【課題】剪断減粘性付与剤を用いた顔料系の水性インキであっても、良好な顔料分散によるインキ安定性に優れ、カスレ等のない均一な筆跡を長期に亘って形成できるボールペン用水性インキ組成物とそれを内蔵したボールペンの提供。
【解決手段】顔料と水と剪断減粘性付与剤と、ニトリロトリス(メチレンホスホン酸)、式(1)で表されるエチレンジアミンメチレンホスホン酸、又はこれらの塩から選ばれるアミノホスホン酸化合物を含有するボールペン用水性インキ組成物。前記ボールペン用水性インキ組成物を内蔵したボールペン。
【背景技術】
【0002】
従来、キサンタンガムやポリアクリル酸等の剪断減粘性付与剤を含む水性ボールペン用インキ組成物が広く用いられている。
この種のインキは、剪断応力が加わらない静置時には高粘度であり、インキ収容部内で安定的に保持されており、筆記時には高速回転するボールの高剪断力によってボール近傍のインキが低粘度化し、その結果、インキはボールとボール収容部の間隙から吐出して紙面に転写されるものである。前記紙面に転写されたインキは剪断力から解放されるため再び高粘度状態となるため、従来の水性インキの欠点である筆跡の滲みを発生させない利点を有する。
しかしながら、前記剪断減粘性付与剤を用いたインキのうち、着色剤として顔料を適用した場合には、経時的な顔料の分散安定性が得られ難いため、インキ中で凝集や沈降を生じてインキ分離や筆跡濃度の低下等の不具合が発生することがある。
【0003】
そこで、ポリビニルピロリドン等のノニオン性合成樹脂や特定分子量の非架橋型ポリアクリル酸を添加して、前記顔料の分散安定性を向上させる提案がなされている(例えば、特許文献1、2参照)。
しかしながら、前記添加剤を加えることで、顔料の分散安定性が向上され、沈降や凝集を抑制してインキ分離等を長期間生じることなく安定状態を維持できるものの、インキ粘度が上昇してしまうため、筆跡に線割れやカスレ等の筆記不良が生じることがある。
特に、ポリアクリル酸等のアクリル系増粘剤は、ボールペン用水性インキに好適な粘度での剪断減粘性が小さいために静置状態の粘度が低くなる。そのため、剪断減粘性付与剤として用いた場合には、顔料分散安定性を保つために添加量が特に多く必要となる。その結果、インキ粘度が著しく上昇してしまい筆記不良が生じ易いものであった。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明の水性インキ組成物は、水媒体中に顔料と剪断減粘性付与剤とともに、前記アミノホスホン酸化合物のいずれか一種以上を含むものである。
前記アミノホスホン酸化合物は、化合物中に3個以上のメチレンホスホン酸基を有するものであり、ニトリロトリス(メチレンホスホン酸)、エチレンジアミンテトラ(メチレンホスホン酸)の他、N位にメチルカルボニル基、メチルスルホニル基、メチルヒドロキシ基、エチルヒドロキシ基〜へキシルヒドロキシ基のアルキルヒドロキシ基を有するエチレンジアミントリス(メチレンホスホン酸)やこれらの塩が例示できる。
また、前記塩としては、リチウム、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属塩、アルカノールアミンやアンモニア等のアミン塩等が例示できる。
前記アミノホスホン酸化合物は、窒素原子を有する化合物中に3個以上のメチレンホスホン酸基を備えることで、少量の添加であっても水媒体中で剪断減粘性付与剤に作用して安定した顔料分散状態を長期間保持させることができる。そのため、添加によって粘度等のインキ物性を変えることなく顔料沈降等に伴うインキ分離を抑制することが可能となる。特に、静置状態の粘度が低く顔料保持性が弱いポリアクリル酸等のアクリル系増粘剤に対しても、インキ物性を変えることなくインキ分離を抑制できるため、有用な添加剤である。
【0009】
前記アミノホスホン酸化合物がインキ組成物全量中1重量%以下、好ましくは0.005〜0.5重量%、より好ましくは0.01〜0.1重量%の範囲で用いられ、0.05重量%未満の添加であっても十分な効果が得られる。
