特開2016-209927(P2016-209927A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2016-209927(P2016-209927A)
(43)【公開日】2016年12月15日
(54)【発明の名称】ベンダ補助具
(51)【国際特許分類】
   B21D 7/14 20060101AFI20161118BHJP
【FI】
   B21D7/14
【審査請求】有
【請求項の数】7
【出願形態】OL
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2015-98681(P2015-98681)
(22)【出願日】2015年5月14日
(71)【出願人】
【識別番号】515129319
【氏名又は名称】永全電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100093816
【弁理士】
【氏名又は名称】中川 邦雄
(72)【発明者】
【氏名】永田 正治
【テーマコード(参考)】
4E063
【Fターム(参考)】
4E063AA04
4E063AA08
4E063BC19
4E063FA05
4E063LA08
(57)【要約】
【課題】棒状物を曲げながら曲げ度合いを測定し、目的の曲げ度合いにすることができるベンダ補助具を提供する。
【解決手段】本発明は、上記課題を解決するため、棒と前記棒の先端に湾曲部と前記湾曲部の上方に係止部を備え、前記湾曲部と係止部の間に棒状物を挿入しテコの原理を用いて前記棒状物を湾曲させる手動式のベンダに取り付けて利用されるベンダ補助具であって、前記棒に装着される装着部と、前記装着部から突出した張出部と、前記張出部から起立したレール部と、前記棒状物に接しつつ前記棒状物の湾曲に追随して前記レール部を移動するスライドバーと、前記レール部に取り付けられ棒状物の曲げ角に対応する前記棒状物の曲げによる移動距離を測定するメジャーと、からなるベンダ補助具とした。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
棒と前記棒の先端に湾曲部と前記湾曲部の上方に係止部を備え、前記湾曲部と係止部の間に棒状物を挿入しテコの原理を用いて前記棒状物を湾曲させる手動式のベンダに取り付けて利用されるベンダ補助具であって、
前記棒に装着される装着部と、
前記装着部から突出した張出部と、
前記張出部から起立したレール部と、
前記棒状物に接しつつ前記棒状物の湾曲に追随して前記レール部を移動するスライドバーと、
前記レール部に取り付けられ棒状物の曲げ角に対応する前記棒状物の曲げによる移動距離を測定するメジャーと、
からなることを特徴とするベンダ補助具。
【請求項2】
前記装着部が、筒であり、前記棒を挿入した上で位置固定されることを特徴とする請求項1に記載のベンダ補助具。
【請求項3】
前記スライドバーが前記レール部から直角に突出した突出部と前記レール部に沿う直線部とからなるL字金具であり、
前記直線部の端部と前記レール部とに渡されたバネで前記スライドバーのスライドを可能とし、
前記直線部の左右を陥入させる溝を備え前記L字金具のスライドを案内するガイドが前記レール部に固定されたことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のベンダ補助具。
【請求項4】
前記ガイドに、前記スライドバーの位置を固定する固定具が備えられたことを特徴とする請求項3に記載のベンダ補助具。
【請求項5】
前記メジャーが、プレート状で表面に目盛りが表示され、前記レール部上で位置移動可能としたことを特徴とする請求項1〜請求項4の何れか1項に記載のベンダ補助具。
【請求項6】
さらに、前記棒状物の先端に嵌着され筒状形状で、その側面対向位置に目印が設けられ、前記目印で棒状物の位置を確認する位置指示具を備えることを特徴とする請求項1〜請求項5の何れか1項に記載のベンダ補助具。
【請求項7】
請求項1〜請求項6の何れか1項に記載のベンダ補助具を備えることを特徴とするベンダ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、棒と、棒の先端に湾曲部と、湾曲部の上方に係止部を備え、湾曲部と係止部の間に電気配管、水道管、鉄筋などの棒状物を挿入しテコの原理を用いて棒状物を湾曲させる手動式のベンダに取り付けて利用されるベンダ補助具に関する。さらに詳しくは、
【背景技術】
【0002】
ベンダに取り付け、湾曲を制御する補助具として、特許文献1が公開されている。特許文献1の発明は、ベンダを使用した配管曲げ作業を熟練を要せず、短時間でかつ確実に一定の角度に曲げることが出来るパワーストップベンダであって、縦断面が略U字形状の略水平な受け溝23と、当該受け溝23から横方向に離れた延長線上に設けられた、下向き湾曲凹溝を有する係止突起24とから成る既存のベンダCの作用部21の、前記受け溝23の、係止突起24とは反対側の延長線上に、上面を有するストッパを設け、当該ストッパは前記ベンダCの作用部21を支える支柱22に一端を固定した腕金部の他端に設けてなる。
