【解決手段】半導体装置1は、半導体基板2上に形成されたエピタキシャル層3を含む。エピタキシャル層3の表面部には、ボディ領域4とドレイン領域9とが間隔を空けて形成されている。ボディ領域4の表面部には、ソース領域が形成されている。ドレイン領域9とソース領域との間のエピタキシャル層3の表面には、ボディ領域4に接するゲート絶縁膜11が形成されている。ゲート絶縁膜11とドレイン領域9との間には、ゲート絶縁膜11よりも厚いLOCOS膜12が形成されている。ゲート絶縁膜11上には、ゲート電極14が形成されている。ボディ領域4は、エピタキシャル層3とのpn接合部がゲート絶縁膜11に接する第1ボディ部分と、エピタキシャル層3とのpn接合部42aがLOCOS膜12に接する第2ボディ部分42とを含む。
前記ボディ領域の前記第2部分が、前記ボディ領域における前記ソース領域と前記ドレイン領域との間の部分以外の部分に形成されている、請求項1に記載の半導体装置。
前記ボディ領域の前記第1部分および前記第2部分が、前記ボディ領域における前記ソース領域と前記ドレイン領域との間の部分に形成されている、請求項1〜3のいずれか一項に記載の半導体装置。
複数の前記第1部分および複数の前記第2部分が、前記ボディ領域における前記ソース領域と前記ドレイン領域との間の部分に交互に形成されている、請求項4に記載の半導体装置。
前記ボディ領域は、前記半導体層の表面の法線方向から見た平面視において、互いに平行な一対の直線状部分と、前記一対の直線状部分の両端にそれぞれ連なる一対の曲線状部分とを有する長円環状に形成されており、
前記ソース領域は、前記ボディ領域の少なくとも一方の前記直線状部分に沿って形成されており、
前記ボディ領域の前記第2部分は、少なくとも一方の前記曲線状部分に沿って形成されている、請求項1〜6のいずれか一項に記載の半導体装置。
前記ボディ領域の前記第2部分は、前記ボディ領域における少なくとも前記直線状部分と前記曲線状部分との境界を跨るように形成されている、請求項7に記載の半導体装置。
前記ボディ領域は、当該ボディ領域の表面部から底部に向かう厚さ方向に関して、当該厚さ方向中間部の不純物濃度が最も低くなるような不純物濃度分布を有している、請求項1〜16のいずれか一項に記載の半導体装置。
前記ボディ領域は、表面部に形成された第1高濃度領域と、底部に形成された第2高濃度領域と、前記第1高濃度領域と前記第2高濃度領域との間に介在し、前記第1高濃度領域の不純物濃度および前記第2高濃度領域の不純物濃度よりも低い不純物濃度を有する低濃度領域とを含む、請求項1〜17のいずれか一項に記載の半導体装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1のように、ボディ領域と半導体層との境界がゲート絶縁膜に接する構成では、ドレイン領域およびソース領域間にサージ電圧等の高電圧が印加されると、ゲート絶縁膜に接するボディ領域と半導体層との境界でブレークダウンが発生する。より具体的には、ボディ領域のドレイン領域側に位置する端部に電界が集中し、当該ボディ領域の端部近傍の半導体層でブレークダウンが発生する。この場合、ゲート絶縁膜は、ブレークダウンに伴って発生する高電界やホットキャリア(高電界により加速されたキャリア)等の影響を受けて破損する虞がある。ゲート絶縁膜が破損すると、半導体装置の耐久性、たとえば静電気耐量等の特性が変化するだけでなく、ゲート電極がボディ領域に対して正常に電界を印加できなくなるので、半導体装置の閾値電圧、漏れ電流等の特性も変化する虞がある。
【0005】
