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特開2016-212602医療材料の預託在庫の使用報告のためのシステム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2016-212602(P2016-212602A)
(43)【公開日】2016年12月15日
(54)【発明の名称】医療材料の預託在庫の使用報告のためのシステム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/22 20120101AFI20161118BHJP
   G06Q 10/08 20120101ALI20161118BHJP
   G06K 7/10 20060101ALI20161118BHJP
   G06K 7/14 20060101ALI20161118BHJP
   G06K 17/00 20060101ALI20161118BHJP
   G06K 19/06 20060101ALI20161118BHJP
【FI】
   G06Q50/22 100
   G06Q10/08
   G06K7/10 436
   G06K7/14 013
   G06K17/00 022
   G06K19/06 112
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2015-95285(P2015-95285)
(22)【出願日】2015年5月7日
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り 発行日:平成26年11月8日 刊行物:月刊自動認識、第27巻、第13号、12−16ページ、日本工業出版 開催日:平成26年11月12日〜14日 集会名:HOSPEX Japan 2014 開催場所:東京ビッグサイト東4〜6ホール(東京都江東区有明3−11−1) 公開日:平成27年2月23日 公開した場所:Apple App Store内
(71)【出願人】
【識別番号】509235729
【氏名又は名称】株式会社ケイオーエス
(74)【代理人】
【識別番号】100150142
【弁理士】
【氏名又は名称】相原 礼路
(72)【発明者】
【氏名】桂 宏二
(72)【発明者】
【氏名】久城 康寛
(72)【発明者】
【氏名】三上 喜之
【テーマコード(参考)】
5L049
5L099
【Fターム(参考)】
5L049AA16
5L099AA01
(57)【要約】      (修正有)
【課題】預託在庫の使用データを管理するための新規システムを提供する。
【解決手段】バーコード読み取り手段を備える読み取り端末2と、バーコード出力手段を備える出力端末3と、各端末から接続可能な在庫管理サーバ4と、有する医療材料の在庫の使用報告のためのシステムであって、読み取り端末は、読み取ったバーコードデータを医療材料の在庫の使用の有無と関連づけて在庫管理サーバに送信する手段を有する。在庫管理サーバは、読み取り端末から受信したバーコードデータを記憶し、バーコードデータからバーコード画像を作成して、使用報告と共に前記出力端末に送信する手段を有する。出力端末は、在庫管理サーバから受信した使用報告及びバーコード画像を、バーコード読み取り手段で読み取り可能な形態で出力する手段を有する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
バーコード読み取り手段を備える読み取り端末と、
バーコード出力手段を備える出力端末と、
前記各端末から接続可能な在庫管理サーバと、
を有する医療材料の在庫の使用報告のためのシステムであって、
前記読み取り端末は、読み取ったバーコードデータを前記医療材料の在庫の使用の有無と関連づけて前記在庫管理サーバに送信する手段を有し、
前記在庫管理サーバは、前記読み取り端末から受信したバーコードデータを記憶し、および前記バーコードデータからバーコード画像を作成して、使用報告と共に前記出力端末に送信する手段を有し、
前記出力端末は、前記在庫管理サーバから受信した使用報告およびバーコード画像を、バーコード読み取り手段で読み取り可能な形態で出力する手段を有する、システム。
【請求項2】
前記読み取り端末は、前記バーコードデータをさらに手動で入力したデータと関連づけて前記在庫管理サーバに送信する手段を有し、
前記出力端末は、前記在庫管理サーバから前記バーコードデータと共に前記手動で入力したデータを受信する手段を有する、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記読み取り端末は、前記バーコードを医療材料のデータに関連づけたデータベースを有し、該端末でバーコードを読み取ったときに、該バーコードに関連づけられたデータと共に前記在庫管理サーバに送信する手段を有し、
