【解決手段】光学的上方読取装置10は、読取口13が形成される本体部12と、本体部12における読取口13が形成される部位とは異なる部位に連結されて使用者によって把持される把持部15と、読取口13を介して所定の撮像範囲ARを撮像する受光センサ28と、受光センサ28によって撮像された情報コードCのコード画像について解読処理を行う制御回路40と、を備えている。また、読取口13の周囲には、情報コードC側に向けて延出する延出部14が設けられ、延出部14における把持部15側の部位とは異なる部位に開口部14aが形成されている。
前記延出部は前記読取側に端部を有し、その端部の少なくとも一部は、前記撮像部の撮像範囲の一縁に沿うように形成されることを特徴とする請求項1に記載の光学的情報読取装置。
前記延出部は前記把持部側の部位に連なる壁部を有し、その壁部は、前記読取側の端部が、前記撮像部の撮像範囲の一縁に沿うように形成されることを特徴とする請求項2に記載の光学的情報読取装置。
前記延出部は前記把持部側の部位を有し、その部位は、前記読取側の端部が、前記撮像部の撮像範囲の一縁に沿うように形成されることを特徴とする請求項2又は請求項3に記載の光学的情報読取装置。
前記延出部は前記把持部側の部位を有し、その部位は、前記読取側の端部における長さが、前記撮像部の撮像範囲における前記把持部側の一縁の長さと略同じになるように形成されることを特徴とする請求項4に記載の光学的情報読取装置。
前記開口部は、前記把持部から離れるにつれて前記読取口と前記情報コードとが対向する前後方向の開口長さが大きくなるように形成されることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の光学的情報読取装置。
前記開口部は、前記読取口の周囲における前記把持部側の部位と、当該把持部側の部位とは反対側の部位と、の間の距離に対して、前記読取口と前記情報コードとが対向する方向の開口長さが少なくとも1/2以上となる構成であることを特徴とする請求項1から請求項6のいずれか一項に記載の光学的情報読取装置。
前記開口部は、前記延出部の先端部を成す前記把持部側の部位とは反対側の部位の先端から前記読取口側に向けて一部切除されるように1つ又は複数設けられていることを特徴とする請求項1から請求項7のいずれか一項に記載の光学的情報読取装置。
前記延出部の先端部は、利用者が前記情報コードを読みとるために当該先端部を当該情報コードが媒体面に付されている媒体に当接させるときに、前記媒体面に対して前記延出部の延出方向が斜めになるように当接するテーパー面を有することを特徴とする請求項1から請求項8のいずれか一項に記載の光学的情報読取装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1のような読取装置では、筐体の少なくとも一部が、情報コードの視認用の窓部と、情報コードからの光を反射して集光光学系に導く部材とを兼ねる構成となっている。そのため、このような視認用の窓部を構成する部分(側壁32)における形状や材質などの選択の幅が限定されることとなり、読取装置の構造の複雑化を招き、当該側壁32の破損時には修復の必要も生じてしまう。
【0007】
本発明は、上述した課題を解決するためになされたものであり、特定の形状や材質などによって構成される部材を用いることなく、読み取り操作時に情報コードを視認可能な構成を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、請求項1の発明に関する光学的情報読取装置は、照明光及びその反射光を通過させる読取口を備えた本体部と、
前記本体部における前記読取口が形成される部位とは異なる部位に連結されて使用者によって把持される把持部と、
前記読取口を介して所定の撮像範囲を光学的に撮像する撮像部と、
前記撮像部によって撮像された前記撮像範囲の画像から情報コード解読処理を行う解読部と、を備え、
前記読取口の周囲には、当該読取口の読取側に向けて延出する延出部が設けられ、
前記延出部は、当該延出部の先端部から一部が切除されて形成され、かつ、利用者の視線の通過を許容する開口部を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
請求項1の発明では、読取口の周囲に、前方(つまり情報コードに向く方向)に向けて延出する延出部が設けられ、開口部が延出部の先端から一部切除され、例えば延出部における把持部側とは異なる部位などに開口が形成される構成である。そのため、情報コードの読み取り時に、読取口を情報コードに近づける場合であっても、延出部の開口部によって生じる隙間を介して情報コードを視認することが可能となる。これにより、読取装置の使用者は、例えば、本体部における把持部側とは反対側から延出部の開口部によって生じる隙間を介して情報コードの位置を確認し、読取口に対して情報コードを読み取らせ易い所望の位置に配置させ易くなる。また、このような構成は、延出部に特定の形状や材質を用いることなく実現することが可能であり、部材点数の増大を抑制して読取装置の構造の簡素化を図ることができる。
