特開2016-211721(P2016-211721A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特開2016211721-土中打込管引き抜き具 図000003
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2016-211721(P2016-211721A)
(43)【公開日】2016年12月15日
(54)【発明の名称】土中打込管引き抜き具
(51)【国際特許分類】
   F16L 1/028 20060101AFI20161118BHJP
   E02D 9/02 20060101ALI20161118BHJP
【FI】
   F16L1/028 N
   E02D9/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】書面
【全頁数】6
(21)【出願番号】特願2015-106842(P2015-106842)
(22)【出願日】2015年5月9日
(71)【出願人】
【識別番号】591253836
【氏名又は名称】相馬 督
(72)【発明者】
【氏名】相馬 督
【テーマコード(参考)】
2D050
【Fターム(参考)】
2D050DB01
(57)【要約】      (修正有)
【課題】土中打込管を容易に引き抜くための手段を提供する。
【解決手段】平坦下面を有するとともに台板を有する任意形状の基体1を設け、基体下面に対し垂直方向に回動可能なる回動管体5を設けるとともに、回動管体に対し所定角度範囲内にて、回動管体と同一回動方向に回動可能なるクランプ保持体10を設け、クランプ保持体に保持されるとともにクランプ保持体に対して直交する回動方向に、所定角度範囲内にて回動可能なるクランプ15を設け、クランプに一対の管体挟持部を所定距離を有して対向配置した。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
平坦下面を有するとともに台板を有する任意形状の基体を設け、該基体下面に対し垂直方向に回動可能なる回動管体を設けるとともに、該回動管体に対し所定角度範囲内にて、回動管体と同一回動方向に回動可能なるクランプ保持体を設け、該クランプ保持体に保持されるとともにクランプ保持体に対して直交する回動方向に、所定角度範囲内にて回動可能なるクランプを設け、該クランプに一対の管体挟持部を所定距離を有して対向配置したことを特徴とする土中打込管引き抜き具。
【請求項2】
クランプのクランプ保持体への取付において、クランプ支軸右方にクランプ回動付勢のためのスプリングを設けてなる請求項1記載の土中打込管引き抜き具。
【請求項3】
クランプ保持体の回動管体に対する回動時において、その回動制限機構を設けてなる請求項1または2記載の土中打込管引き抜き具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、工事現場等にて土中に打ち込んだ管体を容易に引き抜くための用具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、テコの原理を利用して人力にて土中打込管を引き抜くための用具はあるが、本発明にて示すように、管体を回転させる機能をを併せ持った土中打込管を引き抜くための用具は見当たらない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
工事現場等では、鉄製管体(以下、単管と略称する)を一定間隔ごとに垂直に土中に打ち込み、地上に露出している単管に、専用の固定具を用いて水平に別の単管を取り付けて、バリケードとして工事現場への他者の侵入を阻止する方策が多用されている。
また、他の場合でも同様手段にてバリケードを築く場合も見受けられる。この地中への単管打ち込みの場合において、その下端を先鋭閉塞形状として、打ち込みを容易にするものも多く利用されている。
この土中への単管打ち込みは、重機もしくは人力にてなされるが、用が済むとこの単管を引き抜かねばならない。既述のように、従来手段は、テコの原理を利用して土中より単管を引き抜くものであるが、土中に押圧保持されている単管を引き抜く作業は容易とは言い難く、それなりの時間と労力を必要としているのが現状である。
