【解決手段】検査室内で用いられる支援装置(3)は、表示部(38)と、支援情報を予め記憶する支援情報記憶部(352)と、内視鏡検査による検査結果を記憶する検査結果記憶部(354)と、指示入力部(32,33)と、所見入力処理部(303)とを含む。支援情報は、管腔臓器に起こり得る複数の病気をそれぞれ特定するための複数の病名データと、病名データに関連付けられ、病気の性状を特定するための複数の性状データとを含む。所見入力処理部(303)は、内視鏡検査の際に、ユーザにより管腔臓器の部位が指定されると、支援情報に基づいて順次、病名選択画面および性状選択画面を表示部に表示し、所見入力データとして、ユーザにより選択された病名および性状を、指定された部位に関連付けて検査結果記憶部(354)に記録する処理を行う。
前記所見入力処理手段は、ユーザにより性状が選択されると、前記部位選択画面を再度表示し、ユーザにより他の部位名が選択される度に、前記病名選択画面および前記性状選択画面を繰り返し表示する、請求項2に記載の所見入力支援システム。
前記検査結果記憶手段は、前記所見入力データに加え、担当医データ、および、患者から入力された問診入力データの少なくとも一方をさらに記憶する、請求項1〜9のいずれかに記載の所見入力支援システム。
前記管理装置は、プリンタに接続されており、前記検査結果データベースに登録された前記検査結果データに応じた内容の所見用紙を前記プリンタに印刷させる処理を行う出力処理手段をさらに含む、請求項12に記載の所見入力支援システム。
【発明を実施するための形態】
【0031】
本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。なお、図中同一または相当部分には同一符号を付してその説明は繰返さない。
【0032】
<概要について>
はじめに、
図1を参照して、本実施の形態に係る所見入力支援システムSYSの概要について説明する。
【0033】
所見入力支援システムSYSは、内視鏡装置1と、管理装置2と、(所見入力)支援装置3とを含む。内視鏡装置1は、生体の管腔臓器、たとえば大腸を検査する装置である。内視鏡装置1は公知の構成であってよく、挿入部11と、操作部12と、モニタ13と、画像記録装置14とを有している。管理装置2は、複数の患者の検査結果等、内視鏡検査に関する各種情報を管理する装置であり、典型的には据置型のパーソナルコンピュータにより実現される。支援装置3は、生体の管腔臓器としての大腸の内視鏡検査における所見入力を支援するための装置であり、典型的には、携帯可能なタブレット端末により実現される。以下、支援装置3を、タブレット3という。
【0034】
図1に示されるように、内視鏡装置1とタブレット3とは、検査室内に配置されるが、管理装置2は、検査室外に配置される。なお、タブレット3は、主に検査室内で用いられるものの、検査室外でも用いられてもよい。管理装置2は、内視鏡装置1およびタブレット3と、無線または有線にて接続されている。管理装置2は、また、プリンタ5に接続されている。
【0035】
上記構成を有する所見入力支援システムSYSでは、
図9に示されるように、主に次のような診察手順で内視鏡検査が行われる。
(1)患者による、タブレット3を用いた問診表の入力、(2)医療従事者による、内視鏡装置1を用いた検査、および、検査と並行して行われる、タブレット3を用いた所見入力(必須情報、周辺情報)、(3)管理装置2を用いた結果説明。
【0036】
これに対し、一般的な内視鏡検査の診察手順は、主に次の通りである。
(1)患者による、紙ベースでの問診表の記入、(2)医療従事者による、管理装置への問診表の登録、(3)内視鏡装置1を用いた検査、(4)医療従事者による、管理装置への所見入力(必須情報のみ)、(5)管理装置を用いた結果説明。
【0037】
両者を比較して明らかなように、本実施の形態に係る所見入力支援システムSYSは、内視鏡検査と並行して所見入力ができる点で、検査・治療以外での診察時間の短縮を可能としている。また、必須情報だけでなく周辺情報の所見入力もできるため、正確な統計処理にも役立つ。
【0038】
以下に、このような所見入力支援システムSYSを実現するための各装置の構成および動作について、詳細に説明する。
【0039】
<構成について>
(管理装置のハードウェア構成)
図2を参照して、管理装置2は、一般的なパーソナルコンピュータと同様の構成であってよく、各種演算処理を行う制御部20と、ユーザからの指示を受け付けるための操作部21と、各種情報を表示する表示部22と、各種データやプログラムを記憶するメモリ23と、不揮発性の記憶装置としてのハードディスク(HD)24と、日時を計時する計時部25と、ネットワーク通信のための通信部26と、接続された外部機器との間で情報を入出力する入出力部27とを含む。制御部20は、たとえばCPU(Central Processing Unit)により実現される。操作部21は、たとえばキーボードにより実現される。入出力部27は、プリンタ5に接続されている。
【0040】
(タブレットのハードウェア構成)
図3を参照して、タブレット3は、一般的なタブレット端末と同様の構成であってよく、各種演算処理を行う制御部30と、マイクロフォン31を介して音声を入力し、音声をテキストデータに変換して制御部30に与える音声入力部32と、操作部33および表示部34の両機能を備えるタッチパネル38と、各種データやプログラムを記憶する不揮発性のメモリ35と、日時を計時する計時部36と、ネットワーク通信のための通信部37とを含む。制御部30も、たとえばCPUにより実現される。操作部33および音声入力部32は、ともに、ユーザからの指示を受け付けるための指示入力部として機能する。
【0041】
(管理装置の機能構成)
図4を参照して、管理装置2の機能構成例について説明する。管理装置2は、機能構成として、送出処理部201と、登録処理部202と、変更処理部203と、出力処理部204と、統計処理部205と、予約患者記憶部241と、検査結果データベース(DB)242とを含む。
【0042】
