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特開2016-213249ボンディングワイヤのボール形成方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2016-213249(P2016-213249A)
(43)【公開日】2016年12月15日
(54)【発明の名称】ボンディングワイヤのボール形成方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/60 20060101AFI20161118BHJP
【FI】
   H01L21/60 301H
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2015-93218(P2015-93218)
(22)【出願日】2015年4月30日
(71)【出願人】
【識別番号】595179228
【氏名又は名称】日鉄住金マイクロメタル株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】306032316
【氏名又は名称】新日鉄住金マテリアルズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100137800
【弁理士】
【氏名又は名称】吉田 正義
(74)【代理人】
【識別番号】100148253
【弁理士】
【氏名又は名称】今枝 弘充
(74)【代理人】
【識別番号】100148079
【弁理士】
【氏名又は名称】梅村 裕明
(72)【発明者】
【氏名】荒木 典俊
(72)【発明者】
【氏名】山田 隆
(72)【発明者】
【氏名】榛原 照男
(72)【発明者】
【氏名】大石 良
(72)【発明者】
【氏名】宇野 智裕
【テーマコード(参考)】
5F044
【Fターム(参考)】
5F044BB13
5F044FF02
5F044FF06
(57)【要約】
【課題】Pd被覆Cuボンディングワイヤの先端にボールを形成する際に、ボール表面のPd被覆率を向上することができるボール形成方法を提供する。
【解決手段】Cuを主成分とする芯材と、前記芯材の表面にPdを主成分とする被覆層とを有するボンディングワイヤ1の先端にボール部を形成するボール形成方法において、常温、常圧で気体である炭化水素を含む非酸化雰囲気ガス5中で前記ボール部を形成することを特徴とする。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
Cuを主成分とする芯材と、前記芯材の表面にPdを主成分とする被覆層とを有するボンディングワイヤの先端にボール部を形成するボール形成方法において、常温、常圧で気体である炭化水素を含む非酸化雰囲気ガス中で前記ボール部を形成することを特徴とするボール形成方法。
【請求項2】
前記炭化水素の炭素数が1〜4であることを特徴とする請求項1記載のボール形成方法。
【請求項3】
前記炭化水素が、メタン、エタン、プロパン、ブタンのいずれか1種以上であることを特徴とする請求項1又は2記載のボール形成方法。
【請求項4】
前記非酸化雰囲気ガスの炭化水素の濃度が0.08〜12.50体積%であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項記載のボール形成方法。
【請求項5】
前記非酸化雰囲気ガスのメタンの濃度が0.25〜12.50体積%であることを特徴とする請求項4記載のボール形成方法。
【請求項6】
前記非酸化雰囲気ガスのエタンの濃度が0.14〜7.00体積%であることを特徴とする請求項4記載のボール形成方法。
【請求項7】
前記非酸化雰囲気ガスのプロパンの濃度が0.10〜5.00体積%であることを特徴とする請求項4記載のボール形成方法。
【請求項8】
前記非酸化雰囲気ガスのブタンの濃度が0.08〜4.00体積%であることを特徴とする請求項4記載のボール形成方法。
【請求項9】
前記非酸化雰囲気ガスが水素を含むことを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項記載のボール形成方法。
【請求項10】
前記非酸化雰囲気ガスが、前記炭化水素と、前記水素とを含み、残部が窒素及び不可避不純物からなることを特徴とする請求項9記載のボール形成方法。
【請求項11】
前記水素の濃度が1.0〜5.0体積%であることを特徴とする請求項9又は10記載のボール形成方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ボンディングワイヤの先端にボール部を形成するボール形成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ボンディングワイヤは、資源価格の高騰に伴い、材質としてAuに代えてCuが用いられるようになっている。材質としてCuを用いたボンディングワイヤとして、Cuを主成分とする芯材をPdで被覆したPd被覆Cuボンディングワイヤが知られている(例えば、特許文献1)。
