【課題】バケットやホッパーにおいて、改良材として扱い難い材料を用いても付着の虞を確実に解消でき、それにより作業効率を良好に維持でき、また周辺に設けられている監視機器等に悪影響を及ぼさないようにする。
【解決手段】リーダー2に沿って昇降される運搬用バケット3と、バケット3に収容された砂類等の改良材を投入するホッパー4を上部に有しリーダー2に沿って昇降可能で地中に貫入されたり引き抜かれる中空管5とを備え、バケット3及びホッパー4は上側の投入口及び下側の排出口と共に、内部を区画している側壁30,40に傾斜面31,41を有し、内部に投入された改良材を前記傾斜面上から前記排出口3b,4bへ移動する地盤改良施工機であって、バケット3又は/及びホッパー4は、前記傾斜面又は傾斜面の一部を覆うよう配置されると共に、複数の弾性体6を介して揺動変位自在に支持されている振動板7を有していることを特徴としている。
起立されたリーダーに沿って昇降される運搬用バケットと、前記バケットに収容された砂類等の改良材を投入するホッパーを上部に有し前記リーダーに沿って昇降可能で地中に貫入されたり引き抜かれる中空管とを備え、前記バケット及びホッパーは上側の投入口及び下側の排出口と共に、内部を区画している側壁に傾斜面を有し、内部に投入された改良材を前記傾斜面上から前記排出口へ移動する地盤改良施工機であって、
前記バケット又は/及びホッパーは、前記傾斜面又は傾斜面の一部を覆うよう配置されると共に、複数の弾性体を介して揺動変位自在に支持されている振動板を有していることを特徴とする地盤改良施工機。
前記側壁は前記傾斜面を複数有しており、前記振動板は前記各傾斜面に対し前記弾性体を介してそれぞれ独立して支持されていると共に、前記振動板7同士の間の隙間を揺動変位自在に封鎖している被覆体を有していることを特徴とする請求項1から5の何れかに記載の地盤改良施工機。
【背景技術】
【0002】
対象の地盤改良施工機は、
図1に例示されるごとく静的締固め砂杭工法(SAVE−CP)やサンドコンパクションパイル(SCP)工法等に用いられるもので、材料供給構造として起立されたリーダーに沿って昇降される運搬用バケットと、バケットに収容された砂類等の改良材を投入するホッパーを上部に有しリーダーに沿って昇降可能で地中に貫入されたり引き抜かれる中空管とを備えている。また、バケット及びホッパーは、改良材を入れ易くするため上側の投入口が下側の排出口より大きく形成されると共に、内部を区画している側壁に傾斜面を有し、投入口より内部に投入された改良材をその傾斜面上から排出口へ滑り移動する。
【0003】
ところで、SAVE−CPやSCP工法等においては、改良材つまり中詰め材として、良質な砂や粒状材料は次第に減少し価格も高くなる傾向にある。そこで、改良材として扱い難い材料、例えば含水比の高い材料、現地発生土、粘性土等が用いられることもある。ところが、扱い難い材料は、バケットからホッパーに投入するとき、及びホッパーから中空管内に移動するとき、バケットやホッパーを区画形成している側壁のうち、特に鉛直面以外の傾斜面に付着し易く、作業効率の悪化、更にバケットやホッパー内が閉塞して施工困難となることも発生する。
【0004】
以上の対策としては、バケットやホッパーの内部を区画している内側面に低摩擦材などをコーティングしたり、ホッパー外壁面にバイブレータ(振動機)を取り付けることも行われてきたが、何れもが扱い難い材料の適応対策としては充分ではなった。また、ホッパー外壁面にバイブレータを取り付ける構造では、バイブレータを稼働すると全体が揺れてホッパー周辺に設けられている監視機器や計測センサー等の故障要因となる。
【0005】
