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  • 特開2016212820-計算装置の動作方法 図000025
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2016-212820(P2016-212820A)
(43)【公開日】2016年12月15日
(54)【発明の名称】計算装置の動作方法
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/18 20120101AFI20161118BHJP
【FI】
   G06Q50/18 100
【審査請求】未請求
【請求項の数】1
【出願形態】OL
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2015-160735(P2015-160735)
(22)【出願日】2015年8月17日
(31)【優先権主張番号】特願2014-165609(P2014-165609)
(32)【優先日】2014年8月17日
(33)【優先権主張国】JP
(31)【優先権主張番号】特願2014-165607(P2014-165607)
(32)【優先日】2014年8月17日
(33)【優先権主張国】JP
(31)【優先権主張番号】特願2015-85504(P2015-85504)
(32)【優先日】2015年4月19日
(33)【優先権主張国】JP
(31)【優先権主張番号】特願2015-115345(P2015-115345)
(32)【優先日】2015年6月6日
(33)【優先権主張国】JP
(71)【出願人】
【識別番号】503030539
【氏名又は名称】中山 秀明
(72)【発明者】
【氏名】中 山 秀 明
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049CC33
(57)【要約】      (修正有)
【課題】特許庁に対する手続は手軽に行えるような状況においても、特許発明の有用性の計算を可能とするインターネット出願ソフトを提供する。
【解決手段】特許情報データベースから特許情報を取得してポイントを計算する際に、特許情報により行われたことが示される手続のうち工業所有権に関する手続等の特例に関する所定の法律により掲げら事項についての閲覧請求の手続が、特許掲載公報の発行日から1年以内に行われていれば、その手続をポイントの計算から除外する。又は、特許掲載公報の発行日から1年以内の閲覧請求をそうでない閲覧請求のポイントより小さくする。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、計算装置、計算方法、計算プログラム、計算プログラムを記録した記録媒体などに関する。
【背景技術】
【0002】
特許の経過情報に基づき特許発明の有用性(特許発明の独占排他力の大きさなど)を数値化する技術が知られている。例えば、特許文献1及び2並びに非特許文献2乃至6には、経過情報に基づいて数値情報やコスト比に基づく重み付けなどを算出し、有用性を数値化することが提案されている。
【0003】
また、特許の経過情報に基づき、企業の指標を算出する技術も知られている。例えば、非特許文献1には、被引用数、無効審判請求数、閲覧請求数、情報提供数などの経過情報から得られる属性に基づいて「パテントストックデータ」を計算することが提案されている。非特許文献1によれば、資本ストックに対応する「簡易q」は、閲覧請求数により加重されたパテントストックにより説明できることが示されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一方で、特許庁に対する手続の大部分はインターネット出願ソフトによりオンラインで可能になってきており、特許庁に対する手続は手軽に行えるような状況になってきている。そこで特許発明の有用性の計算を、このような状況に適応させる技術について説明する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一実施形態として、計算機を、ウェイト情報取得部と、減衰率情報取得部と、特許情報取得部と、手続情報抽出部と、発行情報抽出部と、ポイント計算部と、ポイント出力部と、を備える計算装置として、動作させる方法を提供する。その方法は、以下のように実施される。
【0006】
特許出願及び特許に対して行われる手続の種類に関連付けて、前記手続の種類に割り当てられているウェイトを表わすウェイト情報を記憶するウェイト情報記憶装置から、前記ウェイト情報を、ウェイト情報取得部が取得する。ウェイトは、手続が行われてから経過した時間に応じて異なっていてもよい。例えば、特許掲載公報の発行日から1年が経過するまでの期間に行われた手続のウェイトが他の期間におけるその種類の手続のウェイトよりも小さくなっていていたり、0になっていたりしていてもよい。
【0007】
時間経過に伴う前記ウェイトの減衰の程度を表わす減衰率情報を記憶する減衰率情報記憶装置より、減衰率情報取得部が減衰率情報を取得する。減衰率情報は、出願日からの経過時間の長さに応じて変化するようになっていてもよい。
【0008】
特許を識別する情報と関連付けて、閲覧請求の手続がされた日付情報と特許掲載公報の発行がされた日付情報とを含む特許情報を格納する特許情報データベースより、特許情報取得部が、特許権を識別する情報ごとに特許情報を取得する。閲覧請求とは、工業所有権に関する手続等の特例に関する法律12条1項の規定により同項1号に掲げる事項についての閲覧請求とすることができる。
【0009】
手続情報抽出部が、特許情報取得部により取得された特許情報から、特許出願および特許に対して行われた手続それぞれに関する情報を、特許を識別する情報ごとに、抽出する。
【0010】
発行情報抽出部が、特許を識別する情報ごとに特許情報取得部により取得された特許情報から、その特許の特許発明についての特許掲載公報の発行がされた日付情報を含む情報を、前記特許を識別する情報ごとに、抽出する。
【0011】
ポイント計算部が、手続情報抽出部により抽出された特許出願及び特許に対して行われた手続に関する情報の表わす手続ごとにウェイト情報取得部により取得され手続の種類に関連づけられたウェイト情報が表わすウェイトを、前記減衰率情報取得部により取得された減衰率情報を適用して減衰させた値の合計値に基づいてポイントの計算を行う。減衰は、手続がされた日からの期間の長さに応じてされてもよいし、出願日や特許登録日からの期間の長さに応じてされてもよい。
【0012】
ポイント出力部が、ポイント計算部により計算されたポイントを出力する。
【0013】
手続情報抽出部は、縦覧情報抽出部を有する。縦覧情報抽出部は、特許情報取得部により取得された特許情報から、閲覧請求の手続がされた日付情報を、特許を識別する情報ごとに、抽出する。
【0014】
【発明の効果】
【0015】
特許発明の有用性を、特許文献1及び2並びに非特許文献2乃至6に記載された技術によるよりも、より正確に数値化することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の一実施形態に係るシステム構成図
図2】本発明の一実施形態に係るシステムの処理のフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0017】
図面を参照しながら、本発明を実施するための形態としての実施形態を、詳細に説明する。
【0018】
(実施形態1)
