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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2016-211817(P2016-211817A)
(43)【公開日】2016年12月15日
(54)【発明の名称】食品の冷凍装置及び食品の冷凍方法
(51)【国際特許分類】
   F25D 9/00 20060101AFI20161118BHJP
【FI】
   F25D9/00 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2015-97853(P2015-97853)
(22)【出願日】2015年5月13日
(71)【出願人】
【識別番号】502205499
【氏名又は名称】岩田屋フード株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100114627
【弁理士】
【氏名又は名称】有吉 修一朗
(74)【代理人】
【識別番号】100182501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 靖之
(74)【代理人】
【識別番号】100175271
【弁理士】
【氏名又は名称】筒井 宣圭
(74)【代理人】
【識別番号】100190975
【弁理士】
【氏名又は名称】遠藤 聡子
(74)【代理人】
【識別番号】100194984
【弁理士】
【氏名又は名称】梶原 圭太
(72)【発明者】
【氏名】組坂 善昭
【テーマコード(参考)】
3L044
【Fターム(参考)】
3L044AA04
3L044BA04
3L044CA04
3L044DB02
3L044FA02
3L044FA03
3L044FA09
3L044KA04
3L044KA05
(57)【要約】
【課題】本発明は、食品を不凍液槽から取り出すことなく冷凍、水切りが行える食品の冷凍装置及び食品の冷凍方法を提供することを目的とするものである。
【解決手段】開閉部6が設けられると共に、内部に食品が収納可能な空間部を有する密閉状の食品収納用冷凍部2と、この食品収納用冷凍部2に連通され、かつ不凍液を食品収納用冷凍部2内に注入可能とされた不凍液貯留部3と、不凍液貯留部3内に設けられ、不凍液を冷却する冷却部4と、食品収納用冷凍部2に連通され、不凍液貯留部3に食品収納用冷凍部2内の不凍液を移送させる移送手段5と、食品収納用冷凍部2内に配置され、かつ食品に空気を噴出する空気噴出部13とを備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
開閉部が設けられると共に、内部に食品が収納可能な空間部を有する密閉状の食品収納用冷凍部と、
該食品収納用冷凍部に連通され、かつ不凍液を同食品収納用冷凍部内に注入可能とされた不凍液貯留部と、
該不凍液貯留部内に設けられ、前記不凍液を冷却する冷却部と、
前記食品収納用冷凍部に連通され、前記不凍液貯留部に同食品収納用冷凍部内の不凍液を移送させる移送手段と、
前記食品収納用冷凍部内に配置され、かつ、前記食品に空気を噴出する空気噴出部とを備える
食品の冷凍装置。
【請求項2】
前記食品収納用冷凍部に連通され、かつ、前記空気噴出部に高圧空気を供給可能とされた高圧空気供給部を備える
請求項1に記載の食品の冷凍装置。
【請求項3】
前記食品収納用冷凍部は、同食品収納用冷凍部内壁に配置された複数のファン部を有する
請求項1または請求項2に記載の食品の冷凍装置。
【請求項4】
前記食品収納用冷凍部は、前記食品収納用冷凍部の底部と、不凍液貯留部内の上部と連通状とされた送液管を有する
請求項1、請求項2または請求項3に記載の食品の冷凍装置。
【請求項5】
前記移送手段は、食品収納用冷凍部内から回収された不凍液を濾過する不凍液濾過部を有する
請求項1、請求項2、請求項3または請求項4に記載の食品の冷凍装置。
【請求項6】
前記空気噴出部の互いに向き合う吹出口との間に出し入れ自在とされ、かつ、内側に食品を収納する収納部を有すると共に、外側が液体透過性とされた籠体を備える
請求項1、請求項2、請求項3、請求項4または請求項5に記載の食品の冷凍装置。
【請求項7】
前記不凍液貯留部は、同不凍液貯留部内に連通状とされた排気管を有する
請求項1、請求項2、請求項3、請求項4、請求項5または請求項6に記載の食品の冷凍装置。
【請求項8】
