【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り 2014 AUTOCAR JAPAN FESTIVAL,平成26年11月15日,富士スピードウェイ 〔刊行物等〕 平成26年11月18日,有限会社オートスタッフ 〔刊行物等〕 平成26年12月22日,株式会社九州リースサービス 〔刊行物等〕 平成26年12月25日,7軸シリンダ制御ドライブシミュレーターのカタログ 〔刊行物等〕 平成27年1月7日,http://acs−racing.net/ 〔刊行物等〕 東京オートサロン2015,平成27年1月9日,幕張メッセ 〔刊行物等〕 平成27年3月18日,株式会社ファーストレスポンダー
【解決手段】車両、航空機、船又は乗物の挙動を模擬的に再現するシミュレータであって、回転運動可能な回転ユニット22と、回転ユニット22の回転運動の中心となる回転中心部材と、回転ユニット22の回転運動の駆動源である3本のリニアアクチュエータ25(26、27)とを備え、回転中心部材と3本のリニアアクチュエータ25(26、27)とは、リニアアクチュエータ25(26、27)の駆動により回転中心部材を中心として回転ユニット22にヨーイング、ピッチング及びローリングの回転運動を行わせることが可能に配置されている。
さらに前記車両、航空機、船又は乗物の挙動を模擬的に演算したデータである運行データに基づき前記リニアアクチュエータを制御するデータである制御データを演算して出力する制御データ出力手段と、
前記制御データに基づき前記リニアアクチュエータを制御するアクチュエータ制御手段とを備え、
前記制御データ出力手段が前記運行データに基づき前記制御データを演算して出力し、前記アクチュエータ制御手段が前記制御データに基づき前記リニアアクチュエータを駆動させ、前記回転ユニットを回転運動させることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載のシミュレータ。
【発明を実施するための形態】
【0021】
図1は、本発明の第1実施形態のドライビングシミュレータ1の構成を示す模式図である。
図2は、
図1のドライビングシミュレータ1のドライビングユニット11の斜視図である。
図3は、
図2のドライビングユニット11の切断線A−Aの要部断面図である。
図4は、
図2のドライビングユニット11の後方から見た要部斜視図である。
図5は、
図1のドライビングシミュレータ1の機能構成図である。
図6は、
図5の振動判定手段222の判定フローを示すフローチャートである。
【0022】
第1実施形態のドライビングシミュレータ1は、自動車走行時の挙動及び映像を模擬的に再現するドライビングシミュレータであって、自動車を模擬したドライビングユニット11と、ドライビングユニット11からの入力に基づき仮想上の自動車の挙動及び映像を演算して出力するコンピュータ12と、ドライビングユニット11の正面に配置され映像を表示するモニタ13とを備え、乗り手の操作によるドライビングユニット11からの入力に基づきコンピュータ12が演算を行い、コンピュータ12の演算結果に基づきドライビングユニット11に自動車の挙動が再現されるとともに、モニタ13に走行時の景色が再現される。
【0023】
ドライビングユニット11は、全体の骨格をなす本体ユニット21と、乗り手が着座するシート41を有し回転運動を行う回転ユニット22と、回転ユニット22の回転運動の中心となる回転中心部材である自在継手23と、自在継手23を本体ユニット21に固定するベース板24と、回転ユニット22の回転運動の駆動源である3本のシート用リニアアクチュエータ25、26、27と、本体ユニット21を設置面から浮き上がらせた状態で支持する4本の本体用リニアアクチュエータ28、29、30、31と、シート用リニアアクチュエータ25、26、27及び本体用リニアアクチュエータ28、29、30、31を制御するコントローラ32と、乗り手が操作するステアリングユニット33及びペダルユニット34とを備える。
【0024】
ドライビングユニット11は、シート用リニアアクチュエータ25、26、27の駆動により回転ユニット22を回転運動させることで運転時に乗り手に加わる重力加速度を再現するとともに、本体用リニアアクチュエータ28、29、30、31の駆動により本体ユニット21を動かすことで車体の挙動を再現する。
