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特開2016-210675計時器又は宝飾物の複合材部品を製造する方法及びこの方法によって製造された複合材部品
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2016-210675(P2016-210675A)
(43)【公開日】2016年12月15日
(54)【発明の名称】計時器又は宝飾物の複合材部品を製造する方法及びこの方法によって製造された複合材部品
(51)【国際特許分類】
   C04B 41/88 20060101AFI20161118BHJP
   G04B 37/22 20060101ALI20161118BHJP
   C22C 5/02 20060101ALI20161118BHJP
   C22C 5/04 20060101ALI20161118BHJP
   A44C 27/00 20060101ALI20161118BHJP
   C04B 41/85 20060101ALI20161118BHJP
   B23K 35/30 20060101ALI20161118BHJP
   B23K 35/32 20060101ALI20161118BHJP
   B22D 19/00 20060101ALI20161118BHJP
【FI】
   C04B41/88 U
   G04B37/22 B
   C22C5/02
   C22C5/04
   G04B37/22 A
   A44C27/00
   C04B41/85 C
   C04B41/85 H
   B23K35/30 310A
   B23K35/32 310A
   B23K35/32 310Z
   B22D19/00 E
【審査請求】有
【請求項の数】18
【出願形態】OL
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2016-82686(P2016-82686)
(22)【出願日】2016年4月18日
(31)【優先権主張番号】15167491.8
(32)【優先日】2015年5月13日
(33)【優先権主張国】EP
(71)【出願人】
【識別番号】506425538
【氏名又は名称】ザ・スウォッチ・グループ・リサーチ・アンド・ディベロップメント・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100098394
【弁理士】
【氏名又は名称】山川 茂樹
(74)【代理人】
【識別番号】100064621
【弁理士】
【氏名又は名称】山川 政樹
(72)【発明者】
【氏名】アルバン・ドゥバッハ
(72)【発明者】
【氏名】パブロ・ロドリゲス
(72)【発明者】
【氏名】ロベルト・ポンぺ
【テーマコード(参考)】
3B114
【Fターム(参考)】
3B114AA02
3B114AA03
3B114AA14
(57)【要約】
【課題】計時器又は宝飾物の硬度が高い複合材部品を製造する。
【解決手段】本発明は、計時器又は宝飾物の複合材部品を製造する方法に関し、前記複合材部品は、多孔性のセラミックス部分及び前記セラミックス部分の孔に充填される金属性物質を有し、前記複合材部品の多孔性のセラミックスプレフォームを用意するステップと、金属性物質を用意するステップと、前記金属性物質の融点よりも高い温度まで前記金属性物質を加熱するステップと、前記セラミックスプレフォームの孔を溶融した前記金属性物質で充填するステップと、前記セラミックスプレフォームの孔において凝固した金属性物質を得るために、前記金属性物質及び前記セラミックスプレフォームを冷却するステップと、前記複合材部品を得るために、仕上げ処置を行うステップとを有し、前記多孔性のセラミックスプレフォームは、本質的に、Si34、SiO2及びこれらのいずれかを含有する混合物からなる群から選択される物質によって構成しており、前記金属性物質は、金、白金、パラジウムの金属及びこれらのいずれかの金属の合金からなる群から選択される。また、本発明は、多孔性のセラミックス部分及び前記セラミックス部分の孔に充填される金属性物質を有する計時器又は宝飾物の複合材部品に関し、前記セラミックス部分は、本質的に、Si34、SiO2及びこれらのいずれかを含有する混合物からなる群から選択される物質によって構成しており、前記金属性物質は、金、白金、パラジウムの金属及びこれらのいずれかの金属の合金からなる群から選択される。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