袋詰にされた食品が密閉状に収納された食品収納用冷凍部内に、冷却した不凍液を注入して同食品を冷凍する工程と、
前記食品を冷凍した後に、食品収納用冷凍部内の不凍液を抽出する工程と、
前記食品に付着した不凍液を、前記食品収納用冷凍部内に配置された空気噴出部からの空気の噴出によって除去する工程とを備える
食品の冷凍方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、食品の冷凍装置及び食品の冷凍方法に関する。詳しくは、食品を効率良く冷凍させることができる冷凍装置及び食品の冷凍方法に係るものである。
【背景技術】
【0002】
例えば、水分を含んだ真空パック詰めの食品を冷凍するには、マイナス35℃に冷却されたエチルアルコール水溶液槽に、真空パック詰めの食品を接触させて短時間に凍結させることが行われている。
【0003】
このようにして食品を凍結することで、細胞中の水分がマイナス6℃〜13℃で瞬間的に凍結するために細胞内の氷結晶が小さくすることが可能となる。
【0004】
これにより、細胞が破壊されずに解凍後も栄養分や旨味成分を含むドリップが少なく鮮度を維持することが可能となる。
【0005】
ここで、この種の冷凍装置として、例えば特許文献1に記載されたものが知られている。
具体的には、図10に示すように、不凍液を貯留する不凍液槽101と、この不凍液槽101内に設けられ、不凍液を冷却する蒸発器102と、内側に食品を収納する収納部を有し、外側に撹拌部材を取り付けた液体透過性の籠体103とから構成されている。
【0006】
更に、籠体103を不凍液槽101内の不凍液中に移動させる移動手段104と、籠体103を回転させる回転手段105とを備えた構成とされている。
【0007】
これにより、籠体103を不凍液の中で回転させると共に、撹拌部材により不凍液を撹拌しながら、籠体103内の食品を入れた袋と不凍液を接触させて食品を凍結させることが可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2013−61090号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、特許文献1記載の発明では、不凍液槽から引き上げられた籠体内の袋は不凍液で濡れた状態となっている。このように濡れた袋のままで箱詰めする場合には、段ボールが湿って即座に箱詰することができない。
【0010】
そのために、エアーガンで濡れた不凍液を吹き飛ばしたり、あるいはタオルで拭いて絞ったりなどを繰り返して水切りをしなければならない。
【0011】
しかし、例えば、エタノール水溶液60%、0℃の水溶液粘性率は5.75。マイナス30℃の水溶液粘性率は28.60となることから低温になるほど粘り強い液体となるので水切れが悪くなることになります。
【0012】
ここで、不凍液を除去する方法として、乾いたタオルで拭き、タオルが濡れているので絞っては、又、拭き、絞るという繰り返しで袋に付着している不凍液を回収することが行われています。
【0013】
この場合には、約マイナス35℃の不凍液を手で絞ることになり、冷たすぎて作業効率が非常に悪くなる。
【0014】
また、囲いの中で、圧縮空気を袋の表面の不凍液に当てて吹き飛ばし、回収することが行われています。
【0015】
この場合には、エアーガンで吹き飛ばしても周囲にエタノール蒸気が発生し、エチルアルコールに弱い人は、目が赤くなったり、酔ったりすることがあります。
【0016】
また、60重量%のエタノールの引火点温度が、22.5℃から25.6℃であることから、相当強い換気装置が機能しなければ引火する恐れがあります。
【0017】
このように、強い外気導入の換気が必要となることから真冬の作業場では、火気厳禁の過酷な環境での作業が強いられます。
【0018】
本発明は、以上の点に鑑みて創案されたものであって、食品を不凍液槽から取り出すことなく冷凍、水切りが行える食品の冷凍装置及び食品の冷凍方法を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0019】
上記の目的を達成するために、本発明に係る食品の冷凍装置は、開閉部が設けられると共に、内部に食品が収納可能な空間部を有する密閉状の食品収納用冷凍部と、該食品収納用冷凍部に連通され、かつ不凍液を同食品収納用冷凍部内に注入可能とされた不凍液貯留部と、該不凍液貯留部内に設けられ、前記不凍液を冷却する冷却部と、前記食品収納用冷凍部に連通され、前記不凍液貯留部に同食品収納用冷凍部内の不凍液を移送させる移送手段と、前記食品収納用冷凍部内に配置され、かつ、前記食品に空気を噴出する空気噴出部とを備える。