【0025】
本体ユニット21は、パイプ等のフレーム材とジョイント材とを用いて自動車の車体を模擬する形で構成されている。本体ユニット21には、回転ユニット22が自在継手23及びベース板24を介して中央部に連結され、3本のシート用リニアアクチュエータ25、26、27が回転ユニット22に連結された状態で後部に連結され、本体用リニアアクチュエータ28、29、30、31が前後左右に1本ずつ連結され、ステアリングユニット33及びペダルユニット34が前部に連結されている。
【0026】
本体ユニット21を構成するフレーム材、ジョイント材は、特定のものに限定されるものではなく、公知のものを適宜選定して用いることができる。また本体ユニット21は、フレーム材、ジョイント材で構成されるものに限定されるものではなく、例えば、プレス材を用いてより実車に近い形状に構成することも可能である。
【0027】
回転ユニット22は、乗り手が着座するシート41と、シート41を支持するシートフレーム42と、シート41をシートフレーム42に固定する固定具43とを備え、自在継手23及びベース板24を介して本体ユニット21の中央部に連結されている。また回転ユニット22は、後部に3本のシート用リニアアクチュエータ25、26、27が連結され、シート用リニアアクチュエータ25、26、27の駆動により自在継手23を中心としてヨーイング、ピッチング及びローリングの回転運動を行う。
【0028】
シート41は、特定のものに限定されるものではなく、例えば、レーシングカー用の公知のシート等を適宜選定して用いることができる。
【0029】
シートフレーム42は、角パイプ材で形成されており、シート41を支持する底面部44と、底面部44の後部側から傾斜して立設した背面部45とを有する。またシートフレーム42の底面部44には、固定具43及び自在継手23を固定する平板状の天板46が固定されている。
【0030】
シートフレーム42には、天板46の底面に自在継手23の一端が固定され、背面部45の上部の両端部にそれぞれ1本ずつ、シート用リニアアクチュエータ25、26の一端が3自由度で回転自在に連結され、背面部45の下部の一端部にシート用リニアアクチュエータ27の一端が3自由度で回転自在に連結されている。なおシートフレーム42の形状や材質は、特定のものに限定されるものではなく、シート41を支持し、3本のシート用リニアアクチュエータ25、26、27を連結可能であればよい。
【0031】
固定具43は、矩形リング状のフレーム材の両側面に板材が付設され、正面視において転倒コ字状に形成されており、シート41をシートフレーム42に連結すべく、シート41の下部を両側面の板材で抱え込んだ状態でシート41及びシートフレーム42に固定されている。固定具43の形状及び材質は、特定のものに限定されるものではない。
【0032】
なおシート41をシートフレーム42に直接、連結して固定してもよく、この場合には固定具43は、不要となる。またシート用リニアアクチュエータ25、26、27をシート41に連結してもよく、この場合にはシートフレーム42及び固定具43は、不要となる。
【0033】
自在継手23は、2つの部材が互いの角度を自由に変化可能に連結された公知の自在継手であり、他の部材に連結容易なフランジ部47が両端に形成されている。
【0034】
自在継手23は、一方のフランジ部47がシートフレーム42の天板46の底面に連結され、他方のフランジ部47が本体ユニット21に固定されたベース板24に連結されている。これにより回転ユニット22が、自在継手23を介して角度を自由に変化可能な状態で本体ユニット21に連結され、自在継手23は、回転ユニット22が回転運動を行うときの中心となる回転中心部材として機能する。
【0035】
なお自在継手23に代えて、例えば、ゴムやバネ、球面軸受等を用いて一端が他端に対し角度を自由に変化可能に構成した部材を回転中心部材として用いることも可能である。
【0036】
自在継手23は、基本的にベース板24、天板46の中央部に配置されるが、これに限定されるものではなく、回転ユニット22の配置や回転運動の範囲等に応じて、配置を変更することも可能である。
【0037】
ベース板24は、平板材であり、ジョイント材を用いて本体ユニット21の中央部に連結されている。ベース板24の形状や材質は、特定のものに限定されるものではない。なお自在継手23等の回転中心部材を本体ユニット21に直接、連結可能に構成してもよく、この場合にはベース板24は、不要となる。
