【実施例4】
【0084】
空気流量の変化に対する調整
表5及び
図12を参照すると、周囲温度及び相対湿度と患者インターフェースに送達される空気の温度とは一定である。
【0085】
【表5】
【0086】
加湿機を通る流量は、例えば、ResMed社のAUTOSET(登録商標)制御アルゴリズムの動作によって調整される。流量はまた、例えば患者インターフェースにおける漏れに応答して調整されてもよい。表5及び
図12に示されるように、空気流量が増加するにつれて加湿機槽内の水の温度が上昇されて、患者インターフェースにおける飽和が維持される。
【0087】
呼吸システムは、実施例1〜4それぞれ及びそれらの組合せに従って制御されてもよい。表1及び表3〜表5並びに
図8及び
図10〜
図12に提供されるデータは、メモリに、例えばコントローラ40及び/または44に格納されてもよい。コントローラ40及び44は、格納された情報からのデータを参照するようにプログラムされてもよい。コントローラ40及び44はまた、格納された情報からのデータを内挿及び/または外挿するようにプログラムされてもよい。周囲温度及び湿度、フロー、並びに所定の出力湿度の各組合せに対して適切な蒸発率を提供する加熱素子のセットポイントは、設計を特徴付け、次にコントローラに組み込まれるように、例えばメモリ内のテーブルとして、若しくは一組の式として格納されるように、実験によって決定されてもよい。
【0088】
実施例1〜4それぞれにおいて患者インターフェースに送達される空気の相対湿度は100%として記載しているが、患者インターフェースに送達される空気の相対湿度は、約50%〜100%、例えば約70%〜90%、または別の実施例として約80%、あるいは患者若しくは臨床医によって選択される他のあらゆる値であってもよいことを理解されたい。
【0089】
加湿機制御
加湿機4は、マスク32における所定の含水量の自動送達をもたらすユーザ選択可能な設定を提供してもよい。送達空気の含水量に対する例示値は、管30内の望ましくない凝結につながる条件を考慮に入れて決定される。正常な上気道を有するユーザの場合、所望の生理学的結果は、鼻における正常な吸気条件に近似するように空気を調節することである。例えば、周囲空気は20℃及び25%RH(4mg/L AH)であってもよい。空気は、80%RH(14mg/L AH)で約20℃に等しい条件まで加熱され加湿されてもよい。従って、20℃及び80%RHにおける絶対湿度に対応する14mg/Lの含水量が例示値として選択されてもよい。加湿機は、出力を14mg/Lに保つように設定される。10mg/Lの差が加湿機によって加えられる。この値は例示値として選択されてもよく、加湿機は、この値を自動的に提供するユーザ設定を含むように構成されてもよいが、例示値は臨床上の助言に基づいて決定または改訂されてもよく、加湿機は、臨床的に決定された含水量を自動的に提供するユーザ設定を含むように構成または再構成されてもよいことを理解されたい。例えば、患者または臨床医は、約10mg/L〜25mg/L、例えば、約27〜28℃の温度における70%〜80%の相対湿度にほぼ対応する20mg/Lの絶対湿度を選択してもよい。
【0090】
CPAPシステムにおける送達空気の実際の温度は、室温よりも高くてもよく、加熱管を備える呼吸装置の場合、一般的には約29℃である。従って、鼻におけるRH値は同じ絶対湿度値について50%未満である。加熱管を有さない呼吸装置の場合、加湿空気は管内で周囲温度を1〜2℃上回る温度まで冷える。加熱管がない場合、空気は約22℃及び70%RH(14mg/L AH)で送達される。
【0091】
例えば10mg/Lの最適な設定では、送達空気の温度をその露点(22℃の周囲温度で動作するCPAP装置を伴うマスクに一般的に送達されるような29℃の空気に対して約16℃)を下回るまで降下させるのに十分な室温の降下がない限り、呼吸管内の凝結は生じない。室温が低下し続けて、送達空気の温度も低下させる場合、凝結を回避するが、依然として最適レベルを可能な限り緊密に目標とするため、送達される含水量を最適レベルよりも低下させるようにヒーター温度が自動的に低減される。
【0092】
図13を参照すると、本発明の別の例示的一実施形態による加湿機4は、設定インジケータ10aを含む制御ノブ10を備える。加湿機4は、複数の設定を示す目印(indicia)11を備える。目印11aは、デフォルト含水量を提供する自動設定を指定してもよい。例えば、
図13に示されるように、自動設定目印11aは例えば▼を含んでもよい。他のあらゆる目印が使用されてもよく、例えば、目印11aは「最適」または「自動」という語句を含んでもよいことを理解されたい。残りの目印11は、ユーザが送達湿度を増減させることを可能にする、例えば1〜4及び6〜9の数字を含んでもよい。目印はまた、%RHとして、相対湿度または絶対湿度及び温度の値を示すように構成されてもよい。デフォルト設定を選択するためには、ユーザは、制御ノブ10の設定インジケータ10aを自動設定目印11aと見当合わせする。湿度設定を調整するためには、ユーザは、設定インジケータ10aを他の目印11のいずれかと、または他の目印11のいずれかの間のあらゆる位置で見当合わせする。例えば、湿度設定を低下させるためには、ユーザは、設定インジケータ10aを数字1〜4のいずれか1つまたはそれらの間のあらゆる設定と見当合わせしてもよい。同様に、湿度設定を上昇させるためには、ユーザは、設定インジケータ10aを数字6〜9のいずれか1つまたはそれらの間のあらゆる設定と見当合わせしてもよい。また、制御はノブ以外であってもよく、例えば、制御は、設定を表示するLCD等の表示装置、及び設定の選択を可能にすると共に表示される設定を変更するボタン(1つまたは複数)を含んでもよいことを理解されたい。
