【解決手段】 本発明の硬化性組成物は、架橋性シリル基を有し且つ数平均分子量が15000〜50000、分子量分布(重量平均分子量(Mw)/数平均分子量(Mn))が1.3以下であるポリオキシアルキレン系重合体と、メトキシ基含有シリル基変性(メタ)アクリレート系重合体と、アミノシランカップリング剤とを含有することを特徴とする。
架橋性シリル基を有し且つ数平均分子量が15000〜50000、分子量分布(重量平均分子量(Mw)/数平均分子量(Mn))が1.3以下であるポリオキシアルキレン系重合体と、メトキシ基含有シリル基変性(メタ)アクリレート系重合体と、アミノシランカップリング剤とを含有することを特徴とする硬化性組成物。
メトキシ基含有シリル基変性(メタ)アクリレート系重合体の主鎖骨格が、メチル(メタ)アクリレート、ブチルアクリレート及びブチルメタクリレートの共重合体であることを特徴とする請求項1に記載の硬化性組成物。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の硬化性組成物は、ポリオキシアルキレン系重合体と、メトキシ基含有シリル基変性(メタ)アクリレート系重合体と、アミノシランカップリング剤とを含有している。
【0013】
[ポリオキシアルキレン系重合体]
架橋性シリル基を有するポリオキシアルキレン系重合体は、主鎖が、一般式:−(R−O)
n−(式中、Rは炭素数が1〜14のアルキレン基を表し、nは、繰り返し単位の数であって正の整数である。)で表される繰り返し単位を含有する重合体が好ましく挙げられる。ポリオキシアルキレン系重合体の主鎖骨格は一種のみの繰り返し単位からなっていてもよいし、二種以上の繰り返し単位からなっていてもよい。
【0014】
ポリオキシアルキレン系重合体の主鎖骨格としては、ポリオキシエチレン、ポリオキシプロピレン、ポリオキシブチレン、ポリオキシテトラメチレン、ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレン共重合体、及びポリオキシプロピレン−ポリオキシブチレン共重合体などが挙げられ、ポリオキシプロピレンが好ましい。
【0015】
ポリオキシアルキレン系重合体は架橋性シリル基を有している。架橋性シリル基としては、例えば、ケイ素原子と結合した加水分解性基を有するケイ素含有基又はシラノール基のように湿気又は架橋剤の存在下、必要に応じて触媒などを使用することによって縮合反応を生じる基をいう。
【0016】
架橋性シリル基としては、例えば、トリメトキシシリル基、メチルジメトキシシリル基、ジメチルメトキシシリル基、トリエトキシシリル基、メチルジエトキシシリル基、ジメチルエトキシシリル基等のアルコキシシリル基、トリクロロシリル基等のハロゲンが結合したシリル基が挙げられ、アルコキシシリル基が好ましく、メチルジメトキシシリル基がより好ましい。
【0017】
ポリオキシアルキレン系重合体は、架橋性シリル基の他に、ウレタン結合をさらに有していてもよい。ウレタン結合は、ポリオキシアルキレン系重合体に極性を付与することができ、これにより硬化性組成物を硬化させてなる硬化物に、優れた引張せん断接着強度及び耐繰り返し加重を付与することができる。
【0018】
ポリオキシアルキレン系重合体は、ポリオキシアルキレン鎖の両末端にウレタン結合を介して架橋性シリル基を有していてもよいし、ポリオキシアルキレン鎖の両末端にウレタン結合を介することなく架橋性シリル基を有していてもよい。
【0019】
ポリオキシアルキレン鎖の両末端にウレタン結合を介して架橋性シリル基を有するポリオキシアルキレン系重合体は、例えば、ポリオキシアルキレン鎖の両末端にヒドロキシル基を有するプレポリマーと、架橋性シリル基及びイソシアネート基を有する化合物とを反応させることにより得られる。
【0020】
ポリオキシアルキレン鎖の両末端にヒドロキシル基を有するプレポリマーとしては、ポリオキシエチレングリコール、ポリオキシプロピレングリコール、ポリオキシブチレングリコール、ポリオキシテトラメチレングリコール、ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレングリコール、及びポリオキシプロピレン−ポリオキシブチレングリコールなどが挙げられる。
【0021】
架橋性シリル基及びイソシアネート基を有する化合物としては、1−イソシアネートメチルトリメトキシシラン、2−イソシアネートエチルトリメトキシシラン、3−イソシアネートプロピルトリメトキシシラン、3−イソシアネートブチルトリメトキシシラン、3−イソシアネートペンチルトリメトキシシラン、及び1−イソシアネートプロピルトリメトキシシランなどが挙げられる。
【0022】
ポリオキシアルキレン鎖の両末端にウレタン結合を介して架橋性シリル基を有するポリオキシアルキレン系重合体を合成するには、ポリオキシアルキレン鎖の両末端にヒドロキシ基を有するプレポリマーと、架橋性シリル基及びイソシアネート基を有する化合物とを混合して混合物を得、この混合物を撹拌して上記プレポリマーのヒドロキシ基と、上記化合物のイソシアネート基とを反応させてウレタン結合を形成させることにより行うことができる。また、上記混合物を加熱しながら撹拌することにより、反応を促進させることができる。
【0023】
ポリオキシアルキレン鎖の両末端にウレタン結合を介することなく架橋性シリル基を有しているポリオキシアルキレン系重合体は、例えば、末端に水酸基などの官能基を有するオキシアルキレン系重合体に、この官能基に対して反応性を示す活性基及び不飽和基を有する有機化合物を反応させ、次いで、得られた反応生成物に加水分解性基を有するヒドロシランを作用させてヒドロシリル化することによって製造することができる。
【0024】
ポリオキシアルキレン系重合体の数平均分子量は、15000〜50000であり、20000〜40000が好ましい。ポリオキシアルキレン系重合体の数平均分子量が50000以下であると、硬化性組成物の硬化物は、優れた引張せん断接着強度を有する。また、ポリオキシアルキレン系重合体の数平均分子量が15000以上であると、硬化性組成物の硬化物は、優れた引張せん断接着強度及び耐繰り返し加重を有する。