送出処理部201は、予約患者記憶部241に記憶された複数の予約患者データを読み出して、タブレット3へ送出する処理を行う。予約患者データは、検査予定日と、検査予定の患者を特定するための患者特定データ(氏名、性別、年齢、および生年月日)とを含む。このような予約患者データは、操作部21の操作等によって事前に予約患者記憶部241に登録されている。
【0043】
登録処理部202は、検査後の複数の患者の検査結果データを検査結果データベース242に登録する処理を行う。具体的には、タブレット3から得られる検査結果データや、内視鏡装置1の画像記録装置14から得られる画像データを、検査結果データベース242に格納する。検査結果データの構造例については、後述する。
【0044】
変更処理部203は、検査結果データベース242に格納されている検査結果データの内容を変更および追加する処理を行う。具体的には、検査結果データベース242内に記憶された画像データの一部を、検査結果データに追加する処理などが行われる。
【0045】
出力処理部204は、検査結果データベース242に格納されている検査結果データに基づいて、患者ごとに検査結果を出力する処理を行う。具体的には、検査結果データベース242に格納されている複数の検査結果データの中から指定された検査結果データに応じた内容の所見用紙を、プリンタ5に印刷させる。
【0046】
統計処理部205は、検査結果データベース242に格納されている複数の検査結果データの統計処理を行う。統計処理は、データの分析処理を含む。
【0047】
なお、上記した5つの処理部201〜205の機能は、
図2に示した制御部20がソフトウェアを実行することで実現されてもよいし、これらのうちの少なくとも1つは、ハードウェアにより実現されてもよい。また、予約患者記憶部241および検査結果データベース242は、
図2に示したハードディスク24に含まれてよい。
【0048】
(タブレットの機能構成)
図5を参照して、タブレット3の機能構成例について説明する。タブレット3は、機能構成として、取得処理部301と、問診入力処理部302と、所見入力処理部303と、送信処理部304と、問診情報記憶部351と、支援情報記憶部352と、予約患者記憶部353と、検査結果記憶部354とを含む。
【0049】
問診情報記憶部351は、表示部34に問診表を表示するための問診情報を記憶している。具体的には、患者による入力用の問診表に関する情報(以下「患者用問診情報」という)を予め記憶している。医師等の医療従事者による入力用の問診表に関する情報(以下「医師用問診情報」という)をさらに記憶していてもよい。
【0050】
なお、問診表に含まれる質問事項は、病院によって異なることも想定されるため、各問診情報は、病院ごとにカスタマイズ可能であることが望ましい。この場合、管理装置2において各病院に応じた問診情報を生成または変更し、問診情報記憶部351の問診情報を更新できるようにしてもよい。また、複数言語の問診情報が記憶されていてもよい。
【0051】
支援情報記憶部352は、医療従事者による所見入力を支援するための支援情報を予め記憶している。支援情報は、辞書情報とも定義され、大腸を構成する複数の部位名をそれぞれ特定するための複数の部位名データと、大腸に起こり得る複数の病気をそれぞれ特定するための複数の病名データと、病気の性状を特定するための複数の性状データと、複数の診断名データと、複数の処置名データとを含む。そのため、
図6に示されるように、支援情報記憶部352は、それぞれのデータを格納する部位名ファイル61、病名ファイル62、性状ファイル63、診断名ファイル64、および処置名ファイル65を含んでいる。
【0052】
部位名ファイル61に記録された各部位名データは、たとえば、部位ID(たとえばP001,P002,・・・)と、部位名を示す文字データとで構成される。病名ファイル62に記録された各病名データは、たとえば、病名ID(たとえばI001,I002,・・・)と、病名を示す文字データとで構成される。性状ファイル63に記録された各性状データは、たとえば、性状分類ID(たとえばC001,C002,・・・)と、性状分類を示す文字データと、性状分類に対応する複数の類型をそれぞれ示す複数の文字データと、性状分類が必須入力項目か否かを示す必須フラグとで構成される。必須フラグは、たとえば、必須の場合「1」、任意の場合「0」を記録する。診断名ファイル64に記録された各診断名データは、たとえば、診断名ID(たとえばD001,D002,・・・)と、診断名を示す文字データとで構成される。処置名ファイル65に記録された各処置名データは、たとえば、処置名ID(たとえばO001,O002,・・・)と、処置名を示す文字データとで構成される。
【0053】
なお、部位名、病名、および性状等の表現(名称や記号など)も、病院によって異なることも想定されるため、上記した文字データも、病院ごとにカスタマイズ可能であってもよい。この場合、管理装置2において各病院に応じた文字データを生成または変更し、支援情報記憶部352の支援情報を更新できるようにしてもよい。また、複数言語の支援情報が記憶されていてもよい。
【0054】
ここで、支援情報記憶部352には、性状分類と、診断名と、処置名とが、どの病名に対応するかを定めた対応テーブル66が、予め記憶されている。
図7を参照して、対応テーブル66には、病名IDごとに、対応する性状分類ID、診断名IDおよび処置名IDが記録されている。病名「その他」に対応する病名ID:I014には、性状分類ID、診断名IDおよび処置名IDは対応付けられていない。また、病気の種類に応じて、診断名IDが対応付けられていない病名IDや、処置名IDが対応付けられていない病名IDも含まれる。なお、本実施の形態では、対応テーブル66を用いて、病名データと、性状分類データ、診断名データおよび処置名データとを関連付けることとしたが、他の公知の方法によってこれらのデータを関連付けることとしてもよい。
【0055】
再び
図5を参照して、取得処理部301は、管理装置2から予約患者データを取得する処理を実行する。取得処理部301は、取得した予約患者データを、予約患者記憶部353に格納する。