前記出力端末は、前記在庫管理サーバから前記バーコードデータと共に前記医療材料のデータを受信する手段を有する、請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記在庫管理サーバは、前記バーコード画像を電子メールとして前記出力端末に送信する手段を有する、請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
前記出力端末は、前記在庫管理サーバから受信したバーコード画像を、バーコード読み取り手段で読み取り可能に紙に印刷する手段を有する、請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
前記在庫管理サーバは、前記読み取り端末から受信したバーコードデータを記憶し、および前記出力端末は、前記在庫管理サーバから受信したバーコード画像を該出力端末には記憶しない、請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
バーコード読み取り手段を備える読み取り端末と、
バーコード出力手段を備える出力端末と、
前記各端末から接続可能な在庫管理サーバと、
を有する医療材料の在庫の使用報告のためのシステムにおいて、
コンピュータを、
バーコード読み取り手段を備える読み取り手段として機能させ、
バーコード出力手段を備える出力端末として機能させ、および
前記各端末から接続可能な在庫管理サーバとして機能させる、
預託在庫管理プログラム。
【請求項8】
前記コンピュータを、さらに、
前記バーコードデータと共に手動で入力したデータと関連づけて、前記在庫管理サーバに送信する読み取り手段として機能させ、
前記は、前記在庫管理サーバから前記バーコードデータと共に手動で入力したデータを受信する出力手段として機能させる、
請求項7に記載のプログラム。
【請求項9】
前記コンピュータを、さらに、
前記バーコードを医療材料のデータに関連づけたデータベースを有し、該端末でバーコードを読み取ったときに、該バーコードに関連づけられたデータと共に前記在庫管理サーバに送信する読み取り手段として機能させ、
前記在庫管理サーバから前記バーコードデータと共に前記医療材料のデータを受信する出力手段として機能させる、
請求項7に記載のプログラム。
【請求項10】
前記コンピュータを、さらに、
前記在庫管理サーバから受信したバーコード画像をバーコード読み取り手段で読み取り可能に紙に印刷する出力手段出力手段として機能させる、
請求項7に記載のプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医療材料の預託在庫の使用報告のためのシステムおよびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
医療現場では、医療業務に使用するための医療材料を預託在庫として管理することが多い。預託在庫は、病院などの医療現場において必要とされる医療材料を、納入業者がその病院に保管して管理している在庫である。病院などの医療現場では通常の物販の流れと異なり、事前に医療現場に納入業者が医療材料を預託在庫として持ち込んでおき、病院は必要なときにすぐに持ち込まれている在庫から医療材料を使用することができる。病院は使用した後に、納入業者に対して費用を支払うとともに、医事請求の手続きを行う。これが預託在庫販売の一般的な流れである。
【0003】
この預託在庫は、病院において医療材料を保管しているものの、病院が預託在庫から医療材料を使用するまでは納入業者の所有か、もしくはメーカーより管理委託された在庫であるため、通常は納入業者側が在庫の管理を行う必要がある。さらに、納入業者は、病院が預託在庫から医療材料を使用した場合に、使用された医療材料を補充する必要もある。
【0004】
また、医療材料は薬事法施行規則により使用材料の品名、販売日、製造番号等の記録が義務付けられている。さらに一部の医療材料は、患者に使用された後もその患者に使用した材料データを保管しておく義務がある。このため各病院及び納入業者は、使用状況に関するデータ管理に多くの労力を要している。
【0005】
もちろん、預託在庫以外にも医療現場に治療毎に医療材料を取揃え持ち込む場合があるが、この様なケースにおいても、前記と同じデータ管理が必要とされる。医療材料を取扱う上で、何時、何処で、何を、誰に使用したかのデータ把握が納入業者にとっても、病院等の医療機関にとっても重要な事となっている。
