繰り出されている時の動作をいう。切替動作とは、供給元リール1からキャリアテープ2が全て引き出されることによって供給元リール1が空になり、その供給元リール1の隣りにある次のリール1が供給位置Pに送られ、次のリール1から引き出された次のキャリアテープ2が下流へ繰り出されるようになる時の動作をいう。切替動作が間欠的に行われるので、リール1が順次間欠的に供給位置Pに送られる。
【0059】
まず、テープスプライサー10の通常送り動作について説明する。
通常送り動作中、制御部15がテープ切断機80の駆動装置83及びテープ接合機90の駆動装置91を停止状態に維持する。そうすると、テープ切断機80の上刃81と下刃82が互いに離れた位置で待機し、テープ接合機90も待機する。また、制御部15がリール送り機30の駆動装置33を停止状態に維持し、供給元カセット34が供給位置Pに位置し、待機カセット34が供給位置P以外に位置する。
【0060】
通常送り動作中、制御部15が駆動装置45の電力を遮断し、駆動装置45が保持力の無いフリー状態になるので、駆動ローラー42がキャリアテープ2の送りに従動する。また、制御部15が第一送り部50の駆動装置54を定速制御し、第一送り部50(特に、ローラー対51,53)によるキャリアテープ2の送り速度が一定に保たれる。同様に、制御部15が第二送り部60の駆動装置62を定速制御する。そうすると、キャリアテープ2が第二送り部60から下流へ定常的に送られる。ここで、第一送り部50によるキャリアテープ2の送り速度と第二送り部60(特に、送りローラー対61)によるキャリアテープ2の送り速度は、制御部15によって互いに等しく制御される。この送り速度をV1と表す。なお、通常送り動作中に制御部15がアクティブ繰り出し部40の駆動装置45を定速制御してもよいが、その場合、アクティブ繰り出し部40(特に、駆動ローラー42)によるキャリアテープ2の送り速度は制御部15によって速度V1に等しく制御される。
【0061】
第一送り部50によるキャリアテープ2の送り速度と第二送り部60によるキャリアテープ2の送り速度が等しいので、移動体73及びダンサローラー72a,72b,72c,72dが可動範囲の最上位よりも下側の位置(例えば、最下位近傍)において停止している。
【0062】
また、テープセンサー89,98によってキャリアテープ2が検出されており、その旨の出力信号(ハイレベル)がテープセンサー89,98によって制御部15に出力されている。
【0063】
次に、テープスプライサー10の切替動作について、
図6のフローチャートを参照して、説明する。なお、以下の説明において先のキャリアテープ2の符号を2Aとし、次のキャリアテープ2の符号を2Bとする。
【0064】
切替動作は、先のキャリアテープ2Aの末端が第一テープセンサー89を横切ることによって開始される。つまり、通常送り動作中に制御部15が第一テープセンサー89の出力信号を監視し(ステップS1)、第一テープセンサー89によって先のキャリアテープ2Aの末端が検出されると、切替動作が開始される(ステップS1:YES)。なお、切替動作中も継続して、制御部15が第二送り部60の駆動装置62を定速制御し、先のキャリアテープ2Aが第二送り部60によって速度V1で繰り出される。
【0065】
そして、制御部15がテープ切断機80の駆動装置83を駆動して(ステップS2)、テープ切断機80が先のキャリアテープ2Aの末端側2A1を切り落す(
図7参照)。切り落とされた部分2A1は供給元リール1の中心部に巻かれていたので、その部分2A1が大きな曲率で丸まっており、先のキャリアテープ2Aの残留部分の曲率が小さい。なお、通常送り動作中に駆動装置45が定速制御されていた場合には、制御部15がステップS2において駆動装置45の電力を遮断し、駆動装置45が保持力の無いフリー状態になる。
【0066】
続いて、制御部15が第二テープセンサー98の出力信号を監視する(ステップS3)。そして、第二テープセンサー98によって先のキャリアテープ2Aの末端が検出されると(ステップS3:YES)、キャリアテープ2Aの末端がテープ接合機90の接合位置に位置決めされるように(
図8参照)、制御部15が第一送り部50の駆動装置54を所定量だけ定速制御する(ステップS4)。そして、キャリアテープ2Aの末端がテープ接合機90の接合位置に位置したら、制御部15が駆動装置54を停止させる(ステップS4)。
【0067】
ここで、ステップS4において第一送り部50の駆動装置54が停止されても、制御部15によって電力が駆動装置54に供給されているので、駆動装置54が保持力のある保持状態となり、駆動装置54が外力により動かない。そのため、先のキャリアテープ2Aが第二送り部60によって引っ張られても、キャリアテープ2Aが第一送り部50のローラー対51〜53から引き抜かれない。また、先のキャリアテープ2Aが第二送り部60によって下流へ繰り出されるので、移動体73及びダンサローラー72a,72b,72c,72dが上昇し、キャリアテープ2Aの経路長が短くなる。このように、ステップS4の前にキャリアテープ2Aの経路長が長く調整されていたので、ステップS4後にも、経路長調整部70の下流側の第二送り部60によってキャリアテープ2Aを送ることができる。なお、後述のステップS10の処理まで、移動体73及びダンサローラー72a,72b,72c,72dの上昇が継続する。
