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特開2016-212145レジストパターン形成方法及びめっき造形物の製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2016-212145(P2016-212145A)
(43)【公開日】2016年12月15日
(54)【発明の名称】レジストパターン形成方法及びめっき造形物の製造方法
(51)【国際特許分類】
   G03F 7/11 20060101AFI20161118BHJP
   G03F 7/26 20060101ALI20161118BHJP
   G03F 7/40 20060101ALI20161118BHJP
   H05K 3/18 20060101ALI20161118BHJP
   H01L 21/3205 20060101ALI20161118BHJP
   H01L 21/768 20060101ALI20161118BHJP
   H01L 21/60 20060101ALI20161118BHJP
【FI】
   G03F7/11 503
   G03F7/26 511
   G03F7/40 521
   H05K3/18 D
   H01L21/88 B
   H01L21/92 604B
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2015-92828(P2015-92828)
(22)【出願日】2015年4月30日
(71)【出願人】
【識別番号】000004178
【氏名又は名称】JSR株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001070
【氏名又は名称】特許業務法人SSINPAT
(72)【発明者】
【氏名】榊原 宏和
【テーマコード(参考)】
2H125
2H196
2H225
5E343
5F033
【Fターム(参考)】
2H125AF05N
2H125AM15N
2H125AM23N
2H125AM32N
2H125AM38N
2H125AM93N
2H125AN25N
2H125AN57N
2H125BA17N
2H125CA12
2H125CB05
2H125CC01
2H125CC13
2H125DA21
2H196AA25
2H196AA27
2H196BA05
2H196HA11
2H196HA27
2H196KA03
2H196KA05
2H196KA15
2H196KA19
2H196LA01
2H225AF05N
2H225AM15N
2H225AM23N
2H225AM32N
2H225AM38N
2H225AM93N
2H225AN25N
2H225AN57N
2H225BA17N
2H225CA12
2H225CB05
2H225CC01
2H225CC13
5E343AA22
5E343BB24
5E343BB71
5E343CC62
5E343DD33
5E343DD43
5E343DD63
5E343ER12
5E343ER18
5E343GG08
5F033HH11
5F033PP15
5F033PP26
5F033PP27
5F033PP28
5F033QQ01
5F033VV07
5F033WW02
5F033WW03
5F033XX00
(57)【要約】
【解決手段】本発明のレジストパターン形成方法は、基板上に、少なくとも、フェノール性水酸基及びカルボキシル基から選ばれる少なくとも1種の基を有する重合体(A)、並びにキノンジアジド化合物(B)を含有する組成物からなる塗膜(I)を形成する工程(1)、前記塗膜(I)上にネガレジスト組成物からなる塗膜(II)を形成する工程(2)、前記塗膜(II)をパターン状に選択的に露光し、露光後の塗膜(II)を現像する工程(3)、及び前記塗膜(I)における、前記露光及び現像により前記塗膜(II)に形成された開口部に対応する部分をエッチングにより除去する工程(4)を有する。
【効果】本発明のレジストパターン形成方法によれば、レジストパターンがアンダーカット形状等にならず、適正な形状のレジストパターンを得ることができる。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板上に、フェノール性水酸基及びカルボキシル基から選ばれる少なくとも1種の基を有する重合体(A)、並びにキノンジアジド化合物(B)を少なくとも含有する組成物からなる塗膜(I)を形成する工程(1)、
前記塗膜(I)上にネガレジスト組成物からなる塗膜(II)を形成する工程(2)、
前記塗膜(II)をパターン状に選択的に露光し、露光後の塗膜(II)を現像する工程(3)、及び
前記塗膜(I)における、前記露光及び現像により前記塗膜(II)に形成された開口部に対応する部分をエッチングにより除去する工程(4)、を有することを特徴とするレジストパターン形成方法。
【請求項2】
前記工程(1)において形成する前記塗膜(I)の膜厚が、前記工程(2)において形成する前記塗膜(II)の膜厚に対して0.1〜0.0001倍である、請求項1に記載のレジストパターン形成方法。
【請求項3】
前記工程(1)において形成する前記塗膜(I)の膜厚が1〜0.001μmである、請求項1又は2に記載のレジストパターン形成方法。
【請求項4】
前記工程(1)が、基板上に、少なくとも、フェノール性水酸基及びカルボキシル基から選ばれる少なくとも1種の基を有する重合体(A)、並びにナフトキノン化合物(B)を含有する組成物を塗布し、80℃〜150℃温度で加熱することで、塗膜(I)を形成する工程である、請求項1〜3のいずれかに記載のレジストパターン形成方法。