【0006】
前述したように医療材料は非常にデリケートな販売管理が求められている。しかし、従来の営業スタッフは、従来、預託在庫を使用したときは、医療材料のパッケージに印刷されたバーコードを利用して医療材料に使用データを管理していた。たとえば、現場から販売した製品のバーコードを持ち帰って、事務所やオフィスでそのバーコードからデータを引き出して使用報告書を作成していた。このため、医療材料からバーコードを切り取る手間や、バーコードの紛失が問題となる。また、使用現場から事務所やオフィスへバーコードを持ち帰る時間が必要であり、使用した在庫の補充にも時間がかかっていた。
【0007】
さらに、上記のような預託在庫の使用データを管理するために新たなシステムを導入すると、コストがかかってしまう。また、これまで使用してきた既存のシステムになれているため、新たなシステムの導入は好まれない。特に、預託在庫を管理する現場においては、製品パッケージに記載されたバーコードなど紙に印刷されたバーコードを利用することが多い。
【0008】
医療材料などの管理を行う方法がいくつか提案されている。たとえば、医療材料をICタグと共に包装し、包装材を開封することにより受発注を行うための医療用物品が提案されている(特許文献1)。しかし、特許文献1では、ICタグを利用して医療材料を管理しているものの、預託在庫を管理することは、何ら開示されていない。
【0009】
また、医療材料の物流サービス方法が提案されている(特許文献2)。しかし、特許文献2においても、公衆回線を通じて医療材料の受発注を行うための物流サービス方法が開示されているものの、医事請求、預託在庫の管理、患者データの管理については、何ら開示されていない。
【0010】
上記のように、現在公知となっている医療材料などの管理を行う方法では、医療材料が誰の管理下にあるのか、どのような使用状況にあるのか、いつ使用されたのか、および誰に使用されたのかといったデータを管理することができない。このため、医療材料のバーコードを利用して、当該医療材料の使用データを簡便に管理することができるシステムおよび方法が望まれている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開2001−103981号公報
【特許文献2】特開2002−125695号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
上記の状況を鑑みて、本発明は、預託在庫の使用データを管理するための新規システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
医療材料に記載されているバーコードデータは、商品に特有なデータであるだけでなく、製造ロットまたは製造シリアル番号毎に特有のデータでもある。上記目的を達成するために、本発明は、医療材料に記載されたバーコードデータを使用して病院および納入業者の両者が預託在庫を管理する際の、在庫の使用を報告するための新規システムを提供する。
【0014】
すなわち、本発明は、バーコード読み取り手段を備える読み取り端末と、
バーコード出力手段を備える出力端末と、
前記各端末から接続可能な在庫管理サーバと、
を有する医療材料の在庫の使用報告のためのシステムであって、
前記読み取り端末は、読み取ったバーコードデータを前記医療材料の在庫の使用の有無と関連づけて前記在庫管理サーバに送信する手段を有し、
前記在庫管理サーバは、前記読み取り端末から受信したバーコードデータを記憶し、および前記バーコードデータからバーコード画像を作成して、使用報告と共に前記出力端末に送信する手段を有し、
前記出力端末は、前記在庫管理サーバから受信した使用報告およびバーコード読み取り手段で読み取り可能な形態のバーコード画像を出力する手段を有する、システムを提供する。
【0015】
また、本発明は、読み取り端末は、前記バーコードデータと共に手動で入力したデータと関連づけて、前記在庫管理サーバに送信する手段を有し、
前記出力端末は、前記在庫管理サーバから前記バーコードデータと共に前記バーコードデータを受信する手段を有する、上記システムを提供する。
【0016】
また、本発明は、読み取り端末は、前記バーコードを医療材料のデータに関連づけたデータベースを有し、該端末でバーコードを読み取ったときに、該バーコードに関連づけられたデータと共に前記在庫管理サーバに送信する手段を有し、
前記出力端末は、前記在庫管理サーバから前記バーコードデータと共に前記医療材料のデータを受信する手段を有する、システムを提供する。
【0017】
また、本発明は、在庫管理サーバは、前記バーコード画像を電子メールとして前記出力端末に送信する手段を有する、システムを提供する。
