(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2016-210569(P2016-210569A)
(43)【公開日】2016年12月15日
(54)【発明の名称】ブーム着脱装置及び着脱方法
(51)【国際特許分類】
B66C 23/26 20060101AFI20161118BHJP
B66C 23/42 20060101ALI20161118BHJP
【FI】
B66C23/26 C
B66C23/42 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2015-96414(P2015-96414)
(22)【出願日】2015年5月11日
(71)【出願人】
【識別番号】000004617
【氏名又は名称】日本車輌製造株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100086210
【弁理士】
【氏名又は名称】木戸 一彦
(74)【代理人】
【識別番号】100128358
【弁理士】
【氏名又は名称】木戸 良彦
(72)【発明者】
【氏名】冨田 庸公
(72)【発明者】
【氏名】高山 浩司
【テーマコード(参考)】
3F205
【Fターム(参考)】
3F205AA05
3F205CA03
3F205CB02
3F205JA03
(57)【要約】
【課題】 ブーム吊り上げ用のクレーンを必要とせずに、上部旋回体に対するブームの着脱を容易に行うことができるブーム着脱装置及び着脱方法を提供する。
【解決手段】 上部旋回体に起伏可能に取り付けられるブームを着脱するブーム着脱装置31であって、ブーム(伸縮ブーム15)を輸送するトレーラ27の荷台上に積載されるベースフレーム32と、ベースフレーム上に設けられたブームの固定部33と、ベースフレームの前後の荷台幅方向に設けられた伸縮ビーム34と、伸縮ビームの先端部に設けられたジャッキシリンダ35とを備え、伸縮ビームは、短縮時にジャッキシリンダを荷台幅内に収納し、伸長時にジャッキシリンダを荷台外方に突出させるストロークを有し、ジャッキシリンダは、短縮時に下端の接地部をベースフレームの下面以上に上昇させ、伸長時にベースフレームを荷台上方に上昇させるストロークを有している。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
建設機械におけるベースマシンの上部旋回体に設けられたブームブラケットとブームの基端側のブームフートとにそれぞれ形成されたピン挿通孔に挿通されたフートピンを介して上部旋回体に起伏可能に取り付けられるブームを着脱するブーム着脱装置であって、前記ブームを輸送する輸送車の荷台上に積載されるベースフレームと、該ベースフレーム上に設けられた前記ブームの固定部と、前記ベースフレームの前部及び後部の荷台幅方向にそれぞれ設けられた前後左右4本の伸縮ビームと、各伸縮ビームの先端部にそれぞれ設けられた鉛直方向のジャッキシリンダとを備え、前記伸縮ビームは、短縮時に前記ジャッキシリンダを荷台幅内に収納し、伸長時にジャッキシリンダを荷台外方に突出させるストロークを有し、前記ジャッキシリンダは、短縮時に該ジャッキシリンダ下端の接地部を前記ベースフレームの下面以上の高さに上昇させ、伸長時に前記ベースフレームを荷台上方に上昇させるストロークを有していることを特徴とするブーム着脱装置。
【請求項2】
前記建設機械がアースドリルであり、前記ブームが起伏ワイヤで起伏する伸縮ブームであることを特徴とする請求項1記載のブーム着脱装置。
【請求項3】
前記伸縮ビーム及び前記ジャッキシリンダは、前記上部旋回体に搭載した油圧ユニットから着脱可能なホースを介して供給される油圧により作動する油圧シリンダであり、前記ベースフレームには、前記油圧ユニットの動作及び各油圧シリンダの伸縮動作を行うための操作部が設けられていることを特徴とする請求項1又は2記載のブーム着脱装置。
【請求項4】