【0038】
3本のシート用リニアアクチュエータ25、26、27は、直方体の本体51から突出した棒体であるロッド52を直進移動させることで伸縮する公知のリニアアクチュエータであり、例えば、電動シリンダを用いることができる。
【0039】
3本のうち2本のシート用リニアアクチュエータ25、26は、ロッド52の反対側において本体51に固定された棒体である固定ロッド53を備え、残りの1本のシート用リニアアクチュエータ27は、ロッド52の反対側において本体51に固定された連結具54を備えている。また固定ロッド53を備える2本のシート用リニアアクチュエータ25、26は、本体51がケース50に収容されている。なお本体51は、必ずしもケース50に収容されていなくてもよい。
【0040】
固定ロッド53を備える2本のシート用リニアアクチュエータ25、26は、ロッド52及び固定ロッド53の先端に球面軸受を有するロッドエンドベアリング55を備え、ロッド52の先端(ロッドエンドベアリング55)がシートフレーム42の背面部45の上部に連結具56を介して3自由度で回転自在に連結され、固定ロッド53の先端(ロッドエンドベアリング55)が、回転ユニット22よりも後方において、連結具56を介して本体ユニット21に3自由度で回転自在に連結されている。
【0041】
なお連結具56(54)は、いわゆるヒンジベースであり、ボルトを介してロッドエンドベアリング55(59)の球面軸受をボルトの中心軸周りに回動自在に連結する。これによりロッドエンドベアリング55(59)は、連結具56(54)に対し3自由度で回転することができる。
【0042】
固定ロッド53を備える2本のシート用リニアアクチュエータ25、26は、固定ロッド53の先端(ロッドエンドベアリング55)が、ロッド52の先端よりも低い位置において、本体ユニット21に連結されている。このように両端が高低差を有するようにシート用リニアアクチュエータ25、26を配置することで、シート用リニアアクチュエータ25、26の伸縮により回転ユニット22のピッチングを行うことが可能となる。なおロッド52と固定ロッド53との配置は、上下反対でもよい。
【0043】
また固定ロッド53を備える2本のシート用リニアアクチュエータ25、26は、回転ユニット22の背面視において、自在継手23を挟んで互いに左右反対側に配置されている。このようにシート用リニアアクチュエータ25、26を配置することで、シート用リニアアクチュエータ25、26の伸縮量の差により回転ユニット22のローリングを行うことが可能となる。
【0044】
連結具54を備えるシート用リニアアクチュエータ27は、ロッド52の先端に球面軸受を有するロッドエンドベアリング55を備え、ロッド52の先端(ロッドエンドベアリング55)がシートフレーム42の背面部45の下部にL字状の取付板57を介して3自由度で回転自在に連結され、ロッド52の反対側の端部に位置する連結具54が、回転ユニット22よりも後方において、平板状の取付板58及び球面軸受を有するロッドエンドベアリング59を介して本体ユニット21に3自由度で回転自在に連結されている。
【0045】
また連結具54を備えるシート用リニアアクチュエータ27は、両端に位置するロッドエンドベアリング55及び連結具54が、回転ユニット22の背面視において、自在継手23を挟んで互いに左右反対側にほぼ同じ高さで配置されており、平面視において斜めに配置されている。
【0046】
なお本実施形態のドライビングシミュレータ1では、ロッドエンドベアリング55が左側、連結具54が右側に配置されているが、左右反対に配置されていてもよい。またロッドエンドベアリング55がL字状の取付板57を介して本体ユニット21に連結され、連結具54が平板状の取付板58とロッドエンドベアリング59とを介してシートフレーム42に連結されていてもよい。
【0047】
さらに連結具54を備えるシート用リニアアクチュエータ27は、回転ユニット22をヨーイング可能に配置されていればよく、上記の配置に限定されるものではないが、上記のようにシート用リニアアクチュエータ27を平面視において斜めに配置することで、シート用リニアアクチュエータ27の伸縮ストロークを十分確保した上でドライビングユニット11をコンパクトに構成することができる。