図1は本発明の一実施形態に係るシステムの機能ブロック図である。システム100は、計算装置101と、特許情報データベース110と、ウェイト情報記憶装置111と、減衰値情報記憶装置112とを有する。
【0019】
【0020】
ウェイト情報取得部106は、ウェイト情報記憶装置111から、ウェイト情報を取得する。取得されたウェイト情報は、計算装置101として動作する計算機のメモリや記憶装置に記憶される。なお、ウェイト情報記憶装置111は、計算機の一部であってもよいし、ネットワークにより計算機と通信が可能な装置であってもよい。
【0021】
ウェイト情報は、特許出願及び特許に対して行われる手続の種類に関連付けてその手続の種類に割り当てられているウェイトを表わす。ウェイトは、加算が可能であるデータとすることができる。例えば、ウェイトは、整数、浮動小数点数などの数値とすることができる。あるいは、ウェイトは、乗算が可能であるデータとすることができる。また、ウェイトは、データやこのような数値を文字列として表示したものであってもよい。また、ウェイトは減算も可能であってもよい。あるいは、ウェイトは、除算が可能であってもよい。また、ウェイトが数値である場合には、ウェイトは0または正の数値とすることができる。また、必要に応じて、ウェイトを負の数値とすることもできる。
【0022】
特許出願及び特許に対して行われる手続の種類としては、刊行物等提出書の提出、閲覧請求(工業所有権に関する手続等の特例に関する法律12条1項の規定により同項1号に掲げる事項についての閲覧(ファイル記録事項の閲覧(縦覧)請求書の提出))、ファイル記録事項記録記載書類の交付請求書の提出、出願審査請求書(他人)の提出、無効審判請求書の提出、手続補正書の提出、意見書の提出、誤訳訂正書の提出、出願人名義変更届の提出、代理人変更届の提出、早期審査に関する事情説明書の提出、特許料納付書の提出などがある。特に、本実施形態においては、特許出願及び特許に対して行われる手続の種類は、出願人や特許権者の行う手続の種類に限定してもよい。あるいは、本実施形態においては、特許出願及び特許に対して行われる手続の種類は、出願人でも特許権者でもない、いわゆる第三者が行う手続の種類に限定することもできる。例えば、刊行物等提出書の提出、閲覧請求、出願審査請求書(他人)の提出、無効審判請求書、特許異議申立書の提出などに限定することもできる。
【0023】
ウェイトは、特許出願及び特許に対して行われる手続の種類に分類される手続の重要性・重大性に対応した値であることが好ましい。例えば、特許出願に対して特許査定または特許審決がされるようにする手続、また、無効審判請求、特許異議申立に対して請求不成立、維持決定(の確定)とするようにする手続について、特許査定、特許審決、請求不成立(の確定)、維持決定(の確定)となった場合それぞれに対する寄与の程度に応じた値とすることが好ましい。あるいは、特許出願に対して拒絶査定または拒絶審決がされるようにする手続、また、無効審判請求について請求成立、取消決定となるようにする手続について、拒絶査定、拒絶審決、請求成立それぞれに対する寄与の程度に応じた値とすることもできる。
【0024】
このような寄与の程度に応じた値を正確に求めるには困難性が伴うかもしれない。しかし、例えば特許文献2の出願段階の審査過程における平成24年12月28日に提出された意見書の8ページ目において「コストとして、例えば成功報酬などを含めた特許事務所の料金表などが利用できることは当然です。」と記載されているように、寄与の程度に応じた値として、コストを用いることができる場合がある。このような場合、コストは、より具体的には、手続を特許事務所に依頼した場合におけるその特許事務所の料金表により計算される料金とすることもできる。
【0025】
現在では、特許事務所によって料金表に相違が存在するが、日本弁理士会によって定められていた料金表(すでに廃止されている)を使用することもできる(日本弁理士会は特許事務所ではないので、日本弁理士会によって定められていた料金表が、上記意見書からの引用における「特許事務所の料金表など」における「など」を意味していると考えられる。)。また、料金表により計算される料金に、手続に伴い特許庁に納付する手数料を加えてもよい。
【0026】
なお、手続に伴い特許庁に納付する手数料が無い場合であっても、特許庁に手続を特許事務所に依頼した場合に特許事務所から請求額が無いということは通常ありえない。また、特許掲載公報の発行がされた日付に依存して請求額が変化するということもありえない。したがって、特許文献2に記載されている発明におけるコストが0になることはないのであり、また、特許掲載公報の発行がされた日付に依存して請求額が変化することもない。しかし、本願の特徴の一つとしては、手続が行われる時期に応じてコストあるいはウェイトを0としたり変化させたりするべき場合があることを見出した点がある。この点については後述する。
【0027】
全ての手続の種類に応じてウェイトを定めておく必要はなく、例えば、非特許文献1のように閲覧請求についてのみ着目する場合には、1などの定数値をウェイトとすることもできる。また、刊行物等提出書の提出と閲覧請求との複数の手続に着目する場合には、刊行物等提出書のウェイトを例えば10、閲覧請求のウェイトを例えば1とすることもできる。また、ウェイトを(10、1)のようなベクトル値として表現することもできる。
【0028】
工業所有権に関する手続等の特例に関する法律12条1項の規定により同項1号に掲げる事項についての閲覧請は、出願人でも特許権者ではない第三者であり特許発明の技術的範囲に関心を有する者が行う場合が多い。このような者は、拒絶査定、拒絶審決または無効審判請求の成立、取消決定を望むことが多い。したがって、工業所有権に関する手続等の特例に関する法律12条第1項の規定により同項1号に掲げる事項についての閲覧請求は、拒絶査定、拒絶審決、請求成立、取消決定に寄与すると扱うことができる。
【0029】
ただし、刊行物等提出書が提出された場合に、提出された刊行物等提出書の内容を出願人や特許権者が知るために工業所有権に関する手続等の特例に関する法律12条1項の規定により同項1号に掲げる事項についての閲覧請求が行われる場合がある。この場合には、拒絶査定、拒絶審決、請求成立に寄与するものとして扱わないことか、寄与するとしてもその寄与は他の手続に比べて小さいとすることが好ましい。したがって、刊行物等提出による通知書の発送日から所定期間内の所定回数、例えば1月以内の1回、の工業所有権に関する手続等の特例に関する法律12条第1項の規定により同項1号に掲げる事項についての閲覧請求は、拒絶査定、拒絶審決、請求成立に寄与しないか、寄与するとしてもその寄与は他の手続に比べて小さいとしてもよい。すなわち、コストを0としたりいわゆる第三者による閲覧請求よりも小さな値としたりすることができる。
【0030】
ウェイト情報取得部は、ウェイト情報記憶装置111から、ウェイト情報記憶装置111に記憶されている全てのウィエイト情報を取得してもよいし、必要に応じて特定の手続に関連付けられたウェイト情報を取得してもよい。
【0031】
減衰率情報取得部107は、減衰率情報記憶装置112から減衰率情報を取得する。取得した減衰率情報は、計算装置として動作する計算機のメモリや記憶装置に記憶される。なお、減衰率情報記憶装置112は、計算機の一部を構成していてもよいし、あるいは、計算機とネットワークを介して通信可能な装置となっていてもよい。
【0032】
減衰率情報は、時間経過に伴うウェイトの減衰の程度を表わす。ウェイトの減衰の程度は、非特許文献5や非特許文献6の「陳腐化率」や「減耗率」を使用することができる。例えば、gをある期間に登録された特許数、gをその期間から時間sが経過したときに特許権が存続している特許数とすると、

