【実施例】
【0036】
つぎに、実施例に基づいて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は、かかる実施例のみに限定されるものではない。以下において、被験培地1〜21は、表5に示された被験培地である。表5中の被験物質は、表6に示された物質である。
【0037】
【表5】
【0038】
【表6】
【0039】
実験例1
新生児由来線維芽細胞TIG−121〔(財)ヒューマンサイエンス振興財団製〕を、細胞密度が3000細胞/cm
2となるように10cm径ディッシュ中のダルベッコ改変イーグル培地〔和光純薬工業(株)製、商品名:D−MEM〕15mLに播種した。つぎに、ディッシュ中の新生児由来線維芽細胞TIG−121を5体積%二酸化炭素下、37℃で24時間培養した。その後、ダルベッコ改変イーグル培地を、被験培地1 15mLに置換した。さらに、被験培地1中の新生児由来線維芽細胞TIG−121を5体積%二酸化炭素下に37℃で48時間培養した。得られた培養物から細胞を回収した。得られた細胞から全RNAを抽出した。得られた全RNAを全RNAの濃度が5.0μg/μLとなるように精製水〔invitrogen社製、商品名:UltraPure DNase/RNase−Free Distilled Water〕を添加し、測定試料を得た。
【0040】
実験例2
実験例1において、被験培地1を用いる代わりに、被験培地2を用いたことを除き、実験例1と同様の操作を行ない、測定試料を得た。
【0041】
実験例3
実験例1において、被験培地1を用いる代わりに、対照培地(ダルベッコ改変イーグル培地)を用いたことを除き、実験例1と同様の操作を行ない、測定試料を得た。
【0042】
試験例1
実験例1〜3で得られた各測定試料を鋳型とし、PCR用キット〔SAバイオサイエンス社製、商品名:RT
2 First strand kit〕とリアルタイムPCR装置〔アプライド・バイオシステムズ(Applied Biosystems)社製、商品名:ViiA7〕と、細胞増殖に関連する因子の遺伝子またはハウスキーピング遺伝子を増幅するためのプライマー対とを用い、細胞増殖に関連する因子の遺伝子またはハウスキーピング遺伝子それぞれのmRNAレベルでの発現量が閾値に達するまでのサイクル数(以下、「Ct値」という)を測定した。つぎに、細胞増殖に関連する因子について、遺伝子の相対発現量を、式(I):
遺伝子の相対発現量
=〔2−(Ct
A−Ct
B)〕/〔2−(Ct
C−Ct
D)〕 (I)
(式中、Ct
Aは被験培地を用いたときの細胞増殖に関連する因子の遺伝子のCt値、Ct
Bは被験培地を用いたときのハウスキーピング遺伝子のCt値、Ct
Cは対照培地を用いたときの細胞増殖に関連する因子の遺伝子のCt値、Ct
Dは対照培地を用いたときのハウスキーピング遺伝子のCt値を示す)
に基づいて算出した。
【0043】
試験例1において、被験試料の種類と各種遺伝子の相対発現量との関係を調べた結果を
図1に示す。図中、レーン1はトランスフォーミング増殖因子β1〔transforming growth factor,beta 1(以下、「TGFβ1」という)〕の遺伝子の相対発現量、レーン2はトランスフォーミング増殖因子β受容体3〔transforming growth factor,beta receptor 3(TGFβR3)〕の遺伝子の相対発現量、レーン3は上皮増殖因子〔epidermal growth factor(以下、「EGF」という)〕の遺伝子の相対発現量、レーン4は増殖分化因子6〔growth differentiation factor 6(以下、「GDF6」という)〕の遺伝子の相対発現量、レーン5は増殖分化因子7〔growth differentiation factor 6(以下、「GDF7」という)〕の遺伝子の相対発現量、レーン6は血小板由来増殖因子αポリペプチド〔platelet−derived growth factor alpha polypeptide(以下、「PDGFA」という)〕の遺伝子の相対発現量、レーン7は血小板由来増殖因子βポリペプチド〔platelet−derived