【0048】
4本の本体用リニアアクチュエータ28、29、30、31は、直方体の本体61から突出した棒体であるロッド62を直進移動させることで伸縮する公知のリニアアクチュエータであり、例えば、電動シリンダを用いることができる。4本の本体用リニアアクチュエータ28、29、30、31は、それぞれ、自動車の左前輪、右前輪、左後輪、右後輪を模擬すべく、本体ユニット21の前後左右に1本ずつ配置されている。
【0049】
本体用リニアアクチュエータ28、29、30、31は、本体61の側面に固定された平板状のベース板63と、ロッド62の先端に固定され設置面に接する円錐台状の脚64と、ベース板63に固定されロッド62をガイドするガイドブロック65と、脚64とガイドブロック65との間においてロッド62に装着されたバネ66とを備え、ベース板63を介して本体ユニット21に固定され、バネ66の付勢力により本体ユニット21を設置面から浮き上がらせた状態で支持している。
【0050】
本体用リニアアクチュエータ28、29、30、31を伸縮させることで、本体ユニット21のピッチング及びローリングを行い、本体ユニット21を上下左右に傾斜させ、走行時の車体の傾斜を模擬的に再現することができる。また各本体用リニアアクチュエータ28、29、30、31を振動させることで各車輪がロックした状態やホイルスピンした状態を再現することもできる。
【0051】
コントローラ32は、コンピュータ12、シート用リニアアクチュエータ25、26、27及び本体用リニアアクチュエータ28、29、30、31と有線又は無線で通信可能に接続されており、コンピュータ12の演算結果に基づき、シート用リニアアクチュエータ25、26、27及び本体用リニアアクチュエータ28、29、30、31を制御(駆動)する。
【0052】
コントローラ32は、コンピュータ12から制御データ(コマンド)を受信し、制御データに基づき、シート用リニアアクチュエータ25、26、27及び本体用リニアアクチュエータ28、29、30、31を制御するアクチュエータ制御手段201を備える。
【0053】
制御データは、制御対象となるシート用リニアアクチュエータ25、26、27及び本体用リニアアクチュエータ28、29、30、31を指定する軸番号と、指定した軸番号のリニアアクチュエータの直進移動時の速度と、指定した速度に達するまでの加速度と、停止時の減速度と、直進移動後の基準点の絶対位置と、リニアアクチュエータを振動させるか否かの振動判定信号と、振動させる時間と、振動時のふり幅とを含む。ただし制御データは、これに限定されるものではない。
【0054】
アクチュエータ制御手段201は、受信した制御データに基づき、指定された軸番号のリニアアクチュエータを基準点が指定された絶対位置に達するまで指定された加速度、速度、減速度で直進移動させる。またアクチュエータ制御手段201は、受信した制御データの振動判定信号がオンの場合には、指定された軸番号のリニアアクチュエータを指定された時間、指定されたふり幅で振動させる。
【0055】
ステアリングユニット33は、乗り手が操作を行う、いわゆるハンドルであるステアリングホイール71と、ステアリングホイール71及び後述するペダルユニット34からの操作による入力を処理しコンピュータ12とのデータの送受信を行うステアリングコントローラ72とを備え、シート41の正面においてジョイント材を介して本体ユニット21に固定されている。
【0056】
ステアリングユニット33は、公知のものを適宜選定して用いることが可能であり、例えば、ステアリングホイール71として、Fanatec社製のBMW M3 GT2 rim for ClubSport Wheel JP、ステアリングコントローラ72として、Fanatec社製のClub Sports Wheelを用いることができる。
【0057】
ペダルユニット34は、乗り手が足で操作を行うクラッチペダル81、ブレーキペダル82及びアクセルペダル83を備え、シート41の正面足元において本体ユニット21に取付けられている。
【0058】
クラッチペダル81及びアクセルペダル83は、それぞれ、平板状のペダル板91と、ペダル板91を回動自在に本体ユニット21に連結するヒンジ具92と、ペダル板91(ヒンジ具92)に付勢力を加えるように取付けられたバネ93と、ヒンジ具92の移動量を計測するセンサ(図示省略)とを備え、センサにより乗り手が操作したペダルの移動量を計測し、計測値をステアリングコントローラ72に入力する。