【0093】
図14に示されるように、例えば設定インジケータ10aを目印11aと見当合わせすることによって、自動のデフォルト含水量が選択されているとき、加湿機4は、加湿機4の加熱素子46が継続的に調整されて、所定のデフォルトレベルにおける呼吸用ガスのフローの含水量、例えば14mg/Lが維持されるように制御されてもよい。より詳細に後述するように、加熱素子46は、管30内の凝結、すなわち水滴降下を依然として防ぎながら、フローの含水量をデフォルトレベルに可能な限り緊密な値に維持するように継続的に調整される。
【0094】
ユーザの睡眠セッションの間に変化する室内条件、例えば周囲温度、周囲相対湿度、及び/若しくは周囲圧力に応答して、且つ/またはフローの変化に応答して、加熱素子46は、デフォルト含水量(例えば、14mg/L)を維持するように制御される。例えば、患者の睡眠セッションの開始時(条件1)では、室内条件は、第1の温度、第1の相対湿度、及び第1の圧力であってもよい。フロージェネレータは、患者の睡眠セッションの開始時に第1のフローQ1を生成してもよい。加湿機4の加熱素子46は、患者が設定インジケータ10aを目印11aと見当合わせすることによって自動設定を選択すると、デフォルト含水量、例えば14mg/Lが提供されるように制御される。
【0095】
条件1は患者の睡眠セッションの開始時に対応するものとして上述しているが、条件1は、呼吸システムの起動からの時間、例えば、周囲温度を上回る送達空気温度の影響を考慮に入れる予熱時間に対応してもよい。
【0096】
患者の睡眠セッションの間、周囲温度、周囲相対湿度、及び/または圧力を含む室内条件は第2の条件(条件2)へと変化してもよい。フロージェネレータによって生成されたフローQ2も、一連の患者の睡眠セッションの間に変化してもよい。加湿機4の加熱素子46は、室内条件の変化にかかわらず、フローの含水量がデフォルト含量、例えば条件2において14mg/Lであるように制御される。
【0097】
同様に、例えば設定インジケータ10aを目印「9」(含水量をデフォルトから増加させる)または目印「1」(含水量をデフォルトから減少させる)と見当合わせすることによって、患者が起動時の異なる設定(条件1)を選択する場合、加熱素子46は、条件2においてマスクに送達される含水量が条件1において送達されるのと同じであるように制御される。デフォルト設定をほぼ中心とする含水量設定の全範囲は、周囲温度、周囲相対湿度、周囲圧力、及び送達フローの監視値に応答して、選択された設定が選択された含水量を送達するように常に較正されるように、継続的且つ自動的に再設計される。
【0098】
湿度制御の第1の実施形態
図15を参照すると、呼吸装置の制御システム及びプロセスが示される。S1では、マスクに送達されるフローの温度Tmが決定される。S2では、マスクに送達されるフローの相対湿度RHmが決定される。ユーザは、例えばフロージェネレータ2上のボタン14を使用することによって、温度Tm及び相対湿度RHmを設定してもよいことを理解されたい。あるいは、ユーザは、加湿機の制御ノブ10を調整することによって、マスクに送達されるフローの含水量、すなわち絶対湿度を選択してもよい。例えば、ユーザは、設定インジケータ10aをデフォルト設定目印11aに見当合わせしてもよい。デフォルト含水量は、公称含水量、例えば14mg/L、または臨床的に決定された含水量であってもよい。ユーザはまた、設定インジケータ10aを目印11の別のものと見当合わせすることによって、デフォルト以外の含水量を選択してもよい。加湿機がフロージェネレータに一体的に接続される場合、呼吸装置は、ユーザが、フロージェネレータ2のボタン14または加湿機4の制御ノブ10のどちらかを使用して、含水量を選択することができるように構成されてもよい。ユーザが含水量を選択する場合、マスクに送達される温度Tm及び相対湿度RHmは、選択された含水量設定に対応する。
【0099】
空気送達管30の加熱素子は、所定温度Tmをマスクに送達されるフローに提供するように制御される。空気送達ホース30の端部にある温度センサ54は、空気送達ホース30の端部におけるフローの実温度を感知する。所定温度Tmと感知温度との間の差ΔTmは、S11において、コントローラ(1つまたは複数)40、44によって決定され、コントローラ(1つまたは複数)40、44は、所定温度と感知温度との間の差がほぼゼロになるまで、空気送達管30の加熱素子に対する電力を調整する。
【0100】
S3では、センサ54によって感知された温度とマスクに送達される所定の相対湿度RHmとを式(2)に挿入して、マスクに送達される絶対湿度AHm、すなわち含水量を提供する。S5では、センサ50からの周囲温度Taとセンサ5からの周囲相対湿度RHaとを式(1)に挿入して、S6において、周囲絶対湿度AHaを提供する。S7では、マスクに送達される絶対湿度AHmと周囲絶対湿度AHaとの間の差ΔAHが決定される。差ΔAHは、選択された含水量を送達するために加湿機4がフローに付加しなければならない絶対湿度である。
【0101】