そこで、本発明の一実施形態は、ブレークダウンによるゲート絶縁膜の破損に起因する特性の変動を抑制し、信頼性を向上できる半導体装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一実施形態は、第1導電型の半導体基板と、前記半導体基板に接するように前記半導体基板上に形成された第2導電型の半導体層と、前記半導体層の表面部に形成された第1導電型のボディ領域と、前記ボディ領域の表面部に、前記ボディ領域の周縁から間隔を空けて形成された第2導電型のソース領域と、前記半導体層の表面部に、前記ボディ領域から間隔を空けて形成された第2導電型のドレイン領域と、前記ドレイン領域と前記ソース領域との間で前記ボディ領域に接するように前記半導体層の表面に形成されたゲート絶縁膜と、前記ゲート絶縁膜と前記ドレイン領域との間で前記半導体層を被覆するように前記ゲート絶縁膜と一体的に形成され、前記ゲート絶縁膜よりも大きい厚さを有する厚い絶縁膜と、前記ソース領域と前記ドレイン領域との間で前記ゲート絶縁膜を介して前記ボディ領域に対向するゲート電極とを含む、半導体装置を提供する。この構成において、前記ボディ領域は、前記半導体層との境界が前記ゲート絶縁膜に接する第1部分と、前記半導体層との境界が前記厚い絶縁膜に接する第2部分とを含む。
【0007】
この構成によれば、第1部分は、チャネルの形成により半導体層との間で電流経路を形成する。一方、第2部分では、厚い絶縁膜に接する部分にチャネルが殆ど形成されないので、半導体層との間で電流経路を形成しない。つまり、第2部分は、半導体装置の閾電圧、漏れ電流等の特性に殆ど寄与しない。半導体層では、ドレイン領域からソース領域に向けて電位勾配が生じ、相対的にドレイン領域との距離が近い第2部分における半導体層との境界には、第1部分における半導体層との境界に印加される電界よりも高い電界が印加される。つまり、第2部分によって、第1部分における半導体層との境界にかかる電界強度が相対的に低減されている。
【0008】
したがって、ドレイン領域およびソース領域間にサージ電圧等の高電圧が印加されると、その負荷は第2部分に集中するので、第1部分よりも優先的に第2部分をブレークダウンさせることができる。これにより、ブレークダウンに伴って発生する高電界やホットキャリア(高電界により加速されたキャリア)等を第2部分に集中させることができる。その結果、第1部分でのブレークダウンを回避または抑制できるので、第1部分に接するゲート絶縁膜が破損するのを抑制できる。
【0009】
一方、第2部分では、半導体層との境界が厚い絶縁膜に接しているので、第2部分に接するゲート絶縁膜に負荷が集中するのを抑制できる。これにより、第2部分に接するゲート絶縁膜が破損するのも抑制できる。その結果、ブレークダウンによるゲート絶縁膜の破損に起因する特性の変動を抑制し、信頼性を向上できる半導体装置を提供できる。
前記半導体装置において、前記ボディ領域の前記第2部分が、前記ボディ領域における前記ソース領域と前記ドレイン領域との間の部分以外の部分に形成されていることが好ましい。
【0010】
この構成によれば、第2部分がソース領域とドレイン領域との間の部分以外の部分に形成されるので、第2部分でチャネルが形成されるのを効果的に抑制できる。加えて、ボディ領域におけるブレークダウンの発生箇所を、第1部分から遠ざけることができる。これにより、第1部分でのブレークダウンの発生を効果的に回避または抑制できる。
前記半導体装置において、複数の前記第2部分が形成されていることが好ましい。この構成によれば、複数の第2部分でブレークダウンさせることができるので、ブレークダウンによる負荷を複数の第2部分に分散させることができる。これにより、第2部分一つあたりの負荷を低減できるので、第1部分でのブレークダウンの発生を効果的に回避または抑制しつつ、ブレークダウンによるゲート絶縁膜の破損に起因する特性の変動を効果的に抑制できる。
【0011】
前記半導体装置において、前記ボディ領域の前記第1部分および前記第2部分が、前記ボディ領域における前記ソース領域と前記ドレイン領域との間の部分に形成されていてもよい。この構成によれば、ボディ領域におけるソース領域とドレイン領域との間の部分に、第2部分が形成されているので、ソース領域とドレイン領域とが対向する部分において、第1部分がブレークダウンするリスクを低減できる。
【0012】