【0059】
ブレーキペダル82は、クラッチペダル81及びアクセルペダル83のバネ93及びセンサに代えて、油圧ブレーキユニット94を備える。
【0060】
油圧ブレーキユニット94は、直進移動可能なピストンロッド(図示省略)を有しブレーキオイルを収容するマスタシリンダ96と、ピストンロッドの押し込み量により変化するブレーキオイルの油圧を計測する圧力センサ97と、ブレーキホース98を介してマスタシリンダ96に接続されたブレーキキャリパ(図示省略)とを備え、圧力センサ97により乗り手が操作したペダル板91の踏込圧(油圧)を計測し、計測値をステアリングコントローラ72に入力する。
【0061】
油圧ブレーキユニット94は、特定のものに限定されるものではなく、例えば、実車に使用されるものを流用することも可能である。
【0062】
なおブレーキペダル82は、油圧ブレーキユニット94を備えるものに限定されるものではなく、例えば、クラッチペダル81及びアクセルペダル83と同じ構成のものや、クラッチペダル81及びアクセルペダル83のバネ93及びセンサに代えて、強化ゴム(図示省略)及びロードセル(図示省略)を用いてペダル板91の踏込圧を計測し、計測値をステアリングコントローラ72に入力するものを用いることも可能であるが、油圧ブレーキユニット94を用いることで、より実車に近い感覚を乗り手に体感させることが可能となる。
【0063】
コンピュータ12は、例えば、公知のパーソナルコンピュータを用いることができる。コンピュータ12は、キーボード101やマウス102等の入力装置を備え、コントローラ32、ステアリングコントローラ72、モニタ13とデータを送受信可能に有線又は無線で接続されている。
【0064】
コンピュータ12は、ステアリングコントローラ72からの入力に基づき仮想上の自動車の挙動及び映像を演算し、演算結果である速度等の運行データ及びモニタ13に表示する映像データを出力するシミュレーション手段202と、シミュレーション手段202から運行データを取得する運行データ取得手段203と、運行データに基づきシート用リニアアクチュエータ25、26、27及び本体用リニアアクチュエータ28、29、30、31を制御する制御データを演算しコントローラ32に出力する制御データ出力手段204とを備え、制御データをコントローラ32に出力するとともに映像データをモニタ13に出力する。
【0065】
シミュレーション手段202は、仮想上の自動車の仕様や走行するコース等のデータを備え、該データやステアリングコントローラ72からの入力等に基づき、仮想上の自動車の挙動及び映像を演算し、演算結果である速度等の運行データ及びモニタ13に表示する映像データを出力する。
【0066】
シミュレーション手段202としては、公知のシミュレーションソフトをコンピュータ12にインストールして用いることができる。公知のシミュレーションソフトとしては、例えば、Image Space Incorporated社製のrFactor、rFactor2等を用いることができる。
【0067】
運行データ取得手段203は、シミュレーション手段202から運行データを取得する。運行データ取得手段203が取得する運行データとしては、例えば、エンジンの回転数、走行速度、シフトポジション、エンジンの油温、冷却水の水温、燃料の残容量、ブースト圧、車体の左右方向の重力加速度、車体の前後方向の重力加速度、車体の位置座標、車体の向き、車体のロール角度、車体のピッチ角度、左前輪の回転速度、右前輪の回転速度、左後輪の回転速度、右後輪の回転速度、コース周回時のラップタイム、コース内の特定の計測地点における中間タイム、ラップタイム及び中間タイムの最速タイム、コースの周回数、レース時の順位等がある。なお制御データ出力手段204がシミュレーション手段202から直接、運行データを取得するようにしてもよく、この場合には運行データ取得手段203は、不要となる。
【0068】