【0003】
しかしながら、特許文献1では、棒状物を曲げながら曲げ度合いを測定し、目的の曲げ度合いにすることはできない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2012−86263号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
そこで、本発明は、棒状物を曲げながら曲げ度合いを測定し、目的の曲げ度合いにすることができるベンダ補助具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上記課題を解決するため、
(1)
棒と前記棒の先端に湾曲部と前記湾曲部の上方に係止部を備え、前記湾曲部と係止部の間に棒状物を挿入しテコの原理を用いて前記棒状物を湾曲させる手動式のベンダに取り付けて利用されるベンダ補助具であって、
前記棒に装着される装着部と、
前記装着部から突出した張出部と、
前記張出部から起立したレール部と、
前記棒状物に接しつつ前記棒状物の湾曲に追随して前記レール部を移動するスライドバーと、
前記レール部に取り付けられ棒状物の曲げ角に対応する前記棒状物の曲げによる移動距離を測定するメジャーと、
からなることを特徴とするベンダ補助具。
(2)
前記装着部が、筒であり、前記棒を挿入した上で位置固定されることを特徴とする(1)に記載のベンダ補助具。
(3)
前記スライドバーが前記レール部から直角に突出した突出部と前記レール部に沿う直線部とからなるL字金具であり、
前記直線部の端部と前記レール部とに渡されたバネで前記スライドバーのスライドを可能とし、
前記直線部の左右を陥入させる溝を備え前記L字金具のスライドを案内するガイドが前記レール部に固定されたことを特徴とする(1)又は(2)に記載のベンダ補助具。
(4)
前記ガイドに、前記スライドバーの位置を固定する固定具が備えられたことを特徴とする(3)に記載のベンダ補助具。
(5)
前記メジャーが、プレート状で表面に目盛りが表示され、前記レール部上で位置移動可能としたことを特徴とする(1)〜(4)の何れかに記載のベンダ補助具。
(6)
さらに、前記棒状物の先端に嵌着され筒状形状で、その側面対向位置に目印が設けられ、前記目印で棒状物の位置を確認する位置指示具を備えることを特徴とする(1)〜(5)の何れかに記載のベンダ補助具。
(7)
(1)〜(6)の何れかに記載のベンダ補助具を備えることを特徴とするベンダ装置。
とした。
【発明の効果】
【0007】
本発明は、上記構成であるので、市販のベンダに簡単に装着でき、棒状物を曲げながら曲げ度合いを測定し、目的の曲げ度合いにすることができるため、棒状物を床等に載置して寸法を測定呈する必要がなく、また広いスペースを必要とすることなく、作業時間も短縮できる。加えて、一端曲げ度合いを決定したならば、その後、再現性よく、熟練者でなくとも、曲げ度合いを均一に行うことができる。管の先端に、位置表示の目印が設けられた位置指示具を嵌着させれば、S字曲げも正確かつ簡単に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明であるベンダ補助具とベンダからなるベンダ装置の使用状態を示す斜視模式図である。
図2図1のベンダ装置で、管を一箇所湾曲させたときの斜視模式図である。
図3図2の後、一箇所湾曲させた管を、さらにベンダ装置で、一箇所、逆方向に湾曲させ、直線状の管を緩やかなS字形に湾曲させたときの斜視模式図である。である。
図4】ベンダ装置で、管(電気配管)を湾曲させるときの様子を写した写真である。
図5】ベンダ装置で、管(電気配管)を湾曲させるときの様子を、図4と異なる方向(約90°向き移動した方向)から写した写真である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、添付図面に基づき、本発明の実施の形態について詳細に説明する。ただし、本発明はそれら実施形態に限定されるものではない。
【実施例1】
【0010】
本発明であるベンダ装置1は、図1に示すように、ベンダ2と、ベンダ補助具3とからなる。
【0011】
ベンダ2は、市販されており、例えば、パナソニック電工(株)ハイヒッキー(登録商標)E型、棒2aと棒2aの先端に管10をその形状に沿って曲げる湾曲部2bと湾曲部2bの上方に管を掛ける係止部2cを備える。そして、湾曲部2bと係止部2cの間に管10などの棒状物を挿入し、テコの原理を用いて手作業の手動式で前記棒状物を湾曲させる装置である。
【0012】
ベンダ補助具3は、装着部4と、張出部5と、レール部6と、スライドバー7と、メジャー8と、位置指示具9とかならなる。
【0013】
装着部4は、ベンダ2の棒2aに装着される。ここでは、棒2aを挿入する筒4aと、筒4aを位置固定するネジである固定具4bからなる実施形態を例示したが、他の方式で装着してもよい。筒4aと固定具4bであれば、装着固定が極めて容易である。
【0014】
張出部5は、装着部4に連設して突出し、湾曲部2bと、レール部6とを所定の距離に位置するよう保持するためのものである。ここでは板状としたが、レール部6を保持できれば形状は特に特定されるものではない。張出部5が湾曲部2bの下方に位置すれば、管10のストッパとしても機能する。