図7は、以上のような背景から開発された特許文献1に開示のホッパー(導入装置)を示している。このホッパー13は、可動板21及びその駆動手段である可動板駆動用シリンダ24を有している。可動板21は、ホッパー内に対向して枢支された少なくとも一対で構成されており、対の可動板が連結桿23により同期して可動される。シリンダ24は、出没されるロッド25を有し、ロッド25を可動板21もしくは連結桿23に連結した状態で出没される。この構造では、同(b)に示されるごとくホッパー内で対の可動板21がシリンダ24により可動されるため砂類等の改良材がホッパー内に付着し難くなり、また、対の可動板21が互いに連結桿23で連結されているため互いに異なる方向に可動してホッパー内において改良材の導入路(排出口)を狭めることもなく中空管への改良材の導入を効率的に行うことができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記した構造では、対の可動板がシリンダにより間欠的に可動されるため改良材の付着防止作用を充分発揮できなかったり、同(b)のごとく可動板を傾斜板に枢支するため長さ的に制約されてホッパーの排出口近くまで延長不能なため排出口付近で改良材が詰まり易く、しかも右側可動板のごとく起立した状態で改良材を投入すると可動板と傾斜板の間に改良材が入って可動板が正常に可動不能となる虞もある。
【0008】
そこで、本発明の目的は、以上のような背景から、バケットやホッパーにおいて、改良材として扱い難い材料を用いても付着の虞を確実に解消でき、それにより作業効率を良好に維持でき、また周辺に設けられている監視機器等に悪影響を及ぼさないようにする。他の目的は以下の内容説明の中で明らかにする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1の本発明は、
図6を参照して特定すると、起立されたリーダー2に沿って昇降される運搬用バケット3と、前記バケットに収容された改良材を投入するホッパー4を上部に有し前記リーダーに沿って昇降可能で地中に貫入されたり引き抜かれる中空管5とを備え、前記バケット及びホッパーは上側の投入口及び下側の排出口と共に、内部を区画している側壁30,40に傾斜面31,41を有し、内部に投入された改良材を前記傾斜面上から前記排出口3b,4bへ移動する地盤改良施工機であって、前記バケット3又は/及びホッパー4は、前記傾斜面又は傾斜面の一部を覆うよう配置されると共に、複数の弾性体6を介して揺動変位自在に支持されている振動板7を有していることを特徴としている。
【0010】
なお、本発明の中空管には、形態例以外にも上部に単一ホッパーを設け、下部に設けられた連結分岐管を有し、この連結分岐管の各分岐管下部にそれぞれ中空管を連結した多連式も含まれる(例えば特許第4137744号公報を参照)。
【0011】
以上の本発明は、請求項2から5のように具体化されることがより好ましい。
(ア)前記振動板7は、裏面に取り付けられたバイブレータ8を有し、前記バイブレータの振動により揺動される構成である(請求項2)。
(イ)前記中空管5は
図6に例示されるごとく頂部にバイブロハンマ9を有し、前記振動板7は前記バイブロハンマの振動により揺動される構成である(請求項3)。
(ウ)前記振動板7は下端が前記排出口3b、4bまで延びている構成である(請求項4)。
【0012】
(エ)前記ホッパー4は、前記排出口4bへ向けてエアを噴射するエア噴射手段46を有している構成である(請求項5)。
(オ)前記側壁30,40は前記傾斜面31,41を複数有しており、前記振動板7は前記各傾斜面に対し前記弾性体6を介してそれぞれ独立して支持されていると共に、前記振動板7同士の間の隙間を揺動変位自在に封鎖している被覆体49を有している構成である(請求項6)。
【発明の効果】
【0013】
請求項1の発明では、バケットやホッパーが内部を区画している側壁のうち、鉛直面を除く傾斜面や傾斜面の一部を覆うよう配置されて弾性体を介し揺動変位自在に支持されている振動板を有している。この振動板は、傾斜面に対し弾性体を介して多方向で変則的に揺動され、その結果、例えば、内部に投入される改良材を振動板上で受けたときの変則的な揺動により改良材が付着するのを効果的に抑制できる。
【0014】