制御データ出力手段204は、演算に用いる運行データの移動平均処理を行う平均処理手段211と、回転ユニット22のピッチング及びローリングを行う制御データを演算するシート揺動演算手段212と、回転ユニット22のヨーイングを行う制御データを演算するシート回転演算手段213と、回転ユニット22を仮想上の自動車が走行前の状態である初期位置に復帰させる制御データを演算する回転ユニット復帰演算手段214と、本体ユニット21のピッチング及びローリングを行う制御データを演算する本体揺動演算手段215と、車輪のロック等に応じて本体用リニアアクチュエータ28、29、30、31を振動させる制御データを演算する本体振動演算手段216と、本体ユニット21を初期位置に復帰させる制御データを演算する本体復帰演算手段217とを備え、演算結果に基づき、制御データをコントローラ32のアクチュエータ制御手段201に出力する。
【0069】
平均処理手段211は、予め設定された母数において、演算に用いる運行データの移動平均処理を行う。
【0070】
シート揺動演算手段212は、平均処理された運行データに基づき回転ユニット22のピッチング及びローリングを行う角度を演算し、演算結果に基づき回転ユニット22のピッチング及びローリングを行う2本のシート用リニアアクチュエータ25、26の制御データを演算して出力する。
【0071】
シート回転演算手段213は、平均処理された運行データに基づき仮想上の自動車がスピンしているか否かを判定するスピン判定手段221を備え、スピン判定手段221がスピンしていると判定しているときに、平均処理された運行データに基づき回転ユニット22のヨーイングを行う角度を演算し、演算結果に基づき回転ユニット22のヨーイングを行う1本のシート用リニアアクチュエータ27の制御データを演算して出力する。
【0072】
回転ユニット復帰演算手段214は、コンピュータ12等からの復帰指令に基づきシート用リニアアクチュエータ25、26、27を予め設定された初期位置に復帰すべく、シート用リニアアクチュエータ25、26、27を復帰開始時の位置から初期位置まで安全に移動可能な制御データを演算して出力する。
【0073】
本体揺動演算手段215は、平均処理された、車体の左右方向の重力加速度及び車体の前後方向の重力加速度の運行データ、又は車体のロール角度及び車体のピッチ角度の運行データに基づき、本体ユニット21のピッチング及びローリングを行う角度を演算し、演算結果に基づき4本の本体用リニアアクチュエータ28、29、30、31の制御データを演算して出力する。
【0074】
本体振動演算手段216は、平均処理された運行データに基づき各本体用リニアアクチュエータ28、29、30、31を振動させるか否かを判定する振動判定手段222を備え、振動判定手段222の判定及び平均処理された運行データに基づき各本体用リニアアクチュエータ28、29、30、31を振動させる制御データを演算し出力する。なお各本体用リニアアクチュエータ28、29、30、31を振動させるときの時間及びふり幅は、予め設定された値を用いてもよく、運行データに基づき演算した値を用いてもよい。
【0075】
また本体振動演算手段216は、各本体用リニアアクチュエータ28、29、30、31を振動させている間、回転ユニット22を初期位置に戻すべく、回転ユニット復帰演算手段214を実行させる。
【0076】
振動判定手段222は、平均処理された運行データに基づき、各車輪に減速時のロック又は加速時のホイルスピンが発生している否かを監視し、各車輪にロック又はホイルスピンが発生しているときに、対応する各本体用リニアアクチュエータ28、29、30、31を振動させる判定信号を出力する。
【0077】
振動判定手段222による判定フローの一例を以下に記載する(
図6参照)。なお振動判定手段222による判定フローは、これに限定されるものではない。まず、平均処理された運行データである、走行速度、左前輪の回転速度、右前輪の回転速度、左後輪の回転速度、右後輪の回転速度を取得し、走行速度を2で除算した値(以下、振動判定値と呼ぶ)、左前輪の回転速度と右前輪の回転速度とを加算し、2で除算した値(以下、前輪平均速度と呼ぶ)、左後輪の回転速度と右後輪の回転速度とを加算し、2で除算した値(以下、後輪平均速度と呼ぶ)を算出し、前輪を振動させるか否かの判定を保持する前輪振動フラグに0を代入し、後輪を振動させるか否かの判定を保持する後輪振動フラグに0を代入する(ステップS1)。
【0078】