【0018】
また、本発明は、出力端末は、前記在庫管理サーバから受信したバーコード画像を、バーコード読み取り手段で読み取り可能に紙に印刷する手段を有する、システムを提供する。
【0019】
また、本発明は、在庫管理サーバは、前記読み取り端末から受信したバーコードデータを記憶し、および、前記出力端末は、前記在庫管理サーバから受信したバーコード画像を、該出力端末には記憶しない、システムを提供する。
【0020】
また、本発明は、バーコード読み取り手段を備える読み取り端末と、
バーコード出力手段を備える出力端末と、
前記各端末から接続可能な在庫管理サーバと、
を有する医療材料の在庫の使用報告のためのシステムにおいて、
コンピュータを、
バーコード読み取り手段を備える読み取り手段として機能させ、
バーコード出力手段を備える出力端末として機能させ、および
前記各端末から接続可能な在庫管理サーバとして機能させる、
預託在庫管理プログラムを提供する。
【0021】
また、本発明は、前記コンピュータを、さらに、
前記バーコードデータと共に手動で入力したデータと関連づけて、前記在庫管理サーバに送信する読み取り手段として機能させ、
前記は、前記在庫管理サーバから前記バーコードデータと共に前記バーコードデータを受信する出力手段として機能させる、上記プログラムを提供する。
【0022】
また、本発明は、前記コンピュータを、さらに、
前記バーコードを医療材料のデータに関連づけたデータベースを有し、該端末でバーコードを読み取ったときに、該バーコードに関連づけられたデータと共に前記在庫管理サーバに送信する読み取り手段として機能させ、
前記在庫管理サーバから前記バーコードデータと共に前記医療材料のデータを受信する出力手段として機能させる、上記プログラムを提供する。
【0023】
また、本発明は、前記コンピュータを、さらに、
前記在庫管理サーバから受信したバーコード画像を、バーコード読み取り手段で読み取り可能に紙に印刷する出力手段出力手段として機能させる、上記プログラムを提供する。
【発明の効果】
【0024】
本発明のシステムによれば、預託在庫の使用データを管理するときに、使用現場において医療材料からバーコードを切り取る手間や、バーコードを持ち帰る必要がなく、医療材料の使用データを簡便に管理することができる。
【0025】
また、本発明のシステムによれば、読み取り端末で読み取ったバーコードデータが在庫管理サーバにのみ記憶され、出力端末には記憶しないため、出力端末からのデータ漏洩を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】本発明の預託在庫の使用データを管理するためのシステムの構成例を示す図。
図2】本発明の医療材料の在庫の使用報告のためのシステムのための読み取り端末の一例を示す図。
図3】本発明の医療材料の在庫の使用報告のためのシステムのための読み取り端末の機能的構成を示す図。
図4】本発明の医療材料の在庫の使用報告のためのシステムのためのサーバの機能的構成を示す図。
図5】本発明の医療材料の在庫の使用報告のためのシステムのための出力端末の機能的構成を示す図。
図6】本発明の医療材料の在庫の使用報告のためのシステムを使用して使用報告を行うためのフローチャートを示す図。
図7】本発明の医療材料の在庫の使用報告のためのシステムを使用して使用報告を行うための操作手順を示す図。
図8】本発明の医療材料の在庫の使用報告のためのシステムにおいて出力端末から出力されるバーコードおよび使用報告の一例を示す図。
図9】本発明の医療材料の在庫の使用報告のためのシステムのためのサーバのデータ構造の一例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下に、図面を参照して本発明を説明する。図1は、本発明の医療材料の在庫の使用報告のためのシステムの構成を示す図である。
【0028】
本発明の使用報告システム1は、バーコード読み取り手段を備える読み取り端末2と、バーコード出力手段を備える出力端末3と、各端末から接続可能な在庫管理サーバ4とを有する。図1では、読み取り端末2および出力端末3をそれぞれ1端末のみ示してあるが、使用者の数に応じて、それぞれ複数の端末であることができる。
【0029】