請求項2の発明では、振動板が裏面に取り付けられたバイブレータの振動により多方向で変則的に揺動されるため、バイブレータをバケットやホッパーの外壁に取り付ける構造に比べ、改良材が付着するのをより確実かつ効率よく防止できる。加えて、材料供給管理構成としては、バケットやホッパーに取り付けたモニターで、投入した改良材の通過状況を運転席などから確認し、付着発生や閉塞時にバイブレータを稼働して振動を加えるようにすることも可能となる。更に、バイブレータが振動板に取り付けられることで、バケットやホッパー自体に加わる振動を抑制でき、その結果、バケットやホッパー周辺に設けられるモニター等の監視機器や計測センサ等に加わる振動を少なくし振動に起因した故障発生を激減できる。
【0015】
請求項3の発明では、中空管がバイブロハンマを有し、バイブロハンマの振動、特に鉛直方向の振動が弾性体を介して振動板にも伝達・共振され、その結果、バイブロハンマの振動をバケットやホッパーに対する改良材の付着防止用として有効活用できる。
【0016】
請求項4の発明では、特許文献1の可動板構成に比べ、振動板の下端がバケットやホッパーの排出口まで延びているため、排出口付近における改良材の詰まりや閉塞が発生し難くなる。
【0017】
請求項5の発明では、ホッパーが排出口へ向けてエアを噴射するエア噴射手段を有しているため、改良材が排出口付近に詰まるようなときにエアを噴射して解すことで詰まりを確実に防ぐことができ、これにより中空管への改良材の導入を安定かつ効率良く行うことができる。
【0018】
請求項6の発明では、振動板同士の間の隙間を揺動変位自在の被覆体で封鎖したため、改良材が振動板同士の間の隙間から振動板裏面側に入り込んで弾性体や振動板の作動を損ねるという虞を解消でき、これにより外観と共に作動特性を良好に維持できる。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明を適用した形態例を図面を参照して説明する。この説明では、第1形態に係る地盤改良施工機の全体構造、要部であるバケットとホッパー及びその作動、第2形態の地盤改良施工機の変更点の順に詳述する。図面は作図上の制約から細部を省略したり簡略化している。
【0021】
(第1形態)
図1及び
図2において、この地盤改良施工機は、特許文献1と同様に中空管5の貫入及び引き抜き手段として、リーダー2との間に設けられるラック・ピニオン等の強制昇降機構により中空管5を昇降、つまり無振動又は静的締固め工法に好適な例である。但し、対象の地盤改良施工機としては、第2形態に示したように中空管5をバイブロハンマ9により貫入するタイプでも差し支えない。
【0022】
地盤改良施工機は、自走式ベースマシン1と、ベースマシン1の前側支持部に立設されたリーダー2と、リーダー2に沿って昇降される運搬用バケット3と、バケット3に収容された砂類等の改良材を投入するホッパー4を上部に有しリーダー2に沿って昇降装置29により昇降されて地中に貫入されたり引き抜かれる中空管5とを備えている。そして、バケット3及びホッパー4は、容器状からなり、上側の投入口3a,4a及び下側の排出口3b,4bと共に、内部を区画している側壁30,40に傾斜面31,41を有し、内部に投入された改良材を傾斜面上に揺動変位自在に支持された振動板7A又は7B,7Cから排出口3b,4bへ滑り移動する。
【0023】
ここで、ベースマシン1は、下部走行体10に対し上部本体11が旋回部を介して旋回可能に支持されている。上部本体11は、リーダー支持用バックステー15と、運転席12及びリーダー起伏用ワイヤ16とそのウインチ(不図示)、バケット昇降用ワイヤ17とそのウインチ(不図示)、後部に連結されて操作盤14aや発動機14bなどを搭載している後部架台13を備えている。
【0024】
リーダー2は、ベースマシン側キャッチフォークに結合ピンなどにより枢支されており、前側(
図1の右側)の両側上下方向に延びているガイド部材20と、両ガイド部材20の間に並設されて上下方向に延びて昇降装置29と噛み合う不図示のピンラックと、一側に設けられてバケット3の昇降を案内するガイド部材22と、頂部に設けられた滑車装置23と、下側に設けられて中空管5の振れを抑える振止手段25などを有している。
【0025】
昇降装置29は、
図1のごとくガイド部材20と嵌合するガイドギブ29aと、上記ピンラックと噛み合うよう回動可能に軸支されると共に油圧モーターなどにより駆動される不図示のスプロケットと、ホッパー4の継手部51と結合される下側の連結部29bとを有している。