【0010】
請求項2の発明では、延出部は前記読取側に端部を有し、その端部の少なくとも一部は、前記撮像部の撮像範囲の一縁に沿うように形成される構成となっている。
このような構成によって、撮像部の撮像範囲の一縁に沿う延出部の端部の位置を基準にして読取口に対する情報コードの相対的な位置を決めることができ、情報コードを撮像範囲に収め易くなる。そのため、読取装置によって情報コードを読み取らせ易くなり、読み取りの成功率を高めることができる。
【0011】
請求項3の発明では、延出部は前記把持部側の部位に連なる壁部を有し、その壁部は、前記読取側の端部が、前記撮像部の撮像範囲の一縁に沿うように形成される構成となっている。
このような構成によって、壁部の前方側の端部(つまり情報コードに向いた端部)を基準にして読取口に対する情報コードの相対的な位置を決めることができ、情報コードを撮像範囲に収め易くなる。
【0012】
請求項4の発明では、延出部は前記把持部側の部位を有し、その部位は、前記読取側の端部が、前記撮像部の撮像範囲の一縁に沿うように形成される構成となっている。
このような構成によって、延出部の把持部側の部位における前方の端部(つまり情報コードに向いた端部)を基準にして読取口に対する情報コードの相対的な位置を決めることができ、情報コードを撮像範囲に収め易くなる。
【0013】
請求項5の発明では、延出部は前記把持部側の部位を有し、その部位は、前記読取側の端部における長さが、前記撮像部の撮像範囲における前記把持部側の一縁の長さと略同じになるように形成される構成である。
このような構成によって、読取装置の使用者は、延出部の把持部側の部位における前方の端部(つまり情報コードに向いた端部)の長さに基づいて撮像範囲の幅(把持部側の一縁の長さ)を把握することができるため、当該撮像範囲に情報コードを収め易くなる。
【0014】
請求項6の発明では、延出部の開口部は、前記把持部から離れるにつれて前記読取口と前記情報コードとが対向する前後方向の開口長さが大きくなるように形成される構成である。
このような構成によって、把持部から離れるにつれて延出部の開口幅が大きくなり、本体部における把持部側とは反対側から情報コードを視認し易くなる。一方で、延出部の開口は、把持部に近い部分の開口幅を小さくし易くなり、読取口と延出部との連結部分の強度を高く維持することができる。
【0015】
請求項7の発明では、開口部は、前記読取口の周囲における前記把持部側の部位と、当該把持部側の部位とは反対側の部位と、の間の距離に対して、前記読取口と前記情報コードとが対向する方向の開口長さが少なくとも1/2以上なる構成である。
このような構成によって、読取口に対して開口部の開口幅が一定の大きさ以上で構成されるため、読取口を情報コードに近づける場合に、読取口と情報コードとの間に開口部を介して情報コードを視認可能な最低限の空間を確保することができる。
【0016】
請求項8の発明では、開口部は、前記延出部の先端部を成す前記把持部側の部位とは反対側の部位の先端から前記読取口側に向けて一部切除されるように1つ又は複数設けられている。これにより、開口部の形成法の多様化を図ることができる。
【0017】
請求項9の発明では、延出部の先端部は、利用者が前記情報コードを読みとるために当該先端部を当該情報コードが媒体面に付されている媒体に当接させるときに、前記媒体面に対して前記延出部の延出方向が斜めになるように当接するテーパー面を有する。利用者は、情報コードの読取時に、このテーパー面を補助的に利用して延出部、即ち、読取装置を傾けることができ、これにより、照明光が鏡面反射されることによる光学系での影響を低減・排除できる。
【発明を実施するための形態】
【0019】
[第1実施形態]
以下、本発明に係る光学的情報読取装置を具現化した第1実施形態について、
図1〜
図11を参照して説明する。
本実施形態に係る光学的情報読取装置10(以下、単に読取装置10ともいう)は、一次元コード、二次元コード等の情報コードC(
図8参照)を光学的に読み取るコードリーダとして構成されるものであり、
図1〜
図7に示すような外観をなし、ケース11の内部に各種電気部品等からなる回路部20aが回路基板20等に実装されて収容されている。また、ケース11は、ABS樹脂等の合成樹脂からなる成形部材である第1ケース11aおよび第2ケース11bから構成されている。
図1〜