前記アミノホスホン酸化合物はごく少量で前述の効果を発現するため、添加前後のインキ物性に対して変化が生じ難い。そのため、インキ粘度を上昇させることなく、長期経時等で生じる顔料の沈降を確実に抑制することが可能となる。尚、1重量%を超えて添加することもできるが、効果の向上は見られないため、1重量%以下で足りる。
【0010】
前記顔料としては、カーボンブラック、群青などの無機顔料や銅フタロシアニンブルー、ベンジジンイエロー等の有機顔料の他、予め界面活性剤等を用いて微細に安定的に水媒体中に分散された水分散顔料製品等が用いられ、例えば、C.I.Pigment Blue 15:3B〔品名:S.S.Blue GLL、顔料分22%、山陽色素株式会社製〕、C.I.Pigment Red 146〔品名:S.S.Pink FBL、顔料分21.5%、山陽色素株式会社製〕、C.I.Pigment Yellow 81〔品名:TC Yellow FG、顔料分約30%、大日精化工業株式会社製〕、C.I.Pigment Red220/166〔品名:TC Red FG、顔料分約35%、大日精化工業株式会社製〕等を挙げることができる。
蛍光顔料としては、各種蛍光性染料を樹脂マトリックス中に固溶体化した合成樹脂微細粒子状の蛍光顔料が使用できる。
その他、パール顔料、金色、銀色のメタリック顔料、蓄光性顔料、修正ペン等に用いられる二酸化チタン等の白色顔料、アルミニウム等の金属粉、更には熱変色性組成物、光変色性組成物、香料等を直接又はマイクロカプセル化したカプセル顔料等を例示できる。
【0011】
前記熱変色性組成物としては、(イ)電子供与性呈色性有機化合物、(ロ)電子受容性化合物、(ハ)前記両者の呈色反応の生起温度を決める反応媒体からなる可逆熱変色性組成物が好適であり、マイクロカプセルに内包させて可逆熱変色性マイクロカプセル顔料として適用される。
前記可逆熱変色性組成物としては、特公昭51−44706号公報、特公昭51−44707号公報、特公平1−29398号公報等に記載された、所定の温度(変色点)を境としてその前後で変色し、高温側変色点以上の温度域で消色状態、低温側変色点以下の温度域で発色状態を呈し、前記両状態のうち常温域では特定の一方の状態しか存在せず、もう一方の状態は、その状態が発現するのに要した熱又は冷熱が適用されている間は維持されるが、前記熱又は冷熱の適用がなくなれば常温域で呈する状態に戻る、ヒステリシス幅が比較的小さい特性(ΔH=1〜7℃)を有する可逆熱変色性組成物をマイクロカプセル中に内包させた加熱消色型のマイクロカプセル顔料が適用できる。
更に、特公平4−17154号公報、特開平7−179777号公報、特開平7−33997号公報、特開平8−39936号公報等に記載されている比較的大きなヒステリシス特性(ΔH=8〜50℃)を示すものや、特開2006−137886号公報、特開2006−188660号公報、特開2008−45062号公報、特開2008−280523号公報等に記載されている大きなヒステリシス特性を示す、即ち、温度変化による着色濃度の変化をプロットした曲線の形状が、温度を変色温度域より低温側から上昇させていく場合と逆に変色温度域より高温側から下降させていく場合とで大きく異なる経路を辿って変色し、完全発色温度以下の低温域での発色状態、又は完全消色温度以上の高温域での消色状態が、特定温度域で色彩記憶性を有する可逆熱変色性組成物を内包させ加熱消色型のマイクロカプセル顔料も適用できる。
尚、前記水性インキに適用される色彩記憶性を有する可逆熱変色性組成物として具体的には、完全発色温度を冷凍室、寒冷地等でしか得られない温度、即ち−50〜0℃、好ましくは−40〜−5℃、より好ましくは−30〜−10℃、且つ、完全消色温度を摩擦体による摩擦熱、ヘアドライヤー等身近な加熱体から得られる温度、即ち50〜95℃、好ましくは50〜90℃、より好ましくは60〜80℃の範囲に特定し、ΔH値を40〜100℃に特定することにより、常態(日常の生活温度域)で呈する色彩の保持に有効に機能させることができる。
【0012】