計時器又は宝飾物の複合材部品を製造する方法であって、
前記複合材部品は、多孔性のセラミックス部分及び前記セラミックス部分の孔に充填される金属性物質を有し、
前記複合材部品の多孔性のセラミックスプレフォームを用意するステップと、
金属性物質を用意するステップと、
前記金属性物質の融点よりも高い温度まで前記金属性物質を加熱するステップと、
前記セラミックスプレフォームの孔を溶融した前記金属性物質で充填するステップと、
前記セラミックスプレフォームの孔において凝固した金属性物質を得るために、前記金属性物質及び前記セラミックスプレフォームを冷却するステップと、
前記複合材部品を得るために、仕上げ処置を行うステップと
を有し、
前記多孔性のセラミックスプレフォームは、本質的に、Si34、SiO2及びこれらのいずれかを含有する混合物からなる群から選択される物質によって構成しており、
前記金属性物質は、金、白金、パラジウムの金属及びこれらのいずれかの金属の合金からなる群から選択される
ことを特徴とする方法。
【請求項2】
前記金属性物質は、純金属である
ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記金属性物質は、金、白金及びパラジウムからなる群から選択される金属とケイ素との合金である
ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記複合材部品の前記セラミックスプレフォームは、多孔状のプレフォームである
ことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の方法。
【請求項5】
前記多孔性のセラミックスプレフォームの空隙率のレベルは、前記複合材要素によって達成されるべき所望のカラットレベルに応じて計算される
ことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の方法。
【請求項6】
前記セラミックスプレフォームの孔を溶融金属性物質で充填するステップは、溶浸プロセスによる溶浸を行うステップである
ことを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の方法。
【請求項7】
前記溶浸するステップの間に前記溶融金属性物質に対して付加的な圧力が与えられない
ことを特徴とする請求項6に記載の方法。
【請求項8】
さらに、前記セラミックスプレフォームの孔を溶融金属性物質で充填するステップの前に、湿潤剤で前記セラミックスプレフォームの孔の内壁を被覆するステップを有する
ことを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の方法。
【請求項9】
前記湿潤剤は、純金又は金合金である
ことを特徴とする請求項8に記載の方法。
【請求項10】
多孔性のセラミックス部分及び前記セラミックス部分の孔に充填される金属性物質を有する計時器又は宝飾物の複合材部品であって、
前記セラミックス部分は、本質的に、Si34、SiO2及びこれらのいずれかを含有する混合物からなる群から選択される物質によって構成しており、
前記金属性物質は、金、白金、パラジウムの金属及びこれらのいずれかの金属の合金からなる群から選択される
ことを特徴とする複合材部品。
【請求項11】
前記セラミックス部分は、主として、反応結合性窒化ケイ素で形成されている
ことを特徴とする請求項10に記載の複合材部品。
【請求項12】
前記セラミックス部分は、前記複合材部品の多孔状のプレフォームである
ことを特徴とする請求項10又は11に記載の複合材部品。
【請求項13】
前記金属性物質は、純金属である
ことを特徴とする請求項10〜12のいずれかに記載の複合材部品。
【請求項14】
前記金属性物質は、金、白金及びパラジウムからなる群から選択される金属とケイ素との合金である
ことを特徴とする請求項10〜12のいずれかに記載の複合材部品。
【請求項15】
前記金属性物質の含有量は、前記複合材部品の総重量の75重量%よりも大きい
ことを特徴とする請求項10〜14のいずれかに記載の複合材部品。
【請求項16】
請求項1〜9のいずれかに記載の方法によって製造された
ことを特徴とする計時器又は宝飾物の複合材部品。
【請求項17】
請求項10〜16のいずれかに記載の複合材部品を有する
ことを特徴とする計時器。
【請求項18】
請求項10〜16のいずれかに記載の複合材部品を有する
