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特開2016-211503ガスタービンのための燃料制御装置及び燃料制御方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2016-211503(P2016-211503A)
(43)【公開日】2016年12月15日
(54)【発明の名称】ガスタービンのための燃料制御装置及び燃料制御方法
(51)【国際特許分類】
   F02C 9/32 20060101AFI20161118BHJP
   F01D 17/24 20060101ALI20161118BHJP
   F01D 17/08 20060101ALI20161118BHJP
【FI】
   F02C9/32
   F01D17/24 F
   F01D17/08 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2015-98035(P2015-98035)
(22)【出願日】2015年5月13日
(71)【出願人】
【識別番号】514030104
【氏名又は名称】三菱日立パワーシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000785
【氏名又は名称】誠真IP特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】中澤 悠希
(72)【発明者】
【氏名】齋藤 昭彦
(72)【発明者】
【氏名】園田 隆
(72)【発明者】
【氏名】福本 好彦
【テーマコード(参考)】
3G071
【Fターム(参考)】
3G071AA01
3G071BA07
3G071BA09
3G071FA03
3G071HA03
(57)【要約】
【課題】圧力調節弁に供給される燃料の圧力が変化しても、燃焼器への燃料の供給量を的確に制御可能なガスタービンのための燃料制御装置及び燃料制御方法を提供する。
【解決手段】ガスタービンのための燃料制御装置は、圧力調節弁と、流量調節弁と、圧力調節弁と流量調節弁との間での燃料の圧力を測定可能な圧力計と、圧力計の測定結果に基づいて圧力調節弁の開度を制御可能な圧力調節弁制御部と、流量調節弁の開度を制御可能な流量調節弁制御部と、を含む。圧力調節弁制御部は、圧力計よって測定された計測圧力が目標圧力に近づくように圧力調節弁の開度を制御可能であり、流量調節弁制御部は、複数のモードから選択された1つのモードにて流量調節弁の開度を制御可能である。複数のモードは、目標圧力に基づいて流量調節弁の開度を調整する第1モードと、計測圧力に基づいて流量調節弁の開度を調整する第2モードと、を含む。
【選択図】 図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガスタービンの燃焼器への燃料の供給量を制御可能なガスタービンのための燃料制御装置において、
前記燃料の供給路に配置された圧力調節弁と、
前記圧力調節弁の下流に位置して前記供給路に配置された流量調節弁と、
前記圧力調節弁と前記流量調節弁との間での前記燃料の圧力を測定可能な圧力計と、
前記圧力計の測定結果に基づいて前記圧力調節弁の開度を制御可能な圧力調節弁制御部と、
前記流量調節弁の開度を制御可能な流量調節弁制御部と、
を含み、
前記圧力調節弁制御部は、前記圧力計よって測定された計測圧力が目標圧力に近づくように前記圧力調節弁の開度を制御可能であり、
前記流量調節弁制御部は、複数のモードから選択された1つのモードにて前記流量調節弁の開度を制御可能であり、
前記複数のモードは、
前記目標圧力に基づいて前記流量調節弁の開度を調整する第1モードと、
前記計測圧力に基づいて前記流量調節弁の開度を調整する第2モードと、
を含む
ことを特徴とするガスタービンのための燃料制御装置。
【請求項2】
前記流量調節弁制御部は、少なくとも1つの条件が満たされている場合に前記第2モードを選択して実行するように構成され、
前記少なくとも1つの条件は、前記圧力調節弁の開度に関する条件を含む
ことを特徴とする請求項1に記載のガスタービンのための燃料制御装置。
【請求項3】
前記流量調節弁制御部は、
前記第1モードの実行中に前記圧力調節弁の開度が上限値に到達した場合に、前記第2モードを選択して実行するように構成され、且つ、
前記第2モードの実行中に前記圧力調節弁の開度が下限値に到達した場合に、前記第1モードを選択して実行するように構成されている
ことを特徴とする請求項1又は2に記載のガスタービンのための燃料制御装置。
【請求項4】
前記流量調節弁制御部は、前記第2モードの実行中に、前記目標圧力に対する前記計測圧力の比に基づいて、前記流量調節弁の開度を調整するように構成されている
ことを特徴とする請求項1乃至3の何れか1項に記載のガスタービンのための燃料制御装置。
【請求項5】
前記流量調節弁制御部は、前記第2モードにおいて、前記目標圧力と前記計測圧力の差が閾値を超えた場合、前記流量調節弁の開度の単位時間当たりの変化量を制限するように構成されている
ことを特徴とする請求項4に記載のガスタービンのための燃料制御装置。
【請求項6】
前記上限値は前記下限値よりも大きく、前記第1モードと前記第2モードの間でのモードの移行がヒステリシスをもって行われるように構成されている
ことを特徴とする請求項3に記載のガスタービンのための燃料制御装置。
【請求項7】
前記流量調節弁制御部は、前記第1モードと前記第2モードの間での移行の際、前記圧力調節弁の開度の単位時間当たりの変化量を調整するように構成されていることを特徴とする請求項1乃至6の何れか1項に記載のガスタービンのための燃料制御装置。
【請求項8】
前記流量調節弁制御部は、少なくとも1つの条件が満たされている場合に前記第2モードを選択して実行するように構成され、
前記少なくとも1つの条件は、前記圧力調節弁に供給される前記燃料の圧力の変動に関する条件を含む