【0003】
ボンディングワイヤの接合は超音波併用熱圧着方式を用いるのが一般的である。この方式では、ボンディングワイヤをキャピラリと呼ばれる治具に通して、ワイヤ先端をアーク入熱で加熱溶融し、表面張力によりフリーエアボール(以下、単に「ボール部」又は「FAB」ともいう。)を形成した後に、150〜300℃の範囲内で加熱した半導体素子の電極上に、このボール部を圧着接合せしめ、その後で、直接ボンディングワイヤを外部リード側に超音波圧着により接合させる。
【0004】
Pd被覆Cuボンディングワイヤの先端にボール部を形成する際、ボール部が酸化しないように、非酸化雰囲気にする必要がある。具体的には、純窒素、アルゴン、又は窒素に5体積%程度の水素を含む非酸化雰囲気ガス中で、ボール部を形成するのが一般的であった(例えば、特許文献2〜5)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第4158928号公報
【特許文献2】特許第5592029号公報
【特許文献3】特開2014−75519号公報
【特許文献4】特開2009−105114号公報
【特許文献5】特開2008−130825号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながらPd被覆Cuボンディングワイヤの先端に、上記非酸化雰囲気ガス中でボール部を形成すると、Pdの分布に偏りが生じ、ボール部の表面(以下、「ボール表面」ともいう)にPdで被覆されていない部分が生じてしまうことがある。ボール部のPdで被覆されていない部分は、ボール部と電極の接合において、強度低下や電気抵抗の増加などの原因となる。
【0007】
そこで本発明は、Pd被覆Cuボンディングワイヤの先端にボールを形成する際に、ボール表面のPd被覆率を向上することができるボール形成方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係るボール形成方法は、Cuを主成分とする芯材と、前記芯材の表面にPdを主成分とする被覆層とを有するボンディングワイヤの先端にボール部を形成するボール形成方法において、常温、常圧で気体である炭化水素を含む非酸化雰囲気ガス中で前記ボール部を形成することを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、アーク放電によって、非酸化雰囲気ガス中の炭化水素が発熱することにより、ワイヤ先端の周囲により均一に熱が伝わる。この熱によって先端が溶融することでボール表面のPd被覆率が向上したボール部を形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本実施形態に用いるワイヤボンディング装置の構成を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態について詳細に説明する。まず、本実施形態に係るボール形成方法に適用されるボンディングワイヤの構成を説明する。
【0012】
ボンディングワイヤは、Cuを主成分とする芯材と、芯材の表面に設けられたPdを主成分とする被覆層とを有する。芯材は、純度98質量%以上の銅で形成されるのが好ましい。芯材の外径は、特に限定されないが、15〜50μmであるのが好ましい。被覆層は、Pdの濃度が50at%以上の領域とし、厚さが0.015〜0.15μmであるのが好ましい。
【0013】
このように構成されたボンディングワイヤは、Cuからなる芯材の表面にPdからなる被覆層が設けられていることにより、芯材の酸化を防ぐことができる。
【0014】
ボンディングワイヤは、被覆層の表面にさらにAuを含む表皮層を形成することとしてもよい。表皮層は、Auの濃度が10at%以上の領域とし、厚さが0.0005〜0.05μmであるのが好ましい。
【0015】
次に本実施形態に係るボンディングワイヤの製造方法を説明する。ボンディングワイヤは、一般的な製造方法で製造することができる。ボンディングワイヤは、Cuを主成分とする母材をワイヤ状に細く加工し、被覆層、表皮層を形成して、熱処理することで得られる。被覆層を形成後、再度伸線と熱処理を行う場合もある。
【0016】
芯材となる母材は、原料となるCuと、必要に応じ添加する元素を共に溶解し、凝固させることによって得られる。溶解には、アーク加熱炉、高周波加熱炉、抵抗加熱炉等を利用することができる。大気中からのO、N、H等のガスの混入を防ぐために、真空雰囲気あるいはArやN等の不活性雰囲気中で溶解を行うことが好ましい。
【0017】
被覆層、表皮層を芯材の表面に形成する方法は、めっき法、蒸着法、溶融法等がある。めっき法は、電解めっき法、無電解めっき法のどちらも適用可能である。ストライクめっき、フラッシュめっきと呼ばれる電解めっきでは、めっき速度が速く、下地との密着性も良好である。無電解めっきに使用する溶液は、置換型と還元型に分類され、厚さが薄い場合には置換型めっきのみでも十分であるが、厚さが厚い場合には置換型めっきの後に還元型めっきを段階的に施すことが有効である。
【0018】