【0056】
問診入力処理部302は、問診情報記憶部351に予め記憶された患者または医師用問診情報に基づいて、問診表入力のための処理を実行する。具体的には、タッチパネル38に問診表を表示し、患者または医療従事者に回答を入力させる。問診入力処理部302は、入力された回答データ(以下「問診入力データ」という)を、検査結果記憶部354に記録する。
【0057】
所見入力処理部303は、支援情報記憶部352に予め記憶された支援情報に基づいて、所見入力のための処理を実行する。具体的には、ユーザ(医療従事者)により検査開始の指示が入力された場合に、支援情報記憶部352に記憶された支援情報に基づいて順次、部位選択画面、病名選択画面、および病名に対応する性状選択画面をタッチパネル38に表示する。また、ユーザにより選択された部位名、病名、および性状を含む所見入力データを、検査結果記憶部354に記録する。検査結果記憶部354には、病名および性状が、部位名に関連付けられて記憶される。
【0058】
検査結果記憶部354には、患者ごとに検査結果が記憶される。具体的には、患者IDに対応付けて検査結果データが記憶される。
図8に示されるように、各検査結果データは、上記した問診入力データおよび所見入力データを少なくとも含み、望ましくは、時間データおよび担当医データも含む。時間データは、検査開始時刻、盲腸到達時刻、および検査終了時刻を含む。
図9に示されるように、このような時間データから、挿入時間、観察時間、および総処置時間を算出することができる。挿入時間は、検査開始時刻から盲腸到達時刻までの時間を示し、観察時間は、盲腸到達時刻から検査終了時刻までの時間を示す。また、総処置時間は、検査開始時刻から検査終了時刻までの時間を示す。なお、時間データは、検査開始時刻および検査終了時刻のみを含んでもよい。
【0059】
送信処理部304は、検査結果記憶部354に記憶された検査結果データを管理装置2に送信する処理を行う。具体的には、検査結果記憶部354に記憶された複数患者の検査結果データから、指定された患者の検査結果データを読み出して、管理装置2に送信する。
【0060】
なお、上記した4つの処理部301〜304の機能は、
図3に示した制御部30がソフトウェアを実行することで実現されてもよいし、これらのうちの少なくとも1つは、ハードウェアにより実現されてもよい。また、4つの記憶部351〜354は、いずれも、
図3に示したメモリ35に含まれてよい。
【0061】
<動作について>
次に、所見入力支援システムSYSの動作について説明する。
【0062】
図10は、タブレット3において実行される支援処理のメインルーチンを示すフローチャートである。
図10に示す支援処理は、制御部30がメモリ35に予め格納されたプログラムを読み出して実行することによって実現される。なお、
図10の処理は、タッチパネル38に表示された初期画面に、所定のログインIDとパスワードとが入力され、ユーザ認証された場合に、開始される。
【0063】
タブレット3の制御部30は、はじめに、メニュー画面をタッチパネル38に表示する(ステップS(以下「S」と略す)1)。メニュー画面の一例を
図15に示す。
図15に示されるように、メニュー画面には、タブレット3が有する各種機能を実行するためのボタンBT1〜BT4が表示されている。ボタンBT1は、問診表入力の機能の実行を制御部30に指示する。ボタンBT2は、所見入力の機能の実行を制御部30に指示する。ボタンBT3は、予約患者データを取得する機能の実行を制御部30に指示する。ボタンBT4は、検査結果送信の機能の実行を制御部30に指示する。
【0064】
上記4つのボタンBT1〜BT4のうちのいずれかが選択されると(S2)、制御部30は、選択されたボタンに対応する機能を実行する。具体的には、ボタンBT3が選択されると、予約患者データ取得処理が実行される(S3)。ボタンBT1が選択されると、問診表入力処理が実行される(S4)。ボタンBT2が選択されると、所見入力処理が実行される(S5)。ボタンBT4が選択されると、検査結果送信処理が実行される(S6)。
【0065】
各処理が終わると、S1に戻り、再びメニュー画面が表示される。上記ステップS3〜S6の処理は、それぞれ、
図11〜
図14にサブルーチンを挙げて説明する。
【0066】
なお、
図15に示したメニュー画面には、図示したボタン以外にも、参考画像を表示するための参考画像ボタン、ログイン情報や内視鏡番号など管理装置2でメンテナンス可能なマスタ情報をタブレット3に取り込むためのマスタデータ取得ボタン、あるいは、各種設定のための設定ボタンなどが表示されてもよい。
【0067】
(予約患者データ取得処理)
図11は、予約患者データ取得処理を示すフローチャートである。
【0068】
図11を参照して、タブレット3の取得処理部301は、通信部37を介して、管理装置2に対し当日の予約患者データの送信を要求する(S301)。管理装置2の通信部26が予約患者データ要求を受信すると(S302)、管理装置2の送出処理部201は、予約患者データの送出処理を実行する。すなわち、送出処理部201は、予約患者記憶部241に記憶された当日の予約患者データを読み出し、通信部26を介してタブレット3に送信する(S303,S304)。送出処理部201は、送信した予約患者データを予約患者記憶部241から削除してもよい。
【0069】
タブレット3の通信部37が、予約患者データを受信すると(S305)、取得処理部301は、受信した予約患者データを予約患者記憶部353に記録する(S306)。この処理が終わると、
図10に示したメインルーチンに戻る。
【0070】
なお、本実施の形態では、予約患者記憶部353に、複数の予約患者データが記憶されたものと仮定する。
【0071】
(問診表入力処理)
図12は、問診表入力処理を示すフローチャートである。
【0072】
図12を参照して、タブレット3の問診入力処理部302は、予約患者記憶部353に記憶された複数の予約患者データを読み出して、タッチパネル38に予約患者一覧画面を表示する(S401)。ここで示される予約患者一覧画面の一例が