ことを特徴とする請求項1乃至7の何れか1項に記載のガスタービンのための燃料制御装置。
【請求項9】
前記圧力調節弁制御部は、前記ガスタービンの運転条件が変動する場合に、前記目標圧力として前記計測圧力を用いて、前記圧力調節弁を制御するように構成されている
ことを特徴とする請求項1乃至8の何れか1項に記載のガスタービンのための燃料制御装置。
【請求項10】
燃料の供給路に配置された圧力調節弁と、
前記圧力調節弁の下流に位置して前記供給路に配置された流量調節弁と、
前記圧力調節弁と前記流量調節弁との間での前記燃料の圧力を測定可能な圧力計と、
を備える、ガスタービンの燃焼器への燃料の供給量を制御可能なガスタービンのための燃料制御装置を用いたガスタービンの燃料制御方法において、
複数のモードから選択された1つのモードにて前記流量調節弁の開度を制御し、
前記複数のモードは、
前記圧力調節弁の目標圧力に基づいて前記流量調節弁の開度を調整する第1モードと、
前記計測圧力に基づいて前記流量調節弁の開度を調整する第2モードと、
を含む
ことを特徴とするガスタービンのための燃料制御装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示はガスタービンのための燃料制御装置及び燃料制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ガスタービンは燃焼器及びタービンを有し、タービンは、燃焼器が燃料を燃焼させることにより発生させた燃焼ガスを利用して、回転力を発生させる。ガスタービンには燃料制御装置が設けられ、燃料制御装置は、燃焼器に供給される燃料の流量を制御するように構成されている。
例えば、特許文献1が開示する燃料制御装置は、圧力検出器を含む種々の計測機器と、燃料流量調節弁と、計測機器からの少なくとも1つの信号に基づいて、燃料流量調節弁の開度を制御可能な開度制御部とを備えている。
また例えば、特許文献2が開示する燃料制御装置は、燃料流量調節弁と、タービン速度信号と発電機負荷信号に基づいて、燃料流量調節弁の開度指令信号を求める燃料指令演算回路と、調整流量調節弁の前段に設けられて前段圧力を調整する燃圧力調節手段と、前段圧力と圧力設定値の偏差に基づいて燃料流量調節弁の開度指令を出力する圧力制御コントローラとを備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平11−210496号公報
【特許文献2】特開2013−44251号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献2が開示するように、燃料ガス圧力調節弁によって燃料ガスの前段圧力が圧力設定値に近づくように調整しながら、タービン速度信号と発電機負荷信号に基づいて燃料ガス流量調節弁の開度を調整する場合、燃焼器に供給される燃料の流量の調整精度は、燃料ガス圧力調節弁による圧力の調整精度に専ら依存することになる。
このような構成では、燃料ガス圧力調節弁に供給される燃料ガスの圧力(供給元圧力)が変動した場合に、燃料ガス圧力調節弁による圧力の調整に遅れが生じると、燃焼器に供給される燃料ガスの流量の調整精度が低下してしまう。また、供給元圧力が大きく変動し、燃料ガス圧力調節弁による圧力調整範囲を超えてしまうと、例えば燃料ガス圧力調節弁が全開になってしまうと、燃焼器に供給される燃料ガスの流量の調整精度が大きく低下してしまう。
【0005】
一方、特許文献1には、計測機器からの少なくとも1つの信号に基づいて燃料流量調節弁の開度を制御することが記載されているが、供給元圧力が変動した場合の燃料流量調節弁の開度の制御方法についての記載はない。
【0006】
上記事情に鑑みて、本発明の少なくとも一実施形態の目的は、圧力調節弁に供給される燃料の圧力が変化しても、燃焼器への燃料の供給量を的確に制御可能なガスタービンのための燃料制御装置及び燃料制御方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
(1)本発明の少なくとも一実施形態に係るガスタービンのための燃料制御装置は、
ガスタービンの燃焼器への燃料の供給量を制御可能なガスタービンのための燃料制御装置において、
前記燃料の供給路に配置された圧力調節弁と、
前記圧力調節弁の下流に位置して前記供給路に配置された流量調節弁と、
前記圧力調節弁と前記流量調節弁との間での前記燃料の圧力を測定可能な圧力計と、
前記圧力計の測定結果に基づいて前記圧力調節弁の開度を制御可能な圧力調節弁制御部と、
前記流量調節弁の開度を制御可能な流量調節弁制御部と、
を含み、
前記圧力調節弁制御部は、前記圧力計よって測定された計測圧力が目標圧力に近づくように前記圧力調節弁の開度を制御可能であり、
前記流量調節弁制御部は、複数のモードから選択された1つのモードにて前記流量調節弁の開度を制御可能であり、
前記複数のモードは、
前記目標圧力に基づいて前記流量調節弁の開度を調整する第1モードと、
前記計測圧力に基づいて前記流量調節弁の開度を調整する第2モードと、
を含む。
【0008】
上記構成(1)のガスタービンのための燃料制御装置では、流量調節弁制御部が、第1モードと第2モードを選択的に実行可能であり、第2モードでは、計測圧力に基づいて流量調節弁の開度が調整される。このため、圧力調節弁に供給される燃料の圧力が変動し、流量調節弁に流入する燃料の圧力が目標圧力から変化しても、計測圧力基づいて、流量調節弁を通過する燃料の流量、すなわち、燃焼器への燃料の供給量を的確に制御することができる。
【0009】
(2)幾つかの実施形態では、上記構成(1)において、
前記流量調節弁制御部は、少なくとも1つの条件が満たされている場合に前記第2モードを選択して実行するように構成され、
前記少なくとも1つの条件は、前記圧力調節弁の開度に関する条件を含む。
【0010】
