特開2016-208892(P2016-208892A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2016-208892(P2016-208892A)
(43)【公開日】2016年12月15日
(54)【発明の名称】コンバイン
(51)【国際特許分類】
   A01F 12/46 20060101AFI20161118BHJP
【FI】
   A01F12/46
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2015-94214(P2015-94214)
(22)【出願日】2015年5月1日
(71)【出願人】
【識別番号】000001052
【氏名又は名称】株式会社クボタ
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】特許業務法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】深井 宏
(72)【発明者】
【氏名】相田 宙
【テーマコード(参考)】
2B396
【Fターム(参考)】
2B396JC08
2B396KC05
2B396KE03
2B396LA03
2B396LA07
2B396LA17
2B396LC07
2B396LE16
2B396MC02
2B396MC07
2B396MC13
(57)【要約】
【課題】第1ベベルギアを底スクリュー軸によって強固に支持させつつ、かつ底スクリュー軸を安価に得つつ、底スクリュー軸の穀粒との摩擦による劣化を生じ難くする。
【解決手段】底スクリュー15の底スクリュー軸16は、搬送方向上手側に位置するパイプ軸部16Aと、搬送方向下手側に位置する中実軸部16Bとを備えている。第1ベベルギア41が中実軸部16Bに支持されている。中実軸部16Bは、穀粒タンク9の排出口24を跨いで位置している。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
自走機体に支持される穀粒タンクと、
前記穀粒タンクの壁部の外面側に支持される中継ケースと、
前記穀粒タンクの底部内に設けられ、前記穀粒タンクに貯留された穀粒を前記壁部に位置する排出口より前記中継ケースの内部に排出する底スクリューと、
前記中継ケースの内部に排出された穀粒を搬送するスクリューコンベアと、
前記底スクリューの底スクリュー軸における端部に相対回転不能に支持される第1ベベルギアと、
前記スクリューコンベヤのスクリュー軸における端部に相対回転不能に支持されると共に前記第1ベベルギアに噛み合った第2ベベルギアと、
前記中継ケースの内部に設けられ、前記第1ベベルギア、及び前記第2ベベルギアを収容するギアケース部と、が備えられ、
前記底スクリュー軸は、搬送方向上手側に位置するパイプ軸部と、前記パイプ軸部の搬送方向下手側において前記排出口を跨ぐ状態で位置すると共に前記第1ベベルギアを支持する中実軸部とを備えているコンバイン。
【請求項2】
前記ギアケース部の前記底スクリュー軸が挿通する開口を閉じる蓋体が前記底スクリュー軸に相対回転不能に支持されている請求項1に記載のコンバイン。
【請求項3】
前記第1ベベルギアに、前記底スクリュー軸の外周部に嵌合されるボス部が設けられており、
前記ギアケース部と前記ボス部との間に軸受部材が介装されており、
前記ボス部及び前記軸受部材に当接し、前記軸受部材及び前記第1ベベルギアの前記底スクリュー軸の軸芯方向における位置保持をする当たり部が前記蓋体に設けられている請求項2に記載のコンバイン。
【請求項4】
前記中継ケースは、この中継ケースの内周部の下部が前記排出口の下部よりも低く位置するように前記壁部に接続され、前記排出口の下部と前記内周部の下部との間に段差が形成され、
前記穀粒タンクの内部の底部に補強板が装着され、
前記補強板の前記排出口側の端部に、前記段差を覆う折り返し部が設けられている請求項1〜3のいずれか一項に記載のコンバイン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンバイン、詳しくは、自走機体に支持される穀粒タンクと、前記穀粒タンクの壁部の外面側に支持される中継ケースと、前記穀粒タンクの底部内に設けられ、前記穀粒タンクに貯留された穀粒を前記壁部に位置する排出口より前記中継ケースの内部に排出する底スクリューと、前記中継ケースの内部に排出された穀粒を搬送するスクリューコンベアと、前記底スクリューの底スクリュー軸における端部に相対回転不能に支持される第1ベベルギアと、前記スクリューコンベヤのスクリュー軸における端部に相対回転不能に支持されると共に前記第1ベベルギアに噛み合った第2ベベルギアと、前記中継ケースの内部に設けられ、前記第1ベベルギア、及び前記第2ベベルギアを収容するギアケース部と、が備えられたコンバインに関する。
