(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2016-208002(P2016-208002A)
(43)【公開日】2016年12月8日
(54)【発明の名称】コイル電子部品及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
H01F 17/04 20060101AFI20161111BHJP
H01F 27/255 20060101ALI20161111BHJP
H01F 1/20 20060101ALI20161111BHJP
H01F 1/153 20060101ALI20161111BHJP
H01F 41/02 20060101ALI20161111BHJP
H01F 41/04 20060101ALI20161111BHJP
【FI】
H01F17/04 F
H01F27/24 D
H01F1/30
H01F1/32
H01F1/14 C
H01F41/02 D
H01F41/02 C
H01F41/04 C
【審査請求】有
【請求項の数】20
【出願形態】OL
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2016-3654(P2016-3654)
(22)【出願日】2016年1月12日
(31)【優先権主張番号】10-2015-0058237
(32)【優先日】2015年4月24日
(33)【優先権主張国】KR
(71)【出願人】
【識別番号】594023722
【氏名又は名称】サムソン エレクトロ−メカニックス カンパニーリミテッド.
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】龍華国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】リュ、ハン ウール
(72)【発明者】
【氏名】リー、ビョン ファ
【テーマコード(参考)】
5E041
5E062
5E070
【Fターム(参考)】
5E041AA11
5E041BD03
5E041CA01
5E041HB15
5E041NN01
5E041NN06
5E062AA02
5E062DD01
5E070AA01
5E070AB02
5E070BB02
5E070BB03
5E070DA13
5E070EA01
(57)【要約】
【課題】本発明は、コイル電子部品及びその製造方法に関する。
【解決手段】本発明の一実施形態は、内部にコイル部が配置された本体と、上記コイル部と連結される外部電極と、を含み、上記本体は磁性粒子を含み、上記磁性粒子は第1磁性粒子、第2磁性粒子及び第3磁性粒子を含み、前記第1から第3磁性粒子は粒径が互いに異なるコイル電子部品を提供する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部にコイル部が配置された本体と、
前記コイル部と連結される外部電極と、を含み、
前記本体は磁性粒子を含み、前記磁性粒子は第1磁性粒子、第2磁性粒子及び第3磁性粒子を含み、
前記第1から第3磁性粒子は粒径が互いに異なる、コイル電子部品。
【請求項2】
前記第1磁性粒子の粒径は8μm〜30μmであり、前記第2磁性粒子の粒径は2.5μm〜5.0μmであり、前記第3磁性粒子の粒径は1.5μm以下である、請求項1に記載のコイル電子部品。
【請求項3】
前記本体の一破断面において、第1磁性粒子が占める断面積の和をa、第2磁性粒子及び第3磁性粒子が占める断面積の和をbとするとき、前記第1から第3磁性粒子はa:bが5:5〜9:1を満たすように混合される、請求項1または2に記載のコイル電子部品。
【請求項4】
前記本体の一破断面において、第2磁性粒子が占める断面積の和と第3磁性粒子が占める断面積の和の比が5:5〜9:1を満たすように混合される、請求項1から3のいずれか一項に記載のコイル電子部品。
【請求項5】
前記本体に含まれた磁性粒子は少なくとも3個のピークを有する粒度分布を有する、請求項1から4のいずれか一項に記載のコイル電子部品。
【請求項6】