S8では、フローセンサ42によって感知されるような、または概算された流量Fを、差ΔAHと共に式(3)に挿入して、加湿機内の給水からの必要な蒸発率Eを決定する。S9では、蒸発率Eを生み出すのに必要な水温、または加湿機の加熱素子46の相当温度が、例えば上述の閉ループ制御によって決定される。
【0102】
S10では、センサ48によって感知されるような水温とS9で決定された必要な水温との間の差ΔTが計算される。コントローラ(1つまたは複数)40、44は、必要な水温と感知された水温との間の差がほぼゼロになるまで、加湿機4の加熱素子46を制御する。あるいは、加熱素子46は、必要な加熱素子温度と感知された加熱素子温度との差がほぼゼロになるまで制御される。
【0103】
湿度制御の第2の実施形態
図16を参照すると、別の実例的実施形態による呼吸装置の制御システム及びプロセスが示される。呼吸器の使用中、流量は、例えばAUTOSET(登録商標)制御アルゴリズムの動作によって変化してもよく、そのアルゴリズムは、流量の比較的遅い変化を提供してもよく、または、マスククッション周り若しくは鼻マスクの使用による口元の漏れのどちらかの漏れが発生することによって、流量の比較的速い変化を提供してもよい。流量が急速に変化する場合、加熱管若しくはホース及び/または加湿機の制御は、管内の凝結を防ぐのに十分に急速に応答しなくてもよいが、それは、加湿機が給水の温度を変化させるのに比較的長い時間がかかるため、応答が比較的遅いことによる。
【0104】
図16に示されるように、流量センサ42によって感知される、または例えばブロワー速度から概算される変化、すなわち差ΔFが、S12において決定される。差ΔFは、周期的間隔で感知または概算された流量を比較することによって決定されてもよい。S13では、差ΔFが所定の差ΔF
ptdと比較される。周期的な流量の間の差ΔFが所定量ΔF
ptdを超える場合、プロセスはS14に進行し、患者インターフェースに送達されるガスの温度Tmが、例えば、コントローラ(1つまたは複数)40、44を使用して加熱管を制御することによって調整される。差ΔFが所定量ΔF
ptdを超えない場合、プロセスは、第1の実施形態に関して上述したのと同様に進行し、S8において、絶対湿度の差ΔAHと検出または概算された流量とから、必要な蒸発率が計算される。
【0105】
差ΔFが負の場合、すなわち流量の変化は減少である場合、温度TmはS14において上昇される。温度Tmは、S14において、患者インターフェースに送達される空気の温度Tmを飽和点を上回る温度に保つのに十分上昇される。流量の減少により、また、S9における水温または加熱素子温度の低下がもたらされ、S10における差ΔTの計算、及びコントローラ(1つまたは複数)40、44による加熱素子の制御により、加湿機の温度セットポイントが低減される。加湿機の給水の温度が低減されるので、絶対湿度AHmが飽和点に達することなく通り過ぎるべきマージンが存在する。
【0106】
温度センサ54によって感知された温度と調整された温度Tmとの間の差ΔTmが、S11において決定され、差ΔTmがほぼゼロになるまで、加熱管30が制御される。所定の期間にわたって、加湿機内の給水の温度が加湿機の新しいセットポイントまで低減されるまで、調整された温度TmはS12において徐々に低減される。
【0107】
S11において決定された流量差ΔFが正であり、すなわち流量の変化が増加であり、所定の差ΔF
ptdよりも大きい場合、S14における調整は、絶対湿度AHmを飽和に近く保つように温度Tmを低減させることであってもよい。ただし、患者が、温度Tmの低減が不快であることに気付くことがある。その場合、コントローラ(1つまたは複数)40、44は、流量の増加を示す流量差ΔFを無視するように構成されてもよい。
【0108】
実例的実施形態を参照して本明細書にて考察する加湿機及び呼吸装置は、熱加湿機の未経験のまたは新しいユーザに、あらゆる所与の使用条件に対して送達空気のデフォルトの含水量(公称で14mg/L)を提供するように設計された、自動またはデフォルトの設定を提供する。患者の睡眠セッションの間、必要であれば、凝結が空気管内で生じるのを回避するため、デフォルトの含水量の目標値を低減するように自動補償が起動する。
【0109】
本明細書に開示される実例的実施形態による加湿機の正確な性能は、デバイスを適正に設定し動作させるためにユーザの知識または介在を全く必要としない。このことは、そうでなければ適切な加湿機設定を確立することが困難であると考えるユーザにとって役立つ。正確な性能は、送達空気の含水量及び凝結の可能性に影響する、周囲絶対湿度、周囲温度、相対湿度及び圧力、並びに送達空気の流量を含む要因に対する変化に応答して、患者の睡眠セッションの間自動的に維持される。
【0110】
ユーザには、必要であれば、好みに従って、自動またはデフォルトの設定を微調整する追加の設定が提供される。利用可能な設定の全範囲は、中央値を、上述したような空気送達ホース内の凝結の防止に影響されるデフォルトの含水量で較正されるように維持するため、継続的に再設計される。すなわち、従来技術の加湿機とは異なり、デフォルト設定及び設定の利用可能な全範囲は実際の周囲条件に対して常に較正される。1つの地域における気候差、例えば寒く湿った気候は、ヒーター設定が固定のデバイスの場合に起こり得るように、別の地域における利用可能な加湿性能または利用可能な設定を損なうことはない。
