【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り 平成26年11月4日に愛知県経済農業協同組合連合会に販売 平成27年2月10日から平成27年2月12日までスーパーマーケットトレードショーにて公開 平成27年3月12日に株式会社静岡産業社のウェブサイト(http://www.sizsan.co.jp/mist_one/?PHPSESSID=ad032500ec1985703fbd2c14948a5dac http://www.sizsan.co.jp/mist_one/imgs/mist_one_pamph.pdf)にて公開 平成27年3月10日にJAとぴあ浜松に貸与
【解決手段】一又は複数の貫通孔hが周方向に設けられ、貫通孔hよりも内側の下方に液体Wを貯留し、貫通孔hよりも上方に開口を有する内側体12と、底壁、および貫通孔hよりも外側に貫通孔hと間隔をあけて配置された側壁111を有する外側体11と、内側体12に貯留された液体Wに超音波振動を加えて液体Wを霧化する霧化ユニット14とを備え、貫通孔hは、貫通孔hを画定する縁の上端h1が、側壁111の上縁111tよりも上方に位置し、霧化ユニット14で発生した霧が外側に向かって流れ出る孔である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1や2に記載された霧発生装置では、一度に大量の濃い霧が、ダクトの放出口の向いた方向にのみ放出され、広範囲にわたって漂うような霧を発生させることは困難である。また、ダクトの放出口で液体に戻った水が、放出口から垂れ落ちて、周囲が水浸しになってしまう恐れがある。
【0006】
本発明は上記事情に鑑み、広範囲にわたって漂うような霧を発生させる一方で垂れ落ちる水によって周囲が水浸しにならない霧発生装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を解決する本発明の霧発生装置は、
一又は複数の貫通孔が周方向に設けられ、該貫通孔よりも内側の下方に液体を貯留し、該貫通孔よりも上方に開口を有する内側体と、
底壁、および前記貫通孔よりも外側に該貫通孔と間隔をあけて配置された側壁を有する外側体と、
前記内側体に貯留された液体に超音波振動を加えて該液体を霧化する霧化ユニットとを備え、
前記貫通孔は、該貫通孔を画定する縁の上端が、前記側壁の上縁よりも上方に位置し、前記霧化ユニットで発生した霧が外側に向かって流れ出る孔であることを特徴とする。
【0008】
本発明の霧発生装置によれば、周方向に設けられた貫通孔から霧が流れ出るため、広範囲にわたって霧を供給することができる。また、貫通孔から霧が流れ出ると、その貫通孔よりも上方に位置する開口から内側体の内部へ空気が取り込まれ、内側体ではこのような流れが継続し、貫通孔から連続して霧が流れ出る。しかも、上記間隔が確保されていることで、貫通孔で液体に戻った水が、貫通孔から垂れ落ちても、外側体によって受け止められ、垂れ落ちる水によって周囲が水浸しにならない。
【0009】
なお、前記貫通孔は、周方向に一つにつながった孔であってもよいし、周方向に並んだ複数の孔であってもよい。
【0010】
また、前記開口は、総面積が、前記内側体に設けられた一又は複数の前記貫通孔総ての開口面積の和よりも大きいものであってもよい。こうすることで、前記開口から十分な空気を取り込めるとともに、前記貫通孔から好適な速度で霧が流れ出るようになる。
【0011】
また、本発明の霧発生装置において、
前記貫通孔は、該貫通孔を画定する縁の下端が、前記側壁の上縁以上の高さに位置する孔であることを特徴としてもよい。
【0012】
こうすることで、前記貫通孔は前記側壁によって全く塞がれず、該貫通孔から霧が滝のように自然に流れ出してくる。なお、側壁の高さを一定にした場合、貫通孔の設置高さを高くすればするほど、液体の貯留量を確保することができるようになる。
【0013】
また、本発明の霧発生装置において、
前記内側体は、前記貫通孔が設けられた貫通孔壁の上縁に沿って開口した流入口を有するものであってもよい。
【0014】
すなわち、上記流入口が、前記貫通孔よりも上方に位置する開口に相当し、内側体における上記流れが確保されやすくなる。
【0015】