ln(g/g)=a+a×s

の式に最小二乗法を適用して陳腐化率atを求めることができる。また、ウェイトの減衰の程度は、特許発明の属する分野により異なる値とすることができる。ウェイトの減衰の程度は、手続の種類によっても異なる値とすることができる。また、ウェイトの減衰の程度を厳密に算出することが困難であれば、特許権の法定耐用年数に基づき減衰率を定めることもできる。例えば、法定耐用年数が8年であれば、減価償却による資産の減価のように、1年を経過するごとに定額法に対応してウェイトの8分の1が減少、あるいは定率法に対応して8分の1の割合でウェイトが減衰すると定めてもよい。あるいは、例えば、特許の存続期間は基本的には出願から20年であるので、毎年5%の割合でウェイトが減衰すると定めてもよい。また、出願や特許登録からの期間の長さに応じて、ウェイトの減衰率情報が表す減衰の程度が変化するようになっていてもよい。
【0033】
減衰率情報取得部107は、減衰率情報記憶装置112から、減衰率情報記憶装置112に記憶されている全ての減衰率情報を取得してもよいし、特定の(例えば、特定の技術分野の)減衰率情報を必要に応じて取得してもよい。
【0034】
特許情報取得部102は、特許情報データベース110より特許情報を、特許を識別する情報ごとに、取得する。取得された特許情報は、計算装置として動作する計算機のメモリや記憶装置に記憶される。特許情報データベース110は、計算機の一部を構成していてもよいし、ネットワークを介して通信可能な装置により特許情報が取得可能となっていてもよい。
【0035】
特許情報データベース110は、特許情報を格納する。特許情報とは、特許を識別する情報と関連づけて、その特許またはその特許の登録前の特許出願に対して工業所有権に関する手続等の特例に関する法律12条1項の規定により同項1号に掲げる事項についての閲覧請求の手続がされた日付情報と特許掲載公報の発行がされた日付情報とを含む情報である。特許を識別する情報は、登録番号であったり、出願番号であったり、公開番号であってもよく、特許を識別できる情報であればいかなるものも使用することができる。
【0036】
工業所有権に関する手続等の特例に関する法律(平成二年六月十三日法律第三十号)12条1項は、「何人も、特許庁長官に対し、次に掲げる事項について、経済産業省令で定めるところにより電子情報処理組織を使用して行う閲覧を請求することができる。ただし、国際出願(国際出願法第二条 に規定する国際出願をいう。以下同じ。)に係る事項については、この限りでない。」と規定しており、同項1号に掲げる事項とは「ファイルに記録されている事項(経済産業省令で定める手続に係る事項に限る。)」である。
【0037】
特許掲載公報とは、特許法(昭和三十四年四月十三日法律第百二十一号)29条の2に規定されている。
【0038】
特許情報データベース110は、整理標準化データを格納していてもよい。整理標準化データについては、http://www.inpit.go.jp/info/standard/download/standard_dl/index.htmlよりその仕様をダウンロードすることができる。
【0039】
また、特許情報データベース110としては、整理標準化データから得られる特許情報をデータベース化などした商用データベースなどを用いることもできる。
【0040】
特許情報取得部102は、特許を識別する情報に関連付けられ特許情報データベース110に格納された特許情報の全てを取得してもよいし、あるいは、与えられた登録番号、出願番号などに関連付けられ特許情報データベース110に格納された特許情報を取得してもよい。また、特許情報取得部102は、特許文献1にあるように、技術分野の指定を受け付け、指定された技術分野に属する特許の特許情報を特許情報データベース110より取得してもよい。あるいは、特許情報取得部102は、特許権者や出願人の指定を受け付け、その特許権者や出願人の特許についての特許情報を特許情報データベース110より取得してもよい。特許権者や出願人は、複数の者が指定されてもよい。この場合、複数の者の共願の特許出願や共有の特許の特許情報が取得されたり、複数の者のいずれかの特許出願の特許の特許情報が取得されたりする。また、特許権者や出願人と技術分野との指定を受け付け、その特許権者や出願人の特許のうち指定された技術分野の特許情報を特許情報データベースより取得してもよい。また、発明者名を受け付けるようにし、その発明者の発明に係る特許の特許情報を取得することもできる。同姓同名の発明者および同名の出願人や権利者を区別するために住所または居所も受け付けるようになっていてもよい。出願人や権利者の指定は識別番号を用いて行われてもよい。
【0041】
