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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2016-209092(P2016-209092A)
(43)【公開日】2016年12月15日
(54)【発明の名称】下肢機能訓練装置
(51)【国際特許分類】
   A61H 1/02 20060101AFI20161118BHJP
   A63B 22/20 20060101ALI20161118BHJP
   A63B 23/04 20060101ALI20161118BHJP
   A63B 24/00 20060101ALI20161118BHJP
【FI】
   A61H1/02 R
   A63B22/20
   A63B23/04 Z
   A63B24/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2015-93134(P2015-93134)
(22)【出願日】2015年4月30日
(71)【出願人】
【識別番号】593129342
【氏名又は名称】株式会社タカゾノ
(74)【代理人】
【識別番号】100074332
【弁理士】
【氏名又は名称】藤本 昇
(74)【代理人】
【識別番号】100114432
【弁理士】
【氏名又は名称】中谷 寛昭
(74)【代理人】
【識別番号】100138416
【弁理士】
【氏名又は名称】北田 明
(72)【発明者】
【氏名】岩崎 伸治
【テーマコード(参考)】
4C046
【Fターム(参考)】
4C046AA22
4C046AA43
4C046BB08
4C046CC01
4C046DD07
4C046DD31
4C046EE05
(57)【要約】      (修正有)
【課題】安全な下肢機能訓練装置を提供する。
【解決手段】使用者が足を載せる足載せ台2と、足載せ台に対して転動可能に設けられ、転がることで足載せ台を移動させる転動部と、足載せ台にかかる下方への荷重に応じて、足載せ台を制動する制動部5と、を備える下肢機能訓練装置1。足載せ台にかかる下方への荷重に応じて、足載せ台を制動する制動部により、下肢機能訓練装置が前後方向に急に移動しようとする際に、下肢機能訓練装置を停止させることができる。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
載置面上で使用される下肢訓練装置であり、
使用者が足を載せる足載せ台と、
前記足載せ台に対して転動可能に設けられ、転がることで前記足載せ台を移動させる転動部と、
前記足載せ台にかかる下方への荷重に応じて、前記足載せ台を制動する制動部と、を備える下肢機能訓練装置。
【請求項2】
前記足載せ台は、転動部に対して上下可能な可動部を備え、
前記可動部は、前記足載せ台にかかる下方への荷重に応じて下方に移動し、
前記制動部は、前記可動部の下方への移動に伴い前記足載せ台を制動する、請求項1に記載の下肢訓練装置
【請求項3】
前記制動部は、前記可動部に設けられ、前記可動部の下方への移動に伴い前記転動部に係合する、請求項2に記載の下肢訓練装置。
【請求項4】
前記制動部は、前記可動部に設けられ、前記可動部の下方への移動に伴い前記載置面に係合する、請求項2に記載の下肢訓練装置。
【請求項5】
前記可動部を前記転動部に対して上方に付勢する付勢部を備える、請求項2から4のいずれかに記載の下肢訓練装置。
【請求項6】
前記転動部は、前記足載せ台を前後方向に移動させる、請求項1から5のいずれかに記載の下肢訓練装置。
【請求項7】
載置面上で使用される下肢訓練装置であり、
使用者が足を載せる足載せ台と、
前記足載せ台に対して転動可能に設けられ、転がることで前記足載せ台を移動させる転動部と、
