特開2016-212072(P2016-212072A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特開2016-212072漏えい検知機能を具備した簡易組立式配管系カバー
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2016-212072(P2016-212072A)
(43)【公開日】2016年12月15日
(54)【発明の名称】漏えい検知機能を具備した簡易組立式配管系カバー
(51)【国際特許分類】
   G01M 3/20 20060101AFI20161118BHJP
【FI】
   G01M3/20 N
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】書面
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2015-103215(P2015-103215)
(22)【出願日】2015年4月28日
(71)【出願人】
【識別番号】509161510
【氏名又は名称】ケーアイ・インテック株式会社
(72)【発明者】
【氏名】小出 市郎
(72)【発明者】
【氏名】高橋 芳晴
(72)【発明者】
【氏名】河北 宗善
【テーマコード(参考)】
2G067
【Fターム(参考)】
2G067AA11
2G067BB22
2G067BB40
2G067CC01
2G067CC17
2G067DD10
(57)【要約】
【課題】既設プラント設備の有害物質を取り扱う配管系からの有害物質の漏えいや飛散などがあった場合に、床面へ落下し周囲環境へ汚染拡大するが、漏えい液体を早期に発見し、床面への落下を防止すると共に汚染拡大を防止することが可能な簡易組立式配管系カバーの提供を課題とする。
【解決手段】プラント設備の配管系から漏れ出た有害な液が、床面へ落下し周囲環境への汚染拡大を防ぐために、配管系の外側へ新たな簡易組立式配管系カバーを介在させことにより床面への落下を防止する。そのカバー内面へ、漏えい液と接すると変色拡大反応する指示薬を敷設し、配管系からの漏れが起きた際に、その指示薬が漏えい液体を吸収変色拡大反応することにより漏えい現象が起きたことを拡大表示する。事故が起きたことを素早く知らせることにより、重大事故を未然に防ぐことが可能となる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
有害物質を取り扱う配管系から漏れ出た液体を、配管系の外側を覆う新たな透視可能な簡易組立式配管系カバーで受け床面への落下を防止するもので、その簡易組立式配管系カバー内面へは、検知機能を具備した指示薬を敷設するが、その方法は簡易組立式配管系カバー内面へ溝を設け、その内へ指示薬を挿入または、底面へ敷設し指示薬の警報変色拡大反応による、漏えい検知の早期発見を可能としたため、漏れ出た液を貯めることが無いので、簡易組立式配管系カバーの組立構造は、簡易的な爪勘合方式で組立て解体を容易に可能とすることを特徴とする組立式配管系カバーシステム。
【請求項2】
配管系からの微少漏えいが起きた際には、請求項1に記載のカバー内面へ敷設した指示薬が漏えい液を吸収して変色拡大反応することにより漏えい現象が起きたことを拡大表示するが、その指示薬は、リトマス粉末やpH粉末と高吸水性樹脂(SAP)粉とを適切な変色拡大反応が確認できるように混ぜ合わせた混合粉を、ライスペーパ等の吸水力のある紙筒の中に封入することにより、簡易組立式配管系カバーシステムとして製品化することを特徴とする指示薬。
【請求項3】
プラント施設の一般的な配管系では、配管系内の溶媒雰囲気や周りの雰囲気で配管系の周辺の環境は、配管系内の溶媒雰囲気(ガス化)になるが、請求項2に記載の指示薬は、その環境下においても耐性を持続することを特徴とする簡易組立式配管系カバーシステムの指示薬。
【請求項4】
