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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2016-211695(P2016-211695A)
(43)【公開日】2016年12月15日
(54)【発明の名称】電磁クラッチ
(51)【国際特許分類】
   F16D 27/118 20060101AFI20161118BHJP
【FI】
   F16D27/10 361
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2015-97434(P2015-97434)
(22)【出願日】2015年5月12日
(71)【出願人】
【識別番号】000001247
【氏名又は名称】株式会社ジェイテクト
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】裏 則岳
(57)【要約】
【課題】電磁コイルの大型化や消費電力の増大を抑えながら吸着力の増大を図ることのできる電磁クラッチを提供する。
【解決手段】電磁クラッチ10は、同軸上に配置される入力軸14と出力軸15の二軸と、これら二軸の間で回転の伝達と遮断とを機械的に切り替える機械機構部12とを備えている。また、電磁クラッチ10は、上記二軸に対して移動不能な電磁コイル20と、電磁コイル20の入力軸14側であって上記二軸の軸方向に移動可能な入力側吸着物23と、電磁コイル20の出力軸15側であって上記二軸の軸方向に移動可能な出力側吸着物24とを備える。そして、電磁コイル20の通電時、各吸着物23,24が入力軸14と一体回転するなかで、電磁コイル20に対して回転可能に構成されている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
同軸上に配置される入力軸と出力軸の二軸と、前記二軸の間で回転の伝達と遮断とを機械的に切り替える機械機構部とを備え、電磁力を用いて前記機械機構部の切り替えを行うことによって前記二軸の間でトルクの伝達と遮断とを可能にする電磁クラッチにおいて、
前記電磁力の発生源であって、前記二軸に対して移動不能に設けられてなる電磁コイルと、
前記電磁コイルの通電によって磁気回路を形成することで前記機械機構部の切り替えに供されるとともに、前記電磁コイルの同軸上かつ前記二軸の軸方向に移動可能に設けられてなる第1吸着物と、
前記電磁コイルの通電によって磁気回路を形成することで前記機械機構部の切り替えに供されるとともに、前記電磁コイルに対して前記第1吸着物の逆側において該電磁コイルの同軸上かつ前記二軸の軸方向に移動可能に設けられてなる第2吸着物と、を備え、
前記第1吸着物及び前記第2吸着物は、前記電磁コイルの通電時、前記二軸のうち前記入力軸と一体回転するなかで、前記電磁コイルに対して回転可能に構成されることを特徴とする電磁クラッチ。
【請求項2】
前記第1吸着物及び前記第2吸着物は、前記電磁コイルの通電によって前記電磁コイルへの吸着後、前記電磁コイルとの間に隙間を有するように構成される請求項1に記載の電磁クラッチ。
【請求項3】
前記二軸のうち前記入力軸の外周には、前記電磁コイルの通電によって前記電磁コイルに対する前記第1吸着物及び前記第2吸着物の吸着後、前記電磁コイルとの間に隙間を有するように前記第1吸着物及び前記第2吸着物の移動を規制する移動規制部が形成される請求項2に記載の電磁クラッチ。
【請求項4】
前記第1吸着物及び前記第2吸着物の前記電磁コイル側には、前記電磁コイルの通電によって前記電磁コイルに対する前記第1吸着物及び前記第2吸着物の吸着後、前記電磁コイルに対して前記第1吸着物及び前記第2吸着物をすべり回転可能にするすべり構造を有する請求項1に記載の電磁クラッチ。
【請求項5】
前記機械機構部は、前記電磁コイルの通電及び非通電に応じた前記第1吸着物及び前記第2吸着物の前記二軸の軸方向の移動を、前記二軸の径方向の動きに変換する変換機構を有し、
前記変換機構は、前記二軸の径方向の動きによって前記二軸の間で回転の伝達と遮断とを機械的に切り替えるように構成された請求項1〜請求項4のうちいずれか一項に記載の電磁クラッチ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電磁クラッチに関する。
【背景技術】
【0002】