【背景技術】
【0002】
上記したコンバインとして、従来、例えば特許文献1に示されるコンバインがあった。特許文献1に示されるコンバインには、穀粒タンクとしてのグレンタンク、底スクリュー、中継ケースとしてのベベルギアケース、スクリューコンベアとしてのアンローダが備えられている。この底スクリューでは、底スクリュー軸のうち、グレンタンクの排出口の内外付近に位置する部分がパイプ軸になっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2013−42687号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記したコンバインでは、底スクリューのうち、穀粒タンクの排出口の内外付近に位置する部分における穀粒との摩擦が、他の部分における穀粒との摩擦よりも強くなる。このため、従来の場合、底スクリュー軸のうちの排出口の内外付近に位置する部分が磨滅して劣化することに起因した底スクリューの修理あるいは交換が早期に必要になる。
【0005】
本発明の目的は、第1ベベルギアを底スクリュー軸によって強固に支持させつつ、底スクリューの使用寿命を安価に向上できるコンバインを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示によるコンバインは、
自走機体に支持される穀粒タンクと、
前記穀粒タンクの壁部の外面側に支持される中継ケースと、
前記穀粒タンクの底部内に設けられ、前記穀粒タンクに貯留された穀粒を前記壁部に位置する排出口より前記中継ケースの内部に排出する底スクリューと、
前記中継ケースの内部に排出された穀粒を搬送するスクリューコンベアと、
前記底スクリューの底スクリュー軸における端部に相対回転不能に支持される第1ベベルギアと、
前記スクリューコンベヤのスクリュー軸における端部に相対回転不能に支持されると共に前記第1ベベルギアに噛み合った第2ベベルギアと、
前記中継ケースの内部に設けられ、前記第1ベベルギア、及び前記第2ベベルギアを収容するギアケース部と、が備えられ、
前記底スクリュー軸は、搬送方向上手側に位置するパイプ軸部と、前記パイプ軸部の搬送方向下手側において前記排出口を跨ぐ状態で位置すると共に前記第1ベベルギアを支持する中実軸部とを備えている。
【0007】
本構成によると、第1ベベルギアが底スクリュー軸のうちの中実軸部によって支持されるので、パイプ軸によって支持されるのに比べ、第1ベベルギアを強い伝動反力に抗して強固に支持させられる。
底スクリュー軸のうちの中実軸部が排出口を跨いで位置するので、底スクリュー軸のうちの排出口の内外付近に位置する部分が中実構造になる。この結果、底スクリュー軸のうちの排出口の内外付近に位置する部分がパイプ軸で構成されて中空構造になるのに比べ、底スクリュー軸を穀粒との摩擦にかかわらず劣化し難くできる。
底スクリュー軸のうちの搬送方向上手側に位置する部分がパイプ軸部であるので、この部分も中実軸部であるものに比して、底スクリュー軸を安価に製作できる。
【0008】
従って、第1ベベルギアを強固に支持させて、底スクリューとスクリューベコンベアとの間の伝動をスムーズに行なわせつつ、かつ底スクリュー軸を安価に製作して底スクリューを安価に得つつ、底スクリュー軸が劣化し難くて底スクリューを長期にわたって使用できる。
【0009】
上記構成において、前記ギアケース部の前記底スクリュー軸が挿通する開口を閉じる蓋体が前記底スクリュー軸に相対回転不能に支持されていると好適である。
【0010】
本構成によれば、開口のための蓋体を、開口を挿通する底スクリュー軸に相対回転不能に支持させるので、底スクリュー軸を支持部材に活用した簡単な支持構造で蓋体を支持させつつ、開口を蓋体によってきっちり閉じることができる。つまり、開口を介してギアケース部に塵埃が入り込むことを安価に精度よく防止できる。
【0011】
上記構成において、前記第1ベベルギアに、前記底スクリュー軸の外周部に嵌合されるボス部が設けられており、前記ギアケース部と前記ボス部との間に軸受部材が介装されており、前記ボス部及び前記軸受部材に当接し、前記軸受部材及び前記第1ベベルギアの前記底スクリュー軸の軸芯方向における位置保持をする当たり部が前記蓋体に設けられていると好適である。