【0025】
ポリオキシアルキレン系重合体の分子量分布(重量平均分子量(Mw)/数平均分子量(Mn))は、1.3以下であり、1.2以下が好ましい。分子量分布が1.3以下であるポリオキシアルキレン系重合体によれば、硬化性組成物の硬化物が、優れた引張せん断接着強度及び耐繰り返し加重を有している。
【0026】
なお、本発明において、ポリオキシアルキレン系重合体の数平均分子量及び重量平均分子量はGPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)法によって測定されたポリスチレン換算した値である。具体的には、ポリオキシアルキレン系重合体6〜7mgを採取し、採取したポリオキシアルキレン系重合体を試験管に供給した上で、試験管に0.05質量%のBHT(ジブチルヒドロキシトルエン)を含むo−DCB(オルトジクロロベンゼン)溶液を加えてポリオキシアルキレン系重合体の濃度が1mg/mLとなるように希釈して希釈液を作製する。
【0027】
溶解濾過装置を用いて145℃にて回転速度25rpmにて1時間に亘って上記希釈液を振とうさせてポリオキシアルキレン系重合体をBHTを含むo−DCB溶液に溶解させて測定試料とする。この測定試料を用いてGPC法によってポリオキシアルキレン系重合体の数平均分子量及び重量平均分子量を測定することができる。
【0028】
ポリオキシアルキレン系重合体における数平均分子量及び重量平均分子量は、例えば、下記測定装置及び測定条件にて測定することができる。
測定装置 TOSOH社製 商品名「HLC-8121GPC/HT」
測定条件 カラム:TSKgelGMHHR-H(20)HT×3本
TSKguardcolumn-HHR(30)HT×1本
移動相:o−DCB 1.0mL/分
サンプル濃度:1mg/mL
検出器:ブライス型屈折計
標準物質:ポリスチレン(TOSOH社製 分子量:500〜8420000)
溶出条件:145℃
SEC温度:145℃
【0029】
ポリオキシアルキレン系重合体の25℃における粘度は、5000〜200000mPa・sが好ましく、5000〜100000mPa・sがより好ましく、10000〜30000mPa・sが特に好ましい。ポリオキシアルキレン系重合体の25℃における粘度が200000mPa・s以下であると、硬化性組成物の硬化物が優れた強度を有し、硬化性組成物の硬化物は、優れた引張せん断接着強度を有する。また、ポリオキシアルキレン系重合体の25℃における粘度が5000mPa・s以上であると、硬化性組成物の硬化物は、優れた引張せん断接着強度及び耐繰り返し加重を有している。
【0030】
なお、本発明において、ポリオキシアルキレン系重合体の25℃における粘度は、JIS K1557に準拠し、25℃にて24時間以上放置した後、BM型粘度計を用いて回転数12rpmの条件にて測定することができる。
【0031】
架橋性シリル基を有するポリオキシアルキレン系重合体は、市販されているものを用いることができる。例えば、主鎖骨格がポリオキシプロピレンであり、主鎖骨格の末端にジメトキシシリル基を有し且つウレタン結合を有していないポリオキシアルキレン系重合体としては、例えば、旭硝子社製 商品名「ESS4530」などが挙げられる。
【0032】
[メトキシ基含有シリル基変性(メタ)アクリレート系重合体]
メトキシ基含有シリル基変性(メタ)アクリレート系重合体の主鎖骨格としては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレートなどの(メタ)アクリレート系モノマーをラジカル重合して得られる(メタ)アクリレート系重合体が挙げられる。なお、(メタ)アクリレートは、メタクリレート又はアクリレートを意味する。メトキシ基含有シリル基変性(メタ)アクリレート系重合体は、単に「(メタ)アクリレート系重合体」ということがある。
【0033】
(メタ)アクリレート系重合体の主鎖骨格を構成する(メタ)アクリレート系モノマーとして、具体的には、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、tert−ブチル(メタ)アクリレート、i−ブチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、n−オクチル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、イソノニル(メタ)アクリレート、イソミリスチル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、2−ブトキシエチル(メタ)アクリレート、2−フェノキシエチル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート、ポリエステル(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、5−ヒドロキシペンチル(メタ)アクリレート、6−ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシ−3−メチルブチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル(メタ)アクリレート、2−[アクリロイルオキシ]エチル−2−ヒドロキシエチルフタル酸、及び2−[アクリロイルオキシ]エチル−2−ヒドロキシプロピルフタル酸などが挙げられる。これらの(メタ)アクリレート系モノマーは、単独で用いられても二種以上が併用されてもよい。
【0034】