なお、上記流入口は、上方に向かって開口したものであってもよいし、前記貫通孔と同じ方向に向かって開口したものであってもよい。
【0016】
また、本発明の霧発生装置において、
前記内側体が、上方に向かって開口した上端開口を有する筒状のものであり、
前記上端開口の一部を塞ぐ天板を備えたことを特徴としてもよい。
【0017】
前記霧化ユニットによって液体に超音波振動を加えると、場合によっては液体が跳ね上がることがあるが、前記天板を設けておくことで、跳ね上がった液体が周囲に溢れることを防止することができ好ましい。
【0018】
また、本発明の霧発生装置において、
前記内側体は、前記外側体と前記貫通孔よりも下方で連通したものであってもよい。
【0019】
前記内側体と前記外側体が連通していると、前記貫通孔から垂れ落ちて、該外側体によって受け止められた液体は、霧化される液体として前記霧化ユニットに再供給され、効率が良い。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、広範囲にわたって漂うような霧を発生させる一方で垂れ落ちる水によって周囲が水浸しにならない霧発生装置を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。
【0023】
図1は、本発明の第1実施形態の霧発生装置を示す斜視図である。
【0024】
図1に示す霧発生装置1は、矩形状であって、左右に長いものである。以下、
図1の紙面左斜め手前を前側と称し、紙面右斜め奥前を後ろ側と称する。
【0025】
霧発生装置1は、外側体11と内側体12を有する。外側体11は、側壁111と底壁112を有する。内側体12は、外側体11の内側に収められ、外側体11の底壁112の上に載置されている。この内側体12は、外側体11から、内側体12の全高(例えば200mm)の半分強程度(例えば120mm)が上方に向けて突出している。内側体12は、前面壁121、後面壁122、左面壁123、および右面壁124からなる角筒状のものであって、上端も下端も開口している。以下、上端の開口を上端開口と称する。
【0026】
図2(a)は、
図1に示す霧発生装置1の正面図であり、同図(b)は、その右側側面図である。
【0027】
図1に示すように、前面壁121と後面壁122それぞれには、複数の円形の貫通孔hが周方向(左右方向)に一列に並べて設けられている。貫通孔hの直径は8mm以上16mm以下であればよく、
図2(a)に示す貫通孔hの直径は12mmである。周方向(左右方向)に並んだ貫通孔hどうしの間隔sは、貫通孔hの直径よりも大きく、
図2では貫通孔hの直径の2倍以上(例えば、25mm)である。
図2(a)に示す貫通孔hは、前面壁121および後面壁122それぞれを水平方向に貫通した孔であるが、斜めに貫通した孔であってもよい。例えば、上向きに貫通した孔であってもよいし、下向きに貫通した孔であってもよい。なお、左面壁123と右面壁124には貫通孔hが設けられていないが、左面壁123と右面壁124にも貫通孔hを設けてもよい。
【0028】
図3(a)は、
図1に示す霧発生装置1の平面図であり、同図(b)は、天板を示す図である。
【0029】
内側体12の上端開口12huは、貫通孔hよりも上方に位置し、上方に向かって開口している。また、内側体12の上端には、前面壁121と後面壁122をつなぐリブ125が2箇所に設けられている。内側体12の上端には、上端開口12huの一部を塞ぐように、
図3(b)に示す天板13が載置される。この天板13は、左右方向に延在した覆い部131と、覆い部131にそれぞれ直交する左側止め部132および右側止め部133を有する。
図1に示すように、天板13は、左面壁123の上端123uと右面壁124の上端124uと2つのリブ125の上に載置され、左側止め部132は、上端開口12hu(
図3(a)参照)の左端に嵌り込み、右側止め部133は、反対側の右端に嵌り込み、覆い部131がズレることが防止される。