前記足載せ台が移動する速度、前記足載せ台が移動する速度の加速度、前記足載せ台の移動する距離、のいずれかに応じて、前記足載せ台を制動する制動部と、を備える下肢訓練装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば下肢を手術した患者等が用いる下肢機能訓練装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、人工膝関節置換手術等、下肢の手術を受けた患者等が、膝関節の可動域を拡大する訓練を行う際に用いられる下肢機能訓練装置が存在する。例えば、特許文献1に記載されたものが挙げられる。この下肢機能訓練装置は、足載せ台と足載せ台の下方に位置する車輪とを備える。使用者(患者等)が椅子に腰掛けた状態で足載せ台の上面に両方の足を載せ、下肢機能訓練装置を前後に移動させることにより訓練がなされる。
【0003】
前記訓練中または訓練後、使用者が椅子から立ち上がろうとした際に、足を下肢機能訓練装置に載せたままであると、下肢機能訓練装置への体重のかかり方により、下肢機能訓練装置が前後方向に急に移動することがある。この場合、使用者がバランスを崩し、椅子に尻もちをついたり、転倒したりすることがあって怪我をする可能性がある。
【0004】
なお、特許文献1の下肢機能訓練装置はブレーキ装置を備えているが、このブレーキ装置は使用者の運動量超過を抑制するためのものであるので、前記状況で機能するよう構成されておらず、使用者が怪我をする可能性が排除されてはいない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2000−233031号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
そこで本発明は、安全な下肢機能訓練装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の構成の一例は、載置面上で使用される下肢訓練装置であり、使用者が足を載せる足載せ台と、前記足載せ台に対して転動可能に設けられ、転がることで前記足載せ台を移動させる転動部と、前記足載せ台にかかる下方への荷重に応じて、前記足載せ台を制動する制動部と、を備える下肢機能訓練装置である。
【0008】
前記構成によると、足載せ台にかかる下方への荷重に応じて、前記足載せ台を制動する制動部により、下肢機能訓練装置が前後方向に急に移動しようとする際に、下肢機能訓練装置を停止させることができる。
【0009】
そして、前記足載せ台は、転動部に対して上下可能な可動部を備え、前記可動部は、前記足載せ台にかかる下方への荷重に応じて下方に移動し、前記制動部は、前記可動部の下方への移動に伴い前記足載せ台を制動することもできる。
【0010】
前記構成によると、制動部を、足載せ台に荷重のかかる方向である、可動部の下方への移動に伴い作動するように構成できる。このため、制動部の構成を簡略化できる。
【0011】
そして、前記制動部は、前記可動部に設けられ、前記可動部の下方への移動に伴い前記転動部に係合することもできる。
【0012】
前記構成によると、可動部に設けられた制動部が転動部に係合することで制動をなす。このため、下肢機能訓練装置を前後に移動させる際に転がる部分である転動部を制動のために用いることができる。よって、制動部の構成の複雑化を抑制できる。
【0013】
また、前記制動部は、前記可動部に設けられ、前記可動部の下方への移動に伴い前記載置面に係合することもできる。
【0014】
前記構成によると、可動部に設けられた制動部が載置面に係合することで制動をなす。このため、下肢機能訓練装置を前後に移動させる際に転動部を支持する載置面を制動のために用いることができる。よって、制動部の構成の複雑化を抑制できる。
【0015】
そして、前記可動部を前記転動部に対して上方に付勢する付勢部を備えることもできる。
【0016】
前記構成によると、付勢部により、可動部を足載せ台にかかる下方への荷重に応じて下方に移動するように構成することが容易である。
【0017】
そして、前記転動部は、前記足載せ台を前後方向に移動させることもできる。
【0018】
前記構成によると、使用者の足を前後方向に移動させる訓練を行うことに適するものとできる。
【0019】
また、本発明の構成の一例は、載置面上で使用される下肢訓練装置であり、使用者が足を載せる足載せ台と、前記足載せ台に対して転動可能に設けられ、転がることで前記足載せ台を移動させる転動部と、前記足載せ台が移動する速度、前記足載せ台が移動する速度の加速度、前記足載せ台の移動する距離、のいずれかに応じて、前記足載せ台を制動する制動部と、を備える下肢訓練装置である。