growth factor beta polypeptide(以下、「PDGFB」という)〕の遺伝子の相対発現量、レーン8は血小板由来増殖因子受容体αポリペプチド〔platelet−derived growth factor receptor,alpha polypeptide(以下、「PDGFRA」という)〕の遺伝子の相対発現量、レーン9は塩基性線維芽細胞増殖因子〔basic fibroblast growth factor 2(以下、「BFGF2」という)〕の遺伝子の相対発現量、レーン10はインスリン様増殖因子1〔insulin−like growth factor 1(以下、「IGF1」という)〕の遺伝子の相対発現量、レーン11はインスリン様増殖因子2〔insulin−like growth factor 2(以下、「IGF2」という)〕の遺伝子の相対発現量、レーン12は神経増殖因子〔nerve growth factor(以下、「NGF」という)〕の遺伝子の相対発現量、レーン13は角化細胞増殖因子〔keratinocyte growth factor(以下、「KGF」という)〕の遺伝子の相対発現量、レーン14は肝細胞増殖因子〔hepatocyte growth factor(以下、「HGF」という)〕の遺伝子の相対発現量、レーン15はVEGF−Aの遺伝子の相対発現量、レーン16は線維芽細胞増殖因子18〔fibroblast growth factor 18(以下、「FGF18」という)〕の遺伝子の相対発現量を示す。また、図中、白色バーは被験培地1を用いたときの遺伝子の相対発現量、ハッチングが施されたバーは被験培地2を用いたときの遺伝子の相対発現量を示す。
【0044】
図1に示された結果から、レピディウム メイエニイ ワルプ由来成分を含有する被験培地1を用いた場合のVEGF−Aの遺伝子の発現量は、レピディウム メイエニイ ワルプ由来成分を含有する被験培地1を用いた場合のTGFβ1、TGFβR3、EGF、GDF6、GDF7、PDGFA、PDGFB、PDGFRA、BFGF2、IGF1、IGF2、NGF、KGF、HGFおよびFGF18それぞれの遺伝子の発現量に比べ、著しく増加していることがわかる。特に、レピディウム メイエニイ ワルプ由来成分を含有する被験培地1を用いた場合のVEGFAの遺伝子の相対発現量が40であることから、レピディウム メイエニイ ワルプ由来成分を含有する被験培地1を用いた場合のVEGFAの遺伝子の発現量は、レピディウム メイエニイ ワルプ由来成分を含有しない対照培地を用いた場合のVEGFAの遺伝子の発現量と比べて有意に増加していることがわかる。また、VEGF−Aと、そのアイソフォーム(例えば、VEGF−B、VEGF−C、VEGF−D、VEGF−Eなど)およびスプライシングバリアントは、機能に関与する部分に、互いに類似する一次構造を有していることから、前記レピディウム メイエニイ ワルプ由来成分により、これらの血管内皮細胞増殖因子の産生を促進することができることが示唆される。したがって、これらの結果から、レピディウム メイエニイ ワルプ由来成分は、血管内皮細胞増殖因子の産生を遺伝子レベルで促進する作用を有することが示唆される。これに対し、レピディウム メイエニイ ワルプ由来成分を含有しない被験培地2を用いた場合、レピディウム メイエニイ ワルプ由来成分を含有する被験培地1を用いた場合のようなVEGFAの遺伝子の発現量の増加が見られないことがわかる。
【0045】
実施例1
新生児由来線維芽細胞TIG−121〔(財)ヒューマンサイエンス振興財団製〕を、細胞密度が3000細胞/cm
2となるように10cm径ディッシュ中のダルベッコ改変イーグル培地〔和光純薬工業(株)製、商品名:D−MEM〕15mLに播種した。つぎに、ディッシュ上の新生児由来線維芽細胞TIG−121を5体積%二酸化炭素下、37℃で24時間培養した。その後、ダルベッコ改変イーグル培地を、被験培地1 15mLに置換し、24時間培養し、測定試料を得た。
【0046】
実施例2