図1に示す覆い部131は、内側体12の上端における前後方向の中間位置で左右方向に延在しており、後述する霧化ユニット14の真上を少なくとも覆うように配置されている。覆い部131が前後方向の中間位置に載置された状態では、内側体12の上端に、前側流入口121hと後側流入口122hが形成される。前側流入口121hは、貫通孔hが設けられた貫通孔壁の一例に相当する前面壁121の上縁に沿って上方に向けて開口したものになり、後側流入口122hは、同じく貫通孔hが設けられた貫通孔壁の一例に相当する後面壁122の上縁に沿って上方に向けて開口したものになる。なお、本実施形態では、内側体12と天板13とは別体であるが、一体のものであってもよい。
【0030】
図2(a)に示すように、内側体12は、液体Wを貫通孔hよりも内側であって、貫通孔hよりも下の部分に貯留することができる。すなわち、外側体11の底壁112における、内側体12で囲まれた部分の上の空間に液体Wが貯留される。ここでの液体Wは、特に断りがない限りは水であるが、水以外のものや、水に添加物(例えば、3%程度の塩)を溶解させたものであってもよい。外側体11の底壁112における、内側体12で囲まれた部分には、霧化ユニット14が設置板1121を介して水平面に対して7度程度傾斜した姿勢で配置されている。
図2(a)に示すように、霧化ユニット14は左右に2つずつ、合計4つ配置されており、左側の2つの霧化ユニット14は互いに相手側に傾斜しており、右側の2つの霧化ユニット14も互いに相手側に傾斜している。霧化ユニット14を傾斜した姿勢で配置することで、霧化を効率よく行うことができる。各霧化ユニット14には、ガラス素材がコーティングされた超音波振動子141が内蔵されており、不図示の商用電源から電源コード142を通って電力が供給される。
図2および
図3では、電源コード142を1点鎖線で表している。電源コード142は、内側体12の2つのリブ125それぞれに支持されている。なお、電源は、一次電池や二次電池であってもよい。霧化ユニット14では、超音波振動子141が液体に超音波振動を与え、液体を霧化する。効率よく霧化することができる適正水位は、超音波振動子141から20mm以上35mm以下上方となる水位である。
図2(a)に示す貫通孔hの中心は、超音波振動子141から50mm以上60mm以下上方に位置している。霧化ユニット14は、水位センサ143を備え、液体がなくなったり、霧化ユニット14が液中から取り出されたことを、その水位センサ143によって検出することができる。霧化ユニット14は、液体がなくなったり、液中から取り出されたことを検出した場合には、超音波振動子141の駆動を停止し、超音波振動子141が損傷することが防止される。なお、霧化ユニット14には、駆動中に点灯するLEDを設けてもよい。
【0031】
外側体11の側壁111は、前面壁121、後面壁122、左面壁123、および右面壁124それぞれの下半分弱程度を外側から囲むものである。すなわち、外側体11の側壁111のうち、前面壁121に対向した部分は、前面壁121に設けられた複数の貫通孔hよりも外側にそれらの貫通孔hと間隔をあけて配置されている。言い換えれば、前面壁121よりも外側に前面壁121と間隔をあけて配置されている。また、後面壁122に対向した部分は、後面壁122に設けられた複数の貫通孔hよりも外側に、それらの貫通孔hと間隔をあけて配置されている。ここでも言い換えれば、後面壁122よりも外側に後面壁122と間隔をあけて配置されている。上記間隔は、0mmより大きく貫通孔hの直径以下(例えば、10mm)である。
【0032】
なお、外側体11の側壁111のうち、左面壁123に対向した部分は、左面壁123よりも外側に左面壁123と間隔をあけて配置され、右面壁124に対向した部分は、右面壁124よりも外側に右面壁124と間隔をあけて配置されている。本実施形態では、左面壁123にしても右面壁124にしても、貫通孔hが設けられておらず、貫通孔hが設けられていない壁に対向する部分の間隔(ここでは左右方向の間隔)は、貫通孔hが設けられている壁(ここでは、前面壁121、後面壁122)に対向する部分の間隔(ここでは前後方向の間隔)よりも狭くてもよい。本実施形態では、左右方向の間隔は、内側体12を外側体11にスムーズに入れることができる程度の公差範囲の間隔(例えば、2、5mm程度)である。
【0033】
前面壁121に設けられた貫通孔hと後面壁122に設けられた貫通孔hは、同じ高さ位置に設けられており、外側体11の側壁111の高さは、いずれの場所でも同じ高さである。