【0015】
レール部6は、張出部5の一部から起立し、スライドバー7、メジャーを保持するものである。
【0016】
スライドバー7は、レール部6に保持され、レール部6上を移動する直線部7bと、直線部7bから突出し管10に接するストッパ7aとからなるL字金具等で、管10の湾曲に追随してレール部6上を移動する。
【0017】
スライドバー7がレール部6を移動する手段として、図示したように、直線部7bの端部とレール部6とに留具7d、7eで固定され渡されたバネ7cの伸縮、さらに、直線部7bが嵌る溝7gと、ネジが貫通し、直線部7bを圧迫して位置固定する固定具7hを備えるガイド7fを、レール部6に固定する方法が例示される。
【0018】
本方式であれば、固定具7hのネジをゆるめれば、スライドバー7を、溝7gに沿って上下に移動することができる。一端、管10の曲げ度合いが確定したならば、以後は、固定具7hでスライドバー7を固定し、ストッパ7aの上端を管10の曲げ位置の終点とすれば、繰り返しの曲げ作業が正確かつ短時間で可能になる。
【0019】
メジャー8は、直線状のプレート8bと、プレート8b表面に記載された目盛り8aと、ストッパ7aの位置に合わされる基準線8eとからなり、レール部6に取り付けられ管10の曲げ角に対応する管10の曲げによる移動距離を測定する。可動式とすることで、管10の太さ変化に応じた基準線8eの位置の微調整が可能になる。また、曲げられた管の再湾曲にときも位置移動でき、汎用性が高くなる。
【0020】
メジャー8を可動式にする手段としては、図示したように、プレート8bが嵌る溝8dと、ネジが貫通し、プレート8bを圧迫して位置固定する固定具8fを備えるガイド8cを、レール部6に固定する方法が例示される。本方式であれば、固定具8fのネジをゆるめ、プレート8bを、溝8dに沿って上下に移動することができる。
【0021】
位置指示具9は、管10の先端に嵌着され筒9a形状で、その側面対向位置に目印(第一目印9b、第二目印9c)が設けられ、第一目印9b、第二目印9c目印で管の上下位置を確認する。
【0022】
位置表示具9を備えることで、管10に装着容易で、管10の上下位置が簡易に把握でき、正確なS字湾曲を可能にする。
【0023】
次に、図1−5を参照して、管10のS字曲げについて説明する。なお、図4、5は、実際に本発明であるベンダ装置1を用いて管10(電気配管)を曲げているときの様子を写した写真である。管10の曲げは、管10の一端をベンダ2の係止部2cに係止し、管10の他端を手で下に押し込むことで、湾曲部2bに管10を沿わせて曲げる。
【0024】
先ず、図1に示すように、位置指示具9を管10に装着した上で、第一目印9bを上に向け、1箇所目の湾曲の準備をする。そして、管10の一部をベンダ2の湾曲部2bと係止部2cの間に挿入し、一部を係止部2cに係止する。
【0025】
その後、管10の他方をスライドバー7のストッパ7aに接触させ、そのとき、管10を曲げていない状態で、ストッパ7aの下端にメジャー8の基準線8e(0cm)が来るように、メジャー8を移動、固定する。このとき、スライドバー7はスライド可能にガイド7fの溝7gに嵌められている。
【0026】
次に、ストッパ7aよりさらに他端側を図4、5に示すように、手で押圧し、ベンダ2の湾曲部2bに沿って管10を湾曲させる。図2に示すように、管10の湾曲度合いは、ストッパ7aの移動距離、即ち、基準線8eからのストッパ7a下端の移動距離(例えばcm)で、その場で把握し、目的の曲げ状態にする。
【0027】
その後、ガイド7fの固定具7h(ネジ)を締め、スライドバー7を固定する。そうすることで、次回以降の曲げにおいては、ストッパ7aの移動距離を把握する必要がなく、ストッパ7aの固定位置が、管10の曲げ位置となる。
【0028】
次に、第二目印9cを上側に位置するように、管10を180°回転させる。第二目印が上に位置することで、管10をS字にする正確な位置を容易に把握することができる。その後、管10の二箇所目の湾曲位置を、図4、5に示すよう、手で下方に管10を押圧して、湾曲させる。
【0029】
そのとき、ストッパ7aで湾曲を止めることで、第一箇所目の湾曲角と同じ湾曲を形成し、正確なS字湾曲が可能になる。勿論、S字以外の形状に管10を二箇所湾曲させる場合には、都度、スライドバー7をスライドさせ、ストッパ7aの移動距離をメジャー8で測定しながら湾曲させることも可能である。
【符号の説明】
【0030】
1 ベンダ装置
2 ベンダ
2a 棒
2b 湾曲部
2c 係止部
3 ベンダ補助具
4 装着部
4a 筒
4b 固定具
5 張出部
6 レール部
7 スライドバー
7a ストッパ
7b 直線部
7c バネ
7d 留具
7e 留具
7f ガイド
7g 溝
7h 固定具
8 メジャー
8a 目盛り
8b プレート
8c ガイド
8d 溝
8e 基準線
8f 固定具
9 位置指示具
9a 筒
9b 第一目印
9c 第二目印
10 管
図1
図2
図3
図4
図5