特開2016-213264(P2016-213264A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2016-213264(P2016-213264A)
(43)【公開日】2016年12月15日
(54)【発明の名称】太陽電池モジュール
(51)【国際特許分類】
   H01L 31/048 20140101AFI20161118BHJP
【FI】
   H01L31/04 560
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2015-93625(P2015-93625)
(22)【出願日】2015年4月30日
(71)【出願人】
【識別番号】515118221
【氏名又は名称】株式会社天久
(74)【代理人】
【識別番号】100114306
【弁理士】
【氏名又は名称】中辻 史郎
(72)【発明者】
【氏名】吉田奈々美
【テーマコード(参考)】
5F151
【Fターム(参考)】
5F151AA02
5F151AA03
5F151BA11
5F151EA02
5F151GA03
5F151JA03
5F151JA04
5F151JA27
(57)【要約】
【課題】太陽電池モジュールの形状における自由度を向上することで多様な環境下に設置可能とすること。
【解決手段】太陽電池モジュール10は、円筒形の被覆板12の内部に円筒形の基板11を配置することで被覆板12の内側(凹側)の面と基板11の外側(凸側)の面とが対向する。基板11と被覆板12との間には複数の太陽電池素子21が配置され、樹脂が充填されている。太陽電池素子21は、例えば結晶シリコンの両面太陽電池である。太陽電池素子21の周囲に充填する樹脂は、例えばシリコン樹脂である。基板11及び被覆板12は、例えば、ポリカーボネートを素材とし、金型形成や引抜形成で形成する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも一部に曲面を有する基板と、
前記基板に固着された複数の太陽電池素子と、
前記複数の太陽電池素子を接続する配線部材と、
前記基板と前記基板に対向配置されて前記複数の太陽電池素子及び前記配線部材を被覆する被覆板と、
前記基板と前記被覆板との間の空隙部に充填され、所定波長の光を透過する透明充填素材と
を備えたことを特徴とする太陽電池モジュール。
【請求項2】
前記基板が有する曲面の凸側と、前記被覆板が有する曲面の凹側とが対向することを特徴とする請求項1に記載の太陽電池モジュール。
【請求項3】
前記基板及び前記被覆板は、ポリカーボネートで形成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の太陽電池モジュール。
【請求項4】
前記基板及び前記被覆板はそれぞれ円筒形であり、前記被覆板の内側に前記基板を配置したことを特徴とする請求項1、2又は3に記載の太陽電池モジュール。
【請求項5】
前記被覆板の円筒形の中心軸と前記基板の円筒形の中心軸とを異ならせたことを特徴とする請求項4に記載の太陽電池モジュール。
【請求項6】
前記基板及び前記被覆板はそれぞれ半球形であり、前記被覆板の内側に前記基板を配置したことを特徴とする請求項1、2又は3に記載の太陽電池モジュール。
【請求項7】
前記基板は、外周に設けられて前記被覆板と接する外周壁と、前記外周壁の内側に設けられて前記被覆板と接する支柱とを備えたことを特徴とする請求項1〜6のいずれか一つに記載の太陽電池モジュール。
【請求項8】
前記太陽電池素子は、支持部材を介して前記基板に固着されることを特徴とする請求項1〜7のいずれか一つに記載の太陽電池モジュール。
【請求項9】
前記太陽電池素子は、結晶シリコンで形成されていることを特徴とする請求項1〜8のいずれか一つに記載の太陽電池モジュール。
【請求項10】
前記太陽電池素子は、両面受光型であることを特徴とする請求項1〜9のいずれか一項に記載の太陽電池モジュール。
【請求項11】
前記透明充填素材は、シリコン樹脂で形成されていることを特徴とする請求項1〜10のいずれか一項に記載の太陽電池モジュール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、太陽電池モジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、環境負荷の小さい発電方法として、太陽電池モジュールを用いた太陽光発電が注目されている。太陽電池モジュールは、光起電力効果により光エネルギーを電力に変換する太陽電池素子を発電部材として用い、複数の太陽電池素子を接続することで必要な電圧と電流を得る構成を有する。また、太陽電池モジュールは、太陽電池素子を保護するため、基板上に複数の太陽電池素子を配置した上で、透明樹脂などにより被覆した構造を有する。