(メタ)アクリレート系重合体の主鎖骨格において、他のモノマーを共重合することも可能である。このようなモノマーとしては、例えば、スチレン、インデン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、p−クロロスチレン、p−クロロメチルスチレン、p−メトキシスチレン、p−tert−ブトキシスチレン、ジビニルベンゼンなどのスチレン誘導体、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、カプロン酸ビニル、安息香酸ビニル、珪皮酸ビニルなどのビニルエステル基を持つ化合物、無水マレイン酸、N−ビニルピロリドン、N−ビニルモルフォリン、(メタ)アクリロニトリル、(メタ)アクリルアミド、N−シクロヘキシルマレイミド、N−フェニルマレイミド、N−ラウリルマレイミド、N−ベンジルマレイミド、n−プロピルビニルエーテル、n−ブチルビニルエーテル、イソブチルビニルエーテル、tert−ブチルビニルエーテル、tert−アミルビニルエーテル、シクロヘキシルビニルエーテル、2−エチルヘキシルビニルエーテル、ドデシルビニルエーテル、オクタデシルビニルエーテル、2−クロロエチルビニルエーテル、エチレングリコールブチルビニルエーテル、トリエチレングリコールメチルビニルエーテル、安息香酸(4−ビニロキシ)ブチル、エチレングリコールジビニルエーテル、ジエチレングリコールジビニルエーテル、トリエチレングリコールジビニルエーテル、テトラエチレングリコールジビニルエーテル、ブタン−1,4−ジオール−ジビニルエーテル、ヘキサン−1,6−ジオール−ジビニルエーテル、シクロヘキサン−1,4−ジメタノール−ジビニルエーテル、イソフタル酸ジ(4−ビニロキシ)ブチル、グルタル酸ジ(4−ビニロキシ)ブチル、コハク酸ジ(4−ビニロキシ)ブチルトリメチロールプロパントリビニルエーテル、2−ヒドロキシエチルビニルエーテル、4−ヒドロキシブチルビニルエーテル、6−ヒドロキシヘキシルビニルエーテル、シクロヘキサン−1,4−ジメタノールモノビニルエーテル、ジエチレングリコールモノビニルエーテル、3−アミノプロピルビニルエーテル、2−(N,N−ジエチルアミノ)エチルビニルエーテル、ウレタンビニルエーテル、ポリエステルビニルエーテルなどのビニロキシ基を持つ化合物などを挙げることができる。これらのモノマーは、単独で用いられても二種以上が併用されてもよい。
【0035】
なかでも、(メタ)アクリレート系重合体の主鎖骨格としては、ブチル(メタ)アクリレート及びメチル(メタ)アクリレートの共重合体が好ましく、メチル(メタ)アクリレート、ブチルアクリレート及びブチルメタクリレートの共重合体がより好ましく、メチルメタクリレート、ブチルアクリレート及びブチルメタクリレートの共重合体が特に好ましい。主鎖骨格が上記共重合体からなる(メタ)アクリレート系重合体によれば、硬化性組成物の硬化物は、優れた引張せん断接着強度及び耐繰り返し加重を有する。
【0036】
(メタ)アクリレート系重合体の主鎖骨格が、ブチル(メタ)アクリレート及びメチル(メタ)アクリレートの共重合体である場合、共重合体中におけるブチル(メタ)アクリレートの含有量は、10〜90質量%が好ましく、50〜80質量%がより好ましい。共重合体中におけるメチル(メタ)アクリレートの含有量は、10〜90質量%が好ましく、20〜50質量%がより好ましい。ブチル(メタ)アクリレートの含有量が10質量%以上であると、硬化性組成物の硬化物の柔軟性が向上し、硬化物は、優れた引張せん断接着強度及び耐繰り返し加重を有する。ブチル(メタ)アクリレートの含有量が90質量%以下であると、硬化性組成物の硬化物が優れた強度を有し、硬化物は、優れた引張せん断接着強度を有する。メチル(メタ)アクリレートの含有量が10質量%以上であると、硬化性組成物の硬化物が優れた強度を有し、硬化物は、優れた引張せん断接着強度を有する。メチル(メタ)アクリレートの含有量が90質量%以下であると、硬化性組成物の硬化物の柔軟性が向上し、硬化物は、優れた引張せん断接着強度及び耐繰り返し加重を有する。
【0037】
(メタ)アクリレート系重合体の主鎖骨格が、メチル(メタ)アクリレート、ブチルアクリレート及びブチルメタクリレートの共重合体である場合、共重合体中におけるメチル(メタ)アクリレートの含有量は、10〜80質量%が好ましく、15〜65質量%がより好ましい。共重合体中におけるブチルアクリレートの含有量は、5〜50質量%が好ましく、10〜45質量%がより好ましい。共重合体中におけるブチルメタクリレートの含有量は、5〜50質量%が好ましく、10〜45質量%がより好ましい。メチル(メタ)アクリレートの含有量が10質量%以上であると、硬化性組成物の硬化物が合成樹脂及びゴム材料に対して優れた密着性を有し、硬化物は、合成樹脂及びゴム材料に対して優れた引張せん断接着強度及び耐繰り返し加重を有する。メチル(メタ)アクリレートの含有量が80質量%以下であると、硬化性組成物の硬化物は、優れた引張せん断接着強度を有する。ブチルアクリレートの含有量が5質量%以上であると、硬化性組成物の硬化物は優れた柔軟性を有し、硬化物は、優れた引張せん断接着強度及び耐繰り返し加重を有する。ブチルアクリレートの含有量が50質量%以下であると、硬化性組成物の硬化物が優れた強度を有し、硬化物は、優れた引張せん断接着強度を有する。ブチルメタクリレートの含有量が5質量%以上であると、ポリオキシアルキレン系重合体との相溶性が向上し、硬化性組成物の硬化物が優れた強度を有し、硬化物は、優れた引張せん断接着強度を有する。ブチルメタクリレートの含有量が50質量%以下であると、硬化性組成物の硬化物が硬くなりすぎず、硬化物は、優れた引張せん断接着強度を有する。
【0038】