更に、必要に応じて顔料分散剤を添加できる。前記顔料分散剤としてはアニオン、ノニオン等の界面活性剤、ポリアクリル酸、スチレンアクリル酸等のアニオン性高分子、PVP、PVA等の非イオン性高分子等が用いられる。
【0013】
また、前記顔料とともに、水性媒体に溶解可能な染料を併用することも可能である。
前記染料としては、酸性染料、塩基性染料、直接染料等が適用でき、汎用のものを選択して使用することができる。
前記顔料を含む着色剤は一種又は二種以上を適宜混合して使用することができ、インキ組成中1〜25重量%、好ましくは2〜15重量%の範囲で用いられる。
【0014】
前記剪断減粘性付与剤としては、キサンタンガム、ウェランガム、ランザンガム、ゼータシーガム、ダイユータンガム、マクロホモプシスガム、プルラン、構成単糖がグルコースとガラクトースの有機酸修飾ヘテロ多糖体であるサクシノグリカン(平均分子量約100乃至800万)、グアーガム、ローカストビーンガム及びその誘導体、ポリアクリル酸や架橋型アクリル酸等のアクリル系増粘剤、ヒドロキシエチルセルロース、アルギン酸アルキルエステル類、メタクリル酸のアルキルエステルを主成分とする分子量10万〜15万の重合体、グルコマンナン、寒天やカラゲニン等の海藻より抽出されるゲル化能を有する炭水化物、ポリN−ビニル−カルボン酸アミド架橋物、ベンジリデンソルビトール及びベンジリデンキシリトール又はこれらの誘導体、HLB値が8〜12のノニオン系界面活性剤、ジアルキルスルホコハク酸の金属塩やアミン塩等を例示できる。
特に、アクリル系増粘剤は他のものに比べて静置状態の粘度が低いため、筆記によるボールの回転で容易に減粘して滑らかな筆感が得られ易いため有用な材料であるが、顔料を用いた際のインキ安定性が得られ難い。そのため、本発明の構成によって長期的なインキ安定性が得られることで、特に有用な材料となる。
前記アクリル系増粘剤としては、前記したポリアクリル酸や架橋型アクリル酸の他、これらのナトリウム塩やアンモニウム塩、アクリル酸共重合体、アクリル酸−メタクリル酸共重合体等、更にはこれらのエマルジョンが挙げられる。
【0015】
更に必要に応じて、水に相溶性のある従来汎用の水溶性有機溶剤を用いることができる。具体的には、エタノール、プロパノール、ブタノール、グリセリン、ソルビトール、トリエタノールアミン、ジエタノールアミン、モノエタノールアミン、エチレングリコール、ジエチレングリコール、チオジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、スルフォラン、2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン等が挙げられる。
尚、前記水溶性有機溶剤は一種又は二種以上を併用して用いることができ、2〜60重量%、好ましくは5〜35重量%の範囲で用いられる。
【0016】
また、紙面への固着性や粘性を付与するために水溶性樹脂を添加することもできる。前記水溶性樹脂としては、アルキッド樹脂、アクリル樹脂、スチレンマレイン酸共重合物、セルロース誘導体、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、デキストリン等が挙げられる。前記水溶性樹脂は一種又は二種以上を併用することができ、インキ組成中1乃至30重量%の範囲で用いられる。
【0017】
その他、必要に応じて、炭酸ナトリウム、リン酸ナトリウム、酢酸ソーダ等の無機塩類、水溶性のアミン化合物等の有機塩基性化合物等のpH調整剤、ベンゾトリアゾール、トリルトリアゾール、サポニン等の防錆剤、石炭酸、1、2−ベンズチアゾリン3−オンのナトリウム塩、安息香酸ナトリウム、デヒドロ酢酸ナトリウム、ソルビン酸カリウム、パラオキシ安息香酸プロピル、2,3,5,6−テトラクロロ−4−(メチルスルフォニル)ピリジン等の防腐剤或いは防黴剤、消泡剤、インキの浸透性を向上させるフッ素系界面活性剤やノニオン系界面活性剤を使用してもよい。また、ソルビット、マンニット、ショ糖、ぶどう糖、還元デンプン加水分解物、尿素、ピロリン酸ナトリウム等の他の湿潤剤を併用することもできる。
