(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2016-212235(P2016-212235A)
(43)【公開日】2016年12月15日
(54)【発明の名称】プロジェクタ用補助光学系、及びプロジェクタシステム
(51)【国際特許分類】
G03B 21/28 20060101AFI20161118BHJP
H04N 5/74 20060101ALI20161118BHJP
G02B 27/18 20060101ALI20161118BHJP
G09F 19/18 20060101ALI20161118BHJP
G03B 21/00 20060101ALN20161118BHJP
【FI】
G03B21/28
H04N5/74 A
G02B27/18 Z
G09F19/18 Z
G03B21/00 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2015-95347(P2015-95347)
(22)【出願日】2015年5月8日
(71)【出願人】
【識別番号】315012747
【氏名又は名称】前田 英男
(74)【代理人】
【識別番号】100151703
【弁理士】
【氏名又は名称】前田 英男
(72)【発明者】
【氏名】前田 英男
【テーマコード(参考)】
2K203
5C058
【Fターム(参考)】
2K203FA62
2K203FA80
2K203FA83
2K203FB04
2K203GB47
2K203GB62
2K203GC05
2K203GC30
2K203HA03
2K203HA08
2K203HB30
2K203MA32
5C058BA27
5C058EA01
5C058EA13
5C058EA32
(57)【要約】
【課題】奥行きの短いプロジェクタシステムを提供することを目的とする。
【解決手段】
プロジェクタから出射する投影光を、該投影光の反対方向に反射させ、かつ前記プロジェクタの上方の光路である第一光路中を通過させる第一反射光学系と、該第一反射光学系によって反射された前記投影光を反射させ、かつ前記第一光路のさらに上方の光路である第二光路中を通過させる第二反射光学系と、を有することを特徴とするプロジェクタ用補助光学系を採用する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
プロジェクタから出射する投影光を、該投影光の反対方向に反射させ、かつ前記プロジェクタの上方の光路である第一光路中を通過させる第一反射光学系と、
該第一反射光学系によって反射された前記投影光を反射させ、かつ前記第一光路のさらに上方の光路である第二光路中を通過させる第二反射光学系と、
を有することを特徴とするプロジェクタ用補助光学系。
【請求項2】
前記第一反射光学系は、二つの反射光学素子を有することを特徴とする請求項1に記載のプロジェクタ用補助系。
【請求項3】
光入射面側に反射層が形成されている反射光学素子を少なくとも一つ有することを特徴とする請求項1または2に記載のプロジェクタ用補助系。
【請求項4】
前記プロジェクタの投影光と第一光路とは略平行であることを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載のプロジェクタ用補助系。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか一項に記載のプロジェクタ用補助光学系と、
プロジェクタと、スクリーンと、を有することを特徴とするプロジェクタシステム。
【請求項6】
前記スクリーンは、少なくとも人間の頭部形状を含めた人間の形状をしており、前記プロジェクタからは前記スクリーンの人間の形状に沿う人間の映像が投影されることを特徴とする請求項5に記載のプロジェクタシステム。
【請求項7】
前記プロジェクタは台形補正された投影光を前記スクリーンに投影することを特徴とする請求項5または6に記載のプロジェクタシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プロジェクタ用補助光学系とプロジェクタシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