【0012】
本構成によれば、蓋体に当たり部を設けるだけの簡単な位置決め構造によって第1ベベルギア及び軸受部材の位置保持をできるので、第1ベベルギア及び軸受部材を伝動反力にかかわらず位置ずれしないようにしっかりかつ安価に保持できる。
【0013】
上記構成において、前記中継ケースは、この中継ケースの内周部の下部が前記排出口の下部よりも低く位置するように前記壁部に接続され、前記排出口の下部と前記内周部の下部との間に段差が形成され、前記穀粒タンクの内部の底部に補強板が装着され、前記補強板の前記排出口側の端部に、前記段差を覆う折り返し部が設けられていると好適である。
【0014】
上記構成によれば、穀粒タンクの壁部のうち、段差のために中継ケースの内部に臨むことになる部分に穀粒が接触することを防止するカバー機能を折り返し部に備えさせられるので、補強板に折り返し部を設けるだけの簡単なカバー構造より、壁部が穀粒との接触によって磨滅することを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】コンバインの全体を示す側面図である。
図2】底スクリュー及び縦スクリューコンベアを示す縦断側面図である。
図3】底スクリューと縦スクリューとの連動連結状態を示す側面図である。
図4】底スクリューと第1ベベルギアとの分離状態を示す側面図である。
図5】底スクリューの後端側部分を示す側面図である。
図6図2のVI−VI断面矢視図である。
図7図2のVII−VII断面矢視図である。
図8】排出口及び補強部材を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1は、本発明の実施例に係るコンバインの全体を示す側面図である。図1に示すFが走行機体の前側、Rが走行機体の後側、紙面表側が走行機体の右側、紙面裏側が走行機体の左側と定義する。
【0017】
図1に示すように、コンバインは、機体フレーム1の下部に左右一対のクローラ走行装置2が装備され、左右のクローラ走行装置2によって自走できる走行機体を備えている。左右のクローラ走行装置2は、エンジン3から走行ミッション(図示せず)に伝達される駆動力によって駆動される。走行機体の前部の右横側部分に運転部5が設けられている。運転部5には、運転座席6及び幌7が設けられている。運転座席6は、エンジン3の上方に配置されている。幌7は、乗用空間の上方を覆うよう構成されている。走行機体の後部に脱穀装置8及び穀粒タンク9が設けられている。脱穀装置8と穀粒タンク9とは、走行機体の横幅方向に並んでいる。穀粒タンク9が運転部5の後方に位置し、脱穀装置8が穀粒タンク9の左横側に位置している。脱穀装置8の前部からフィーダ10が前方向きに上下揺動可能に延出されている。フィーダ10の前端部に収穫装置11が連結されている。フィーダ10と機体フレーム1とに昇降シリンダ(図示せず)が連結されている。昇降シリンダによってフィーダ10を揺動操作することで、収穫装置11を下降作業位置と上昇非作業位置とにわたって昇降操作できる。
【0018】
収穫装置11を下降作業位置に下降させた状態で走行機体を走行させることで、稲、麦などを収穫する作業をできる。すなわち、走行機体の前方に位置する植立穀稈のうち、刈取り対象の植立穀稈が回転リール11aによって収穫装置11の内部に導入され、導入された植立穀稈の株元を刈取装置11bによって切断する刈取り処理が行われる。刈取り処理によって得られた刈取り穀稈が株元から穂先までの全体にわたって収穫装置11からフィーダ10に送られ、フィーダ10によって脱穀装置8に供給されて脱穀処理される。脱穀装置8によって得られた穀粒が穀粒タンク9に搬送されて貯留される。
【0019】
図1に示すように、穀粒タンク9の底部内に底スクリュー15が設けられ、底スクリュー15にスクリューコンベア18が接続されている。穀粒タンク9の前方に排出クラッチ19が設けられている。
【0020】
排出クラッチ19を入り状態に切換え操作することにより、エンジン3からの駆動力が排出クラッチ19によって底スクリュー15の前端側に伝達されて底スクリュー15を駆動でき、底スクリュー15の駆動力がスクリューコンベア18に伝達されてスクリューコンベア18を駆動できる。つまり、穀粒タンク9に貯留された穀粒を底スクリュー15及びスクリューコンベア18によって取出すことができる。排出クラッチ19を切り状態に切換え操作することにより、エンジン3から底スクリュー15への伝動が排出クラッチ19によって絶たれて、底スクリュー15及びスクリューコンベア18を停止でき、穀粒タンク9からの穀粒取出しを停止できる。詳しくは、次の如く構成されている。