同軸上に配置される入力軸と出力軸の二軸の間で回転の伝達と遮断とを電磁力を用いて切り替えることで、二軸の間でトルクの伝達と遮断とを可能にした電磁クラッチがある。こうした電磁クラッチとしては、特許文献1に記載のものが知られている。特許文献1には、電磁コイルに非通電の状態で上記二軸の間で回転が伝達され、電磁コイルに通電することで電磁コイルの吸着方向にアーマチュアを移動させることによって上記二軸の間で回転の伝達が遮断されることが開示されている。こうしたアーマチュアは、電磁コイルの一側面に配置されているとともに、電磁コイルに対して所定の間隔をあけて配置されている。この所定の間隔は、電磁コイルの吸着方向にアーマチュアが移動するストローク量になる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2013−92191号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年では、電磁コイルに通電することでアーマチュアを吸着させる吸着力を小さくすることなく電磁コイルとアーマチュアとのストローク量を大きくしたいとの要望もある。ただし、電磁コイルに通電することでアーマチュアを吸着させる吸着力、すなわち電磁力は、電磁コイルとアーマチュアとの間隔(ストローク量に一致する)の二乗の逆数に比例することが知られている。つまり、電磁コイルとアーマチュアとのストローク量を大きくする場合、電磁コイルとアーマチュアとの間隔が大きくなり、二乗の逆数に比例して電磁力が小さくなる。そのため、上記要望に対しては、電磁コイルのコイル巻数を増やしたり、電磁コイルに通電する電力を大きくしたりして対処するしかなく、電磁コイルの大型化や消費電力の増大の回避が困難である。
【0005】
本発明は、こうした実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、電磁コイルの大型化や消費電力の増大を抑えながら吸着力の増大を図ることのできる電磁クラッチを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、電磁クラッチは、同軸上に配置される入力軸と出力軸の二軸と、二軸の間で回転の伝達と遮断とを機械的に切り替える機械機構部とを備えている。こうした電磁クラッチは、電磁力を用いて機械機構部の切り替えを行うことによって二軸の間でトルクの伝達と遮断とを可能にしている。そして、上記電磁クラッチは、電磁力の発生源であって、二軸に対して移動不能に設けられてなる電磁コイルを備えている。また、上記電磁クラッチは、電磁コイルの通電によって磁気回路を形成することで機械機構部の切り替えに供されるとともに、電磁コイルの同軸上かつ二軸の軸方向に移動可能に設けられてなる第1吸着物を備えている。また、上記電磁クラッチは、電磁コイルの通電によって磁気回路を形成することで機械機構部の切り替えに供されるとともに、電磁コイルに対して第1吸着物の逆側において該電磁コイルの同軸上かつ二軸の軸方向に移動可能に設けられてなる第2吸着物を備えている。またさらに、上記電磁クラッチにおいて、第1吸着物及び第2吸着物は、電磁コイルの通電時、二軸のうち入力軸と一体回転するなかで、電磁コイルに対して回転可能に構成されている。
【0007】
上記構成によれば、電磁コイルでは、その両側において電磁力を発生させてそれぞれの側に設けられる各吸着物を吸着することができる。これにより、電磁コイルの一方側に配置された吸着物を吸着する上記従来例に比べて、電磁コイルが第1吸着物及び第2吸着物をそれぞれ吸着する吸着力を減少させることなく第1吸着物及び第2吸着物のストローク量を合わせた吸着物としての全ストローク量を増大させることができる。
【0008】
例えば、電磁コイルが第1吸着物及び第2吸着物をそれぞれ吸着する吸着力を上記従来例において電磁コイルが吸着物を吸着する吸着力と同じ大きさに設定する場合、第1吸着物及び第2吸着物の上記全ストローク量を上記従来例における吸着物のストローク量よりも増大させることができる。
【0009】
また、上記構成のように、電磁コイルの両側において電磁力を発生させてそれぞれの側に設けられる各吸着物を吸着する場合、上記従来例に比べて、第1吸着物及び第2吸着物の上記全ストローク量を減少させることなく電磁コイルが第1吸着物及び第2吸着物をそれぞれ吸着する吸着力を増大させることにも好適に順応することができる。
【0010】
例えば、第1吸着物及び第2吸着物の上記全ストローク量を上記従来例における吸着物のストローク量と同じ量に設定する場合、電磁コイルが第1吸着物及び第2吸着物をそれぞれ吸着する吸着力を上記従来例において電磁コイルが吸着物を吸着する吸着力よりも増大させることができる。
【0011】
ただし、電磁コイルの通電時には、電磁コイルに対して各吸着物が接触してしまう場合、その接触が入力軸の回転を妨げる制動力として作用してしまう。こうした作用は、電磁コイルによる吸着力が大きいほど強く作用することとなり、増大の図られた折角の吸着力が有効に活用されているとは言い難い。
【0012】
そこで、上記構成では、増大させた吸着力を有効に活用すべく、電磁コイルの通電時、第1吸着物及び第2吸着物が電磁コイルに対して回転可能に構成している。この場合、第1吸着物及び第2吸着物が入力軸とともに回転したとしても、こうした回転が電磁コイルへの接触によって妨げられてしまうことを抑えることができる。したがって、電磁コイルの大型化や消費電力の増大を抑えながら吸着力の増大を図ることができる。
【0013】