【0003】
例えば、特許文献1には、耐候層と、発電部材と、ポリカーボネート基材とがこの順に積層され、発電部材とポリカーボネート基材との間に熱可塑性樹脂が積層されている太陽電池モジュールが開示されている。
【0004】
また、特許文献2には、封止樹脂層、太陽電池素子、封止樹脂層、バックシートをこの順に積層した太陽電池モジュールが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2012−99613号公報
【特許文献2】特開2012−49467号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、従来の太陽電池モジュールは、形状に自由度がなく、設置環境が限定されるという問題点があった。この点を具体的に説明すると、従来の太陽電池モジュールの形状は平板、いわゆるパネル状であるため、設置場所に十分な広さの平面が必要であり、さらに、設置場所の平面に十分な日照が見込まれることが設置の条件となっていた。このように設置場所が限定されると、設置可能な太陽電池モジュール数が少なくなり、発電量に期待できない。
【0007】
なお、従来であっても、ポッティングと呼ばれる方式で製造された太陽電池モジュールの形状は平板とはならない。ポッティングは、被覆板を容器状に成形し、該容器に太陽電池素子を収容し、液状の透明樹脂で容器を満たした後に透明樹脂を硬化させることで太陽電池モジュールを得るものである。
【0008】
ポッティングで製造した太陽電池モジュールは、液状の透明樹脂を保持するために被覆板を厚くする必要があり、発電量に対して重量が大きくなるという問題がある。また、被覆板が無い側(容器の開口部側)では透明樹脂が露出するため意匠性に欠けていた。意匠性の問題については、容器の開口部を覆う蓋を設けることも考えられるが、透明樹脂と蓋の間に空気層があると太陽電池素子への光の進入に対して界面が多くなることで発電量が低下する、結露が生じるといった問題が生ずる。空気層が無いように貼り合わせるとしても、透明樹脂の硬化後であるため蓋の剥離が問題となる。
【0009】
このように、ポッティングで製造した太陽電池モジュールについても形状や重量に対する課題がある。そして、ポッティングで製造した太陽電池モジュールでは、裏面での発電や外観の意匠性に問題が残る。
【0010】
これらのことから、太陽電池モジュールの形状における自由度を向上することで多様な環境下に設置可能な太陽電池モジュールを実現し、もって太陽光発電による発電量の向上に寄与することが重要な課題となっている。
【0011】
本発明は、上記従来技術の課題を解決するためになされたものであって、形状の自由度が高く、多様な環境下に設置可能な太陽電池モジュールを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上述した課題を解決し、目的を達成するため、本発明は、少なくとも一部に曲面を有する基板と、前記基板に固着された複数の太陽電池素子と、前記複数の太陽電池素子を接続する配線部材と、前記基板と前記基板に対向配置されて前記複数の太陽電池素子及び前記配線部材を被覆する被覆板と、前記基板と前記被覆板との間の空隙部に充填され、所定波長の光を透過する透明充填素材とを備えたことを特徴とする。
【0013】
また、本発明は、上記発明において、前記基板が有する曲面の凸側と、前記被覆板が有する曲面の凹側とが対向することを特徴とする。
【0014】
また、本発明は、上記発明において、前記基板及び前記被覆板は、ポリカーボネートで形成されていることを特徴とする。
【0015】
また、本発明は、上記発明において、前記基板及び前記被覆板はそれぞれ円筒形であり、前記被覆板の内側に前記基板を配置したことを特徴とする。
【0016】
また、本発明は、上記発明において、前記被覆板の円筒形の中心軸と前記基板の円筒形の中心軸とを異ならせたことを特徴とする。
【0017】
また、本発明は、上記発明において、前記基板及び前記被覆板はそれぞれ半球形であり、前記被覆板の内側に前記基板を配置したことを特徴とする。
【0018】