読み取り端末は、バーコードリーダを備えた任意の端末を使用することができる。たとえば、バーコードリーダを接続したコンピュータ端末およびスマートフォンなどの携帯端末であることができる。また、バーコード読み取り手段は、図2に示したように、カメラを備えた端末であることもできる。この場合、読み取り端末は、バーコードを画像として読み込み、画像からバーコードデータを識別することができるソフトウエアによってバーコードデータを取得することができる。バーコードリーダを使用する場合、別途バーコードリーダを購入しなければならないため、費用がかかってしまうが、既存のカメラ付きスマートフォンなどの携帯端末であれば、画像からバーコードを解析することができる画像処理ソフトウエアをインストールするだけでバーコード読み取り端末として使用することができる。携帯端末でバーコードを読み取ることができるため、使用者はどこでもバーコードデータを読み取って使用報告を送信することができる。
【0030】
また、読み取り端末には、バーコードデータとGS1-128(旧EAN-128)などの種々のデータとが関連づけられたデータベースを記憶させておくことができる。本発明の使用報告システムでは、バーコードデータとして医療材料に固有のバーコードデータを利用する。このバーコードデータは、商品を識別することができるだけでなく、製造ロットまたは製造シリアル番号毎に固有のデータであるため、同じ商品であっても製造ロットまたは製造シリアル番号毎に商品を識別することができる。
【0031】
医療材料に固有のバーコードデータとしては、たとえば既存のデータベースに格納されているデータを利用することができる。たとえば、バーコードデータと商品データとが関連づけられているデータベースを利用して、このバーコードデータに対して種々のデータを関連づけることができる。また、本発明のシステムの利用者が、バーコード読み取り手段によって医療材料のバーコードを読み取り、利用者自身がメモや写真などのそれぞれのデータと関連づけてデータベースに格納することにより、データベースを新たに作成することもできる。
【0032】
病院にて患者ごとに消費されていくほとんど医療材料には、GS1-128(旧EAN-128)とよばれるバーコードが添付されている。このバーコードには、商品を特定するJANコードや使用期限を示すUBDほか製造ロットまたは製造シリアル番号など最大128バイトのデータが掲載されている。このバーコードは、製造元や輸入元が医療材料に添付するため、納入業者や病院サイドで加工する必要がなく人的コストがまったくかからない利点がある。
【0033】
また、読み取り端末は、在庫の使用の報告を行うために、バーコードを読み取り後、その製品の使用データをバーコードデータと関連づける。バーコード読み取り時に、GS1-128に含まれるUBD、ロット番号とシリアル番号が決定される。なお、JANコードについては、GS1-128に含まれる梱包単位を元に単包のJANコードへ変換することができる。使用数量についてもこの梱包単位を考慮した数量が自動的に挿入することができる。使用データは、使用者によって手動で、または自動で入力されてもよい。その他の項目については、読み取り端末の操作時に入力画面等を設けることにより、容易に入力することができる。
【0034】
使用データは、当該製品が使用されたことを示すデータだけでなく、患者および病院のデータと共に関連づけてもよい。これらのデータは、たとえば在庫の使用時に担当者が読み取り端末から入力することができる。患者データとしては、たとえば患者名または病院特有の患者ID、患者の病態および医療材料が使用された日時、記録者名(イニシャル)などのデータがあげられる。病院データとしては、たとえば病院名、発注部署名および医療材料を使用した部署名などのデータがあげられる。また、付加情報としてメモや写真を添付することもあげられる。
【0035】
読み取り端末は、読み取ったバーコードデータを在庫管理サーバに送信する手段を有する。バーコードを読み取った後、バーコードデータからデータベースに格納された製造ロットまたは製造シリアル番号などを読み出して、インターネットおよび電話回線などを介して接続されたサーバに送信する。送信時には、バーコードデータだけでなく、バーコードデータに関連づけられた使用データおよびその他のデータも一緒に送信する。
【0036】
在庫管理サーバは、読み取り端末から受信したバーコードデータを記憶し、およびバーコードデータからバーコード画像を再生して前記出力端末に送信する手段を有する。再生とは、一旦読み取ったバーコードデータから読み取り手段で読み取り可能なバーコードを再度生成することをいう。在庫管理サーバは、読み取り端末から受信したバーコードデータおよび関連づけられたデータをデータベースとして格納する。在庫管理サーバは、読み取り端末と同様に、バーコードデータと種々のデータとが関連づけられたデータベースを記憶させておいてもよい。
【0037】