【請求項5】
前記重合体(A)が、下記式(1)又は(2)に示す構造単位を有する重合体である、請求項1〜4のいずれかに記載のレジストパターン形成方法。
【化1】
(式中、R1は2価の有機基を示す。R2及びR3はそれぞれ独立に水素原子又は1価の有機基を示す。R4は水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基を示す。)
【請求項6】
前記組成物中に含まれる前記キノンジアジド化合物(B)の含有量が、前記重合体(A)100質量部に対して30〜200質量部である、請求項1〜5のいずれかに記載のレジストパターン形成方法。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれかに記載のレジストパターン形成方法によって形成されたレジストパターンの開口部にめっきにより金属を充填する工程(5)、及び工程(5)の後にレジストパターンを除去する工程(6)を有するめっき造形物の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レジストパターンの形成方法、及び該レジストパターンを用いためっき造形物の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、携帯電話などの電子機器において、大規模集積回路(LSI)の高集積化および多層化が急激に進んでいる。このため、LSIを電子機器に搭載するための基板への多ピン実装方法が必要とされ、例えば、テープオートメーテッドボンディング(TAB)方式やフリップチップ方式によるベアチップ実装などが注目されている。前記方式においては、接続用端子であるバンプと呼ばれる突起電極をLSI上に高精度に配置することが必要とされている。
【0003】
上記バンプなどの各種精密部品は、例えば、感放射線性樹脂組成物を被加工物表面に塗布して樹脂膜を形成し、フォトリソグラフィー法により該樹脂膜をパターニングし、得られたレジストパターンをマスクとして、電解めっきなどを実施することにより製造される(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−285035号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
バンプ形成用レジストは、厚膜にした場合でも良好なレジストパターン形状を保持できることに加え、めっきに対する耐性とめっき後の剥離性との両立が要求される。バンプ形成用レジストは厚膜であることから、感放射線性樹脂組成物から形成される樹脂膜は厚膜にする必要がある。このため、フォトリソグラフィー法により樹脂膜を露光したとき、樹脂膜の底部まで光が十分に届かないことが多い。その結果、ネガ型感放射線性樹脂組成物の場合は、露光部底部の硬化が不十分になり、図1に示すように、基板11上に形成されたレジストパターン12の底部が削られた形状、いわゆるアンダーカット形状になる傾向がある。
【0006】
特にネガレジストの場合、レジストパターンがアンダーカット形状であると、正常な形状のバンプが形成できないだけでなく、レジストパターンと基板との隙間にめっき液が染みこみやすくなり、レジストパターンの倒壊が起こるという問題がある。
【0007】
本発明は、レジストパターンがアンダーカット形状等にならず、適正な形状のレジストパターンが得られるレジストパターン形成方法を提供すること、及び適正な形状のめっき造形物を効率的に製造できるめっき造形物の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明のレジストパターン形成方法は、基板上に、少なくとも、フェノール性水酸基及びカルボキシル基から選ばれる少なくとも1種の基を有する重合体(A)、並びにキノンジアジド化合物(B)を含有する組成物からなる塗膜(I)を形成する工程(1)、
前記塗膜(I)上にネガレジスト組成物からなる塗膜(II)を形成する工程(2)、
前記塗膜(II)をパターン状に選択的に露光し、露光後の塗膜(II)を現像する工程(3)、及び
前記塗膜(I)における、前記露光及び現像により前記塗膜(II)に形成された開口部に対応する部分をエッチングにより除去する工程(4)、を有することを特徴とする。
【0009】
前記レジストパターン形成方法において、前記工程(1)において形成する前記塗膜(I)の膜厚が、前記工程(2)において形成する前記塗膜(II)の膜厚に対して0.1〜0.0001倍であることが好ましい。
【0010】
前記レジストパターン形成方法において、前記工程(1)において形成する前記塗膜(I)の膜厚が1〜0.001μmであることが好ましい。
前記レジストパターン形成方法において、前記工程(1)が、基板上に、少なくとも、フェノール性水酸基及びカルボキシル基から選ばれる少なくとも1種の基を有する重合体(A)、並びにナフトキノン化合物(B)を含有する組成物を塗布し、80℃〜150℃温度で加熱することで、塗膜(I)を形成する工程であることが好ましい。
【0011】
前記レジストパターン形成方法において、前記重合体(A)が、下記式(1)又は(2)に示す構造単位を有する重合体であることが好ましい。
【0012】
【化1】
(式中、R1は2価の有機基を示す。R2及びR3はそれぞれ独立に水素原子又は1価の有機基を示す。R4は水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基を示す。)