商品の販売促進のために、POP(Point Of Purchase advertising)広告が盛んに用いられている。POP広告の一例として、陳列された商品(展示物)の傍に液晶ディスプレイを設置し、展示物に関する映像を液晶ディスプレイに表示させる方法がある。これにより、展示物をアピールしたり、展示物の使用方法を説明したりすることができる。
【0003】
特許文献1には、映像を扉に投影するプロジェクタを備えるショーケースが開示されている。特許文献1において、スクリーンが、扉を構成するガラスに貼り付けられ、プロジェクタが棚の下面に取り付けられる。プロジェクタが斜め下方向に映像を投影することで、映像がスクリーンに映し出される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2012−32613号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
プロジェクタは、前後方向に移動可能なように棚の下面に取り付けられる。プロジェクタとスクリーンとの距離はプロジェクタの焦点距離と等価であり、プロジェクタの焦点距離は一般に1m以上あるので、棚の奥行きも、少なくとも1m以上設ける必要がある。プロジェクタとスクリーンとを纏めてプロジェクタシステムと捉えた場合、プロジェクタシステムは小型にならず、ショーケースの大型化は避けられない。
【0006】
本発明の目的は、奥行きの短いプロジェクタシステムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前述の目的は、下記に記載する発明により達成される。
【0008】
1.プロジェクタから出射する投影光を、該投影光の反対方向に反射させ、かつ前記プロジェクタの上方の光路である第一光路中を通過させる第一反射光学系と、該第一反射光学系によって反射された前記投影光を反射させ、かつ前記第一光路のさらに上方の光路である第二光路中を通過させる第二反射光学系と、を有することを特徴とするプロジェクタ用補助光学系。
【0009】
2.前記第一反射光学系は、二つの反射光学素子を有することを特徴とする前記1に記載のプロジェクタ用補助系。
【0010】
3.光入射面側に反射層が形成されている反射光学素子を少なくとも一つ有することを特徴とする前記1または前記2に記載のプロジェクタ用補助系。
【0011】
4.前記プロジェクタの投影光と第一光路とは略平行であることを特徴とする前記1から前記3のいずれか一つに記載のプロジェクタ用補助系。
【0012】
5.前記1から前記4のいずれか一つに記載のプロジェクタ用補助光学系と、プロジェクタと、スクリーンと、を有することを特徴とするプロジェクタシステム。
【0013】
6.前記スクリーンは、少なくとも人間の頭部形状を含めた人間の形状をしており、前記プロジェクタからは前記スクリーンの人間の形状に沿う人間の映像が投影されることを特徴とする前記5に記載のプロジェクタシステム。
【0014】
7.前記プロジェクタは台形補正された投影光を前記スクリーンに投影することを特徴とする前記5または前記6に記載のプロジェクタシステム。
【発明の効果】
【0015】
プロジェクタシステムの奥行きを短くできるプロジェクタ用補助光学系、及び、奥行き
短いプロジェクタシステムを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】プロジェクタシステム10の概略構成を示す側面図である。
【
図2】プロジェクタ1とスクリーン2の関係を示す概要斜視図である。
【
図3】プロジェクタ1とスクリーン2との間の光路を示す光路概要図である。
【
図4】プロジェクタシステム10の概略構成を示す側面図である。
【
図5】スクリーン2上の画像が台形状に変形している様を示す図である。
【
図6】スクリーン2上の画像が台形補正されている様を示す図である。
【
図7】プロジェクタシステム10を正面から観察した場合に、第二反射光学系が見えてしまう様を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面を参照して第1の実施形態について説明する。
図1に、プロジェクタシステム10の概略構成を示す側面図を示す。
【0018】
図2は、プロジェクタ1とスクリーン2との位置関係を示す概要斜視図である。
【0019】