図7に示す読取装置10は、いわゆるガンタイプとして構成されており、端部に照明光及びその反射光を通過させる読取口13が形成されてなる本体部12と、本体部12における読取口13が形成される部位とは異なる部位に連結されて使用者によって把持される略筒状の把持部15と、を備えている。
また、本体部12における読取口13の周囲には、その周囲を形成する壁部分から本体部12の前方に向けて延出するように、その延出方向(前後方向)に交差する断面が略長方形を成す筒状の延出部14が設けられている。この読取装置10の使用時には、延出部14の先端部分は、
図10に示すように、情報コードCに向けられる。また、把持部15は、本体部12の下側の壁部から長手状に延びており、把持部15の上端部付近に押圧操作可能なトリガ操作部42(トリガースイッチ)が配置され、把持部15の下端部付近にはインタフェース用のケーブル48aが組み付けられる構造となっている。
【0020】
次に、読取装置10の電気的構成について、図面を参照して説明する。
図8に示すように、上記ハウジングに収容される回路部20aは、主に、照明光源21、受光センサ28、結像レンズ27等の光学系と、メモリ35、制御回路40等のマイクロコンピュータ(以下「マイコン」という)系とを備えている。
【0021】
光学系は、投光光学系と、受光光学系とに分かれている。
図7に示すように、投光光学系を構成する照明光源21は、照明光Lfを発光可能な照明手段として機能するもので、例えば、赤色のLED21aとこのLED21aの出射側に設けられるレンズ21bとから構成されている。照明光源21は、
図7に示す照明光軸L1からわかるように、結像光軸L2に対して傾斜するように照明光Lfを照射するように配置されている。
【0022】
受光光学系は、受光センサ28、結像レンズ27、反射鏡(図示略)などによって構成されている。受光センサ28は、例えば、C−MOSやCCD等の固体撮像素子である受光素子を二次元に配列したエリアセンサとして構成されるものであり、方形状の受光領域28aとして受光面を有するように構成されている。この受光センサ28は、読取口13、保護プレート26および結像レンズ27を介して入射する入射光を受光可能に回路基板20に実装され、所定の撮像範囲を撮像するように機能する。なお、受光センサ28は、「撮像部」の一例に相当し得る。結像レンズ27は、外部から読取口13を介して入射する入射光を集光して受光センサ28の受光面に像を結像可能な結像光学系として機能するものである。本実施形態では、照明光源21から照射された照明光Lfが表示媒体Rに形成された情報コードCにて反射した後、この反射光Lrを結像レンズ27で集光し、受光センサ28の受光面にコード像を結像させている。
【0023】
マイコン系は、増幅回路31、A/D変換回路33、メモリ35、アドレス発生回路36、同期信号発生回路38、制御回路40、トリガースイッチ42、ブザー44、バイブレータ45、発光部46、通信インタフェース48等から構成されている。このマイコン系は、その名の通り、マイコン(情報処理装置)として機能し得る制御回路40およびメモリ35を中心に構成されるもので、上述した光学系によって撮像された情報コードの画像信号をハードウェア的およびソフトウェア的に信号処理し得るものである。
【0024】
光学系の受光センサ28から出力される画像信号(アナログ信号)は、増幅回路31に入力されることで所定ゲインで増幅された後、A/D変換回路33に入力されると、アナログ信号からディジタル信号に変換される。そして、ディジタル化された画像信号、つまり画像データ(画像情報)は、メモリ35に入力されると、画像データ蓄積領域に蓄積される。なお、同期信号発生回路38は、受光センサ28およびアドレス発生回路36に対する同期信号を発生可能に構成されており、またアドレス発生回路36は、この同期信号発生回路38から供給される同期信号に基づいて、メモリ35に格納される画像データの格納アドレスを発生可能に構成されている。
【0025】
メモリ35は、半導体メモリ装置で、例えばRAM(DRAM、SRAM等)やROM(EPROM、EEPROM等)がこれに相当する。このメモリ35のうちのRAMには、上述した画像データ蓄積領域のほかに、制御回路40が算術演算や論理演算等の各処理時に利用する作業領域や読取条件テーブルも確保可能に構成されている。また、ROMには、照明光源21、受光センサ28等の各ハードウェアを制御可能なシステムプログラム等が予め格納されている。
【0026】