例えば、圧力調節弁に供給される燃料の圧力(供給元圧力)が低下し、圧力調節弁が全開になってしまうと、圧力調節弁による圧力調節機能は限界に達し、目標圧力に計測圧力を近づけることが困難になる。この点、上記構成(2)のガスタービンのための燃料制御装置では、流量調節弁制御部が、圧力調節弁の開度に関する条件が満たされた場合に、第2モードを実行するように構成されており、圧力調節弁による圧力調節機能が低下しても、計測圧力に基づいて、流量調節弁を通過する燃料の流量、すなわち、燃焼器への燃料の供給量を的確に制御することができる。
【0011】
(3)幾つかの実施形態では、上記構成(1)又は(2)において、
前記流量調節弁制御部は、
前記第1モードの実行中に前記圧力調節弁の開度が上限値に到達した場合に、前記第2モードを選択して実行するように構成され、且つ、
前記第2モードの実行中に前記圧力調節弁の開度が下限値に到達した場合に、前記第1モードを選択して実行するように構成されている。
【0012】
上記構成(3)のガスタービンのための燃料制御装置では、圧力調節弁の開度が上限値に到達した場合に、流量調節弁制御部は第2モードを実行するように構成されており、圧力調節弁による圧力調節機能が低下しても、計測圧力に基づいて、流量調節弁を通過する燃料の流量、すなわち、燃焼器への燃料の供給量を的確に制御することができる。一方、圧力調節弁の開度が下限値に到達した場合には、流量調節弁制御部は第1モードを実行するように構成されており、第1モードの実行により、流量調節弁を通過する燃料の流量、すなわち、燃焼器への燃料の供給量を安定して制御することができる。
【0013】
(4)幾つかの実施形態では、上記構成(1)乃至(3)の何れか1つにおいて、
前記流量調節弁制御部は、前記第2モードの実行中に、前記目標圧力に対する前記計測圧力の比に基づいて、前記流量調節弁の開度を調整するように構成されている。
【0014】
上記構成(4)のガスタービンのための燃料制御装置では、第2モードの実行中、目標圧力に対する計測圧力の比に基づいて流量調節弁の開度を調整することで、流量調節弁を通過する燃料の流量、すなわち、燃焼器への燃料の供給量を的確に制御することができる。
【0015】
(5)幾つかの実施形態では、上記構成(4)において、
前記流量調節弁制御部は、前記第2モードにおいて、前記目標圧力と前記計測圧力の差が閾値を超えた場合、前記流量調節弁の開度の単位時間当たりの変化量を制限するように構成されている。
【0016】
上記構成(5)のガスタービンのための燃料制御装置では、第2モードにおいて、目標圧力と計測圧力の差が閾値を超えた場合、流量調節弁の開度の単位時間当たりの変化量が制限される。このため、計測圧力が大きく変化する場合でも、流量調節弁の開度の急激な変化を抑制することができ、燃焼器への燃料の供給量を安定して制御することができる。
【0017】
(6)幾つかの実施形態では、上記構成(3)において、
前記上限値は前記下限値よりも大きく、前記第1モードと前記第2モードの間でのモードの移行がヒステリシスをもって行われるように構成されている。
【0018】
上記構成(6)のガスタービンのための燃料制御装置では、上限値が下限値よりも大きく、第1モードと第2モードの間でのモードの移行がヒステリシスをもって行われるように構成されているので、第1モードと第2モードの間でモードが頻繁に変更されることが抑制される。この結果として、燃焼器への燃料の供給量を安定して制御することができる。
【0019】
(7)幾つかの実施形態では、上記構成(1)乃至(6)の何れか1つにおいて、
前記流量調節弁制御部は、前記第1モードと前記第2モードの間での移行の際、前記圧力調節弁の開度の単位時間当たりの変化量を調整するように構成されている。
上記構成(7)のガスタービンのための燃料制御装置では、流量調節弁制御部が、第1モードと第2モードの間での移行の際、圧力調節弁の開度の時間当たりの変化量を調整するように構成されているので、第1モードと第2モードの間でのモードの移行の前後で、流量調節弁の開度が急激に変化することを抑制することができる。この結果として、燃焼器への燃料の供給量を安定して制御することができる。
【0020】
(8)幾つかの実施形態では、上記構成(7)において、
前記流量調節弁制御部は、少なくとも1つの条件が満たされている場合に前記第2モードを選択して実行するように構成され、
前記少なくとも1つの条件は、前記圧力調節弁に供給される前記燃料の圧力の変動に関する条件を含む。
【0021】
上記構成(8)のガスタービンのための燃料制御装置では、流量調節弁制御部が、圧力調節弁に供給される燃料の圧力の変動に応じて第2モードを選択して実行するように構成されており、第2モードの実行によって燃焼器への燃料の供給量を的確に制御しながら、圧力調節弁に供給される燃料の圧力の変動が大きい場合には、第2モードの実行を制限することができる。
【0022】
(9)幾つかの実施形態では、上記構成(1)乃至(8)の何れか1つにおいて、
前記圧力調節弁制御部は、前記ガスタービンの運転条件が変動する場合に、前記目標圧力として前記計測圧力を用いて、前記圧力調節弁を制御するように構成されている。
【0023】
圧力調節弁に供給される燃料の圧力が大きく変動した場合、圧力調節弁による圧力調整が追い付かず、計測圧力と目標圧力との差が大きくなることがある。このような場合、第1モードにて目標圧力に基づいて流量調節弁の開度を調整しているときに、第1モードから第2モードへとモードを変更し、第2モードにて計測圧力に基づいて流量調節弁の開度を調整すると、開度が急激に変化してしまう。この点、上記構成(9)のガスタービンのための燃料制御装置では、圧力調節弁制御部は、圧力調節弁に供給される燃料の圧力が大きく変動した場合に、目標圧力として計測圧力を用いて、圧力調節弁を制御するように構成されているので、第1モードと第2モードの間でのモードの移行の前後で、流量調節弁の開度が急激に変化することを抑制することができる。この結果として、燃焼器への燃料の供給量を安定して制御することができる。