蒸着法では、スパッタ法、イオンプレーティング法、真空蒸着等の物理吸着と、プラズマCVD等の化学吸着を利用することができる。いずれも乾式であり、被覆層、表皮層形成後の洗浄が不要であり、洗浄時の表面汚染等の心配がない。
【0019】
被覆層、表皮層の形成に対しては、最終線径まで伸線後に形成する手法と、太径のCu合金芯材に形成してから狙いの線径まで複数回伸線する手法とのどちらも有効である。前者の最終径で被覆層、表皮層を形成する場合には、製造、品質管理等が簡便である。後者の被覆層、表皮層と伸線を組み合わせる場合には、芯材との密着性が向上する点で有利である。それぞれの形成法の具体例として、最終線径の芯材に、電解めっき溶液の中にワイヤを連続的に掃引しながら被覆層、表皮層を形成する手法、あるいは、電解又は無電解のめっき浴中に太い芯材を浸漬して被覆層、表皮層を形成した後に、ワイヤを伸線して最終線径に到達する手法等が挙げられる。
【0020】
被覆層、表皮層を形成した後は、熱処理を行う場合がある。熱処理を行うことで表皮層、被覆層、芯材の間で原子が拡散して密着強度が向上するため、加工中の表皮層や被覆層の剥離を抑制でき、生産性が向上する点で有効である。大気中からのOの混入を防ぐために、真空雰囲気あるいはArやN等の不活性雰囲気中で溶解を行うことが好ましい。
【0021】
次に上記のように構成されたボンディングワイヤの先端に、ボール部を形成する本実施形態に係るボール形成方法について、図1を参照して説明する。図1に示すワイヤボンディング装置は、ボンディングワイヤ1を送り出すキャピラリ3と、放電トーチ2と、ガスノズル4とを備える。放電トーチ2は、キャピラリ3先端から所定長さだけ送り出されたボンディングワイヤ1の先端との間にアーク放電を生じさせ、ワイヤ先端を溶融することにより、ボール部を形成する。ガスノズル4は、非酸化雰囲気ガス5をワイヤ先端と放電トーチ2の周囲に吹き付け、非酸化雰囲気を形成する。このようにして形成されるボール部の大きさは、特に限定されないが、ボンディングワイヤ径の1.7〜2.0倍とすることができる。
【0022】
ガスノズル4から供給される非酸化雰囲気ガス5は、常温、常圧で気体である炭化水素を含む。非酸化雰囲気ガス5は、放電トーチ2とボンディングワイヤ1の間に生じたアーク放電によって、非酸化雰囲気ガス中の炭化水素が発熱する。これによりワイヤ先端の周囲により均一に熱が伝わり、この熱によって先端が溶融することでボール部が形成される。これにより、ボール表面のPd被覆率が向上したボール部を形成することができる。炭化水素の濃度範囲は、得られる熱量から適正な範囲を定めることができる。非酸化雰囲気ガス5は、炭化水素を0.08〜12.50体積%の範囲で含み、残部が窒素で構成されるのが好ましい。また非酸化雰囲気ガス5は、0.3〜0.8L/minの流量でガスノズルから供給されるのが好ましい。
【0023】
炭化水素は、炭素数が1〜4であるのが好ましい。炭化水素は、メタン、エタン、プロパン、ブタンのいずれか1種以上を選択することができる。メタンを選択する場合の濃度は0.25〜12.50体積%の範囲で適宜調整することができ、1.25〜12.50体積%の範囲であるとより好ましい。エタンを選択する場合の濃度は0.14〜7.00体積%の範囲で適宜調整することができ、0.70〜7.00体積%の範囲であるとより好ましい。プロパンを選択する場合の濃度は0.10〜5.00体積%の範囲で適宜調整することができ、0.50〜5.00体積%の範囲であるとより好ましい。ブタンを選択する場合の濃度は0.08〜4.00体積%の範囲で適宜調整することができ、0.40〜4.00体積%の範囲であるとより好ましい。炭化水素の濃度は、上記範囲の下限未満の場合、ボール表面のPd被覆率を向上する効果が得られず、上記範囲の上限を超える場合、ボール部の真球性が低下する。
【0024】
非酸化雰囲気ガス5は、さらに水素を含むのが好ましい。非酸化雰囲気ガス5が、炭化水素と水素とを含むことにより、アーク放電が安定するので、ボール表面のPd被覆率が向上したボール部を形成することができると共に、ボール部の真球性を向上することができる。ボール部の真球性を向上する効果は、非酸化雰囲気ガス5中の水素濃度が1.0体積%以上のときに得られる。水素の濃度は、1.0〜5.0体積%の範囲で適宜調整することができ、2.5〜5.0体積%の範囲であるとより好ましい。また、ボール部の真球性を向上する効果は、非酸化雰囲気ガス5中の水素濃度が5.0体積%で飽和すると考えられる。
【実施例】
【0025】
以下、実施例について説明する。まず原材料のCuを溶解して芯材となるインゴットを作製した。ある線径まで細くした高純度Cuワイヤを芯材として予め準備して、そのワイヤ表面に、電解メッキ法でPd被覆層、Au表皮層を形成した。電解メッキ液は、半導体用途で市販されているメッキ液を使用した。その後に、最終径まで伸線して、最後に加工歪みを取り除くために熱処理を施した。必要に応じて、線径30〜100μmまでダイス伸線した後に、拡散熱処理を施してから、さらに伸線加工を施した。これにより、外径18μmと20μm、被覆層の厚さ0.06μm、表皮層の厚さ0.003μmのボンディングワイヤを作製した。