前記伸縮ビームの両先端部と各ジャッキシリンダとの間に、幅広荷台に対応するためのスペーサを取付可能に形成されていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項記載のブーム着脱装置。
【請求項5】
建設機械におけるベースマシンの上部旋回体に設けられたブームブラケットとブームの基端側のブームフートとにそれぞれ形成されたピン挿通孔に挿通されたフートピンを介して上部旋回体に起伏可能に取り付けられるブームを、輸送車の荷台上に積載されるベースフレームと、該ベースフレーム上に前記ブームを着脱可能に固定する固定部と、前記ベースフレームの前部及び後部にそれぞれ設けられた荷台幅方向の前後一対の伸縮ビームと、各伸縮ビームの両先端部にそれぞれ設けられた鉛直方向のジャッキシリンダとを備え、前記伸縮ビームは、短縮時に前記ジャッキシリンダを荷台幅内に収納し、伸長時にジャッキシリンダを荷台外方に突出させるストロークを有し、前記ジャッキシリンダは、短縮時に該ジャッキシリンダ下端の接地部を前記ベースフレームの下面以上の高さに上昇させ、接地部を接地させた伸長時に前記ベースフレームを荷台上方に上昇させるストロークを有しているブーム着脱装置を使用して着脱するブーム着脱方法であって、前記ブームを上部旋回体に取り付ける際には、前後の伸縮ビームをそれぞれ伸長させて各ジャッキシリンダを荷台外方に突出させ、各ジャッキシリンダを伸長させて前記ベースフレームを荷台上方に上昇させ、輸送車を前進させてベースフレーム下方から荷台を待避させる段階と、ベースマシンを走行させて上部旋回体のブームブラケットをブームフートとに接近させ、各ジャッキシリンダの伸縮量を調節してブームブラケットのピン挿通孔とブームフートのピン挿通孔とを合致させてフートピンを挿通して連結する段階と、上部旋回体とブームとの間にブーム起伏手段を装着し、ベースフレームとブームとの固定状態を解除する段階とを順次行い、上部旋回体に取り付けられているブームを取り外して輸送車の荷台に積載する際には、上部旋回体に取り付けられているブームを前方に倒し、各ジャッキシリンダを伸長させて上昇させた状態のベースフレーム上に載置する段階と、ベースフレームにブームを固定し、ピン挿通孔からフートピンを抜き取って上部旋回体とブームとの連結状態を解除する段階と、ベースマシンを走行させてブーム着脱装置から待避させ、輸送車を後退させて上昇したベースフレームの下方に荷台を入れる段階と、各ジャッキシリンダを短縮させてベースフレームを荷台上に積載し、伸縮ビームを短縮させてジャッキシリンダを荷台幅内に収納する段階とを順次行うことを特徴とするブーム着脱方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ブーム着脱装置及び着脱方法に関し、詳しくは、大型のクローラクレーンやアースドリルのブームを上部旋回体に着脱する際に用いるブーム着脱装置及び着脱方法に関する。
【背景技術】
【0002】
大型のクローラクレーンやアースドリルは、下部走行体及び上部旋回体からなるベースマシンの上部旋回体にブームを着脱可能に装着しており、輸送時には、上部旋回体からブームを取り外してベースマシンとは別々に輸送するようにしている。輸送前後にブームを着脱する際には、通常、重量物であるブームを大型クレーンで保持した状態でブームフートと上部旋回体のブームブラケットとを連結するフートピンを着脱することにより行われている(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平7−101675号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、ブームを大型クレーンで保持してブームを着脱する場合、ベースマシン、輸送用トレーラ及びブーム吊り上げ用の大型クレーンを配置するための広いスペースを必要とし、また、ブームを吊り上げるクレーンの操作も面倒であり、フートピンの着脱も安全面での配慮が必要となっていた。
【0005】