ことを特徴とする宝飾物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に、計時器又は宝飾物の複合材部品を製造する方法に関し、この複合材部品は、多孔性のセラミックス部分及びこのセラミックス部分の孔に充填される貴金属性物質を有する。本発明は、さらに、多孔性のセラミックス部分及びこのセラミックス部分の孔に充填される貴金属性物質を有する計時器又は宝飾物の複合材部品に関する。
【背景技術】
【0002】
純粋な形態では、貴金属は、硬度が特に低い(例、純金の場合の20〜30HVや純白金の場合の〜50HV)。貴金属を付加的な元素と混ぜて、硬化を行うことができる。これによって、固溶硬化、無秩序−秩序硬化、沈殿物硬化及び/又は分散硬化を行うことができる。粒度制御と冷間加工によって、硬度をさらに向上させることができる。しかし、これらの冶金技術的な強化法を使用しても、貴金属合金の硬度は、依然として低いままである(例、18Kの金合金の場合、硬度は約320HVまでしか達しない)。
【0003】
代わりに、小さな硬質粒子を取り入れることによって貴金属を硬化することができる(「粒子強化金属マトリックス複合材」)。しかし、達成することができる硬度の向上は制限されている(通常、18Kの金の複合材の場合に約500HVの硬度を到達することができる)。このような粒子強化された金の複合材及びそれらの硬度は、例えば、国際特許出願WO2006/110179に記載されている。
【0004】
別の選択肢においては、セラミックスプレフォームの溶浸を行う。この技術の使用によって、貴金属セラミックス複合物質の硬度を著しく向上させることができる。このような複合材の一例が、国際特許出願WO2012/119647に記載されている。この複合物質は、貴金属/合金及びホウ素ベースのセラミックスを有する。18Kの金の複合材にて、1000HVよりも大きい硬度値が測定されている。しかし、記載されている方法には、溶浸の圧力及び/又は温度が高いという主な課題がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記を鑑みて、本発明は、計時器又は宝飾物の硬度が高い複合材部品を製造する単純な代替方法を提供することを目的とする。
【0006】
本発明は、さらに、硬度が高い計時器又宝飾物の複合材部品を提供し、硬度が高い複合材部品を有する計時器又は宝飾物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
これらの目的及びさらなる利点は、計時器又は宝飾物の複合材部品を製造する方法であって、
前記複合材部品は、多孔性のセラミックス部分及び前記セラミックス部分の孔に充填される金属性物質を有し、
前記複合材部品の多孔性のセラミックスプレフォームを用意するステップと、
金属性物質を用意するステップと、
前記金属性物質の融点よりも高い温度まで前記金属性物質を加熱するステップと、
前記セラミックスプレフォームの孔を溶融した前記金属性物質で充填するステップと、
前記セラミックスプレフォームの孔において凝固した金属性物質を得るために、前記金属性物質及び前記セラミックスプレフォームを冷却するステップと、
前記複合材部品を得るために、仕上げ処置を行うステップと
を有し、
前記多孔性のセラミックスプレフォームは、本質的に、Si34、SiO2及びこれらのいずれかを含有する混合物からなる群から選択される物質によって構成しており、
前記金属性物質は、金、白金、パラジウムの金属及びこれらのいずれかの金属の合金からなる群から選択されるものによって達成される。
【0008】
本発明は、さらに、計時器又は多孔性のセラミックス部分及び前記セラミックス部分の孔に充填される金属性物質を有する宝飾物の複合材部品に関し、多孔性のセラミックス部分は、Si34、SiO2及びこれらのいずれかを含有する混合物からなる群から選択される物質によって実質的に構成しており、また、金属性物質は、金、白金、パラジウムの金属及びこれらのいずれかの金属の合金からなる群から選択される。このような複合材部品は、上記の方法によって得ることができる。
【0009】
本発明は、さらに、上記の複合材部品を有する計時器又は宝飾物に関する。
【0010】
本発明の有利な実施形態は、従属請求項において記載されており、これを以下に説明する。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明は、計時器又は宝飾物の複合材部品を製造する方法に関し、
前記複合材部品は、多孔性のセラミックス部分及び前記セラミックス部分の孔に充填される金属性物質を有し、