前記第1から第3磁性粒子は鉄(Fe)を含む、請求項1から5のいずれか一項に記載のコイル電子部品。
【請求項7】
前記第1磁性粒子はFe−Cr−Si−B−C系非晶質金属粒子を含む、請求項1から6のいずれか一項に記載のコイル電子部品。
【請求項8】
前記第2磁性粒子は、前記Fe−Cr−Si−B−C系非晶質金属粒子及びFe金属粒子の一つ以上を含み、前記第3磁性粒子はFe−B−P系非晶質金属粒子及びニッケル(Ni)粒子の一つ以上を含む、請求項7に記載のコイル電子部品。
【請求項9】
前記本体の一断面を観察したとき、前記第1磁性粒子が占める断面積:第2磁性粒子が占める断面積:第3磁性粒子が占める断面積の比は5:4.5:0.5〜9:0.9:0.1である、請求項1から8のいずれか一項に記載のコイル電子部品。
【請求項10】
前記コイル部は、基材層、及び前記基材層の少なくとも一面に形成されたコイルパターンを含む、請求項1から9のいずれか一項に記載のコイル電子部品。
【請求項11】
前記本体は熱硬化性樹脂をさらに含む、請求項1から10のいずれか一項に記載のコイル電子部品。
【請求項12】
前記本体の磁性粒子の充填率は70%以上である、請求項1から11のいずれか一項に記載のコイル電子部品。
【請求項13】
前記Fe−Cr−Si−B−C系非晶質金属は、鉄(Fe)を72〜80wt%、クロム(Cr)を0.5〜3.0wt%、シリコン(Si)を4.5〜8.5wt%、ホウ素(B)を0.5〜2.0wt%、及び炭素(C)を0.5〜2.0wt%含む、請求項7に記載のコイル電子部品。
【請求項14】
前記Fe−B−P系非晶質金属は、鉄(Fe)を87〜93wt%、ホウ素(B)を5〜11wt%、及びリン(P)を1〜3wt%含む、請求項8に記載のコイル電子部品。
【請求項15】
内部にコイル部が埋設された本体を含むコイル電子部品において、
前記本体は複数の磁性粒子を含み、
前記本体に含まれた磁性粒子は少なくとも3個のピークを有する粒度分布を有し、前記3個のピークのうちの第1ピークに該当する磁性粒子の粒径は前記3個のピークのうちの第2ピークに該当する磁性粒子の粒径の4〜15倍であり、前記第2ピークに該当する磁性粒子の粒径は前記3個のピークのうちの第3ピークに該当する磁性粒子の粒径の2〜7倍である、コイル電子部品。
【請求項16】
前記第1ピークは8μm〜30μmの粒度分布で、前記第2ピークは2.5μm〜6.0μmの粒度分布で、前記第3ピークは1.5μm以下の粒度分布で存在する、請求項15に記載のコイル電子部品。
【請求項17】
基材層の少なくとも一面にコイルパターンを形成してコイル部を設ける段階と、
前記コイル部の上面及び下面に磁性体を積層し圧着して本体を形成する段階と、
前記本体の外面に前記コイルパターンと接続されるように外部電極を形成する段階と、を含み、
前記本体は磁性粒子を含み、前記磁性粒子は第1磁性粒子、第2磁性粒子及び第3磁性粒子を含み、
前記第1から第3磁性粒子は粒径が互いに異なる、コイル電子部品の製造方法。
【請求項18】
前記第1磁性粒子の粒径は8μm〜30μmであり、前記第2磁性粒子の粒径は2.5μm〜5.0μmであり、前記第3磁性粒子の粒径は1.5μm以下である、請求項17に記載のコイル電子部品の製造方法。
【請求項19】
前記コイルパターンを形成する段階は、前記基材層に開口部を形成する段階と、前記開口部を導電性金属で充填する段階と、前記コイルパターンを覆う絶縁層を形成する段階と、を含む、請求項18に記載のコイル電子部品の製造方法。
【請求項20】
前記第1磁性粒子はFe−Cr−Si−B−C系非晶質金属粒子を含み、前記第2磁性粒子は前記Fe−Cr−Si−B−C系非晶質金属粒子及びFe金属粒子の一つ以上を含み、前記第3磁性粒子はFe−B−P系非晶質金属粒子及びニッケル(Ni)粒子の一つ以上を含む、請求項18または19に記載のコイル電子部品の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コイル電子部品及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