制御回路40は、読取装置10全体を制御可能なマイコンで、CPU、システムバス、入出力インタフェース等からなるもので、メモリ35とともに情報処理装置を構成し得るもので情報処理機能を有する。この制御回路40は、内蔵された入出力インタフェースを介して種々の入出力装置(周辺装置)と接続可能に構成されており、本実施形態の場合、トリガースイッチ42、ブザー44、バイブレータ45、発光部46、通信インタフェース48等が接続されている。これにより、例えば、トリガースイッチ42の監視や管理、ビープ音やアラーム音を発生可能なブザー44の鳴動のオンオフ、当該読取装置10の使用者に伝達し得る振動を発生可能なバイブレータ45の駆動制御、発光部46の点灯及び非点灯や、外部装置との通信を可能にする通信インタフェース48の通信制御等が制御回路40によって行われることとなる。
なお、制御回路40は、「解読部」の一例に相当し、受光センサ28によって撮像された情報コードのコード画像について情報コード解読処理を行うように機能する。
【0027】
次に、読取装置10の読取口13及び延出部14の構成について詳しく説明する。
なお、本実施形態では、略筒状の把持部15が延びる長手方向ND(例えば
図2参照)に大略沿った方向を上下方向としており、把持部15の本体部12側を上方側とし、その反対側を下方側としている。また、上下方向と直交又は交差する方向を前後方向とし、把持部15においてトリガースイッチ42が設けられる側を前方側、その裏側を後方側としている。特に、延出部14の前後方向の前方を読取側又は単に前方と呼ぶ。また、これら上下方向及び前後方向と直交する方向(
図3の左右方向)を左右方向(幅方向)とし、読取装置10を前方側から見たときの左手側を左側、右手側を右側としている。なお、
図2から判るように、把持部15の長手方向NDは本体部12の延びる方向に対して斜めになっているので、上述した上下方向及び前後方向はあくまで説明の便宜のために導入したものである。
【0028】
図1、
図3に示すように、読取口13は、本体部12の前方側において略方形状で前方に開口する構成となっている。また、読取口13の周囲には、その周囲を成す壁部分から本体部12の前方側に向けて延出する延出部14が設けられている。この延出部14は読取口13から、情報コードCを読み取るときに、その前方に向けて一定の距離を採ることが主な目的で設置されている。読取装置10が利用されるときには、情報コードCは、この延出部14の先端に当接するように又は当該先端から離間するように存在することになる。
この延出部14は、後述のように、利用者が読取装置10の先端、即ち延出部14の先端を情報コードCに向けて使用するときに、利用者が目視で情報コードの存在及び/又は大きさを確認できるように、その視線透過用(視線の通過を許容する構成)の画成された隙間又は空間部として機能する開口部(opened portion)14aを有する。
ここで、延出部14の構造を詳述する。この延出部14は、延出上壁部14b、延出側壁部14c,14d、及び延出底壁部14eによって構成されている。また、延出部14には、把持部15側の部位とは異なる部位(把持部15から離れた部位)に開口部(切欠き)14aが形成されている。具体的には、延出部14は、その前側上方の縁から後側下方に向かって部分的に切り欠かれた又は切除された、庇の無い構造を有する。
【0029】
延出部14のうち、開口部14aよりも後方側で、本体部12の前方側(使用時の情報コードに向いた側)に向けて延出する前面視逆U字状の部分が延出上壁部14bとなっている。具体的には、延出上壁部14bは、読取口13の上辺部分(読取口13の周囲を構成する上側部分)と、左右両側の略中心位置よりも上方側部分において、本体部12の前方側に向けて延出する部分とにより構成されている。また、延出上壁部14bは、その左右両側の前側端部(開口部14aの上方側部分)が下方側に向かうにつれて前方側に突出するように傾斜する構成である。
【0030】
また、延出部14のうち、把持部15側の部位が延出底壁部14eとなっている。すなわち、延出底壁部14eは、読取口13の下辺部分(読取口13の周囲を構成する下側部分)から、上下方向に直交するような板面を有する略矩形板状で前方側に延出する構成となっている。また、延出底壁部14eの前方側の端部は、受光センサ28の撮像範囲における所定の断面の一縁に沿うように形成されている。具体的には、
図11に示すように、延出底壁部14eの前方側の端部は、撮像範囲(又は撮像視野)ARにおける前後方向に略垂直な断面の下側の縁AR1に沿う構成である。なお、撮像範囲は本体部12の投光光学系からの距離によって決まるが、本実施形態で言う撮像範囲ARは延出部14の先端の位置で得られる撮像視野である。
また、延出底壁部14eは、その前方側の端部における長さが、撮像範囲ARの縁AR1の長さと略同じになるように形成されている。具体的には、延出底壁部14eの読取口13の周囲に沿った方向の長さ、すなわち、延出底壁部14eの左右方向(幅方向)の長さが、受光センサ28の撮像範囲の左右方向の幅と略同じになるように形成されている。
【0031】