走行速度が予め設定された設定値よりも小さいか否かを判定し(ステップS2)、小さい場合には、前輪平均速度が後輪平均速度よりも大きいか否かを判定し(ステップS3)、前輪平均速度が後輪平均速度よりも大きい場合には、前輪振動フラグに1を代入し(ステップS4)、前輪平均速度が後輪平均速度よりも小さい場合には、後輪振動フラグに1を代入する(ステップS5)。なお設定値は、車種等によって任意の値に変更可能であると好ましい。
【0079】
走行速度が設定値以上の場合には、走行速度が予め設定された設定値よりも大きいか否かを判定し(ステップS6)、走行速度が設定値以下の場合には、ステップS1に戻り、フローを繰り返す。
【0080】
走行速度が設定値よりも大きい場合には、左前輪の回転速度が振動判定値よりも小さいか否か、及び前輪振動判定フラグの値が1か否かを判定し(ステップS7)、いずれかを満たす場合に左前輪を振動させる(ステップS8)。同様に、右前輪の回転速度が振動判定値よりも小さいか否か、及び前輪振動判定フラグの値が1か否かを判定し(ステップS9)、いずれかを満たす場合に右前輪を振動させ(ステップS10)、左後輪の回転速度が振動判定値よりも小さいか否か、及び後輪振動判定フラグの値が1か否かを判定し(ステップS11)、いずれかを満たす場合に左後輪を振動させ(ステップS12)、右後輪の回転速度が振動判定値よりも小さいか否か、及び後輪振動判定フラグの値が1か否かを判定し(ステップS13)、いずれかを満たす場合に右後輪を振動させる(ステップS14)。ステップS14までの判定が終わるとステップS1に戻り、フローを繰り返す。
【0081】
本体復帰演算手段217は、コンピュータ12等からの復帰指令に基づき本体用リニアアクチュエータ28、29、30、31を予め設定された初期位置に復帰すべく、本体用リニアアクチュエータ28、29、30、31を復帰開始時の位置から初期位置まで安全に移動可能な制御データを演算して出力する。
【0082】
なお運行データ取得手段203と制御データ出力手段204とは、シミュレーション手段202が稼働しているときには、基本的に逐次、運行データの取得及び制御データの演算、出力を行う。
【0083】
モニタ13は、例えば、公知の液晶モニタ等を用いることができる。モニタ13は、ドライビングユニット11の正面に3台設置されており、コンピュータ12から出力される映像データを3分割して1台ずつに表示する。なおモニタ13の台数は、特定の台数に限定されるものではない。
【0084】
次に本実施形態のドライビングシミュレータ1の作用について説明する。コンピュータ12のシミュレーション手段202を起動すると、回転ユニット復帰演算手段214及び本体復帰演算手段217が実行され、回転ユニット22(シート用リニアアクチュエータ25、26、27)及び本体ユニット21(本体用リニアアクチュエータ28、29、30、31)が初期位置に復帰する。
【0085】
乗り手は、回転ユニット22のシート41に着座し、モニタ13に映る映像を見ながらステアリングホイール71及びペダルユニット34の操作を行う。ステアリングホイール71及びペダルユニット34の操作を行うと、ステアリングコントローラ72からコンピュータ12のシミュレーション手段202に操作情報が入力され、これに基づきシミュレーション手段202が運行データ及び映像データの演算を行う。
【0086】
シミュレーション手段202が演算を行うと、運行データ取得手段203が逐次、運行データを取得し、取得した運行データに基づき制御データ出力手段204がシート用リニアアクチュエータ25、26、27及び本体用リニアアクチュエータ28、29、30、31の制御データを出力し、出力された制御データに基づきコントローラ32のアクチュエータ制御手段201がシート用リニアアクチュエータ25、26、27及び本体用リニアアクチュエータ28、29、30、31を制御し、回転ユニット22及び本体ユニット21を動作させることで自動車の挙動が再現されるとともに、モニタ13の映像が逐次、更新される。
【0087】
本実施形態のドライビングシミュレータ1によれば、回転中心部材である自在継手23と3本のシート用リニアアクチュエータ25、26、27とで回転ユニット22のヨーイング、ピッチング及びローリングの回転運動を行うことができるので、コンパクトに構成することができる。
【0088】
また本実施形態のドライビングシミュレータ1によれば、回転ユニット22のヨーイングを行うシート用リニアアクチュエータ27が平面視において斜めに配置されているので、さらにコンパクトに構成することが可能である。