【0111】
例えば、ユーザは、目印11によって示される「3」等の、デフォルト若しくは自動設定よりも低い設定、または目印11によって示される「7」等の、デフォルト若しくは自動設定よりも高い設定が、最も快適な加湿フローを提供すると判断してもよい。従って、ユーザは、周囲条件及び/または流量にかかわらず、患者によって最も快適であると判断されるような、患者インターフェースに送達されるフローの所望の設定及び絶対湿度を選択してもよい。
【0112】
加湿機制御の第3の実施形態
図17を参照すると、別の実例的実施形態による呼吸装置の制御システム及びプロセスが示される。
図17の実例的実施形態のシステム及びプロセスは、
図15の実例的実施形態の上述のS1〜S8及びS11と同様に動作する。
【0113】
S8において、所定温度で所定湿度を送達するのに必要な蒸発率を計算した後、それを上回ると固定のデューティ比を適用する加熱素子温度の閾値がS15において決定され、加湿機を駆動するデューティ比がS16において決定される。S15において加熱素子温度の閾値を決定した後、加熱素子温度が閾値を上回っているかがS17において判断される。加熱素子温度が閾値を上回っている場合(S17:Yes)、S21において固定のデューティ比が加熱素子に適用される。加熱素子温度が閾値を上回っていない場合(S17:No)、S18において100%のデューティ比が加熱素子に適用される。
【0114】
S19において、加熱素子温度センサ48によって感知された加熱素子温度が、安全運転温度を上回っているかが判断される。感知された加熱素子温度が安全運転温度を下回っている場合(S19:No)、加熱素子温度が閾値を上回っているかを判断するため、S17において加熱素子温度が再びチェックされる。感知された加熱素子温度が安全運転温度を上回っている場合(S19:Yes)、S20において、加熱素子のデューティサイクルが0%に設定され、すなわち加熱素子がオフにされる。
【0115】
加湿機は、給水を収容する異なるタイプの容器、すなわち槽を使用して動作するように構成されてもよい。そのような1つの加湿機は、例えば、その全内容を参照により本明細書に組み込む2008年9月17日出願の米国出願第61/097,765号に開示されている。使用されてもよい2つのタイプの加湿機槽は、例えばステンレス鋼の基部を備えた「再使用可能な」槽、及び例えばアルミニウムの基部を備えた「使い捨ての」槽である。熱移動特性は2つの基部で異なる。加熱素子が恒温に調節されると、2つの槽は異なる湿度出力を提供してもよい。しかし、どちらの槽がデバイスに適合されても、湿度出力が予測可能であることが望ましい。また、どのタイプの槽が加湿機に適合されているかを検出する手段があることが好ましい。
【0116】
湿度出力は、
図17を参照して上述したように、加熱素子がそこで保たれる温度ではなく、加熱素子に動力が供給されるデューティ比に相関されてもよい。これは、一定のデューティ比では、加熱素子に電力が定速で送達され、システム内におけるその電力の主な散逸は槽からの水の蒸発によるものであるためである。実際には、「使い捨ての」及び「再使用可能な」槽は、同じデューティ比で操作されたとき、同等の蒸発率を有する。
【0117】
やはり
図17を参照して上述したように、実例的実施形態は、デューティ比を変動させてホットプレートの温度を調節するのではなく、加熱素子に対して電力の一定のデューティ比を適用する。加熱素子は、抵抗型負荷R、例えば9.6Ωであり、それに対して、一定の電位V、例えば24Vが、デューティ比によって規定されるタイミングでオンオフを切り替えられる。これは、P=V
2/Rによって規定される電力、例えば100%のデューティ比において60Wで、加熱素子を駆動することと等価である。
【0118】
デューティ比は、加熱素子温度セットポイントが
図15及び
図16の実例的実施形態において決定されたのと同じやり方で、すなわち、周囲絶対湿度、患者に送達されるガスの温度、及びガスが送達される流量という3つの変数を考慮して、デバイスの性能を特徴付けることによって決定されてもよい。
【0119】
一定のデューティ比での動作の2つの不利な点も、この実例的実施形態によって克服される。第1の不利な点は、加湿機内の水の本体が冷態始動から温まるまでにより長い時間がかかることである。これは、S15において温度閾値を概算し、S18において、温度閾値に達するまで100%のデューティ比で加熱素子を駆動し、次にS21において、所望の蒸発率に必要な一定または固定のデューティレベルに切り替えることによって克服される。
【0120】
第2の不利な点は、水が全て蒸発したとき等、加湿機槽の水が空になると、加熱素子が過剰な温度に達する可能性があることである。これは、S20においてデューティ比を0%に設定することによって、加熱素子がその温度を上回ると動作不能になる最大安全動作温度をS19において適用することによって克服される。
【0121】
図17の実例的実施形態はまた、加熱管が存在しない状態で加湿機を制御するために使用されてもよい。この場合、患者は、ユーザインターフェース(例えば、ノブ若しくはダイヤル10及び/または制御ボタン14)を通して加熱素子の調節温度を直接制御し、それを自身が快適であるように調整することができるので、再使用可能な槽を使用する患者は、使い捨ての槽を使用する患者よりもわずかに高い温度を設定する傾向があることがある。加熱素子に供給される電力のデューティ比を制御しなければ、加湿機は、使い捨ての槽を使用したときよりも、再使用可能な槽を使用したときにより少ない湿度を送達し、患者に対して提供する加湿の快適さの利益はより少なくなる。