【0020】
ここで、開閉部が設けられると共に、内部に食品が収納可能な空間部を有する密閉状の食品収納用冷凍部によって、冷凍しようとする食品を食品収納用冷凍部内へ収納することが可能となる。
例えば、袋詰めされた焼豚の加工食肉を籠体内に並べた状態で開閉部から食品収納用冷凍部内へ収納することができる。
【0021】
また、食品収納用冷凍部に連通され、かつ不凍液を食品収納用冷凍部内に注入可能とされた不凍液貯留部によって、食品収納用冷凍部内に食品が収納された状態で不凍液貯留部から不凍液を注入することが可能となる。
【0022】
また、不凍液貯留部内に設けられ、不凍液を冷却する冷却部によって、不凍液貯留部内の不凍液を冷却することが可能となる。
例えば、エチルアルコールなどの不凍液を冷却部でマイナス35℃まで冷却させて食品収納用冷凍部内へ注入することで食品を冷凍することが可能となる。
【0023】
また、食品収納用冷凍部に連通され、不凍液貯留部に食品収納用冷凍部内の不凍液を移送させる移送手段によって、食品収納用冷凍部内へ常に冷却させた不凍液を供給することが可能となる。
【0024】
例えば、不凍液貯留部内でマイナス35℃まで冷却させた不凍液を食品収納用冷凍部内へ常時供給することで食品を瞬時に冷凍することが可能となる。
【0025】
また、食品収納用冷凍部内に配置され、かつ、食品に空気を噴出する空気噴出部を備えることによって、食品に付着した不凍液を除去することが可能となる。
例えば、食品収納用冷凍部内の冷凍された袋詰めの食品に付着した不凍液を空気噴出部から噴射させた空気によって吹き飛ばすことが可能となる。
【0026】
また、本発明に係る食品の冷凍装置において、食品収納用冷凍部に連通され、かつ、空気噴出部に高圧空気を供給可能とされた高圧空気供給部を備える場合には、空気噴出部から高圧空気を噴出させることが可能となる。
【0027】
また、本発明に係る食品の冷凍装置において、食品収納用冷凍部が、食品収納用冷凍部内壁に配置された複数のファン部を有する場合には、食品収納用冷凍部内に注入された不凍液に水流を生起させることができると共に、不凍液が回収された食品収納用冷凍部内に空気流を生起させることが可能となる。
【0028】
また、本発明に係る食品の冷凍装置において、食品収納用冷凍部が、食品収納用冷凍部の底部と、不凍液貯留部内の上部と連通状とされた送液管を有する場合には、食品収納用冷凍部の底部に溜まった不凍液を不凍液貯留部内へ戻すことが可能となる。
【0029】
また、本発明に係る食品の冷凍装置において、移送手段が、食品収納用冷凍部内から回収された不凍液を濾過する不凍液濾過部を有する場合には、不凍液を循環させながら不凍液に混入した不純物を除去することが可能となる。
【0030】
また、本発明に係る食品の冷凍装置において、空気噴出部の互いに向き合う吹出口との間に出し入れ自在とされ、かつ、内側に食品を収納する収納部を有すると共に、外側が液体透過性とされた籠体を備える場合には、食品を収納した状態で食品収納用冷凍部内からの出し入れを自在にすることができると共に、食品を収納した状態で食品の冷凍及び付着物の除去を行うことが可能となる。
【0031】
また、本発明に係る食品の冷凍装置において、不凍液貯留部が、不凍液貯留部内に連通状とされた排気管を有する場合には、不凍液貯留部内に溜まった高圧気体は、排気管を通して屋外へ排気することが可能となる。
【0032】
また、上記の目的を達成するために、本発明に係る食品の冷凍方法は、袋詰にされた食品が密閉状に収納された食品収納用冷凍部内に、冷却した不凍液を注入して同食品を冷凍する工程と、前記食品を冷凍した後に、食品収納用冷凍部内の不凍液を抽出する工程と、前記食品に付着した不凍液を、前記食品収納用冷凍部内に配置された空気噴出部からの空気の噴出によって除去する工程とを備える。
【0033】
ここで、袋詰にされた食品が密閉状に収納された食品収納用冷凍部内に、冷却した不凍液を注入して食品を冷凍する工程によって、不凍液が外気に触れることなく食品を冷凍することが可能となる。
【0034】
また、食品を冷凍した後に、食品収納用冷凍部内の不凍液を抽出する工程によって、食品収納用冷凍部内に食品を外気に晒すことなく冷凍した状態を保持することが可能となる。
【0035】