実施例1において、培地の置換後24時間培養を行なう代わりに、培地の置換後72時間培養を行なったことを除き、実施例と同様の操作を行ない、測定試料を得た。
【0047】
比較例1
実施例1において、被験培地1を用いる代わりに、対照培地〔ダルベッコ改変イーグル培地〕を用いたことを除き、実施例1と同様の操作を行ない、測定試料を得た。
【0048】
比較例2
実施例2において、被験培地1を用いる代わりに、対照培地〔ダルベッコ改変イーグル培地〕を用いたことを除き、実施例2と同様の操作を行ない、測定試料を得た。
【0049】
比較例3
実施例1において、被験培地1を用いる代わりに、被験培地2を用いたことを除き、実施例1と同様の操作を行ない、測定試料を得た。
【0050】
比較例4
実施例2において、被験培地1を用いる代わりに、被験培地2を用いたことを除き、実施例2と同様の操作を行ない、測定試料を得た。
【0051】
試験例2
実施例1〜2、比較例1〜4で得られた各測定試料と、ELISAキット〔アール・アンド・ディー・システムズ(R&D systems)社製、商品名:VEGF ELISA kit〕とを用い、血管内皮細胞増殖因子の産生量を測定した。
【0052】
試験例2において、被験試料の種類と血管内皮細胞増殖因子の産生量との関係を調べた結果を
図2に示す。図中、レーン1は対照培地を用いたときの血管内皮細胞増殖因子の産生量(比較例1および2)、レーン2は被験培地1を用いたときの血管内皮細胞増殖因子の産生量(実施例1および2)、レーン3は被験培地2を用いたときの血管内皮細胞増殖因子の産生量(比較例3および4)を示す。また、図中、白色バーは培地の置換後24時間培養を行なったときの血管内皮細胞増殖因子の産生量(実施例1、比較例1および3)、ハッチングが施されたバーは培地の置換後72時間培養を行なったときの血管内皮細胞増殖因子の産生量(実施例2、比較例2および4)を示す。
【0053】
図2に示された結果から、レピディウム メイエニイ ワルプ由来成分を含有する被験培地1を用いた場合の血管内皮細胞増殖因子の産生量(実施例1〜2)は、レピディウム メイエニイ ワルプ由来成分を含有しない培地(対照培地および被験培地2)を用いた場合の血管内皮細胞増殖因子の産生量(比較例1〜4)と比べ、著しく増加していることがわかる。また、VEGF−Aと、そのアイソフォーム(例えば、VEGF−B、VEGF−C、VEGF−D、VEGF−Eなど)およびスプライシングバリアントは、機能に関与する部分に、互いに類似する一次構造を有していることから、前記レピディウム メイエニイ ワルプ由来成分により、これらの血管内皮細胞増殖因子の産生を促進することができることが示唆される。
【0054】
したがって、これらの結果から、レピディウム メイエニイ ワルプ由来成分は、血管内皮細胞増殖因子の産生をタンパク質レベルで促進する作用を有することがわかる。
【0055】
実施例3
毛乳頭細胞〔タカラバイオ(株)製〕を、細胞密度が20000細胞/cm
2となるように48ウェルプレート中のダルベッコ改変イーグル培地〔和光純薬工業(株)製、商品名:D−MEM〕0.3mLに播種した。つぎに、ディッシュ上の毛乳頭細胞を5体積%二酸化炭素下、37℃で24時間培養した。その後、ダルベッコ改変イーグル培地を、被験培地3 0.3mLに置換した。さらに、被験培地3中の毛乳頭細胞を5体積%二酸化炭素下に37℃で24時間培養し、測定試料を得た。
【0056】
実施例4〜6
実施例3において、被験培地3を用いる代わりに、被験培地4(実施例4)、被験培地5(実施例5)または被験培地6(実施例6)を用いたことを除き、実施例3と同様の操作を行ない、測定試料を得た。
【0057】
比較例5
実施例3において、被験培地3を用いる代わりに、対照培地(ダルベッコ改変イーグル培地)を用いたことを除き、実施例3と同様の操作を行ない、測定試料を得た。
【0058】
比較例6〜8
