【解決手段】基板12と、透明性を有する封止材14にて封止された複数のソーラーセル16と、保護膜20とを有するソーラーパネル10において、保護膜20を、透明性を有する合成樹脂材料からなる透明シートに、着色剤を含む合成樹脂材料からなる着色部32を熱融着せしめることによって形成し、かかる着色部32を、複数のソーラーセル16に接続されたバスバー26及びインターコネクタ28を覆うように、保護膜20において配置して、構成した。
基板と、透明性を有する封止材にて封止された複数のソーラーセルと、保護膜とを有し、該複数のソーラーセルの非受光面側が該基板によって覆われている一方、該複数のソーラーセルの受光面側が前記保護膜によって覆われて構成されるソーラーパネルであって、
前記保護膜が、透明性を有する合成樹脂材料からなる透明シートに、着色剤を含む合成樹脂材料からなる着色部が熱融着せしめられて形成されており、
前記着色部が、前記複数のソーラーセルに接続されたバスバー及びインターコネクタを覆うように、前記保護膜において配置されている、
ことを特徴とするソーラーパネル。
前記着色部を構成する合成樹脂材料のメルトマスフローレートが、前記透明性を有する合成樹脂材料のメルトマスフローレートより小さいことを特徴とする請求項1に記載のソーラーパネル。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、合成樹脂からなる表面板(表面層)に対して、印刷等の方法により加飾を行なった場合、ソーラーパネル製造の際の熱ラミネート工程等において加えられる熱により、加飾部を構成する塗料等が劣化したり、隣接する他の層(補強層、表面保護層や封止材層等)との熱収縮量の差によって加飾部に亀裂が生じたりする恐れがある。即ち、合成樹脂からなる表面板(表面層)に対して、印刷等の従来より公知の手法に従って加飾部を形成すると、最終的に得られるソーラーパネルにおいて、加飾部の滲みや乱れ等が発生して、結果として、ソーラーパネルの意匠性が低下するという問題を内在しているのである。
【0006】
また、従来より実施されている、ガラス製の表面板に対して施される黒色セラミック塗装は、高温での焼付工程を要するため、合成樹脂製の表面板に対しては実質的に行なうことが出来ないという問題もある。
【0007】
ここにおいて、本発明は、かかる事情を背景にして為されたものであって、その解決課題とするところは、意匠性に優れたソーラーパネルを提供することにある。また、本発明は、そのようなソーラーパネルを有利に製造する方法を提供することをも、その解決課題とするところである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
そして、本発明にあっては、かかる課題を解決するために、基板と、透明性を有する封止材にて封止された複数のソーラーセルと、保護膜とを有し、該複数のソーラーセルの非受光面側が該基板によって覆われている一方、該複数のソーラーセルの受光面側が前記保護膜によって覆われて構成されるソーラーパネルであって、前記保護膜が、透明性を有する合成樹脂材料からなる透明シートに、着色剤を含む合成樹脂材料からなる着色部が熱融着せしめられて形成されており、前記着色部が、前記複数のソーラーセルに接続されたバスバー及びインターコネクタを覆うように、前記保護膜において配置されていることを特徴とするソーラーパネルを、その要旨とするものである。
【0009】
また、本発明にあっては、好ましくは、前記着色部を構成する合成樹脂材料のメルトマスフローレートが、前記透明性を有する合成樹脂材料のメルトマスフローレートより小さくされている。
【0010】
さらに、本発明にあっては、前記した本発明に従うソーラーパネルの製造方法であって、前記保護膜を、a)前記透明性を有する合成樹脂材料からなる透明シートと、b)前記着色剤を含む合成樹脂材料からなる着色シートであって、少なくとも前記複数のソーラーセルに接続されたバスバー及びインターコネクタを覆うことが可能な平面形状を呈するものとを、熱融着せしめることによって形成することを特徴とするソーラーパネルの製造方法をも、また、その要旨とするものである。
【発明の効果】
【0011】