【0024】
(10)本発明の少なくとも一実施形態に係るガスタービンのための燃料制御方法は、
燃料の供給路に配置された圧力調節弁と、
前記圧力調節弁の下流に位置して前記供給路に配置された流量調節弁と、
前記圧力調節弁と前記流量調節弁との間での前記燃料の圧力を測定可能な圧力計と、
を備える、ガスタービンの燃焼器への燃料の供給量を制御可能なガスタービンのための燃料制御装置を用いたガスタービンの燃料制御方法において、
複数のモードから選択された1つのモードにて前記流量調節弁の開度を制御し、
前記複数のモードは、
前記圧力調節弁の目標圧力に基づいて前記流量調節弁の開度を調整する第1モードと、
前記計測圧力に基づいて前記流量調節弁の開度を調整する第2モードと、
を含む。
【0025】
上記構成(10)のガスタービンのための燃料制御方法では、第1モードと第2モードを選択的に実行可能であり、第2モードでは、計測圧力に基づいて流量調節弁の開度が調整される。このため、圧力調節弁に供給される燃料の圧力が変動し、流量調節弁に流入する燃料の圧力が目標圧力から変化しても、計測圧力基づいて、流量調節弁を通過する燃料の流量、すなわち、燃焼器への燃料の供給量を的確に制御することができる。
【発明の効果】
【0026】
本発明の少なくとも一実施形態によれば、圧力調節弁に供給される燃料の圧力が変化しても、燃焼器への燃料の供給量を的確に制御可能なガスタービンのための燃料制御装置及び燃料制御方法が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1】本発明の一実施形態に係るガスタービンのための燃料制御装置を、ガスタービンとともに概略的に示す図である。
図2】本発明の一実施形態に係る燃料制御装置の構成を説明するための図である。
図3】本発明の一実施形態に係るガスタービンのための燃料制御方法の概略的な手順を示すフローチャートである。
図4図3の燃料制御方法に適用される圧力調節弁の開度に関する条件の一例を示すグラフである。
図5】他の実施形態に係るガスタービンのための燃料制御方法の概略的な手順を示すフローチャートである。
図6図5の燃料制御方法に適用される変化レートの制限を説明するためのチャートである。
図7】他の実施形態に係るガスタービンのための燃料制御方法の概略的な手順を示すフローチャートである。
図8図7の燃料制御方法に適用される圧力調節弁の開度に関する条件の一例を示すグラフである。
図9図8の補正係数及び変化レートを用いた場合における、補正係数及び流量調節弁の開度の時間的な変化の一例を示すチャートである。
図10】他の実施形態に係る燃料制御装置の構成を説明するための図である。
図11】他の実施形態に係るガスタービンのための燃料制御方法の概略的な手順を示すフローチャートである。
図12図11の燃料制御方法の実行中にガスタービンの運転条件が急変したときの、燃料流量指令、圧力調節弁に供給される燃料の圧力、及び、計測圧力の時間的な変化を概略的に示すチャートである。
図13】他の実施形態に係る燃料制御装置の構成を説明するための図である。
図14】他の実施形態に係るガスタービンのための燃料制御方法の概略的な手順を示すフローチャートである。
図15図14の燃料制御方法の実行中にガスタービンの運転条件が急変したときの、燃料流量指令、圧力調節弁に供給される燃料の圧力、及び、計測圧力の時間的な変化を概略的に示すチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、添付図面を参照して本発明の幾つかの実施形態について説明する。ただし、実施形態として記載されている又は図面に示されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対的配置等は、本発明の範囲をこれに限定する趣旨ではなく、単なる説明例にすぎない。
例えば、「ある方向に」、「ある方向に沿って」、「平行」、「直交」、「中心」、「同心」或いは「同軸」等の相対的或いは絶対的な配置を表す表現は、厳密にそのような配置を表すのみならず、公差、若しくは、同じ機能が得られる程度の角度や距離をもって相対的に変位している状態も表すものとする。
例えば、「同一」、「等しい」及び「均質」等の物事が等しい状態であることを表す表現は、厳密に等しい状態を表すのみならず、公差、若しくは、同じ機能が得られる程度の差が存在している状態も表すものとする。
例えば、四角形状や円筒形状等の形状を表す表現は、幾何学的に厳密な意味での四角形状や円筒形状等の形状を表すのみならず、同じ効果が得られる範囲で、凹凸部や面取り部等を含む形状も表すものとする。
一方、一の構成要素を「備える」、「具える」、「具備する」、「含む」、又は、「有する」という表現は、他の構成要素の存在を除外する排他的な表現ではない。
【0029】
図1は、本発明の一実施形態に係る燃料制御装置10を、ガスタービン1とともに概略的に示す図である。図1に示すように、ガスタービン1は、圧縮機(圧縮部)2、燃焼器(燃焼部)3、及び、タービン(タービン部)4を備えており、例えば発電機6等の外部機器を駆動するものである。
圧縮機2は、外部の空気である大気を吸入して圧縮し、圧縮された空気を1つ以上の燃焼器3に供給するものである。
【0030】
燃焼器3は、圧縮機2により圧縮された空気を用いて、燃料制御装置10を通じてガスコンプレッサ12から供給された燃料を燃焼させることにより、高温ガス(燃焼ガス)を生成するものである。
タービン4は、燃焼器3により生成された高温ガスの供給を受けて回転駆動力を発生させ、発生した回転駆動力を圧縮機2及び外部機器に出力するものである。
【0031】
図2は、燃料制御装置10の構成を説明するための図である。図2に示したように、燃料制御装置10は、ガスコンプレッサ12と燃焼器3の間を延びる燃料(燃料ガス)の供給路14に配置された圧力調節弁16と、圧力調節弁16の下流に位置して供給路14に配置された流量調節弁18と、圧力調節弁16と流量調節弁18との間で供給路14の燃料の圧力を測定可能な圧力計20と、を有する。