上記回転させるための構成として、具体的に、第1吸着物及び第2吸着物は、電磁コイルの通電によって電磁コイルへの吸着後、電磁コイルとの間に隙間を有するようにすることができる。この場合、電磁コイルに対して各吸着物が物理的に接触しないこととなるので、電磁クラッチとしての動作をより好適に行うことができる。
【0014】
そして、二軸のうち入力軸の外周には、電磁コイルの通電によって電磁コイルに対する第1吸着物及び第2吸着物の吸着後、電磁コイルとの間に隙間を有するように第1吸着物及び第2吸着物の移動を規制する移動規制部が形成されることが好ましい。
【0015】
上記構成によれば、電磁コイルと移動吸着物との間に隙間を有するように構成する場合、入力軸についてのみ構成を変更すれば済むこととなり、該入力軸以外にまで構成の変更が及ぶことが抑制される。したがって、電磁クラッチとしての動作の担保が容易に叶うようになる。
【0016】
その他、上記回転させるための構成の具体例として、第1吸着物及び第2吸着物の電磁コイル側には、電磁コイルの通電によって電磁コイルに対する第1吸着物及び第2吸着物の吸着後、電磁コイルに対して第1吸着物及び第2吸着物をすべり回転可能にするすべり構造を有するようにすることができる。この場合、電磁コイルに対して各吸着物が直接的に接触しないこととなるので、電磁クラッチとしての動作をより好適に行うことができる。
【0017】
上記電磁クラッチにおいて、機械機構部は、電磁コイルの通電及び非通電に応じた第1吸着物及び第2吸着物の二軸の軸方向の移動に基づく動きを、二軸の径方向の動きに変換する変換機構を有し、変換機構は、二軸の径方向の動きによって二軸の間で回転の伝達と遮断とを機械的に切り替えるように構成されることが好ましい。
【0018】
上記構成では、機械機構の構成として種々の構成が考えられるなかで電磁コイルの通電及び非通電に応じた各吸着物の二軸の軸方向の移動を、二軸の径方向の動きに変換する変換機構を採用することとした。こうした変換機構であれば、各吸着物の二軸の軸方向の移動を、二軸の間における回転の伝達と遮断との切り替えに効率よく反映させることができる。したがって、機械機構部の高効率化によって電磁コイルの大型化や消費電力の増大を抑えることができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、電磁コイルの大型化や消費電力の増大を抑えながら吸着力の増大を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】第1実施形態の電磁クラッチの構成を示す断面図。
図2】同じく第1実施形態の電磁クラッチの構成を示す断面図。
図3】第1実施形態の電磁クラッチについてその電磁コイル部と機械機構部の構成を示す斜視図。
図4】同じく第1実施形態の電磁クラッチについてその電磁コイル部と機械機構部の構成を示す斜視図。
図5図3のV−V線断面を模式的に示す断面図。
図6図4のVI−VI線断面を模式的に示す断面図。
図7】第2実施形態の電磁クラッチについてその電磁コイル部の構成を示す断面図。
【発明を実施するための形態】
【0021】
(第1実施形態)
以下、電磁クラッチの第1実施形態について説明する。本実施形態の電磁クラッチは、例えば、車両に搭載されるステアリング装置であって、運転者が操作するステアリングホイールが設けられるステアリングシャフトと転舵輪との機械的な連結を解除可能にされる、所謂、ステアバイワイヤシステムにおいて、その機械的な連結とその解除をするために用いられる。
【0022】
図1に示すように、電磁クラッチ10は、電磁力を発生させる電磁コイル部11と、該電磁力を用いて機械的な連結とその解除の切り替えを行う機械機構部12とを含む各種部品を収容する円筒状のハウジング13を備える。ハウジング13には、その円筒の軸線Lの同軸上に配置される入力軸14と出力軸15の二軸がそれぞれ反対側から挿入される。ハウジング13は、入力軸14が挿入される側に配置される第1ハウジング13aと、出力軸15が挿入される側に配置される第2ハウジング13bとに分割される。以下の説明において、「軸方向」は入力軸14と出力軸15の二軸の軸長方向を意味し、「径方向」は「軸方向」に直交する方向を意味し、「周方向」は「軸方向」を中心に回転する方向を意味する。
【0023】
入力軸14には、電磁クラッチ10が伝達するトルク(回転)の入力元となるトルク発生軸の軸端が一体回転可能にスプライン結合等によって結合される。出力軸15には、電磁クラッチ10が伝達するトルク(回転)の出力先となるトルク伝達軸の軸端が一体回転可能にスプライン結合等によって結合される。例えば、トルク発生軸は上記ステアリング装置のステアリングシャフトである。また、トルク伝達軸は上記ステアリング装置のピニオンシャフトである。なお、入力軸14及び出力軸15は、一体回転と相対回転とが切り替えられることによってトルクの伝達と遮断とが可能になる。
【0024】