特許情報取得部102は、特許を識別する情報に関連付けられ特許情報データベース110に格納された特許情報の全てを取得してもよいと記載したが、特許権が消滅したものについての特許情報を取得しないようにしてもよい。あるいは、そのようなものについてはポイント計算部108などにおいてウェイトを0としたり、減衰率情報の適用の結果が0となるようにしたりしてもよい。
【0042】
特許情報データベース110として、特許情報プラットフォーム(https://www.j−platpat.inpit.go.jp/web/all/top/BTmTopPage)の経過情報の機能を使用することもできる。この場合、特許情報取得部102は、特許を識別する情報として出願番号、公開番号、登録番号などを用いて、特許情報を取得することもできる。また、特許情報プラットフォームのテキスト検索により特許権者名、出願人名、発明者名などの検索を行ってから、経過情報を特許情報として取得してもよい。
【0043】
なお、商用データベースにおいて特許権者名、出願人名、発明者名などの検索を行なって特許を識別する情報を取得したり、特許情報を取得したりしてもよい。
【0044】
手続情報抽出部103は、特許情報取得部102により取得された特許情報から、特許出願および特許に対して行われた手続それぞれに関する情報を、特許を識別する情報ごとに、抽出する。手続それぞれに関する情報とは、手続の種類および手続が行われた日付情報を含む情報である。
【0045】
上記したhttp://www.inpit.go.jp/info/standard/download/standard_dl/index.htmlによると、整理標準化データは、XMLやSGMLの形式により記述されている。したがって、手続情報抽出部103は、特許情報データベース110が、整理標準化データを格納している場合には、XMLやSGMLの形式による記述をパースし、標準項目名称に対応したタグ名を参照し、手続それぞれに関する情報を抽出する。一般に、XMLやSGMLにおいては、タグがネストした構造により、記述がされるので、このネストに対応して、標準項目名称がネストすることになる。したがって、手続情報抽出部103は、整理標準化データとして取得された特許情報に記述されている特許出願または特許に対して取られた(法律的)手続きを示す標準項目名称の組合せを予め準備したパターンを利用したパターンマッチング処理により検索し、検索された標準項目名称の組合せに応じて整理標準化データに記述されている項目内容をその手続日と関連付けて抽出することもできる。
【0046】
発行情報抽出部104は、特許を識別する情報ごとに、特許情報取得部102により取得された特許情報から、特許の特許発明についての特許掲載公報が発行された日付情報を含む情報を抽出する。例えば、特許情報プラットフォームの経過情報検索を行うと、出願情報の「登録記事」欄から、公報発行日として特許掲載公報が発行された日付情報を、抽出することができる。抽出された情報は、計算装置として動作する計算機のメモリや記憶装置に記憶される。
【0047】
ポイント計算部108は、ポイントの計算を行う。ポイント計算部108は、計算装置として動作する計算機のメモリや記憶装置にアクセスを行い、以下に説明するようなポイントの計算を行うために計算機のプロセッサを動作させるプログラム、あるいはプログラムの一部を構成するモジュールなどにより実現される。
【0048】
ポイントは、手続情報抽出部103により抽出された特許出願及び特許に対して行われた手続に関する情報の表わす手続ごとに、ウェイト情報が表わすウェイトを、減衰率情報により減衰させた値の合計値に基づいて計算される。例えば、合計値をそのまま算出したり、合計値を適当な定数(例えば、10000)により除して算出したりする。ここにウェイト情報は、ウェイト情報取得部106により取得され、ウェイトは手続の種類に関連付けられたウェイトである。減衰率情報は、減衰率情報取得部107により取得された減衰率情報である。なお、技術分野などごとに減衰率が減衰値情報記憶装置112により記憶されている場合には、当該特許出願及び特許の技術分野の減衰率を用いる。減衰率は、また、手続が行われた日からの経過日数や経過年数に応じて変化していてもよい。
【0049】
具体的な例としては、次の例を挙げることができる。手続情報抽出部103により抽出された特許出願及び特許に対して行われた手続に関する情報によれば、工業所有権に関する手続等の特例に関する法律12条1項の規定により同項1号に掲げる事項についての閲覧請求の手続が、ポイント計算の基準日より3年前に5回、2年前に1回行われていたとする。このとき、工業所有権に関する手続等の特例に関する法律12条1項の規定により同項1号に掲げる事項についての閲覧請求の手続の種類に関連付けられているウェイトが、Wであるとする。また、減衰率が0≦δ≦1となる実数であるとする(より好ましくは、0< δ <1)。このとき、ポイント計算部108は、