前記複合材部品の多孔性のセラミックスプレフォームを用意するステップと、
金属性物質を用意するステップと、
前記金属性物質の融点よりも高い温度まで前記金属性物質を加熱するステップと、
前記セラミックスプレフォームの孔を溶融した前記金属性物質で充填するステップと、
前記セラミックスプレフォームの孔において凝固した金属性物質を得るために、前記金属性物質及び前記セラミックスプレフォームを冷却(緩慢性又は急速性―いわゆるクエンチング)するステップと、
前記複合材部品を得るために、仕上げ処置を行うステップと
を有する。
【0012】
本発明によると、多孔性のセラミックスプレフォームは、本質的に又は主として、Si34、SiO2及びこれらのいずれかを含有する混合物からなる群から選択される物質によって構成している。これらのセラミックスは、粒度が細かいことが知られている(ミクロン−サブミクロンの範囲)。したがって、対応するプレフォームの孔径分布は、前記範囲内にある。このセラミックスは、融点が前記金属性物質よりも高い。
【0013】
例として、多孔性のセラミックスプレフォームは、主として窒化ケイ素(Si34)によって構成されており、好ましくは、反応結合性窒化ケイ素(Reaction Bonded Silicon Nitride)によって構成されている。このような反応結合性窒化ケイ素は、ケイ素粉末とバインダーの混合物から得られる。このような物質を得る方法は、当業者であれば周知であり、ここではさらなる詳細な説明は不要である。
【0014】
好ましいことに、複合材部品のセラミックスプレフォームは、多孔状のプレフォームである。このような多孔状のプレフォームによって、最終的な複合材部品の全ての不必要な機械加工のいずれも回避することができる。
【0015】
空隙率を適切に確実に制御しつつ、同時に多孔状の形成プロセスを用いるためには、多孔性のセラミックスプレフォーム用の製造技術としては、セラミックス粉末射出成形が好ましい。
【0016】
この技術によって、適正な処理パラメーターを用いて、バインダーに対する固体の固定された比率を選択することが可能になる。さらに、適切に処理されていれば、供給物質は、製造される複合材部品の大きさ又は形を無視すると、密度のばらつきなしで完全に均質である。
【0017】
600℃.500℃〜600℃の温度まで約12時間加熱することによって、バインダーを除去することができる。代替実施形態において、バインダーは、水又は非水性の抽出物又は超臨界CO2を用いて、50℃〜65℃の温度、約100bar〜300barの圧力を約3時間保持することによって除去される。
【0018】
バインダー成分を完全に除去した後に、セラミックス部分は、対応する良好に定められた空隙率を有する。これは、さらなる処理(例、焼結、反応結合)の後で、セラミックスプレフォームの孔を溶融金属性物質で充填するステップにおいて利用可能となる。
【0019】
好ましくは、複合材要素によって達成される所望のカラットレベルに応じて、多孔性のセラミックスプレフォームの空隙率のレベルが計算される。
【0020】
空隙率は、以下に従う非常に確立された式に基づいて計算される。
【0021】
体積(セラミックス部分)+体積(金属性物質)=体積(複合材部品)
【0022】
ここで、体積(セラミックス部分)は、質量分率(セラミックス部分)/密度(セラミックス部分)であり、体積(金属性物質)は、質量分率(金属性物質)/密度(金属性物質)である。このように、セラミックスプレフォームの空隙率は、そのセラミックスプレフォームに浸透される金属性物質が占める体積に対応している。
【0023】
また、複合材部品のセラミックス部分に固有の最適な特性を達成するために、空隙率を最小化しなければならない。したがって、高い硬度、靱性及び強度に加えて、上記の式に基づいて、密度が低いセラミックス部分を選択することが必要である。
【0024】
所望のカラットレベル又は純度(上記の式に基づく)を決定した後当業者に周知な処理パラメーター変数に基づいて、対応する射出成形供給物質が設計される。この場合における主な重要な処理パラメーター変数は、開始時のケイ素粉末及び供給物質の粘性を増加させたり減少させたりするバインダー成分の粒径である。
【0025】
したがって、理論的な例として、反応結合性窒化ケイ素の形の多孔性の構造に浸透された24カラットの金の場合、18カラットの金複合材を得るためには、33.3体積%のレベルの空隙率が必要とされる。用意される反応結合性窒化ケイ素の形は、理論的な密度の66.7%の密度でなければならない。粉体噴射成形のために安定した供給物質を得るためには、このセラミックスプレフォームの前駆物質として用いられるケイ素粉末の粒径を調整する必要がある。関連の理論計算では、前記密度の反応結合性窒化ケイ素のプレフォームを与えるためには、このケイ素粉末供給物質の固体充填が54.5体積%でなければならないことを示している。