電子部品のうちの一つであるインダクタ(inductor)は、抵抗及びキャパシタとともに電子回路を成してノイズ(Noise)を除去する代表的な受動素子である。
【0003】
薄膜型インダクタは、めっきで内部コイル部を形成した後、磁性体粉末及び樹脂を混合した磁性体粉末−樹脂複合体を硬化して本体を製造し、本体の外側に外部電極を形成することで製造することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−166455号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の一実施例の目的は、コイル電子部品及びその製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一実施形態は、内部にコイル部が配置された本体と、上記コイル部と連結される外部電極と、を含み、上記本体は3種類以上の粒度分布を有する磁性粒子を含むコイル電子部品及びその製造方法を提供する。
【0007】
本発明の他の一実施形態によれば、内部にコイル部が埋設された本体を含むコイル電子部品において、上記本体は複数の磁性粒子を含み、上記本体に含まれた磁性粒子の粒度分布に関するグラフは3以上のピークを含むコイル電子部品及びその製造方法を提供する。
【発明の効果】
【0008】
本発明の一実施形態によれば、本体内の磁性粒子の充填率が高く、透磁率、インダクタンス及びIsat値が向上したコイル電子部品及びその製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の一実施形態によるコイル電子部品において内部に配置されたコイル部が現れるように示す概略斜視図である。
【
図2】
図1に示されるA−A'に沿った断面図である。
【
図4】本発明の一実施形態による本体に含まれた磁性粒子の粒度分布の一例を示すグラフである。
【
図5】本発明の一実施形態によるコイル電子部品の製造方法を示す流れ図である。
【
図6a】本発明の一実施形態によるコイル電子部品の製造方法を順に示す図面である。
【
図6b】本発明の一実施形態によるコイル電子部品の製造方法を順に示す図面である。
【
図6c】本発明の一実施形態によるコイル電子部品の製造方法を順に示す図面である。
【
図6d】本発明の一実施形態によるコイル電子部品の製造方法を順に示す図面である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下では、添付の図面を参照し、本発明の好ましい実施形態について説明する。しかし、本発明の実施形態は様々な他の形態に変形されることができ、本発明の範囲は以下で説明する実施形態に限定されない。また、本発明の実施形態は、当該技術分野で平均的な知識を有する者に本発明をより完全に説明するために提供されるものである。したがって、図面における要素の形状及び大きさなどはより明確な説明のために誇張されることがあり、図面上において同一の符号で示される要素は同一の要素である。
【0011】
また、明細書全体において、ある構成要素を「含む」というのは、特に反対される記載がない限り、他の構成要素を除外するのではなく、他の構成要素をさらに含むことができることを意味する。
【0012】
なお、明細書全体において、「上に」形成されるというのは、直接接触して形成されることのみならず、その間に他の構成要素をさらに含むことができるということを意味する。
【0013】
以下では、本発明の一実施形態によるコイル電子部品を説明するにあたり、特にインダクタを例に挙げて説明するが、これに制限されない。
【0014】
図1は本発明の一実施形態のコイル電子部品において内部に配置されたコイル部が現れるように示す概略斜視図であり、
図2は
図1に示されるA−A'線に沿った断面図である。
【0015】
図1及び
図2を参照すると、コイル電子部品の一例として、電源供給回路の電源ラインに用いられるインダクタが開示されるが、本発明の一実施形態によるコイル電子部品は、インダクタの他にも、ビーズ(beads)、フィルター(filter)などに適切に応用されることができる。
【0016】