【0026】
アタッチメント50は、上から下に向かって、ホッパー4(このホッパーは、
図2のごとく上側内部を区画している側壁40と、側壁40の下側に連結された導入部45と、導入部45の下側に連結されて中空管5に連通される継手部51とで構成される)、継手部51の下側に設けられたオーガー26(このオーガーは、回動機構用筐体26aと、筐体26a上に載置されたモーター28とで構成される)、スイベル装置27などを備えている。なお、オーガー26は、筐体26aに内蔵されてモーター28などにより駆動されるギア機構により中空管5を回動可能にする。スイベル装置27は、筐体26aに下設された複数のアーム等により支持されており、ホッパー4つまり、側壁40で区画される上空間に投入された改良材を導入部45及び継手部51を通って中空管5内に移送可能にする。換言すると、中空管5は、筐体26a内のギア機構と作動連結されて回動可能となり、上端側がスイベル装置27を介して改良材を導入可能となる。なお、
図1の符号26bは筐体26aに設けられてガイド部材20と摺動自在に嵌合しているガイドギブである。
【0027】
(要部)バケット3及びホッパー4は、
図3及び
図5に示されるごとく側壁30,40の傾斜面31,41と、傾斜面31,41を覆うよう配置されると共に、複数のスプリング6を介して揺動変位自在に支持されている振動板7A〜7C(7)と、各振動板の裏面に装着されたバイブレータ8とを有している。
【0028】
スプリング6は、圧縮コイルばねの例であるが、板ばね、ラバー等の弾性変形自在なものつまり弾性体であればよい。バイブレータ8は、市販の小型振動機であり、全振動板7A〜7Cに装着した例を挙げたが、必要に応じて省略可能である。また、振動板7A〜7Cは、目的の傾斜面に対応した形状に形成されているが、作動は同じ。このため、以下の説明では、振動板の形状に関係する説明を除いて振動板7として表記する。
【0029】
(バケット)
図4及び
図5において、バケット3は、容器状からなり、内空間を区画している側壁30の一部を構成している傾斜面31と、排出口3bを蓋部材38により開閉する切換手段35と、蓋部材38に揺動可能に連結されて排出口3bから排出される改良材を蓋部材38の筒内から更に遠くに導く略U形の延長部材39と、傾斜面31を覆うよう配置されると共に、複数のスプリング6を介して揺動変位自在に支持されている振動板7A(7)とを有している。符号30aは、対向した側壁30の各上端面に突設されて昇降用ワイヤ17の引出端を結合する連結部である(
図1を参照)。
【0030】
このうち、傾斜面31は、容器状の底面を形成しており、側壁30のうち、鉛直面の下側に設けられた排出口3bに通じている。傾斜面31及び蓋部材38の外面には、対の金具32aと32bが設けられている。切換手段35は、筒部36及び出没用ピストンロッド37を有した空気圧式シリンダーであり、金具32a同士の間に筒部36がピン36aを介して揺動可能に支持され、金具32b同士の間にピストンロッド37の先端がピン37aを介して揺動可能に支持されている。そして、このシリンダーは、筒体36に対しピストンロッド37を没入した
図4(a)の状態で蓋部材38を閉位置に保持し、ピストンロッド37を突出した同(b)の状態で蓋部材38を開位置に切り換える。
【0031】
つまり、蓋部材38は、略矩形の筒状からなり、排出口3bを区画している右側鉛直面の下端にヒンジ38aにより回動可能に取り付けられている。蓋部材38には、延長部材39が図示を省略したガイド手段等を介して所定距離だけ移動可能に枢支されている。そして、延長部材39は、蓋部材38の閉状態で蓋部材の一部を内側に重ねた状態で後述する枠体33内に収まり、蓋部材38の開状態で矩形筒状の先端開口を下から受けた接続状態となる。なお、延長部材39は省略可能である。
【0032】