そこで本発明は、ブーム吊り上げ用のクレーンを必要とせずに、上部旋回体に対するブームの着脱を容易に行うことができるブーム着脱装置及び着脱方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明のブーム着脱装置は、建設機械におけるベースマシンの上部旋回体に設けられたブームブラケットとブームの基端側のブームフートとにそれぞれ形成されたピン挿通孔に挿通されたフートピンを介して上部旋回体に起伏可能に取り付けられるブームを着脱するブーム着脱装置であって、前記ブームを輸送する輸送車の荷台上に積載されるベースフレームと、該ベースフレーム上に設けられた前記ブームの固定部と、前記ベースフレームの前部及び後部の荷台幅方向にそれぞれ設けられた前後左右4本の伸縮ビームと、各伸縮ビームの先端部にそれぞれ設けられた鉛直方向のジャッキシリンダとを備え、前記伸縮ビームは、短縮時に前記ジャッキシリンダを荷台幅内に収納し、伸長時にジャッキシリンダを荷台外方に突出させるストロークを有し、前記ジャッキシリンダは、短縮時に該ジャッキシリンダ下端の接地部を前記ベースフレームの下面以上の高さに上昇させ、伸長時に前記ベースフレームを荷台上方に上昇させるストロークを有していることを特徴としている。
【0007】
さらに、本発明のブーム着脱装置は、前記建設機械がアースドリルであり、前記ブームが起伏ワイヤで起伏する伸縮ブームであることを特徴としている。また、前記伸縮ビーム及び前記ジャッキシリンダは、前記上部旋回体に搭載した油圧ユニットから着脱可能なホースを介して供給される油圧により作動する油圧シリンダであり、前記ベースフレームには、前記油圧ユニットの動作及び各油圧シリンダの伸縮動作を行うための操作部が設けられていることを特徴としている。さらに、前記伸縮ビームの両先端部と各ジャッキシリンダとの間に、幅広荷台に対応するためのスペーサを取付可能に形成されていることを特徴としている。
【0008】
また、本発明のブーム着脱方法は、建設機械におけるベースマシンの上部旋回体に設けられたブームブラケットとブームの基端側のブームフートとにそれぞれ形成されたピン挿通孔に挿通されたフートピンを介して上部旋回体に起伏可能に取り付けられるブームを、輸送車の荷台上に積載されるベースフレームと、該ベースフレーム上に前記ブームを着脱可能に固定する固定部と、前記ベースフレームの前部及び後部にそれぞれ設けられた荷台幅方向の前後一対の伸縮ビームと、各伸縮ビームの両先端部にそれぞれ設けられた鉛直方向のジャッキシリンダとを備え、前記伸縮ビームは、短縮時に前記ジャッキシリンダを荷台幅内に収納し、伸長時にジャッキシリンダを荷台外方に突出させるストロークを有し、前記ジャッキシリンダは、短縮時に該ジャッキシリンダ下端の接地部を前記ベースフレームの下面以上の高さに上昇させ、接地部を接地させた伸長時に前記ベースフレームを荷台上方に上昇させるストロークを有しているブーム着脱装置を使用して着脱するブーム着脱方法であって、前記ブームを上部旋回体に取り付ける際には、前後の伸縮ビームをそれぞれ伸長させて各ジャッキシリンダを荷台外方に突出させ、各ジャッキシリンダを伸長させて前記ベースフレームを荷台上方に上昇させ、輸送車を前進させてベースフレーム下方から荷台を待避させる段階と、ベースマシンを走行させて上部旋回体のブームブラケットをブームフートとに接近させ、各ジャッキシリンダの伸縮量を調節してブームブラケットのピン挿通孔とブームフートのピン挿通孔とを合致させてフートピンを挿通して連結する段階と、上部旋回体とブームとの間にブーム起伏手段を装着し、ベースフレームとブームとの固定状態を解除する段階とを順次行い、上部旋回体に取り付けられているブームを取り外して輸送車の荷台に積載する際には、上部旋回体に取り付けられているブームを前方に倒し、各ジャッキシリンダを伸長させて上昇させた状態のベースフレーム上に載置する段階と、ベースフレームにブームを固定し、ピン挿通孔からフートピンを抜き取って上部旋回体とブームとの連結状態を解除する段階と、ベースマシンを走行させてブーム着脱装置から待避させ、輸送車を後退させて上昇したベースフレームの下方に荷台を入れる段階と、各ジャッキシリンダを短縮させてベースフレームを荷台上に積載し、伸縮ビームを短縮させてジャッキシリンダを荷台幅内に収納する段階とを順次行うことを特徴としている。