また、食品収納用冷凍部内に配置された空気噴出部からの空気の噴出によって除去する工程によって、密閉された食品収納用冷凍部内で食品に付着した不凍液を除去することが可能となる。
【発明の効果】
【0036】
本発明の食品の冷凍装置によれば、食品を不凍液槽から取り出すことなく冷凍、水切りが行うことが可能となる。
また、本発明の食品の冷凍方法によれば、食品を不凍液槽から取り出し、水切りをすることなく冷凍を行うことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0037】
図1】本発明を適用した冷凍装置の概要の一例を説明するめの模式図である。
図2】本発明を適用した冷凍装置における食品収納用冷凍部の内部構造を説明するための正面断面模式図である。
図3】本発明を適用した冷凍装置における食品収納用冷凍部の内部構造を説明するための側面断面模式図である。
図4】本発明を適用した冷凍装置における籠体の一例を説明するための模式図である。
図5】本発明を適用した冷凍装置による第1段階の工程を説明するための模式図である。
図6】本発明を適用した冷凍装置による第2段階の工程を説明するための模式図である。
図7】本発明を適用した冷凍装置による第3段階の工程を説明するための模式図である。
図8】本発明を適用した食品の冷凍装置における食品収納用冷凍部の他の例を説明するための正面断面模式図である。
図9】本発明を適用した食品の冷凍装置における食品収納用冷凍部の更に他の例を説明するための正面断面模式図(A)及び、本発明を適用した食品の冷凍装置における食品収納用冷凍部の吸収スポンジ絞り部の一例を説明する模式図(B)である。
図10】従来の食品の冷凍装置の一例を説明するための模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0038】
以下、本発明の実施の形態を図面を参酌しながら詳述する。
【0039】
<第1の実施の形態>
図1は本発明を適用した冷凍装置の概要の一例を説明するめの模式図、図2は本発明を適用した冷凍装置における食品収納用冷凍部の内部構造を説明するための正面断面模式図、図3は本発明を適用した冷凍装置における食品収納用冷凍部の内部構造を説明するための側面断面模式図である。
【0040】
ここで示す冷凍装置1は、食品収納用冷凍部2と、この食品収納用冷凍部2に連通され、かつ不凍液を食品収納用冷凍部2内に注入可能とされた不凍液貯留部3と、この不凍液貯留部3内に設けられ、不凍液を冷却する冷却部4とから構成されている。
【0041】
更に、食品収納用冷凍部2と、不凍液貯留部3との間に、食品収納用冷凍部2内の不凍液を移送させる移送手段5が配置された構成とされている。
【0042】
ここで、食品収納用冷凍部2は、周囲を断熱材で形成され、開閉部23で内部を密閉可能な形状とされている。
更に、食品収納用冷凍部2は、食品収納用冷凍部2の上方に配置された不凍液貯留部3と連通用パイプ6で連通された構成とされている。
【0043】
また、連通用パイプ6にバルブ7が設けられ、このバルブ7で連通用パイプ6の開閉を自在に行うことができる構成とされている。
【0044】
また、食品収納用冷凍部2内の左右両側の相対する壁面には、ファン部(8、8)、(8、8)が食品収納用冷凍部2の長手方向に沿って配置されている。
【0045】
更に、食品収納用冷凍部2内の上壁面にもファン部(8A、8A)が、食品収納用冷凍部2の長手方向に沿って配置されている。
【0046】
このファン部(8、8)、(8A、8A)は、食品収納用冷凍部2の外壁9に設けられた駆動用モーター(10、10)と、この駆動モーター(10、10)の回転軸(11、11)に回転羽根(12、12)が取り付けられた構成とされている。
【0047】
これにより、食品収納用冷凍部2内が不凍液で満たされている状態であっても回転羽根(12、12)を回転させて不凍液を撹拌することが可能となる。
【0048】
また、食品収納用冷凍部2内には、ファン部(8、8)、(8、8)との間に、所定間隔を設けて空気噴出部13が配置されている。
【0049】
この空気噴出部13は、食品収納用冷凍部2の長手方向の長さを有し、かつ、上下方向へ噴出管14が4本配置されている。更に、食品収納用冷凍部2の内壁面に沿って噴出管14Aが配置されている(図2及び図3参照)。
【0050】
ここで、噴出管(14、14)は、その長手方向に沿って噴出穴15が互いに相対する方向へ向けて設けられている。
また、噴出管14Aは、その長手方向に沿って噴出穴15Aが食品収納用冷凍部2の内壁面に向けて設けられている。