また、本発明は、上記発明において、前記基板は、外周に設けられて前記被覆板と接する外周壁と、前記外周壁の内側に設けられて前記被覆板と接する支柱とを備えたことを特徴とする。
【0019】
また、本発明は、上記発明において、前記太陽電池素子は、支持部材を介して前記基板に固着されることを特徴とする。
【0020】
また、本発明は、上記発明において、前記太陽電池素子は、結晶シリコンで形成されていることを特徴とする。
【0021】
また、本発明は、上記発明において、前記太陽電池素子は、両面受光型であることを特徴とする。
【0022】
また、本発明は、上記発明において、前記透明充填素材は、シリコン樹脂で形成されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、少なくとも一部に曲面を有する基板と、基板に固着された複数の太陽電池素子と、複数の太陽電池素子を接続する配線部材と、基板と基板に対向配置され複数の太陽電池素子及び配線部材を被覆する被覆板と、基板と被覆板との間の空隙部に充填され、所定波長の光を透過する透明充填素材とを備えるので、形状の自由度が高く、多様な環境下に設置可能な太陽電池モジュールを得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1図1は、円筒形の太陽電池モジュールの模式図である。
図2図2は、太陽電池モジュールの製造についての説明図である。
図3図3は、ストリングについての説明図である。
図4図4は、円筒形の太陽電池モジュールの変形例の模式図である。
図5図5は、半球形の太陽電池モジュールの模式図である。
図6図6は、屈曲部と平面部とを有する形状の太陽電池モジュールの模式図である。
図7図7は、基板の構造とストリングの配置を示す図である。
図8図8は、太陽電池モジュールの部分断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下に、添付図面を参照して、本発明に係る太陽電池モジュールの好適な実施例を詳細に説明する。
【実施例】
【0026】
本発明に係る太陽電池モジュールは、基板の少なくとも一部に曲面を有し、多様な形状にて構成することが可能である。具体的には、円筒形、半球形など、任意の形状を用いることができる。図1は、円筒形の太陽電池モジュールの模式図である。
【0027】
図1に示した円筒形の太陽電池モジュール10は、円筒形の基板11と円筒形の被覆板12とを有する。被覆板12の内径は基板11の外径よりも大きく、被覆板12の内部に基板11を配置することで被覆板12の内側(凹側)の面と基板11の外側(凸側)の面とが対向する。この太陽電池モジュール10では、図1(b)に示すように、基板11の中心軸と被覆板12の中心軸とが一致しており、基板11の外側の面と被覆板12の内側の面との距離は一定である。
【0028】
また、円筒形の太陽電池モジュール10の2つの端面には、後述する環状板13及び環状板14が接着されている。基板11、被覆板12、環状板13及び環状板14により形成される密閉空間には、複数の太陽電池素子21が配置されるとともに、樹脂が充填されている。
【0029】
太陽電池素子21は、例えば結晶シリコンにより形成され、両面で発電が可能である。また、図示を省略したが、複数の太陽電池素子21は直列に接続され、所望の電圧での発電が可能である。図1(a)では、10枚の太陽電池素子21を示している。
【0030】
太陽電池素子21の周囲に充填する樹脂としては、太陽電池素子21により吸収される所定波長の光を透過することが求められるため、透明性を有するもの、例えばシリコン樹脂を用いる。この樹脂は、太陽電池素子21の絶縁を行なうと共に、太陽電池素子21の耐久性及び耐候性の向上に寄与する。すなわち、充填された樹脂は、太陽電池モジュール10の外部から衝撃を受けた場合には衝撃を吸収することで太陽電池素子21を保護し、また、外気温の変化等による太陽電池素子21の劣化を防止する。
【0031】
太陽電池素子21は、図1(b)に示すように、内側の基板11に固定する。太陽電池素子21を基板11に固定する際に、スペーサを介して固定することとしてもよい。スペーサを介すれば、太陽電池素子21と基板11との間に樹脂層が形成され、基板11側から衝撃を受けた場合に太陽電池素子21を保護することができる。しかし、図1(b)では、太陽電池素子21を基板11に直接接着している。太陽電池モジュール10は円筒形であるため、基板11側から衝撃を受ける可能性が低いからである。
【0032】