前記レジストパターン形成方法において、前記組成物中に含まれる前記キノンジアジド化合物(B)の含有量が、前記重合体(A)100質量部に対して30〜200質量部であることが好ましい。
【0013】
本発明のめっき造形物の製造方法は、前記レジストパターン形成方法によって形成されたレジストパターンの開口部にめっきにより金属を充填する工程(5)、及び工程(5)の後にレジストパターンを除去する工程(6)を有する。
【発明の効果】
【0014】
本発明のレジストパターン形成方法によれば、レジストパターンがアンダーカット形状等にならず、適正な形状のレジストパターンを得ることができる。本発明のめっき造形物の製造方法によれば、適正な形状のめっき造形物を効率的に製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1図1は、アンダーカット形状となっているレジストパターンを示す概略断面図である。
図2図2(1)〜(4)は、本発明のレジストパターン形成方法を示す説明図である。各図に表わされているのは該形成方法に用いられる各要素の概略断面図である。
図3図3(5)及び(6)は、本発明のめっき造形物の形成方法を示す説明図である。各図に表わされているのは該形成方法に用いられる各要素の概略断面図である。
図4図4は、実施例1で得られたレジストパターンの電子顕微鏡写真である。
図5図5は、実施例12で得られたレジストパターンの電子顕微鏡写真である。
図6図6は、比較例1で得られたレジストパターンの電子顕微鏡写真である。
図7図7は、比較例2で得られたレジストパターンの電子顕微鏡写真である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
<レジストパターン形成方法>
本発明のレジストパターン形成方法は、基板上に、少なくとも、フェノール性水酸基及びカルボキシル基から選ばれる少なくとも1種の基を有する重合体(A)、並びにキノンジアジド化合物(B)を含有する組成物からなる塗膜(I)を形成する工程(1)、
前記塗膜(I)上にネガレジスト組成物からなる塗膜(II)を形成する工程(2)、
前記塗膜(II)をパターン状に選択的に露光し、露光後の塗膜(II)を現像する工程(3)、及び
前記塗膜(I)における、前記露光及び現像により前記塗膜(II)に形成された開口部に対応する部分をエッチングにより除去する工程(4)を有する。
【0017】
従来のレジストパターン形成方法は、基板上に直接、ネガレジスト組成物からなる塗膜を形成し、この塗膜に対して露光及び現像を行ってレジストパターンを形成する。これに対し、本発明のレジストパターン形成は、基板上に直接、ネガレジスト組成物からなる塗膜を形成するのではなく、基板上にまず特定の組成物からなる塗膜(I)を形成し、塗膜(I)の上にネガレジスト組成物からなる塗膜(II)を形成して、その後塗膜(II)に対して露光及び現像を行い、塗膜(I)に対してエッチングを施すことによりレジストパターンを形成する。
以下、本発明のレジストパターン形成方法を、図2を参照しながら説明する。
【0018】
(工程(1))
工程(1)では、図2(1)に示すように、基板3上に、フェノール性水酸基及びカルボキシル基から選ばれる少なくとも1種の基を有する重合体(A)、並びにキノンジアジド化合物(B)を少なくとも含有する組成物からなる塗膜1を形成する。図2および後述の図3において、塗膜1が本発明の塗膜(I)に該当する。
【0019】
前記組成物に含まれるキノンジアジド化合物(B)は溶解禁止効果を有するので、基板3上に形成された前記組成物からなる塗膜1は後述の工程(3)において現像されない。
基板3は、たとえば半導体基板、ガラス基板、シリコン基板、並びに半導体板、ガラス板およびシリコン板の表面に各種金属膜などを設けて形成される基板などである。
【0020】
前記組成物に含有される重合体(A)としては、フェノール性水酸基及びカルボキシル基の少なくともいずれか一方を有していれば特に制限はないが、たとえば下記式(1)又は(2)に示す構造単位を有する重合体(A1)を好適に挙げることができる。重合体(A)が前記重合体(A1)であると、後述する工程(2)において塗膜1の上にネガレジスト組成物を塗布したときに、該ネガレジスト組成物に通常含有されている溶剤に塗膜1が溶解することを防止することができる。
【0021】
【化1】
式中、R1は2価の有機基を示す。前記有機基としては、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、イソプロピレン基、ブチレン基、イソブチレン等を挙げることができる。
【0022】
2及びR3はそれぞれ独立に水素原子又は1価の有機基を示す。前記1価の有機基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、iso−プロピル基、ブチル基、iso−ブチル基及びtert−ブチル基等を挙げることができる。
【0023】
4は水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基を示す。前記炭素数1〜4のアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、iso−プロピル基、ブチル基、iso−ブチル基及びtert−ブチル基を挙げることができる。
【0024】
重合体(A1)は、重合することにより上記式(1)又は(2)に示す構造単位を形成し得る単量体(以下、「単量体(1') 」という。)を重合することにより得ることができる。
【0025】