図16に示されている。
図16を参照して、予約患者一覧画面には、予約患者一覧表701と、問診表入力ボタン702と、予約キャンセルボタン703とが示されている。予約患者一覧表701は、行ごとに、問診表(問診表入力の有無)、予約日時、患者ID、氏名、性別、年齢、および生年月日の項目を含んでいる。
【0073】
予約患者一覧表701を構成する複数行のうちの一つが選択されることによって、患者が選択され(S402)、かつ、問診表入力ボタン702がタップされると、問診入力処理部302は、問診情報記憶部351に記憶された患者用問診情報に基づいて、問診表入力画面を表示する(S403)。なお、問診表入力ボタン702を選択しなくても、一つの行がダブルタップされた場合に、問診表入力画面に遷移するようにしてもよい。問診表入力画面には、診断の助けとなる様々な質問と、質問に対する回答が選択形式で表示される。
【0074】
問診表の入力は、患者自身が、タッチパネル38の操作部33を操作することにより行われる(S404)。そのため、問診表入力画面は、入力を容易にするために、質問ごとに画面が切り替えられてもよい。また、質問に対する回答は、画面上に表示された複数の指示ボタンから1つを選択することで、入力可能としてもよい。問診表の入力が完了すると、問診入力データを検査結果記憶部354に記録する(S405)。また、予約患者記憶部353内の対応の予約患者データに、問診表の入力が終わったことを示す情報を関連付けて記憶する。この処理が終わると、
図10に示すメインルーチンに戻る。
【0075】
なお、内視鏡検査を行う際には、患者は紙ベースの同意書にサインをする必要があるが、タブレット3が撮像部(図示せず)を有している場合には、患者によるサイン後の同意書を撮像し、その画像データを、検査結果記憶部354に記憶させてもよい。つまり、検査結果記憶部354には、同意書画像データが、患者IDと対応付けられて記憶されてもよい。
【0076】
また、問診情報記憶部351に複数言語の問診情報が記憶されている場合には、問診表の入力開始時に、言語を選択可能としてもよい。
【0077】
また、患者による問診表入力が完了した後、医療従事者により回答の補充や修正が行われてもよい。この場合は、患者による入力時のように質問ごとに画面が切り替わる必要がなく、複数の質問とその回答とが、一画面に表示されてもよい。
【0078】
なお、予約患者一覧表701を構成する複数行のうちの一つが選択されて、予約キャンセルボタン703が選択されると、予約患者一覧表701からその行が削除されるとともに、制御部30は、予約患者記憶部353から対応する予約患者データを削除する。
【0079】
(所見入力処理)
図13は、所見入力処理を示すフローチャートである。
【0080】
図13を参照して、タブレット3の制御部30は、予約患者記憶部353に記憶された複数の予約患者データのうち、問診表の入力が済んだ患者の予約患者データのみを読み出して、タッチパネル38に患者一覧画面を表示する(S501)。ここで表示される患者一覧画面の一例を、
図17に示す。
図17を参照して、患者一覧画面には、患者一覧表711と、所見入力ボタン712と、問診表修正ボタン713とが示されている。患者一覧表711は、行ごとに、検査(検査終了の有無)、予約日時、患者ID、氏名、性別、年齢、および生年月日の項目を含んでいる。
【0081】
患者一覧表711を構成する複数行のうちの一つが選択されることによって、患者が選択され(S502)、かつ、所見入力ボタン712がタップされると、たとえば
図18に示すような検査開始指示画面が表示される。検査開始指示画面において、検査開始が指示されると(S503)、所見入力処理部303が作動し、検査開始時刻を、内部メモリに一時記録する。検査開始が指示されると、音声による所見入力が可能となり、音声の録音を開始する。なお、検査開始の指示も、音声入力にて行われてもよい。内視鏡検査の際は、医療従事者が、内視鏡装置1のモニタ13とタブレット3のタッチパネル38との両方を視認できるように、タブレット3は、たとえば、内視鏡装置1のモニタ13の下に立て掛けられる。
【0082】
なお、患者一覧表711から1人の患者が選択され、かつ、問診表修正ボタン713がタップされた場合には、問診入力処理部302が作動し、問診情報記憶部351に記憶された医師用問診情報と、検査結果記憶部354に記憶された問診入力データとを読み出して、タッチパネル38に医師用問診表を表示する。医師用問診表において、患者により入力された回答の修正や、他の情報の追加を受け付ける。問診表修正が終了すると、問診入力処理部302は、検査結果記憶部354に記憶された問診入力データを更新する。その後、
図17に示す患者一覧画面が再度表示される。
【0083】
ステップS503にて検査開始が指示された場合、所見入力処理部303は、まず、
図19に示すような到達部位選択画面を表示し、到達部位の選択を受け付ける(S504)。具体的には、所見入力処理部303は、支援情報記憶部352に記憶された部位名ファイル61から複数の部位名データを読み出し、到達部位選択画面に、複数の選択対象として、大腸を構成する複数の部位名(略称、記号を含む)を表示する。複数の部位名は、たとえば、大腸の形状を示した図形に重ねて表示されている。なお、読み出した各データが画面上のどの位置に表示されるかを示す位置データも、支援情報記憶部352に記憶されていてよい。
【0084】
「到達部位」とは、検査開始時に、大腸内において、
図1に示した内視鏡装置1の挿入部11が到達した部位を表わし、典型的には、最も奥に位置する部位、すなわち盲腸を示す。そのため、ステップS504では、
図19に示されるように、大腸の末端の部位である「盲腸」が選択される。盲腸の選択は、音声で行われてもよいし、盲腸の文字が示された領域がタップされることによって行われてもよい。所見入力処理部303は、選択された到達部位名とともに、到達部位が選択された時刻も、盲腸到達時刻として内部メモリに一時記録する。なお、到達部位として、盲腸以外の他の部位が指定されてもよい。