【0068】
続いて、制御部15がリール送り機30の駆動装置33を所定量だけ作動させ(ステップS5)、キャリッジ32及びカセット34が隣り合うカセット34の間隔の分だけ駆動装置33によって移動される。これにより、空の供給元リール1を収容した供給元カセット34の隣りに配置された次のカセット34が駆動装置33によって供給位置Pに位置する(
図9参照)。なお、このステップS5の処理は、先のキャリアテープ2Aの末端が第一テープセンサー89によって検出された後(ステップS1:YES)であって、次のキャリアテープ2Bの繰り出し処理(後述のステップS6の処理)の前であればよい。
【0069】
次のカセット34が供給位置Pにまで移動される際には、先に供給位置Pに位置した繰り出し部40の駆動ローラー42が駆動装置45から遮断され、その繰り出し部40が非アクティブとなる。一方、隣りにある次の繰り出し部40の駆動ローラー42が駆動装置45に連結され、次の繰り出し部40がアクティブとなる。
【0070】
続いて、制御部15が次のアクティブ繰り出し部40の駆動装置45を作動させ(ステップS6)、次のアクティブ繰り出し部40の駆動ローラー42が駆動装置45によって駆動される。これにより、次のキャリアテープ2Bが次のアクティブ繰り出し部40の駆動ローラー42によって繰り出され、次のキャリアテープ2Bの先端が先のキャリアテープ2Aの末端に向けて移動する。
【0071】
続いて、制御部15が第二テープセンサー98の出力信号を監視する(ステップS7)。そして、第二テープセンサー98によって次のキャリアテープ2Bの先端が検出されると(ステップS7:YES)、キャリアテープ2Bの先端がテープ接合機90の接合位置に位置決めされるように、制御部15が次のアクティブ繰り出し部40の駆動装置45を所定量だけ定速制御する(ステップS8)。そして、キャリアテープ2Bの先端がテープ接合機90の接合位置に位置したら、制御部15がその駆動装置45を停止させる(ステップS8)。これにより、先のキャリアテープ2Aの末端と次のキャリアテープ2Bの先端が突き合わせられた状態となる(
図10参照)。先のキャリアテープ2Aが切断されたので(ステップS2参照)、先のキャリアテープ2Aの末端と次のキャリアテープ2Bの先端の突き合わせが良好になる。
【0072】
続いて、制御部15がテープ接合機90の駆動装置91を作動させて(ステップS9)、テープ接合機90が駆動装置91によって駆動される。そうすると、テープ接合機90が接合動作を行って、先のキャリアテープ2Aの末端と次のキャリアテープ2Bの先端が接合される。
【0073】
続いて、制御部15が駆動装置45の電力を遮断し、駆動装置45が保持力の無いフリー状態になる。併せて、制御部15が第一送り部50の駆動装置54を定速制御する(ステップS10)。そうすると、先のキャリアテープ2Aに続いて次のキャリアテープ2Bが第一送り部50によって下流へ送られる。第一送り部50による次のキャリアテープ2Bの送り速度が一定に保たれるが、その送り速度V2は制御部15によって第二送り部60によるキャリアテープ2A,2Bの送り速度V1よりも高速で制御される。従って、移動体73及びダンサローラー72a,72b,72c,72dが下降し、キャリアテープ2A,2Bの経路長が長くなる。
なお、ステップS10において制御部15が次のアクティブ繰り出し部40の駆動装置45を定速制御してもよいが、その場合、次のアクティブ繰り出し部40による次のキャリアテープ2Bの送り速度は第一送り部50によるキャリアテープ2A,2Bの送り速度V2に等しい。
【0074】
第一送り部50の駆動装置54の定速制御開始時から所定時間経過したら、或いは、その駆動装置54の定速制御開始時から所定量だけキャリアテープ2Bを送ったら、或いは、移動体73及びダンサローラー72a,72b,72c,72dが所定の位置にまで下降して移動体73及びダンサローラー72a,72b,72c,72dをセンサーによって検出したら、制御部15が第一送り部50の駆動装置54を減速する(ステップS11)。そして、制御部15が第一送り部50の駆動装置54を定速制御するが、第一送り部50による次のキャリアテープ2Bの送り速度は制御部15によって第二送り部60によるキャリアテープ2A,2Bの送り速度V1に等しく制御される。そのため、移動体73及びダンサローラー72a,72b,72c,72dの下降が停止する。
なお、ステップS11において制御部15が駆動装置45を定速制御した場合、制御部15が駆動装置54の減速に同期して、駆動装置45も減速させるが、その場合、次のアクティブ繰り出し部40による次のキャリアテープ2Bの送り速度は速度V1に等しい。
【0075】
ステップS11の処理において第一送り部50の駆動装置54が減速されることによって、テープスプライサー10の切替動作が終了するとともに、テープスプライサー10の次の通常送り動作が開始される。次の通常送り動作では、次のキャリアテープ2Bが定常的に繰り出される。
【0076】
テープスプライサー10が通常送り動作と切替動作を交互に繰り返すことによって、キャリッジ32が