【0026】
本発明の好ましい実施形態によると、セラミックスプレフォームの孔を溶融金属性物質で充填するステップは、溶浸プロセスによって溶浸するステップであり、これは、当業者の間では周知である。
【0027】
本発明によると、金属性物質は、純金、白金、パラジウムの金属及びこれらのいずれかの金属の合金からなる群から選択される。当該合金は、好ましくは、このような金属のケイ素との合金である。これは、金とケイ素の合金、白金とケイ素の合金及びパラジウムとケイ素の合金を意味する。
【0028】
溶浸プロセスを促進するためには、第2の成分の含有率が低く共晶点が低い合金を選択することが好ましい。このようにして、処理温度に関して、そして、最終的な複合材部品のカラットレベルの選択に関しても、柔軟性が増す。また、TEC(熱膨脹係数)のミスマッチが最小化され、その結果、駆動温度が低くなること及びミクロ構造の制御がよくなることに伴って冷却期間が短くなることによって、処理を促進させることができる。
【0029】
別の好ましい実施形態において、共晶点が低く第2の成分の含有量が低い合金における第2の成分は、貴金属における固体溶解度が低い又は本質的に不溶性のものである。冷却時にこれらの第2の成分の沈殿した粒子に対して、粒子状の沈殿物を強化及び/又は硬化する既知の機構を利用して、さらに改善された機械的性質を得ることができる。また、付加的な美的効果も考慮することができる。
【0030】
好ましくは、金属性物質は、その共晶組成の近くで用いられる、金とケイ素の合金又は白金とケイ素の合金又はパラジウムとケイ素の合金である。
【0031】
好ましくは、金属性物質は、363℃の共晶組成にて又はその近くで用いられる金とケイ素の合金である(Au−3重量%のSi)。
【0032】
代替実施形態において、当該合金は、溶浸せずに溶融され、a)既知技術によって細かい(ミクロン範囲)粉末(結晶又は非結晶質)に変換され、そして、前記のセラミックス粉末と混合し、既知の粉末技術、添加剤製造(AM)又は等価な技術を用いて、形が形成されるように処理されるか、あるいはb)製品の形をした空洞内にスプレーされる(溶射トーチ、高温溶融液滴付着用の専用のAMシステム)。
【0033】
このように多孔性のセラミックスプレフォームを溶浸ステップのために用いることができる。
【0034】
しかし、本発明の方法は、好ましいことに、さらに、セラミックスプレフォームの孔を溶融金属性物質で充填するステップの前に、湿潤剤でセラミックスプレフォームの孔の内壁を被覆するステップを有する。例えば、湿潤剤は、純金、白金、パラジウム又はこれらの合金であることができる。
【0035】
このようなさらなるステップは、溶浸プロセスが孔システムの適切な充填を確実にすることを促進するために望ましい。好ましい実施形態において、孔壁の内側被覆が行われる。これによって、セラミックスと、金、白金又はパラジウムの金属/合金との間の湿潤のふるまいが向上する。
【0036】
空隙が細かいために(ミクロン−サブミクロンの範囲)、溶浸プロセス時には、相当な毛細管力作用が予想される。このような毛細管力作用を促進するために、孔壁と、浸透する金属/合金との間の湿潤性を向上させることが好ましい。
【0037】
好ましい実施形態において、プレフォームの内部孔システムは、金属/合金の溶浸処理に先立って、湿潤剤で被覆され、この湿潤剤は、金属/合金の組成と等価な組成であることが好ましいが、そうでなくてもよい。被覆プロセスは、以下のいずれかの既知の技術に基づいている。すなわち、
(a)CVD/PVD/ALD又は他の気相技術、あるいは
(b)孔壁に被覆される金属を含有している水性/非水性の溶液によって孔システムを含浸させるような無電解の被覆、
のいずれかに基づいている。このような方法は、当業者の間では周知であり、ここではさらなる説明は必要ではない。
【0038】
例として、金の無電解メッキ又は金の(真空)蒸着成長を有利に用いることができる。しかし、クロム、チタン、ニッケルなどのような他の金属も用いることができる。適切に行えば、孔壁を被覆することによって、1又はわずかな数を超えるような原子層の堆積を防ぐことができる。したがって、これによって、合金の組成を測定可能なほどに変更しないようにすることができる。
【0039】