5×(1− δ )×W+1×(1− δ )×W

の計算をすると表わすことができる。ここに、(1− δ )×Wは、3年前に行われた工業所有権に関する手続等の特例に関する法律12条第1項の規定により同項1号に掲げる事項についての閲覧請求の手続の1回のウィエイトを減衰率により減衰させた値であり、(1− δ )×Wは、2年前に行われた工業所有権に関する手続等の特例に関する法律12条第1項の規定により同項1号に掲げる事項についての閲覧請求の手続の1回のウェイトを減衰率により減衰させた値である。また、また、1年前に刊行物等提出書の提出が2回されていれば、さらに2×(1− δ )×K(Kは刊行物等提出書のウェイトである)を計算して5×(1− δ )×W+1×(1− δ )×Wと合計する。なお、δ が0となる場合には、減衰を考慮する必要がないので、計算装置101に減衰率情報取得部107を備える必要はなく、ポイント計算部108は、ウェイトを減衰させずに合計する。なお、ウェイトが手続の種類の数の要素を有するベクトルであれば、手続の種類ごとの合計値を計算することができる。なお、ここでの説明においては、δ、W、Kを定数としたが、手続がされたときの出願や特許登録からの期間長などの関数とすることもできる。
【0050】
なお、ポイント計算の基準日とは、手続がされた日からウェイトを減衰率により減衰させる最終日や最終月、最終年などを示す日付である。例えば、計算装置101を動作させる日であったり、過去の所定の日であったりする。なお、過去の所定の日をポイント計算の基準日とする場合には、ポイント計算の基準日以降に行われた手続については、ポイント計算の対象とする必要がないので、特許情報取得部102が、ポイント計算の基準日以降の特許情報を取得しないようにしたり、手続情報取得部103が、ポイント計算の基準日以降に行われた手続に関する情報を抽出しないようにしたりすることができる。
【0051】
ポイント計算部108は、特許を識別する情報ごとに、上述のようにポイントを求める。また、ポイント計算部108は、さらに権利者毎の特許のポイントの合算値を求めることなども行ってもよい。
【0052】
ポイント出力部109は、ポイント算出部により計算されたポイントを出力する。例えば、単純にポイントをディスプレイなどに表示したりプリントアウトするための出力を行ったり、他の計算装置などに送信する。出力を行う際には、手続の種類ごとにポイントの計算がされる場合には、レーダーチャートなどとして表示などのための出力を行うとしてもよい。
【0053】
なお、ある企業が有する特許についてのポイントの合計値と時価総額や利益とに相関関係がある場合には、その相関関係に基づいて、時価総額や利益の推定値を出力することもできる。あるいは、企業が権利者である特許についてポイントの合計値を算出し、企業が属する競合企業グループを母集団とし、各企業をポイントと当該企業の時価総額の関数とした場合に、母集団の回帰直線であって原点を通過する回帰直線に対する各企業のかい離角度を算出して出力をすることもできる。
【0054】
合計されたポイントをさらに出願人または権利者の名義毎かつ技術分野毎に集計し、名義毎の事業収益値を取得し、集計した名義毎技術分野毎の集計値から、各名義の企業規模を表すファクターの影響を除外した規模ファクター除外名義毎技術分野毎集計値と、取得した名義毎の事業収益値から各企業の企業規模を表すファクターの影響を除外した規模ファクター除外名義毎事業収益値との対を複数用いて、母集団中における規模ファクター除外名義毎技術分野毎集計値と規模ファクター除外名義毎事業収益値との相関を算出し、出力することもできる。なお、ここでいう企業規模を表すファクターとは、保有特許件数、従業員数、発明者数、出願件数、売上高、営業利益、時価総額、研究開発費の中から選択されるいずれか二のファクターとすることができる。
【0055】
また、株式上場企業である特許権利者をその権利者の特許の技術分野ないしはその権利者の業種によって事業が競合するグループに分類しておき、計算装置の図示しない部や動作させるプログラムにより、グループごとにそのグループに属する企業の所有する又は出願した特許ごとにポイントの合計値を集計し、グループごとに集計した合計値で加重してそのグループ内の企業の株式を購入する割合を決定することもできる。
【0056】
なお、手続情報抽出部103は、縦覧情報抽出部104を有する。縦覧情報抽出部104は、特許情報取得部102により取得された特許情報から、工業所有権に関する手続等の特例に関する法律12条1項の規定により同項1号に掲げる事項についての閲覧請求の手続がされた日付情報を、特許を識別する情報ごとに、抽出する。
【0057】
【0058】
具体的には、上述のように、手続情報抽出部103により抽出された特許出願及び特許に対して行われた手続に関する情報によれば、工業所有権に関する手続等の特例に関する法律12条1項の規定により同項1号に掲げる事項についての閲覧請求の手続が、ポイント計算の基準日より3年前に5回行われ、2年前に1回行われていたとする。このとき、これらの手続がされた日付を表わす日付情報は、縦覧情報抽出部104により抽出される。
【0059】
【0060】
【0061】
ければならない。」とし同項4号に「第十二条第一項の規定により同項第一号に掲げる事項について閲覧を請求する者」が挙げられている。
【0062】
「実費を勘案して政令で定める額の手数料」とは、特許法等関係手数料令(昭和三十五年三月八日政令第二十号)5条1項に規定されており、「工業所有権に関する手続等の特例に関する法律第十二条第一項の規定により同項第一号に掲げる事項について閲覧を請求する者」は、「一件につき九百円(工業所有権に関する手続等の特例に関する法律第三条第一項の規定により電子情報処理組織を使用して閲覧を請求する者(以下「電子閲覧請求者」という。)にあつては、六百円)の手数料」を納付しなければならないことになっている。
【0063】
しかし、工業所有権に関する手続等の特例に関する法律(平成二年六月十三日法律第三十号)40条1項には、上記のように「政令で定める場合を除くほか」との規定がある。この「政令で定める場合」は、特許法等関係手数料令(昭和三十五年三月八日政令第二十号)5条2項に「工業所有権に関する手続等の特例に関する法律第四十条第一項の政令で定める場合は、同項第二号 に掲げる者が同法第十二条第一項第一号に掲げる事項(発行の日から一年以内の特許掲載公報(特許法第六十六条第三項 の規定により同項各号に掲げる事項を掲載した特許公報をいう。)に掲載された特許に係るものに限る。)の閲覧を請求する場合とする。」と定義がされている。
【0064】
【0065】