在庫管理サーバは、受信したバーコードデータからバーコード画像を再生する。在庫管理サーバは、作成した画像を使用報告と共に出力端末に送信する。画像および使用報告は、任意の手段によって送信することができる。たとえば、画像および使用報告をPDFファイルとして作成し、送信手段としての電子メールによってあらかじめ設定しておいた宛先に送信することができる。
【0038】
出力端末は、在庫管理サーバから受信した使用報告およびバーコード画像をバーコード読み取り手段で読み取り可能な形態で出力する手段を有する。出力端末は、当該技術分野において通常使用される任意の端末を使用することができる。たとえば、インターネットに接続可能なコンピュータを各端末として使用することができる。
【0039】
出力端末は、バーコード出力手段を備える。バーコード出力手段は、プリンタを備えたコンピュータ端末であることができる。在庫管理サーバから受信したバーコード画像は、図8に示したように、バーコード読み取り手段で読み取り可能に紙に印刷して出力することができる。すなわち、規定のバーコードサイズとなるように紙に印刷して出力することができる。病院などでは、紙媒体によって製品の使用データを管理することが多く、本発明のシステムによれば、容易にバーコードと共に使用データを紙として保存することができる。また、出力端末は、バーコード出力手段としてモニタを備えることができる。モニタにバーコードと共に使用データを表示することができる。モニタには、規定のバーコードサイズとなるようにバーコード画像が表示させる。
【0040】
また、バーコード出力手段は、図8に示したように、使用状況が管理されている医療材料を一覧として印刷することができる。たとえば、バーコード、商品名、製造番号、特定保健医療材料名、製造販売業者名、納入業者名、預託業者名およびロット番号などのデータを一覧として表示することができる。
【0041】
また、在庫管理サーバは、読み取り端末から受信したバーコードデータを使用データと共に記憶する。しかし、他の端末は、在庫管理サーバから受信したバーコード画像および使用データを端末に記憶しなくてもよい。このように、在庫管理サーバのみにデータを保存することにより、個人データを含むデータが各端末から漏洩する可能性を低くすることができる。
【0042】
本発明のシステムで使用されるデータベースは、上記バーコードデータを任意のファイル構造でデータベースとして格納することができる。図9には、本発明による医療材料の在庫管理サーバのデータ構造の一例を示してある。たとえば、本発明の在庫管理サーバは、GS1-128などのバーコードデータ81と商品データ82が関連づけられたデータ、製品の使用データ83およびその他データ84のデータベースを有する。データ構造は、図9に示した構造である必要はなく、バーコードデータ、商品データおよび使用データを関連づけることができる態様であれば、いずれの構造であることもできる。
【0043】
以下、本発明のシステムの一例について図面を参照して説明する。
【0044】
図3は、本発明の医療材料の在庫の使用報告のためのシステムのための読み取り端末2の機能的構成を示す。読み取り端末2は、バーコード読み取り部21と、制御部22と、記憶部23と、表示部24と、入力部25と、送信部26とを有する。
【0045】
バーコード読み取り部21は、バーコードリーダまたはカメラなどである。制御部22は、CPU等のプログラム制御デバイスである。記憶部23は、GS1-128(旧EAN-128)などの種々のデータがバーコードデータと関連づけられたデータベースを記憶する。表示部24は、読み込んだバーコード画像およびデータベースから読み出した製品データなどを表示する。入力部25は、在庫の使用情報やその他の任意のデータを入力したり、データの送信を命令したりすることができる。送信部26は、読み取り端末2から各種データをサーバ3に送信する。
【0046】
使用者は、バーコード読み取り部21によってバーコードを読み取ると、制御部22は、記憶部23に記憶されたデータベースから製品データを引き出す制御を行う。次いで、制御部22は、表示部24にこれらのデータを表示させる制御を行うことができる。
【0047】
一方、入力部25から該当製品の使用の報告を入力して送信を指示すると、制御部22は、送信部26からバーコードデータおよび使用データなどの所望の規定したデータをサーバ3に送信する制御を行う。
【0048】
図4は、医療材料の在庫の使用報告のためのシステムのための在庫管理サーバ4の機能的構成を示す。在庫管理サーバ4は、受信部41と、制御部42と、記憶部43と、画像生成部44と、送信部45とを有する。
【0049】