(メタ)アクリレート系重合体の主鎖骨格が、メチルメタクリレート、ブチルアクリレート及びブチルメタクリレートの共重合体である場合、共重合体中におけるメチルメタクリレートの含有量は、10〜80質量%が好ましく、15〜65質量%がより好ましい。共重合体中におけるブチルアクリレートの含有量は、5〜50質量%が好ましく、10〜45質量%がより好ましい。共重合体中におけるブチルメタクリレートの含有量は、5〜50質量%が好ましく、10〜45質量%がより好ましい。メチルメタクリレートの含有量が10質量%以上であると、硬化性組成物の硬化物が合成樹脂及びゴム材料に対して優れた密着性を有し、硬化物は、合成樹脂及びゴム材料に対して優れた引張せん断接着強度及び耐繰り返し加重を有する。メチルメタクリレートの含有量が80質量%以下であると、硬化性組成物の硬化物は、優れた引張せん断接着強度を有する。ブチルアクリレートの含有量が5質量%以上であると、硬化性組成物の硬化物は優れた柔軟性を有し、硬化物は、優れた引張せん断接着強度及び耐繰り返し加重を有する。ブチルアクリレートの含有量が50質量%以下であると、硬化性組成物の硬化物が優れた強度を有し、硬化物は、優れた引張せん断接着強度を有する。ブチルメタクリレートの含有量が5質量%以上であると、ポリオキシアルキレン系重合体との相溶性が向上し、硬化性組成物の硬化物が優れた強度を有し、硬化物は、優れた引張せん断接着強度を有する。ブチルメタクリレートの含有量が50質量%以下であると、硬化性組成物の硬化物が硬くなりすぎず、硬化物は、優れた引張せん断接着強度を有する。
【0039】
(メタ)アクリレート系重合体の重合方法としては、特に限定されず、公知の方法を用いることができ、例えば、フリーラジカル重合法、アニオン重合法、カチオン重合法、UVラジカル重合法、リビングアニオン重合法、リビングカチオン重合法、リビングラジカル重合法などの各種重合法が挙げられる。
【0040】
メトキシ基含有シリル基変性(メタ)アクリレート系重合体は、全ての分子又は一部の分子の主鎖骨格の側鎖又は末端に、メトキシ基含有シリル基を有している。(メタ)アクリレート系重合体を、上述したポリオキシアルキレン系重合体と組み合わせて用いることにより、硬化性組成物の硬化物は、優れた引張せん断接着強度を有する。
【0041】
メトキシ基含有シリル基は、ケイ素原子と結合したメトキシ基を有するケイ素含有基をいう。メトキシ基含有シリル基としては、例えば、トリメトキシシリル基、メチルジメトキシシリル基、ジメチルメトキシシリル基などが挙げられ、トリメトキシシリル基、メチルジメトキシシリル基が好ましく、トリメトキシシリル基がより好ましい。
【0042】
メトキシ基含有シリル基のケイ素原子に結合しているメトキシ基の数は、限定されず、1〜3個の何れであってもよいが、硬化性組成物の硬化物が優れた引張せん断接着強度及び耐繰り返し加重を有するので、2個及び3個が好ましく、3個がより好ましい。
【0043】
(メタ)アクリレート系重合体の1分子あたりのメトキシ基含有シリル基の平均個数は、0.5〜3個が好ましく、1.5〜2.5個が好ましい。メトキシ基含有シリル基の平均個数が上記範囲内である(メタ)アクリレート系重合体によれば、硬化性組成物の硬化物は、優れた引張せん断接着強度を有する。
【0044】
(メタ)アクリレート系重合体における、1分子あたりのメトキシ基含有シリル基の数平均個数は、
1H−NMRにより求められる(メタ)アクリレート系重合体中のメトキシ基含有シリル基由来のピーク面積の比により、算出することができる。
【0045】
(メタ)アクリレート系重合体の主鎖骨格へのメトキシ基含有シリル基の導入方法としては、特に限定されず、例えば、(メタ)アクリレート系重合体の主鎖骨格に不飽和基を導入した後、メトキシ基含有シリル基を有するヒドロシランを作用させてヒドロシリル化する方法などを利用することができる。
【0046】
(メタ)アクリレート系重合体の重量平均分子量は、3000〜50000が好ましく、5000〜15000がより好ましく、5000〜10000が特に好ましい。重量平均分子量が上記範囲内である(メタ)アクリレート系重合体によれば、硬化性組成物の硬化物は、優れた引張せん断接着強度を有する。なお、(メタ)アクリレート系重合体の重量平均分子量は、上述したポリオキシアルキレン系重合体の重量平均分子量の測定方法と同様の要領にて測定することができる。
【0047】
硬化性組成物中における(メタ)アクリレート系重合体の含有量は、ポリオキシアルキレン系重合体100質量部に対して5〜300質量部が好ましく、10〜250質量部がより好ましく、30〜200質量部が特に好ましく、40〜100質量部が最も好ましい。硬化性組成物中における(メタ)アクリレート系重合体の含有量が5質量部以上であると、硬化性組成物の硬化物が、優れた引張せん断接着強度を有する。硬化性組成物中における(メタ)アクリレート系重合体の含有量が300質量部以下であると、硬化性組成物の硬化物は、優れた引張せん断接着強度を有する。
【0048】
[アミノシランカップリング剤]
硬化性組成物は、アミノシランカップリング剤を含有している。アミノシランカップリング剤とは、1分子中にアルコキシ基が結合したケイ素原子と、窒素原子を含有する官能基とを含有している化合物を意味する。アミノシランカップリング剤を用いることにより、硬化性組成物の硬化物が優れた引張せん断接着強度を有する。
【0049】
アミノシランカップリング剤として、具体的には、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N,N’−ビス−〔3−(トリメトキシシリル)プロピル〕エチレンジアミン、N,N’−ビス−〔3−(トリエトキシシリル)プロピル〕エチレンジアミン、N,N’−ビス−〔3−(メチルジメトキシシリル)プロピル〕エチレンジアミン、N,N’−ビス−〔3−(トリメトキシシリル)プロピル〕ヘキサメチレンジアミン、N,N’−ビス−〔3−(トリエトキシシリル)プロピル〕ヘキサメチレンジアミン等が挙げられる。これらのアミノシランカップリング剤は、単独で用いられても二種以上が併用されてもよい。
【0050】
なかでも、アミノシランカップリング剤としては、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、及びN−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリエトキシシランが好ましく、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシランがより好ましく、3−アミノプロピルトリメトキシシランが特に好ましい。