単量体(1')としては、N−(p−ヒドロキシフェニル)アクリルアミド、N−(p−ヒドロキシフェニル)メタクリルアミド、N−(p−ヒドロキシベンジル)アクリルアミド、N−(p−ヒドロキシベンジル)メタクリルアミド、N−(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシベンジル)アクリルアミド、N−(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシベンジル)メタクリルアミド、N−(3,5−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)アクリルアミド、N−(3,5−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)メタクリルアミドなどが挙げられる。
【0026】
これら単量体(1')の中では、N−(p−ヒドロキシフェニル)アクリルアミド、N−(p−ヒドロキシフェニル)メタクリルアミド、N−(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシベンジル)アクリルアミド、N−(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシベンジル)メタクリルアミドが好ましい。単量体(1')が上記化合物である場合には、重合体(A1)の溶解性制御が容易となる。
【0027】
単量体(1')は、単独で、または2種以上を混合して使用することができる。
重合体(A1)は、単量体(1')と、単量体(1')以外の共重合可能な単量体(以下、「単量体(2’) 」という。)との共重合体であってもよい。
【0028】
単量体(2’) としては、o−ヒドロキシスチレン、m−ヒドロキシスチレン、p−
ヒドロキシスチレン、p−イソプロペニルフェノール、スチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、p−メトキシスチレンなどの芳香族ビニル化合物;
N−ビニルピロリドン、N−ビニルカプロラクタムなどのヘテロ原子含有脂環式ビニル化合物;
アクリロニトリル、メタクリロニトリルなどのシアノ基含有ビニル化合物;
1.3−ブタジエン、イソプレンなどの共役ジオレフィン類;
アクリルアミド、メタクリルアミドなどのアミド基含有ビニル化合物;
アクリル酸、メタクリル酸などのカルボキシル基含有ビニル化合物;
メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、グリセロールモノ(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、トリシクロデカニル(メタ)アクリレートなどの(メタ)アクリルレート類などが挙げられる。
【0029】
重合体(A1)中に占める、上記(1)又は(2)式で示される構造単位の比率は、本発明の効果を損なわない範囲であれば特に限定されるものではないが、重合体中に通常5〜100重量%の範囲、好ましくは10〜100重量%の範囲、さらに好ましくは20〜100重量%の範囲の量である。
【0030】
重合体(A)の分子量は、ポリスチレン換算の重量平均分子量(以下、「Mw」という。)として、通常、1000〜100000、好ましくは3000〜50000である。
本発明において、重合体(A)は、単独で、または2種以上を混合して使用することができる。
【0031】
前記組成物に含有されるキノンジアジド化合物(B)としては、ポリヒドロキシベンゾフェノン類、ビス[(ポリ)ヒドロキシフェニル]アルカン類、トリス(ヒドロキシフェニル)メタン類もしくはそのメチル置換体、ビス(シクロヘキシルヒドロキシフェニル)ヒドロキシフェニルメタン類もしくはそのメチル置換体、4,4'−[1−[4−[1−(4−ヒドロキシフェニル)−1−メチルエチル]フェニル]エチリデン]ジフェノール、7−ヒドロキシ−4−(4'−ヒドロキシフェニル)−2−メチル−2−(2',4'−ジヒドロキシ)フェニルクマロン、ノボラック樹脂、ピロガロール−アセトン樹脂、p−ヒドロキシスチレンのホモポリマーもしくはp−ヒドロキシスチレンと他のモノマーとの共重合体、または、水酸基もしくはアミノ基を有する化合物等;と、
キノンジアジド基含有スルホン酸またはナフトキノン−1,2−ジアジド−5−スルホニルクロリド等;との完全エステル化合物、部分エステル化合物、アミド化物または部分アミド化物等を挙げることができる。
【0032】
前記ポリヒドロキシベンゾフェノン類としては、2,3,4−トリヒドロキシベンゾフェノン、2,4,4'−トリヒドロキシベンゾフェノン、2,4,6−トリヒ ドロキシベンゾフェノン、2,3,6−トリヒドロキシベンゾフェノン、2,3,4−トリヒドロキシ−2'−メチルベンゾフェノン、2,3,4,4'−テトラヒドロキシベンゾフェノン、2,2',4,4'−テトラヒドロキシベンゾフェノン、2,3',4,4',6−ペンタヒドロキシベンゾフェノン、2,2',3,4,4'−ペンタヒドロキシベンゾフェノン、2,2',3,4,5−ペンタヒドロキシベンゾフェノン、2,3',4,4',5',6−ヘキサヒドロキシベンゾフェノン、2,3,3',4,4',5'−ヘキサヒドロキシベンゾフェノン等を挙げることができる。
【0033】
前記ビス[(ポリ)ヒドロキシフェニル]アルカン類としては、ビス(2,4−ジヒドロキシフェニル)メタン、ビス(2,3,4−トリヒドロキシフェニル)メタン、2−(4−ヒドロキシフェニル)−2−(4'−ヒドロキシフェニル)プロパン、2−(2,4− ジヒドロキシフェニル)−2−(2',4'−ジヒドロキシフェニル)プロパン、2−(2,3,4−トリヒドロキシフェニル)−2−(2',3',4'−トリヒドロキシフェニル)プロパン等を挙げることができる。