そして、燃料制御装置10は、圧力計20の測定結果に基づいて圧力調節弁16の開度Opcvを制御可能な圧力調節弁制御部22と、流量調節弁18の開度Ofcvを制御可能な流量調節弁制御部24と、を有する。
【0032】
圧力調節弁制御部22は、圧力計20よって測定された計測圧力P2が目標圧力Ptに近づくように圧力調節弁16の開度Opcvを制御可能である。目標圧力Ptは、例えば、予め設定された所定の値であり、タービン4の運転条件等に基づいて設定される。
流量調節弁制御部24は、複数のモードから選択された1つのモードにて流量調節弁18の開度Ofcvを制御可能である。複数のモードは、目標圧力Ptに基づいて流量調節弁18の開度Ofcvを調整する第1モードと、計測圧力P2に基づいて流量調節弁18の開度Ofcvを調整する第2モードと、を含む。
【0033】
上記構成の燃料制御装置10では、流量調節弁制御部24が、第1モードと第2モードを選択的に実行可能であり、第2モードでは、計測圧力P2に基づいて流量調節弁18の開度Ofcvが調整される。このため、圧力調節弁16に供給される燃料の圧力が変動し、流量調節弁18に流入する燃料の圧力が目標圧力Ptから変化しても、計測圧力P2基づいて、流量調節弁18を通過する燃料の流量、すなわち、燃焼器3への燃料の供給量を的確に制御することができる。
【0034】
幾つかの実施形態では、流量調節弁制御部24は、少なくとも1つの条件が満たされている場合に第2モードを選択して実行するように構成され、少なくとも1つの条件は、圧力調節弁16の開度Opcvに関する条件を含む。
例えば、圧力調節弁16に供給される燃料の圧力(供給元圧力)が低下し、圧力調節弁16が全開になってしまうと、圧力調節弁16による圧力調節機能は限界に達し、目標圧力Ptに計測圧力P2を近づけることが困難になる。この点、上記構成の燃料制御装置10では、流量調節弁制御部24が、圧力調節弁16の開度Opcvに関する条件が満たされた場合に、第2モードを実行するように構成されており、圧力調節弁16による圧力調節機能が低下しても、計測圧力P2に基づいて、流量調節弁18を通過する燃料の流量、すなわち、燃焼器3への燃料の供給量を的確に制御することができる。
【0035】
幾つかの実施形態では、流量調節弁制御部24は、第1モードの実行中に圧力調節弁16の開度Opcvが上限値Oth1に到達した場合に、第2モードを選択して実行するように構成され、且つ、第2モードの実行中に圧力調節弁16の開度Opcvが下限値Oth2に到達した場合に、第1モードを選択して実行するように構成されている。
なお、上限値Oth1及び下限値Oth2は、相互に異なっていても、同じ値(閾値Oth)であっても異なっていてもよい。
【0036】
上記構成の燃料制御装置10では、圧力調節弁16の開度Opcvが上限値Oth1に到達した場合に、流量調節弁制御部24は第2モードを実行するように構成されており、圧力調節弁16による圧力調節機能が低下しても、計測圧力P2に基づいて、流量調節弁18を通過する燃料の流量、すなわち、燃焼器3への燃料の供給量を的確に制御することができる。一方、圧力調節弁16の開度Opcvが下限値Oth2に到達した場合には、流量調節弁制御部24は第1モードを実行するように構成されており、第1モードの実行により、流量調節弁18を通過する燃料の流量、すなわち、燃焼器3への燃料の供給量を安定して制御することができる。
【0037】
図3は、本発明の一実施形態に係るガスタービン1のための燃料制御方法の概略的な手順を示すフローチャートであり、図4は、図3の燃料制御方法に適用される圧力調節弁16の開度Opcvに関する条件の一例を示すグラフである。
図3の燃料制御方法は、燃料制御装置10が燃焼器3へ燃料を供給しているときに実行されるものであり、圧力調節弁16の開度Opcvを判定する開度指令補正開始判定ステップS10と、流量調節弁18の開度指令Cvを補正する開度指令補正ステップS12と、開度指令補正終了判定ステップS14と、流量調節弁18の開度指令Cvの補正を終了する開度指令補正終了ステップS16とを有する。
【0038】
開度指令補正開始判定ステップS10では、圧力調節弁16の開度Opcvが閾値Oth以上であるか否かが判定される。判定結果が否定的である場合、開度指令補正開始判定ステップS10が繰り返され、第1モードにて流量調節弁18が制御される。一方、判定結果が肯定的である場合、開度指令補正ステップS12が実行され、第2モードで流量調節弁18が制御される。
【0039】
ここで、第1モードでの流量調節弁18の開度指令(目標開度)Cvは、例えば、次式(1)に基づいて求めることができる。式(1)中、Cvは容量係数であり、流量調節弁18の開度指令に相当する。よって本明細書では、流量調節弁18の開度指令をCvとも称する。Gfはタービン4に供給される燃料流量であり、ガスタービン1の運転条件によって決定される。ΔPは、流量調節弁18の上流(入口)と下流(出口)の圧力差である。流量調節弁18の下流の圧力は、例えば図示しない圧力計によって測定することができる。流量調節弁18の上流の圧力として、第1モードでは、圧力調節弁16の目標圧力Ptが用いられる。なお、式(1)は、燃料の密度を考慮するために、燃料の温度に関する項を更に含んでいてもよい。
【0040】
開度指令補正ステップS12では、次式(2)に示したように、開度指令Cvが補正開度指令Cv’へと補正される。式(2)中のP2は計測圧力であり、Ptは目標圧力であり、f(x)は補正係数としての関数である。関数f(x)は、図4に一例を示したように、圧力調節弁16の開度Opcvに応じて0〜1の範囲で変化する関数である(x=Opcv)。例えば、補正係数f(x)は、圧力調節弁16の開度Opcvが0%〜90%の範囲では0であり、90%〜100%の範囲では開度Opcvに比例し、100%で1になる。
【0041】
【数1】
【0042】