更に、潤滑剤を添加することができ、金属石鹸、ポリアルキレングリコール脂肪酸エステル、エチレンオキサイド付加型カチオン活性剤、リン酸エステル系活性剤、ジカルボン酸型界面活性剤、β−アラニン型界面活性剤、2,5−ジメルカプト−1,3,4−チアジアゾールやその塩やオリゴマー、3−アミノ−5−メルカプト−1,2,4−トリアゾール、チオカルバミン酸塩、ジメチルジチオカルバミン酸塩、N−アシル−L−グルタミン酸とL−リジンとの縮合物やその塩等が用いられる。
アスコルビン酸類、エリソルビン酸類、α−トコフェロール、カテキン類、合成ポリフェノール、コウジ酸、アルキルヒドロキシルアミン、オキシム誘導体、α−グルコシルルチン、α−リポ酸、ホスホン酸塩、ホスフィン酸塩、亜硫酸塩、スルホキシル酸塩、亜ジチオン酸塩、チオ硫酸塩、二酸化チオ尿素等を添加して化学的に気泡を除去することもできる。
また、N−ビニル−2−ピロリドンのオリゴマー、N−ビニル−2−ピペリドンのオリゴマー、N−ビニル−2−ピロリドン、N−シクロヘキシル−2−ピロリドン、ε−カプロラクタム、N−ビニル−ε−カプロラクタムのオリゴマー等の増粘抑制剤を添加することで、出没式形態での機能を高めることもできる。
【0018】
前記水性インキ組成物は、ボールペンチップを筆記先端部に装着したボールペンに充填される。
ボールペン自体の構造、形状は特に限定されるものではなく、従来から汎用のものが適用でき、例えば、軸筒内にインキ組成物を充填したインキ収容管を有し、該インキ収容管はボールを先端部に装着したチップに連通しており、更にインキの端面には逆流防止用のインキ逆流防止体が密接しているボールペンが例示できる。
【0019】
前記ボールペンチップについて更に詳しく説明すると、金属製のパイプの先端近傍を外面より内方に押圧変形させたボール抱持部にボールを抱持してなるチップ、或いは、金属材料をドリル等による切削加工により形成したボール抱持部にボールを抱持してなるチップ、或いは、金属製のパイプや金属材料の切削加工により形成したチップに抱持するボールをバネ体により前方に付勢させたもの等を適用できる。
また、前記ボールは、超硬合金、ステンレス鋼、ルビー、セラミック等が適用でき、直径0.1mm〜2.0mmの範囲のものが好適に用いられる。
【0020】
前記水性インキ組成物を収容するインキ収容管は、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート等の熱可塑性樹脂からなる成形体が、インキの低蒸発性、生産性の面で好適に用いられる。また、前記インキ収容管として透明、着色透明、或いは半透明の成形体を用いることにより、インキ色やインキ残量等を確認できる。
前記インキ収容管にはチップを直接連結する他、接続部材を介して前記インキ収容管とチップを連結してもよい。
尚、前記インキ収容管はレフィルの形態として、前記レフィルを軸筒内に収容するものでもよいし、先端部にチップを装着した軸筒自体をインキ収容体として、前記軸筒内に直接インキを充填してもよい。
【0021】
更に、インキ収容管内に充填されたインキ組成物の後端部にはインキ逆流防止体(液栓)を充填できる。
前記インキ逆流防止体としては、液状または固体のいずれを用いることもでき、前記液状のインキ逆流防止体としては、ポリブテン、α−オレフィンコオリゴマー、シリコーン油、精製鉱油等の不揮発性媒体が挙げられ、所望により前記媒体中にシリカ、珪酸アルミニウム、膨潤性雲母、脂肪酸アマイド等を添加することもできる。また、固体のインキ逆流防止体としては樹脂成形物が挙げられる。前記液状及び固体のインキ逆流防止体は併用することも可能である。
【0022】
前記ボールペンは、キャップ式、出没式のいずれの形態であってもよく、出没式ボールペンとしては、ボールペンレフィルに設けられた筆記先端部が外気に晒された状態で軸筒(外軸)内に収納されており、出没機構の作動によって軸筒開口部から筆記先端部が突出する構造であれば全て用いることができる。
出没機構の操作方法としては、ノック式、回転式、スライド式等が挙げられる。