【0066】
【0067】
【0068】
る。
【0069】
図2は、計算装置を動作させる処理を説明するフローチャートの一例である。ステップS1の処理として、特許情報取得部102が、特許を識別する情報ごとに特許情報データベース110より特許情報を取得する。
【0070】
ステップS2の処理として、手続情報抽出部103が、S1において取得された特許情報から、特許出願および特許に対して行われた手続それぞれに関する情報を、特許を識別する情報ごとに抽出する。
【0071】
【0072】
ステップS4の処理として、発行情報抽出部が、S1において取得された特許情報から、特許掲載公報の発行された日付情報を含む情報を、特許を識別する情報ごとに抽出する。
【0073】
ステップS5の処理として、ウェイト情報取得部106が、ウェイト情報を取得し、減衰率情報取得部107が、減衰率情報を取得する。
【0074】
ステップS6の処理として、ポイント計算部108が、ポイントを計算する。なお、ポイントの計算においては、S1において取得された特許情報から、S3において抽出された日付情報の表す日付が、S4において抽出した日付情報より1年以内の日付であれば、ポイントの計算の対象(結果)から除外する。
【0075】
より具体的には、S1において抽出された特許出願及び特許に対して行われた手続に関する情報の表わす手続ごとにS5において取得されたウェイト情報が表わすウェイトを、S5において取得された減衰率情報により減衰させた値の合計値を計算する際に、S1において取得された特許情報から、S3において抽出された日付情報の表す日付と、S4において抽出した日付情報の表す日付から1年後の日付と、を比較し、S3において抽出された日付情報の表す日付がS4において抽出した日付情報の表す日付の1年以内の日付でなければ合計値として加算する。
【0076】
あるいは、S1において抽出された特許出願及び特許に対して行われた手続に関する情報の表わす手続ごとにS5において取得されたウェイト情報が表わすウェイトを、S5において取得された減衰率情報により減衰させた値の合計値を計算し、次に、S3において抽出された日付情報が、S4において抽出した日付情報より1年以内の日付となる閲覧請求について、ウェイト情報が表わすウェイトをS5において取得された減衰率情報により減衰させた値の合計値を計算し、前者の合計値から後者の合計値を減算してもよい。なお、このような後者の値を、権利についてのポイントを訂正する値である権利訂正値と呼び略してティケイ値(TK値)(登録商標)と呼ぶこともできる。
【0077】
ステップS7の処理として、ステップS6において計算した値を出力する。
【0078】
図2のフローチャートの処理を行うプログラムを提供することが可能であり、またそのようなプログラムを光ディスクなどの媒体に記録してもよい。
【0079】
なお、特許掲載公報発行日が1年以内の出願番号のリストは、特許情報プラットフォームの"特許・実用新案テキスト検索"において種別として"特許公報(特公・特許(B))"にチェックを入れ、検索項目として"登録公報発行日"を選択し、検索キーワードとして1年前以降を指定する検索を行うことにより入手することができる。例えば、本日が2015年8月17日であるとすれば、"登録公報発行日"の検索項目の検索キーワードを
20140817:
と指定する(単に"登録公報発行日"を選択し、検索キーワードとして1年前以降を指定するだけでは、通常、検索結果は1000件を超えてしまい、検索結果は表示されないので、権利者名などをさらに指定して検索を行うことになる)。
【0080】
また、ブラウザに表示された特許情報プラットフォームの検索結果をエクセルのシートに貼り付け、次のVBAスクリプトをエクセルにより実行することにより、検索された出願番号のリストごとにファイル記録事項の閲覧(縦覧)請求書のHTMLファイルを生成し、インターネット出願ソフトに入力して閲覧請求を行うことができる。この場合、多数のファイル記録事項の閲覧(縦覧)請求書のHTMLファイルが生成されたとしても、HTMLファイルを選択して、インターネット出願ソフトの「請求」タブおよび送信ファイルのフォルダを選択したときに表示されるサブウィンドウに、HTMLファイルをドラッグアンドドロップすることにより、多数のファイル記録事項の閲覧(縦覧)請求書のHTMLファイルについて簡単に書式チェックを行うことができ、送信ファイルを生成することができる。