式(2)によれば、圧力調節弁16の開度Opcvが閾値Oth(上限値Oth1)である90%を超えると、目標圧力Ptに対する計測圧力P2の比、及び、補正係数f(x)に基づいて、開度指令Cvが補正され、補正開度指令Cv’が得られる。そして、補正開度指令Cv’に一致するように流量調節弁18の開度Ofcvが調整される。また、閾値Othは下限値Oth2でもあり、圧力調節弁16の開度Opcvが閾値Othである90%以下になると、開度指令Cvの補正が終了する。
【0043】
上述した図3の燃料制御方法、及び、当該燃料制御方法を実行可能な燃料制御装置10では、圧力調節弁16の開度Opcvが閾値Oth(上限値Oth1)に到達した場合に、流量調節弁制御部24が第2モードを実行するように構成されており、圧力調節弁16による圧力調節機能が低下しても、計測圧力P2に基づいて、流量調節弁18を通過する燃料の流量、すなわち、燃焼器3への燃料の供給量を的確に制御することができる。一方、圧力調節弁16の開度Opcvが閾値Oth(下限値Oth2)に到達した場合には、流量調節弁制御部24は第1モードを実行するように構成されており、第1モードの実行により、流量調節弁18を通過する燃料の流量、すなわち、燃焼器3への燃料の供給量を安定して制御することができる。
【0044】
また、図3の燃料制御方法、及び、当該燃料制御方法を実行可能な燃料制御装置10では、開度Opcvが閾値Othを超えると開度指令Cvが補正されるが、図4に示したような関数f(x)によって構成される補正係数を採用することによって、計測圧力P2の重みを連続的に変化させることで、流量調節弁18の開度Ofcvの急激な変化を抑制することができる。このため、燃焼器3への燃料の供給量を安定して制御することができる。
【0045】
幾つかの実施形態では、図2に示したように、流量調節弁制御部24は、開度指令Cvを演算するように構成された開度指令演算部26と、開度指令Cvを補正するように構成された開度指令補正部28を有する。開度指令補正部28は、補正係数を設定するように構成された補正係数設定部30を有し、補正係数設定部30は、関数f(x)に圧力調節弁16の開度Opcvを代入することにより補正係数を設定可能である。なお、補正係数設定部30で使用される圧力調節弁16の開度Opcvは、設定値及び測定値のいずれであってもよい。そして、流量調節弁制御部24は、流量調節弁操作部32を有し、流量調節弁操作部32は、第1モードでは開度指令Cvに基づいて流量調節弁18の開度Ofcvを調整し、第2モードでは補正開度指令Cv’に基づいて流量調節弁18の開度Ofcvを調整ように構成されている。
【0046】
また、幾つかの実施形態では、図2に示したように、圧力調節弁制御部22は、フィードバック機能を有し、目標圧力Ptと計測圧力P2との偏差を演算するように構成された減算器34と、減算器34によって得られた偏差に基づいて圧力調節弁16の操作量を演算するように構成された操作量演算部36と、操作量演算部36によって演算された操作量に基づいて圧力調節弁16を操作する圧力調節弁操作部38とを有する。
例えば、圧力調節弁操作部38及び流量調節弁操作部32はアクチュエータによって構成され、圧力調節弁操作部38及び流量調節弁操作部32を除く圧力調節弁制御部22及び流量調節弁制御部24の部分はコンピュータによって構成される。
【0047】
図5は、他の実施形態に係るガスタービン1のための燃料制御方法の概略的な手順を示すフローチャートであり、図6は、図5の燃料制御方法に適用される変化レートの制限を説明するためのチャートである。図5の燃料制御方法は、図3の制御方法の変形例であり、図3の制御方法と比較した場合、変化レート設定判定ステップS18と、変化レート設定ステップS20とを更に備えている。
【0048】
変化レート設定判定ステップS18では、変化レートの設定が必要であるか否かが判定される。具体的には、目標圧力Ptと計測圧力P2との偏差の絶対値が、所定の変化幅ΔPthよりも大きいか否かが判定される。変化幅ΔPthは、例えば、タービン1の必要最低圧力や、ガスタービン1を緊急停止させるインターロック値等に基づいて設定される。
【0049】
変化レート設定判定ステップS18の判定結果が肯定的である場合、変化レート設定ステップS20が実行される。変化レート設定ステップでは、変化レートが設定される。変化レートは、単位時間当たりの流量調節弁18の開度Ofcvの変化量の上限値である。変化レート設定ステップS20で変化レートが設定されると、流量調節弁18の開度Ofcvの単位時間当たりの変化量が変化レートを超えないように、補正開度指令Cv’が更に補正される。
一方、変化レート設定判定ステップS18の判定結果が否定的である場合、変化レート設定ステップS20が実行されず、変化レートが設定されない。このため、補正開度指令Cv’に基づいて、流量調節弁18の開度Ofcvが制御される。
【0050】
幾つかの実施形態では、図2に示したように、燃料制御装置10の開度指令補正部28は変化レート設定部40を更に有し、変化レート設定部40が、変化レート設定判定ステップS18及び変化レート設定ステップS20を実行するように構成される。
【0051】
上述した図5の燃料制御方法、及び、当該燃料制御方法を実行可能な燃料制御装置10では、第2モードにおいて、目標圧力Ptと計測圧力P2の差が閾値である変化幅ΔPthを超えた場合、流量調節弁18の開度Ofcvの単位時間当たりの変化量(変化レート)が制限される。このため、計測圧力P2が大きく変化する場合でも、流量調節弁18の開度Ofcvの急激な変化を抑制することができ、燃焼器3への燃料の供給量を安定して制御することができる。
なお、変化レート設定ステップS20で設定される変化レート(変化レートの上限値)は、シミュレーション等により予め求めておくことができる。
【0052】