また、延出部14のうち、延出底壁部14eに対して略垂直に連なる部位が延出側壁部14c,14dとなっている。すなわち、延出側壁部14c,14dは、開口部14aよりも把持部15側で読取口13を介してそれぞれ対向する部位から本体部12の前方側に向けて延出する構成となっている。より具体的には、延出側壁部14c,14dは、それぞれ読取口13の周囲における左右両側の略中心位置よりも下方側部分において、略矩形板状に前方側に延出する構成となっている。また、延出側壁部14c,14dの前方側の端部は、受光センサ28の撮像範囲における所定の断面の一縁に沿うように形成されている。具体的には、
図11に示すように、延出側壁部14c,14dの前方側の端部は、それぞれ撮像範囲ARにおける前後方向に垂直な断面の左右の縁AR2,AR3に沿う構成である。また、延出側壁部14c,14dは、それぞれの下方側端部において延出底壁部14eと連結され、延出底壁部14eと一体となるように形成されている。
さらに、
図9に示すように、延出側壁部14c,14dのそれぞれは、前面、即ち前方側であって使用時に表示媒体R(具体的には、表示媒体Rにおいて情報コードが付されている媒体面)に当接又は距離を置いて対向する面FFを有する。この前面FFは、その先端TPから下方側に向かって一定角度αで後方に後退するテーパー面を有している。この傾斜角度αは先端TPの位置を通る上下方向の法線との間の角度として規定でき、一例として、12°前後の値である。このテーパー面は、利用者が情報コードCを読みとるために延出部14の先端部を当該情報コードCが媒体面に付されている表示媒体Rに当接させるときに、その媒体面に対して延出部14の延出方向が斜めになるように当接する。すなわち、テーパー面は、使用時に、本体部12の内部に置いた光学系が鏡面反射の影響を受け難くするために形成されており、その傾斜角度αは光学系の幾何学的な関係において適宜な値に設定できる。
なお、延出側壁部14c,14dは、本発明の「把持部側の部位に連なる壁部」の一例に相当する。
【0032】
また、延出部14の開口部14aは、把持部15から離れるにつれて読取口13と情報コードとが対向する方向(前後方向)の開口長さ(切欠き幅)が大きくなるように形成されている。すなわち、
図9に示すように、延出側壁部14c,14dにおける延出上壁部14bの前側端部との連結部分から前方に延出する長さA2よりも、延出上壁部14bの上方側の辺と延出側壁部14c,14dの前側端部との距離A3が大きくなるような構成となっている。このような構成によって、延出側壁部14c,14dにおける上方側の端部の辺と、延出上壁部14bにおける前側端部(開口部14aの上方側部分)の辺とのなす角度θ1が鈍角となっている。
【0033】
また、延出部14の開口部14aは、読取口13の周囲における把持部15側の部位と、当該把持部15側の部位とは反対側の部位との間の距離に対して、前後方向の開口長さが少なくとも1/2以上となる構成となっている。例えば、
図9に示すように、延出上壁部14bの上方側端部と延出底壁部14eの前方側端部との間の距離A1に対して、上記長さA2が1/2となる構成である。
【0034】
次に、読取装置10による情報コードの読み取り操作について説明する。
読取装置10によって所望の情報コードC(例えばQRコード(登録商標))を確実に読み取らせるために、
図10に示すように、読取装置10を情報コードCが形成された表示媒体Rに近づける。このとき、読取口13の周囲に形成された延出部14において、把持部15から離れた部位(前側上方の部位)に開口部14aが形成される構成であるため、表示媒体Rと延出側壁部14c,14dとが接触した場合でも、表示媒体Rと延出部14(より具体的には開口部14a)との間に隙間(空間)が生じることとなる。具体的には、表示媒体Rと延出上壁部14bとが、延出側壁部14c,14dの前後方向の長さ分だけ離間することとなり、表示媒体Rと延出側壁部14c,14dと延出上壁部14bとによって上方側に開口する開口部分が形成されることになる。そのため、読取装置10を把持する使用者は、上方側から、延出部14の開口部14aと表示媒体Rとの間の隙間を介して読取口13の前方側を見ることが可能となる。このように、表示媒体Rに形成された情報コードCを上方側から視認することで、読取装置10を移動させて情報コードCを読取口13に対して読み取らせ易い所望の位置に移動させることができる。
なお、この読取に際し、延出側壁部14c,14dのそれぞれの前面FFはテーパー面になっている。このため、利用者は、