【0021】
図2に示すように、穀粒タンク9の後側の壁部20の外面側と、機体フレーム1の保持部22とにわたって中継ケース23が支持されている。中継ケース23を支持する壁部20は、壁本体と、壁本体の外面側に装着された補強用の当て板21とを備えている。当て板21と壁本体とにわたって貫通孔が設けられている。この貫通孔が穀粒タンク9の排出口24となっている。
【0022】
底スクリュー15の前端側は、穀粒タンク9の前側の壁部に回転可能に支持されている。底スクリュー15の後端側は、排出口24、及び中継ケース23の開口23aを挿通して中継ケース23の内部に入り、ギアケース部25の軸支部25aに回転可能に支持されている。中継ケース23は、鋳造によって作製されている。ギアケース部25は、中継ケース23を鋳造する際、中継ケース23の内部に一体的に形成されている。
【0023】
底スクリュー15の前端側にエンジン3からの駆動力が伝達されると、底スクリュー15が穀粒タンク9の前後方向に延びる軸芯Xを回転中心として回転駆動され、穀粒タンク9の内部に位置する穀粒を穀粒タンク9の底部9aの内面に沿わせて穀粒タンク9の後方に向けて搬送し、排出口24を介して中継ケース23の内部に排出する。
【0024】
スクリューコンベア18は、図1に示すように、縦スクリューコンベア30と横スクリューコンベア36とを備えている。縦スクリューコンベア30は、搬送方向が走行機体の上方向きになる状態で穀粒タンク9の後方に設けられている。縦スクリューコンベア30の上端部(搬送終端部)と横スクリューコンベア36の搬送始端部とが上中継ケース40を介して接続されている。上中継ケース40は、縦スクリューコンベア30に接続された縦コンベア側ケース部と、横スクリューコンベア36に接続された横コンベアケース部とを備えている。横コンベア側ケース部は、縦コンベア側ケース部に対して水平方向に延びる軸芯まわりに回転操作可能に接続されている。横スクリューコンベア36を縦スクリューコンベア30に対して上下に揺動操作でき、横スクリューコンベア36の吐出筒39を上下に位置変更できる。
【0025】
縦スクリューコンベア30の縦搬送筒31の下端側が中継ケース23の上端部23bに接続筒32を介して連結されて、縦搬送筒31と中継ケース23とが接続されている。縦搬送筒31を中継ケース23に対して回動操作することにより、横スクリューコンベア36を走行機体に対して旋回操作できる。
【0026】
縦スクリューコンベア30の縦スクリュー33の下端部がギアケース部25の軸支部25bに回転可能に支持されている。ギアケース部25に第1ベベルギア41及び第2ベベルギア42が内装されている。第1ベベルギア41及び第2ベベルギア42のうちの第1べベルギア41が底スクリュー15の底スクリュー軸16における後端部16rに支持されている。第1ベベルギア41と後端部16rとは、第1ベベルギア41の非円形の内周形状と、後端部16rの非円形の外周形状とによって相対回転不能に係合しており、第1べベルギア41は、底スクリュー軸16に相対回転不能に支持されている。第2ベベルギア42は、縦スクリュー33の縦スクリュー軸34の下端部34dに支持されている。第2ベベルギア42と下端部34dとは、第2ベベルギア42の非円形の内周形状と下端部34dの非円形の外周形状とによって相対回転不能に係合しており、第2ベベルギア42は、縦スクリュー軸34に相対回転不能に支持されている。第1ベベルギア41と第2ベベルギア42とは、噛み合っており、底スクリュー15と縦スクリュー33とが連動連結されている。
【0027】
縦スクリュー33が底スクリュー15から第1ベベルギア41及び第2ベベルギア42を介して伝達される駆動力によって回転駆動されることにより、縦スクリューコンベア30は、底スクリュー15によって中継ケース23の内部に排出された穀粒を受継ぐ。中継ケース23に位置する穀粒が2枚の掻上げ羽根17(図2,5参照)によって縦スクリュー33に向けて掻上げられ、縦スクリューコンベア30に精度よく受け継がれる。2枚の掻上げ羽根17の夫々は、図3,4,5に示すように、底スクリュー軸16に相対回転不能に支持されており、底スクリュー15によって回転駆動される。縦スクリューコンベア30は、受継いだ穀粒を縦搬送筒31に沿わせて上中継ケース40の内部へ搬送する。