振動板7Aは、傾斜面31とほぼ同大の剛板であるが、傾斜面31の内面全体を覆う形状でなくても、傾斜面31の内面の一部を覆う形状でもよい。また、振動板7は、傾斜面31に対し複数のスプリング6を介在した状態で揺動変位自在に支持されている。すなわち、傾斜面31及び振動板7の対向面には、各スプリング6の配置箇所に略凹状の取付具60と61が装着されている。そして、スプリング6は、圧縮コイルばねが用いられ、両端部が取付具60又は61の凹状内に接合されている。バイブレータ8は、振動板7の裏面略中央部に装着されており、不図示の配線から電力が供給されることで振動し、その振動が振動板7Aに伝達される。
【0033】
また、振動板7の上縁と側壁30の対応内面との間、及び、振動板7の幅方向の側縁と側壁30の対応内面との間には、ラバー材等からなる被覆体34が介在されて、改良材が振動板7の裏側に入り込まないよう処理されている。
図5では、振動板7の幅方向の側縁と側壁30の対応内面との間に設けられた被覆体を省略している。各被覆体は、振動板7の振動特性が損なわれないよう弾性や厚さ等が設定されている。
【0034】
ところで、この例では、スプリング6が上側に2つ、下側に1つか2つ、合計3つ又は4つ使用されている。スプリング6の使用数は、振動板7の大きさ及び傾斜角などを考慮して、振動板7ができるだけ多方向で変則的に揺動されるよう設計される。その場合、各スプリング6としては、例えば、バネストロークを変えたり、バネ定数の異なるものが用いられることもある。具体例として、バネストロークを変える場合は、例えば、
図6の下側枠内に示されるごとくバネストロークが上側のスプリング6を下側のスプリング6よりも長くする。また、バネ定数を変える場合は、例えば、上側のスプリング6を下側のスプリング6よりもバネ定数の小さいものを使用する。これらにより、振動板7は、投入口3a側の振幅wが排出口3b側に比べ大きくなるよう支持され、改良材の付着をより効果的に防止可能となる。
【0035】
以上のバケット3は枠体33に保持される。枠体33は、リーダー側ガイド部材22に摺動自在に嵌合する不図示のブラケットを有し、バケット3を内側に保持した状態で前記ブラケットがガイド部材22に嵌合される。そして、バケット3は、
図1に示されるごとく昇降用ワイヤ17の巻き上げにより地表側よりホッパー4の少し真上まで上昇される。その上昇位置において、バケット3は、切換手段35を駆動して蓋部材38が閉から開状態に切り換えられる。すると、バケット3内の改良材は、振動板7上を滑り移動され、排出口3b、蓋部材38の筒状内、更に延長部材39のU形内を通ってホッパー4内に移動される。
【0036】
改良材が上記したような扱い難い材料、つまり振動板7に付着するようなときはバイブレータ8を駆動して、振動板7を振動させると、改良材の付着が効率よく抑制される。また、以上のバケット3では、バイブレータ8を振動板7に取り付けることで、バケット外壁にバイブレータを取り付ける構成に比べ、バケット自体つまり側壁30に加わる振動を減少でき、その結果、例えば、バケット3に付設されるモニター等の監視機器等に加わる振動を抑制し振動に起因した故障を生じ難くなる。
【0037】
(ホッパー)
図2及び
図3において、ホッパー4を構成している上側側壁40内に投入された改良材は、排出口4bから導入部45及び継手部51の空洞並びにスイベル装置27等を介して中空管5内に移動可能となっている。また、ホッパー4を構成している上側側壁40内は、改良材を入れ易くするため上側の投入口4aが下側の排出口4bより大きく形成されると共に、内部を区画している側壁40の一部に傾斜面41を有し、投入口4aより内部に投入された改良材をその傾斜面41上から排出口4bへ滑り移動する。
【0038】
また、ホッパー4は、排出口4bの外周側にフランジ43を有し、導入部45に対しフランジ43が導入部上側に設けられたフランジ45aに結合されることで一体化される。また、側壁40内には、排出口4bへ向けて圧縮エアを噴射するエア噴射ノズル46と、導入部45の上側に設けられた空気弁47と、空気弁47の近傍に設けられて中空管5内を圧気するエア供給ノズル46Aとが設けられている。
【0039】