【0020】
前記構成によると、足載せ台の速度、足載せ台の加速度、足載せ台の載置面における所定位置からの距離、のいずれかに応じて、足載せ台を制動する制動部により、下肢機能訓練装置が前後方向に急に移動しようとする際に、下肢機能訓練装置を停止させることができる。
【発明の効果】
【0021】
本発明は、前記構成の一例の場合、制動部により、下肢機能訓練装置が前後方向に急に移動しようとする際に、下肢機能訓練装置を停止させることができる。このため、使用者がバランスを崩して怪我をする可能性を低減できる。よって、安全な下肢機能訓練装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】本発明の第1実施形態に係る下肢機能訓練装置を示す、上方からの斜視図である。
図2】同下肢機能訓練装置の使用要領を示す概略的な斜視図である。
図3】同下肢機能訓練装置を示す、下方からの斜視図である。
図4】同下肢機能訓練装置における車軸支持部周辺を示す要部拡大縦断面図である。
図5】同下肢機能訓練装置における制動部周辺を示す要部拡大縦断面図であり、(A)は制動部の作動前の状態を示し、(B)は作動中の状態を示す。
図6】本発明の第2実施形態に係る下肢機能訓練装置における制動部周辺を示す要部拡大縦断面図であり、(A)は制動部の作動前の状態を示し、(B)は作動中の状態を示す。
図7】本発明の第3実施形態に係る下肢機能訓練装置における制動部周辺を示す要部拡大縦断面図であり、(A)は制動部の作動前の状態を示し、(B)は作動中の状態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0023】
次に、本発明につき実施形態を取り上げて説明を行う。以下の説明における上下方向は図1に示す状態における方向である。また前後方向は、図2に示す使用者から見て遠い方向を前方とし、近い方向を後方とする。また、左右方向も使用者から見た方向である。
【0024】
まず、第1実施形態に関して説明する。本実施形態の下肢機能訓練装置(以下、「訓練装置」)1は図1及び図3に示す形状であり、載置面としての床面S(図4参照)上で、図2に示すように使用される。
【0025】
この訓練装置1は、使用者(患者等)が足Fを載せる足載せ台2と、足載せ台2の下方に設けられた、足載せ台2に対して転動可能に設けられた転動部である複数の車輪31…31を備える。本実施形態の足載せ台2は4個の車輪31…31を備えており、図3に示すように、左右方向に並ぶ2個を1対として、2対が前後に配置される。この複数の車輪31…31は、足載せ台2に対して転動可能に設けられ、足載せ台2を前後方向に移動させることができる。また、足載せ台2を、通常使用時(後述の制動部5が作動していない時)に、足載せ台2の下端が床面Sに対して距離を置くように支持する。
【0026】
足載せ台2は平面視正方形に形成されている。ただし、足載せ台2の形状はこれに限定されず、種々の形状とできる。足載せ台2の上面21には、使用時に患者の片方または両方の足Fが載置される(図2では片足が載置された状態を例示している)。
【0027】
本実施形態の足載せ台2は、枠部2aと、枠部2aの上方に一体に取り付けられた上板部2bとから構成されている。ただし、足載せ台2はこの構造に限定されるものではない。図3に示すように、枠部2aは下端が開口された中空に形成されており、内部において複数の板状のリブ2cが前後左右に延び、これらのリブ2cが交差するように設けられている。足載せ台2を中空とすることで軽量化しつつ、リブを設けたことにより、使用者の下肢の荷重による、足載せ台2が受ける上方からの荷重に対して耐撓み性が確保されている。
【0028】
足載せ台2の上面21には、上方に膨出した膨出部22が形成されている。本実施形態の膨出部22は、左右方向の縦断面形状が同一とされた、上方に突出する湾曲形状を有し、左右方向に延びるように形成されている。使用者は、図2に示すように上面21に足を載せる。その際、使用者の足Fにおける土踏まずが膨出部22に載せられる。このため、使用者の足Fが膨出部22に引っ掛かるため、上面21に対して足が前後にずれてしまうことを抑制できる。
【0029】