このように、本発明に従うソーラーパネルにあっては、保護膜が、透明性を有する合成樹脂材料からなる透明シートに、着色剤を含む合成樹脂材料からなる着色部が熱融着せしめられて、形成されているところから、ソーラーパネルの製造時乃至は使用時において、着色部における亀裂の発生や着色部の滲みの発生等が、効果的に抑制される。
【0012】
そして、そのような着色部が、複数のソーラーセルに接続されたバスバー及びインターコネクタを覆うように、保護膜において配置されているところから、受光面側からバスバー及びインターコネクタが視認されたり、それらが光を反射してぎらついたりすることが有利に防止される。即ち、本発明のソーラーパネルは、乱れのない着色部によって、バスバー及びインターコネクタが覆い隠されているのであり、以て、優れた意匠性を発揮することとなるのである。
【0013】
また、本発明に従うソーラーパネルの製造方法にあっては、上記した本発明に従うソーラーパネルを、有利に製造可能である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明を更に具体的に明らかにするために、本発明の代表的な実施形態について、図面を参照しつつ、詳細に説明することとする。
【0016】
先ず、
図1及び
図2には、本発明に従うソーラーパネルの一例が、その平面形態と断面形態において、それぞれ示されている。そこにおいて、ソーラーパネル10は、全体として矩形平板形状を呈し、
図2に示されるように、基板12と、封止材14にて封止された複数のソーラーセル16(以下、適宜、ソーラーセル封止体18と総称する)と、保護膜20とを有している。また、ソーラーセル封止体18内において、複数のソーラーセル16は、各々の受光面が同一の方向(
図2においては上方)を向くように配置されている。そして、ソーラーセル封止体18の非受光面側(
図2においては下側)を覆うように基板12が配設され、その一方、ソーラーセル封止体18の受光面側(
図2においては上側)を覆うように保護膜20が配設されることにより、ソーラーパネル10は構成されているのである。なお、基板12とソーラーセル封止体18との間、及びソーラーセル封止体18と保護膜20との間には、それぞれ、接着剤層22及び24が介在せしめられているのであり、それら接着剤層22、24によって、基板12、ソーラーセル封止体18及び保護膜20は、一体化されている。
【0017】
ここで、基板12は、主としてソーラーパネル10に要求される剛性や耐久性等を発揮するための部材であり、本実施形態においては、炭素繊維強化プラスチック(CFRP)にて構成されている。なお、本発明において、基板を構成する材料は、炭素繊維強化プラスチックに限定されるものではなく、要求される剛性や耐久性、更には防湿性や絶縁性等を発揮し得る材料であれば、従来より公知の各種材料(金属材料、樹脂材料等)の何れをも使用することが可能である。ソーラーパネルの軽量化を図る観点においては、樹脂材料が有利に採用され、具体的には、ポリカーボネート(PC)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ガラスエポキシ多層材料、環状ポリオレフィン、ポリスチレン(PS)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリイミド(PI)、エチレン−テトラフルオロエチレン共重合体(ETFE)、アミド繊維強化プラスチック、及び炭素繊維やアミド繊維以外の繊維強化プラスチック(FRP)等を、例示することが出来る。そのような公知の材料の中から、例えばソーラーパネルの用途等に応じたものが適宜に選択されて、採用されることとなる。
【0018】
また、封止材14は、ソーラーセル16に太陽光を効率よく受光させるために、高い透明性を有しており、ここでは、オレフィン系の樹脂材料にて構成されている。なお、本発明において、封止材を構成する材料としては、オレフィン系の樹脂材料に限定されるものではなく、従来よりソーラーパネルにおいて、ソーラーセルを封止するために用いられている封止材であれば、何れも使用可能である。具体的には、エチレンビニルアセテート(EVA)やポリビニルブチラール(PVB)等を主成分とする熱可塑性の合成樹脂材料や、シリコン系の樹脂材料等を、例示することが出来る。そして、封止材14中に、複数(ここでは、4個)のソーラーセル16が、マトリックス状に、換言すれば、同一の面上に縦横に格子状に規則正しく、配列されて、封止(収容)されて、ソーラーセル封止体18は構成されている。