まず、空気弁47は、導入部45の上内周面に装着された弁本体47aと、弁本体47aに枢支された弁蓋47bとからなる。弁蓋47bは、弁本体47aに対して、常時、自重により垂れ下がった開放位置にあり、中空管5の先端から改良材を排出つまり杭造成時にエア供給ノズル46Aから圧縮エアが噴射されるとき、その噴射エアにより押圧されて閉弁されるようになっている。但し、空気弁47の開閉機構はこれ以外の構造でもよい。
【0040】
エア噴射ノズル46やエア供給ノズル46Aは、地表側のコンプレッサに専用のエア供給管を介して接続されており、必要時に所要圧力のエアをそれぞれ独立して噴射できるようになっている。つまり、エア噴射ノズル46は、排出口4b付近に溜まり易い改良材を所定のエア圧により吹き飛ばすことで排出口付近における詰まりを解消可能にする。エア供給ノズル46Aは、上述したごとく空気弁47を閉状態に切り換えたり、閉弁状態で中空管5内を圧気することで管内に入れられた改良材を中空管5の先端開口から排出し易くする。
【0041】
また、側壁40は、上側が4つの鉛直面40a,40a,40b,40bで矩形の枠体に形成され、下側が該枠体の4辺から排出口4bに向けて傾斜した4つの傾斜面41a,41b,41c,41cで区画形成されている。換言すると、鉛直面40a,40aは、長辺側(
図2(b)のB−B線に沿った側)に位置し対向している。鉛直面40b,40bは、短辺側(
図2(b)のA−A線に沿った側)に位置し対向している。一方、傾斜面41a,41bは、短辺側(
図3(b)を参照)に位置し対向している。傾斜面41c,41cは、長辺側(
図3(a)を参照)に位置し対向している。
【0042】
傾斜面41c及び傾斜面41a上には、各傾斜面を覆うよう配置されると共に、複数のスプリング6を介して揺動変位自在に支持されている剛板製の振動板7B,7B,7Cが配置されている。各振動板7Bや7Cは、下端が排出口4bまで延び、かつ略垂直に折り曲げられている。振動板7Bは、傾斜面41cとほぼ同大か、排出口4bまで延びて傾斜面41cの内面を覆う大きさである。振動板7Cは、傾斜面41aとほぼ同大か、排出口4bまで延びて傾斜面41aの内面を覆う大きさである。また、各振動板7Bは傾斜面41cに対し複数のスプリング6を介在した状態で揺動変位自在に支持され、振動板7Cは傾斜面41aに対し複数のスプリング6を介在した状態で揺動変位自在に支持されている。この場合、傾斜面41c及び振動板7Bの対向面と、傾斜面41a及び振動板7Cの対向面には、各スプリング6の配置箇所に略凹状の取付具60と61が装着されている。そして、スプリング6は、圧縮コイルばねが用いられ、両端部が取付具60又は61の凹状内に接合固定されている。バイブレータ8は、振動板7B,7Cの裏面略中央部に装着されており、不図示の配線から電力が供給されることで振動し、その振動が振動板7B,7Cに伝達される。但し、バイブレータ8としては油圧ないしは空気式などでもよい。
【0043】
また、振動板7B,7Cの上縁と側壁40の対応内面との間、振動板7Bと振動板7Cとの間、並びに、振動板7Bと傾斜面41bの内面との間には、ラバー材等からなる被覆体48や49が介在されて、改良材が各振動板の裏側に入り込まないよう処理されている。各被覆体49は、振動板7の振動特性が損なわれないよう弾性や厚さ等が設定される。
【0044】
ところで、この例でも、各振動板は、スプリング6が上側に2つ、下側に1つ、合計3つで支持されている。スプリング6の使用数は、振動板7の大きさ及び傾斜角、配置箇所などを考慮して、振動板7ができるだけ多方向で変則的に揺動されるよう設計される。また、各スプリング6としては、例えば、バネストロークを変えたり、バネ定数の異なるものが用いられることもある。具体例として、バネストロークを変える場合は、例えば、
図6の下側枠内に示されるごとくバネストロークが上側のスプリング6を下側のスプリング6よりも長くする。また、バネ定数を変える場合は、例えば、上側のスプリング6を下側のスプリング6よりもバネ定数の小さいものを使用する。これらにより、振動板7は、投入口3a側の振幅wが排出口3b側に比べ大きくなるよう支持され、改良材の付着をより効果的に防止可能となる。これらはバケット3の場合と同じ。
【0045】