【0028】
横スクリューコンベア36の横搬送筒37の搬送始端側が上中継ケース40に連結されて縦搬送筒31に接続されている。横スクリューコンベア36の横スクリュー38と縦スクリュー33とが上中継ケース40の内部で連動連結されている。横搬送筒37の搬送終端部に吐出筒39が設けられている。
【0029】
横スクリュー38が縦スクリュー33から伝達される駆動力によって回転駆動されることにより、横スクリューコンベア36は、縦スクリューコンベア30によって上中継ケース40の内部に搬送された穀粒を受継ぎ、受継いだ穀粒を横搬送筒37に沿わせて搬送終端部へ搬送して吐出筒39から吐出する。
【0030】
底スクリュー軸16には、図2〜5に示すように、搬送方向上手側に位置するパイプ軸部16Aと、搬送方向下手側に位置する中実軸部16Bとが備えられている。中実軸部16Bは、底スクリュー軸16のうちの第1ベベルギア41を支持する後端部16rを備えている。つまり、第1ベベルギア41を中実軸部16Bによって伝動反力に抗して強固に支持できる。
【0031】
中実軸部16Bは、排出口24を跨いで位置している。つまり、底スクリュー軸16のうちの排出口24の内側付近に位置する部分16i、及び底スクリュー軸16のうちの排出口24の外側付近に位置する部分16oの夫々が中実構造となり、底スクリュー軸16のうちの排出口24の内側付近の部分16i及び外側付近の部分16oを穀粒との摩擦にかかわらず劣化し難くできる。
【0032】
パイプ軸部16Aと中実軸部16Bとは、図4,5に示すように、第1溶接45及び2つの第2溶接46によって連結されている。中実軸部16Bの前端部に、パイプ軸部16Aの内側に入り込む小径部16sが設けられている。第1溶接45は、パイプ軸部16Aの端と、中実軸部16Bにおける大径部の端との間の部位にパイプ軸部16A及び中実軸部16Bの全周にわたって設けられている。2つの第2溶接46は、パイプ軸部16Aの周方向に等間隔を空けて並んでいる。2つの第2溶接46の夫々は、パイプ軸部16Aの貫通孔を埋める状態でパイプ軸部16Aと、中実軸部16Bの小径部16sとを連結している。第1溶接45及び第2溶接46を設ける溶接処理をした後、第1溶接45及び第2溶接46の余分な肉盛りを削り取る処理が行われ、第1溶接45及び2つの第2溶接46の夫々は、パイプ軸部16A及び中実軸部16Bの夫々の周面から径方向外側に突出しないように構成されている。
【0033】
図2,3,4に示すように、底スクリュー軸16に蓋体50が相対回転不能に支持されている。蓋体50は、ギアケース部25における軸支部25aの開口25cを閉じるように構成されている。開口25cは、底スクリュー軸16を挿通させるものである。ギアケース部25に開口25cを介して穀粒及び塵埃などが入り込むことを蓋体50によって防止できる。
【0034】
第1ベベルギア41の側部にボス部41aが設けられている。ボス部41aは、底スクリュー軸16の後端部16rの外周部に嵌合されて、底スクリュー軸16に対する第1ベベルギア41の取付け姿勢を安定化させている。ボス部41aとギアケース部25の軸支部25aとの間に軸受部材51が介装されている。軸受部材51は、ボールベアリングによって構成されている。
【0035】
蓋体50のギアケース部側の側部に当たり部50aが設けられている。当たり部50aは、図3,5に示すように、軸受部材51及びボス部41aに対して第1ベベルギア41が位置する側とは反対側から当接するように、かつ、底スクリュー軸16の段差部16dによって当たり部50aが位置する側と反対側から受け止め支持されるように構成されている。
【0036】
当たり部50aが段差部16dを反力点としてボス部41aを受け止め支持する。これにより、第1ベベルギア41の底スクリュー軸16の軸芯方向での位置保持を当たり部50aによって行なわれる。当たり部50aによって保持される第1ベベルギア41の位置とは、第2ベベルギア42に対して第1ベベルギア41が適切に咬み合うものとして設定された位置である。
【0037】
当たり部50aが段差部16dを反力点として軸受部材51を受け止め支持する。これにより、軸受部材51の底スクリュー軸16の軸芯方向での位置保持を当たり部50aによって行なわれる。当たり部50aによって保持される軸受部材51の位置とは、ボス部41aに対して軸受部材51が適切に支持作用するものとして設定された位置である。
【0038】