また、太陽電池素子21は、図1(b)に示すように、基板11の半周分に配置している。太陽電池素子21は両面で発電が可能であるため、半周分に配置すれば、いずれの方向から光が照射した場合にも発電できる。
【0033】
基板11及び被覆板12の素材は、ガラスでもよいし、樹脂でもよい。例えば、ポリカーボネートを素材とし、金型形成や引抜形成で基板11及び被覆板12を形成することができる。ポリカーボネートは、耐候性、強度及び耐炎性に優れている点で、基板11及び被覆板12として適している。また、ポリカーボネートは、耐衝撃性及び耐熱性も満たす。なお、ポリカーボネートは、紫外線などの光劣化や赤外線による熱劣化が知られている。そのため、特に屋外に設置する場合は、任意のハードコート等により耐候性を付与することが望ましい。
【0034】
図2は、太陽電池モジュール10の製造についての説明図である。まず、複数の太陽電池素子21を配線22により直列に接続し、端子部23を設けてストリング20を形成する。そして、このストリング20を接着剤により基板11に固定する。
【0035】
なお、ストリング20において接続されている太陽電池素子21の間隔は2〜50mmの間にすることで太陽電池モジュール10に温度変化が発生した際に生じる熱膨張・収縮による配線22の断線を抑制する事が望ましい。
【0036】
その後、ストリング20を固定した基板11に被覆板12をかぶせ、接着剤で環状板13を固定する。環状板13を固定した後、樹脂を注入して基板11と被覆板12との間の空隙部を満たし、接着剤で環状板14を固定する。
【0037】
このとき、空隙の厚みは基板11と太陽電池素子21および太陽電池素子21と被覆板12においてそれぞれ1〜5mmにすることで基板11および被覆板12と太陽電池素子21との線膨張係数の差による応力の吸収に加えて、外部からの衝撃に対する耐衝撃性の向上を図ることで太陽電池素子21の割れを抑制することが望ましい。
【0038】
なお、パネル状の太陽電池モジュールを形成する場合には、樹脂の液圧によりパネル面が変形する恐れがあるため、外部からパネル面に圧を掛けて液圧に対抗する必要がある。しかし、太陽電池モジュール10は円筒形であるために樹脂の液圧が分散され、外部からの圧は必要ではない。
【0039】
図3は、ストリング20についての説明図である。図3(a)に示すように、ストリング20は、複数の太陽電池素子21を配線22により直列に接続し、配線の端部に端子部23を設けた構成を有する。端子部23は、太陽電池モジュール10の外部に露出し、外部の電気機器と接続することができる。隣接する太陽電池素子21を電気的に接続する配線22は、図3(b)に示すように、一方の太陽電池素子21の表面と他方の太陽電池素子21の裏面とを接続する。
【0040】
図4は、円筒形の太陽電池モジュールの変形例の模式図である。図4(a)に示した太陽電池モジュール110は、被覆板12に替えて被覆板112を用い、基板11の中心軸と被覆板112の中心軸とを異ならせている点が太陽電池モジュール10と異なる。
【0041】
太陽電池モジュール110は、基板11と被覆板112の中心軸をずらすことで基板11の外側の面と被覆板112の内側の面との距離は一定ではなくなっており、図4(b)に示すように基板11と被覆板112との距離が長い領域に太陽電池素子21を配置している。換言するならば、太陽電池素子21を配置しない領域では基板11と被覆板112の距離が短くなるように被覆板112の寸法を決定しているのである。
【0042】
このため、太陽電池モジュール110における密閉空間の容量は太陽電池モジュール10に比して小さくなり、充填する樹脂の量を削減できる。また、被覆板112の外径は被覆板12の外径よりも小さくすることができるので、太陽電池モジュール110を小型化できる。その他の構成については太陽電池モジュール10と同様であるので、説明を省略する。
【0043】
図5は、半球形の太陽電池モジュールの模式図である。図5に示した半球形の太陽電池モジュール210は、半球形の基板211と半球形の被覆板212とを有する。被覆板212の内径は基板211の外径よりも大きく、被覆板212の内部に基板211を配置することで被覆板212の内側(凹側)の面と基板211の外側(凸側)の面とが対向する。
【0044】
球の断面に相当する太陽電池モジュール210の端面には、環状板が接着されている。基板211、被覆板212及び環状板により形成される密閉空間には、複数の太陽電池素子21を含むストリング20が配置されるとともに、樹脂が充填されている。