図10の仮想線R(LN)で示す読取状態のように、このテーパー面に沿ったラインLNが表示媒体Rに当接するように、把持している読取装置10の角度を手動で簡単に調節することができる。このテーパー面の傾斜角度αに応じて前述したように、光学系における鏡面反射を防止できる。鏡面反射が起るときには、制御回路40が読取完了の指示を出さないため、利用者は延出部14の表示媒体Rに対する角度を手動で変えながら、読取完了の指示を待つことになる。この手動での角度変更のときに、テーパー面をアシスト手段として使用し、
図10の仮想線R(LN)で示す読取状態を容易に達成することができる。これにより、鏡面反射による読取不可の状態を簡単に回避できる。
【0035】
また、上述したように、延出側壁部14c,14dの情報コードC側(前方側)の端部は、受光センサ28の撮像範囲ARにおける所定の断面の一縁(縁AR2,AR3)に沿うように形成される構成となっている。そのため、
図10に示すように、表示媒体Rと延出側壁部14c,14dの前方側端部とが近傍で対向又は接触した際に、
図11に示すように、撮像範囲ARに対する情報コードCの左右方向における相対的な位置を把握することができる。すなわち、
図11に示すように、情報コードCの左右の端部がそれぞれ延出側壁部14c,14dの前方側端部によって挟まれる範囲の内側に収まるように、読取口13を情報コードCに対して配置することで、左右方向において情報コードCを撮像範囲AR内に収めることができる。また、情報コードCの左右の端部をそれぞれ延出側壁部14c,14dの前方側端部における内側の縁に沿わせるようにすることで、延出側壁部14c,14dの前方側端部が撮像範囲ARにおける左右方向の幅を最大限に使用する目印になる。
【0036】
また、上述したように、延出底壁部14eの情報コードC側(前方側)の端部は、受光センサ28の撮像範囲ARにおける所定の断面の一縁(縁AR1)に沿うように形成される構成となっている。そのため、表示媒体Rと延出側壁部14c,14dの前方側端部とが、近傍で対向した際や
図10に示すように接触した際に、読取装置10を把持する使用者は、上方側から延出部14の開口部14aと表示媒体Rとの間の隙間を介して延出底壁部14eの前方側の端部と情報コードCを見ることで(
図9参照)、撮像範囲ARに対する情報コードCの相対的な位置を把握することができる。例えば、
図9に示すように使用者がθ2の角度で上方から読取口13の前方を見た場合に、情報コードCの下側の縁を延出底壁部14eの前方側端部よりも僅かに上方に位置させることによって、情報コードCを撮像範囲AR内に収めことができる。
また、例えば情報コードCがバーコードであり、情報コードCを左右方向に長手方向となるように配置する場合、延出底壁部14eの前方側の端部に平行となるように情報コードCの下端の縁を揃えることで、バーコードを読取ライン上に配置させて読み取らせ易くなる。
【0037】
以上のように、延出側壁部14c,14d及び延出底壁部14eのそれぞれの前方側端部が受光センサ28の撮像範囲ARの一縁に沿って延出する構成とすることで、読取装置10の撮像範囲ARをこれらの壁部によって視覚的に捉えることが可能になる。
【0038】
また、上述した
図9に示すように、延出上壁部14bと延出底壁部14eとの間の距離A1に対して、延出側壁部14c,14dにおける延出上壁部14bの前側端部との連結部から前方に延出する長さA2が1/2であり、延出上壁部14bの上方側の辺と延出側壁部14c,14dの前側端部との間の距離A3が、A1の1/2以上となっている。そのため、表示媒体Rと延出側壁部14c,14dとが接触した場合(
図10参照)でも、
図9に示すように、使用者は表示媒体Rに対してθ2(例えば25°)の角度で上方から、読取口13の前方に形成される空間内を視認することができる。
【0039】
次に、情報コードCが形成された表示媒体Rに延出部14が接触するようにして情報コードCを読み取る場合について説明する。使用者は、上記構成に基づいて情報コードCに対して延出部14が適切な位置(
図11に示すように情報コードCが撮像範囲ARに収まる位置)にて接触するように読取装置10を移動させた後、トリガースイッチ42を押圧して情報コードCの読取処理を開始する。ここで、読取口13において前方に向かって延出するように延出部14が設けられる構成となっているため、読取口13を延出部14の前方への延出距離だけ表示媒体Rから離すことができる。同様に、本体部12において読取口13が形成される部分とは反対側の部分に形成される把持部15も、延出部14によって表示媒体Rから延出距離だけ離すことができる。そのため、情報コードC又は表示媒体Rと把持部15を把持する使用者の手とが干渉し難くなり、例えばトリガースイッチ42の押圧操作を円滑に行うことができるなど、使用者による読取装置10の読取操作が妨げられることがなくなる。なお、このような構成によって、例えば読取口13が下方を向くように読取装置10を所定の場所に置いた場合でも、延出部14の存在によって把持部15と載置面との間に隙間が生じるため、使用者は把持部15を握ることが可能であり、読取装置10を持ち上げ易くなる。