上記コイル電子部品100は本体50及び外部電極80を含み、上記本体50は、基材層20、第1コイルパターン41、及び第2コイルパターン42を含むコイル部40を含む。
【0017】
上記本体50は、ほぼ六面体形状であることができ、
図1に示されるL、W及びTはそれぞれ長さ方向、幅方向及び厚さ方向を示す。
【0018】
上記本体50は、厚さ方向に対向する第1面及び第2面、長さ方向に対向する第3面及び第4面、及び幅方向に対向する第5面及び第6面を含むことができる。上記本体50は、長さ方向の長さが幅方向の長さより大きい直方体の形状を有することができる。
【0019】
本体50は、コイル電子部品100の外観を成し、磁気特性を示す磁性材料が充填されて形成されることができる。
【0020】
上記磁性材料は、粉末の形態で、エポキシ(epoxy)樹脂またはポリイミド(polyimide)などの高分子上に分散されて上記本体50に含まれることができる。
【0021】
図2に示されているように、上記本体50の内部にはコイル部40が配置されることができる。上記コイル部40は、基材層20、及び上記基材層20の少なくとも一面に配置される第1及び第2コイルパターン41、42を含むことができる。
【0022】
上記基材層20は、例えば、ポリプロピレングリコール(PPG)、フェライトまたは金属系軟磁性材料などを含むことができる。
【0023】
上記基材層20の中央部には貫通孔が形成されることができ、上記貫通孔は本体50に含まれた磁性材料で充填されてコア部55を形成することができる。上記貫通孔に磁性材料を充填してコア部55を形成することにより、インダクタのインダクタンス(L)を向上させることができる。
【0024】
上記基材層20の一面には、コイル形状を有する第1コイルパターン41が形成されることができ、上記基材層20の一面に対向する上記基材層20の他面にはコイル形状の第2コイルパターン42が形成されることができる。
【0025】
上記第1及び第2コイルパターン41、42はスパイラル(spiral)状に形成されることができ、上記基材層20の一面と他面にそれぞれ形成される第1及び第2コイルパターン41、42は、上記基材層20に形成されるビア電極(図示せず)を通じて電気的に接続されることができる。
【0026】
上記基材層20の一面に配置される第1コイルパターン41の一端部は本体50の長さ方向の一面に露出することができ、基材層20の他面に配置される第2コイルパターン42の一端部は本体50の長さ方向の他面に露出することができる。
【0027】
上記本体50の長さ方向の両面には上記第1及び第2コイルパターン41、42の露出端部と接続されるように外部電極80が形成されることができる。上記第1及び第2コイルパターン41、42、ビア電極(図示せず)、及び外部電極80は、電気伝導性に優れた金属で形成されることができ、例えば、銀(Ag)、銅(Cu)、ニッケル(Ni)、アルミニウム(Al)またはこれらの合金などで形成されることができる。
【0028】
本発明の一実施形態によれば、上記第1及び第2コイルパターン41、42は絶縁層30で覆われることができる。
【0029】
絶縁層30は、スクリーン印刷法、フォトレジスト(Photo Resist、PR)の露光、現像を通じた工程、スプレー(spray)塗布工程などの公知の方法で形成されることができる。また、第1及び第2コイルパターン41、42は、絶縁層30で覆われて、本体50に含まれた磁性材料と直接接触しなくてもよい。
【0030】
図3は
図2のP領域に対する拡大図である。
【0031】
図2及び
図3を参照すると、上記本体50は磁気特性を示す磁性材料を含み、
図3に示されているように、上記磁性材料は、複数の磁性粒子51、52、53の形態でエポキシ(epoxy)樹脂またはポリイミド(polyimide)などの熱硬化性樹脂54に分散されて含まれることができる。
【0032】
本発明の一実施形態によれば、上記本体50は、第1磁性粒子51、第2磁性粒子52及び第3磁性粒子53を含み、上記第1磁性粒子51の粒径D1は8μm〜30μmであり、上記第2磁性粒子52の粒径D2は2.5μm〜5.0μmであり、上記第3磁性粒子53の粒径D3は1.5μm以下であることができる。