Sub Gen_Req()
Const name As String = "特許 太郎"
Const numb As String = "000000000"
Dim r As Integer
Dim target As String
Dim fileCounter As Integer

target = CurDir
fileCounter = 0

r = 1
Do While Val(Cells(r, 1).Value) <= 0
r = r + 1
Loop

Do While Val(Cells(r, 1).Value) > 0
Dim filename As String
Dim fd As Integer

filename = Format(Cells(r, 1).Value, "00000") & "_" & Cells(r, 6).Value
fd = FreeFile
Open ActiveWorkbook.Path & "\" & "\" & filename & ".htm" For Output As #fd
Print #fd, "[書類名]ファイル記録事項の閲覧(縦覧)請求書"
Print #fd, "[あて先]特許庁長官殿"
Print #fd, "[事件の表示]"
Print #fd, "[出願番号]" & Cells(r, 6).Value
Print #fd, "[請求人]"
Print #fd, "[識別番号]" & numb
Print #fd, "[氏名又は名称]" & name
Close #fd
fileCounter = fileCounter + 1
r = r + 1
Loop
MsgBox fileCounter & "個作りました"
End Sub

ただし、'['と']'とは、対応する墨付き括弧に置き換える必要がある。
【0081】
なお、インターネット出願ソフトにより閲覧請求を行う場合に最も時間がかかるのは、閲覧書類受取の処理である。出願について受け取る書類の数にもよるが、出願人の環境では500件の出願の閲覧書類の受取で約7時間かかる。しかし、ファイル記録事項の閲覧(縦覧)請求書を送信すれば、閲覧書類受取の処理を行わなくても、すくなくとも特許情報プラットフォームの経過情報を見る限りでは、ファイル記録事項の閲覧(縦覧)請求書が提出されたことが記録される。したがって、単にファイル記録事項の閲覧(縦覧)請求書が提出されたことを記録するだけであれば、閲覧書類受取の処理を行う必要がないと考えられる。
【0082】
【0083】
【表1】
【0084】
表によれば、閲覧請求から第3月末の値が他の月末よりも大きくなっている。他の上場
【0085】
【0086】
(実施形態2)
本発明の他の実施形態として、特許文献1に記載された発明の変形がある。
【0087】
すなわち、複数の特許データを記憶していると共に、該特許データ各々の技術分野の情報と出願日の情報又は優先日の情報と経過情報に基づく数値情報とを含む特許属性情報を記憶している特許データベースに、アクセス可能な計算装置であって、技術分野の指定を受け付ける手段と、前記指定された技術分野に属する複数の特許データ、および該特許データ各々の特許属性情報を前記技術分野の情報に基づき前記特許データベースより取得する手段と、前記取得した各特許データを前記出願日の情報又は前記優先日の情報に基づき所定期間毎のグループに分類する手段と、前記グループ毎に、該グループに属する各特許データの前記経過情報に基づく数値情報と、該グループに属するすべての特許データの前記経過情報に基づく数値情報の合計値の減少関数の値とを乗算することにより、該特許データ各々の評価点を算出する評価点算出手段と、を有する計算装置の実施形態である。
【0088】
【0089】
(実施形態3)
以上の実施形態において、ポイント計算の基準日の開始日を、手続がされた日として説明した。本実施形態では、ポイント計算の基準日の開始日を変更する形態について説明する。
【0090】
特許文献2の段落〔0034〕以降ににおいては、ある特許権について、出願からα年目に特許無効審判が請求されたが、請求不成立審決がされ、コスト表によるとその一連の手続きが100ポイントであったとし、算定基準日が出願からβ年であったとした場合、α年の技術価値残存係数をT(α)、β年目の技術価値残存係数をT(β)とするとき、算定基準日における陳腐化後コストは、