【0051】
ここで、空気噴出部13は、不凍液貯留部3内に配置された高圧空気供給部16が高圧空気供給管17で連通状に連結された構成とされている。
【0052】
この高圧空気供給管17には、バルブ7Bが設けられ、このバルブ7Aで高圧空気供給管17の開閉を自在に行うことができる構成とされている。
【0053】
また、高圧空気供給部16内は、エアーポンプ19で高圧気体状態とされている。これにより、高圧気体が高圧空気供給管17を通して空気噴出部13の噴出管(14、14A)に開口される噴出穴(15、15A)から噴出されることになる。
【0054】
また、食品収納用冷凍部2に、この食品収納用冷凍部2内の上部と不凍液貯留部3内の上部と連通状される揮発送気管18が配置されている。
【0055】
更に、食品収納用冷凍部2の下部と不凍液貯留部3上部との間に、高圧空気供給管17を通して食品収納用冷凍部2内への高圧気体の噴出に応じて食品収納用冷凍部2下部に溜まった不凍液を不凍液貯留部3内に戻すための液送管20が連通状に設けられている。
【0056】
この液送管20にバルブ7Cが設けられ、高圧空気供給管17を通して食品収納用冷凍部2内への高圧気体が供給されると同時に、バルブ7Cが開いて食品収納用冷凍部2内下部に落ちた不凍液が液送管20を通して不凍液貯留部3内へ排出される構成とされている。
【0057】
また、不凍液貯留部3に、排気用の排気管36が設けられている。この排気管36は、一端が不凍液貯留部3内の上部に、他端が屋外と連通するように配置されている。
【0058】
ここで、食品収納用冷凍部2の噴出管(14、14)との間に、籠体21が出し入れ自在な状態で配置されている。
【0059】
この籠体21は、図4に示すように、不凍液の出入りを許容する液体透過性で、網目又は格子目状に形成され、外形は略直方体形状をなし、内部が冷凍される食品(図示せず。)を収納する収納部22が形成された構成となっている。
【0060】
また、食品収納用冷凍部2の噴出管(14、14)との間の底部には、食品収納用冷凍部2の開閉部23から底部にレール(24、24)が噴出管(14、14)の長さ方向に向けて敷設されている。
【0061】
このような構成のレール(24、24)上に、台車25の車輪(26、26)が走行自在な状態で載せられている。そして、台車25上に籠体21を載置することで籠体21の出し入れを自在に行うことが可能となる(図2参照)。
【0062】
次に、移送手段5は、食品収納用冷凍部2の底部と不凍液貯留部3の上部と連通状に連結した不凍液循環用管27と、この不凍液循環用管27に設けられた循環用ポンプ28及びバルブ7Dとから構成されている。
【0063】
更に、不凍液濾過部29が分岐管(39、39)によって不凍液循環用管27に対して並列状に配置されると共に、分岐管(39、39)にバルブ(7E、7F)が設けられた構成とされている。
【0064】
以上の構成よりなる本発明の食品の冷凍装置では、図5図7に示すように、不凍液貯留部3内にエチルアルコールなどの不凍液Aが貯留されている。
【0065】
この不凍液Aは、冷却部4でマイナス35℃前後まで冷却されている。そして、袋詰めの食品Bが収納された籠体21が開閉部23より食品収納用冷凍部2内に収納されている。
【0066】
ここで、連通用パイプ6のバルブ7を開放し、不凍液貯留部3内の不凍液Aを食品収納用冷凍部2内に注入する(図5参照)。
このとき、食品収納用冷凍部2内の空気は、揮発送気管18を通って不凍液貯留部3内へ移送される。
【0067】
続いて、食品収納用冷凍部2内に不凍液Aが満たされた状態でファン部(図示せず。)の回転羽根(図示せず。)を駆動回転させる。これにより不凍液Aに水流が起こり、籠体21内の食品Bを表面に激しく接触することで食品Bを急激に冷却することが可能となる。
【0068】
続いて、不凍液循環用管27に設けられた循環用ポンプ28を作動させて食品収納用冷凍部2内の不凍液Aを吸引しながら不凍液貯留部3内へ移送すると同時に、不凍液貯留部3内に残った不凍液Aが食品収納用冷凍部2内に注入される。
【0069】
また、不凍液循環用管27を通じて不凍液貯留部3内へ移送された不凍液Aは、冷却部4で再び冷却されることになる。
【0070】
このようにして、食品収納用冷凍部2内へマイナス35℃前後に冷却した不凍液Aを送り込むことで籠体21内の食品Bを短時間のうちに冷凍させることが可能となる。
【0071】