【0085】
到達部位が選択され、たとえば「部位選択」と音声入力されると、所見入力処理部303は、部位選択画面を表示する(S505)。部位選択画面の一例が、
図20に示されている。部位選択画面は、大腸の部位名情報を表示する領域721と、検査中に入力された所見入力情報を表示する領域722とを含む。部位選択画面には、検査終了ボタン723がさらに表示されていてもよい。
【0086】
領域721には、
図19の到達部位選択画面と同様に、複数の選択対象として、複数の部位名(略称、記号を含む)が、大腸の形状を示した図形上に示されている。領域722には、各行に、部位番号、部位名、病名、性状、診断および処置の項目を含む、所見一覧表が示されている。
【0087】
この場合、所見入力処理部303は、支援情報記憶部352に記憶された部位名ファイル61から複数の部位名データを読み出し、部位選択画面の領域721に、大腸を構成する複数の部位名(略称、記号を含む)を表示する。ここでも、複数の部位名は、たとえば、大腸の形状を示した図形に重ねて表示されている。また、所見入力処理部303は、検査中に入力された所見入力データを読み出し、部位選択画面の領域722における所見一覧表に、所見入力情報を表示する。なお、領域722の所見一覧表は、検査が開始された時点では、空白である。
【0088】
部位選択画面が表示された後に、検査終了の指示がなく(S506にてNO)、部位が音声により選択されると(S507)、所見入力処理部303は、選択された部位名を強調表示し、選択された部位名を内部メモリに一時記録する。なお、強調表示とは、指定(選択)された選択対象(たとえば部位名等の名称)が、他の選択対象と識別可能に表示されることをいう。複数の選択対象が表形式で表示される場合には、指定された選択対象が記載された欄を、他の欄と識別可能に表示してもよい。具体的には、指定された選択対象の名称またはその欄が、他と異なる色で表示されてもよいし、点滅表示されてもよい。
【0089】
その後、たとえば「病名へ」と音声入力されると、所見入力処理部303は、病名選択画面を表示する(S508)。病名選択画面の一例が
図21に示されている。病名選択画面には、複数の選択対象として、複数の病名が示された病名一覧表731が表示されている。病名一覧表731は、「腫瘍性」、「炎症性」、「その他」の欄を含むことが望ましい。この場合、腫瘍性の欄に、進行大腸癌、早期大腸癌、大腸ポリープ、LST、粘膜下腫瘍の文字が表示され、炎症性の欄に、虚血性大腸炎、潰瘍性大腸炎、クローン病、非特異性腸炎の文字が表示され、その他の欄に、大腸メラノーシス、大腸憩室症、術後大腸、内痔核、その他の文字が表示されている。
【0090】
この場合、所見入力処理部303は、支援情報記憶部352に記憶された病名ファイル62から複数の病名データを読み出して、画面上の所定位置に各病名(略称、記号を含む)を表示する。
【0091】
病名選択画面には、病名が「疑い」の場合に選択される疑いボタン732と、選択中の部位を示す部位情報733とがさらに表示されていてもよい。ここでの部位情報733は、大腸を示す図形上に、選択した部位(たとえば盲腸)の位置が識別可能に示されている。病名選択画面には、検査結果記憶部354に記憶された問診入力データのうち、診断の際に考慮すべき情報があれば、それを表示するようにしてもよい。たとえば、「抗凝固剤内服中」との文字734が表示されてもよい。
【0092】
病名選択画面の表示中に、音声により病名が選択されると(S509)、所見入力処理部303は、選択された病名を強調表示するとともに、直前に選択された部位名と対応付けて、選択された病名を内部メモリに一時記録する。また、疑いボタン732が選択された場合には、選択された病名が「疑い」であることを示す情報も、併せて一時記録する。
【0093】
次に、「性状へ」と音声入力されると、所見入力処理部303は、性状選択画面を表示する(S510)。具体的には、支援情報記憶部352に記憶された対応テーブル66に基づいて、S509で選択された病名のIDに対応する性状分類ID、診断名IDおよび処置名IDを抽出する。その後、支援情報記憶部352に記憶された性状ファイル63、診断名ファイル64および処置名ファイルから、抽出された性状分類IDにより特定される性状分類、およびその性状分類に対応する複数の性状類型、抽出された診断名IDにより特定される状診断名、ならびに、抽出された処置名IDにより特定される処置名を読み出す。読み出されたこれらの情報を含む性状選択画面が、タッチパネル38に表示される。性状分類が複数ある場合などには、性状選択画面が複数の画面に分割されてもよい。
【0094】
ステップS509にて大腸ポリープが選択された場合の性状選択画面の一例を
図22〜
図24に示す。
図22〜
図24を参照して、性状選択画面には、複数の選択対象を含む性状分類一覧表741a〜741cが大きく表示され、縦列に、複数の性状分類が表示されている。大腸ポリープに関連する必須入力項目(必須情報)の性状分類としては、「形態」および「大きさ」が示され、大腸ポリープに関連する任意入力項目(周辺情報)の性状分類としては、「色調」、「表面粘膜の性状」、「NBI surface pattern」、「染色」、「Pit pattern」が示されている。また、各分類に対応して、類型の候補が示されている。図示されるように、「形態」や「大きさ」の欄に、「必須」という文字が示されることで、その性状分類が必須入力項目であることが識別可能に表示されている。なお、表示中の性状分類が必須入力項目か否かを識別可能に表示する方法は、上記方法に限定されず、たとえば、必須入力項目の欄の色を任意入力項目の欄の色と変えてもよい。
【0095】
なお、大腸ポリープの性状の必須入力項目のうち「NBI分類」については、
図25に示すような別画面にて選択可能としてもよい。この場合、性状選択画面には、NBI分類を選択するためのボタン742が表示されてもよい。
【0096】
また、
図23および