図2において右へ間欠的に移動するので、
図2に示す複数のリール1は右から左の順に供給位置Pに送られる。最も左のリール1が供給位置Pに位置して、テープスプライサー10の通常送り動作によって最も左のリール1からキャリアテープ2が繰り出されている際に、作業者が空になった他のリール1を新たなリール1に交換する。つまり、作業者は、新たなリール1をカセット34(但し、最も左のカセット34を除く)にそれぞれ収容し、それら新たなリール1からキャリアテープ2を引き出して、それらキャリアテープ2の先端をそれぞれ繰り出し部40(但し、最も左の繰り出し部40を除く)の従動ローラー41と駆動ローラー42の間に挟み込む。
【0077】
そして、最も左のリール1からキャリアテープ2の全体が引き出された後の、テープスプライサー10の切替動作のステップS5におけるキャリッジ32の移動方向が
図2における左方になる。その後にテープスプライサー10が通常送り動作と切替動作を交互に繰り返すことによって、キャリッジ32が
図2において左へ間欠的に移動するので、リール1が左から右の順に供給位置Pに送られる。そして、最も右のリール1が供給位置Pに位置して、テープスプライサー10の通常送り動作によって最も右のリール1からキャリアテープ2が繰り出されている際に、作業者が空になった他のリール1を新たなリール1に交換する。
その後も、キャリッジ32の間欠的な右への移動と、キャリッジ32の間欠的な左への移動とが交互に繰り返される。
【0078】
以上の実施形態には次のような効果・利点がある。
(1) 個別に駆動源を備えた第一送り部50と第二送り部60との間に経路長調整部70が設けられているので、第一送り部50のテープ送り速度と第二送り部60のテープ送り速度を相違させることができる。従って、第二送り部60によってキャリアテープ2を送りつつ、先のキャリアテープ2の切断(ステップS2参照)、先のキャリアテープ2の位置決め(ステップS4参照)、リール1の送り(ステップS5参照)、次のキャリアテープ2の繰り出しや位置決め(ステップS6〜S8)、そして、先のキャリアテープ2と次のキャリアテープ2の接合(ステップS10)をテープスプライサー10により行うことができる。つまり、経路長調整部70を設けたからこそ、下流工程へのキャリアテープ2の供給、言い換えればICチップの供給を止めることなく、テープスプライサー10の動作を制御部15によって自動的に制御することができるようになった。これにより、ICチップの連続的且つ高速での供給が可能になり、下流工程の高速処理にも対応する。
【0079】
(2) 切替動作中でも第二送り部60によってキャリアテープ2が送られているので、テープスプライサー10から下流へのキャリアテープ2の供給が連続的に行われる。つまり、複数のキャリアテープ2を途切れることなく次々繰り出すことができる。
【0080】
(3) 作業者の作業負担が軽減する。つまり、最も右のカセット34又は最も左のカセット34が供給位置Pに位置する際に、空のリール1の交換を行うだけで済むようになる。
【0081】
(4) 先のキャリアテープ2がテープ切断機80によって切断されることによって、先のキャリアテープ2の末端と次のキャリアテープ2の先端が突き合いやすくなり、これら端部の接合を良好に行うことができる。
【0082】
(5) ステップS10において第一送り部50によってキャリアテープ2が高速に送られることによって、移動体73及びダンサローラー72a,72b,72c,72dが下降するので、次の切替動作に備えることができる。
【0083】
以上、本発明を実施するための形態について説明したが、上記実施形態は本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。本発明はその趣旨を逸脱することなく変更、改良され得るとともに、本発明にはその等価物も含まれる。
【0084】
以上の実施の形態では、一つの駆動装置45が供給位置P近傍に設けられ、複数のリール1が順次間欠的に供給位置Pに送られることによって、複数の繰り出し部40が順次駆動装置45に連結される。それに対して、複数の駆動装置45が複数のカセット34のぞれぞれの上部に設けられ、これら駆動装置45が繰り出し部40の駆動ローラー42にそれぞれ連結されていてもよい。この場合、上述のステップS6〜ステップS8では、供給位置Pに位置する繰り出し部40の駆動ローラー42に連結された駆動装置45が制御部15によって駆動され、供給位置Pに位置しない他の繰り出し部40の駆動ローラー42に連結された駆動装置45が制御部15によって駆動されない。
【0085】
また、キャリアテープ2の収容凹部5に収容されたものはICチップ6に限るものではない。例えば、能動素子、受動素子その他の電子部品が収容凹部5に収容されてもよいし、電子部品以外の小片が収容凹部5に収容されてもよい。
【0086】
また、上述の実施の形態では、リール送り機30が直線運動するものであったが、リール送り機30が回転運動するものでもよい。その場合、複数のカセット34が回転運動の中心から放射状に配置され、これらカセット34が周方向に配列され、これらカセット34にそれぞれ収容されたリール1が周方向に送られる。