第1ハウジング13aに挿入される入力軸14の外周には、円筒状の入力側回転部材16が外挿される。入力側回転部材16の出力軸15側の端部16aの径方向外側には、端部16aを囲むように円筒状の出力側回転部材17が配置される。出力側回転部材17は、出力軸15の第2ハウジング13bに挿入される側の端部15aが該第2ハウジング13bの内壁に沿って延設されてなる。出力側回転部材17(出力軸15の端部15a)は、第1ハウジング13a近傍まで延びている。なお、入力軸14は、第1ハウジング13aの内周に固定される軸受18aによって回転自在に支持される。また、入力側回転部材16は、出力側回転部材17の内周に固定される軸受18bによって回転自在に支持される。また、出力側回転部材17は、第2ハウジング13bの出力軸15の挿入口付近に固定される軸受18cによって回転自在に支持される。また、入力側回転部材16及び出力側回転部材17は、ハウジング13に対して軸方向に移動不能に支持される。
【0025】
入力側回転部材16(入力軸14)の径方向外側には、電磁コイル部11及び機械機構部12がそれぞれ構築される。電磁コイル部11及び機械機構部12は、入力軸14の軸方向に沿って並べて配置されるとともに、入力軸14側に電磁コイル部11、出力軸15側に機械機構部12がそれぞれ配置される。
【0026】
ここで、電磁コイル部11の構成について詳しく説明する。
図1及び図2に示すように、電磁コイル部11は、通電によって電磁力を発生させる電磁コイル20を有する。なお、電磁コイル20には、電力供給線20aを介して電力の供給源たるインバータ等を含む外部電源が電気的に接続される。電磁コイル20の通電及び非通電は、電磁クラッチ10の外部において電力供給線20aの先に接続される制御装置によって制御される。なお、制御装置は、例えば、ステアリング装置の操作状態や該ステアリング装置が搭載される車両の走行状態に応じて電磁コイル20の通電及び非通電を制御する。本実施形態では、入力軸14及び出力軸15を一体回転させることによってこれらの間でトルクを伝達させる場合、制御装置によって電磁コイル20が非通電とされる。また、入力軸14及び出力軸15を相対回転させることによってこれらの間でトルクの伝達を遮断する場合、制御装置によって電磁コイル20が通電とされる。
【0027】
電磁コイル20は、樹脂製のボビンに外部電源から供給される電流が流れる巻線21を巻回して構成される。巻線21は、鉄等の強磁性体からなる環状のヨーク22によって保持される。ヨーク22は、入力軸14及び出力軸15の径方向外側、かつ上記二軸(軸線L)の同軸上に配置される。つまり、電磁コイル20は、入力軸14及び出力軸15の径方向外側、かつ上記二軸(軸線L)の同軸上に配置される。ヨーク22は、第1ハウジング13aの内周面に嵌合されることによって、第1ハウジング13aに対してその軸方向及び径方向に移動不能に設けられる。また、電磁コイル20は、第1ハウジング13aに対してその周方向に回転不能でもある。なお、電磁コイル20は、入力側回転部材16(入力軸14)に対して離間もしている。
【0028】
電磁コイル20の上記二軸の軸方向の両側には、鉄等の強磁性体からなる環状の第1吸着物としての入力側吸着物23と、同じく鉄等の強磁性体からなる環状の第2吸着物としての出力側吸着物24とが設けられる。入力側吸着物23は、電磁コイル20の軸方向の入力軸14側に配置される。出力側吸着物24は、電磁コイル20の軸方向の出力軸15側に配置される。入力側吸着物23及び出力側吸着物24は、入力側回転部材16(入力軸14)の径方向外側、かつ軸線Lの同軸上に配置される。
【0029】
各吸着物23,24は、入力側回転部材16の外周面にスプライン嵌合することによって、入力側回転部材16(入力軸14)に対してその軸方向に移動可能にそれぞれ設けられる。すなわち、各吸着物23,24はアーマチュアである。各吸着物23,24の内周には、径方向内側に突出するスプライン嵌合部23a,24aがそれぞれ形成される。各スプライン嵌合部23a,24aは、各吸着物23,24の軸方向に延びるように形成される。また、入力側回転部材16の外周面には、その径方向内側に削られるスプライン嵌合溝16b,16cが形成される。各スプライン嵌合溝16b,16cは、各スプライン嵌合部23a,24aのそれぞれに対向して形成される。
【0030】
スプライン嵌合溝16bは、スプライン嵌合部23a、すなわち入力側吸着物23に対向配置されるとともに、電磁コイル20の入力軸14側に形成される。スプライン嵌合溝16cは、スプライン嵌合部24a、すなわち出力側吸着物24に対向配置されるとともに、電磁コイル20の出力軸15側に形成される。各スプライン嵌合溝16b,16cは、入力側回転部材16の軸方向に延びるように形成される。各スプライン嵌合部23a,24aは、それぞれ対向配置される各スプライン嵌合溝16b,16cに嵌合される。これにより、各吸着物23,24は、入力側回転部材16、すなわち入力軸14及び出力軸15に対してその軸方向に移動可能になる。また、各吸着物23,24は、入力側回転部材16、すなわち入力軸14と一体回転可能でもある。なお、各吸着物23,24は、第1ハウジング13aに対して離間もしている。