図2(a)に示すように、各貫通孔hは、各貫通孔hを画定する縁の上端h1が、側壁111の上縁111tよりも上方に位置している。また、各貫通孔hを画定する縁の下端h2の高さ位置は、側壁111の上縁111tの高さ位置と一致している。
【0034】
図4は、霧化ユニットによって発生した霧が貫通孔を通過して外側へ流れ出す様子を模式的に示す図である。この
図4では、各壁の厚さを実際の厚さよりも厚めに表している。
【0035】
図4(a)は、
図1に示す霧発生装置1における例であり、外側体11の側壁111は、前面壁121に設けられた貫通孔hに対して間隔spをあけて設けられている。この間隔spは、ゼロより長く、かつ貫通孔hの直径よりも短い間隔である。また、
図4(a)には、内側体12が、外側体11の底壁112の上に載置されている様子が示されており、外側体11の底壁112と内側体12の前面壁121の下端121dとの間には、液体がしみ出る程度の隙間が生じており、外側体11の側壁111と内側体12の前面壁121の間の水位と、前面壁121よりも内側の水位は一致している。すなわち、ミクロ的に見れば、外側体11と内側体12は、貫通孔hよりも下方で連通していることになる。
【0036】
図2に示す霧化ユニット14によって発生した霧は、貫通孔hを通って外側へ流れ出す。
図4では、霧の流れを灰色の太い実線の矢印で示している。貫通孔hから霧が流れ出ると、その貫通孔hよりも上方に位置する前側流入口121hから内側体12の内部へ空気が取り込まれる。
図4では、この空気の流れを灰色の点線の矢印で示している。本実施形態の霧発生装置1では、貫通孔hから霧が流れ出ると、前側流入口121hから内側体12の内部へ空気が取り込まれる流れが継続し、貫通孔hから連続して霧が流れ出る。前側流入口121hの開口面積は、前面壁121に設けられた貫通孔h総ての開口面積の和よりも大きく、前側流入口121hから十分な空気を取り込めるとともに、貫通孔hから好適な速度で霧が流れ出るようになる。また、貫通孔hは、周方向(左右方向)に一列に並べて設けられているため、広範囲にわたって霧を供給することができる。また、上述のごとく、貫通孔hを画定する縁の下端h2の高さ位置は、側壁111の上縁111tの高さ位置と一致しているため、貫通孔hは側壁111によって全く塞がれず、貫通孔hから霧が滝のように自然に流れ出し、その後、霧は、霧発生装置1が置かれた床面Fに沿って自然な感じで漂う。さらに、上記間隔spが確保されていることで、貫通孔hで液体に戻った水が、貫通孔hから垂れ落ちても、黒色の細い実線の矢印で表すように、内側体12の前面壁121の外側体11側の表面を伝って、側壁111と前面壁121の間に流れ込み、垂れ落ちる水によって周囲の床面Fが水浸しにならない。しかも、上述のごとく、外側体11と内側体12は、貫通孔hよりも下方で連通していることから、側壁111と前面壁121の間に流れ込んだ水は、霧化される液体として
図2に示す霧化ユニット14に再供給され、効率が良い。加えて、霧化ユニット14によって液体Wに超音波振動を加えると、場合によっては液体Wが跳ね上がることがあるが、天板13が設けられているため、霧化ユニット14の真上には覆い部131が位置し、跳ね上がった液体が周囲に溢れることを防止することができる。
【0037】
以上、前面壁121に設けられた貫通孔hから霧が流れ出ることについて
図4(a)を用いて説明したが、後面壁122に設けられた貫通孔hからも同様に霧が流れ出て、本実施形態の霧発生装置1によれば、前後方向それぞれに、広範囲にわたって自然な感じで漂う霧を発生させることができる。
【0038】
図4(b)は、第1比較例であり、側壁111と前面壁121が接しており、側壁111と貫通孔hの間隔はゼロである。この
図4(b)に示す第1比較例でも、貫通孔hは、周方向(左右方向)に一列に並べて設けられているため、広範囲にわたって霧を供給することができる。また、内側体12における上記流れも継続し、貫通孔hから霧が滝のように自然に連続して流れ出し、その後、霧は、霧発生装置1が置かれた床面Fに沿って漂う。しかしながら、上記間隔がゼロであるため、黒色の細い実線の矢印で表すように、貫通孔hで液体に戻った水は、側壁111の上端に貯まり、その上端から垂れ落ちると、側壁111の外側表面を伝って流れ出し、周囲の床面Fを水浸しにしてしまう。