陳腐化後コスト=100×T(β)/T(α)

により算出することが説明されている。しかし、もし特許無効審判の請求が認容された場合には、ほとんどの場合に特許権は初めから存在しなかったものとなり遡及して消滅するので、特許無効審判請求の請求された日をポイント計算の基準日の開始日とするのは正しくないと考えられる。例えば、特許権の登録日が属する年に特許無効審判が請求された場合の陳腐化コストよりも、出願から20年近くなってから特許無効審判が請求された場合の陳腐化コストが大きくなる。言い換えると、特許文献2の手法では、過大な値が算出される場合がある。このため、非特許文献9および非特許文献10のように、特許文献2の手法と考えられる手法を用いて特許発明の有用性を数値化した情報をキーパフォーマンスインデックスとして用いると、特許権の存続期間の満了前後で大きくキーパフォーマンスインデックスが変動してしまう場合があり、好ましくない場合がある。
【0091】
すなわち、遡及して消滅するのであれば、出願時に直ちに特許権が成立し、出願時に特許無効審判が請求されたとみなすか、または、特許権の登録がされた時に特許無効審判が請求されたとみなすのが正しい。
【0092】
したがって、本実施形態においては、ある特許権について、出願からα年目に特許無効審判が請求されたが、請求不成立審決がされ、コスト表によるとその一連の手続きが100ポイントであったとし、算定基準日が出願からβ年であったとした場合、ポイント計算部は、この特許無効審判の手続きに関して、

100×T(β)

を算出する。これにより、特許発明の有用性を数値化した情報をキーパフォーマンスインデックスが過大となることを防止することができる。
【0093】
また、T(20)の値が大きく、キーパフォーマンスインデックスに使用するにはまだふさわしくない可能性があるので、例えば、

100×(T(β)−T(20))/(T(0)−T(20))

を算出するようにしてもよい。すなわち、特許権の存続期間の満了時にポイントが0となるように計算を行なってもよい。これにより、存続期間が満了した特許権が存在しても、特許発明の有用性を数値化した情報をキーパフォーマンスインデックスの連続性が保たれることとなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0094】
【非特許文献】
【0095】
【非特許文献1】山田節夫、知財収益率推定の理論−パテントストックと企業価値、日本知財学会誌、2007年1月20日、Vol.3、No.2、pp.21−26
【非特許文献2】株式会社パテント・リザルト,パテントスコアのすべてがわかる!Q&A,[online],[平成26年8月17日検索],インターネット〈http://www.patentresult.co.jp/column/2011/04/pscore.html〉
【非特許文献3】工藤一郎国際特許事務所,業務内容/価値評価 特許価値評価:YKS手法,[online],日本,2007年 6月 5日,[平成26年8月10日検索],インターネット〈http://web.archive.org/web/20070605171434/http://www.kudopatent.com/a21.html〉
【非特許文献4】Wisdomain, Inc.、特許価値機能紹介、[online],[平成26年8月10日検索]、インターネット〈https://www.ultra−patent.jp/Guide/PatentEvaluation+.aspx〉
【非特許文献5】パテント・インテグレーション有限会社、パテント・インテグレーション3.1について、[online],2014年7月7日、[平成26年8月10日検索]、インターネット〈https://patent−i.com/ja/news/14/〉
【非特許文献6】日本技術貿易株式会社、リサーチ&コンサルティング関連サービス、[online],[平成26年8月10日検索]、インターネット〈https://www.ngb.co.jp/service/faq/resarch_consulting/index.html〉
【非特許文献7】中西泰夫・山田節夫、特許の価値と陳腐化率、社会科学研究、東京大学社会科学研究所、2010年1月27日、第61号、第2号、pp.79−96
【非特許文献8】蟹雅代、特許統計データによる特許の陳腐化率の推定、[online],Tezukayama RIEB Discussion Paper Series No.4、2013年5月、[平成26年8月10日検索]、インターネット〈http://www.tezukayama−u.ac.jp/social/institute/business_economics/pdf/dis04.pdf〉
【非特許文献9】フロイント産業株式会社,“2014年2月期統合報告”,2014年5月《URL: www.freund.co.jp/ir/PDF_IntegratedReport_FY2014.pdf 》
【非特許文献10】フロイント産業株式会社,“2015年2月期統合報告”,2015年5月《URL: http://www.freund.co.jp/ir/news/docs/doc_FREUNDReport_fy201502.pdf 》
【0096】
なお、本明細書中に挙げられている特許文献、非特許文献を含む全ての刊行物に記載されている内容は、本明細書中における情報の所在の記載により、その全てが明示されていると同程度に本明細書に組み込まれる。
【符号の説明】
【0097】
図1
図2