【0122】
図17の実例的実施形態はまた、全ての患者に同等の加湿治療を提供して、単純さを維持する。
【0123】
加湿機制御の第4の実施形態
加湿機の加熱素子46のデューティ比の制御に加えて、コントローラ40及び/または44もまた、空気送達ホースまたは管30の加熱素子のデューティ比を制御するように構成されてもよい。これにより、加湿機がその電源の総容量を低減することが可能になる。加湿機の加熱素子及び加熱管は、加湿機の加熱素子または加熱管のどちらかが、その全電流、例えば24Vで2.5Aを瞬間的に引き出すことができる間、それらが決して同時に活動状態にはならないように、電力負荷を共有してもよい。コントローラ40及び/または44は、組み合わされたデューティサイクルが100%を超えないように、加湿機及び加熱管のそれぞれに割り当てるデューティ比を計算する。コントローラ40及び/または44はまた、加湿機及び加熱管の加熱サイクルが重複しないように、それらを同期させる。コントローラ40及び/または44は、1つのデバイスのみが一度にオンとなるように、フロージェネレータによって提供されるデューティ比によるタイミングで、各加熱素子のオンオフを切り替えるように構成されてもよい。そのような電力の管理は、例えば、その全内容を参照により本明細書に組み込む2008年9月10日出願の米国出願第61/095,714号に開示されている。
【0124】
この実例的実施形態によれば、入力は、1)例えばユーザインターフェースまたは環境制御アルゴリズムによって設定されるような、加熱管の温度セットポイント、2)例えばサーミスタの両端間の電位差から変換されるような、加熱管によって感知される温度、3)加熱管のタイプ(例えば、15mmまたは19mm)、4)例えばユーザインターフェースまたは環境制御アルゴリズムによって設定されるような、加湿機の温度セットポイント、並びに、5)例えばサーミスタの両端間の電位差から変換されるような、加湿機によって感知される温度を含む。
【0125】
実例的実施形態の出力は、1)加湿機に適用される加熱電力、例えば0〜100%のデューティ比、並びに、2)加熱管に適用される加熱電力、例えば0〜100%のデューティ比を含む。
【0126】
制御はまた、1)比例係数Pf、2)積分係数If、及び3)微分係数Dfを含む、加熱管に対する定数を使用することを含む。同様に、制御はまた、1)比例係数Pf、2)積分係数If、及び3)微分係数Dfを含む、加湿機に対する定数を使用することを含む。
【0127】
内部変数は、1)前回の示度で感知された加湿機温度Told、2)温度差の加湿機累積和sumTd、3)前回の示度で感知された加熱管温度Told、及び、4)温度差の加熱管累積和sumTdを含む。
【0128】
コントローラ40及び/または44は、次の単純化された比例積分制御機能を含んでもよい。
1. 温度差Td=この温度の示度−前回の示度Toldを計算する。
2. 測定された温度がセットポイントに近い場合(|Td|が1/Pf未満)の場合。
a. Tdに積分係数Ifを掛け、その結果を、温度差の累積和sumTdに加える。
b. その他の場合はsumTdをゼロにリセットする。
3. デューティ比=Pf*Td+If*sumTdを計算する。
4. デューティ比を0と1の間になるようにトリミングする。
【0129】
次に、加湿機及び加熱管のそれぞれに対するデューティ比が比較される。
【0130】
1. 加湿機及び加熱管のデューティの合計が1.0を超える場合、一方または両方のデューティ比が低減される。例えば、加熱管のデューティ比が0.5に低減され、次に加湿機のデューティ比が必要なだけ低減される。
【0131】
2. 2つのデューティ比に100を掛けて、加湿機コントローラへの出力を0〜100(100%を示す)の整数値とする。
【0132】
加湿機制御の第5の実施形態
別の実例的実施形態によれば、コントローラ40及び/または44は、次のものを含む入力を使用して、加湿機の加熱素子及び加熱管を制御するように構成されてもよい。1)例えば1分間にわたって平均化された、フロージェネレータによって感知された空気流量、2)例えば加湿機によって決定または感知されるような周囲相対湿度、3)加湿機によって感知されるような周囲温度、4)加熱管が接続されている場合、加熱管によって感知された、例えば℃単位の温度、5)例えば℃単位の、ユーザインターフェースからの加熱管設定または自動設定、6)ユーザインターフェースからの加湿機設定、例えば自動設定、または標準自動設定よりも「湿度が高い」若しくは「湿度が低い」設定7)タイムスタンプ。
【0133】
制御の出力は、1)加湿機の温度セットポイント、及び、2)加熱管の温度セットポイントを含んでもよい。
【0134】
制御用の定数は、1)相対湿度から絶対湿度に変換するための係数、例えばa)二次関数に適用する3つの係数、及び、2)加湿機の所望の湿度出力から温度セットポイントを決定するためのテーブルを含んでもよい。
【0135】