前記ノック式は、軸筒後端部や軸筒側面にノック部を有し、該ノック部の押圧により、ボールペンレフィルの筆記先端部を軸筒前端開口部から出没させる構成、或いは、軸筒に設けたクリップ部を押圧することにより、ボールペンレフィルの筆記先端部を軸筒前端開口部から出没させる構成を例示できる。
前記回転式は、軸筒後部に回転部を有し、該回転部を回すことによりボールペンレフィルの筆記先端部を軸筒前端開口部から出没させる構成を例示できる。
前記スライド式は、軸筒側面にスライド部を有し、該スライドを操作することによりボールペンレフィルの筆記先端部を軸筒前端開口部から出没させる構成、或いは、軸筒に設けたクリップ部をスライドさせることにより、ボールペンレフィルの筆記先端部を軸筒前端開口部から出没させる構成を例示できる。
前記出没式ボールペンは軸筒内に複数のボールペンレフィルを収容してなる複合タイプの出没式ボールペン(レフィル交換式)であってもよい。
【実施例】
【0023】
以下に実施例を説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
以下の表に実施例及び比較例のボールペン用水性インキの組成を示す。尚、表中の組成の数値は重量部を示す。
【0024】
【表1】
【0025】
表中の原料の内容について注番号に沿って説明する。
(1)カーボンブラック20%、ポリビニルアルコール8%を含む水性顔料分散体
(2)C.I.ピグメントレッド213を20%、アニオン系界面活性剤5%を含む水性顔料分散体
(3)フタロシアニングリーン(C.I.ピグメントグリーン7)20%、ノニオン性界面活性剤8%を含む水性顔料分散体
(4)和光純薬工業(株)製、商品名:ハイビスワコー104
(5)ダウケミカル日本(株)製、商品名:プライマルASE60:固形分28%
(6)三晶(株)製、商品名:ケルザン
(7)ニトリロトリス(メチレンホスホン酸)
(8)ニトリロトリス(メチレンホスホン酸)ナトリウム塩
(9)エチレンジアミンテトラ(メチレンホスホン酸)
(10)エチレンジアミンテトラ(メチレンホスホン酸)ナトリウム塩
(11)ISP社製、商品名:K−15
(12)エチドロン酸
(13)2−ホスホノ−1,2,4−ブタントリカルボン酸
(14)ロンザジャパン(株)製、商品名:プロキセルXL−2
【0026】
インキの調製
水に剪断減粘性付与剤以外の成分を添加し、混合攪拌した後に剪断減粘性付与剤を添加して、20℃でディスパーにて400rpmで1時間攪拌し、濾過することで各インキを調製した。
【0027】
インキ逆流防止体の調製
基油としてポリブテン98.5部中に、増粘剤として脂肪酸アマイド1.5部を添加した後、3本ロールにて混練してインキ逆流防止体を得た。
【0028】
ボールペンの作製
前記実施例及び比較例のインキ組成物を直径0.5mmの超硬合金ボールを抱持するステンレススチール製チップがポリプロピレン製パイプの一端に嵌着されたレフィルに充填し、その後端に前記インキ逆流防止体を配設することでボールペンレフィルを作製し、更に、前記ボールペンレフィルを軸筒(後端ノック式)に組み込むことで、試料ボールペンを作製した。
前記試料ボールペンと各インキ組成物を用いて以下の試験を行った。
【0029】
インキ安定性試験
各インキ組成物を20mLのガラス瓶に入れて密栓した後、70℃の環境下に14日間放置した。その後、室温にてガラス瓶内のインキの状態を目視により確認した。
【0030】
筆記試験
筆記可能であることを確認した各試料ボールペンを、50℃の環境下に60日間放置した。その後、室温にて旧JIS P3201筆記用紙Aに手書きで1行に12個の螺旋状の丸を3行連続筆記した。その際の筆跡状態を目視により確認した。
前記試験の結果を以下の表に示す。
【0031】
【表2】
【0032】
尚、試験結果の評価は以下の通りである。
インキ安定性試験
○:顔料沈降等は見られず、初期と同様の状態である。
×:顔料の凝集や沈降に伴う相分離が見られる。
筆記試験
○:良好な筆跡を示した。
×:筆跡にカスレや線割れが見られた、又は筆記不能であった。