実施例3において、被験培地3を用いる代わりに、被験培地7(比較例6)、被験培地8(比較例7)または被験培地9(比較例8)を用いたことを除き、実施例3と同様の操作を行ない、測定試料を得た。なお、前記被験培地7に含まれるジメチルスルホキシドは、アデノシンの溶媒として用いられたジメチルスルホキシドが毛乳頭細胞に影響を与えないことを確認するための対照である。また、前記被験培地8に含まれるアデノシンおよび前記被験培地9に含まれるミノキシジルは、VEGF産生効果を有する物質として、試験方法の妥当性を検証するための対照である。
【0059】
試験例3
実施例3〜6、比較例5〜8で得られた各測定試料と、ELISAキット〔アール・アンド・ディー・システムズ(R&D systems)社製、商品名:VEGF ELISA kit〕とを用い、被験試料と24時間接触させたときの毛乳頭細胞による血管内皮細胞増殖因子の産生量を測定した。
【0060】
試験例3において、被験試料の種類と血管内皮細胞増殖因子の産生量との関係を調べた結果を
図3に示す。図中、レーン1は被験培地3を用いたときの血管内皮細胞増殖因子の産生量(実施例3)、レーン2は被験培地4を用いたときの血管内皮細胞増殖因子の産生量(実施例4)、レーン3は被験培地5を用いたときの血管内皮細胞増殖因子の産生量(実施例5)、レーン4は被験培地6を用いたときの血管内皮細胞増殖因子の産生量(実施例6)、レーン5は対照培地(ダルベッコ改変イーグル培地)を用いたときの血管内皮細胞増殖因子の産生量(比較例5)、レーン6は被験培地7を用いたときの血管内皮細胞増殖因子の産生量(比較例6)、レーン7は被験培地8を用いたときの血管内皮細胞増殖因子の産生量(比較例7)、レーン8は被験培地9を用いたときの血管内皮細胞増殖因子の産生量(比較例8)を示す。
【0061】
図3に示された結果から、レピディウム メイエニイ ワルプ由来成分を含有する被験培地3〜6を用いた場合の血管内皮細胞増殖因子の産生量(実施例3〜6)は、レピディウム メイエニイ ワルプ由来成分を含有しない培地(対照培地、被験培地7、被験培地8および被験培地9)を用いたときの血管内皮細胞増殖因子の産生量(比較例5〜8)と比べ、著しく増加していることがわかる。
【0062】
したがって、これらの結果から、レピディウム メイエニイ ワルプ由来成分は、血管内皮細胞増殖因子の産生を促進する作用を有することがわかる。
【0063】
実施例7
実施例3において、培地の置換後24時間培養を行なう代わりに、培地の置換後72時間培養を行なったことを除き、実施例3と同様の操作を行ない、測定試料を得た。
【0064】
実施例8〜10
実施例7において、被験培地3を用いる代わりに、被験培地4(実施例8)、被験培地5(実施例9)または被験培地6(実施例10)を用いたことを除き、実施例7と同様の操作を行ない、測定試料を得た。
【0065】
比較例9
実施例7において、被験培地3を用いる代わりに、対照培地(ダルベッコ改変イーグル培地)を用いたことを除き、実施例7と同様の操作を行ない、測定試料を得た。
【0066】
比較例10〜12
実施例7において、被験培地3を用いる代わりに、被験培地7(比較例10)、被験培地8(比較例11)または被験培地9(比較例12)を用いたことを除き、実施例7と同様の操作を行ない、測定試料を得た。
【0067】
試験例4
実施例7〜10、比較例9〜12で得られた各測定試料と、ELISAキット〔アール・アンド・ディー・システムズ(R&D systems)社製、商品名:VEGF ELISA kit〕とを用い、被験試料と72時間接触させたときの毛乳頭細胞による血管内皮細胞増殖因子の産生量を測定した。
【0068】
試験例4において、被験試料の種類と血管内皮細胞増殖因子の産生量との関係を調べた結果を
図4に示す。図中、レーン1は被験培地3を用いたときの血管内皮細胞増殖因子の産生量(実施例7)、レーン2は被験培地4を用いたときの血管内皮細胞増殖因子の産生量(実施例8)、レーン3は被験培地5を用いたときの血管内皮細胞増殖因子の産生量(実施例9)、レーン4は被験培地6を用いたときの血管内皮細胞増殖因子の産生量(実施例10)、レーン5は対照培地(ダルベッコ改変イーグル培地)を用いたときの血管内皮細胞増殖因子の産生量(比較例9)、レーン6は被験培地7を用いたときの血管内皮細胞増殖因子の産生量(比較例10)、レーン7は被験培地8を用いたときの血管内皮細胞増殖因子の産生量(比較例11)、レーン8は被験培地9を用いたときの血管内皮細胞増殖因子の産生量(比較例12)を示す。