【0031】
また、入力側吸着物23の電磁コイル20側の面には、その周方向に等間隔をあけて複数(本実施形態では3つ)の入力側アーム部23bが形成される。入力側アーム部23bは、入力側吸着物23の軸方向に延びるように形成される。入力側アーム部23bは、その全体がクランク状をなし、電磁コイル20と入力側回転部材16との間を通過して延びるとともに、出力側吸着物24に形成される通過孔24dを通過して延びる。そして、入力側アーム部23bは、機械機構部12の内部まで延びる。
【0032】
また、出力側吸着物24の電磁コイル20側の反対側の面には、その周方向に等間隔をあけて複数(本実施形態では入力側アーム部23bと同じく3つ)の出力側アーム部24bが形成される。出力側アーム部24bは、出力側吸着物24の軸方向に延びるように形成される。出力側アーム部24bは、その全体が直線状をなし、機械機構部12の内部まで延びる。
【0033】
また、入力側回転部材16の外周であって、電磁コイル20のヨーク22の内周面との間には、移動規制部としての円筒状のロータ部25が外挿される。ロータ部25は、各吸着物23,24のそれぞれの軸方向の移動を通じて各吸着物23,24に対してその軸方向で接触可能な構成及び配置をなす。また、ロータ部25は、各吸着物23,24と接触する場合、電磁コイル20に接触しないように各吸着物23,24の移動を規制する構成及び配置をなす。
【0034】
次に、機械機構部12の構成について詳しく説明する。なお、以下の説明で用いる図1及び図3は、電磁コイル20の非通電時であって、入力軸14及び出力軸15を一体回転させてこれらの間でトルクを伝達させるように切り替えられた電磁クラッチ10の状態を示す。また、図2及び図4は、電磁コイル20の通電時であって、入力軸14及び出力軸15を相対回転させてこれらの間でトルクの伝達を遮断するように切り替えられた電磁クラッチ10の状態を示す。
【0035】
図1図4に示すように、入力側回転部材16の出力側回転部材17に囲まれる部分の外周であって、出力側回転部材17の内周面との間には、変換機構としてのカム機構30が設けられる。カム機構30は、円筒状のカム本体31を備える。カム本体31は、入力側回転部材16に外挿される。カム本体31の外周には、その周方向において異なる複数の傾斜が組み合わせられてなるカム溝31aが形成される。カム溝31aは、出力側回転部材17の内周面との間で、径方向の幅が変化する溝である。カム溝31aは、その径方向の幅が比較的狭い幅狭部と、幅狭部よりも径方向の幅が広い一対の幅広部とからなるカム部31bを有する。幅狭部の周方向の両側には、傾斜の勾配が正負の関係をなす一対の幅広部が配置される。こうしたカム部31bは、カム溝31aの周方向に等間隔をあけて複数個所(本実施形態では3箇所)設けられる。
【0036】
各カム部31bには、一対の棒状のローラ32がそれぞれ設けられる。各ローラ32は、その軸長方向がカム機構30の軸方向に一致するように設けられるとともに、カム溝31a内をその周方向に移動可能に設けられる。各ローラ32は、各カム部31bの幅狭部と幅広部との間に跨って一つずつ配置されるとともに、幅狭部と幅広部との間を周方向にそれぞれ移動可能に設けられる。カム部31bの各ローラ32は、カム溝31a内をその周方向に互いに異なる方向に移動する。各ローラ32は、各カム部31bの幅狭部においてカム機構30の径方向外側に移動することによって、出力側回転部材17の内周面に当接するように配置される。一方、各ローラ32は、各カム部31bの幅広部においてカム機構30の径方向内側に移動することによって、出力側回転部材17の内周面に対して離間するように配置される。
【0037】
ここで、カム機構30と、その周辺の構成についてさらに詳しく説明する。
図3及び図4に示すように、カム機構30の各カム部31bにおいて、各ローラ32の間には、入力側アーム部23bと出力側アーム部24bとが挟み込まれるように配置される。入力側アーム部23b及び出力側アーム部24bは、カム機構30の軸方向の異なる側に尖った楔状にそれぞれ形成される。各アーム部23b,24bは、各カム部31bにおいてカム機構30の周方向に沿って並べて配置されるとともに、カム機構30の周方向に沿って交互に並べて配置される。各アーム部23b,24bの対向面は、カム機構30の軸方向に対して所定角度を有する。
【0038】
また、隣り合う各カム部31bの間で互いに対向する各ローラ32は、コイルばね等の付勢部材33によって連結される。付勢部材33は、隣り合う各カム部31bの間で互いに対向する各ローラ32をカム機構30の周方向において離間する方向に付勢する。つまり、各カム部31bの各ローラ32は、互いに近付く方向であって、カム溝31aにおける幅狭部側に付勢される。そのため、各カム部31bの各ローラ32は、これらの間に挟み込まれる各アーム部23b,24bを近付ける方向に付勢する。この場合、各アーム部23b,24bは、互いの対向面に沿ってカム機構30の軸方向の異なる側にずれるずれ方向にそれぞれ付勢される。なお、各アーム部23b,24bがずれ方向にそれぞれ移動する場合、各吸着物23,24は、互いに異なる軸方向への移動とともに、互いに異なる周方向への回転を伴う。