本発明は以上に鑑み、単純にテコの原理で垂直に単管を引き抜くのみならず、土中の単管に回転運動を与える作業を併用することにて、より楽に小労力にて土中単管を引き抜くことを可能とする、新規かつ有用なる手段を提供することを目的として発明されたものである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
課題を解決する手段として本発明は以下の構成とした。
すなわち、平坦下面を有するとともに台板を有する任意形状の基体を設け、該基体下面に対し垂直方向に回動可能なる回動管体を設けるとともに、該回動管体に対し所定角度範囲内にて、回動管体と同一回動方向に回動可能なるクランプ保持体を設け、該クランプ保持体に保持されるとともにクランプ保持体に対して直交する回動方向に、所定角度範囲内にて回動可能なるクランプを設け、該クランプに一対の管体挟持部を所定距離を有して対向配置する。本発明は以上の構成よりなる土中打込管引き抜き具である。
【発明の効果】
【0005】
本発明は下記の効果を有する。
1.土中管体をまず水平方向に回した後、垂直方向に引き抜く方式のため、従来方法に比 べ小労力の作業にて土中管体を引き抜くことができる。
2.回動管体に別管体を挿入保持して用いるため、この別管体長の選択にて、作業労力を 作業者の状況に適した状態とすることができる。
3.回動管体に対し、クランプ保持体の保持について、所定押圧を持たせることにより、作業時におけるクランプの垂れ下がりを防止して、良好な作業性を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】 本発明の全体斜視図
図2】 本発明の要部斜視図
図3】 本発明の要部拡大平面図(一部略)
図4】 本発明のクランプ保持体の機構説明図
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
以下、本発明の実施形態について説明する。
図において、1は基体で、以下の構成による。
2は台板で、平面視略角形にて平坦下面を有する厚手金属板体であり、その外周は鈍角に上方へ立ち上がっている。3はステーで、正面視略台形の厚手金属板体であり、その下端が台板上面に固着されるとともに、その上部には孔が穿設される。また、このステーの中程には平面視略L形の側板4が固着される。このステーは一対が平面視点対称の位置に配設され、互いの側板は当接固着され、平面視において略四角形を形成して位置する。
5は回動管体であり、前記ステー間隔に挿入可能なる外径を有する鉄製管体であって、その略中央には孔が穿設され、双方の孔を介して回動管体支軸6が挿入位置している。
従って、この回動管体は回動管体支軸を回動中心として所定範囲内にて回動自在である。
【0008】
7はピンで、回動管体適所に穿設された孔に挿入され、かつこの回動管体内に挿入可能外径を有する適宜長の握持管体8がこの回動管体に挿入され、この握持管体に穿設された孔と上記の孔とを一致させて、ここに握持管体脱落防止のためにピン7が挿入保持される。
9は突片である。この突片は平面視略T字形の金属板体であって、図2のごとく、回動管体端に固着される。10はクランプ保持体である。このクランプ保持体は図2にて示すように、垂直空隙部11と水平空隙部12とを有するブロック体であって、双方の空隙部には直交する孔が穿設される。また、垂直空隙部と反対側の面にも空隙部が設けられ、この空隙部に、連続凹凸を側面に有する管体挟持部13が挿入保持して設けられる。
前記の突片に孔が穿設され、また、クランプ保持体にも孔が穿設され、この双方の孔を一致させて、突片支軸14が挿入保持される。15はクランプである。このクランプは平面視略L字形の部材で、その先端近傍にはクランプ保持体同様に、管体挟持部16が設けられる。このクランプの一端近傍には孔が穿設され、クランプの水平空隙部内にてクランプは回動可能にクランプ支軸17にて軸支される。
【0009】
クランプ保持体は突片を介して回動可能に軸支されるが、以下の機構を有している。
図4において、クランプ保持体に内面段部20を有する孔が穿設され、この孔内に圧縮コイルスプリング21が位置し、このスプリングに接して球体22が、その一部を孔内に位置させて存在している。この球体の他面は突片9に押圧接触している。
この球体の外径は段部により狭められた孔内径より大きく、段部以外の孔内径よりわずかに小さい。従って、この球体が孔内に押し込まれたとき、球体外面が段部に接する位置にて静止する。以上から、クランプ保持体がその自重にて下方に回動しようとするとき、球体の可動範囲にてその移動が制限されるとともに、制限範囲内においては、前記スプリングの押圧力にてその下方回動力に抵抗を生じさせる機能を有している。