【0039】
図4(c)には、外側体11の側壁111が、前面壁121に設けられた貫通孔hに対して、同図(a)に示す間隔spよりも広い間隔sp’をあけて設けられた例が示されている。
図4(c)に示す間隔sp’は、貫通孔hの直径の2倍の間隔に相当する。
図4(c)に示す例でも、側壁111と貫通孔hに間隔が設けられているため、
図4(b)に示す第1比較例のように周囲の床面Fが水浸しになることはないが、その間隔が広すぎるため、貫通孔hから流れ出した霧が側壁111を越えられず、側壁111の上端部分にぶつかって、側壁111と前面壁121の間に一旦滞留してしまうことがある。しかしながら、ここに霧が滞留してしまっても、貫通孔hからは、霧が連続して流れ出てくるため、滞留した霧は、貫通孔hから出てくる霧によって押し出され、側壁111を程なく越え、側壁111を越えた霧は床面Fに沿って漂う。
【0040】
なお、貫通孔hと側壁111の間隔が、貫通孔hの直径の2倍を超えると、側壁111と前面壁121の間に滞留する霧の滞留時間が長くなりやすくなるので、注意が必要である。側壁111と前面壁121の間の滞留時間が長くなればなるほど、滞留した霧は、側壁111と前面壁121の間に貯留されている液体の水分を含みやすくなる。水分を含んだ霧は、
図2に示す霧化ユニット14によって発生した霧の雰囲気とは異なり、側壁111を越えた後、床面Fに沿って自然に漂うことが困難になりやすい。
【0041】
図5は、側壁の高さを変えた場合の例を模式的に示す図である。この
図5でも、各壁の厚さを実際の厚さよりも厚めに表している。
【0042】
図5(a)は、貫通孔hよりも下方に側壁111’を設けた例である。この
図5(a)に示す例でも、貫通孔hは、周方向に一列に並べて設けられているため、広範囲にわたって霧を供給することができる。また、内側体12における上記流れも継続し、貫通孔hから霧が滝のように自然に連続して流れ出し、その後、霧は、霧発生装置1が置かれた床面Fに沿って漂う。しかしながら、側壁111’があまりに低すぎると、霧化ユニット14の適正水位を確保することが困難になりやすく、貫通孔hよりも下方で連通した貯留空間内の液体を効率よく霧化することができない場合もあり得るので、この点にも注意が必要である。
【0043】
図5(b)は、貫通孔hを画定する縁の上端h1が、側壁111の上縁111tよりもわずかに上方に位置する例である。この
図5(b)に示す例でも、貫通孔hから霧が滝のように自然に連続して流れ出してくる。貫通孔hから流れ出てきた霧の一部は、側壁111を越え、床面Fに沿って漂う。しかしながら、側壁111を越えられずに、側壁111の上端部分で滞留してしまう霧もあるが、貫通孔hから出てくる霧によって押し出され、側壁111を程なく越えることができる。側壁111の上端部分は、貯留水位よりもかなり高く、また滞留時間も僅かであるため、ここで滞留した霧が、側壁111と前面壁121の間に貯留されている液体の水分を含んでしまうことはほとんどなく、側壁111を越えた霧は床面Fに沿って漂う。
【0044】
図5(c)は、貫通孔hを画定する縁の上端h1が、側壁111の上縁111tよりもかなり下方に位置する第2比較例である。この第2比較例では、側壁111が高すぎるため、貫通孔hから流れ出てきた霧は総て、側壁111を越えられず、側壁111と前面壁121の間に滞留し、多くの霧はここで液化してしまう。その結果、側壁111を越える霧はほとんどなく、霧を床面Fに沿って漂わせることが困難になる。また、側壁111が貫通孔hを越えてまで高いと、霧化させる液体を入れ過ぎてしまい、液体の貯留水位が貫通孔hを越えてしまうことも予想される。こうなると、貫通孔hは水没し、霧化ユニット14によって発生した霧は、貫通孔hからは流れ出ず、前側流入口121hや後側流入口122hから立ち上がり、床面Fに沿って漂う霧とは全く異なった雰囲気になってしまう。
【0045】
図6は、本発明の第2実施形態の霧発生装置を示す斜視図である。
【0046】
以下の説明では、これまで説明してきた第1実施形態の霧発生装置との相違点を中心に説明し、重複する説明は省略することがある。また、第1実施形態の霧発生装置の構成要素の名称と同じ名称の構成要素には、これまで用いた符号と同じ符号を付して説明する。