プロジェクタシステム10は、プロジェクタ1と、プロジェクタ用補助光学系7とを有する。プロジェクタ用補助光学系7は、第一反射光学系3と、第二反射光学系4とを有する。
【0020】
第一反射光学系3と第二反射光学系4との間は第一光路6を形成し、第二反射光学系4とスクリーン2との間は第二光路5を形成する。
【0021】
第一反射光学系3は、ミラー31と、ミラー32との二つの反射光学素子を有する。第二反射光学系は、ミラー41を有する。
【0022】
プロジェクタ1は、パソコンからの映像信号からなる動画や静止画を投影する一般的なプロジェクタを採用できるほか、被写体からの反射光を投影レンズによって拡大または縮小投影する投影システム等を採用することもできる。
【0023】
ミラー31、ミラー32、ミラー41などのミラーは反射光学素子であり、光を反射する手段であればその実現手段を問わない。例えば、アルミを蒸着したガラス板プラスチック板や、誘電体多層膜を形成したガラス板やプラスチック板を採用できる。これらは界面における反射効果を利用したものである。反射効果のための材料はアルミに限られず、銀や金なども採用できる。反射効果としては他に回折効果を利用でき、例えば反射型回折格子を採用することもできる。
【0024】
なお、反射光学素子が平板ミラーである場合、光入射面側に反射層が形成されていることが望ましい。平板ミラーの光入射面の反対面に反射層がある場合、光は一旦平板内に入射するが、入射光が発散または収束していてパワーをもつ非平行光の場合、平板ミラーの光入射面の反対面の反射層で反射して光入射面から出射すると収差を持ってしまう場合がある。また、平板ミラーの光入射面の反対面の反射層で反射してからさらに光入射面で反射し、再度光入射面の反対面の反射層で反射して光入射面から出射するという光が発生し、ゴースト光となってしまう恐れがあるからである。勿論、平板ミラーの光入射面に誘電体多層膜などの無反射層を設けておけば、平板ミラーの光入射面の反対面の反射層で反射してからさらに光入射面で反射する光はなくなるのではあるが、無反射層は高価であり、製品全体の低コスト化にためには避けたいところである。そのため、これらのミラーには、光入射面側に反射層が形成されている反射光学を少なくとも一つは設けておきたい。
【0025】
スクリーン2は、透過型のスクリーンが好適である。3M社のリアプロジェクションフィルムや、ダイヤミック社の彩美s〈SaiVis(商標)〉などが好適である。
【0026】
次に、プロジェクタ1から出射される投影光11の光路について説明する。
【0027】
第一反射光学系3はプロジェクタ1からの投影光11の光路を第一光路6に光路変換する。具体的には、ミラー31は投影光を図中のZ方向すなわち上方へ立ち上げ、ミラー32はさらに図中のY方向すなわちプロジェクタの後方へ光路変換する。
【0028】
第一光路6はプロジェクタ1からの投影光11の光路と平行であることが望ましい。
プロジェクタ1の底面12から第一光路6までのZ方向の距離が短くなり、プロジェクタ1の底面12からスクリーン2上での画像の位置までの距離が短くなり、プロジェクタシステム10としての高さを小さくできる。
【0029】
第一光路6を経た投影光は、次いで第二反射光学系4に入射し、第二反射光学系4は投影光をスクリーン2と第二反射光学系4との間の第二光路5へ光路変換する。
【0030】
投影光11は次いで第二光路5を経てスクリーン2へ入射し、スクリーン2上で画像を形成する。
【0031】
図3は、プロジェクタ用補助光学系7がない場合のプロジェクタ1とスクリーン2との位置関係を示す概要図である。
【0032】
図2と
図3の見比べると、プロジェクタ用補助光学系7を使用することで、奥行方向の長さが短縮されることが分かる。
【0033】
すなわち、プロジェクタ用補助光学系7は、投影光11の光路を折り曲げる効果があるので、プロジェクタシステム10の奥行、すなわちy方向の長さを短くする効果を有する。
【0034】
図4は、第二反射光学系であるミラー41を図中xy平面内で角度調整可能に形成したことを示す概要図である。
【0035】
図4中でθは傾斜角である。第一反射光学系3の設置具合によっては、第一光路内の投影光の角度が水平方向(図中y方向)から大きく異なってしまうことがある。そのような場合には、投影光11内の画像は、