足載せ台2の上面21(膨出部22の上面も含む)には、上面21の寸法に比べて微細な凹凸(図示しない)が形成されている。この微細な凹凸もまた、使用者の足Fの滑り止めとして機能する。
【0030】
なお、病院や介護施設等の公共施設では、訓練装置1を不特定の使用者が使用するため、足載せ台2を抗菌材料で形成したり、上面21を抗菌加工したりすることが好ましい。
【0031】
足載せ台2には、図3及び図4に示すように、枠部2aの下方において前後方向に延びる板状の車軸支持部23が形成されている。各車輪31の配置される位置において、各車輪31を幅方向で両側から挟むように一対の車軸支持部23が形成されている。車軸支持部23には上下方向に延びる長孔である車軸挿入孔231が左右方向に貫通している。この車軸挿入孔231の上方には上下方向に延びるばね孔232が連通しており、このばね孔232に、上下方向に伸縮するように、付勢部としてのコイルばね4が配置される。コイルばね4の一端は足載せ台2の上面21に当接し、コイルばね4の他端は車軸32に当接する。車軸挿入孔231とばね孔232との境界には段差233が形成されている。なお、この段差233にコイルばね4の下端が当接するようにしてもよい。
【0032】
また、足載せ台2における左右側部24の下端には、訓練装置1を組み立てたり修理したりする際に、車軸挿入孔231に挿入される車軸32が通る車軸通過凹部241が、車軸32の軸方向延長位置に形成されている。また、車軸支持部23よりも足載せ台2の内部位置には、車軸32に周方向に形成された凹部321(図3参照)に引っ掛かることにより、車軸32を軸方向に抜けないように保持する、板状の抜け止め部26が形成されている。
【0033】
各車輪31は、図3に示すように足載せ台2の下方に配置されている。各車輪31には車軸32が左右方向に貫通している。この車軸32は車軸支持部23に取り付けられている。図4に示すように、車軸32と足載せ台2の上面21との間にはコイルばね4が設けられている。このため、足載せ台2が各車輪31及び各車軸32に対して上下動可能とされている。足載せ台2はコイルばね4によって上方に付勢されるため、足載せ台2にかかった下方への荷重に応じてコイルばね4が圧縮されて足載せ台2が下方に移動し、荷重が解除された後は、コイルばね4が伸長し、足載せ台2が上方に移動して元の位置に復帰する。このように、付勢部であるコイルばね4により、可動部である足載せ台2にかかる下方への荷重に応じて、足載せ台2が下方に移動するように構成することが容易である。
【0034】
訓練装置1が床面Sに配置された状態では、床面Sと車軸32との距離は一定であるため、足載せ台2の全体が上下動する。つまり、本実施形態では足載せ台2の全体が床面Sに対して上下動する可動部となる。
【0035】
制動部5は、床面Sに対する訓練装置1の前後移動を制動する機構であり、図5(A)に示すように、係合部としての当接部51…51を備える。本実施形態では、各車輪31につき2個の当接部51,51が形成されている。各当接部51は、図5(A)に示すように可動部である足載せ台2の一部として、各車輪31の上方に形成されている。前述のように、床面Sに対して足載せ台2は上下動する。一方、床面Sに対して各車輪31の高さ位置は変動しない。このため、足載せ台2が下方に移動した際に、各当接部51も下方に移動して、図5(B)に示すように各車輪31(具体的には各車輪31の走行面311)に当接する。この当接により各当接部51と各車輪31との間に生じる摩擦で各車輪31を制動し、訓練装置1の前方への移動を抑制できる。つまり、制動部5は、可動部である足載せ台2の下方への移動に伴い、足載せ台2を制動することで、足載せ台2の前後動を停止させる。
【0036】
このように制動部5が構成されたことから、訓練装置1を前後に移動させる際に転がる部分である車輪31…31を制動のために用いることができる。よって、制動部5を当接部51…51だけで構成できるので、制動部5の構成の複雑化を抑制できる。
【0037】