【0039】
このように各吸着物23,24は、機械機構部12と連動するように機械的に連結される。そして、機械機構部12では、電磁コイル20の非通常時、カム機構30の各ローラ32が入力軸14と出力軸15とを一体回転させるように可変する。
【0040】
具体的に、図1に示すように、各吸着物23,24は、電磁コイル20に対してそれぞれ離間している。この場合、カム機構30の各カム部31bの各ローラ32は、カム機構30の径方向外側に移動させられており、出力側回転部材17の内周面に押し付けられている。そして、入力軸14が回転すると、各ローラ32と出力側回転部材17の内周面との間に生じる摩擦力によって出力軸15が入力軸14と一体回転する。
【0041】
この場合、各カム部31bの各ローラ32は、付勢部材33によって互いに近付く方向に付勢されている。各アーム部23b,24bは、各カム部31bの各ローラ32が互いに近付くことによって上記ずれ方向にずれている。
【0042】
すなわち、図3及び図5に示すように、入力側アーム部23bは、出力側アーム部24bに対してカム機構30の軸方向の入力軸14側にずれている。また、出力側アーム部24bは、入力側アーム部23bに対してカム機構30の軸方向の出力軸15側にずれている。つまり、入力側吸着物23は、電磁コイル20から入力軸14側に離間する。また、出力側吸着物24は、電磁コイル20から出力軸15側に離間する。なお、説明の便宜上、図5は、図3の機械機構部12のカム部31bを通って電磁コイル部11の軸線Lを通るV−V線に沿った断面を模式的に現す。
【0043】
特に図5に示すように、入力側吸着物23が電磁コイル20に対して離間する間隔は、各カム部31bの各ローラ32が近付く分に応じた所定の間隔、すなわち間隔L1となる。また、出力側吸着物24が電磁コイル20に対して離間する間隔は、各カム部31bの各ローラ32が近付く分に応じた所定の間隔、すなわち間隔L2となる。
【0044】
また、入力側吸着物23がロータ部25に対して離間する間隔は、上記間隔L1と上記間隔L2の和よりも小さい間隔L3となる。こうした間隔L3は、入力側吸着物23が軸方向に移動可能なストローク量である。また、出力側吸着物24がロータ部25に対して離間する間隔は、上記間隔L1と上記間隔L2の和よりも小さい間隔L4となる。こうした間隔L4は、出力側吸着物24が軸方向に移動可能なストローク量である。
【0045】
また、機械機構部12では、電磁コイル20の通電時、カム機構30の各ローラ32が入力軸14と出力軸15とを相対回転させるように可変する。
具体的に、図2に示すように、各吸着物23,24は、電磁コイル20に対して吸着されて近付いているとともに、ロータ部25にそれぞれ接触している。この場合、カム機構30の各カム部31bの各ローラ32がカム機構30の径方向内側に移動させられているとともに、出力側回転部材17の内周面に対して離間している。そして、入力軸14が回転すると、各ローラ32と出力側回転部材17の内周面とが離間していることから、入力軸14が出力軸15に対して相対回転する。
【0046】
この場合、図4及び図6に示すように、各アーム部23b,24bは、それぞれ上記ずれ方向とは逆方向であって、各アーム端面23c,24cがカム機構30の軸方向に略一致する方向に移動している。各カム部31bの各ローラ32は、各アーム部23b,24bが上記ずれ方向とは逆方向に移動することによって互いに離間する方向に移動している。なお、説明の便宜上、図6は、図4の機械機構部12のカム部31bを通って電磁コイル部11の軸線Lを通るVI−VI線に沿った断面を模式的に現す。
【0047】
特に図6に示すように、入力側吸着物23が電磁コイル20に対して離間する間隔は、上記間隔L1から上記間隔L3を減算した間隔L5になる。こうした間隔L5は、入力側吸着物23のストローク量である上記間隔L3よりも小さい間隔となる。また、出力側吸着物24が電磁コイル20に対して離間する間隔は、上記間隔L2から上記間隔L4を減算した間隔L6になる。こうした間隔L6は、出力側吸着物24のストローク量である上記間隔L4よりも小さい間隔となる。
【0048】
以上に説明した本実施形態の電磁クラッチ10によれば、以下の(1)〜(4)に示す作用及び効果を得ることができる。
(1)図5に示すように、電磁コイル20の非通電時において、電磁コイル20の通電時となる場合、電磁コイル20によってその周囲に形成される磁束が、電磁コイル20の軸方向の両側に配置される各吸着物23,24を通過する。すなわち、各吸着物23,24の内部には、磁気回路Mが形成されることによって電磁力が発生する。こうした電磁力が電磁コイル20に対して各吸着物23,24を吸着(吸引)する吸着力として、各吸着物23,24にそれぞれ作用する。なお、吸着力は、電磁コイル20の非通電時、カム機構30の付勢部材33の付勢力よりも十分に大きく設定される。