図7は、他の実施形態に係るガスタービン1のための燃料制御方法の概略的な手順を示すフローチャートであり、図8は、図7の燃料制御方法に適用される圧力調節弁16の開度Opcvに関する条件の一例を示すグラフである。
図7の燃料制御方法では、開度指令補正ステップS12において、図4とは異なる関数f(x)が用いられている。図8は、図7の制御方法で用いられる関数f(x)を概略的に示しており、図8の関数f(x)では、開度指令補正開始判定ステップS10及び開度指令補正終了判定ステップS14でそれぞれ用いられる上限値Oth1と下限値Oth2が相互に異なっている。上限値Oth1は下限値Oth2よりも大きく、そして、関数f(x)は、圧力調節弁16の開度Opcvが0%〜90%では0であり、80%〜100%では1であり、重複範囲である80%〜90%では、ヒステリシスを描いている。
【0053】
図7に示した燃料制御方法、及び、該燃料制御方法を実行可能な燃料制御装置10によれば、上限値Oth1が下限値Oth2よりも大きく、ヒステリシスをもって第1モードと第2モードの間での移行が行われるので、モードが頻繁に変更されることが抑制される。この結果として、燃焼器3への燃料の供給量を安定して制御することができる。
【0054】
幾つかの実施形態では、図7に示したように、燃料制御方法は、変化レート設定ステップS22を更に備えている。この場合、変化レート設定ステップS22で設定された変化レートにて流量調節弁18の開度Ofcvが変化させられる。
図7に示した燃料制御方法、及び、該燃料制御方法を実行可能な燃料制御装置10では、第1モードと第2モードの間の移行の際、流量調節弁18の開度Ofcvが、変化レート設定ステップS22にて設定された所定の変化レートに対応して緩徐に変更される。この結果として、流量調節弁18の開度Ofcvの急激な変更が抑制され、燃焼器3への燃料の供給量を安定して制御することができる。
【0055】
なお、変化レート設定ステップS22は、開度指令補正ステップS12よりも前に実行されればよい。また、開度Ofcvが増加するときの変化レートと減少するときの変化レートは、相互に同一であっても異なっていても良い。或いは、開度指令補正ステップS12での変化レートと開度指令補正終了ステップS16での変化レートは、相互に同一であっても異なっていても良い。変化レート設定ステップS22で設定される変化レート(変化レートの上限値)は、シミュレーション等により予め求めておくことができる。
変化レート設定ステップS22は、例えば、変化レート設定部40によって行われる。
【0056】
ここで、図9は、図8の補正係数及び変化レートを用いた場合における、補正係数f(x)及び流量調節弁18の開度Ofcvの時間的な変化の一例を示すチャートである。図9の例では、第2モードの開始とともに、流量調節弁18の開度Ofcvが、第1モードでの開度Ofcv1から第2モードでの開度Ofcv2へと変化レートに従って徐々に変化し、第2モードの終了とともに、第2モードでの開度Ofcv2から第1モードでの開度Ofcv1へと変化レートに従って徐々に変化する。
【0057】
図10は、他の実施形態に係る燃料制御装置10の構成を概略的に示している。図11は、図10の燃料制御装置10が実行可能な燃料制御方法の概略的な手順を示している。図12は、図10の燃料制御装置の動作を説明するためのチャートである。
【0058】
幾つかの実施形態では、流量調節弁制御部24は、少なくとも1つの条件が満たされている場合に第2モードを選択して実行するように構成され、少なくとも1つの条件は、圧力調節弁16に供給される燃料の圧力の変動に関する条件を含む。
燃料の圧力の変動に関する情報とは、例えば、ガスコンプレッサ12のトリップ、ガスタービン1のランバック(出力低下)、或いは、発電機6が接続された電力網での周波数変動等に関する情報である。これらの情報は、例えば、図10に示したように、運転条件急変指令として、燃料制御装置10に入力される。
【0059】
図11の燃料制御方法は、運転条件急変判定ステップS30及びS32を更に備えている点において図7の燃料制御方法と異なっている。各運転条件急変判定ステップS30及びS32では、運転条件急変指令が入力されたか否かが判定される。運転条件急変判定ステップS30は第1モードの実行中に行われ、運転条件急変判定ステップS32は第2モードの実行中に行われる。
【0060】
第1モードの実行中、運転条件急変判定ステップS30の判定結果が肯定的である場合、すなわち、圧力調節弁16に供給される燃料の圧力が変動している場合、或いは、変動しようとしている場合、第2モードへの移行が禁止される。
一方、第2モードの実行中、運転条件急変判定ステップS32の判定結果が肯定的である場合、開度指令補正終了判定ステップS14がスキップされ、開度指令補正終了ステップS16が行われる。つまり、運転条件急変判定ステップS32の判定結果が肯定的である場合、流量調節弁18の開度Ofcvに関係無く、開度指令Cvの補正が終了させられる。
なお、開度指令Cvの補正が終了する際、開度Ofcvは、所定の変化レートに従って変化させられる。
【0061】
図11の燃料制御方法、及び、当該燃料制御方法を実行可能な燃料制御装置10では、流量調節弁制御部24が、圧力調節弁16に供給される燃料の圧力の変動に応じて第2モードを選択して実行するように構成されており、第2モードの実行によって燃焼器3への燃料の供給量を的確に制御しながら、圧力調節弁16に供給される燃料の圧力の変動が大きい場合には、第2モードの実行を制限することができる。
【0062】
ここで、図12は、図11の燃料制御方法の実行中にガスタービン1の運転条件が急変したとき、例えばガスコンプレッサ12がトリップしたときの、燃料流量指令、圧力調節弁16に供給される燃料の圧力P1、及び、計測圧力P2の時間的な変化を概略的に示すチャートである。
図12に示したように、第1モードの実行中、ガスタービン1の運転条件が急変し、燃料流量指令が急激に減少するような場合、第2モードは実行されない。或いは、第2モードの実行中、ガスタービン1の運転条件が急変した場合、第2モードから第1モードに移行する。