図24に示されるように、性状選択画面の性状分類一覧表741b,741cの縦列には、診断名の項目、および、処置名の項目もさらに示されてもよい。これらの項目の横欄には、選択された病名に対応する診断名および処置名の候補がそれぞれ表示されている。なお、性状選択画面とは別に、診断名選択画面や処置名選択画面が表示されてもよい。
【0097】
なお、性状選択画面においても、選択された病名を示す情報743と、選択された部位名を示す情報744とが表示されることが望ましい。
【0098】
少なくとも必須入力項目の性状分類の類型が選択されることによって、性状が選択されると(S511)、所見入力処理部303は、選択された性状類型を強調表示するとともに、選択された性状類型を、ステップS507で選択された部位名に対応付けて内部メモリに一時記録する。なお、性状類型の選択は、たとえば、性状分類名が音声入力されてから、性状類型が音声入力されることによって行われる。性状分類の選択の解除は、再度、性状分類名を音声入力してから、たとえば「解除」と音声入力されることによって行われてもよい。
【0099】
次に、「部位選択へ」と音声入力されると、S505に戻り、再び部位選択画面が表示される。これにより、部位選択(S507)、病名選択(S509)、および性状選択(S511)を繰り返し行うことができる。所見入力が繰り返し行われると、
図20の部位選択画面の領域722に示される所見入力一覧に、選択された部位ごとに、病名、性状類型、診断名、および処置名が、対応付けられて表示される。
【0100】
なお、性状分類が複数入力された場合には、性状欄に、入力された全ての性状分類の類型が表示されてもよいし、必須入力項目の性状分類の類型のみが表示されてもよい。また、病名選択画面において「疑い」が選択された場合には、病名欄には、たとえば「大腸ポリープ疑い」と表示される。
【0101】
なお、入力済の所見を変更したい場合には、領域722の所見入力一覧の行を音声またはタップにより選択すると、その行の部位が選択された場合の病名選択画面に遷移するようにしてもよい。具体的には、たとえば「盲腸」の行が選択されると、
図21に示したような病名選択画面に遷移する。その後「解除」を選択すると、「大腸ポリープ」の強調表示が解除され、再び病名の選択を受け付ける。病名が再選択されると、その病名に応じた性状選択画面が表示され、上記と同様の処理が繰り返される。
【0102】
図20に示したような部位選択画面を表示中に、たとえば「検査終了」と音声入力されることによって検査の終了が指示されると(S506にてYES)、所見入力処理部303は、検査終了時刻を内部メモリに一時記録し、検査結果選択画面を表示する(S512)。この時点で、音声認識による所見入力が不可となり、音声の録音を終了する。
【0103】
検査結果選択画面の一例を
図26に示す。
図26を参照して、検査結果選択画面には、担当医を入力する欄751と、「異常なし」または「観察不十分」を選択するための欄752,753と、登録完了ボタン755とが設けられている。登録完了ボタン755が選択されると、内部メモリに記憶されていた検査結果データ、すなわち、所見入力データおよび時間データと、担当医データとが、タブレット3自身の検査結果記憶部354に登録される(S513)。また、予約患者記憶部353内の対応の予約患者データに、検査終了を示す情報を関連付けて記憶する。この処理が終わると、
図10に示すメインルーチンに戻る。なお、検査結果選択画面には、登録結果(検査結果データ)の自動送信を選択するための欄754が設けられていてもよい。
【0104】
図13のステップS505〜S511の処理が繰り返し行われた場合、所見入力データは、部位単位の個別所見データを含む。個別所見データは、典型的には、S507で選択された部位(部位名)と、1つの病名と、1以上の性状分類およびそれに対応する類型とを含む。また、個別所見データは、一部の病名の場合を除き、診断名および処置名をさらに含む。一方、検査の結果、「異常なし」または「観察不十分」が選択された場合には、「異常なし」または「観察不十分」を示す所見入力データが記憶される。
【0105】
(検査結果送信処理)
図14は、検査結果送信処理を示すフローチャートである。
【0106】
図14を参照して、タブレット3の送信処理部304は、予約患者記憶部353に記憶された複数の予約患者データのうち、問診表の入力が済んだ患者の予約患者データのみを読み出して、タッチパネル38に患者一覧画面を表示する(S601)。患者一覧画面の一例を
図27に示す。
図27を参照して、患者一覧画面には、患者一覧表761と、患者の全てを選択するための選択欄762と、送信ボタン763とが示されている。患者一覧表761は、
図17に示した患者一覧表711と同じ項目(検査、予約日時、患者ID、氏名、性別、年齢、および生年月日)を含み、各行に、選択欄が設けられている。
【0107】
検査が済んだ患者の少なくとも一人が選択され(S602)、送信ボタン763が選択されると(S603)、送信処理部304は、検査結果記憶部354から選択された患者の検査結果データを読み出す(S604)。検査結果データは、
図7に示したように、患者IDと対応付けられており、問診入力データ、所見入力データ、時間データ、および担当医データを含んでいる。読み出した検査結果データは、通信部37を介して管理装置2に送信される(S605)。なお、検査結果データとともに、録音した音声データを送信してもよい。
【0108】
管理装置2の登録処理部202は、検査結果データを受信すると(S606)、受信した検査結果データを検査結果データベース242に登録する(S607)。音声データも併せて受信した場合には、検査結果データベース242に、患者IDと関連付けて音声データも記録してもよい。
【0109】
タブレット3の送信処理部304は、送信した検査結果データを、検査結果記憶部354から消去してもよい(S608)。この処理が終わると、
図10のメインルーチンに戻る。
【0110】