【0069】
図4に示された結果から、レピディウム メイエニイ ワルプ由来成分を含有する被験培地3〜6を用いた場合の血管内皮細胞増殖因子の産生量(実施例7〜10)は、レピディウム メイエニイ ワルプ由来成分を含有しない培地(対照培地、被験培地7、被験培地8および被験培地9)を用いたときの血管内皮細胞増殖因子の産生量(比較例9〜12)と比べ、著しく増加していることがわかる。さらに、
図4に示された結果と
図3に示された結果を比較すると、レピディウム メイエニイ ワルプ由来成分と72時間接触させたときの毛乳頭細胞による血管内皮細胞増殖因子の産生量は、レピディウム メイエニイ ワルプ由来成分と24時間接触させたときの毛乳頭細胞による血管内皮細胞増殖因子の産生量よりも顕著に増加していることがわかる。
【0070】
したがって、これらの結果から、レピディウム メイエニイ ワルプ由来成分は、血管内皮細胞増殖因子の産生を促進する作用を有することがわかる。
【0071】
実施例11〜13
実施例3において、被験培地3を用いる代わりに、被験培地10(実施例11)、被験培地11(実施例12)または被験培地12(実施例13)を用いたことを除き、実施例3と同様の操作を行ない、測定試料を得た。
【0072】
実施例14〜16
実施例3において、被験培地3を用いる代わりに、被験培地13(実施例14)、被験培地14(実施例15)および被験培地15(実施例16)を用いたことを除き、実施例3と同様の操作を行ない、測定試料を得た。
【0073】
実施例17〜19
実施例3において、被験培地3を用いる代わりに、被験培地16(実施例17)、被験培地17(実施例18)または被験培地18(実施例19)を用いたことを除き、実施例3と同様の操作を行ない、測定試料を得た。
【0074】
実施例20
実施例3において、被験培地3を用いる代わりに、被験培地1(実施例20)を用いたことを除き、実施例3と同様の操作を行ない、測定試料を得た。
【0075】
比較例13〜15
実施例3において、被験培地3を用いる代わりに、被験培地19(比較例13)、被験培地20(比較例14)または被験培地21(比較例15)を用いたことを除き、実施例3と同様の操作を行ない、測定試料を得た。
【0076】
試験例5
実施例4、11〜20、比較例5、8、13〜15で得られた各測定試料と、ELISAキット〔アール・アンド・ディー・システムズ(R&D systems)社製、商品名:VEGF ELISA kit〕とを用い、被験試料を24時間接触させたときの毛乳頭細胞による血管内皮細胞増殖因子の産生量を測定した。
【0077】
試験例5において、被験試料の種類と血管内皮細胞増殖因子の産生量との関係を調べた結果を
図5に示す。図中、レーン1は被験培地10を用いたときの血管内皮細胞増殖因子の産生量(実施例11)、レーン2は被験培地11を用いたときの血管内皮細胞増殖因子の産生量(実施例12)、レーン3は被験培地12を用いたときの血管内皮細胞増殖因子の産生量(実施例13)、レーン4は被験培地13を用いたときの血管内皮細胞増殖因子の産生量(実施例14)、レーン5は被験培地14を用いたときの血管内皮細胞増殖因子の産生量(実施例15)、レーン6は被験培地15を用いたときの血管内皮細胞増殖因子の産生量(実施例16)、レーン7は被験培地16を用いたときの血管内皮細胞増殖因子の産生量(実施例17)、レーン8は被験培地17を用いたときの血管内皮細胞増殖因子の産生量(実施例18)、レーン9は被験培地18を用いたときの血管内皮細胞増殖因子の産生量(実施例19)、レーン10は被験培地1を用いたときの血管内皮細胞増殖因子の産生量(実施例20)、レーン11は被験培地4を用いたときの血管内皮細胞増殖因子の産生量(実施例4)、レーン12は対照培地(ダルベッコ改変イーグル培地)を用いたときの血管内皮細胞増殖因子の産生量(比較例5)、レーン13は被験培地19を用いたときの血管内皮細胞増殖因子の産生量(比較例13)、レーン14は被験培地20を用いたときの血管内皮細胞増殖因子の産生量(比較例14)、レーン15は被験培地9を用いたときの血管内皮細胞増殖因子の産生量(比較例8)、レーン16は被験培地21を用いたときの血管内皮細胞増殖因子の産生量(比較例15)を示す。