テーブルは、a)例えば12L/minの間隔で10〜70L/minに相当する、6つのポイントを提供する平均空気流量に対する1つの軸、b)例えば8mg/Lの間隔で0〜40mg/Lに相当する、6つのポイントを提供する所望の絶対湿度出力に対する1つの軸、及び、c)例えば5mg/Lの間隔で0〜35mg/Lに相当する、8つのポイントを提供する周囲絶対湿度に対する1つの軸を含む、それから得たセットポイントを三線内挿することができるポイントのマトリックスであってもよい。
【0136】
合計のマトリックスサイズは6×6×8=288のデータポイントを提供する。各データポイントは、0.1℃単位の増分で5〜95℃の温度である。マトリックスは、例えば、次の表6に示されるようなものであってもよい。
【0137】
【表6A】
【0138】
【表6B】
【0139】
【表6C】
【0140】
【表6D】
【0141】
【表6E】
【0142】
【表6F】
【0143】
【表6G】
【0144】
内部変数は、1)周囲の絶対湿度、2)マスクにおいて目標とする絶対湿度、3)加湿機によって加えられる絶対湿度、及び、4)測定された前回の流量を含んでもよい。
【0145】
加湿機の温度セットポイントを生成するため、コントローラ40及び/または44は次のことを行う。
1. 次式に従って、周囲相対湿度及び温度から周囲絶対湿度を計算する。一定の係数a=7.264、b=0.0928、c=0.0293を所与として、絶対湿度=相対湿度(1の割合として)×(a+b×温度+c×温度×温度)。
2. 加熱管によって感知された温度から、目標絶対湿度を計算する。加熱管が利用可能ではない場合、周囲温度が代わりに適用されてもよい。関数はステップ1で使用したのと同じ二次式であるが、ここでは、相対湿度はユーザインターフェースによって設定される。
3. 目標から周囲絶対湿度を引くことによって、加湿機によって加えられる絶対湿度を計算する。
4. 加えられる絶対湿度、流量、及び温度から、加湿機に対する温度セットポイントを計算する。計算は表6の三線内挿である。
【0146】
加熱管に対する温度セットポイントを生成するため、次のことを行う。
1. デフォルト温度セットポイントは、ユーザインターフェース上の設定に対応する。
2. 流量に突然の降下があった場合、温度セットポイントは、限定された持続時間(例えば、15分間)に対するセットポイントをわずかに(例えば、数℃)上回るように調整される。
【0147】
フロージェネレータの設計の検討
加湿機がフロージェネレータに適合されるか、またはフロージェネレータから取り外されたとき、フロージェネレータのユーザインターフェースは、例えば1秒以内で加湿機の検出または除去を示してもよい。加熱管が加湿機に適合されるか、または加湿機から分離されたとき、フロージェネレータのユーザインターフェースは、例えば1秒以内で加熱管の検出または除去を示してもよい。
【0148】
上述したように、フロージェネレータのコントローラは加湿機及び加熱管を制御してもよい。フロージェネレータのコントローラは、加湿機コントローラに格納され、例えば、各値が0.01の分解能で0〜1であり、6×6×8=288のデータポイントのマトリックスである、6つの制御パラメータを含む定数を使用してもよい。各データポイントは、0.1℃の分解能で5〜95℃の温度であってもよい。
【0149】
治療の間、フロージェネレータは、例えば少なくとも10秒間に一度、加湿機の加熱素子及び加熱管の温度の示度について、加湿機に対してポーリングを行ってもよい。治療の間、フロージェネレータは、例えば少なくとも60秒間に一度、周囲温度及び相対湿度の示度について、加湿機に対してポーリングを行ってもよい。
【0150】
温度は、0.1℃の分解能で5〜95℃の値として通信されてもよい。相対湿度は、0〜100の整数値として通信されてもよい。この範囲外の値はこの範囲に限定されるものとする。
【0151】
フロージェネレータは、0〜100の整数値(100が100%のデューティを示す場合)として、加湿機によって適用されるデューティ比を計算してもよい。フロージェネレータはまた、0〜100の整数値(100が100%のデューティを示す場合)として、加熱管に適用されるデューティ比を計算してもよい。フロージェネレータは、加湿機及び加熱管のデューティ比の合計が100(100%を示す)を超えないことを確保してもよい。
【0152】
治療の間、例えば少なくとも3秒間に一度、加湿機のデューティ比を設定するようにフロージェネレータから要求が送信されてもよく、また、例えば少なくとも1秒間に一度、加熱管のデューティ比を設定するようにフロージェネレータから要求が送信されてもよい。
【0153】
加湿機の設計の検討
加熱管及び加湿機の両方を加熱することを指令されたとき、コントローラ40及び/または44は、両方の単位体が同じ瞬間に電力を引き出さないように電力が分配されることを確保してもよい。これを達成するため、加熱管及び加湿機は同じコントローラによって制御されてもよい。
【0154】
フロージェネレータが、加湿機及び電源、並びに付加されてもよい他のあらゆるデバイスと通信できるようにする、適切な通信プロトコルが開発されてもよい。通信プロトコルは、例えば16ビットのCRCを利用して、通信エラーを検出してもよい。フロージェネレータと加湿機との間の通信は、配線コネクタ内のピンの数を最小限に押えるため、半二重であってもよい。
【0155】
加湿機は、要求に応じて、1)加湿機状態(okまたはエラー)、2)相対湿度示度、3)相対湿度示度が作られた温度、4)加湿機内の加熱素子の温度、5)加湿機加熱のデューティ比の情報をFGに送信してもよい。