【0040】
以上説明したように、本第1実施形態では、読取口13の周囲に、その周囲の壁部分から前方に向けて延出する延出部14が設けられ、延出部14における把持部15側とは異なる部位に開口部14aが形成される構成である。そのため、情報コードCの読み取り時に、読取口13を情報コードCに近づける場合であっても、利用者は、延出部14の開口部14aによって生じる隙間又は空間部を介して情報コードCの存在及び大きさ等を視認することができる。これにより、読取装置10の使用者は、この開口部14aによって生じる隙間を介して情報コードCの位置及び大きさを確認し、情報コードCを読み取らせ易い所望の位置に読取装置10を配置させ易くなる。また、このような構成は、延出部14に特定の形状や材質を用いることなく実現することが可能であり、部材点数の増大を抑制して読取装置10の構造の簡素化を図ることができる。
【0041】
また、延出部14における情報コードC側の端部の少なくとも一部は、受光センサ28の撮像範囲ARの一縁に沿う構成となっている。
このような構成によって、受光センサ28の撮像範囲ARの一縁に沿う延出部14の情報コードC側の端部の位置を基準にして読取口13に対する情報コードCの相対的な位置を決めることができ、情報コードCを撮像範囲ARに収め易くなる。そのため、読取装置10によって情報コードCを読み取らせ易くなり、読み取りの成功率を高めることができる。
【0042】
また、延出部14のうち把持部15側の部位に連なる延出側壁部14c,14dは、その情報コードC側の端部が、受光センサ28の撮像範囲ARの一縁(AR2,AR3)に沿うように形成される構成となっている。
このような構成によって、延出側壁部14c,14dの情報コードC側の端部を基準にして読取口13に対する情報コードCの相対的な位置を決めることができ、情報コードCを撮像範囲ARに収め易くなる。また、延出側壁部14c,14dの情報コードC側の端部に情報コードCを沿わせるように位置させることで、撮像範囲ARを最大限に使用して情報コードCを撮像範囲AR内に収めることができる。
【0043】
また、延出部14における把持部15側の部位(延出底壁部14e)は、その情報コードC側の端部が、受光センサ28の撮像範囲ARの一縁(AR1)に沿うように形成される構成となっている。
このような構成によって、延出底壁部14eにおける情報コードC側の端部を基準にして読取口13に対する情報コードCの相対的な位置を決めることができ、情報コードCを撮像範囲ARに収め易くなる。また、延出底壁部14eにおける情報コードC側の端部に情報コードCを沿わせるように位置させることで、撮像範囲ARを最大限に使用して情報コードCを撮像範囲AR内に収めることができる。
【0044】
また、延出部14の開口部14aは、把持部15から離れるにつれて読取口13と情報コードCとが対向する方向(前後方向)の長さが大きくなるように形成される構成である。
このような構成によって、把持部15から離れるにつれて延出部14の開口長さが大きくなり、本体部12における把持部15側とは反対側から情報コードCを視認し易くなる。一方で、延出部14の開口部14aは、把持部15に近い部分の開口長さを小さくし易くなり、読取口13と延出部14との連結部分の強度を高く維持することができる。
【0045】
また、開口部14aは、読取口13の周囲における把持部15側の部位と、当該把持部15側の部位とは反対側の部位と、の間の距離に対して、読取口13と情報コードCとが対向する方向(前後方向)の開口長さが少なくとも1/2以上となる構成である。
このような構成によって、読取口13に対して開口部14aの開口長さが一定の大きさ以上で構成されるため、読取口13を情報コードCに近づける場合に、読取口13と情報コードCとの間に開口部14aを介して情報コードCを視認可能な最低限の隙間(空間)を確保することができる。
【0046】
[他の実施形態]
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
【0047】
上記第1実施形態において、延出部14が延出部14の前側上方において後側下方に向かって切り欠かれる構成を例示したが、把持部15側の部位とは異なる部位(延出底壁部14e以外の部位)の少なくとも一部に開口部14aが形成される構成であれば、延出部14がその他の形状であってもよい。
例えば、
図12に示すように、読取口13の周囲の壁部分から本体部12の前方側に延出する延出部14において、右上方の一部が切り欠かれる構成であってもよい。すなわち、読取口13の右上部分(読取口13の周囲を構成する右上部分)の一部を除いて延出部14が延出する構成である。