前記半導体装置において、複数の前記第1部分および複数の前記第2部分が、前記ボディ領域における前記ソース領域と前記ドレイン領域との間の部分に交互に形成されていてもよい。この構成によれば、ソース領域とドレイン領域とが対向する部分において、第1部分がブレークダウンするリスクを効果的に低減できる。
前記半導体装置において、前記ボディ領域は、前記半導体層の表面の法線方向から見た平面視において環状に形成されていてもよい。
【0013】
前記半導体装置において、前記ボディ領域は、前記半導体層の表面の法線方向から見た平面視において、互いに平行な一対の直線状部分と、前記一対の直線状部分の両端にそれぞれに連なる一対の曲線状部分とを有する長円環状に形成されており、前記ソース領域は、前記ボディ領域の少なくとも一方の前記直線状部分に沿って形成されており、前記ボディ領域の前記第2部分は、少なくとも一方の前記曲線状部分に沿って形成されていてもよい。
【0014】
前記半導体装置において、前記ボディ領域の前記第2部分は、前記ボディ領域における少なくとも前記直線状部分と前記曲線状部分との境界を跨るように形成されていることが好ましい。ボディ領域において、直線状部分と曲線状部分との境界を跨る部分では、電界に乱れが生じたり、電界が集中したりする傾向がある。そのため、他の部分に比してブレークダウンが発生し易い。そこで、この構成では、少なくとも直線状部分と曲線状部分との境界を跨るように第2部分を形成している。これにより、直線状部分と曲線状部分との境界を跨る部分でブレークダウンが発生したとしても、そのブレークダウンは、半導体装置の特性に影響を殆ど与えない第2部分で生じることになる。このように、ブレークダウンが発生し易い箇所に第2部分を設けることにより、第1部分でのブレークダウンの発生を抑制しつつ、ブレークダウンによるゲート絶縁膜の破損に起因する特性の変動を効果的に抑制できる。
【0015】
前記半導体装置において、複数の前記ソース領域が前記ボディ領域の表面部に形成されていてもよい。
前記半導体装置において、前記ボディ領域および前記ソース領域は、前記半導体層の表面の法線方向から見た平面視において環状に形成されていてもよい。
前記半導体装置において、複数の前記第2部分が形成されていてもよい。この構成によれば、複数の第2部分でブレークダウンさせることができるので、ブレークダウンによる負荷を複数の第2部分に分散させることができる。これにより、第2部分一つあたりの負荷を低減できるので、第1部分でのブレークダウンの発生を効果的に回避または抑制しつつ、ブレークダウンによるゲート絶縁膜の破損に起因する特性の変動を効果的に抑制できる。
【0016】
前記半導体装置において、複数の前記第2部分が、複数の前記第1部分が等間隔に配置されるように互いに間隔を空けて形成されていてもよい。
前記半導体装置において、前記ゲート電極は、前記ゲート絶縁膜上から前記厚い絶縁膜上に至るように連続して形成されており、前記第2部分における前記半導体層との境界は、前記ゲート絶縁膜と、前記ゲート電極における前記ドレイン領域側の端部との間に位置していることが好ましい。
【0017】
この構成によれば、第2部分における半導体層との境界を、ゲート絶縁膜と、ゲート電極におけるドレイン領域側の端部との間に位置させているので、第2部分における半導体層との境界での電界強度を高めることができる。これにより、第1部分での電界強度をより一層相対的に低減できる。その結果、第1部分でのブレークダウンの発生を効果的に回避または抑制しつつ、ブレークダウンによるゲート絶縁膜の破損に起因する特性の変動を効果的に抑制できる。
【0018】
前記半導体装置は、前記半導体層の表面の法線方向から見た平面視において前記ボディ領域を横切るように形成され、前記ソース領域に電気的に接続されたソース配線をさらに含んでいてもよい。この構成において、前記ボディ領域の前記第2部分は、前記平面視において少なくとも前記ソース配線の周縁が前記ボディ領域を横切る部分に形成されていることが好ましい。