【0156】
加湿機は、フロージェネレータからの、1)加湿機状態の要求、2)湿度示度の要求、3)湿度の温度示度の要求、4)加湿機内の加熱素子の温度の要求、5)加湿機内の加熱デューティ比の設定のコマンドに応答してもよい。
【0157】
加湿機は、加熱デューティ比を設定する要求が少なくとも10秒ごとに受信されない限り、加湿機槽の加熱を止めてもよい。
【0158】
加熱管の設計の検討
加湿機は、要求に応じて、1) a)加熱管の存在または不在、b)加熱管の直径(15mm若しくは19mm)の直径、及びc)okまたはエラーを含む、加熱管状態、2)加熱管内の温度、及び、3)加湿機加熱のデューティ比の情報をフロージェネレータに送信してもよい。
【0159】
加湿機は、フロージェネレータからの、1)加熱管状態の要求、2)加熱管内の温度の要求、3)加湿機内の加熱電力レベルの設定のコマンドに応答してもよい。
【0160】
加湿機は、加熱デューティ比を設定する要求が少なくとも1秒ごとに受信されない限り、加熱管の加熱を止めてもよい。
【0161】
温度変換
コントローラ40及び/または44は、ルックアップテーブルを使用して、サーミスタの両端間で測定された電位を、例えば℃単位の温度に変換してもよい。次の3つのテーブルが必要である。1)及び2)各タイプの加熱管(例えば、15mm及び19mm)に対する温度変換テーブル(0.1℃の分解能で5〜40℃の範囲であり、2つのテーブルそれぞれに約360のデータポイントを有する)、並びに、3)加湿機に対する温度変換テーブル(0.1℃の分解能で5〜95℃の範囲であり、約960のデータポイントを有する)。それぞれ、サーミスタ電位の軸上で均等に間隔を空けることによって索引付けされたルックアップテーブルであってもよい。
【0162】
フロージェネレータに対する環境制御定数のアップロード
加湿機は、定数としてテーブルを、例えば表6を有し、環境制御が始まる前にそれをフロージェネレータに転送してもよい。これによって、フロージェネレータのソフトウェアをアップグレードする必要なしに、加湿機のアップグレードが加湿機内で実行されてもよい。
【0163】
表示灯
フロージェネレータからのコマンドによって、例えばシリアル通信リンクを通してコマンドを使用して、加湿機は、1つが青色で1つが黄色のLEDを直接制御してもよい。加湿機は、フロージェネレータから受信したコマンドに従って表示灯を制御してもよく、各コマンドは、1)色(青色または黄色)、2)明るさ(明るい、暗い、または消灯)、及び、3)フェージング(ありまたはなし)の情報を含んでもよい。
【0164】
フェージングが、1)ありの場合、明るさは3秒間にわたって滑らかに移行するものとし、または、2)なしの場合、明るさは新しいレベルに切り替わるものとする。加湿機は、両方のインジケータに対する変化を同時にフェードすることができてもよく、例えば、クロスフェードの場合、フロージェネレータは、1つのコマンドが一方のインジケータをオフにフェードさせ、第2のコマンドが他方のインジケータをオンにフェードさせるという2つのコマンドを一緒に送信してもよい。
【0165】
加湿機制御の第6の実施形態
加湿機が管内の飽和を下回る湿度を送達するように設定された状態で眠っている患者は、管内の凝結によって、次の3つの状況を被ることがある。1)温度の低下、従って管内の空気がその露点を下回る温度まで冷える、2)周囲湿度の上昇、従って加湿機を出る空気の湿度が上昇し、次に管内でその露点を下回る温度まで冷える、並びに、3)自動設定が治療圧力を下回るとき等の流量の低下、従って加湿機が空気に湿度を更に加え、次に空気が管内でその露点を下回る温度まで冷える。
【0166】
管内の凝結、すなわち水滴降下の問題に対処するため、患者に現在与えられる助言としては、管を寝具の下に通して管内の冷却を低減する、且つ/または加湿機をより低い熱設定に設定することが挙げられる。これらの方策により、患者が夜間に受け取る湿度がより低くなって、露点からのマージンがより大きくなり、夜間の変更が可能になる。
【0167】
上述したように、実例的実施形態は、空気の所定温度及び湿度を管のマスク端部に送達する環境制御を実現する。しかし、上述の実例的実施形態を参照して記載したような環境制御は、管内の温度センサが、管内の空気の温度を監視することを必要とする。温度感知を備えた加熱管はコストが増加するので、従来の、すなわち加熱されない管を用いて、システム内の凝結からのある程度の緩和を患者に提供するということが利点である。
【0168】
図18を参照すると、別の実例的実施形態によれば、管が加熱されず、送達空気温度が測定されず、ただし周囲温度センサの示度からS22において概算される環境制御が提供される。概算は、周囲温度及び空気流、並びに電源、モータ、電子部品、または加湿機の加熱素子等、デバイス内の熱源の異なる条件下における、報告された周囲温度と送達空気温度との間の温度差の特徴付けに基づく。
【0169】
上述したように、比較例1(表2)は、
図15及び
図16を参照して上述した実例的実施形態が、周囲絶対湿度を変化させずに、且つマスク温度Tmを制御せずに周囲温度を変化させなければいけないという応答を示す。送達空気温度Tmが測定されずに概算される、この実例的実施形態に従って、周囲湿度の変化に対して水温度を調整するための同等のテーブルが、周囲空気温度の3つの異なる選択肢について次の表7に示される。
【0170】