受信部41は、読み取り端末2から送信されたデータを受信する。制御部42は、受信したバーコードデータおよび使用データを記憶部43に記憶する制御を行う。また、制御部42は、受信したバーコードデータから画像生成部44にてバーコード画像を生成する制御を行う。また、制御部42は、使用データおよびバーコード画像を送信部45から出力端末3に送信する制御を行う。
【0050】
図5は、医療材料の在庫の使用報告のためのシステムのための出力端末3の機能的構成を示す。出力端末3は、受信部31と、制御部32と、出力部33とを有する。
【0051】
受信部31は、在庫管理サーバ4から送信された使用データおよびバーコード画像受信する。制御部32は、受信したデータを出力部33に出力する制御を行う。出力が紙の場合は、出力部33としてのプリンタによって印刷を行う。出力が画面の場合は、出力部33としてのディスプレイに表示する。
【0052】
図6は、本発明の医療材料の在庫の使用報告のためのシステムを使用して使用報告を行うためのフローチャートを示す。また、図7は、読み取り端末2としてスマートフォンを利用した場合の操作画面の一例を示す。
【0053】
使用者が医療機関等で医療材料の在庫を使用した際に、読み取り開始ボタンを押す。たとえば、読み取り待機状態として、ソフトウエアを起動する(図7-1、7-2)。当該製品のバーコードの読み込みを開始する。読み取り端末2の読み取りボタンを押し、バーコードをカメラ機能で撮影する。スマートフォンのカメラ機能を利用してバーコードを認識については、当該技術分野において公地の任意の技術を採用することができる。
【0054】
読み取ったバーコードデータから読み取り装置内に格納されたデータベースに照会し、商品データを読み出す。次いで、読み出したデータをスマートフォンの画面に表示する。このとき、当該在庫が預託在庫であるか持ち込み在庫であるかを選択するボタンを表示して、いずれかの在庫であるかのデータを入力させてもよい(図7-3)。
【0055】
次いで、使用者は、表示された製品情報が正しければバーコードデータの保存操作を行う。複数の在庫使用を報告する場合、ここで読み取り開始ボタンを押し、さらにバーコードの読み込みを開始する。全てのバーコードの読み取り完了後(図7-5)、使用報告を行う在庫を選択し、送信ボタンを押して使用報告を送信する(図7-5、7-6、7-7)。
【0056】
この操作により、読み取り端末2からバーコードデータ、読み出した製品情報および使用データ、並びにそのほかのデータが、サーバ4に送信される。
【0057】
図8は、本発明の医療材料の在庫の使用報告のためのシステムを使用して、サーバ4から出力端末に送付される使用報告の一例を示す。報告書には、使用した商品の名称、ロット番号、シリアル番号、製品規格、使用数量および読み取り可能なバーコードなどの使用した製品に関する情報の他、在庫を使用した病院名、使用年月日、使用場所、患者IDおよび登録者名などの販売管理に必要とされる任意の情報を容易に送信することができる。
【0058】
また、本発明は、コンピュータを、上記バーコード認識装置として機能させるプログラムを提供する。すなわち、本発明は、バーコード読み取り手段を備える読み取り端末と、バーコード出力手段を備える出力端末と、前記各端末から接続可能な在庫管理サーバとを有する医療材料の在庫の使用報告のためのシステムにおいて、コンピュータを、バーコード読み取り手段を備える読み取り手段として機能させ、バーコード出力手段を備える出力端末として機能させ、および前記各端末から接続可能な在庫管理サーバとして機能させる、
預託在庫管理プログラムを提供する。
【0059】
上記プログラムは、任意の形態で提供することができる。たとえば、サーバおよびハードディスクに記録された形態で提供することもできる。また、プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体として提供することもできる。
【産業上の利用可能性】
【0060】
本発明の医療材料の在庫の使用報告のためのシステムによれば、医療材料の在庫管理において容易に使用報告を行うことができる。
【符号の説明】
【0061】
1・・・本発明のシステム
2・・・読み取り端末
3・・・出力端末
4・・・サーバ
9・・・データベース
21・・・バーコード読み取り部
22・・・制御部
23・・・記憶部
24・・・表示部
25・・・入力部
26・・・送信部
31・・・受信部
32・・・制御部
33・・・出力部
41・・・受信
42・・・制御部
43・・・記憶部
44・・・画像生成部
45・・・送信部
91・・・バーコードデータ
92・・・商品データ
93・・・使用データ
94・・・その他データ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9