【0051】
硬化性組成物中におけるアミノシランカップリング剤の含有量は、ポリオキシアルキレン系重合体100質量部に対して0.5〜10質量部が好ましく、1〜5質量部がより好ましい。硬化性組成物中におけるアミノシランカップリング剤の含有量が0.5質量部以上であると、硬化性組成物の硬化物が、優れた引張せん断接着強度を有する。また、硬化性組成物中におけるアミノシランカップリング剤の含有量が10質量部以下であると、硬化性組成物の硬化速度が高くなり過ぎ、硬化性組成物の貯蔵安定性や取扱性が低下する虞れがある。
【0052】
[シリカ]
硬化性組成物は、シリカを含有していることが好ましい。シリカを含有していることによって、硬化性組成物の硬化物は、より優れた引張せん断接着強度を有する。
【0053】
シリカとしては、疎水性シリカ及び親水性シリカが挙げられるが、疎水性シリカが好ましく挙げられる。
【0054】
疎水性シリカとしては、メチル基、ジメチル基及びトリメチル基などの疎水性基を含有するシラン化合物によって表面処理されてなるシリカが挙げられる。
【0055】
疎水性基を含有するシラン化合物としては、メチル基及びハロゲン原子を含有するシラン化合物が好ましく挙げられる。ハロゲン原子としては、例えば、塩素原子及び臭素原子などが挙げられる。そして、メチル基及びハロゲン原子を含有するシラン化合物として、具体的には、ジメチルジクロロシラン、トリメチルクロロシラン、メチルトリクロロシラン、ベンジルジメチルクロロシラン、ブロモメチルジメチルクロロシランが挙げられる。なかでも、ジメチルジクロロシランが好ましい。
【0056】
通常、シリカは、その表面にシラノール基を有している。そして、このようなシリカ表面をメチル基及びハロゲン原子を含有するシラン化合物で表面処理することによって、シリカ表面に存在するシラノール基とシラン化合物が有しているハロゲン原子とが反応して、シリカ表面にメチル基が導入されることによって、疎水性シリカが得られる。なお、シラノール基とは、ケイ素原子に直接結合しているヒドロキシ基(≡Si−OH)を意味する。
【0057】
メチル基及びハロゲン原子を含有するシラン化合物によって表面処理されてなる疎水性シリカによれば、硬化性組成物の硬化物は、より優れた引張せん断接着強度を有する。
【0058】
なお、疎水性基を含有するシラン化合物によってシリカの表面処理を行う方法としては、公知の方法が用いられる。例えば、疎水性基を含有するシラン化合物とシリカとを混合する方法や、疎水性基を含有するシラン化合物を含む溶液をシリカの表面に塗布又は噴霧する方法などが用いられる。
【0059】
シリカの平均一次粒子径は、5〜30nmが好ましく、10〜20nmがより好ましい。平均一次粒子径が5nm以上であるシリカによれば、シリカの凝集を抑制して分散性を向上させることができ、硬化性組成物の硬化物は、より優れた引張せん断接着強度を有する。平均一次粒子径が30nm以下であるシリカによれば、得られる硬化性組成物の粘度が高くなりすぎるのを抑制することができると共に、硬化性組成物に優れたチキソトロピー性を付与することができる。
【0060】
なお、本発明において、シリカの平均一次粒子径の測定は、次の要領に従って行うことができる。シリカを透過型電子顕微鏡により5万倍〜10万倍の倍率で撮影し、得られた撮影像より100個以上のシリカの一次粒子径を測定して、得られた値を相加平均することにシリカの平均一次粒子径を算出することができる。なお、シリカの一次粒子径とは、シリカの一次粒子を包囲し得る最小径の真円の直径を意味する。
【0061】
シリカのBET比表面積は、50〜300m
2/gが好ましく、100〜200m
2/gがより好ましい。シリカのBET比表面積が50m
2/g以上であると、得られる硬化性組成物の粘度が高くなりすぎるのを抑制することができると共に、硬化性組成物に優れたチキソトロピー性を付与することができる。シリカのBET比表面積が300m
2/g以下であると、シリカの凝集を抑制して分散性を向上させることができ、硬化性組成物の硬化物は、より優れた引張せん断接着強度を有する。
【0062】
なお、本発明において、シリカのBET比表面積の測定は、DIN 66131に準拠した方法により行うことができる。
【0063】
硬化性組成物中におけるシリカの含有量は、ポリオキシアルキレン系重合体100質量部に対して5〜100質量部が好ましく、8〜50質量部がより好ましい。硬化性組成物中におけるシリカの含有量が5質量部以上であると、硬化性組成物の硬化物は、より優れた引張せん断接着強度を有する。硬化性組成物中におけるシリカの含有量が100質量部以下であると、得られる硬化性組成物の粘度が高くなりすぎるのを抑制することができると共に、硬化性組成物に優れたチキソトロピー性を付与することができる。
【0064】
[可塑剤]
硬化性組成物は、可塑剤を含んでいてもよい。可塑剤としては、フタル酸ジメチル、フタル酸ジエチル、フタル酸ジブチル、フタル酸ジイソブチル、フタル酸ジノルマルヘキシル、フタル酸ビス(2−エチルヘキシル)、フタル酸ジノルマルオクチル、フタル酸ジイソノニル、フタル酸ジノニル、フタル酸ジイソデシル、フタル酸ジイソウンデシル、及びフタル酸ビスブチルベンジルなどのフタル酸エステル;アジピン酸ジオクチル、セバシン酸ジオクチル、セバシン酸ジブチル、及びコハク酸イソデシルなどの非芳香族二塩基酸エステル;オレイン酸ブチル、及びアセチルリシノール酸メチルなどの脂肪族エステル;ジエチレングリコールジベンゾエート、トリエチレングリコールジベンゾエート、及びペンタエリスリトールエステルなどのポリアルキレングリコールのエステル;並びにトリクレジルホスフェート、及びトリブチルホスフェートなどのリン酸エステルなどが挙げられる。これらの可塑剤は、単独で用いられても二種以上が併用されてもよい。