【0019】
平面視において半導体層におけるソース配線の周縁がボディ領域を横切る部分では、電界に乱れが生じたり、電界が集中したりする傾向がある。そのため、他の部分に比してブレークダウンが発生し易い。そこで、この構成では、少なくとも平面視においてソース配線の周縁がボディ領域を横切る部分に第2部分を形成している。これにより、ソース配線の周縁がボディ領域を横切る部分でブレークダウンが発生したとしても、そのブレークダウンは、半導体装置の特性に影響を殆ど与えない第2部分で生じることになる。その結果、第1部分でのブレークダウンの発生を効果的に回避または抑制しつつ、ブレークダウンによるゲート絶縁膜の破損に起因する特性の変動を効果的に抑制できる。
【0020】
前記半導体装置は、前記半導体層の表面の法線方向から見た平面視において前記ボディ領域を横切るように形成され、前記ソース領域に電気的に接続されたドレイン配線をさらに含んでいてもよい。この構成において、前記ボディ領域の前記第2部分は、前記平面視において少なくとも前記ドレイン配線の周縁が前記ボディ領域を横切る部分に形成されていることが好ましい。
【0021】
平面視において半導体層におけるドレイン配線の周縁がボディ領域を横切る部分では、電界に乱れが生じたり、電界が集中したりする傾向がある。そのため、他の部分に比してブレークダウンが発生し易い。そこで、この構成では、少なくとも平面視においてドレイン配線の周縁がボディ領域を横切る部分に第2部分を形成している。これにより、ドレイン配線の周縁がボディ領域を横切る部分でブレークダウンが発生したとしても、そのブレークダウンは、半導体装置の特性に影響を殆ど与えない第2部分で生じることになる。その結果、第1部分でのブレークダウンの発生を効果的に回避または抑制しつつ、ブレークダウンによるゲート絶縁膜の破損に起因する特性の変動を効果的に抑制できる。
【0022】
前記半導体装置において、前記ボディ領域の前記第2部分は、前記ボディ領域の前記第1部分と異なる不純物濃度を有していてもよい。
前記半導体装置において、前記ボディ領域は、当該ボディ領域の表面部から底部に向かう厚さ方向に関して、当該厚さ方向中間部の不純物濃度が最も低くなるような不純物濃度分布を有していてもよい。
【0023】
前記半導体装置において、前記ボディ領域は、表面部に形成された第1高濃度領域と、底部に形成された第2高濃度領域と、前記第1高濃度領域と前記第2高濃度領域との間に介在し、前記第1高濃度領域の不純物濃度および前記第2高濃度領域の不純物濃度よりも低い不純物濃度を有する低濃度領域とを含んでいてもよい。
前記半導体装置において、前記ボディ領域の前記第1部分は、前記第1高濃度領域、前記第2高濃度領域および前記低濃度領域を含んでいてもよい。また、前記ボディ領域の前記第2部分は、前記第1高濃度領域と前記第2高濃度領域との間から前記半導体層の表面部に引き出された前記低濃度領域を含んでいてもよい。
【0024】
前記半導体装置は、前記半導体層における前記厚い絶縁膜と接する部分に形成され、前記半導体層の不純物濃度よりも低い不純物濃度を有する第1導電型のリサーフ層をさらに含んでいてもよい。この構成において、前記ボディ領域の前記第2部分は、前記リサーフ層に接するように形成されていてもよい。
この構成によれば、ドレイン・ソース間電圧が印加されると、リサーフ層と半導体層との境界から空乏層が拡がり、リサーフ層が形成された半導体層の表面部全域を速やかに空乏化できる。これにより、半導体層の電界を緩和できる。その結果、第2部分により第1部分でのブレークダウンの発生を効果的に回避または抑制しつつ、半導体装置全体でのブレークダウンの発生を抑制できる。
【0025】
前記半導体装置において、前記ボディ領域の前記第1部分は、前記半導体層の一部を挟んで前記リサーフ層に対向するように形成されていてもよい。