【発明の効果】
【0009】
本発明のブーム着脱装置及び着脱方法によれば、ブーム吊り上げ用のクレーンを必要とせずに上部旋回体へのブームの着脱を容易かつ安全に行うことができ、狭い工事現場でもブームの着脱を行うことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明のブーム着脱装置を使用して伸縮ブームをトレーラの荷台に積載した一形態例を示す側面図である。
【
図6】幅広荷台に対応させた状態を示す正面図である。
【
図7】上部旋回体にブームを取り付ける準備段階を示す説明図である。
【
図11】上部旋回体にブームを取り付けた後の状態を示す説明図である。
【
図12】作業状態のアースドリルの一例を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
図1乃至
図12は、建設機械の一つである大型のアースドリルに本発明を適用した一形態例を示している。本形態例に示すアースドリル11は、
図12に示すように、クローラを備えた下部走行体12の上部に上部旋回体13を旋回可能に設けたベースマシン14と、前記上部旋回体13の前部に起伏可能に設けられたテレスコピック式の伸縮ブーム15と、伸縮ブーム15の先端部に装着されたトップシーブブロック15aから垂下した主ワイヤ16にスイベル17を介して回転可能に吊持されたケリーバ18と、前記伸縮ブーム15の下部からフロントフレーム19やバックストッパ20などによって支持されたケリーバ回転駆動装置21と、ケリーバ18の下端部に装着された掘削バケットや拡底バケット22とを備えている。
【0012】
伸縮ブーム15の2段目最上部には、ペンダントロープ23を介してガントリ13aに巻回された起伏ワイヤ24が連結されており、トップシーブブロック15aには、部材吊り上げ用の副ワイヤ25が掛け回されている。さらに、ケリーバ回転駆動装置21や掘削バケット、拡底バケット22などを作動させるための複数の作業用油圧配管26がフロントフレーム19に沿って設けられている(
図10、
図11参照)。
【0013】
アースドリル11による縦穴の形成は、ウインチで起伏ワイヤ24を操作して伸縮ブーム15を所定角度に立ち上げるとともに、ケリーバ回転駆動装置21を所定位置に配置した状態で、ケリーバ回転駆動装置21でケリーバ18を回転させることによって掘削バケットや拡底バケット22を回転させながら地中に押し込んで掘削する工程と、掘削バケットや拡底バケット22を引上げて掘削した土砂を排出する工程とを交互に繰り返すことによって行われる。
【0014】
このようなアースドリル11を輸送する際には、重量や大きさに応じて複数に分解されてトレーラなどの複数の輸送車にそれぞれ積載される。重量物である伸縮ブーム15は、上部旋回体13から取り外され、前記各ワイヤ16,23,24,25及び作業用油圧配管26などを取り外した状態で、
図1乃至
図3に示すように、トレーラ27の荷台28上にブーム着脱装置31を介して積載されて輸送される。
【0015】
ブーム着脱装置31は、
図4乃至
図6に示すように、荷台28上に積載される長方形状に枠組みしたベースフレーム32と、該ベースフレーム32上の前後にそれぞれ設けられた伸縮ブーム15の固定部33と、前記ベースフレーム32の前部及び後部の幅方向にそれぞれ設けられた前後左右4本の伸縮ビーム34と、各伸縮ビーム34の先端部34aにそれぞれ設けられた鉛直方向の4本のジャッキシリンダ35と、前記伸縮ビーム34を伸縮させるビーム伸縮シリンダ36と、ジャッキシリンダ35及びビーム伸縮シリンダ36を伸縮作動させるためのバルブユニット37及び該バルブユニット37を操作するためのリモコン38とを備えており、バルブユニット37に接続する油圧配管37aの後端部には、油圧ホース39を介してベースマシン14の油圧ユニットに接続される油圧ホース接続部37bが設けられている。