請求項3の環境下において、逆に指示薬としての警報変色拡大反応の試験確認が必要な場合は、請求項2の指示薬ではなくリトマス紙やpH紙等のように試薬溶液に試験紙を浸漬させ試薬をそのまま使用する方法または、それに表層を付加することを特徴とする簡易組立式配管系カバーシステムの指示薬。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有害物質を取り扱う配管系から漏れ出た微少の液体が床面へ落下することを防ぐために、配管系の外側へ新たな簡易組立式配管系カバーを介在させることにより、床面への落下を防止するものである。そのカバー内面へは、漏えいした液体の検知機能を具備した指示薬を敷設する。配管系からの漏れが起きた際には、その指示薬が漏えい液を吸収して変色拡大反応することにより漏えい現象が起きたことを拡大表示する。漏えい現象を素早く拡大表示するため、発見が早くなり早期に対策の手を打つことができるので、目的の漏えい事故を未然に防止することが可能となる。漏れ現象に気が付かなく、放置していれば重大事故につながりかねない危険性があるが、本発明により漏れ現象の早期発見が可能となり、初期の段階で対策をとることができ事故を未然に防ぐことが可能となる簡易組立式配管系カバーに関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、有害物質の漏えいによる地下水の汚染事例が毎年継続的に確認されている。地下水は汚染されるとその回復は困難であることから、その未然防止を図ることが重要である。よって、環境庁により水質汚濁防止法が平成23年6月に改正され、構造等規制制度が導入された。
【0003】
上記改正を受け、原子力施設や化学工場などの産業用プラントの有害物質を取り扱う施設の配管系(配管、弁、継手、計器類、機器類、サポート、その他)では、配管系から漏れた液が床面へ落下することを防ぐ対策を実施することとなった。
【0004】
既存の配管系を覆うカバーの多くは、配管系から漏れた微少の液体が床面へ落下することを防ぐために、配管系の外側へ新たに漏えい液を貯蔵する堅固なカバー(以降「二重管」と称す)を設置し、床面への落下防止対策をしている。その素材は、樹脂を使用して内部を透視できる形状とし、目視にて漏えい液が確認可能な構造であるが色が目立たないものは見づらいため、漏えいの判別が難しく見逃してしまうことが多々有り、そのために漏えいした液が配管系のカバーから漏れ出て床へ飛散し、配管系が設置される場所を汚染する事故を起こすという欠点がある。
【0005】
プラント施設に配設されている配管系は、建屋天井の高い場所(約4M以上)や隅などのように見辛い場所、また暗い場所更に、多種な配管が入り乱れて配置されている場合が多く、配管系を見る角度の範囲が予め限定されてしまうので、その範囲内の角度で配管系を見たとき、配管系の周囲の光の具合によってはカバーを構成する表面での光の反射等により、カバー内の配管系の視認が困難になってしまうという課題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許第3375586新MC型塩ビ継手二重管
【特許文献2】特許第4880058 MC型塩ビ継手二重管
【特許文献3】特許出願平5−330636尿試験用容器
【特許文献4】特許第4034819 グリーンカバー
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
早期発見をするためのシステムとしての機能性に欠けることから、「既特許文献1」の設置場所の環境は、上述したように高所や狭隘でその場所が暗かったり、多種の配管系が錯綜したりしている視認困難な場所のため、二重管で配管系から漏れ出た液体を貯めることは出来ても漏えい現象を早期に発見することは困難であった。事故は、その漏れ出た液体が徐々に漏えい量が増して大事故につながって行くことになるが、これまではそれ以前に確実に早期発見をするためのシステムとしての機能性に欠けていた。
【0008】
更に、このような二重管を構成する透明ないし半透明の二重管は、経年変化により「曇り」が生じ、漏えい領域が生じても、間欠的に生じる場合は漏えい領域が乾いてしまうこともあるため、二重管内部の視認がなお更難しくなり、配管系内流通物の漏えいの発見が遅れ大事故につながることがある。
また、二重管内で漏えい液体を受け発見されるまでの間、液体を貯める構造のため、それに耐える強度のある肉厚材料が必要で、構造はビスなどで組立てる形状としている。この構造から材料も厚いものが必要になることから、高価なものとなっている。
【0009】