溶融溶浸は、高温(>金、白金又はパラジウムの金属やこれらの合金の融点)で行われる。
【0040】
好ましくは、溶融溶浸は、低圧であるか又は溶融金属にいずれの付加的な圧力をもかけずに、行われる。
【0041】
上述の孔壁が被覆された孔隙構造によって、この溶浸が、主として、外圧を必要とせずに毛管作用によって行われる。貴金属又はその合金の静水圧は、これらの密度が一般的には高いので、孔システムへの侵入を促進するのに十分である。しかし、複合材部品がより大きい場合(3mmよりも大きい厚み)、低圧処理を加えることも思い描くことができる。この場合に、10atm(1MPa)未満の圧力レベルを使用することで十分である。
【0042】
好ましい実施形態において、完全に孔を充填することを確実にするために、あらかじめ選ばれた温度及び真空において、溶浸が行われる。この真空レベルは、好ましくは、10mbar(1000Pa)以下である。
【0043】
セラミックスプレフォームの細かい(ミクロン〜サブミクロン)孔隙構造に金属性物質を溶浸させた後、適切な冷却速度を使用することによって、金属性物質の条件を整えることが重要である。好ましい実施形態において、浸透した金属性物質の部分及びセラミックスプレフォームは、高速で冷却される。いわゆる急冷である。これは、隣接した孔の間の金属性物質に第2の合金の成分が拡散することを防ぐ/最小化するために十分なように行われる。冷却速度は、合金の選択や部品の大きさに関する様々な種類に依存して、特定の場合ごとに個別に調整されるべきパラメーターである。
【0044】
金属性物質及びセラミックスプレフォームの冷却の後、本発明の複合材要素を得るためにいくつかの仕上げ処置しか必要でない。
【0045】
このような仕上げ処置には、余剰な金属性物質を除去することが含まれる。プレフォームの表面上に残っている凝固した金属性物質は、除去しなければならない。これは、(マイクロ)サンドブラストのような既知の技術によって行われる。そのブラスト媒体は、セラミックスプレフォームの物質よりも硬度が低いものが選択される。セラミックスプレフォームの多孔状の形が本発明の複合材部品の形に対応しているので、他の困難な機械加工は必要ではない。
【0046】
仕上げ処置には、さらに、所望の表面品質/態様を得るために行われる仕上げ処置を伴う。研磨、ブラッシング、サンドブラスト、ショットピーニング及び(電気)化学的処理(これらに制限されない)のような確立されている表面処理処置は、適切な表面の外観を与えるために、当該含浸されたプレフォームとの互換性がある。
【0047】
本発明は、さらに、多孔性のセラミックス部分又は構造体及び前記セラミックス部分の孔に充填される金属性物質を有する計時器又は宝飾物の複合材部品に関し、多孔性のセラミックス部分は、本質的に、Si34、SiO2及びこれらのいずれかを含有する混合物からなる群から選択される物質によって構成しており、金属性物質は、金、白金、パラジウムの金属及びこれらのいずれかの金属の合金からなる群から選択される。このような複合材部品は、上記の方法によって得ることができる。
【0048】
好ましくは、多孔性のセラミックス部分は、主として、反応結合性窒化ケイ素で形成されている。
【0049】
好ましいことに、多孔性のセラミックス部分又は構造体は、複合材部品の多孔状のプレフォームである。
【0050】
好ましくは、金属性物質は、純金、白金、パラジウム、金とケイ素の合金、白金とケイ素の合金、又はパラジウムとケイ素の合金である。より好ましくは、金属性物質は、純金、又は金とケイ素の合金である。
【0051】
好ましくは、金属性物質は、複合材部品の総重量に対して75%より多い量含有する。
【0052】
本発明の複合材部品は、硬度が500HVより大きく、好ましくは1000HVよりも大きく、複合材部品の合計質量に対して、千分率(‰)で表現される純度の基準375−585−750−916−999に適合する最小限の品質証明された品質を有する。本発明の複合材部品は、特に、ホウ素ベースのセラミックスを含有している複合物質及び貴金属よりも加工が容易である。なぜなら、多孔状のプレフォームを使用するために、必要な仕上げ処置が限られるからである。
【0053】
本発明は、さらに、上記の複合材部品を有する計時器に関する。この場合、このような複合材要素は、計時器の内側部品であることも外側部品であることもできる。例えば、ベゼル、ケース、ストラップ、締め部品などである。
【0054】
本発明は、さらに、上記の複合材部品を有する計時器又は宝飾物に関する。この場合、このような複合材要素は、リング、腕輪、カフスリンク、ブローチなどであることができる。