【0078】
図5に示された結果から、レピディウム メイエニイ ワルプ由来成分を含有する被験培地4、10〜18および1を用いた場合の血管内皮細胞増殖因子の産生量(実施例4、11〜20)は、レピディウム メイエニイ ワルプ由来成分を含有しない培地(対照培地、被験培地9、被験培地19、被験培地20および被験培地21)を用いたときの血管内皮細胞増殖因子の産生量(比較例5、8、13〜15)と比べ、著しく増加していることがわかる。
【0079】
つぎに、
図5に示された結果において、被験培地11、14および17それぞれに含まれるレピディウム メイエニイ ワルプ由来乾燥残分の量を被験培地4のレピディウム メイエニイ ワルプ由来乾燥残分の量と同量となるように設定し、被験試料の種類と血管内皮細胞増殖因子の産生量との関係を調べた。
【0080】
試験例5において、被験試料の種類と血管内皮細胞増殖因子の産生量との関係を調べた結果を
図6に示す。図中、レーン1は被験培地11を用いたときの血管内皮細胞増殖因子の産生量(実施例12)、レーン2は被験培地14を用いたときの血管内皮細胞増殖因子の産生量(実施例15)、レーン3は被験培地17を用いたときの血管内皮細胞増殖因子の産生量(実施例18)、レーン4は被験培地4を用いたときの血管内皮細胞増殖因子の産生量(実施例4)を示す。
【0081】
図6に示された結果から、被験培地4を用いたときの血管内皮細胞増殖因子の産生量(実施例4)が最も多く、被験培地17を用いたときの血管内皮細胞増殖因子の産生量(実施例18)、被験培地11を用いたときの血管内皮細胞増殖因子の産生量(実施例12)および被験培地14を用いたときの血管内皮細胞増殖因子の産生量(実施例15)の順で、血管内皮細胞増殖因子の産生量が減少することがわかる。
【0082】
実施例21〜23
実施例7において、被験培地3を用いる代わりに、被験培地10(実施例21)、被験培地11(実施例22)または被験培地12(実施例23)を用いたことを除き、実施例7と同様の操作を行ない、測定試料を得た。
【0083】
実施例24〜26
実施例7において、被験培地3を用いる代わりに、被験培地13(実施例24)、被験培地14(実施例25)または被験培地15(実施例26)を用いたことを除き、実施例7と同様の操作を行ない、測定試料を得た。
【0084】
実施例27〜29
実施例7において、被験培地3を用いる代わりに、被験培地16(実施例27)、被験培地17(実施例28)または被験培地18(実施例29)を用いたことを除き、実施例3と同様の操作を行ない、測定試料を得た。
【0085】
実施例30
実施例7において、被験培地3を用いる代わりに、被験培地1(実施例30)を用いたことを除き、実施例7と同様の操作を行ない、測定試料を得た。
【0086】
比較例16〜18
実施例7において、被験培地3を用いる代わりに、被験培地19(比較例16)、被験培地20(比較例17)または被験培地21(比較例18)を用いたことを除き、実施例7と同様の操作を行ない、測定試料を得た。
【0087】
試験例6
実施例8、21〜30、比較例9、12、16〜18で得られた各測定試料と、ELISAキット〔アール・アンド・ディー・システムズ(R&D systems)社製、商品名:VEGF ELISA kit〕とを用い、被験試料と72時間接触させたときの毛乳頭細胞による血管内皮細胞増殖因子の産生量を測定した。
【0088】
試験例6において、被験試料の種類と血管内皮細胞増殖因子の産生量との関係を調べた結果を