【0065】
なかでも、可塑剤としては、フタル酸エステルが好ましく用いられ、フタル酸ジイソデシルがより好ましい。
【0066】
硬化性組成物中における可塑剤の含有量は、ポリオキシアルキレン系重合体100質量部に対して10〜100質量部が好ましく、20〜70質量部がより好ましい。硬化性組成物中における可塑剤の含有量が10質量部以上であると、硬化性組成物の硬化物が優れた伸び性を有し、硬化物は、優れた引張せん断接着強度及び耐繰り返し加重を有する。硬化性組成物中における可塑剤の含有量が100質量部以下であると、硬化性組成物の硬化物が優れた強度を有し、硬化物は、優れた引張せん断接着強度を有する。
【0067】
[脱水剤]
硬化性組成物は、脱水剤をさらに含んでいることが好ましい。脱水剤によれば、硬化性組成物を保存している際に、空気中などに含まれている水分によって硬化性組成物が硬化することを抑制することができる。
【0068】
脱水剤としては、ビニルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、テトラエトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、テトラメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、及びジフェニルジメトキシシランなどのシラン化合物;並びにオルトギ酸メチル、オルトギ酸エチル、オルト酢酸メチル、及びオルト酢酸エチル等のエステル化合物などを挙げることができる。これらの脱水剤は、単独で用いられても二種以上が併用されてもよい。なかでも、ビニルトリメトキシシランが好ましい。
【0069】
硬化性組成物中における脱水剤の含有量は、ポリオキシアルキレン系重合体100質量部に対して0.5〜20質量部が好ましく、1〜10質量部がより好ましく、1〜5質量部が特に好ましい。硬化性組成物中における脱水剤の含有量が0.5質量部以上であると、硬化性組成物の保存安定性を向上させることができる。硬化性組成物中における脱水剤の含有量が20質量部以下であると、硬化性組成物の硬化性が向上する。
【0070】
[耐候安定剤]
硬化性組成物は、耐候安定剤をさらに含んでいることが好ましい。耐候安定剤としては、酸化防止剤、紫外線吸収剤、及び光安定剤が好ましく挙げられる。これらの耐候安定剤を用いることによって、硬化性組成物の硬化物の耐候性を向上させることができる。耐候安定剤は、単独で用いられても二種以上が併用されてもよい。
【0071】
酸化防止剤としては、ヒンダードフェノール系酸化防止剤、モノフェノール系酸化防止剤、ビスフェノール系酸化防止剤、及びポリフェノール系酸化防止剤などが挙げられる。なかでも、ヒンダードフェノール系酸化防止剤が好ましい。ヒンダードフェノール系酸化防止剤として、具体的には、ペンタエリスリトールテトラキス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート](融点118℃)、オクタデシル−3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート](融点52℃)、及びN,N′−ヘキサン−1,6−ジイルビス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニルプロピオンアミド)](融点158℃)などが挙げられる。また、ヒンダードフェノール系酸化防止剤としては、BASF社製 商品名「IRGANOX(登録商標)1135」(融点5℃)などの市販品を用いることもできる。
【0072】
硬化性組成物中における酸化防止剤の含有量は、ポリオキシアルキレン系重合体100質量部に対して0.1〜20質量部が好ましく、0.3〜10質量部がより好ましく、0.5〜5質量部が特に好ましい。
【0073】
紫外線吸収剤としては、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤などが挙げられる。なかでも、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤が好ましい。ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤として、具体的には、2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−p−クレゾール(融点130℃)、2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−6−ビス(1−メチル−1−フェニルエチル)フェノール(融点139℃)、2−[5−クロロ(2H)−ベンゾトリアゾール−2−イル]−4−メチル−6−(tert−ブチル)フェノール(融点139℃)、2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4,6−ジ−tert−ペンチルフェノール(融点84℃)、及び2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)フェノール(融点104℃)などが挙げられる。また、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤としては、BASF社製 商品名「TINUVIN(登録商標)384−2」(融点10℃以下)などの市販品を用いることもできる。
【0074】
硬化性組成物中における紫外線吸収剤の含有量は、ポリオキシアルキレン系重合体100質量部に対して0.1〜20質量部が好ましく、0.1〜10質量部がより好ましく、0.5〜5質量部が特に好ましい。
【0075】