【0063】
図12に示したようにガスタービン1の運転条件が急変した場合、第2モードの実行を制限すれば、流量調節弁18の開度Ofcvが過剰に大きくなることが抑制される。このため、流量調節弁18の出口での燃料の圧力低下が抑制される。これにより、流量調節弁18の出口での燃料の圧力低下によるガスタービン1の緊急停止を防止することができる。
【0064】
幾つかの実施形態では、図10に示したように、燃料制御装置10は、圧力調節弁16に供給される燃料の圧力を測定可能な圧力計42を更に備えている。
この場合、燃料制御装置10は、運転条件急変指令に代えて、圧力計42によって測定された燃料の圧力P1に基づいて、運転条件急変判定ステップS30及びS32を行うことができる。
【0065】
図13は、他の実施形態に係る燃料制御装置10の構成を概略的に示している。図14は、図13の燃料制御装置10が実行可能な燃料制御方法の概略的な手順を示している。図15は、図13の燃料制御装置10の動作を説明するためのチャートである。
【0066】
幾つかの実施形態では、燃料制御装置10の圧力調節弁制御部22は、目標圧力Ptを補正する目標圧力補正部44を更に有している。目標圧力補正部44は、ガスタービン1の運転条件が変化する場合に、目標圧力Ptとして計測圧力P2を用いるように構成されている。
【0067】
図14は、図13の燃料制御装置10が実行可能な燃料制御方法の概略的な手順を有しており、図14の燃料制御方法は、図11の燃料制御方法と比べたときに、目標圧力補正ステップS34、目標圧力補正実行判定ステップS36、運転条件回復判定ステップS38、目標圧力補正終了ステップS40を更に有し、運転条件急変判定ステップS32を有していない。
【0068】
図14の燃料制御方法では、第1モードの実行中、運転条件急変判定ステップS30の判定結果が肯定的になった場合、目標圧力補正ステップS34が実行される。目標圧力補正ステップS34では目標圧力Ptが補正される。具体的には、目標圧力Ptとして計測圧力P2が採用され、目標圧力Ptが計測圧力P2に追従又は一致するように補正される。そして、補正された目標圧力Pt’に基づいて、圧力調節弁16の開度Opcvが制御される一方、流量調節弁18の開度Ofcvが制御される。
具体的には、上述した式(1)を用いて容量係数Cvを演算する際に、目標圧力Ptに代えて補正された目標圧力Pt’が用いられる。
【0069】
目標圧力補正実行判定ステップS36では、目標圧力Ptが補正されているか否かが判定される。目標圧力補正実行判定ステップS36の判定結果が否定的なものである場合、運転条件急変判定ステップS30が実行され、肯定的なものである場合、運転条件回復判定ステップS38が実行される。
運転条件回復判定ステップS38では、ガスタービン1の運転条件が回復したか否かが判定される。運転条件回復判定ステップS38の判定結果が否定的なものである場合、運転条件急変判定ステップS30が実行され、肯定的である場合、目標圧力補正終了ステップS40が行われる。
目標圧力補正終了ステップS40では、目標圧力Ptの補正が終了され、補正されていない目標圧力Ptを用いて圧力調節弁16が制御され、上記式(1)で容量係数Cvが演算される。
【0070】
ガスタービン1の運転条件の急変により、圧力調節弁16に供給される燃料の圧力が大きく変動した場合、圧力調節弁16による圧力調整が追い付かず、計測圧力P2と目標圧力Ptとの差が大きくなることがある。このような場合、第1モードにて目標圧力Ptに基づいて流量調節弁18の開度Ofcvを調整しているときに、第1モードから第2モードへとモードを変更し、第2モードにて計測圧力に基づいて流量調節弁18の開度Ofcvを調整すると、開度Ofcvが急激に変化してしまう。
【0071】
この点、図14の燃料制御方法、及び、当該燃料制御方法を実行可能な燃料制御装置10によれば、ガスタービン1の運転条件の急変を検知した場合に、目標圧力Ptとして計測圧力P2を用いて、圧力調節弁16を制御するとともに、流量調節弁18の開度指令を演算するように構成されているので、第1モードと第2モードの間でのモードの移行の前後で、流量調節弁18の開度Ofcvが急激に変化することを抑制することができる。この結果として、燃焼器3への燃料の供給量を安定して制御することができる。
【0072】
ここで、図15は、図14の燃料制御方法の実行中にガスタービン1の運転条件が急変したとき、例えばガスコンプレッサ12がトリップしたときの、燃料流量指令、圧力調節弁16に供給される燃料の圧力P1、及び、計測圧力P2の時間的な変化を概略的に示すチャートである。
図15に示したように、第1モードの実行中、ガスタービン1の運転条件が急変し、燃料流量指令が急激に減少するような場合、目標圧力PtがPt’へと補正される。補正された目標圧力Pt’を用いて演算された開度指令Cvを、図3又は図5の燃料制御方法と同様に補正することで、流量調節弁18の開度Ofcvが急激に変化することを抑制しながら、燃焼器3への燃料の供給量を安定して制御することができる。
【0073】
本発明は上述した実施形態に限定されることはなく、上述した実施形態に変更を加えた形態や、これらの形態を組み合わせた形態も含む。
【符号の説明】
【0074】
1 ガスタービン
2 圧縮機
3 燃焼器
4 タービン
6 発電機(外部機器)
10 燃料制御装置
12 ガスコンプレッサ
14 供給路
16 圧力調節弁
18 流量調節弁
20 圧力計
22 圧力調節弁制御部
24 流量調節弁制御部
26 開度指令演算部
28 開度指令補正部
30 補正係数設定部
32 流量調節弁操作部
34 減算器
36 操作量演算部
38 圧力調節弁操作部
40 変化レート設定部
42 圧力計
44 目標圧力補正部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15