また、食品収納用冷凍部2内の上部に揮発した不凍液を含んだ気体は、揮発送気管18を通して不凍液貯留部3内へ送気される(図6参照)。
【0072】
このようにして食品Bの冷凍を行った後、連通用パイプ6のバルブ7を閉じる。この場合、循環ポンプ28が作動しているために、食品収納用冷凍部2内の不凍液Aは、不凍液貯留部3内へ移送される。
このときに、バルブ7Dを閉じると共に、バルブ(7E、7F)を開くことで不凍液Aは、分岐管39から不凍液濾過部29を通して濾過されながら不凍液貯留部3内へ移送される。
また、不凍液貯留部3内の空気は、排気管36を通して屋外へ放たれる。更に、食品収納用冷凍部2内の不凍液Aが少なくなると循環ポンプ28が空転することになり、循環ポンプ28は作動を停止する。
【0073】
そして、食品収納用冷凍部2内の不凍液Aが回収された後に、高圧空気供給管17のバルブ7Bを開放させて高圧空気供給部16からの高圧気体が噴出管14を通して噴出穴15より噴出される。
【0074】
このようにして、籠体21内に収納された食品Bの表面に高圧気体を吹き付けることで、籠体21内に収納された食品Bに付着した不凍液が吹き飛ばされる。
【0075】
更に、ファン部(図示せず。)の回転羽根(図示せず。)を駆動回転させることで乱気流を生起させて食品Bに付着した不凍液が吹き飛ばされる。
【0076】
そして、食品収納用冷凍部2内壁面に付着した不凍液は、食品収納用冷凍部2の内壁面に沿って配置された噴出管を通して噴出穴(図示せず。)より噴出される高圧気体によって食品収納用冷凍部2内に下部へ吹き流される。
【0077】
また、食品収納用冷凍部2内に高圧空気供給部16からの高圧気体が送られることで食品収納用冷凍部2内の気圧が上昇した状態となっている。このときに、バルブ7Cを開くことで食品収納用冷凍部2内に溜まった不凍液Aは送液管20を通して不凍液貯留部3内に戻される。
更に、高圧気体は、排気管36を通して屋外へ排気される。
【0078】
このようにして、籠体21内に収納された食品Bに付着した不凍液、及び食品収納用冷凍部2内壁面に付着した不凍液が無くなったら、バルブ7Bを閉じ、ファン部(図示せず。)を停止する。
【0079】
これにより、食品収納用冷凍部2内の気圧は、不凍液貯留部3を経由して大気中に開放されることで、同じ気圧となり、開閉部23を開いて食品Bを取り出す(図7参照)。
【0080】
次に、図8は本発明を適用した食品の冷凍装置における食品収納用冷凍部の他の例を説明するための正面断面模式図である。
【0081】
ここで示す食品収納用冷凍部2Aは、周囲を断熱材で形成され、開閉部(図示せず。)で内部を密閉可能な形状とされている。
また、食品収納用冷凍部2A内の一方の壁面には、ファン部8が、食品収納用冷凍部2Aの上壁面にもファン部8Aが配置されている。
【0082】
このファン部(8、8A)は、食品収納用冷凍部2Aの外壁9に設けられた駆動用モーター10と、この駆動モーター10の回転軸11に回転羽根12が取り付けられた構成とされている。
【0083】
また、食品収納用冷凍部2A内のファン部8側に空気噴出部13Aが配置されている。
この空気噴出部13Aは、内壁面に沿って噴出管14Aが配置されると共に、噴出管14Aから分岐され、食品収納用冷凍部2Aの長手方向の長さを有し、かつ、上下方向へ噴出管14が4本配置されている。
【0084】
そして、噴出管14Aは、その長手方向に沿って配置され、その先端に噴出穴15Aが食品収納用冷凍部2Aの内壁面に向けて開口されている。また、噴出管14は、その長手方向に沿って噴出穴(図示せず。)が籠体21に向けて設けられている。
【0085】
ここで、食品収納用冷凍部2A内の噴出管14と相対する壁面側に不凍液吸収部40が配置されている。
【0086】
この不凍液吸収部40は、上下に配置された駆動プーリー(30、30)間に、例えばスポンジ等の多孔性素材より形成された無端状吸水ベルト31が食品収納用冷凍部2Aの長手方向の幅長さで巻回されている。
【0087】
また、無端状吸水ベルト31に絞りローラー32が無端状吸水ベルト31の幅長さで挟んだ状態で取り付けられている。
【0088】
また、不凍液吸収部40の下方には、無端状吸水ベルト31の下部側を囲むようにして形成され、かつ、不凍液循環用管27と連通状とされた集水部33が配置されている。
【0089】
このような構成の不凍液吸収部40では、噴出管14の噴出穴(図示せず。)から噴出される高圧空気で籠体21に収納される食品に付着した不凍液が無端状吸水ベルト31に吹き飛ばされることになる。