【0033】
上記のような粒度分布を有する第1から第3磁性粒子51、52、53を混合して本体50を形成することにより、充填率を向上させる効果があり、透磁率が向上してインダクタンス及びIsat値が向上することができる。
【0034】
図4は本発明の一実施形態による本体50に含まれた磁性粒子51、52、53の粒度分布の一例を示すグラフである。
【0035】
本発明の一実施形態による本体は、複数の磁性粒子を含み、上記本体に含まれた磁性粒子の粒度分布に関するグラフは、例えば、
図4に示されているように、少なくとも3個のピークP1、P2、P3を含む。
【0036】
上記本体に含まれた磁性粒子の粒度分布に関するグラフは、第1ピークP1、第2ピークP2及び第3ピークP3を含み、上記第1ピークに該当する粒度サイズは上記第2ピークに該当する粒度サイズの4〜15倍であり、上記第2ピークに該当する粒度サイズは上記第3ピークに該当する粒度サイズの2〜7倍であることができる。
【0037】
第1ピークP1、第2ピークP2及び第3ピークP3に該当する粒度サイズを上記範囲に調節する場合、本体の透磁率及びインダクタンスを向上させることができる。
【0038】
一方、上記グラフに含まれた第1ピークは8μm〜30μmの粒度分布で示され、第2ピークは2.5μm〜5.0μmの粒度分布で示され、第3ピークは1.5μm以下の粒度分布で示されることができる。
【0039】
上記第1ピークは第1磁性粒子に関するピークであり、上記第2ピークは第2磁性粒子に関するピークであり、上記第3ピークは第3磁性粒子に関するピークであることができる。
【0040】
上述のように、粒度分布が異なる第1磁性粒子51、第2磁性粒子52及び第3磁性粒子53を混合して本体50を形成することにより、本体内の磁性粒子の充填率を向上させる効果があり、これにより、透磁率が顕著に向上してインダクタンス及びIsat値が向上することができる。
【0041】
また、本発明の一実施形態のように粒度分布が3種類以上異なる第1から第3磁性粒子で本体を形成する場合、2種類の粒度分布を有する磁性粒子で本体を形成した場合に比べて本体内の磁性粒子の充填率をさらに向上させることができる。
【0042】
上記第1から第3磁性粒子51、52、53は、鉄(Fe)を含む非晶質金属で形成されることができる。
【0043】
比較的大きいサイズの第1磁性粒子51だけでなく、粒子サイズが小さい第2磁性粒子52及び第3磁性粒子53まで非晶質金属で形成される場合、インダクタンスなどの性能の向上に有利な効果があり、磁性粒子の形状を球形に具現するのが容易で充填率の向上にも効果的になり得る。
【0044】
本発明の一実施形態によれば、上記第1磁性粒子51はFe−Cr−Si−B−C系非晶質金属粒子を含むことができる。
【0045】
上記Fe−Cr−Si−B−C系非晶質金属は、鉄(Fe)を72〜80wt%、クロム(Cr)を0.5〜3.0wt%、シリコン(Si)を4.5〜8.5wt%、ホウ素(B)を0.5〜2.0wt%、及び炭素(C)を0.5〜2.0wt%含むことができ、Fe−Cr−Si−B−C系金属が上記組成を有する場合、非晶質及び結晶質であることができる。
【0046】
上記第2磁性粒子は、上記Fe−Cr−Si−B−C系非晶質金属粒子及びFe金属粒子の一つ以上を含むことができ、上記第3磁性粒子はFe−B−P系非晶質金属粒子及びニッケル(Ni)粒子の一つ以上を含むことができる。
【0047】
上記Fe−B−P系非晶質金属は、鉄(Fe)を87〜93wt%、ホウ素(B)を5〜11wt%、及びリン(P)を1〜3wt%含むことができる。
【0048】
上記第2及び第3磁性粒子は、それぞれFe−B−P系非晶質金属粒子及びニッケル(Ni)粒子が混合されて形成されることができる。
【0049】
第1磁性粒子がFe−Cr−Si−B−C系非晶質金属で形成され、第2及び第3磁性粒子がFe−B−P系非晶質金属粒子及びニッケル(Ni)粒子の一つ以上を含むように形成される場合、透磁率及びインダクタンスをさらに向上させることができる。
【0050】
一方、上記第1磁性粒子51の粒度分布D