本発明では、配管系からの漏えい液を簡易組立式配管系カバーで捕獲し、その漏えい液体と接すると変色し反応を拡大する指示薬をカバー内に敷設しておくことにより、漏えいがあった際には早期に変色拡大反応して、漏えい現象を早く確実に知らせるための情報を発信するシステムを確立した。大量の漏えい液体を貯めることを考慮する必要がないので、簡易的構造とすることが可能となり、工場の製作費や現場での組立工数の削減につながり、経済的な効果も大きい。
【0010】
原子力や化学工場のプラント施設の配管系では、一般的に配管系内の溶媒雰囲気や周りの雰囲気で配管系周りの環境は、配管系内の溶媒雰囲気になる。指示薬はこのような環境下に対しても耐性のあるものが必要である。即ち、指示薬の条件は、漏えい液に接すると変色拡大反応し漏れがあったことを早期に確実に知らせる一方、配管系内の溶媒雰囲気や周りの雰囲気等の漏えい現象に対しての変色拡大反応は起こさないことである。この相反する条件に適合する指示薬を開発し、誤変色拡大反応をしないで早期発見につながる漏えい検知機能を具備した配管系カバーを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0011】
配管系の設置場所は、高所や狭隘で暗かったり多種の配管系が錯綜していたり視認困難な所のため、既設設備では二重管で配管系から漏れ出た液を貯めることは出来ても漏えい現象を早期に発見することは困難であった。本発明では、漏えい液と接すると変色し反応を拡大する指示薬を簡易組立式配管系カバー内に敷設し、漏れ出た液を確実に早期発見するためのシステムを確立した。
【0012】
既製品では、配管系からの漏えいを外側に設けた透明な材料で製作した二重管で貯めることが必要なため、強度を持った板厚や構造が要求され高価なものとなっていた。しかし、本発明のシステムでは、早期発見が可能なため漏えい液体を大量に貯める必要が無いので、組立方法として図2に示す簡易的な爪勘合方式を基本構造とした図1に示すような簡易組立式配管系カバーシステムの成立が可能となり、工場での製作費や現場での組立工数の削減につながるために経済的な効果も大きい。
【0013】
本発明に使用する指示薬は、漏えいが起きた際に漏えい液を吸収して変色拡大反応し、異変が起きたことを知らせるものである。指示薬の敷設場所の環境は、配管系を流れる溶液で溶媒雰囲気になっている。指示薬が、配管系内の溶媒雰囲気や周りの雰囲気で変色拡大反応を起こすようでは、配管系からの漏れとの差が分からなくなるので耐性機能もあわせ持った指示薬とすることが必要となる。この相反する機能要求の指示薬50は、図4示すように吸水性の良い紙、例えばライスペーパを筒としその内に高吸水性樹脂(SAP)と試薬(リトマス粉やpH粉;粒形ではなく可能な限り粉末状態にするのが好ましい)を1:1〜1:50程度の体積割合で、反応が明確に分かる程度に混ぜ合わせた試薬52の粉末を6〜8割程度封入して製作する。配管系カバーが使い捨ての場合はカバー内に上記紛体指示薬を直接入れる方法でもよい。試薬としてはリトマス紙やpH紙等のように試薬溶液に試験紙を浸漬させ試薬にする方法が一般的である。溶媒雰囲気(ガス化)の環境下において耐性を持たせるためにそれらに表層を持たせても、溶媒雰囲気の環境下での耐性は本発明の紛体は非常に優れていることが分かった。以上から溶媒雰囲気の試薬としては一般的な試薬が優れている。
【発明の効果】
【0014】
本発明では、漏えい液と接すると早期に変色拡大反応をする指示薬をカバー内に敷設し、漏れ出た液を確実に早期発見するためのシステムを確立したため、配管系からの重大漏えい事故を未然に防ぐことが可能となった。
【0015】
配管系から漏れ出た液体が床面へ落下することを防ぐために、配管系の外側へ新たな簡易組立式配管系カバーを介在させことにより床面への落下を防止する。更に、指示薬による漏えい液の早期発見が可能なため、大量の漏えい液を貯める対策を考慮する必要がないので、受けカバーは簡易的構造とすることが可能となり、工場での製作費の軽減や現場での組立作業工数の削減につながり、経済的な効果がある。
【0016】