【0047】
図6に示す霧発生装置1は、円柱状であって、上方に向かって開口した外側体11と、下方に向かって開口した内側体12を有する。すなわち、外側体11は、円筒状の側壁111の他に、底壁112を有するが上端は開口しており、内側体12は、円筒状の周壁120の他に、天壁126を有するが下端は開口している。内側体12は、外側体11の内側に収められており、外側体11における円筒状の側壁111の中心と、内側体12における円筒状の周壁120の中心を一致させた状態で、内側体12は、外側体11の底壁112の上に載置されている。
【0048】
内側体12における円筒状の周壁120には、周方向に1本の貫通孔hが設けられている。この貫通孔hは、真円を一部重ねてつなぎ合わせた形状のものであり、
図6では手前側半分しか示されていないが、350°程度まで周回したものである。貫通孔は、この他にも、175°程度周回した2本の貫通孔であってもよいし、第1実施形態のように、円形の貫通孔hを間隔をあけて周方向に並べてもよい。また、貫通孔は、スリット状の1本のものであってもよいし複数本のものであってもよい。さらに、貫通孔は、上下方向に複数段設けてもよい。
【0049】
また、
図6に示す内側体12の上端は、天壁126が設けられ、塞がれているが、周壁120には、周壁の上縁120tに沿って流入口120hが設けられている。この流入口120hは、貫通孔hよりも上方であって、上縁120tよりも少し下に設けられた円弧状のスリットであり、
図6では2つしか示されていないが、合計4つ設けられている。これら4つの流入口120hは、貫通孔hが開口した方向(外方向)と同じ方向に開口したものである。これら4つの流入口120hの開口総面積は、内側体12に設けられた1本の貫通孔hの開口面積よりも大きい。
【0050】
さらに、
図6に示す周壁120の下端、すなわち、貫通孔hよりも下方には、所定間隔ごとに切り欠き120cが設けられており、切り欠き120cは、外側体11と内側体12の連通孔として機能する。
【0051】
外側体11における側壁111の上縁111tは、貫通孔hを画定する縁の上端h1よりも低い。また、側壁111の上縁111tは、貫通孔hを画定する縁の下端h2に比べてもわずかに低いが、反対に、その下端h2に比べてわずかに高くしてもよい。
【0052】
外側体11における円筒状の側壁111と、内側体12における円筒状の周壁120は、間隔をあけて配置されており、外側体11の側壁111は、内側体12の貫通孔hから外側に離れている。
【0053】
また、この
図6では、霧化ユニットを図示省略しているが、第2実施形態の霧発生装置1では、内側体12の内側に、周方向に等しい間隔をあけて複数の霧化ユニットを設置してもよいし、内側体12の中央に一つ霧化ユニットを設置してもよい。不図示の霧化ユニットによって発生した霧は、貫通孔hを通って外側へ流れ出す。第2実施形態の霧発生装置1でも、貫通孔hから霧が流れ出ると、4つの流入口120hそれぞれから内側体12の内部へ空気が取り込まれる流れが継続する。350°程度まで周回した貫通孔hからは、連続して霧が広範囲にわたって流れ出るため、360°の全周にわたって霧を発生させることができる。貫通孔hから流れ出た霧は、霧発生装置1が置かれた床面に沿って自然な感じで漂う。また、第2実施形態の霧発生装置1でも、外側体11の側壁111と内側体12の周壁120の間に間隔が確保されているため、貫通孔hで液体に戻った水が、貫通孔hから垂れ落ちても、側壁111と周壁120の間に流れ込み、垂れ落ちる水によって周囲の床が水浸しにならない。
【0054】
以上説明した
図1に示す霧発生装置1であっても、
図6に示す霧発生装置1であっても、広範囲にわたって漂う霧を発生する。この結果、霧発生装置1の周囲の加湿を行うことができ、葉物の野菜等の乾燥や痛みを防ぐことができる。また、広範囲にわたって漂う霧による、みずみずしさを与える等のディスプレイ効果を演出することができる。さらに、気化熱による冷却効果も期待することができる。加えて、液体に塩水を用いれば、鮮魚の変色を抑えることも可能である。
【0055】
なお、
図6に示す霧発生装置1に比べて、
図1に示す霧発生装置1の方が、加工代等を安く抑えることができ、低コストで提供することができる。