穀粒タンク9の底部9aの内側のうち、排出口24の内側付近に位置する部分に補強板52が装着されている。補強板52は、図6,7に示すように、複数本の連結ボルト53によって底部9aに締め付け固定されている。連結ボルト53の穀粒タンク内側の端部は、当て板54(図8参照)に連結されている。底部9aの内側のうち、排出口24の内側付近に位置する部分に穀粒との摩擦が発生することを補強板52によって防止される。
【0039】
図2,6,7に示すように、底部9aの外側のうち、排出口24の内側付近に位置する部分に補強底板55が設けられている。補強底板55は、連結ボルト53による補強板52との共締めによって底部9aに締め付け固定されている。
【0040】
補強板52は、図6,8に示すように、底部9aの屈曲内面に沿う屈曲形状に成形された屈曲板によって構成されている。補強板52の排出口側の端部に折り返し部52aが設けられている。
【0041】
中継ケース23と壁部20とは、図2,7に示すように、中継ケース23の内周部の下部23cが排出口24の下部24aよりも低く位置する状態で接続され、排出口24の下部24aと内周部の下部23cとの間に段差Dが形成されている。補強板52の折り返し部52aは、中継ケース23の内部に入り込んで段差Dを覆うように構成されている。壁部20のうち、段差Dのために中継ケース23の内部に臨む部分20a(図8参照)に穀粒との摩擦が生じることを折り返し部52aのカバー機能によって防止できる。
【0042】
図2,6に示すように、底スクリュー15の上方に流下ガイド56が設けられている。流下ガイド56は、穀粒タンク9の前側の壁部と後側の壁部20とに駆動回動可能に支持されている。流下ガイド56は、排出クラッチ19を入り状態に切換えると、排出クラッチ19によって伝動されて往復揺動するように駆動される。穀粒タンク9から穀粒を排出するとき、往復揺動する流下ガイド56によって穀粒の流下が促進され、穀粒が底スクリュー15の上方で滞留して流下しなくなることを防止できる。
【0043】
〔別実施形態〕
(1)上記した実施例では、第1ベベルギア41の非円形の内周形状と、後端部16rの非円形の外周形状とによって、第1ベベルギア41を中実軸部16Bに相対回転不能に支持する例を示したが、第1ベベルギア41と中実軸部16Bとにわたって連結ボルトを装着する支持構造など、如何なる支持構造を採用して実施してもよい。
【0044】
(2)上記した実施形態では、縦スクリューコンベア30が穀粒タンク9の後方に設けられた例を示したが、中継ケース23を穀粒タンク9の前側の壁部に支持し、縦スクリューコンベア30を穀粒タンク9の前方に設けて実施してもよい。
【0045】
(3)上記した実施形態では、底スクリュー軸16に蓋体50を支持した例を示したが、蓋体50をギアケース部25に支持するなど、底スクリュー軸16に蓋体50を支持せずに実施してもよい。
【0046】
(4)上記した実施形態では、蓋体50に当たり部50aを設けた例を示したが、当たり部50aを蓋体50に設けず、当たり部50aの機能を備える専用の部材を設けて実施してもよい。
【0047】
(5)上記した実施形態では、補強板52に段差Dを覆う折り返し部52aを設けた例を示したが、折り返し部52aを設けず、段差Dを覆う専用の部材を設けて実施してもよい。
【0048】
(6)上記した実施形態では、運転部5に幌7を設けた例を示したが、幌7に代えてキャビンを設けて実施してもよい。また、幌7及びキャビンの何れも設けずに実施してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0049】
本発明は、クローラ走行装置2に代えて走行車輪が備えられたコンバインに適用できる。また、刈取穀稈の株元から穂先までの全体が供給される脱穀装置8に代え、刈取穀稈の穂先側だけが扱室に供給される自脱型の脱穀装置が設けられたコンバインに適用できる。
【符号の説明】
【0050】
9 穀粒タンク
15 底スクリュー
16 底スクリュー軸
16A パイプ軸部
16B 中実軸部
18 スクリューコンベア
20 壁部
23 中継ケース
23c 下部
24 排出口
24a 下部
25 ギアケース部
25c 開口
34 クリュー軸(縦スクリュー軸)
41 第1ベベルギア
41a ボス部
42 第2ベベルギア
50 蓋体
50a 当たり部
52 補強板
52a 折り返し部
D 段差
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8