管理装置2の検査結果データベース242に検査結果データが登録されると、変更処理部203によって検査結果データの修正や、画像の追加等が行われる。その後、出力処理部204によって、検査終了後の患者の所見用紙が印刷される。プリンタ5から出力される所見用紙の一例を
図28に示す。
【0111】
図28を参照して、所見用紙の上部領域81には、問診入力データに基づく患者情報と、使用した内視鏡装置1に関する情報とが示されている。中央領域82には、タブレット3で音声入力された所見入力情報が示されている。中央領域82には、所見が文字で示された所見欄82aと、所見対象の部位を示した大腸の模式図形82bとが含まれる。所見用紙の下部領域83には、管理装置2で入力された保険点数等の情報が示されている。
【0112】
以上説明したように、本実施の形態によれば、内視鏡装置1による大腸の検査が終了した時点で、所見入力も終わっているため、
図9に示すように、患者は、検査終了後すぐに医師からの結果説明を受けることができる。また、問診表入力は、患者自身がタブレット3を用いて行うことができるため、従来のような紙ベースの問診表を用いる場合に比べて、医療従事者が問診表の回答を管理装置2等に後で入力する必要がない。したがって、内視鏡検査当日の、患者の待ち時間を短縮することができるとともに、医療従事者による手間を省くことができる。
【0113】
また、医師は、音声にて所見入力が可能であるため、内視鏡装置1の挿入部11および操作部12を操作しながら、所見入力を行うことができる。なお、検査室内に、内視鏡装置1を操作中の検査医師以外に医療従事者がいるような場合には、他の医療従事者が、検査医師の音声に従ってタッチパネル38を操作することによって、タブレット3への所見入力が行われてもよい。
【0114】
また、医師は、内視鏡装置1を用いた検査中にリアルタイムで所見入力できるため、検査後に所見入力する場合に比べて、各部位について正確かつ詳細な所見を入力することができる。また、医師は、タッチパネル38に表示された性状類型などの情報(用語)を選択するだけでよいため、統一された用語で簡易に所見を入力することができる。また、新人医師の所見入力を支援することもできる。
【0115】
また、性状分類、診断名、および処置名は、病名に関連付けられて記憶されているため、病名が選択されると、その病名に特有の情報のみが表示される。したがって、これらの情報の選択を行い易くすることができる。また、誤った所見を入力するリスクを低減することもできる。
【0116】
また、性状分類としては、必須入力項目だけでなく任意入力項目も表示されることで、必須情報だけでなく周辺情報も入力することができる。そのため、管理装置2の統計処理部205でのデータ分析も正確に行うことができる。
【0117】
なお、本実施の形態では、性状選択画面に、診断名および処置名の候補も表示することとしたが、性状選択画面とは別に、診断名選択画面や処置名選択画面を表示することとしてもよい。
【0118】
また、選択された部位または病名によっては、性状選択画面に、「範囲終了部位」の選択欄を追加してもよい。この場合、性状選択画面の範囲終了部位の選択欄には、部位選択画面で選択された部位よりも先端側に位置する部位名が表示される。たとえば、部位名選択画面で「下行結腸」が選択され、範囲終了部位の選択欄で「直腸」が選択された場合、所見入力データでは、1つの病名に対して複数の部位名が対応付けられてもよい。また、この場合、
図28に示したような所見用紙の所見欄(中央領域82)には、「下行結腸から直腸にかけて、・・・」と示されてもよい。
【0119】
また、支援情報記憶部352に記憶される支援情報は、少なくとも部位名データ、病名データおよび性状データを含んでいればよい。つまり、診断名および処置名の入力は、管理装置2側で行ってもよい。
【0120】
また、本実施の形態では、病名に対して、性状、診断名および処置名が関連付けられて記憶されていたが、病名自体も部位名に対して関連付けられていてもよい。たとえば、「内痔核」は、部位が「肛門」の場合にのみ表示されるようにしてもよい。これにより、選択された部位に対して表示される病名の数を減らすことができるため、病名を選択し易くすることができる。また、病名選択画面の文字のフォントを大きくすることもできる。
【0121】
また、本実施の形態では、検査中に入力された所見入力情報(所見一覧表)は、部位選択画面に表示されることとしたが、限定的ではない。たとえば、各選択画面に、所見一覧ボタン(図示せず)を表示し、当該ボタンが指示された場合に、所見一覧表を含むポップアップ画面が、選択画面上に表示されてもよい。
【0122】
また、本実施の形態では、選択画面の切り替えは、「・・・画面へ」や「次へ」といた音声入力に応じて実現され、かつ、選択画面の表示中に、複数の選択対象のうちのいずれかが指定されると、その選択対象が強調表示されることとした。しかしながら、このような選択画面の切り替え指示は必須ではない。すなわち、音声により部位名、病名、および性状が順に入力されると、入力された部位名、病名、および性状をそれぞれ強調表示した状態で、部位選択画面、病名選択画面、および性状選択画面を順次表示してもよい。この場合、所見入力処理部303は、所定時間(たとえば2秒)ごとに選択画面を切り替えるようにすればよい。このような場合でも、タブレット3は、内視鏡装置1のモニタ13近傍に載置されているため、検査担当の医師は、入力した部位名等が正しく選択されているか否かを確認しながら、検査を進めることができる。このように、選択画面の切り替え指示を不要とすることで、熟練の医師にとっても実用性の高い所見入力支援装置(タブレット3)を提供することができる。
【0123】