この発明の一実施形態は、半導体基板上のローサイド領域に形成されたローサイド回路と、前記半導体基板上において前記ローサイド領域から分離されたハイサイド領域に形成され、前記ローサイド回路よりも動作電圧が高いハイサイド回路と、前記半導体基板上に形成され、前記ハイサイド回路に接続されたレベルシフト回路とを含む、ゲートドライバを提供する。前記レベルシフト回路は、前述の特徴を備えた半導体装置を含む。
【0026】
前記レベルシフト回路は、前記ハイサイド領域の外に配置されていることが好ましい。
また、前記ゲートドライバは、前記半導体基板上に形成され、前記ローサイド領域と前記ハイサイド領域とを分離する分離領域をさらに含んでいてもよい。この場合に、前記レベルシフト回路は、前記分離領域の外側に配置されていてもよい。また、前記レベルシフト回路の少なくとも一部が、前記分離領域に配置されていてもよい。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下では、本発明の実施の形態について、添付図面を参照しつつ詳細に説明する。
<第1実施形態>
図1は、本発明の第1実施形態に係る半導体装置1の平面図である。
図2は、
図1に示す半導体装置1を示す平面図であって、LOCOS膜12上の構成の図示を省略して内部の構成を示している。
図3は、
図1に示すIII−III線に沿う断面図である。
図4は、
図1に示すIV-IV線に沿う断面図である。
図1では、明瞭化のため、後述する配線32,33をハッチングを付して示している。
【0029】
半導体装置1は、たとえばドレイン・ソース間電圧V
DSが500V〜1500V程度のLDMIS(Laterally Diffused Metal Insulator Semiconductor)領域を含む半導体装置である。半導体装置1は、p型(第1導電型)の半導体基板2と、半導体基板2に接するように半導体基板2上に形成されたn型(第2導電型)の半導体層の一例としてのエピタキシャル層3とを含む。半導体基板2は、たとえばシリコンからなり、不純物濃度が比較的低い高抵抗基板である。半導体基板2の不純物濃度は、たとえば1.0×10
13cm
−3〜1.0×10
14cm
−3であり、エピタキシャル層3の不純物濃度は、たとえば1.0×10
15cm
−3〜1.0×10
16cm
−3である。エピタキシャル層3は、たとえば、5μm〜10μmの厚さを有している。エピタキシャル層3の表面部には、p型のボディ領域4が形成されている。
【0030】
ボディ領域4は、エピタキシャル層3の表面の法線方向から見た平面視(以下、単に「平面視」という。)において略環状に形成されている。本実施形態では、ボディ領域4は、平面視において、互いに平行な一対の帯状の直線状部分5a,5bと、一対の直線状部分5a,5bの両端にそれぞれ連なる一対の帯状の曲線状部分6a,6bとを有する略長円環状に形成されている。ボディ領域4の具体的な構成については、後に説明する。ボディ領域4の表面部には、n型のソース領域7とp型のボディコンタクト領域8とが互いに隣接して形成されている。
【0031】
ソース領域7は、ボディ領域4の内周縁から間隔を空けて形成されている。本実施形態では、ソース領域7は、ボディ領域4の表面部に複数形成されている。より具体的には、複数のソース領域7は、ボディ領域4における一対の直線状部分5a,5bにおいて、それぞれ帯状に形成されている。一方、ボディコンタクト領域8は、ボディ領域4に沿って環状に形成されている。ボディコンタクト領域8は、ボディ領域4の不純物濃度よりも高い不純物濃度を有している。エピタキシャル層3の表面部におけるボディ領域4に取り囲まれる領域の中央部には、ボディ領域4から間隔を空けてn型のドレイン領域9が形成されている。
【0032】
ドレイン領域9は、ボディ領域4の一対の直線状部分5a,5bの対向方向中間部において、当該直線状部分5a,5bに略平行な帯状に設けられている。ドレイン領域9は、ソース領域7の不純物濃度とほぼ同一の不純物濃度を有している。
図3および