以上のような構成は、本発明者らが行った試験、例えば、振動板上下で振幅を略均一になるようにした態様1、振動板の下側を上側より振幅を大きくなるようにした態様2、振動板の上側を下側より振幅を大きくなるようにした態様3について、改良材を同じ条件でバケット3やホッパー4内に投入したときに目視で比較観察した結果、態様3が改良材の付着度合いが最も少なく、振動板7上において改良材の滑り移動が最も良好になることが確認された。換言すると、バケット3やホッパー4の内部にあって、傾斜面31,41に対し複数のスプリング6を介して支持される振動板7が排出口に近い下側に比べ上側の振幅を大きくなるようにすると、例えば、振動板7が上下で略同じ振幅で振動される支持構成に比較して改良材付着に対する抑制効果をより向上できる。
【0046】
また、振動板7の幅方向両側縁と傾斜面41a,41cの内側対応部との間、及び、振動板7の上縁と鉛直面40a,40bの内側対応部との間には、ラバー材等からなる被覆体48が介在されて、改良材が振動板7の裏側に入り込まないよう処理されている。各被覆体48は、振動板7の振動特性が損なわれないよう弾性や厚さ等が設定される。
【0047】
以上のホッパー4には、バケット3内の改良材が投入口4aからホッパー内に移動される。ホッパー4内に移された改良材は、振動板7B,7C上を滑り移動し、排出口4b及び空気弁47の弁蓋47b、導入部45及び継手部51の空洞、スイベル装置27から中空管5内に落下移動される。この場合、改良材が上記したような扱い難い材料、つまり振動板7に付着するようなときはバイブレータ8を駆動して、振動板7を振動させると、改良材の付着が効率よく抑制される。また、エア噴射ノズル46から排出口4bに向けて圧縮エアを噴射することで、排出口4b付近に溜まり易い改良材を所定のエア圧により吹き飛ばして排出口付近における詰まりを防ぐようにする。
【0048】
(第2形態)
図6の地盤改良施工機は、中空管5をバイブロハンマ9により貫入するタイプである。この説明では、第1形態と同じ箇所に同一符号を付けて重複した説明を極力省き、変更点について詳述する。
【0049】
この地盤改良施工機では、リーダー2に沿って昇降される運搬用バケット3と、バケット3に収容された砂等の改良材を投入するホッパー4を上部に有しリーダー2に沿って昇降可能で地中に貫入されたり引き抜かれる中空管5と、中空管5の頂部に設けられて中空管5を貫入するバイブロハンマ9とを備えている。
【0050】
ホッパー4は、上側を区画している側壁40の下部側に傾斜面41を有していると共に、中空管5の上部に継手部52を介して結合されている。そして、投入口4aより内部に投入された砂類等の改良材は、傾斜面41の内面に対し複数の弾性体6にて揺動変位自在に支持された振動板7B上から排出口4b、更に継手部52の空洞内より中空管5内へ滑り移動する。振動板7Bには、バケット3の振動板7A及び第1形態の振動板7B,7Cようなバイブレータ8が設けられていない。バイブロハンマ9は、継手部52の上部に連結された状態で、ショックアブソーバ9a、吊りワイヤー19、リーダー2頂部に設けられた不図示の滑車装置との間に配設されたシーブブロック18等を介し昇降可能に吊り下げられている。
【0051】
以上の形態では、中空管5をバイブロハンマ9により貫入する構成であることから、バイブロハンマ9の振動、特に鉛直方向の振動がスプリング6を介して振動板7にも伝達・共振される。この利点は、バイブロハンマ9の振動をスプリング6を介して支持された振動板7の起振源として有効活用できる。付着防止作用は、振動板7がバイブロハンマ9により鉛直方向の振動による共振と、スプリング6の伸縮方向とが異なることで変則的なものとなるため優れている。
【0052】
なお、本発明の地盤改良施工機は、請求項で特定される構成を備えておればよく、細部については種々変更可能である。例えば、バケットやホッパーの形状は、側壁に傾斜面を有しているという要件を除いて特に制約されない。また、上側投入口及び下側排出口の形状、並びに排出口に設けられる空気弁なども適宜変更可能である。また、バイブレータは大きさの点を除いて特に制約されないが、周波数的には低周波10〜70Hzで振幅が大きくなるものが好ましい。