【0034】
前記トリス(ヒドロキシフェニル)メタン類またはそのメチル置換体としては、トリス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)−4−ヒドロキシフェニルメタン、ビス(4−ヒドロキシ−2,5−ジメチルフェニル)−4−ヒドロキシフェニルメタン、ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)−2−ヒドロキシフェニルメタン、ビス(4−ヒドロキシ−2,5−ジメチルフェニル)−2−ヒドロキシフェニルメタン、ビス(4−ヒドロキシ−2,5−ジメチルフェニル)−3,4−ジヒドロキシフェニルメタン、ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)−3,4−ジヒドロキシフェニルメタン等を挙げることができる。
【0035】
前記ビス(シクロヘキシルヒドロキシフェニル)ヒドロキシフェニルメタン類またはそのメチル置換体としては、ビス(3−シクロヘキシル−4−ヒドロキシフェニル)−3−ヒドロキシフェニルメタン、ビス(3−シクロヘキシル−4−ヒドロキシフェニル)−2−ヒドロキシフェニルメタン、ビス(3−シクロヘキシル−4−ヒドロキシフェニル)−4−ヒドロキシフェニルメタン、ビス(5−シクロヘキシル−4−ヒドロキシ−2−メチルフェニル)−2−ヒドロキシフェニルメタン、ビス(5−シクロヘキシル−4−ヒドロキシ−2−メチルフェニル)−3−ヒドロキシフェニルメタン、ビス(5−シクロヘキシル−4−ヒドロキシ−2−メチルフェニル)−4−ヒドロキシフェニルメタン、ビス(3−シクロヘキシル−2−ヒドロキシフェニル)−3−ヒドロキシフェニルメタン、ビス(5−シクロヘキシル−4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)−4−ヒドロキシフェニルメタン、ビス(5−シクロヘキシル−4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)−3−ヒドロキシフェニルメタン、ビス(5−シクロヘキシル−4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)−2−ヒドロキシフェニルメタン、ビス(3−シクロヘキシル−2−ヒドロキシフェニル)−4−ヒドロキシフェニルメタン、ビス(3−シクロヘキシル−2−ヒドロキシフェニル)−2−ヒドロキシフェニルメタン、ビス(5−シクロヘキシル−2−ヒドロキシ−4−メチルフェニル)−2−ヒドロキシフェニルメタン、ビス(5−シクロヘキシル−2−ヒドロキシ−4−メチルフェニル)−4−ヒドロキシフェニルメタン等を挙げることができる。
【0036】
前記水酸基もしくはアミノ基を有する化合物としては、フェノール、p−メトキシフェノール、ジメチルフェノール、ヒドロキノン、ナフトール、ピロカテコール、ピロガロール、ピロガロールモノメチルエーテル、ピロガロール−1,3−ジメチルエーテル、没食子酸、アニリン、p−アミノジフェニルアミン、4,4'−ジアミノベンゾフェノン等を挙げることができる。
【0037】
キノンジアジド基含有スルホン酸としては、ナフトキノン−1,2−ジアジド−5−スルホン酸、ナフトキノン−1,2−ジアジド−4−スルホン酸、オルトアントラキノンジアジドスルホン酸等を挙げることができる。
【0038】
前記組成物に含有されるキノンジアジド化合物(B)は、一種単独でも、2種以上であってもよい。
これらのうちでは、4,4'−[1−[4−[1−(4−ヒドロキシフェニル)−1− メチルエチル]フェニル]エチリデン]ジフェノールと、ナフトキノン−1,2−ジアジド−5−スルホニルクロリドとを、モル比1:1でエステル化反応されて得られた生成物が好ましい。
【0039】
前記組成物に含有されるキノンジアジド化合物(B)の量は、重合体(A)100質量部に対して好ましくは30〜200質量部、より好ましくは40〜150質量部、さらに好ましくは50〜100質量部である。キノンジアジド化合物(B)の量が重合体(A)100質量部に対して30質量部未満であると、後述の工程(3)において塗膜1が溶解されてしまう場合があり、200質量部を超えると得られる塗膜1の基板に対する密着性が低下する場合がある。
【0040】
前記組成物は、本発明の効果を阻害しない限度において、重合体(A)及びキノンジアジド化合物(B)以外に重合体(A)を除くアルカリ可溶性樹脂、有機溶媒、界面活性剤等を含有することができる。前記アルカリ可溶性樹脂は、塗膜1のアルカリ現像性を調節することができ、その使用量は、重合体(A)100質量部に対して、通常、10〜100質量部である。
【0041】
塗膜1は、前記組成物を基板3に塗布等することにより形成される。前記組成物の塗布方法としては、特に限定されず、例えば、スプレー法、ロールコート法、スピンコート法、スリットダイ塗布法、バー塗布法、インクジェット法を挙げることができる。
【0042】
基板3に塗布等された前記組成物は80〜150℃温度で加熱することが好ましく、110〜130℃温度で加熱することがより好ましい。また、加熱は窒素雰囲気下などの不活性雰囲気下で行うことができる。
【0043】
工程(1)が、基板上に前記組成物を塗布し、塗布された組成物を80℃〜150℃温度で加熱することにより塗膜1を形成する工程であると、塗膜1に含まれるキノンジアジド化合物の溶解禁止効果を高めることができる。
【0044】