【表7】
【0171】
この実例的実施形態の特徴は、送達空気温度が概算されることなので、デバイスは、布カバーまたは寝具等によって管が周囲温度から絶縁されているかを検出しない。絶縁体は、管内の冷却を低減させることによって、送達空気温度を上昇させることができる。凝結の機会を最小限に抑えるため、管は絶縁体を有さないものと仮定されてもよく、従って、送達空気は絶縁体が適合された場合よりも低温であるか、その露点に近い。
【0172】
この実例的実施形態のシステムは、周囲温度及び周囲湿度並びに空気流量の同時の変化に適切に応答するであろうことを理解されたい。この実例的実施形態のシステムは、周囲温度、湿度、及びフローの変化にかかわらず、夜間を通じての管内の凝結に対する保護を提供する。この実例的実施形態のシステムはまた、加湿機の完全自動制御を提供する。送達ガスの所定の相対湿度に対するデフォルト値を仮定すると、患者は加湿機を調整する必要が全くない。この実例的実施形態のシステムはまた、ユーザインターフェースによる湿度の設定を提供し、それを、送達ガスの所定の相対湿度に転換することができる。
【0173】
加熱管を含む他の実例的実施形態とは異なり、この実例的実施形態は、より暖かい空気、またはより暖かい空気によって運ぶことができるより高い湿度を送達することができない。この実例的実施形態はまた、患者が送達空気の温度を選択することを可能にしない。この実例的実施形態はまた、管が絶縁されている場合に送達湿度を上昇させない。ユーザインターフェースによって湿度の設定を変化させることで、これを克服することができる。
【0174】
この実例的実施形態による加湿機制御により、呼吸装置に加熱管ではなく標準的な管を備えることが可能になり、結果としてシステムのコストが低減される。
【0175】
上述した実例的実施形態はまた、完全にソフトウェアまたはハードウェア(例えば、ASIC)の形で実現されてもよいので、加湿機は、品物の装置コストを増加させることなく、3つの実例的実施形態のいずれかのように動作するように構成されてもよい。
【0176】
本明細書に開示される実例的実施形態による加湿機は、自動最適湿度設定を提供することで、快適さが向上し、喉の乾燥/喉頭炎の可能性が低減され、且つ/または使用の容易さが改善されることによって、ユーザコンプライアンスを改善する。
【0177】
本明細書に開示される実例的実施形態による加湿機は、また、室内周囲温度及びフローのみを追跡する従来技術の加湿機に見られる問題に対する解決策を提供し、それは、そのような加湿機が、人的エラーや元の設定を作成する際の混乱による不適切な加湿を追跡していてもよい点である。そのような加湿機のユーザは、特に、自身の通常の環境/気候に対する相当な変化を経験するとき、例えば旅行中は常に、どの設定があらゆる所与の条件に対する最適な加湿レベルに最も近いかを認知していない。
【0178】
本明細書に開示される実例的実施形態による加湿機及び呼吸装置は、周囲相対湿度及び圧力(高度補償)、並びに周囲温度を測定して、周囲湿度及び圧力を感知しない従来技術のシステムと比べて、送達される湿度レベルの精度を改善する。近年、低コストの湿度及び圧力センサが利用可能であることにより、これらの追加のパラメータの監視がCPAPデバイスでも実現可能且つ実用的になっている。
【0179】
本明細書に開示される実例的実施形態による加湿機及び呼吸装置は、持続的な口元の漏れの検出に応答するが、従来技術のシステムとは異なり、加湿出力を、単に最適には近くない傾向がある任意設定に対してではなく、最適な水分密度に対して補正する。
【0180】
本発明を、現在最も実用的且つ好ましい実施形態と見なされるものに関連して記載してきたが、本発明は開示の実施形態に限定されるものではなく、それに反して、本発明の趣旨及び範囲内にある様々な修正及び同等の変更を包含するものと理解されるべきである。また、上述の様々な実施形態は、他の実施形態と併せて実現されてもよく、例えば、1つの実施形態の態様を別の実施形態の態様と組み合わせて、更に他の実施形態が実現されてもよい。更に、あらゆる所与のアセンブリの独立した機構または構成要素はそれぞれ、追加の実施形態を構成してもよい。更に、あらゆる所与のアセンブリの個々の構成要素それぞれ、あらゆる所与のアセンブリの個々の構成要素の1つ若しくは複数の部分、及び1つまたは複数の実施形態からの構成要素の様々な組合せは、1つまたは複数の装飾的な設計の特徴を含んでもよい。それに加えて、本発明はOSA患者に対して特定の用途を有するが、他の病気(例えば、うっ血性心不全、糖尿病、病的肥満、脳卒中、肥満手術等)の患者が上述の教示から利益を引き出すことができることを理解されたい。更に、上述の教示は、医療以外の用途において患者及び患者以外に一様に適用可能性を有する。
【0181】
本明細書では、「〜を備える/含む(comprising)」という語句は「非限定的な」意味で、すなわち「〜を含む(including)」という意味で理解されるべきであり、従って、「限定的な」意味、すなわち「〜のみから成る」という意味に限定されない。「備える」及び「備えた」という対応する語句が出現した場合、対応する意味があるものとする。
【0182】
更に、既知の従来技術に対する本明細書におけるあらゆる参照は、特段の示唆がない限り、そのような従来技術が、本発明が関連する分野の当業者には一般的に知られていることの容認を構成しないことを理解されたい。