50は第2磁性粒子52の粒度分布D
50の4倍〜15倍であることができ、第2磁性粒子52の粒度分布D
50は第3磁性粒子53の粒度分布D
50の2〜7倍であることができる。
【0051】
ここで、粒度分布D
50は本体の断面を1,000倍に撮影したSEM(Scanning Electron Microscope)写真の1視野あたりの面積を12.5μm
2にしたとき、50視野分に該当する磁性粒子の粒度を求めて粒度が小さい順に羅列し、各粒度の累計が視野全体の50%に達する順位の粒度をその視野における粒度分布D
50と定義した。
【0052】
第1磁性粒子51の粒度分布D
50が第2磁性粒子52の粒度分布D
50の4〜15倍であり、第2磁性粒子52の粒度分布D
50が第3磁性粒子52の粒度分布D
50の2〜7倍であるとき、充填率が顕著に向上し、透磁率が増加してインダクタンスが顕著に向上するという効果がある。
【0053】
本発明の一実施形態によれば、上記本体を破断して一断面を観察したとき、第1磁性粒子51が占める断面積の和をa、第2磁性粒子及び第3磁性粒子52、53が占める断面積の和をbとするとき、上記第1から第3磁性粒子はa:bが5:5〜9:1を満たすように本体に含まれることができる。
【0054】
上記第1から第3磁性粒子51、52、53が上記範囲の混合比で本体に含まれる場合、充填率が向上し、高透磁率を示すことができる。
【0055】
一方、上記本体を破断して一断面を観察したとき、上記本体に含まれた第2磁性粒子52の断面積の和と第3磁性粒子53の断面積の和の比は5:5〜9:1を満たすことができる。
【0056】
例えば、上記本体を破断して一断面を観察すると、上記第1磁性粒子が占める断面積:第2磁性粒子が占める断面積:第3磁性粒子が占める断面積の比は5:4.5:0.5〜9:0.9:0.1であることができ、上記第1から第3磁性粒子が上記範囲の混合比で本体に含まれる場合、充填率が向上し、高透磁率を示すことができる。
【0057】
本発明の一実施形態による上記本体50は充填率(density)が70%以上を満たすことができる。
【0058】
コイル電子部品の製造方法
図5は本発明の一実施形態によるコイル電子部品の製造方法を示す流れ図であり、
図6aから
図6dは本発明の一実施形態によるコイル電子部品の製造方法を順に示す図面である。
【0059】
図5を参照すると、本発明の一実施形態によるコイル電子部品の製造方法は、基材層の少なくとも一面にコイルパターンを形成してコイル部を設ける段階S1、及び上記コイル部の上面及び下面に磁性体を積層し圧着して本体を形成する段階S2を含む。
【0060】
一方、本発明の一実施形態によるコイル電子部品の製造方法は、本体を形成する段階の後、上記本体の外面に外部電極を形成する段階S3をさらに含むことができる。
【0061】
図6aを参照すると、上記基材層20の材料は、特に制限されず、例えば、ポリプロピレングリコール(PPG)、フェライトまたは金属系軟磁性材料などを含むことができ、40〜100μmの厚さを有することができる。
【0062】
図面に示されていないが、上記第1及び第2コイルパターン41、42を形成する段階は、基材層20上にコイルパターン形成用開口部を有するめっきレジストを形成する段階を含むことができる。上記めっきレジストは、通常の感光性レジストフィルムとしてドライフィルムレジストなどを用いることができるが、特にこれに限定されない。
【0063】
コイルパターン形成用開口部に電気めっきなどの工程を適用して電気伝導性金属を充填することにより第1及び第2コイルパターン41、42を形成することができる。
【0064】
上記第1及び第2コイルパターン41、42は、電気伝導性に優れた金属で形成されることができ、例えば、銀(Ag)、パラジウム(Pd)、アルミニウム(Al)、ニッケル(Ni)、チタン(Ti)、金(Au)、銅(Cu)、白金(Pt)またはこれらの合金などで形成されることができる。
【0065】
図面に示されていないが、第1及び第2コイルパターン41、42の形成後、化学エッチングなどの工程を適用してめっきレジストを除去することができる。
【0066】
めっきレジストを除去すると、