工程(1)において形成される塗膜1の膜厚は0.001〜1μmであることが好ましく、0.03〜0.1μmであることがより好ましい。塗膜1の前記膜厚が0.001〜1μmであると、後述する工程(4)において、塗膜1をエッチングにより容易に除去することができる。
【0045】
(工程(2))
工程(2)では、図2(2)に示すように、塗膜1上にネガレジスト組成物からなる塗膜2を形成する。図2および後述の図3において、塗膜2が本発明の塗膜(II)に該当する。
【0046】
塗膜2は、感光性樹脂組成物を基板1上に形成された塗膜1に塗布等することにより形成される。前記感光性樹脂組成物は、メッキ造形物の形成においてレジストの形成に従来使用される感光性樹脂組成物であって差し支えない。感光性樹脂組成物は、通常、多官能アクリレート等の架橋剤を含んでおり、感光性樹脂組成物から形成された塗膜2は、後述の工程(3)において架橋される。感光性樹脂組成物の塗布方法としては、特に限定されず、例えば、スプレー法、ロールコート法、スピンコート法、スリットダイ塗布法、バー塗布法、インクジェット法を挙げることができる。
【0047】
工程(2)において形成される塗膜2の膜厚は、通常0.001〜300μm、好ましくは0.01〜100μm、より好ましくは0.1〜70μmである。
工程(1)において形成された塗膜1の膜厚は、工程(2)において形成された塗膜2の膜厚に対して0.1〜0.0001倍であることが好ましく、0.1〜0.001倍であることがより好ましい。塗膜1の膜厚と塗膜2の膜厚との比が前記範囲内にあると、後述する工程(4)において、塗膜1をエッチングにより容易に除去することができる。
【0048】
(工程(3))
工程(3)では、塗膜2をパターン状に選択的に露光し、露光後の塗膜2を現像する。図2(3)に示すように、工程(3)の露光及び現像により塗膜2に開口部4が形成される。
【0049】
具体的には、パターン状に部分的、選択的に塗膜2に対して露光を行い、その後現像を行うことにより、パターン状に設けられた開口部4を有する塗膜2を形成する。開口部4は、塗膜2を貫通する孔である。露光および現像に関しては、従来法に従って行うことができる。
【0050】
前述のとおり、前記組成物に含まれるキノンジアジド化合物(B)は溶解禁止効果を有するので、前記組成物から形成された塗膜1は工程(3)において現像されない。
また、前記組成物に含まれるキノンジアジド化合物(B)は、紫外線(波長100nm〜400nm)を吸収することができるため、塗膜1は反射防止機能を有している。そのため、本発明のレジストパターン形成方法では、定在波(入射光と、基板からの反射光との干渉により起こる干渉波により、レジストパターンがでこぼこになる現象)のないレジストパターンを形成することができる。
【0051】
(工程(4))
図2(3)に示すように、工程(3)の終了時において、塗膜1は、露光及び現像により塗膜2に形成された開口部4に対応する部分5を有する。開口部4に対応する部分5は、塗膜1の部分のうち、その表面が開口部4に面している部分である。
【0052】
工程(4)では、塗膜1における、開口部4に対応する部分5をエッチングにより除去する。工程(4)により、図2(4)に示すように、塗膜1に開口部6が形成される。
以上により、開口部6を有する塗膜1及び開口部4を有する塗膜2からなるレジストパターン7が得られる。レジストパターン7は、開口部4および開口部6が連結されて形成される開口部8を有する。
エッチングの方法としては、開口部4に対応する部分5を除去できれば制限はなく、O2アッシングなどを挙げることができる。
【0053】
上記のとおり、本発明のレジストパターン形成方法においては、基板上にまず前記組成物からなる塗膜(I)を形成し、塗膜(I)の上にネガレジスト組成物からなる塗膜(II)を形成して、その後、塗膜(II)に対して露光及び現像を行い、塗膜(I)に対してエッチングを施してレジストパターンを形成する。基板上に形成された塗膜(I)は現像されないので、工程(3)の終了時において、塗膜(I)は現像により形成された開口部の下に残存する。その後、塗膜(I)の、前記開口部の下に位置する部分をエッチングにより除去することによりレジストパターンが形成される。したがって、本発明のレジストパターン形成においては、塗膜(I)の底部まで十分に露光されている必要はなく、塗膜(II)の底部が十分に露光されていれば足りる。このため、本発明のレジストパターン形成方法では、レジストが厚膜であっても、従来法においては塗膜の底部まで光が十分に露光されないことにより生ずる、レジストがアンダーカット形状になるという問題が起こらない。このため、本発明のレジストパターン形成によれば、良好な形状のレジストパターンを得ることができる。
【0054】
<めっき造形物の形成方法>
本発明のめっき造形物の形成方法は、前記レジストパターン形成方法によって形成されたレジストパターンの開口部にめっきにより金属を充填する工程(5)、及び工程(5)の後にレジストパターンを除去する工程(6)を有する。
以下、本発明のめっき造形物の形成方法を、図3を参照しながら説明する。
【0055】
(工程(5))
図3(5)に示すように、前記レジストパターン形成方法によって形成されたレジストパターン7の開口部8にめっきにより金属9を充填する。めっきとしては、電気めっき、化学めっき、溶融めっき等、通常めっきとして用いられるいずれの方法でもよい。金属9の種類も、目的とするめっき造形物の種類に応じて適宜選択することができる。
【0056】
(工程(6))
工程(5)の後にレジストパターン7を除去する。その結果、図3(6)に示すように、金属9からなるめっき造形物10が形成される。