図4を参照して、ドレイン領域9の直下の領域には、n型のドレインバッファ領域10が形成されている。
【0033】
ドレインバッファ領域10は、半導体基板2とエピタキシャル層3との境界を横切るように形成されており、半導体基板2との間でpn接合を形成している。ドレインバッファ領域10は、ドレイン領域9に沿って帯状に形成されており、エピタキシャル層3の一部を挟んでドレイン領域9の底部に対向している。ドレインバッファ領域10は、一対の直線状部分5a,5bの対向方向に関して、ドレイン領域9の幅W
1よりも広い幅W
2を有している。ドレインバッファ領域10は、エピタキシャル層3の不純物濃度よりも高く、ドレイン領域9の不純物濃度よりも低い不純物濃度を有している。ドレインバッファ領域10の不純物濃度は、たとえば1.0×10
15cm
−3〜1.0×10
16cm
−3である。
【0034】
エピタキシャル層3の表面には、ゲート絶縁膜11と、厚い絶縁膜の一例としてのLOCOS(Local Oxidation of Silicon)膜12とが一体的に形成されている。ゲート絶縁膜11は、ドレイン領域9とソース領域7との間でボディ領域4に接するように環状に形成されている。より具体的には、ゲート絶縁膜11は、ソース領域7のドレイン領域9側の周縁およびボディコンタクト領域8のドレイン領域9側の周縁からボディ領域4の内周縁を横切るように形成されている。ゲート絶縁膜11は、たとえば窒化膜(SiN膜)、シリコン酸化膜(SiO
2膜)または窒化膜およびシリコン酸化膜の積層膜であってもよい。本実施形態では、ゲート絶縁膜11は、シリコン酸化膜(ゲート酸化膜)である。
【0035】
LOCOS膜12は、ゲート絶縁膜11とドレイン領域9との間でエピタキシャル層3を被覆するように、平面視において環状に形成されている。LOCOS膜12の内周縁は、ドレイン領域9を取り囲んでいる。LOCOS膜12の外周縁は、ボディ領域4の内周縁よりもドレイン領域9側に間隔を隔てた位置に形成されている。LOCOS膜12の内周縁から外周縁までの幅W
3は、たとえば80μm〜200μm(本実施形態では、120μm)である。
【0036】
図3および
図4を参照して、LOCOS膜12は、ゲート絶縁膜11の厚さよりも大きい厚さを有している。LOCOS膜12は、たとえば5000Å〜15000Å(本実施形態では、8000Å)の厚さを有しており、ゲート絶縁膜11は、たとえば300Å〜1000Å(本実施形態では、500Å)の厚さを有している。
エピタキシャル層3におけるLOCOS膜12と接する部分には、p型のリサーフ層13が形成されている。リサーフ層13は、LOCOS膜12に沿う環状に形成されており、エピタキシャル層3との間でpn接合を形成している。リサーフ層13は、エピタキシャル層3の不純物濃度よりも低い不純物濃度を有している。リサーフ層13の不純物濃度は、たとえば1.0×10
15cm
−3〜1.0×10
16cm
−3である。
【0037】
ゲート絶縁膜11上には、ゲート電極14が形成されている。ゲート電極14は、ソース領域7とドレイン領域9との間でゲート絶縁膜11を介してボディ領域4に対向するように形成されている。ゲート電極14は、ゲート絶縁膜11上からLOCOS膜12の外周縁上に連続して延び、LOCOS膜12の外周縁を被覆する被覆部15を有している。ゲート電極14は、たとえば不純物が添加されたポリシリコンであってもよい。
【0038】
LOCOS膜12上には、複数(本実施形態では、8個)のフィールドプレート16が互いに間隔を空けて形成されている。複数のフィールドプレート16は、エピタキシャル層3における電界の乱れを抑制する。複数のフィールドプレート16は、互いに周囲長が異なる相似な環状に形成されている。より具体的には、相対的に長い周囲長を有するフィールドプレート16が、相対的に短い周囲長を有するフィールドプレート16を取り囲むように、互いに間隔を空けて配置されている。複数のフィールドプレート16は、ゲート電極14と同一の材料により形成されている。最外周に位置するフィールドプレート16は、ゲート電極14の被覆部15と一体的に形成されていてもよい。なお、フィールドプレート16は、少なくとも一つ以上設けられていればよく、8個以上のフィールドプレート16が設けられていてもよい。