足載せ台2と各車輪31との間にはコイルばね4が介在していることから、制動部5は、足載せ台2にかかる荷重が所定値を超えた場合に作動する。具体的に、通常使用時には、使用者は椅子に腰掛けた状態で足Fを足載せ台2に置いている。もし、この状態のまま使用者が立ち上がろうとした際には、椅子が負担していた荷重(使用者の体重)の一部または全部が足載せ台2にかかることになる。このため、足載せ台2にかかる荷重が増加する。この増加分を考慮した荷重を前記「所定値」として設定しておけば、使用者が足Fを足載せ台2に置いたまま立ち上がろうとしても、制動部5が作動するため安全である。前記「所定値」は各当接部51と各車輪31との距離、及び、コイルばね4の強度(ばね定数)の設定によって定めることができる。
【0038】
次に、本実施形態に係る訓練装置1の使用方法について簡単に説明する。使用者は椅子等に腰掛けて訓練を行う。訓練装置1は椅子の前方に置かれる。訓練に当たり、椅子に腰掛けた状態の使用者は、図2に示すように、足載せ台2の上面21に片方または両方の足Fを載せる。そして、訓練装置1を前後(図中の矢印方向)に移動させることにより膝関節の曲げ伸ばしを行うことで、膝関節の可動域を拡大する訓練を行える。転動部である複数の車輪31…31は、足載せ台2を前後方向に移動させることができる。よって、この訓練装置1は、使用者の足Fを前後方向に移動させる訓練を行うことに適している。
【0039】
前記訓練中または訓練後、使用者が椅子から立ち上がろうとした際に、足Fを足載せ台2から降ろさずに載せたままであった場合、訓練装置1への体重のかかり方により、訓練装置1が前後方向に急に移動する可能性がある。この場合、足載せ台2にかかる荷重が増加するため、足載せ台2が下方に移動する。これに伴い制動部5が作動して、当接部51が車輪31(走行面311)に当接する。このため、訓練装置1を停止させることができる。よって、立ち上がろうとした使用者がバランスを崩し、椅子に尻もちをついたり、転倒したりして怪我をする可能性を低減でき、安全性を確保できる。
【0040】
なお、訓練中または訓練後の場合に限らず、床面Sに置かれていた訓練装置1を使用者等が踏んでしまい、足載せ台2に足Fが載った場合であっても、前記と同様に制動部5が作動し、訓練装置1を停止させることができるため安全である。
【0041】
次に、第2実施形態を図6(A)(B)に示す。なお、第1実施形態と異なる部分についてのみ異なる符号で図示して説明する(以下同じ)。本実施形態の足載せ台62は、下方に位置する不動部62aと、上方に位置する可動部62bとを備えている。第1実施形態では足載せ台2の全部が可動部であったのに対し、本実施形態では足載せ台62の一部が可動部62bとなる。この可動部62bは、上方からの荷重変化に応じ、床面Sに対して上下動する。一方、不動部62aは上方からの荷重変化によっても上下動しない。つまり、車軸32と不動部62aとの位置関係は常に同じである。
【0042】
本実施形態の制動部65は、可動部62bから下方に延ばされた当接部651を備える。第1実施形態の当接部51と同様、荷重の増加により可動部62bが下方に移動した際、図6(B)に示すように、当接部651における下端部は各車輪31(具体的には各車輪31の走行面311)に当接する。この当接により当接部651と各車輪31との間に生じる摩擦で、各車輪31を制動し、訓練装置1を制動位置で停止させることができる。
【0043】
更に、第3実施形態を図7(A)(B)に示す。本実施形態の可動部である足載せ台72は、前後側部725が第1実施形態よりも下方に延長されている。本実施形態の制動部75は、前後側部725の下端に当接部751を備える。荷重の増加により足載せ台72が下方に移動した際、図7(B)に示すように、当接部751における下端部は床面Sに当接する。この当接により当接部751と床面Sとの間に生じる摩擦で、訓練装置1を停止させることができる。つまり、この制動部75は、作動の際に床面Sに当接(接地)することで、摩擦により制動がなされる。
【0044】
このように制動部75が構成されたことから、訓練装置1を前後に移動させる際に車輪31…31を支持する床面Sを制動のために用いることができる。よって、第1及び第2実施形態と同様、制動部を当接部だけで構成できるので、制動部の構成の複雑化を抑制できる。
【0045】
以上、本発明の実施形態として第1〜第3実施形態を説明したが、本発明は前記各実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々の変更を加えることができる。