また、本実施の形態では、病変が認められる部位の指定は、部位選択画面に表示される部位名(選択対象)の1つを指定することで実現されたが、限定的ではない。つまり、大腸内の大よその部位が特定できれば、部位名そのものが指定されなくてもよい。たとえば、ステップS504で選択された到達部位(典型的には盲腸)からの引き抜き距離(5〜60cm)によって、部位が指定されてもよい。この場合、たとえば、部位選択画面に「PULL指定」と示されたボタン(図示せず)を表示し、このボタンが指示された場合に、引き抜き距離の入力欄を有するポップアップ画面が、部位選択画面上に表示されてもよい。また、この場合、所見入力データには、部位名に代えて、引き抜き距離が含まれる。つまり、所見入力データとして、到達部位からの引き抜き距離に関連付けて、病状および性状が記憶されてもよい。この場合、タブレット3に表示される所見入力情報(所見一覧表)や、管理装置2において印刷される所見用紙には、部位名に代えて、引き抜き距離が表示されてもよい。
【0124】
あるいは、このように、引き抜き距離によって部位を指定する場合、所見入力処理において、部位選択画面自体、表示しなくてもよい。つまり、たとえば検査開始時に、部位指定の方法(部位選択による指定、または、引き抜き距離による指定)をユーザに選択させてもよい。ユーザにより引き抜き距離による指定が選択された場合、所見入力処理部303は、引き抜き距離入力画面、病名選択画面、および性状選択画面を、順次表示すればよい。あるいは、引き抜き距離による部位指定のみが可能であってもよい。この場合、支援情報記憶部352内に、部位名ファイル61が含まれなくてもよい。なお、部位選択画面および引き抜き距離入力画面は、いずれも、ユーザが、入力した部位(位置)が正しく指定できているかを確認するための画面であることから、これらを「部位指定確認画面」と総称してもよい。
【0125】
また、本実施の形態では、音声によって所見入力するものとしたが、タッチパネル38の操作(操作部33)によって所見入力されてもよい。つまり、タブレット3に、マイクロフォン31および音声入力部32が含まれなくてもよい。あるいは、音声入力とタッチパネル38の操作とを、併用または選択可能であってもよい。
【0126】
また、上記したタブレット3と内視鏡装置1とも通信可能であってもよい。この場合、内視鏡装置1の画像記録装置14に記録された画像の一部を、検査中にタブレット3に取り込めるようにしてもよい。この場合、検査結果記憶部354の所見入力データに、画像データを含ませてもよい。具体的には、そのときに指定されていた部位データに関連付けて、画像データを記憶させることが望ましい。このようにすることで、検査終了後の管理装置2での検査結果データの変更・追加処理の時間をさらに短縮することができる。
【0127】
また、本実施の形態では、所見入力支援装置がタブレット端末により実現されることとしたが、限定的ではない。たとえば、所見入力支援装置は、
図29に示されるように、タブレット端末3Aと、担当医師に装着可能な装着型(ウェアラブル)端末3Bとで構成されてもよい。装着型端末3Bは、たとえば図示されるような頭部装着型端末である。この場合、タブレット端末3Aのタッチパネル38Aには、上記したタッチパネル38と同様の画面が表示され、頭部装着型端末3Bの小型表示部38Bには、タッチパネル38Aに表示される画面の一部が表示されてもよい。頭部装着型端末3Bを用いた場合、内視鏡装置1のモニタ13から目を離すことなく所見入力を行うことができる。なお、この場合、上記したマイクロフォン31および音声入力部32の機能は、頭部装着型端末3Bに含まれてもよい。
【0128】
あるいは、装着型端末3Bは、音声入力部32の機能を有し、タブレット端末3Aに音声入力データ(たとえばテキストデータ)を送信可能な端末であれば、その種類は限定されない。たとえば、装着型端末3Bは、スマートフォンといった携帯型通信端末(図示せず)など、医師に間接的に装着可能な通信端末によって実現されてもよい。この場合、マイクロフォンが接続された当該通信端末が、衣類のポケットに入れられたりベルトに取付けられたりすることによって、医師に間接的に装着されてもよい。
【0129】
なお、本実施の形態では、管腔臓器の例として大腸を挙げて説明したが、胃や気管等、他の臓器の内視鏡検査においても本システムを適用することができる。上記した、選択画面の切り替え指示を不要とした形態は、胃など、部位の検査順序が任意の臓器を検査対象とする場合に、特に有効である。
【0130】
上記実施の形態において各フローチャートに示した処理(所見入力支援方法)をプログラムとして提供することもできる。このようなプログラムは、コンピュータ読取り可能な一時的でない(non-transitory)記録媒体にて記録させて提供することができる。また、ネットワークを介したダウンロードによって、プログラムを提供することもできる。
【0131】
なお、本発明に係るプログラムは、コンピュータのオペレーティングシステム(OS)の一部として提供されるプログラムモジュールのうち、必要なモジュールを所定の配列で所定のタイミングで呼出して処理を実行させるものであってもよい。その場合、プログラム自体には上記モジュールが含まれずOSと協働して処理が実行される。このようなモジュールを含まないプログラムも、本発明にかかるプログラムに含まれ得る。
【0132】
また、本発明に係るプログラムは他のプログラムの一部に組込まれて提供されるものであってもよい。その場合にも、プログラム自体には上記他のプログラムに含まれるモジュールが含まれず、他のプログラムと協働して処理が実行される。このような他のプログラムに組込まれたプログラムも、本発明にかかるプログラムに含まれ得る。
【0133】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
前記所見入力処理手段は、ユーザにより性状が選択されると、前記部位選択画面を再度表示し、ユーザにより他の部位名が選択される度に、前記病名選択画面および前記性状選択画面を繰り返し表示する、請求項2に記載の所見入力支援システム。
前記検査結果記憶手段は、前記所見入力データに加え、担当医データ、および、患者から入力された問診入力データの少なくとも一方をさらに記憶する、請求項1〜9のいずれかに記載の所見入力支援システム。
前記管理装置は、プリンタに接続されており、前記検査結果データベースに登録された前記検査結果データに応じた内容の所見用紙を前記プリンタに印刷させる処理を行う出力処理手段をさらに含む、請求項12に記載の所見入力支援システム。