【0019】
さらに、本実施形態において用いられるソーラーセル16は、一方の面が受光面とされ、他方の面が非受光面とされている、所謂、片面受光型ソーラーセルである。本発明においては、ソーラーセルとして、単結晶Siセル、多結晶Siセル、薄膜Siセル、化合物系セル、有機セル等の公知のものを何れも、使用することが出来る。なお、そのようなソーラーセルとして、両方の面が受光面とされている、所謂、両面受光型ソーラーセルを用いることも可能である。
【0020】
また、それら複数のソーラーセル16は、バスバー26及びインターコネクタ28により、互いに、電気的に接続されている。なお、ここでは、バスバー26及びインターコネクタ28は、その厚さを出来るだけ薄くするために、金属製の線材が、被覆されることなく、そのままの状態で使用されている。なお、ソーラーパネル10の信頼性を高めるために、各ソーラーセル16に対して、それぞれ2本のインターコネクタ28、28が接続される、所謂複合配線構造が採用されている。
【0021】
加えて、保護膜20は、全体として、ソーラーパネル10に耐候性、耐摩傷性、耐薬品性、ガスバリア性等を付与するためのものであり、ここでは、太陽光を効率よく透過させるための透明性を有する、ポリカーボネート樹脂からなる透明部30と、着色剤(樹脂用の顔料や染料)が配合されて黒色を呈するポリカーボネート樹脂からなる着色部32とから、構成されている。
【0022】
かかる保護膜20において、着色部32は、
図1及び
図2に示されるように、複数のソーラーセル16に接続されたバスバー26及びインターコネクタ28を覆うようにして配置されており、そのような着色部32の幅が、バスバー26及びインターコネクタ28の幅よりも広くされている。即ち、ソーラーパネル10の表面側から見て、着色部32が、バスバー26及びインターコネクタ28を覆い隠すように、それらに対応する位置において形成されている。これにより、ソーラーパネル10の表面側から、バスバー26及びインターコネクタ28が、ソーラーパネル10表面から直接視認されることや、バスバー26及びインターコネクタ28に直接太陽光が照射されることが、効果的に阻止されるのである。
【0023】
そして、ソーラーパネル10においては、保護膜20が、合成樹脂材料からなる透明シートに、着色剤を含む合成樹脂材料からなる着色部32が熱融着せしめられることによって、形成されているのである。即ち、透明シートと着色部32とが、ここでは、同一(同質)の合成樹脂材料(ポリカーボネート樹脂)にて構成されているところから、透明シートと着色部32とが接触した状態で加熱せしめることによって、それらの接触面において熱融着が効果的に進行し、透明シートと着色部32とが有利に一体化せしめられているのである。
【0024】
ここで、透明シートより与えられる透明部や着色部を構成する合成樹脂材料としては、例えば、ポリカーボネート(PC)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、環状ポリオレフィン、ポリスチレン(PS)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、エチレン−テトラフルオロエチレン共重合体(ETFE)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体(ABS)等を挙げることが出来る。更に、保護膜において、高い耐熱性が必要となる場合には、ポリエーテルサルフォン(PES)やポリエーテルイミド(PEI)を用いることも出来、加えて、これらの合成樹脂材料のうちの複数種からなるアロイを用いることも可能である。それらの中でも、保護膜において必要とされる、強度や耐熱性(融点)、透明性、コスト等の種々の性能を考慮して、PC、PMMA、PET、PCとABSとのアロイ(PC/ABS)、及びPCとPETとのアロイ(PC/PET)等が、有利に用いられることとなる。