既述の機構から、土中打込管に対する水平回転力と垂直移動力を与える機能が生ずる。
以上が、本発明構成の説明である。
【0010】
次に、本発明の使用について説明する。本発明の使用に際しては、まず本発明品を土中管体近くの地上に置き、クランプの管体挟持部に土中管体の地上露出部分をかませる。
クランプはクランプ保持体に軸着されている。つまりクランプ保持体の水平空隙部内面上下距離はクランプの厚さよりやや大きく、クランプはクランプ支軸にて回動可能にクランプ保持体に保持されている。クランプの管体挟持部16とクランプ保持体の管体挟持部13とは標準位置では図3にて示すように、互いに平行であるが、クランプの回動にて角度差が生じて、この角度差により、本品を地面上にて回転させたときに、土中管体に対しこの管体挟持部が食い込む方向への力となり、これがために土中管体に対しクランプは強力に押圧挟持することとなり、握持管体を手に持って地面に対し水平方向に反復して回すことにより、土中管体を回すこととなる。このとき、握持管体は地面と平行である。
この回動は土中管体を回転中心としているため、基体の台板は地面上を滑り移動するが、既述のように台板外周は上方へ折曲されており、スムースに移動することができる。
この回動にて、土中打込管は周囲土に対し滑りやすくなり、周囲土からの押圧摩擦力が減少する。
【0011】
次に、握持管体を押し下げることにて、土中管体を上方移動させることができる。
握持管体を力点、回動管体支軸を支点、管体挟持部を作用点とするテコの原理にて、大なる上方移動力を土中管体に与えて移動させることができる。このときクランプ保持体は突片に対し回動可能であるとともに、球体とスプリングおよび段部の関係にて突片端に対する球体の所定範囲内の移動にて、回動管体の回動に伴う突片端の円弧軌跡によるクランプ保持体の平面視的水平移動を吸収して、クランプの垂直移動をスムースに行うことができる。押し下げた握持管体を上方移動させると、クランプは土中管体に沿って下方移動し、再び握持管体を押し下げて土中管体を上方移動させることができ、これの反復にて土中管体の全部を抜き取ることができる。
クランプはクランプ保持体に対し軸着されており、その水平移動を土中管体を回すときと少し反対側に回すことにて、土中管体への管体挟持部のくい込みを緩めて、上記の作業を可能とすることができる。
【0012】
以上、本発明について記したが、本発明は土中打込管に対し、回転と上昇の二つの力を与えることにて、従来法に比べ容易に引き抜く効果を有している。
従来は既述のように、テコの原理での人力抜き取りもしくは重機を用いての大がかりな作業であった。前者は作業効率が低い問題を有し、後者は多くの費用を必要とするものであった。しかるに本発明は、土中管体に対する二種の動きをさせることにて、低コストかつ効果的な手段を得るものである。
なお、既述の構成例は実施の一例であり、基体構成は同様機能を有するものであれば任意である。握持管体は回動管体に挿入固定するが、あらかじめセットして用いる以外に、別設として長さの異なるものを複数種用意して現場の状況に合わせて使い分けてもよい。
クランプ保持体には、圧縮コイルスプリングと球体を用いたものとしたが、球体に代えて球形先端を有する棒体としてもよい。クランプ機構は、市販のパイプレンチに用いているものと同様構成とした。なお、平面視においてクランプのクランプ支軸右方のクランプ保持体適所に適宜手段にて圧縮コイルスプリングを設けて、クランプの平面視における反時計回り、すなわち土中管体を挟持する方向への力を付勢すれば、緩み無く自然に土中管体を挟持させることができる。
本発明は、適宜厚の金属製であって、機械的強度に優れており、また、構成の複雑性を有せず誰でも簡単に扱うことができるとともに、比較的低コストでの製作が可能であるなど、種々の利点を有するものであって、従来法に比べて優位なる土中打込管引き抜きの手段を提供することができる。
【符号の説明】
【0013】
1 基体
2 台板
3 ステー
4 側板
5 回動管体
6 回動管体支軸
7 ピン
8 握持管体
9 突片
10 クランプ保持体
11 垂直空隙部
12 水平空隙部
13 管体挟持部
14 突片支軸
15 クランプ
16 管体挟持部
17 クランプ支軸
20 内面段部
21 圧縮コイルスプリング
22 球体
図1
図2
図3
図4