図5に示すように、上方が拡大したり、逆に下方が拡大(不図示)したりして台形状に画像が変わってしまうことがある。このような時には、プロジェクタ1内の光路内の台形補正手段を用い、
図6のように、画像を正しく補正することが可能である。
【0036】
次いで、スクリーン2に人型のスクリーン21を用いた場合のプロジェクタシステム10であるバーチャルマネキンについて説明する。
【0037】
図7はバーチャルマネキン100の概要図である。プロジェクタシステム10においてスクリーン21のようにスクリーンをあたかも人間であるような形状にする。スクリーン21が少なくとも人間の頭部形状を含めた人間の形状であることが望ましい。
【0038】
そして、このスクリーン21上に、プロジェクタ1からこの人間の形状に沿う人間の映像を動画または静止画の状態で投影してやる。このような人間の形状のスクリーンに人間の映像等を投影したものはバーチャルマネキンと呼ばれている。
【0039】
バーチャルマネキン100は、従来のマネキン人形のようにプラスチックで作製したものではなく、映像で表現した人間になるので、色々な表現が可能なマネキンである。
【0040】
例えば、人間の動画を投影すると、生きた人間がその場にいるように見え、観察者へのアイキャッチ効果がある。店頭に商品紹介の動画を投影すれば、人間の代わりに販売促進を行ってくれる。空港や駅や病院などの公共の場に設置し、お客様への案内役に供することもできる。その他、人間の代わりに色々な場所で人間に代替手段として採用できる。
【0041】
本発明に係るバーチャルマネキンは、奥行きの短いプロジェクタシステム10を採用しているので、奥行きの短いバーチャルマネキンの構築が可能となる。
【0042】
以上のように本発明によれば、プロジェクタ1から出射する投影光11を、投影光11の反対方向に反射させ、かつプロジェクタ1の上方の光路である第一光路6中を通過させる第一反射光学系3と、第一反射光学系3によって反射された投影光11を反射させ、かつ第一光路6のさらに上方の光路である第二光路5中を通過させる第二反射光学系4と、を有するプロジェクタ用補助光学系7により、奥行きの短いプロジェクタシステム10を提供することできる。
【0043】
また本発明によれば、 第一反射光学系3は、二つの反射光学素子を有することで、第一光路6をプロジェクタ1からの投影光11の光路と平行に設定することができ、プロジェクタ1の底面12から第一光路6までのZ方向の距離を短くできる。これにより、プロジェクタ1の底面12からスクリーン2上での画像の位置までの距離を短くでき、プロジ
ェクタシステム10としての高さを小さくできるプロジェクタ用補助系7を提供できる。
【0044】
また本発明によれば、 光入射面側に反射層が形成されている反射光学素子では光が平板内に入射することがないのでゴースト光が発生しないし、光が発散または収束しつつ平板に入射した場合に生じる収差というものもない。従って、光入射面側に反射層が形成されている反射光学素子を少なくとも一つ有することで、ゴースト光や収差の発生の可能性を低くするプロジェクタ用補助系7を提供できる。
【0045】
また本発明によれば、プロジェクタ1の投影光11と第一光路6とは略平行であることで、プロジェクタ1の底面12から第一光路6までのZ方向の距離が短くなり、プロジェクタ1の底面12からスクリーン2上での画像の位置までの距離が短くできる。従って、プロジェクタシステム10としての高さを小さくできるプロジェクタ用補助系7を提供できる。
【0046】
また本発明によれば、プロジェクタ用補助光学系7と、プロジェクタと、スクリーンと、を有することで、プロジェクタシステム10の奥行きを短くできる。
また本発明によれば、奥行きの短いプロジェクタシステム10を採用しているので、奥行きの短いバーチャルマネキンの構築が可能となる。
【0047】
また本発明によれば、投影光11は台形補正されてスクリーン2に投影されていることにより、第一反射光学系3の調整を簡単化しつつ、スクリーン2上の生じた画像の台形化を補正して正しい形の画像を形成することができる。
【符号の説明】
【0048】
1 プロジェクタ
2 スクリーン
3 第一反射光学系
4 第二反射光学系
5 第二光路
6 第一光路
7 プロジェクタ補助光学系
10 プロジェクタシステム
11 投影光
12 底面
31 ミラー
32 ミラー
32 ミラー
41 ミラー