【0090】
これにより不凍液が無端状吸水ベルト31に吸収された状態で絞りローラー32で絞り出されながら集水部32内に収容されて送液管20を通して不凍液貯留部3へ戻される。
【0091】
また、図9(A)は本発明を適用した食品の冷凍装置における食品収納用冷凍部の更に他の例を説明するための正面断面模式図、及び図9(B)は本発明を適用した食品の冷凍装置における食品収納用冷凍部の吸収スポンジ絞り部の一例を説明する模式図である。
【0092】
ここで示す食品収納用冷凍部2Bは、周囲を断熱材で形成され、開閉部(図示せず。)で内部を密閉可能な形状とされている。
また、食品収納用冷凍部2B内の左右両側の相対する壁面には、ファン部(8、8)が食品収納用冷凍部2Bの長手方向に沿って配置されている。
【0093】
更に、食品収納用冷凍部2B内の上壁面にもファン部8Aが、食品収納用冷凍部2Bの長手方向に沿って配置されている。
【0094】
このファン部(8、8A)は、食品収納用冷凍部2Bの外壁9に設けられた駆動用モーター(10、10)と、この駆動用モーター(10、10)の回転軸(11、11)に回転羽根(12、12)が取り付けられた構成とされている。
【0095】
また、食品収納用冷凍部2B内には、ファン部(8、8)、(8、8)との間に、所定間隔を設けて空気噴出部13が配置されている。
【0096】
この空気噴出部13は、食品収納用冷凍部2Bの長手方向の長さを有し、かつ、上下方向へ噴出管14が4本配置されている。更に、食品収納用冷凍部2Bの内壁面に沿って噴出管14Aが配置されている。
【0097】
この噴出管(14、14)は、その長手方向に沿って噴出穴15が互いに相対する方向へ向けて設けられている(図1参照)。
また、噴出管14Aは、その長手方向に沿って配置され、その先端に噴出穴15Aが食品収納用冷凍部2Bの内壁面に向けて開口されている。
また、食品収納用冷凍部2Bの籠体21の下方に吸収スポンジ絞り部34が配置されている(図9(A)参照)。
【0098】
ここで、吸収スポンジ絞り部34は、複数のスポンジ35と、このスポンジ35を圧縮するピストン37とから構成されている。
【0099】
このような構成の吸収スポンジ絞り部34は、噴出管14の噴出穴(図示せず。)から噴出される高圧空気とファン部(8、8A)で不凍液を含んだ乱気流がスポンジ35に触れることで不凍液が吸収される。
【0100】
そして、不凍液が吸収されたスポンジ35をピストン37によって圧縮することで不凍液が絞り出されて送液管20を通して不凍液貯留部3へ戻される(図9B参照)。
【0101】
本発明の食品の冷凍装置によれば、密閉状の食品収納用冷凍部内においてマイナス35℃前後の不凍液が循環することで細胞中の水分がマイナス6℃〜13℃で瞬間的に凍結するために細胞内の氷結晶が小さくすることが可能となる。
【0102】
これにより、細胞が破壊されずに解凍後も栄養分や旨味成分を含むドリップが少なく鮮度を保持した食品を提供することが可能となる。
【0103】
また、密閉状の食品収納用冷凍部内で袋詰めされた食品に付着した不凍液を自動的に除去することができるために、屋内にアルコールなどの不凍液が飛散することなく作業者への安全と火災などの不測の事故を未然に防ぐことができる。
【0104】
<第2の実施の形態>
次に、本発明を適用した食品の冷凍装置を用いての食品の冷凍方法の一例を以下に詳述する。
【0105】
まず、前記図5に示すように、不凍液貯留部3内にエチルアルコールなどの不凍液Aを貯留し、冷却部4でマイナス35℃前後まで冷却する。
【0106】
ここで、袋詰めの食品Bが収納された籠体21を開閉部23より食品収納用冷凍部2内に密閉状に収納する。
【0107】
そして、不凍液貯留部3内から連通用パイプ6を通してマイナス35℃前後まで冷却した不凍液Aを食品収納用冷凍部2内に注入する。
【0108】
次に、前記図6に示すように、移送手段5によって不凍液Aを食品収納用冷凍部2から不凍液貯留部3内へ移送し、不凍液貯留部3内でマイナス35℃前後まで冷却した不凍液Aを食品収納用冷凍部2内へ注入する工程を繰り返すことで食品Bを瞬時に冷凍する。
【0109】
続いて、前記図7で詳述したように、食品Bを冷凍した後に、バルブ7Dを閉じると共に、バルブ(7E、7F)を開いて、不凍液Aを、分岐管39から不凍液濾過部29を通して濾過しながら不凍液貯留部3内へ移送する。
【0110】