プラント施設の配管系では、一般的に配管系内の溶媒雰囲気や周りの雰囲気で配管系の周りの環境は配管系内の溶媒雰囲気になる。上記指示薬はそのままでは早期に変色拡大反応をすると言う問題点がある。そこで、本発明に使用する指示薬は、このような環境下の使用でも耐性のあるものが必要である。この相反する条件に適合した指示薬を開発し本発明に用いることにより、誤変色拡大反応を無くして早期発見につなげる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】プラント設備の簡易組立式配管系カバー斜視図
図2】かばー・ソケット部の爪勘合形状および爪勘合図
図3】フレキカバー形状図
図4】指示薬形状図
図5】指示薬反応図
【発明を実施するための形態】
【実施例1】
【0018】
本発明の簡易組立式配管系カバー内に敷設して使用する指示薬(ここでは簡易組立式配管系カバー内に敷設する指示薬の総称)は、漏えいが起きた際に漏えい液を吸収して変色拡大反応し、異変が起きたことを知らせるものである。指示薬の敷設場所の環境は、配管系を流れる溶液で溶媒雰囲気になっている。指示薬が、配管系内の溶媒雰囲気や周りの雰囲気で変色拡大反応を起こすようでは、配管系からの漏れとの差が分からなくなるので耐性機能もあわせ持った指示薬とすることが必要となる。
指示薬は、高吸水性樹脂(SAP)に試薬(リトマス粉やpH粉)を混ぜた後で製作するがその理由は、漏えいした液体を床に落とすことなく素早く指示薬の高吸水性樹脂(SAP)で液を吸収しながらゲル化する。その内包試薬が吸収した漏えい液と接触することで、変色反応を拡大させ漏えい事故が起きたことを知らしめることが出来るからである。図5(a)は指示薬の敷設状況を(b)は漏えいによる変色反応状況を示す。尚、試薬(フェノールフタレン、メチルオレンジ、ブロムモールブルー等)は確認するものにより適切に変えることが重要である。
【0020】
図1は、本発明の簡易組立式配管系カバーの構成を示す斜視図である。図に示すように施工時には、指示薬50として簡易組立式配管系カバー内面10へ検知機能を具備した上記指示薬を敷設する。その際、紛体をハンドリングするには施工時やメンテナンス時に作業性が悪いので、作業性と吸水性および耐久性を考慮してライスペーパ紙等の筒に入れ開口端を塞ぎ棒状の筒内に紛体を詰め指示薬とする。その包装形状を図4(a)に示す。
【実施例2】
【0021】
簡易組立式配管系カバー10の構造は、図1に示すように装着される既設配管系1の予め定められた特定部分の周囲を全周に亘って一定の距離を保持するために、スペーサ11を配管に装着固定し、それを固定点として簡易組立式配管系カバー10を装置する。
【0022】
簡易組立式配管系カバー10の固定方法は、図2簡易組立式配管系カバー10の長手方向に設けてある爪勘合13(a)(c)(e)等(代表的なものを示す)や類似の爪形状により長手方向を閉じ、開閉部を一体物として固定する構造である。簡易組立式配管系カバー10の底面は、漏れ出た液体が溜まりやすく、指示薬と接触しやすいように溝12を形成してある。簡易組立式配管系カバー10の端部の貫通口15は、各部材と連結する為の連結端であり閉鎖する場合は、溝12をシリコンシーラント14等で塞ぐ。既設配管系1にスポンジパッキン31を巻きつけた後、二分割でリング形状の外周部をゴムシールで全周に設けた端部閉止栓18を配管カバー10へ固定し、簡易組立式配管系カバー10の爪勘合13(a)(c)(e)等や類似の形状により長手方向を閉じる。
【0023】
簡易組立式配管系カバー10を連続して接続する場合は、図1.2に示すようにソケット20、チーズ40で連結する構造としている。ソケット20は、上下2分割の組合せ形状で、ソケット下部21の開口部の大きさは配管系の中心部より上部までの製品で開口部を簡易組立式配管系カバー10より狭めているため、被せる時にはいったん開いた形となるが、中央部を過ぎると元にもどる力が働くので簡易組立式配管系カバー10へ抱きつく形となる。その上方からソケット上部22を爪勘合13により固定し、開閉部を一体物として固定する構造である。ソケット上部22を取外すことで、指示薬の交換やシリカゲルの交換時の操作口として使用すると共に将来において、ある場所でメンテ等があった場合に、連続した全てを外すことをせずに、必要な場所のソケット20やチーズ40等を外すことにより作業を可能とした構造である。
【0024】