図6aに示されているように、基材層20上に第1及び第2コイルパターン41、42が形成されたコイル部40を形成することができる。
【0067】
上記基材層20の一部には、孔を形成し、伝導性物質を充填してビア電極(図示せず)を形成することができ、上記ビア電極を通じて基材層20の一面と他面に形成される第1及び第2コイルパターン41、42を電気的に接続させることができる。
【0068】
上記基材層20の中央部には、ドリル、レーザー、サンドブラスト、パンチング加工などを行って基材層を貫通する孔55'を形成することができる。
【0069】
図6bに示されているように、第1及び第2コイルパターン41、42を形成した後、選択的に上記第1及び第2コイルパターン41、42を覆う絶縁層30を形成することができる。上記絶縁層30は、スクリーン印刷法、フォトレジスト(photo resist、PR)の露光、現像を通じた工程、スプレー(spray)塗布工程などの公知の方法で形成することができるが、これに制限されない。
【0070】
次に、
図6cに示されているように、第1及び第2コイルパターン41、42が形成された基材層20の上面及び下面に磁性体を配置して本体50を形成する。
【0071】
上記磁性体は、磁性体層の形態で上記基材層の上面及び下面に配置されることができる。
【0072】
磁性体層を第1及び第2コイルパターン41、42が形成された基材層20の両面に積層し、ラミネート法または静水圧プレス法を通じて圧着して本体50を形成することができる。このとき、上記孔が磁性体で充填できるようにすることでコア部55を形成することができる。
【0073】
ここで、上記磁性体層はコイル電子部品用磁性体ペースト組成物を含んで形成されることができ、上記コイル電子部品用磁性体ペースト組成物は上述の本発明の一実施形態によるコイル電子部品の本体に含まれる磁性粒子を含む。
【0074】
上記磁性体層は複数の磁性粒子を含み、上記磁性粒子は第1磁性粒子、第2磁性粒子及び第3磁性粒子を含み、上記第1磁性粒子の粒径は8μm〜30μmであり、上記第2磁性粒子の粒径は2.5μm〜5.0μmであり、上記第3磁性粒子の粒径は1.5μm以下である。
【0075】
また、上記磁性体層に含まれた磁性粒子の粒度分布に関するグラフは少なくとも3個のピークを含む。
【0076】
本発明の一実施形態のコイル電子部品の製造方法に対する説明のうち上述のコイル電子部品に含まれる磁性粒子に対する説明は同一に適用されることができるため、説明の重複を避けるために詳細な説明を以下省略する。
【0077】
続いて、
図6dに示されているように、上記本体50の少なくとも一面に露出する第1及び第2コイルパターン41、42の端部と接続されるように外部電極80を形成することができる。
【0078】
上記外部電極80は、電気伝導性に優れた金属を含むペーストを用いて形成することができ、例えば、ニッケル(Ni)、銅(Cu)、すず(Sn)または銀(Ag)などの単独、またはこれらの合金などを含む伝導性ペーストであることができる。外部電極80は、外部電極80の形状によってプリンティング法やディッピング(dipping)法などを行って形成することができる。
【0079】
その他、上述の本発明の一実施形態によるコイル電子部品の特徴と同一の部分に対しては説明の重複を避けるために省略する。
【0080】
下記表1及び表2はFe−Si−B−Cr系非晶質金属の第1磁性粒子、Fe−Cr−Si−B−C系非晶質金属の第2磁性粒子、及びFe−B−P系非晶質金属の第3磁性粒子の混合体積比による薄膜型インダクタの充填率、透磁率及びインダクタンス値の結果を示す表である。
【0083】
以上、本発明の実施形態について詳細に説明したが、本発明の権利範囲はこれに限定されず、特許請求の範囲に記載された本発明の技術的思想から外れない範囲内で多様な修正及び変形が可能であるということは、当技術分野の通常の知識を有するものには明らかである。
【符号の説明】
【0084】
100 コイル電子部品
20 基材層
40 コイル部
41 第1コイルパターン
42 第2コイルパターン
50 本体
55 コア部
80 外部電極