【0046】
例えば、足載せ台には、第1実施形態における膨出部22以外に、使用者の足Fの前方部を前後にずれないよう保持するため、使用者の足Fにおける甲を引っ掛けることのできるベルト(サンダルのベルト状のもの)や、使用者の足指を引っ掛けることのできる下駄の鼻緒状のものを設けることもできる。また、使用者の足Fの後方部を、後にずれないよう保持するため、使用者のかかとが位置する部分の後方に、足載せ台の上面21から起立する壁状部や突起を設けることもできる。なお、足載せ台の上面を水平面とし、前記各実施形態において形成されていた微細な凹凸のみで使用者の足Fを前後にずれないよう保持することも可能である。また、足載せ台の上面には、微細な凹凸以外に高摩擦のコーティングを施す等もできる。
【0047】
また、第2実施形態のように足載せ台に可動部と不動部とを設ける場合、足載せ台の平面視における全領域を全て可動部とする以外に、使用者の足Fが載る一部領域だけを可動部とすることもできる。
【0048】
また、転動部は前記各実施形態の車輪31に限定されず、ローラー、ボール等、転がることで足載せ台を床面Sに対して前後に移動できる種々の構成を採用できる。また特に、ボール等の前後左右に転がることのできる構成を採用した場合には、足載せ台を、使用者から見て左右に移動させることもできる。このため、前後移動のみがなされる訓練装置1よりも、使用者の訓練内容を充実させることができる。
【0049】
また、転動部の移動方向が規制されず、前後左右及び斜め方向に移動できる構成とすることもできる。この構成でも、前後移動のみがなされる訓練装置1よりも、使用者の訓練内容を充実させることができる。
【0050】
また、付勢部として、前記各実施形態ではコイルばね4が用いられていた。しかしこれに限定されず種々の弾性体を付勢部として用いることができる。また、前記各実施形態では、コイルばね4が車軸32と足載せ台の上面21との間に配置されていた。しかしこれに限定されず、付勢部は車軸32と足載せ台との間であれば種々の位置に配置できる。
【0051】
また、制動部を作動させるために、例えば、リンク、ワイヤー、歯車、カム、油圧回路等を備えた機構のように、足載せ台の上下動を制動のための動作に変換する連動機構を足載せ台と制動部との間に設けることもできる。更に、電気的な機構から構成された連動機構とすることもできる。
【0052】
また、制動部は、前記各実施形態のような当接により制動するものに限られず、種々の態様で係合することにより制動するものとできる。例えば、足載せ台と転動部とが噛み合いにより制動するものとできる。また、磁力や空気圧等による吸着力を制動力として使用することもできる。
【0053】
また、制動部は、前記各実施形態では足載せ台にかかる下方への荷重が所定値を超えた場合に作動するものであった。しかし、これに限定されない。他に例えば、足載せ台の速度が所定値を超えた場合、足載せ台の加速度が所定値を超えた場合、足載せ台の載置面における所定位置からの距離が所定値を超えた場合、のいずれかに作動するよう構成することもできる。これらの場合、速度、または、加速度、または、距離を検知するためのセンサ、及び前記各センサの検知結果により制動部を作動させるための制御部を備えることができる。
【0054】
上記速度または加速度の「所定値」としては、使用者が転倒してしまうような速度または加速度を基準として定めることができる。また、上記距離の「所定値」としては、椅子の前方に訓練装置1が置かれる通常位置を基準として、使用者がバランスを崩してしまう程度離れた前後方向の距離を基準として定めることができる。
【符号の説明】
【0055】
1 下肢機能訓練装置
2 足載せ台、可動部
31 転動部、車輪
4 付勢部、コイルばね
5 制動部
51 係合部、当接部
61 下肢機能訓練装置
62 足載せ台
62b 可動部
65 制動部
651 係合部、当接部
71 下肢機能訓練装置
72 足載せ台
75 制動部
751 係合部、当接部
S 載置面、床面
F 使用者の足
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7