【0016】
前記伸縮ビーム34は、短縮時に前記ジャッキシリンダ35を荷台28の幅内に収納し、伸長時にジャッキシリンダ35を荷台28の外方に突出させるストロークを有しており、前記ジャッキシリンダ35は、短縮時に該ジャッキシリンダ35の下端の接地部35aを前記ベースフレーム32の下面以上、通常は荷台28の上面以上の高さに上昇させ、接地部35aを接地させて伸長させたときに前記ベースフレーム32を荷台28の上方に上昇させるストロークを有している。また、ジャッキシリンダ35のストロークは、ベースフレーム32を上昇させたときに、伸縮ブーム15を上部旋回体13に着脱可能な高さに調節できるように設定されている。
【0017】
また、ジャッキシリンダ35を収納したときの幅寸法は、通常の最大幅である2500mm以下に設定すればよく、幅広車体の荷台上にブーム着脱装置31を載置する際には、
図6に示すように、伸縮ビーム34の先端部34aとジャッキシリンダ35との間に、荷台幅の差に応じた寸法のスペーサ40を取り付けて対応するようにしている。さらに、荷台28の高さによっては、接地部35aに補助脚35bを取り付けることもできる。
【0018】
このように形成したブーム着脱装置31を使用して伸縮ブーム15を輸送する際には、
図1及び
図2に示すように、ブーム基端から突出したブームフート15bを荷台28の後方に向け、ブーム先端部のトップシーブブロック15aを前方に向けた状態となっており、ブームフート15bが荷台28の後端部から突出しないように積載される。このとき、各ジャッキシリンダ35及び各伸縮ビーム34は短縮状態となっており、各ジャッキシリンダ35は、荷台28の上部に収納された状態となっている。また、ベースフレーム32は、通常の適宜な固定手段によって荷台28の上面に固定されており、伸縮ブーム15は、フロントフレーム19の先端が前部側の固定部33に固定され、フロントフレーム19の基部側がブーム支持部材41を介して後部側の固定部33上に支持されている。各固定部33では、ピンなどの適宜な連結手段によって着脱可能な状態で固定されている。
【0019】
荷台28に積載した伸縮ブーム15を上部旋回体13に取り付ける際には、まず、
図7に示すように、ベースマシン14を荷台28の後方に位置させ、ベースマシン14の油圧ユニットとブーム着脱装置31の油圧ホース接続部37bとを油圧ホース39で接続し、ベースフレーム32と荷台28との固定状態を解除する。そして、第1段階として、リモコン38を操作してバルブユニット37を作動させ、
図3の想像線に示すように、前後の各伸縮ビーム34をそれぞれ伸長させて各ジャッキシリンダ35を荷台28の外方に突出させた状態にしてから、
図8に示すように、各ジャッキシリンダ35を伸長させてベースフレーム32を荷台28の上方に上昇させる。次に、トレーラ27を前進させて荷台28をベースフレーム32の下方から待避させて伸縮ブーム15の基端がベースフレーム32の後方に突出した状態にする。荷台28は、ベースフレーム32の下方から完全に待避させる必要はなく、ベースマシン14の下部走行体13の前端部が荷台28の後端部に当たらない程度に待避すればよいから、荷台28の後部がベースフレーム32の下方に位置していてもよい。
【0020】
次に第2段階として、
図9に示すように、ベースマシン14を前進させてブームブラケット13bとブームフート15bとを接近させ、各ジャッキシリンダ35の伸縮量を調節してブームブラケット13bのピン挿通孔とブームフート15bのピン挿通孔とを合致させ、フートピンを挿通して連結する。このとき、4本のジャッキシリンダ35を個別に操作することにより、高さだけでなく、前後左右の傾斜を微調整することができる。
【0021】
そして、第3段階として、