光安定剤としては、ヒンダードアミン系光安定剤などが挙げられる。具体的には、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケート及びメチル1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジルセバケートの混合物(融点10℃以下)、ジブチルアミン・1,3,5−トリアジン・N,N’−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル−1,6−ヘキサメチレンジアミンとN−(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)ブチルアミンとの重縮合物(融点135℃)、ポリ[{6−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)アミノ−1,3,5−トリアジン−2,4−ジイル}{(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ}ヘキサメチレン{(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ}](融点118℃)、コハク酸ジメチルと4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチル−1−ピペリジンエタノールの重縮合物(融点63℃)などが挙げられる。
【0076】
硬化性組成物中における光安定剤の含有量は、ポリオキシアルキレン系重合体100質量部に対して0.5〜20質量部が好ましく、1〜10質量部がより好ましく、1〜5質量部が特に好ましい。
【0077】
硬化性組成物は、上述した成分の他にも、チキソ性付与剤、顔料、染料、及び沈降防止剤などの他の添加剤を含んでいてもよい。また、硬化性組成物は、その効果を害しない程度であれば、少量の溶剤を含んでいてもよい。他の添加剤や溶剤は、単独で用いられても二種以上が併用されてもよい。
【0078】
チキソ性付与剤は、硬化性組成物にチキソトロピー性を発現させることができるものであればよい。チキソ性付与剤としては、水添ひまし油、脂肪酸ビスアマイド、ヒュームドシリカなどが好ましく挙げられる。
【0079】
硬化性組成物中におけるチキソ性付与剤の含有量は、ポリオキシアルキレン系重合体100質量部に対して0.1〜200質量部が好ましく、1〜150質量部がより好ましい。硬化性組成物中におけるチキソ性付与剤の含有量が0.1質量部以上であると、硬化性組成物に優れたチキソトロピー性を付与することができる。硬化性組成物中におけるチキソ性付与剤の含有量が200質量部以下であると、硬化性組成物の粘度が高くなりすぎるのを抑制し、硬化性組成物は優れた取扱性を有する。
【0080】
[シラノール縮合触媒]
シラノール縮合触媒としては、ジブチル錫ジラウレート、ジブチル錫オキサイド、ジブチル錫ジアセテート、ジブチル錫フタレート、ビス(ジブチル錫ラウリン酸)オキサイド、ジブチル錫ビス(アセチルアセトナート)、ジブチル錫ビス(モノエステルマレート)、オクチル酸錫、ジブチル錫オクトエート、ジオクチル錫オキサイド、ジブチル錫ビス(トリエトキシシリケート)、ジオクチル錫ジラウレート、ビス(ジブチル錫ビストリエトキシシリケート)オキサイド、ジブチル錫オキシビスエトキシシリケート、及び1,1,3,3−テトラブチル−1,3−ジラウリルオキシカルボニル−ジスタノキサンなどの有機錫系化合物;テトラ−n−ブトキシチタネート、及びテトライソプロポキシチタネートなどの有機チタン系化合物;1,5,7−トリアザビシクロ[4.4.0]デカー5−エン、7−メチル−1,5,7−トリアザビシクロ[4.4.0]デカー5−エン、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エン、6−ジブチルアミノ−1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エン、1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]ノナー5−エンなどのシクロアミジン系化合物;ジブチルアミン−2−エチルヘキソエートなどが挙げられる。また、他の酸性触媒や塩基性触媒もシラノール縮合触媒として用いることができる。
【0081】
硬化性組成物中におけるシラノール縮合触媒の含有量は、ポリオキシアルキレン系重合体100質量部に対して0.1〜10質量部が好ましい。
【0082】
上記硬化性組成物は、空気中の湿気や、被着体に含まれている湿気によって、ポリオキシアルキレン系重合体及び(メタ)アクリレート系重合体が有している架橋可能なシリル基が加水分解及び脱水縮合してシロキサン結合を形成することによって硬化し、接着力に優れた硬化物を形成する。硬化性組成物の用途は特に制限されないが、硬化性組成物は、硬化後に優れた引張せん断接着強度及び耐繰り返し加重を発揮できることから、接合部において引張せん断応力及び繰り返し加重が付加される部材同士の接合に好ましく用いられる。このような用途として、具体的には、雨樋部材の接合が挙げられる。
【0083】
雨樋は、軒樋、集水器、呼び樋、竪樋、及び継ぎ手(例えば、エルボ、チーズなど)などの雨樋部材によって構成されている。雨樋部材を構成している材料は、塩化ビニル樹脂、アクリル樹脂、ASA樹脂、及びAES樹脂などの合成樹脂、鋼板、ガラス繊維、並びにカーボン繊維などが挙げられる。また、雨樋部材としては、鋼板、ガラス繊維、カーボン繊維、又は繊維強化プラスチック等からなる芯材部と、この芯材部の少なくとも一面に形成されてなる被覆層とを有する複合材も挙げられる。被覆層は、塩化ビニル樹脂、アクリル樹脂、ASA樹脂、及びAES樹脂などの合成樹脂を含んでいることが好ましい。
【実施例】
【0084】
以下に、本発明を実施例を用いてより具体的に説明するが、本発明はこれに限定されない。
【0085】
実施例及び比較例で用いられた各成分について説明する。
〔ポリオキシアルキレン系重合体〕
・主鎖骨格がポリオキシプロピレンであり且つ主鎖骨格の末端にウレタン結合を介することなくメチルジメトキシシリル基を有しているポリオキシアルキレン系重合体(A1)(25℃における粘度:23000mPa・s、数平均分子量:20000、分子量分布(Mw/Mn):1.16、旭硝子社製 製品名「ESS4530」)