【0025】
また、本発明のソーラーパネルにおいては、先に述べたように、保護膜20が、透明シートと着色部32とが熱融着せしめられて形成されているため、それらを構成する各合成樹脂材料が、互いに熱融着可能な組合せとされる必要がある。即ち、透明シートを構成する合成樹脂材料と、着色部を構成する合成樹脂材料とが、同一乃至は同質系の材料とされることが好ましく、そのような組合せとしては、例えば、PCとPC、PMMAとPMMA、PETとPET、PC/ABSとPC、PC/ABSとABS、PC/PETとPC、PC/PETとPET、等の組合せを挙げることが出来る。
【0026】
また、本発明においては、着色部32を構成する合成樹脂材料のメルトマスフローレート[MFR(単位:g/10分)]が、透明部30を構成する合成樹脂材料のメルトマスフローレートよりも小さいことが好ましい。合成樹脂材料のメルトマスフローレートとは、JIS K7210(試験温度:190℃、公称荷重:2.16kg)に規定される方法によって測定されたものを意味する。本発明においては、着色部を構成する合成樹脂材料のMFR:aが、透明部を構成する合成樹脂材料のMFR:bよりも小さく(a<b)、その差が1以上である(b−a≧1)ことが好ましい。
【0027】
なお、本実施形態においては、保護膜20上に、耐薬品性、耐候性、耐摩傷性、耐衝撃性等の向上を図るべく、表面保護層34が形成されている。
【0028】
ところで、
図1及び
図2に示される如きソーラーパネル10は、例えば、以下の方法に従って、有利に製造することが出来る。なお、以下に述べるソーラーパネル10の製造方法においては、保護膜20の形成手法に大きな特徴が存するものであるところから、従来より公知の過程等(例えば、ソーラーセル封止体18の形成過程や、真空ラミネート装置等)については、詳細な説明を省略することとする。
【0029】
先ず、炭素繊維強化プラスチック製の基板12と、オレフィン系の樹脂材料をシート状に成形してなる2枚の封止材シート36、36と、バスバー26及びインターコネクタ28によって接続された複数のソーラーセル16とが準備される。そして、複数のソーラーセル16が、2枚の封止材シート36、36間に挟まれた状態で、基板12上に載置される(
図3参照)。
【0030】
さらに、透明性を有するポリカーボネート樹脂材料の硬化物たる2枚の透明シート40、40と、樹脂材料用の顔料又は染料が添加されて黒色に着色されたポリカーボネート樹脂材料の硬化物たる着色シート42とが、準備される。ここで、着色シート42は、予めバスバー26及びインターコネクタ28の配設パターンに合わせた平面形態を呈するものとされている。また、着色シート42を構成するポリカーボネート樹脂は、透明シート40を構成するポリカーボネート樹脂との比較において、メルトマスフローレートが小さいものが使用されている。
【0031】
そして、それら透明シート40、40及び着色シート42が所定の態様において重ね合わされて、封止材シート36上に載置される。即ち、着色シート42が、2枚の透明シート40、40間に挟まれた状態で、上側の封止材シート36上に載置される。なお、上側の封止材シート36と透明シート40との間には、接着剤シート44が挟まれている。
【0032】
このようにして、
図3に示されるように、基板12、封止材シート36、ソーラーセル16、封止材シート36、接着剤シート44、透明シート40、着色シート42、及び透明シート40が、この順に重ね合わされた積層体46が、準備されるのである。
【0033】
次いで、かかる積層体46に対して、公知のラミネート加工を行なって、各構成部材を一体化せしめる。即ち、積層体46が、公知の真空ラミネート装置内へ配置され、減圧下で、加熱及び加圧されることにより、積層体46の各構成部材が一体化せしめられることとなる。
【0034】
そして、そのようなラミネート加工において、透明シート40、40と着色シート42とが熱融着せしめられることにより、保護膜20が形成されることとなるのである。