図10に示すように、上部旋回体13と伸縮ブーム15との間に、ブーム起伏手段であるペンダントロープ23及び起伏ワイヤ24を装着するとともに、バックストッパ20を装着し、更に、作業用油圧配管26などを装着した後、ガントリ13aを起立させ、起伏ワイヤ24の操作で伸縮ブーム15を起立可能な状態にする。また、固定部33と伸縮ブーム15との固定状態を解除する。
【0022】
最後に、
図11に示すように、伸縮ブーム15を適当な角度に起立させてブーム着脱装置31から完全に分離するとともに、ベースマシン14を後退させてからトレーラ27を後退させて上昇した状態のベースフレーム32の下方に荷台28を入れた後、各ジャッキシリンダ35を短縮させてベースフレーム32を荷台28上に載置した状態としてから各伸縮ビーム34を短縮させ、ジャッキシリンダ35を荷台28の幅寸法内に収納する。このときのベースマシン14の後退量は、ベースフレーム32の下方に荷台28を入れることができる程度でよく、ベースフレーム32の上方に伸縮ブーム15が位置していてもよい。
【0023】
これにより、ブーム着脱装置31を荷台28に載置したトレーラ27を適宜な場所に移動させることができ、伸縮ブーム15を取り付けたベースマシン14は、ケリーバ18、ケリーバ回転駆動装置21、掘削バケットや拡底バケット22などを装着することにより、
図12に示す作業状態にすることができる。
【0024】
一方、伸縮ブーム15を輸送状態にする際には、基本的に前記取付手順を逆に行えばよく、伸縮ビーム34及びジャッキシリンダ35を伸長させて上昇した状態のベースフレーム32上に、前方に倒した伸縮ブーム15を載置してフートピンを抜き取り、ベースフレーム32の固定部33に伸縮ブーム15を固定するとともに各ワイヤや油圧配管を取り外し、ジャッキシリンダ35を短縮させてベースフレーム32を荷台上に下降させ、伸縮ビーム34を短縮させればよい。
【0025】
このように、大型のクレーンを使用しないで伸縮ブーム15を上部旋回体13に着脱できるので、大型のアースドリル11を使用する現場が大型クレーンが入れなような狭い土地の場合でも、大型クレーン無しで伸縮ブーム15の着脱を行うことができる。また、ベースフレーム32、伸縮ビーム34及びジャッキシリンダ35を基本構成としているので、ブーム着脱装置31の構成を簡略化でき、製作も容易である。さらに、ブーム着脱時の作業性や輸送時の安全性も向上でき、ピン挿通孔の位置合わせをジャッキシリンダ35で行うので、クレーンに比べて微調整が可能となり、ピン挿入時の作業性を大幅に向上させることができる。さらに、重量物を吊り上げないので安全性も向上する。加えて、各シリンダの伸縮をベースマシンの油圧ユニットから供給される油圧で行うことにより、他の駆動源を用意する必要がなく、リモコンを使用することにより、伸縮操作を容易かつ安全に行うことができる。
【0026】
なお、本発明は、前記形態例に示したように、伸縮ブームを起伏ワイヤで起伏させるアースドリルにおける伸縮ブームの着脱に最適であるが、他の建設機械のブームにも適用可能である。また、ブームの形状に応じて適宜な補助部材を使用することができる。さらに、ベースマシンとは別の油圧ユニットを各シリンダの作動源として使用することもできる。
【符号の説明】
【0027】
11…アースドリル、12…下部走行体、13…上部旋回体、13a…ガントリ、13b…ブームブラケット、14…ベースマシン、15…伸縮ブーム、15a…トップシーブブロック、15b…ブームフート、16…主ワイヤ、17…スイベル、18…ケリーバ、19…フロントフレーム、20…バックストッパ、21…ケリーバ回転駆動装置、22…拡底バケット、23…ペンダントロープ、24…起伏ワイヤ、25…副ワイヤ、26…作業用油圧配管、27…トレーラ、28…荷台、31…ブーム着脱装置、32…ベースフレーム、33…固定部、34…伸縮ビーム、34a…先端部、35…ジャッキシリンダ、35a…接地部、35b…補助脚、36…ビーム伸縮シリンダ、37…バルブユニット、37a…油圧配管、37b…油圧ホース接続部、38…リモコン、39…油圧ホース、40…スペーサ、41…ブーム支持部材