【0048】
また、
図13に示すように、延出部14が、読取口13の周囲における把持部15側の部位を除いて切り欠かれる構成であってもよい。すなわち、読取口13の周囲から延出底壁部14eのみが延出するような構成である。また、このような構成において、延出底壁部14eの前方側の端部における長さが、受光センサ28の撮像範囲ARにおける所定の断面の把持部15側の縁(AR1)の長さと略同じになるように形成されていてもよい。読取装置10の使用者は、延出部14の把持部15側における前方側の端部の長さに基づいて撮像範囲ARの幅(把持部15側の縁の長さ)を把握することができるため、当該撮像範囲ARに情報コードCを収め易くなる。また、延出底壁部14eの前方側端部における左右方向のそれぞれの端部に、情報コードCの下側の縁における左右方向の端部をそれぞれ合わせるようにすることで、延出底壁部14eが撮像範囲ARにおける左右方向の幅を最大限に使用する目印になる。
【0049】
また、上記第1実施形態では、読取口13において延出側壁部14c,14dが形成される構成を例示したが、延出側壁部14c,14dの一方が形成される構成であってもよい。そして、延出側壁部14cが形成される場合、その前方側(情報コードの向いた側)の端部は、受光センサ28の撮像範囲ARにおける所定の断面の一縁(縁AR2)に沿うように形成され、延出側壁部14dが形成される場合、その前方側の端部は、受光センサ28の撮像範囲ARにおける所定の断面の一縁(縁AR3)に沿うように形成される構成とする。このような構成であっても、延出側壁部14c,14dの一方を基準にして読取口13を情報コードCに対して適切な位置に対向させることができる。また、延出側壁部14c,14dの一方に情報コードCを沿わせるように位置させることで、撮像範囲ARの左右方向の幅をできるだけ広く利用することができる。
【0050】
さらに、上述した第1実施形態において説明した延出部14の開口部14aは、更に様々な形状や構造に変形させることができる。
図14及び
図15のそれらの変形例の代表的なものを示す。
図1等の示す延出部14の延出上壁部14bは、延出部14の上壁の一部及び左右両壁の一部を、それらの先端部から切り欠いて又は切除して開口部14aを形成したときに残余部分に相当する。この切欠き又は切除については多数の例が想定でき、その典型的な例を
図14及び
図15に示す。
図14に示す変形例は、延出部14の延出上壁部14bに、その先端側から後方側(読取口側)に略半円状に切り欠いた又は一部切除した第1の開口部14a1と第2の開口部14a2とを形成したものである。複数設けられるこれら開口部(第1及び第2の開口部14a1,14a2)は、左右方向に並置されている。この構成において、第1及び第2の開口部14a1,14a2の最左端LFと最右端RTとが前述した撮像範囲(撮像視野)ARの左右端と一致させていることが望ましい。これは利用者が情報コードCの存在及び大きさを、第1及び第2の開口部14a1,14a2で構成される隙間又は空間部を通して視認し易くするためである。
また、
図15に示す変形例は、延出部14を成す2本の棒状体B1,B2を読取口13の左右の壁部分の下端それぞれから、前後方向に延設したものである。この2本の棒状体B1,B2は、例えば樹脂で形成され、前述したように一定サイズの撮像範囲ARを得られる長さに設定されている。この棒状体B1,B2を形成する場合、それらの棒状体B1,B2以外の上下左右の部分は空いている。この空いている部分、特に、上側の空間が利用者にとってコード視認用の開口部を提供する。
これらの変形例によっても、前述した第1実施形態で享受したのと同等の作用効果を得ることができる。
【0051】
また、上記第1実施形態において、延出部14において開口部14aを形成するように切り欠いた部分が透明部材で覆われる構成であってもよい。例えば、樹脂材料などからなる透明部材を、延出部14における切り欠かれた部分と同じ形状として開口部14aに接続する構成であってもよい。このような構成によって、読取装置10を情報コードCに近づける場合であっても、透明部材を介して情報コードCを視認することが可能となり、読取口13への埃などの付着を防ぐことができる。また、透明部材に軟質のシリコン材などを用いることで、クッション性を向上させて衝撃に対する強度を高めることもできる。
さらにまた、上記第1実施形態の読取装置10において、保護プレート26を
図7の仮想線26aで示す如く、上側部分が下側部分よりも前傾姿勢になるように傾斜させてもよい。これにより、受光系において、照明光による鏡面反射の影響を回避し易くなる。この変形例は、第1の実施形態のみならず、前述した様々な変形例にも同様に適用可能なものである。