・主鎖骨格がポリオキシプロピレンであり且つ主鎖骨格の両末端にウレタン結合を介することなくメチルジメトキシシリル基が結合しているポリオキシアルキレン系重合体(A2)(25℃における粘度:15000mPa・s、数平均分子量Mn:18000、分子量分布(Mw/Mn):1.39、旭硝子社製 製品名「ESS2420」)
カネカ社製 サイリルEST280)
・主鎖骨格がポリオキシプロピレンであり且つ主鎖骨格の両末端にウレタン結合を介してトリメトキシシリル基を有しているポリオキシアルキレン系重合体(A3)(25℃における粘度:5000mPa・s、数平均分子量:14000 分子量分布(Mw/Mn):1.23、バイエル社製 商品名「Desmoseal(登録商標)XP2749」)
〔(メタ)アクリレート系重合体〕
・主鎖骨格がメチルメタクリレート、n−ブチルアクリレート及びn−ブチルメタクリレートの共重合体(メチルメタクリレート成分の含有量:60質量%、n−ブチルアクリレート成分の含有量:20質量%、n−ブチルメタクリレート成分の含有量:20質量%)からなり、且つ主鎖骨格の側鎖又は末端にトリメトキシシリル基を有している(メタ)アクリレート系重合体(B1)(重量平均分子量:8200、1分子あたりのトリメトキシシリル基の平均個数:2.2個、東亞合成株式会社製 商品名「アルフォンRA−100」)
・主鎖骨格がn−ブチルアクリレート及びメチルメタクリレートの共重合体(n−ブチルアクリレート成分の含有量:75質量%、メチルメタクリレート成分の含有量:25質量%)からなり、且つ主鎖骨格の側鎖又は末端にトリメトキシシリル基を有している(メタ)アクリレート系重合体(B2)(重量平均分子量:3200、1分子あたりのトリメトキシシリル基の平均個数:0.9個、東亞合成株式会社製 商品名「アルフォンUS−6110」)
・主鎖骨格がn−ブチルメタクリレート及びメチルメタクリレートの共重合体(n−ブチルメタクリレート成分の含有量:75質量%、メチルメタクリレート成分の含有量:25質量%)からなり、且つ主鎖骨格の側鎖又は末端にトリメトキシシリル基を有している(メタ)アクリレート系重合体(B3)(重量平均分子量:6500、1分子あたりのジメトキシシリル基の平均個数:0.9個)
〔アミノシランカップリング剤〕
・3−アミノプロピルトリメトキシシラン(信越化学工業株式会社製 商品名「KBM−903」)
〔シリカ〕
・ジメチルジクロロシランで表面処理されてなる疎水性シリカ(平均一次粒子径:16nm、BET比表面積:110m
2/g、エボニックデグサ社製 商品名「AEROSIL R972」)
〔脱水剤〕
・ビニルトリメトキシシラン(信越化学工業株式会社製 商品名「KBM−1003」)
〔酸化防止剤〕
・ヒンダードフェノール系酸化防止剤(ペンタエリスリトールテトラキス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、融点118℃、BASF社製 商品名「IRGANOX(登録商標)1010」)
・ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤(2−[5−クロロ(2H)−ベンゾトリアゾール−2−イル]−4−メチル−6−(tert−ブチル)フェノール、融点139℃、BASF社製 商品名「TINUVIN(登録商標)326」)
〔シラノール縮合触媒〕
・ジブチル錫ジラウレート(日東化成社製 商品名「S−130」)
【0086】
(実施例1〜8、比較例1〜5)
表1に示した所定量のポリオキシアルキレン系重合体(A1)〜(A3)、(メタ)アクリレート系重合体(B1)〜(B3)、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、疎水性シリカ、ビニルトリメトキシシラン、ヒンダードフェノール系酸化防止剤、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤及びジブチル錫ジラウレートを含む原料組成物を攪拌機に供給した。次に、攪拌機内を密封した後に減圧下にて原料組成物を均一に混合して硬化性組成物を得た。
【0087】
得られた硬化性組成物について、引張せん断接着強度及び耐繰り返し加重を測定し、その結果を表1に示した。
【0088】
(引張せん断接着強度)
試験板に対する硬化性組成物の引張せん断接着強度をJIS A5536に準拠して測定した。
【0089】
具体的には、2枚の試験板(幅25mm、長さ100mm)を用意し、各試験板の長さ方向の一端部に硬化性組成物を、幅25mm×長さ25mmの塗布面積で塗布した。次に、2枚の試験板をこれらの長さ方向が互いに平行となるように重ね合わせて積層体を得た。なお、一方の試験板における長さ方向の一端部と、他方の試験板における長さ方向の他端部とが互いに重なり合うようにした。
【0090】
積層体を温度23℃、相対湿度50%の雰囲気下に30日間に亘って養生することによって硬化性組成物を硬化させて試験体を得た。試験体の各試験片の一端部をグリップで把持して引張試験機に固定し、引張速度50mm/分で引っ張ることにより、引張せん断接着強度(N/mm
2)を測定した。
【0091】
上記と同様の要領で試験体を10個作成し、各試験体について引張せん断接着強度を測定し、これらの相加平均値を硬化性組成物の引張せん断接着強度とした。試験板として、2枚のポリ塩化ビニル板を用いた場合と、2枚のAES板を用いた場合のそれぞれについて引張せん断接着強度を測定した。
【0092】
(疲労試験)
引張せん断接着強度の測定方法と同様の要領で試験体を作製し、同様の要領で試験体を養生した。試験体について、10%の変位で200mm/分の引っ張り速度で100回疲労試験を行った。試験体が破壊しなかった場合を「○」、破壊した場合を「×」として評価した。
【0093】
【表1】