【0089】
また本実施形態のドライビングシミュレータ1によれば、回転ユニット22の回転運動を行う3本のシート用リニアアクチュエータ25、26、27の両端が3自由度で回転自在に連結されているので、複雑な動きを行う場合でもシート用リニアアクチュエータ25、26、27をスムーズに伸縮させることが可能であり、折損等を防止することができる。
【0090】
また本実施形態のドライビングシミュレータ1によれば、回転ユニット22の駆動系と、本体ユニット21の駆動系とを分けることで、運転時に乗り手に加わる重力加速度と、車体の挙動とを複合的に再現することが可能となり、より実車に近い感覚を乗り手に体感させることができる。
【0091】
また本実施形態のドライビングシミュレータ1によれば、スピン判定手段221により車両がスピンしているか否かを判定し、スピンしていると判定している場合のみ、回転ユニット22(シート41)をヨーイングさせる。これにより乗り手は、地面に対する車両(車輪)のグリップ感(滑り)を体感することが可能となる。
【0092】
また本実施形態のドライビングシミュレータ1によれば、振動判定手段222により各車輪に減速時のロック又は加速時のホイルスピンが発生しているか否かを判定し、各車輪にロック又はホイルスピンが発生しているときに、対応する各本体用リニアアクチュエータ28、29、30、31を独立して振動させる。これにより乗り手は、各車輪の状態を直感的に認識することが可能となる。
【0093】
また本実施形態のドライビングシミュレータ1によれば、各車輪にロック又はホイルスピンが発生しているときに、対応する各本体用リニアアクチュエータ28、29、30、31を独立して振動させるとともに、回転ユニット22(シート用リニアアクチュエータ25、26、27)を初期位置に戻す。これにより各車輪にロック又はホイルスピンが発生しているときには、乗り手に加わる重力加速度がキャンセルされ、より実車に近い感覚を体感することが可能となる。
【0094】
以上、第1実施形態のドライビングシミュレータ1を用いて、本発明のシミュレータを説明したが、本発明のシミュレータは、上記実施形態に限定されるものではなく、要旨を変更しない範囲で変形して使用することができる。例えば、本発明のシミュレータは、自動車のみならず、2輪又は3輪のバイクや建設機械等の種々の車両、飛行機やヘリコプター等の種々の航空機、船舶やボート等の種々の船、ジョットコースター等の種々の乗物の挙動を回転中心部材と3本のリニアアクチュエータとを用いた回転運動により模擬的に再現するシミュレータとして用いることができる。このとき本体ユニット、回転ユニット等の形状及び構成は、構造体に合わせて適宜変更することができる。
【0095】
また本発明のシミュレータ用途としては、運転技術を向上させる教習用のシミュレータのみならず、新車種、新ソフト等の開発用のシミュレータや娯楽目的のアーケードゲーム等に適用することも可能である。
【0096】
第1実施形態のドライビングシミュレータ1において、マニュアルトランスミッションの歯車の組み合わせを切り替える操作レバーであるシフトレバーを有する模擬的なシフトユニット(図示省略)を付加することもできる。
【0097】
また第1実施形態のドライビングシミュレータ1において、シート用リニアアクチュエータ25、26、27は、両端が3自由度で回転自在に装着されていればよく、ロッドエンドベアリング55、59と連結具54、56とを用いて装着されるものに限定されるものでない。
【0098】
また第1実施形態のドライビングシミュレータ1において、例えば、コントローラ32は、コンピュータ12に一体的に構成されていてもよく、コンピュータ12は、いくつかの機能がパーソナルコンピュータ、サーバコンピュータ、マイコン等に分離して構成されていてもよく、アクチュエータ制御手段201、シミュレーション手段202、運行データ取得手段203、制御データ出力手段204を備えるハードウェアの構成は、柔軟に変更することが可能である。
【0099】
以上のとおり、図面を参照しながら好適な実施形態を説明したが、当業者であれば、本明細書を見て、自明な範囲内で種々の変更及び修正を容易に想定するであろう。従って、そのような変更及び修正は、請求の範囲から定まる発明の範囲内のものと解釈される。