【0035】
なお、上述せるように、着色シート42を構成するポリカーボネート樹脂のメルトマスフローレートが、透明シート40を構成するポリカーボネート樹脂のメルトマスフローレートよりも小さいことから、ラミネート加工の際の熱によって、
図4の(a)に示されるように、透明シート40、40が優先的に、着色シート42を取り囲むように流動する[
図4の(a)の二点鎖線矢印参照]一方、着色シート42の流動は抑制されることとなるのである。
【0036】
そして、積層体46が冷却せしめられることによって、
図4の(b)に示されるように、透明シート40、40からなる透明部30と、着色シート42からなる着色部32とが一体化されてなる保護膜20が、形成されることとなるのである。
【0037】
その後、真空ラミネート装置から、積層体46の一体化物が取り出され、以て、
図1及び
図2に示される如き構造を有するソーラーパネル10が得られるのである。
【0038】
以上の説明から明らかなように、上記の製造方法により得られるソーラーパネル10は、保護膜20が、透明シート40、40と着色シート42とを熱融着せしめることによって形成されていると共に、着色シート42によって、着色部32が構成されているところから、ソーラーパネル10の製造時乃至は使用時において、着色部32における亀裂の発生や着色部32の滲みの発生が、従来の塗装等によって着色部を設けた場合と比較して、格段に抑制されることとなるのである。
【0039】
そして、そのような着色部32が、複数のソーラーセル16に接続されたバスバー26及びインターコネクタ28を覆うように、保護膜20において配置されているところから、ソーラーパネル10の表面側(ソーラーセル16の受光面側)からバスバー26及びインターコネクタ28が視認されたり、それらが光を反射してぎらついたりすることが有利に防止される。即ち、ソーラーパネル10においては、乱れのない着色部32によって、バスバー26及びインターコネクタ28が覆い隠されているのであり、以て、優れた意匠性を発揮することとなるのである。
【0040】
また、上述した製造方法においては、着色シート42が2枚の透明シート40、40間に挟持せしめられた状態で熱融着せしめられることにより、保護膜20が、2枚の透明シート40、40により与えられる透明部30内に、着色部32を収容した形態において形成されているところから、それら着色シート42と透明シート40、40との境界部分に不可避的に生じる凹凸が、ソーラーパネル10の表面に露呈しないようにされている。そのため、そのような凹凸によってソーラーパネル10の意匠性が低下することが有利に阻止されることとなる。また、これにより、着色部32を有利に所望の位置に形成することが出来るという利点もある。
【0041】
加えて、着色部32を構成する合成樹脂材料のメルトマスフローレートが、透明部30を構成する合成樹脂材料のメルトマスフローレートよりも小さいことから、着色シート42と透明シート40、40とが熱融着せしめられる際に、着色シート42が移動乃至流動して、形成される着色部32の乱れが発生してしまうことが有利に防止されることとなり、以て、ソーラーパネル10においてより一層優れた意匠性が発揮される。
【0042】
また、上記したソーラーパネルの製造方法にあっては、保護膜20において、透明シート40、40と着色部32とを、所望の位置関係において一体化して、着色部32を保護膜20における所望の位置に、乱れなく形成することが可能である。
【0043】
さらに、上記の製造方法においては、着色シート42と透明シート40、40とが、積層体46のラミネート加工と同時に熱融着せしめられるようになっている。これにより、別途、着色シート42と透明シート40、40との熱融着工程を行なう必要がないところから、ソーラーパネル10の製造コストを高騰させることなく、有利に着色部32を形成し、ソーラーパネル10の意匠性を高めることが出来る。
【0044】
なお、ソーラーパネル10は、保護膜20が樹脂製とされていることにより、形状自由度が高いという利点もある。従って、ソーラーパネル10を自動車等に搭載するにあたって、予めその外形形状に合わせた湾曲形状とすることが容易になる。