【0045】
太陽電池素子21は、内側の基板211に固定する。太陽電池素子21は基板11に直接接着してもよいし、スペーサを介して固定してもよい。その他の構成については太陽電池モジュール10と同様であるので、説明を省略する。
【0046】
図6は、屈曲部と平面部とを有する形状の太陽電池モジュールの模式図である。図6に示した太陽電池モジュール310の基板311及び被覆板312は、それぞれ屈曲部と平面部とを有する。そして、被覆板312の内側(凹側)の面と基板311の外側(凸側)の面とが対向するように配置されている。
【0047】
図7に示すように、基板311は、外周に設けられて被覆板312に接する外周壁311aと、外周壁の内側に設けられて被覆板312に接する支柱311bとを有する。このため、基板311に被覆板312を接着することにより、密閉空間を形成することができる。この密閉空間には、複数の太陽電池素子21を含むストリング20が配置されるとともに、樹脂が充填されている。
【0048】
図7は、基板311の構造とストリングの配置を示す図であり、図8は、太陽電池モジュール310の部分断面図である。図7に示すように、支柱311bは、隣接する太陽電池素子21の間に適宜配置され、基板311が変形しないようにしてある。
【0049】
また、図8に示すように、基板311と太陽電池素子21との間にはスペーサ315が設けられている。このスペーサ315により、太陽電池素子21と基板311との間に樹脂層が形成され、基板311側から衝撃を受けた場合に太陽電池素子21を保護することができる。同様に、被覆板312と太陽電池素子21との間にはスペーサ316が設けられている。このスペーサ316により、太陽電池素子21と被覆板312との間に樹脂層が形成され、被覆板312側から衝撃を受けた場合に太陽電池素子21を保護することができる。
【0050】
外周壁311aと支柱311bとを有する基板311の素材は、ガラスでもよいし、樹脂でもよい。例えば、ポリカーボネートを素材とし、金型形成や掘削加工で基板311を形成することができる。その他の構成については太陽電池モジュール10と同様であるので、説明を省略する。
【0051】
上述してきたように、本実施例に係る太陽電池モジュール10、110、210、310は、少なくとも一部に曲面を有する基板と被覆板を対向して配置し、基板と被覆板の間に複数の太陽電池素子を配置し、基板と被覆板の間の空隙部を透明充填素材である樹脂で充填した構造を有する。このように、太陽電池モジュールの形状における自由度を向上することにより、多様な環境下に設置可能な太陽電池モジュールを実現でき、もって太陽光発電による発電量の向上に寄与することができる。
【0052】
また、太陽電池素子は、基板と被覆板のうち、曲面の内側に位置する基板に直接固定することで、充填する樹脂の量を削減し、太陽電池モジュールを小型化することができる。太陽電池モジュールに外部から衝撃が加わる場合には、曲面の外側から加わる可能性が高く、曲面の内側から加わる可能性は低い。そのため、曲面の内側の基板に太陽電池素子を直接固定し、曲面の内側からの衝撃には樹脂による吸収が見込めなくとも問題が生じない。
【0053】
ただし、太陽電池モジュールの設置環境によっては、曲面の内側からの衝撃を警戒すべきケースもある。かかるケースでは、曲面の内側の基板と太陽電池素子との間にスペーサを介在させ、樹脂層を形成することで衝撃を吸収できるようにすることが望ましい。
【0054】
なお、上述の実施例はあくまで一例であり、本発明を限定するものではない。本発明は、任意の形状の太陽電池モジュールに適用することができる。また、その構成、素材、機能等を適宜変形して実施することができる。例えば、ストリングの内部にバイパスダイオードを設けることで断線対策を行ってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0055】
以上のように、本発明に係る太陽電池モジュールは、形状の自由度が高く、多様な環境下に設置することができる。
【符号の説明】
【0056】
10、110、210、310 太陽電池モジュール
11、211、311 基板
12、112、212、312 被覆板
13、14 環状板
20 ストリング
21 太陽電池素子
22 配線
23 端子部
311a 外周壁
311b 支柱
315、316 スペーサ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8