【0049】
すなわち、図5に一点鎖線で示すように、電磁コイル20及び入力側吸着物23の相対距離(間隔L1)が縮まっていくとともに、電磁コイル20及び出力側吸着物24の相対距離(間隔L2)が縮まっていく。この縮まる過程では、電磁コイル20に対して各吸着物23,24のどちらもが接触する等なく、電磁コイル20及び入力側吸着物23の相対距離と、電磁コイル20及び出力側吸着物24の相対距離とが自律的に調整される。
【0050】
その後、図6に示すように、各吸着物23,24がロータ部25に接触、すなわち電磁コイル20に対してそれぞれ上記間隔L5,L6(隙間)をあけて各吸着物23,24が吸着される。この場合、入力軸14が回転すると、各吸着物23,24が入力軸14と一体回転する一方、各吸着物23,24が電磁コイル20に対して接触しないで回転する。
【0051】
そして、機械機構部12では、電磁コイル20の通電時、各吸着物23,24がそれぞれ軸方向に移動することによって、カム機構30が入力軸14と出力軸15との一体回転を解除する。つまり、機械機構部12では、カム機構30が入力軸14と出力軸15とが相対回転するように可変する。この場合、各吸着物23,24は、それぞれ電磁コイル20に吸着力(電磁力)によって引っ張られて吸着されるとともに、入力軸14と一体回転可能になる。
【0052】
したがって、電磁コイル20では、その軸方向の両側において電磁力を発生させてそれぞれの側に設けられる各吸着物23,24を吸着することができる。これにより、電磁コイルの一方側に配置された吸着物を吸着する上記従来例に比べて、電磁コイル20が各吸着物23,24をそれぞれ吸着する吸着力を減少させることなく各吸着物23,24のストローク量を合わせた吸着物としての全ストローク量(間隔L3+間隔L4)を増大させることができる。
【0053】
例えば、電磁コイル20が各吸着物23,24をそれぞれ吸着する吸着力を上記従来例において電磁コイルが吸着物を吸着する吸着力と同じ大きさに設定する場合、各吸着物23,24の上記全ストローク量を上記従来例における吸着物のストローク量よりも増大させることができる。
【0054】
また、本実施形態のように、電磁コイル20の両側において電磁力を発生させてそれぞれの側に設けられる各吸着物23,24を吸着する場合、上記従来例に比べて、各吸着物23,24の上記全ストローク量を減少させることなく電磁コイル20が各吸着物23,24をそれぞれ吸着する吸着力を増大させることにも好適に順応することができる。
【0055】
例えば、各吸着物23,24の上記全ストローク量を上記従来例における吸着物のストローク量と同じ量に設定する場合、電磁コイル20が各吸着物23,24をそれぞれ吸着する吸着力を上記従来例において電磁コイルが吸着物を吸着する吸着力よりも増大させることができる。
【0056】
ただし、電磁コイル20の通電時には、電磁コイル20に対して各吸着物23,24が接触してしまう場合、その接触が入力軸14の回転を妨げる制動力として作用してしまう。こうした作用は、電磁コイル20による吸着力が大きいほど強く作用することとなり、増大の図られた折角の吸着力が有効に活用されているとは言い難い。
【0057】
そこで、本実施形態では、増大させた吸着力を有効に活用すべく、電磁コイル20の通電時、各吸着物23,24が電磁コイル20に対して回転可能に構成している。この場合、各吸着物23,24が入力軸14とともに回転したとしても、こうした回転が電磁コイル20への接触によって妨げられてしまうことを抑えることができる。したがって、電磁コイル20の大型化や消費電力の増大を抑えながら吸着力の増大を図ることができる。
【0058】
(2)図6に示すように、電磁コイル20への各吸着物23,24の吸着後、電磁コイル20と各吸着物23,24とのそれぞれの間に隙間を有するように構成することとした。この場合、電磁コイル20に対して各吸着物23,24が物理的に接触しないこととなる。これにより、上述のように、電磁コイル20の大型化や消費電力の増大を抑えながら吸着力の増大を図る構成を有していても、電磁クラッチ10としての動作を好適に行うことができる。
【0059】
(3)電磁コイル20への各吸着物23,24の吸着後、電磁コイル20と各吸着物23,24との間の隙間は、入力側回転部材16(入力軸14)に外挿されるロータ部25によって各吸着物23,24の軸方向の移動を規制することによって現れることとした。
【0060】
このように、電磁コイル20と各吸着物23,24との間に隙間を有するように構成する場合、入力側回転部材16(入力軸14)についてのみ構成を変更すれば済むこととなり、該入力軸14以外にまで構成の変更が及ぶことが抑制される。したがって、電磁クラッチ10としての動作の担保が容易に叶うようになる。
【0061】