図7に示す。図中、レーン1は被験培地10を用いたときの血管内皮細胞増殖因子の産生量(実施例21)、レーン2は被験培地11を用いたときの血管内皮細胞増殖因子の産生量(実施例22)、レーン3は被験培地12を用いたときの血管内皮細胞増殖因子の産生量(実施例23)、レーン4は被験培地13を用いたときの血管内皮細胞増殖因子の産生量(実施例24)、レーン5は被験培地14を用いたときの血管内皮細胞増殖因子の産生量(実施例25)、レーン6は被験培地15を用いたときの血管内皮細胞増殖因子の産生量(実施例26)、レーン7は被験培地16を用いたときの血管内皮細胞増殖因子の産生量(実施例27)、レーン8は被験培地17を用いたときの血管内皮細胞増殖因子の産生量(実施例28)、レーン9は被験培地18を用いたときの血管内皮細胞増殖因子の産生量(実施例29)、レーン10は被験培地1を用いたときの血管内皮細胞増殖因子の産生量(実施例30)、レーン11は被験培地4を用いたときの血管内皮細胞増殖因子の産生量(実施例8)、レーン12は対照培地(ダルベッコ改変イーグル培地)を用いたときの血管内皮細胞増殖因子の産生量(比較例9)、レーン13は被験培地19を用いたときの血管内皮細胞増殖因子の産生量(比較例16)、レーン14は被験培地20を用いたときの血管内皮細胞増殖因子の産生量(比較例17)、レーン15は被験培地9を用いたときの血管内皮細胞増殖因子の産生量(比較例12)、レーン16は被験培地21を用いたときの血管内皮細胞増殖因子の産生量(比較例18)を示す。
【0089】
図7に示された結果から、レピディウム メイエニイ ワルプ由来成分を含有する被験培地4、10〜18および1を用いた場合の血管内皮細胞増殖因子の産生量(実施例8、21〜30)は、レピディウム メイエニイ ワルプ由来成分を含有しない培地(対照培地、被験培地9、被験培地19、被験培地20および被験培地21)を用いたときの血管内皮細胞増殖因子の産生量(比較例9、12、16〜18)と比べ、著しく増加していることがわかる。さらに、
図7に示された結果と
図5に示された結果を比較すると、レピディウム メイエニイ ワルプ由来成分と72時間接触させたときの毛乳頭細胞による血管内皮細胞増殖因子の産生量は、レピディウム メイエニイ ワルプ由来成分と24時間接触させたときの毛乳頭細胞による血管内皮細胞増殖因子の産生量よりも顕著に増加していることがわかる。
【0090】
つぎに、
図7に示された結果において、被験培地11、14および17それぞれに含まれるレピディウム メイエニイ ワルプ由来乾燥残分の量を被験培地4のレピディウム メイエニイ ワルプ由来乾燥残分の量と同量となるように設定し、被験試料の種類と血管内皮細胞増殖因子の産生量との関係を調べた。
【0091】
試験例6において、被験試料の種類と血管内皮細胞増殖因子の産生量との関係を調べた結果を
図8に示す。図中、レーン1は被験培地11を用いたときの血管内皮細胞増殖因子の産生量(実施例22)、レーン2は被験培地14を用いたときの血管内皮細胞増殖因子の産生量(実施例25)、レーン3は被験培地17を用いたときの血管内皮細胞増殖因子の産生量(実施例28)、レーン4は被験培地4を用いたときの血管内皮細胞増殖因子の産生量(実施例8)を示す。
【0092】
図8に示された結果から、被験培地4を用いたときの血管内皮細胞増殖因子の産生量が最も多く、被験培地17、被験培地11および被験培地14の順で、血管内皮細胞増殖因子の産生量が減少することがわかる。これらの結果から、血管内皮細胞増殖因子の産生促進効果を発揮する成分は、レピディウム メイエニイ ワルプ由来成分中における加水分解されない成分に含まれていることが示唆される。
【0093】
以上説明したように、レピディウム メイエニイ ワルプ由来成分によれば、血管内皮細胞増殖因子の産生を促進させることができることから、血管内皮細胞増殖因子を増加させて血管内皮細胞増殖因子を介する血管の形成を促進することが期待される。そのため、前記レピディウム メイエニイ ワルプ由来成分を有効成分として含有する血管内皮細胞増殖因子の産生促進剤は、血管内皮細胞増殖因子の減少に起因する生理現象、血管内皮細胞増殖因子の増加によって状態の改善が期待される生理的状態などを効果的に改善することが期待される。したがって、本発明の血管内皮細胞増殖因子の産生促進剤は、血管内皮細胞増殖因子の減少に起因する生理現象、血管内皮細胞増殖因子の増加によって状態の改善が期待される生理的状態などを改善するための化粧品、医薬品、医薬部外品、飲食品などに好適に用いることができる。