レジストパターン7は、たとえばレジスト剥離液により除去することができる。
【0057】
塗膜1に含まれるキノンジアジド化合物(B)は、僅かな光でもインデンに変化する。インデンはアルカリ性溶液に対する溶解性が高い。工程(4)におけるエッチング後に残った図2(4)および図3(5)の塗膜1は、工程(3)において露光された部分であるので、図2(4)および図3(5)の塗膜1においては、キノンジアジド化合物(B)はアルカリ性溶液に溶解しやすいインデンに変化している。このため、図3(5)の塗膜1はアルカリ性溶液により基板3から隔離しやすい。このような理由から、工程(6)において、レジストパターン7の除去にアルカリ性のレジスト剥離液を用いた場合、レジストパターン7は容易に除去することができる。
造形物10としては、バンプ、配線等を挙げることができる。本発明のめっき造形物の形成方法は、特に配線形成に有用である。
【実施例】
【0058】
以下、本発明を実施例に基づいてさらに具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されない。以下の実施例等の記載において、特に言及しない限り、「部」は「質量部」の意味で用いる。
【0059】
下記実施例等において重合体の重量平均分子量(Mw)は、下記条件下でゲルパーミエーションクロマトグラフィー法にて測定した。
・カラム:東ソー社製カラムのTSK−MおよびTSK2500を直列に接続
・溶媒:テトラヒドロフラン
・温度:40℃
・検出方法:屈折率法
・標準物質:ポリスチレン
【0060】
1.下層膜形成用樹脂組成物の製造
[製造例1〜8]下層膜形成用樹脂組成物の製造
下記表1に示す成分及び量を混合し、カプセルフィルター(孔径10μm)で濾過して、製造例1〜8によりそれぞれ下層膜形成用樹脂組成物1〜8を製造した。なお、表1中に示す各成分の詳細は以下の通りである。
A1:下記構造単位を有する重合体(Mw:15,000)
【0061】
【化2】
A2:下記構造単位を有する共重合体(Mw:9,000、a/b/c/d:20/20/30/30(モル比))
【0062】
【化3】
B1:1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−[4−[1−(4−ヒドロキシフェニル)−1−メチルエチル]フェニル]エタンと1,2−ナフトキノンジアジド−5−スルホン酸との縮合物(前者化合物と後者化合物とのモル比は1.0:2.0である。)
C1:乳酸エチル
D1:2、2’、4、4’テトラヒドロキシベンゾフェノン
D2:クルクミン
【0063】
【表1】
【0064】
2.レジストパターンの形成、及びめっき造形物の製造
[実施例1]
シリコンウェハ上に銅スパッタ膜を備えてなる基板にスピンコーターを用いて、前記製造例1で製造した組成物1を塗布し、ホットプレートにて、130℃で300秒間加熱し、膜厚0.03μmの塗膜(I)を形成した。
【0065】
次いで、塗膜(I)上に感光性樹脂組成物(商品名「ELPACTM THB−112N」、JSR(株)製、アルカリ可溶性樹脂、多官能アクリレート、及び光ラジカル重合開始剤を含有する感光性樹脂組成物)を塗布し、ホットプレートにて、90℃で120秒間加熱し、膜厚5μmの塗膜(II)を形成した。
【0066】
塗膜(II)を、ステッパー(ニコン社製、型式「NSR−i12D」)を用い、パターンマスクを介して、露光した。露光後の塗膜(II)を、2.38質量%のテトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド水溶液に20秒間浸漬し、塗膜(II)を現像した。現像後、プラズマエッチング装置(神港精機社製、商品名「EXAM」)を用い、100W/60秒の条件下でO2アッシングし、現像後の塗膜(II)の開口部に対応する部分を除去し、基板上にレジストパターン(レジスト幅:2μm、レジストパターン間距離:2μm、高さ:約5μm)を形成した。得られたレジストパターンにはアンダーカットがなく、その断面形状は矩形であった。また、得られたレジストパターンの側壁には定在波はなかった。得られたレジストパターンの電子顕微鏡写真を図4に示す。
【0067】
次いで、このレジストパターンをマスクにして、銅めっきを行った。銅めっきは、「Cu300」(株式会社EEJA製)にて行った。銅めっき後、レジスト剥離液(商品名「ELPACTM THB−S17」、JSR(株)製)でレジストパターンを除去し、銅めっき造形物を製造した。基板上に形成された銅めっき造形物には倒れはなく、またその断面形状は矩形であった。レジストパターン及び銅めっき造形物の評価結果を表2に示す。
【0068】
[実施例2〜11]
実施例2〜11については、表2に示す下層膜形成用組成物を用い、表2に示す加熱条件で表2に示す膜厚の塗膜(I)を形成したこと以外は実施例1と同様の操作にて、レジストパターンを形成した。次いで、実施例1と同様の操作にて、銅めっき造形物を製造した。レジストパターン及び銅めっき造形物の評価結果を表2に示す。
【0069】
【表2】
【0070】
[実施例12]
シリコンウェハ上に銅スパッタ膜を備えてなる基板にスピンコーターを用いて、前記製造例1で製造した組成物1を塗布し、ホットプレートにて、130℃で300秒間加熱し、膜厚0.03μmの塗膜(I)を形成した。
【0071】
次いで、塗膜(I)上に感光性樹脂組成物(商品名「ELPACTM THB−127N」、JSR(株)製、アルカリ可溶性樹脂、多官能アクリレート、及び光ラジカル重合開始剤を含有する感光性樹脂組成物)を塗布し、ホットプレートにて、90℃で300秒間加熱し、膜厚10μmの塗膜(II)を形成した。