配管系の各部材(弁、継手、計器類、機器類、サポート、その他)との取り合い部は、寸法・形状が一定でないため融通性を持たせる必要からフレキカバー30は、図3に示すような伸び縮みが可能なジャバラ形式(a)やシートを袋状にしたバック形状(b)で既設配管に巻きつくことが可能なように軸方向にスリットを設けた形状としている。その切断部の両端へはチャック32を装着し取付け後に閉めることにより配管系1並びに簡易組立式配管系カバー10へ巻きつく形状とし、長手端部は簡易組立式配管系カバー10にテープ33で固定後に結束バンド等で固縛する。その袋内には、指示薬50を挿入する。
【0025】
チーズ40の簡易組立式配管系カバー10への装着方法は、ソケット20の装着と同じ構造としている。即ち、簡易組立式配管系カバー10の装着を利用して、チーズ下部41を固定した後に上方からチーズ上部42を爪勘合により固定する。チーズ上部42は、指示薬の交換やシリカゲルの交換時の操作口として使用すると共に将来において、ある場所でメンテ等の作業があった場合に、連続した全てを外すことをせずに、必要な場所を外すことにより、簡易組立式配管系カバー10のメンテを可能とした構造である。
【0026】
簡易組立式配管系カバー10内に敷設する指示薬50は、図5(a)の溝12に示すように、簡易組立式配管系カバー10、ソケット20、フレキカバー30、チーズ40のカバーを構成する溝12および底面に配管系内流通物が漏れ出た時に早期に変色領域5が拡大反応するように敷設されている。従って、配管系内流通物である酸性物質やアルカリ性物質が漏えいした場合には、その時点で、図5(b)に示したように、カバー本体内部の漏えい場所付近に敷設した検知機能を具備した指示薬50と変色拡大反応し、変色領域5が生じる。
【0027】
従って、本発明の簡易組立式配管系カバー10を配管系に装着した結果、配管系内流通物である有害物質の漏えい時には、外側からの視認確認が可能なため簡単かつ確実に事故発生を検知することができる。
【0028】
なお、上記記載の本実施例に係る簡易組立式配管系カバー10の爪勘合形状は、図2(a)、(c)、(e)に示した形状に限られるものではなく、装着される配管系の形状に応じてどのような形状にしてもよい。例えば、3個の貫通口を持つ40も20と同じものを組み合わせる形状としてもよい。
【0029】
以上説明した本実施例に係る簡易組立式配管系カバー10は、既特許の新MC型塩ビ継手二重管と似た点もあるが、差異はカバー本体10、20.30、40を形成している部材強度にある。即ち、従来例では、漏れ出た液体を貯めることも想定し、厚板部材を使用したボルト固定方法としていたが、本発明では検知機能を具備した指示薬の警報変色拡大反応により、早期発見が可能となったので、漏れ出た液体を貯めることが不要になった。その結果、カバーの組立は簡易的な爪勘合方式が可能となり、その効果として、製作時の素材の軽減や製作費、輸送コスト、現場組立費と言った総合的な経済効果や指示薬50を採用したことにより漏れの早期発見につながり、重大事故につながる前に防ぐことができることである。
【産業上の利用可能性】
【0030】
本発明の検知機能を具備した簡易組立式配管系カバー10は、有害物質を取り扱う配管系から漏れた有害物質の液が床面へ落下することを防ぐために、配管系の外側へ新たな簡易組立式配管系カバーを介在させことにより床面への落下を防止するものであり、配管系からの漏えいや飛散による周辺環境への汚染を防ぐ防護機構と、漏えいや飛散の現象により変色拡大反応をする検出機能を有している。本明細書で説明した有害物質を取り扱う簡易組立式配管系カバー内の漏えい警報用の指示薬50は、有害物質を取り扱うプラントのみならず、一般産業用プラントで大事故を未然に防ぐための事故防止対策用警報製品としての使用も可能である。
【符号の説明】
【0031】
1 既設配管系
2 漏えい領域
3 配管系内流通物
5 変色領域
10 簡易組立式配管系カバー
11 スペーサ
12 溝
13 (a)(b)(c)爪勘合
14 シリコンシーラント
15 貫通口
18 端部閉止栓
20 ソケット
21 ソケット下部
22 ソケット上部
30 フレキカバー
31 スポンジパッキン
32 チャック
33 テープ
34 結束バンド
40 チーズ
41 チーズ下部
42 チーズ上部
50 指示薬
52 試薬
図1
図2
図3
図4
図5