【0045】
ところで、
図5及び
図6には、それぞれ、本発明に従うソーラーパネルの別の実施形態が、断面形態において、示されている。なお、それら
図5及び
図6に示されるソーラーパネルにおいて、先のソーラーパネル10と同様な構造の部分には、同一の符号を付して、詳細な説明は省略することとする。
【0046】
ここで、
図5に示されるソーラーパネル48においては、保護膜20において、着色部32が、保護膜20の下部部位であって、かかる保護膜20の下面(ソーラーセル封止体18側の面)に露呈するように形成されている。
【0047】
また、
図6に示されるソーラーパネル50においては、保護膜20において、着色部32が、保護膜20の上部部位であって、かかる保護膜20の上面(表面)に露呈するように形成されている。
【0048】
このようなソーラーパネル48、50にあっても、保護膜20において、透明部30と着色部32とが熱融着せしめられて一体化されていると共に、着色部32が所定の形態にて形成されているところから、上記せるようにして、着色部32の乱れの発生が阻止されており、以て、ソーラーパネル48、50が優れた意匠性を発揮することとなる。
【0049】
そして、そのようなソーラーパネル48、50の製造に際しては、着色シート42が1枚の透明シート40の下側又は上側において重ね合わされた状態でラミネート加工されることにより、それら着色シート42と透明シート40とが熱融着せしめられて、保護膜20が形成される。かくして、ソーラーパネル48、50が、有利に製造される。
【0050】
以上、本発明の代表的な実施形態について幾つか詳述してきたが、それらは、あくまでも例示に過ぎないものであって、本発明は、そのような実施形態に係る具体的な記述によって、何等限定的に解釈されるものではないことが、理解されるべきである。
【0051】
例えば、保護膜は、ラミネート加工工程時に、透明シートと着色シートとが熱融着せしめられて形成される構成に限られるものではなく、予め、透明シートと着色シートとを熱融着せしめて、一体化しておくことも出来る。これにより、ソーラーパネルの製造時における着色シートのズレ等を有利に防止し、着色部を所望の位置に有利に形成することが出来る。また、このような構成においても、着色部が、透明シートに着色シートを熱融着せしめることにより、保護膜において一体的に形成されているところから、バスバー及びインターコネクタを隠すために、別途、塗装等の加飾を施す構成や、透明シートに着色シートを貼り付ける構成に比べて、コストが低減されるという利点を得ることが出来る。
【0052】
なお、予め、透明シートと着色シートとを熱融着せしめて、保護膜を形成することにより、かかる保護膜を含むソーラーパネルの各構成部材を、ラミネート加工ではなく、接着により一体化してソーラーパネルを製造することも可能となる。
【0053】
また、ソーラーセル封止体の厚さは、ソーラーパネルの耐衝撃性能に対して、適宜に調整されるものである。かかるソーラーセル封止体の厚さは、ソーラーパネルの製造時において、封止材を与える樹脂製シートの枚数を増減させることにより調整することが可能である。
【0054】
さらに、保護膜における着色部は、黒色に着色されるものに、何等限られず、求められる意匠性や、基板及びソーラーセルの色に合わせて、紫色、紺色、灰色等の色に着色されることとなる。また、最近のソーラーパネルでは、受光面側から入射されて、ソーラーセルに当たらなかった太陽光を、基板にて反射させて再利用するため、基板が白色に着色されたものもある。そのような場合、基板の白色に合わせて、着色部を白色とすることも可能であり、更に、ぎらつきを防止するために、着色部に対してツヤ消し処理を施すことも出来る。なお、着色に際しては、要求される色に応じた着色剤が適宜に選択されて、使用される。
【0055】
その他、一々列挙はしないが、本発明は、当業者の知識に基づいて、種々なる変更、修正、改良等を加えた態様において実施され得るものであり、そして、そのような実施の態様が、本発明の趣旨を逸脱しない限りにおいて、何れも、本発明の範疇に属するものであることは、言うまでもないところである。