【0072】
塗膜(II)を、ステッパー(ニコン社製、型式「NSR−i12D」)を用い、パターンマスクを介して、露光した。露光後の塗膜(II)を、2.38質量%のテトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド水溶液に60秒間浸漬し、塗膜(II)を現像した。現像後、プラズマエッチング装置(神港精機社製、商品名「EXAM」)を用い、100W/60秒の条件下でO2アッシングし、現像後の塗膜(II)の開口部に対応する部分を除去し、基板上にレジストパターン(レジスト幅:2μm、レジストパターン間距離:2μm、高さ:約10μm)を形成した。得られたレジストパターンにはアンダーカットがなく、その断面形状は矩形であった。また、得られたレジストパターンの側壁には定在波はなかった。得られたレジストパターンの電子顕微鏡写真を図5に示す。
【0073】
次いで、レジストパターンをマスクにして、銅めっきを行った。銅めっきは、装置名「Cu300」(株式会社EEJA製)にて行った。銅めっき後、レジスト剥離液(商品名「ELPACTM THB−S17」、JSR(株)製)でレジストパターンを除去し、銅めっき造形物を製造した。基板上に形成された銅めっき造形物には倒れはなく、またその断面形状は矩形であった。レジストパターン及び銅めっき造形物の評価結果を表2に示す。
【0074】
[実施例13〜15]
実施例13〜15については、表2に示す下層膜形成用組成物を用い、表2に示す加熱条件で表2に示す膜厚の塗膜(I)を形成したこと以外は実施例12と同様の操作にて、レジストパターンを形成した。次いで、実施例1と同様の操作にて、銅めっき造形物を製造した。レジストパターン及び銅めっき造形物の評価結果を表2に示す。
【0075】
[比較例1]
シリコンウェハ上に銅スパッタ膜を備えてなる基板にスピンコーターを用いて、感光性樹脂組成物(商品名「ELPACTM THB−112N」、JSR(株)製、アルカリ可溶性樹脂、多官能アクリレート、及び光ラジカル重合開始剤を含有する感光性樹脂組成物)を塗布し、ホットプレートにて、90℃で120秒間加熱し、膜厚5μmの塗膜を形成した。
【0076】
前記塗膜を、ステッパー(ニコン社製、型式「NSR−i12D」)を用い、パターンマスクを介して、露光した。露光後の塗膜を、2.38質量%のテトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド水溶液に20秒間浸漬し、塗膜を現像した。現像後、プラズマエッチング装置(神港精機社製、商品名「EXAM」)を用い、100W/60秒の条件下でO2アッシングし、現像後の塗膜(II)の開口部に対応する部分を除去し、基板上にレジストパターン(レジスト幅:2μm、レジストパターン間距離:2μm、高さ:約5μm)を形成した。得られたレジストパターンにはアンダーカットがあり、その断面形状は矩形でなかった。また、得られたレジストパターンの側壁には定在波があった。得られたレジストパターンの電子顕微鏡写真を図6に示す。
【0077】
次いで、レジストパターンをマスクにして、銅めっきを行った。銅めっきは、「Cu300」(株式会社EEJA製)にて行った。銅めっき後、レジスト剥離液(商品名「ELPACTM THB−S17」、JSR(株)製)でレジストパターンを除去し、銅めっき造形物を製造した。基板上に形成した銅めっき造形物にはいくつかの倒れが認められた。レジストパターン及び銅めっき造形物の評価結果を表2に示す。
【0078】
[比較例2]
シリコンウェハ上に銅スパッタ膜を備えてなる基板にスピンコーターを用いて、感光性樹脂組成物(商品名「ELPACTM THB−127N」、JSR(株)製、アルカリ可溶性樹脂、多官能アクリレート、及び光ラジカル重合開始剤を含有する感光性樹脂組成物)を塗布し、ホットプレートにて、90℃で300秒間加熱し、膜厚10μmの塗膜を形成した。
【0079】
前記塗膜を、ステッパー(ニコン社製、型式「NSR−i12D」)を用い、パターンマスクを介して、露光した。露光後の塗膜を、2.38質量%のテトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド水溶液に20秒間浸漬し、塗膜を現像した。現像後、プラズマエッチング装置(神港精機社製、商品名「EXAM」)を用い、100W/60秒の条件下でO2アッシングし、現像後の塗膜(II)の開口部に対応する部分を除去し、基板上にレジストパターン(レジスト幅:2μm、レジストパターン間距離:2μm、高さ:約10μm)を形成した。得られたレジストパターンの形状はアンダーカットがあり、矩形ではなかった。また、得られたレジストパターンの側壁には定在波があった。得られたレジストパターンの電子顕微鏡写真を図7に示す。
【0080】
次いで、レジストパターンをマスクにして、銅めっきを行った。銅めっきは、装置名「Cu300」(株式会社EEJA製)にて行った。銅めっき後、レジスト剥離液(商品名「ELPACTM THB−S17」、JSR(株)製)でレジストパターンを除去し、銅めっき造形物を製造した。基板上に形成した銅めっき造形物にはいくつかの倒れが認められた。レジストパターン及び銅めっき造形物の評価結果を表2に示す。
【符号の説明】
【0081】
1,2 塗膜
3 基板
4,6,8 開口部
5 開口部4に対応する部分
7 レジストパターン
9 金属
10 めっき造形物
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7