(4)図5及び図6に示すように、機械機構部12のカム機構30は、電磁コイル20の通電及び非通電に応じた各吸着物23,24の軸方向の移動を、各カム部31bの各ローラ32の径方向の動きに変換する。そして、カム機構30は、その径方向の動きによって入力軸14及び出力軸15の間で回転の伝達と遮断とを機械的に切り替える。
【0062】
すなわち、上記構成では、機械機構部12の構成として種々の構成が考えられるなかで電磁コイル20の通電及び非通電に応じた各吸着物23,24の二軸の軸方向の移動を、入力軸14及び出力軸15の径方向の動きに変換するカム機構30を採用することとした。こうしたカム機構30であれば、各吸着物23,24の軸方向の移動を、入力軸14及び出力軸15の間における回転の伝達と遮断との切り替えに効率よく反映させることができる。したがって、機械機構部12の高効率化によって電磁コイル20の大型化や消費電力の増大を抑えることができる。
【0063】
(第2実施形態)
次に、電磁クラッチの第2実施形態について説明する。なお、既に説明した実施形態と同一構成及び同一制御内容などは、同一の符号を付すなどして、その重複する説明を省略する。
【0064】
図7に示すように、本実施形態の電磁コイル部11(電磁クラッチ10)では、各吸着物23,24の電磁コイル20側に周方向に同一間隔をあけて複数(例えば10個)のボールやローラを有するころ軸受等を設けることによって構成されるすべり構造40がそれぞれ構築される。なお、本実施形態では、入力側回転部材16の外周であって、電磁コイル20のヨーク22の内周面との間は、中空とされる。
【0065】
本実施形態において、電磁コイル20の通電時、電磁コイル20に対してすべり構造40を介して各吸着物23,24が吸着される。
以上に説明した本実施形態の電磁クラッチ10によれば、第1実施形態の(1),(4)に準じた作用及び効果に加え、以下の(5),(6)に示す作用及び効果を奏する。
【0066】
(5)図7に示すように、電磁コイル20への各吸着物23,24の吸着後、電磁コイル20と各吸着物23,24との間にすべり構造40をそれぞれ介在することとした。この場合、電磁コイル20に対して各吸着物23,24が直接的に接触しないこととなる。そのため、上述したように、各吸着物23,24は電磁コイル20への吸着後、入力軸14とともに回転されるものであるところ、各吸着物23,24が回転してもすべり構造40が滑るのみで済む。
【0067】
すなわち、入力軸14の回転が妨げられてしまうことを防ぐことができる。これにより、上述のように、電磁コイル20の大型化や消費電力の増大を抑えながら吸着力の増大を図る構成を有していても、電磁クラッチ10としての動作を好適に行うことができる。
【0068】
(6)本実施形態では、上記第1実施形態では必要であったロータ部25を不要にすることができる。そのため、入力側回転部材16の外周とヨーク22の内周との間隔を小さくすることができる。したがって、電磁コイル部11の径方向の縮小化を図ることができ、ひいては電磁クラッチ10の径方向の縮小化に寄与する。
【0069】
なお、上記各実施形態は、以下の形態にて実施することもできる。
・上記第1実施形態において、ロータ部25は、入力側回転部材16の軸方向に非連続的に設けられていてもよく、入力軸14側及び出力軸15側の端それぞれに一つずつ設けられるものであってもよい。
【0070】
・上記第2実施形態では、すべり構造40にかえて、各吸着物23,24の電磁コイル20側にグリース等を塗って低摩擦コーティングを施すようにしてもよい。この場合であっても、上記(5),(6)に準じた作用及び効果を奏しうる。
【0071】
・上記第2実施形態では、各吸着物23,24の一方に対してのみすべり構造40を採用し、他方に対して上記第1実施形態のロータ部25を採用してもよい。
・上記各実施形態において、機械機構部12は、カム機構30に限らず、各吸着物23,24の入力軸14及び出力軸15の軸方向の移動を入力軸14及び出力軸15の径方向の動きに変換可能な機構であれば適宜変更してもよい。
【0072】
・上記各実施形態は、電磁コイル20の非通電時に入力軸14と出力軸15とが相対回転するとともに、電磁コイル20の通電時に入力軸14と出力軸15とが一体回転するようにしてもよい。
【0073】
・上記各実施形態において、各吸着物23,24が電磁コイル20に対して離間する間隔L1,L2と、各吸着物23,24がロータ部25に対して離間する間隔L3,L4とは、適宜変更可能である。ただし、上記間隔L3,L4が上記間隔L1と上記間隔L2の和よりも小さいことは少なくとも満たす必要がある。
【符号の説明】
【0074】
L1,L2,L3,L4…間隔、L5,L6…間隔(隙間)、10…電磁クラッチ、11…電磁コイル部、12…機械機構部、14…入力軸、15…出力軸、20…電磁コイル、23…入力側吸着物(第1吸着物)、24…出力側吸着物(第2吸着物)、25…ロータ部(移動規制部)、30…カム機構、40…すべり構造。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7