そして、籠体21内に収納された食品Bの表面に、高圧空気供給管17のバルブ7Bを開放し、高圧気体を噴出穴15より噴出させる。
【0111】
これにより、籠体21内に収納された食品Bに付着した不凍液が吹き飛ばされる。
更に、ファン部(図示せず。)の回転羽根(図示せず。)を駆動回転させることで乱気流を生起させて食品Bに付着した不凍液を吹き飛ばす。
【0112】
このようにして、吹き飛ばされた不凍液Aは、送液管20を通して不凍液貯留部3へ戻される。
【0113】
本発明の食品の冷凍方法によれば、密閉状の食品収納用冷凍部内においてマイナス35℃前後の不凍液を循環させることで細胞中の水分がマイナス6℃〜13℃で瞬間的に凍結するために細胞内の氷結晶が小さくすることが可能となる。
【0114】
これにより、細胞が破壊されずに解凍後も栄養分や旨味成分を含むドリップが少なく鮮度を保持した食品を提供することが可能となる。
【0115】
また、密閉状の食品収納用冷凍部内で袋詰めされた食品に付着した不凍液を自動的に除去することができるために、屋内にアルコールなどの不凍液が飛散することなく作業者への安全と火災などの不測の事故を未然に防ぐことができる。
【0116】
なお、本実施の形態では、食品収納用冷凍部に連通され、かつ、空気噴出部に高圧空気を供給可能とされた高圧空気供給部を備えるものであるが、必ずしも高圧空気供給部を備える必要性はない。
【0117】
しかし、食品が収納された袋に付着した不凍液を確実に吹き飛ばすことができるという点において高圧空気供給部を備えることが望ましい。
【0118】
また、本実施の形態では、食品収納用冷凍部が食品収納用冷凍部内壁に配置された複数のファン部を設けるものであるが、必ずしもファン部を設ける必要性はない。
【0119】
しかし、食品収納用冷凍部内に乱気流を起こして空気噴出部による高圧気体の噴出との相乗効果を促進するという点においてファン部を設けることが望ましい。
【0120】
また、本実施の形態では、食品収納用冷凍部が、食品収納用冷凍部の底部と、不凍液貯留部内の上部と連通状とされた送液管を設けるものであるが、必ずしも送液管を設ける必要性はない。
【0121】
しかし、食品が収納された袋に付着した不凍液を残らず、不凍液貯留部内に戻すことで、身体に悪影響を及ぼすことなく安全に作業を行うことができるという点において送液管を設けることが望ましい。
【0122】
また、本実施の形態では、移送手段は、食品収納用冷凍部内から回収された不凍液を濾過する不凍液濾過部を有するものであるが、必ずしも不凍液濾過部を設ける必要性はない。
【0123】
例えば、不凍液濾過部を通さずに循環させることも可能であるが、不凍液に含まれた不純物を除去することで不凍液の劣化を防ぐことができるという点において不凍液濾過部を設けることが望ましい。
【0124】
また、本実施の形態では、内側に食品を収納する収納部を有すると共に、外側が液体透過性とされた籠体を備えるものであるが、必ずしもこのような籠体を備える必要性はない。
【0125】
しかし、食品を収納した状態で瞬時に不凍液との接触が行え、かつ、高圧気体による不凍液の除去が行えるという点において外側が液体透過性とされた籠体を備えることが望ましい。
【0126】
また、本実施の形態では、不凍液貯留部内に連通状とされた排気管を設けるものであるが、必ずしも排気管を設ける必要性はない。
【0127】
しかし、食品収納用冷凍部内の高圧空気は不凍液貯留部を経由して屋外に放出することができるという点において排気管を設けることが望ましい。
【符号の説明】
【0128】
1 冷凍装置
2、2A、2B 食品収納用冷凍部
3 不凍液貯留部
4 冷却部
5 移送手段
6 連通用パイプ
7、7B、7C、7D、7E、7F バルブ
8、8A ファン部
9 外壁
10 駆動用モーター
11 回転軸
12 回転羽根
13、13A 空気噴出部
14、14A 噴出管
15、15A 噴出穴
16 高圧空気供給部
17 高圧空気供給管
18 揮発送気管
19 エアーポンプ
20 送液管
21 籠体
22 収納部
23 開閉部
24 レール
25 台車
26 車輪
27 不凍液循環用管
28 循環用ポンプ
29 不凍液濾過部
30 駆動プーリー
31 無端状吸水ベルト
32 絞りローラー
33 集水部
34 吸水スポンジ絞り部
35 スポンジ
36 排気管
37 ピストン
39 分岐管
40 不凍液吸収部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10