【0026】
ボール部の形成には、市販の自動ワイヤボンダー(K&S製Iconn型)を用いた。放電トーチの電流は60mAに固定し、FAB径がワイヤ径の1.7〜2.0倍になるように放電時間を調整した。非酸化雰囲気ガスの流量は0.4〜0.6L/minとした。形成されたボール表面部のPd分布、ボール形状を評価した。
【0027】
Pd分布の評価は、ボール径/ワイヤ径の比率が、1.7〜2.0倍の範囲のボール部を50個採取し、樹脂に埋め込み研磨することにより、ワイヤの長手方向のボール断面を露出させて光学顕微鏡で観察し、ボール部表面に対する被覆層の被覆率を測定し50個の平均値を算出して評価した。被覆率が50%未満であれば不良であるため×印、被覆率が50%以上70%未満であれば実用上の大きな問題はないと判断し△印、被覆率が70%以上90%未満であれば○印、被覆率が90%以上であればPd分布が良好であるため◎印で、表1〜4中の「Pd分布」の欄に表記した。
【0028】
ボール形状の評価は、ボール径/ワイヤ径の比率が、1.7〜2.0倍の範囲のボール部を50個採取し、走査電子顕微鏡(SEM:Scanning Electron Microscope)で観察して、ボール部の真球性を評価した。異常形状のボール発生が5個以上であれば不良であるため×印、異形が3〜4個である場合には実用上の大きな問題はないと判断し△印、異形が1〜2個である場合には○印、異形が発生しなかった場合にはボール形成は良好であるため◎印で、表1〜4中の「FAB形状」の欄に表記した。
【0029】
表1及び表2に、外径18μm、被覆層の厚さ0.06μm、表皮層の厚さ0.003μmのボンディングワイヤを作成し、非酸化雰囲気ガス条件と共に評価をした結果を示す。また表3及び表4に、外径20μm、被覆層の厚さ0.06μm、表皮層の厚さ0.003μmのボンディングワイヤを作成し、非酸化雰囲気ガス条件と共に評価をした結果を示す。表1〜表4において、「ワイヤA」は、芯材の表面に被覆層及び表皮層を備えるボンディングワイヤを用いた場合、「ワイヤB」は、芯材の表面に被覆層を備える(表皮層が形成されていない)ボンディングワイヤを用いた場合を示す。
【0030】
【表1】
【0031】
【表2】
【0032】
【表3】
【0033】
【表4】
【0034】
表1及び表3に示すように、炭化水素を含む非酸化雰囲気ガス中でボール部を形成することにより、ボール表面のPd被覆率が向上したボール部を形成することができることが確認できた。
【0035】
No.1〜16,65〜80に示す通り、炭化水素としてメタンを0.25〜12.50体積%含むことにより、ボール表面のPd被覆率が向上したボール部を形成することができることが確認できた。また、No.5〜16,69〜80に示す通り、メタンの濃度を1.25体積%以上とすることにより、表皮層の有無に関わらず、Pd分布の評価結果が○以上となった。
【0036】
No.17〜32,81〜96に示す通り、炭化水素としてエタンを0.14〜7.00体積%含むことにより、ボール表面のPd被覆率が向上したボール部を形成することができることが確認できた。また、No.21〜32,85〜96に示す通り、エタンの濃度を0.70体積%以上とすることにより、表皮層の有無に関わらず、Pd分布の評価結果が○以上となった。
【0037】
No.33〜48,97〜112に示す通り、炭化水素としてプロパンを0.10〜5.00体積%含むことにより、ボール表面のPd被覆率が向上したボール部を形成することができることが確認できた。また、No.37〜48,101〜112に示す通り、プロパンの濃度を0.50体積%以上とすることにより、表皮層の有無に関わらず、Pd分布の評価結果が○以上となった。
【0038】
No.49〜64,113〜128に示す通り、炭化水素としてブタンを0.08〜4.00体積%含むことにより、ボール表面のPd被覆率が向上したボール部を形成することができることが確認できた。また、No.53〜64,117〜128に示す通り、ブタンの濃度を0.40体積%以上とすることにより、表皮層の有無に関わらず、Pd分布の評価結果が○以上となった。
【0039】
また、No.2〜4,6〜8,10〜12,14〜16,18〜20,22〜24,26〜28,30〜32,34〜36,38〜40,42〜44,46〜48,50〜52,54〜56,58〜60,62〜64,66〜68,70〜72,74〜76,78〜80,82〜84,86〜88,90〜92,94〜96,98〜100,102〜104,106〜108,110〜112,114〜116,118〜120,122〜124,126〜128に示す通り、非酸化雰囲気ガスがさらに水素を1.0体積%以上含むことにより、ボール形成性が向上することが確認できた。また、水素濃度が2.5体積%のときと、5.0体積%のときで、ボール形成性に差は見られなかった。
【符号の説明】
【0040】
1 ボンディングワイヤ
2 放電トーチ
3 キャピラリ
4 ガスノズル
5 非酸化雰囲気ガス
図1