【0039】
エピタキシャル層3上には、LOCOS膜12、ゲート電極14およびフィールドプレート16を被覆するように第1層間絶縁膜25が形成されている。第1層間絶縁膜25は、たとえば、酸化シリコンや窒化シリコン等の絶縁体を含む。第1層間絶縁膜25上には、ソースメタル26と、ドレインメタル27と、ゲートメタル28とが形成されている。
ソースメタル26、ドレインメタル27およびゲートメタル28にそれぞれ対応するコンタクト29が第1層間絶縁膜25を貫通している。ソースメタル26は、対応するコンタクト29を介してソース領域7およびボディコンタクト領域8に電気的に接続されている。ソースメタル26は、ソース領域7の少なくとも一部または全部を被覆するように帯状に設けられている。ドレインメタル27は、対応するコンタクト29を介してドレイン領域9に電気的に接続されている。ドレインメタル27は、ドレイン領域9の少なくとも一部または全部を被覆するように帯状に設けられている。ゲートメタル28は、対応するコンタクト29を介してゲート電極14に電気的に接続されている。ゲートメタル28は、ゲート電極14の少なくとも一部または全部を被覆するように環状に設けられている。
【0040】
第1層間絶縁膜25上には、さらに、エピタキシャル層3における電界の乱れ等を抑制するためのフィールドメタル30が形成されている。本実施形態では、フィールドメタル30は、ゲートメタル28の内周に沿って環状に設けられている。第1層間絶縁膜25上には、ソースメタル26、ドレインメタル27、ゲートメタル28およびフィールドメタル30を被覆するように第2層間絶縁膜31が形成されている。第2層間絶縁膜31は、たとえば、酸化シリコンや窒化シリコン等の絶縁体を含む。第2層間絶縁膜31上には、ソース配線32およびドレイン配線33が形成されている。
【0041】
複数のコンタクト34が第2層間絶縁膜31を貫通している。ソース配線32は、対応するコンタクト34を介してソースメタル26およびフィールドメタル30に電気的に接続されている。
図1に示すように、ソース配線32は、第2層間絶縁膜31における少なくともドレイン領域9上の部分を露出させるように平面視凹状に形成されている。より具体的には、ソース配線32は、ボディ領域4の一方側の曲線状部分6aを横切り、一対の直線状部分5a,5b上の領域および他方側の曲線状部分6b上の領域を被覆するように形成されている。
【0042】
ドレイン配線33は、対応するコンタクト34を介してドレインメタル27に電気的に接続されている。
図1に示すように、ドレイン配線33は、平面視においてソース配線32から第2層間絶縁膜31が露出する平面視凹状の部分に入り込むように平面視凸状に形成されている。より具体的には、ドレイン配線33は、ボディ領域4の一方側の曲線状部分6aを横切り、ドレイン領域9上の部分を被覆するように形成されている。
【0043】
図1〜
図4を再度参照して、ボディ領域4の構成についてより具体的に説明する。ボディ領域4は、エピタキシャル層3との境界41aがゲート絶縁膜11に接する第1ボディ部分41(第1部分)と、エピタキシャル層3との境界42aがLOCOS膜12に接する第2ボディ部分42(第2部分)とを含む。エピタキシャル層3との境界41a,42aとは、具体的には、エピタキシャル層3との間に形成されたpn接合部である。以下では、第1ボディ部分41および第2ボディ部分42の境界41a,42aを、それぞれpn接合部41a,42aという。
【0044】
図1および
図3に示すように、ボディ領域4の第1ボディ部分41は、一対の直線状部分5a,5bに沿う部分に形成されている。第1ボディ部分41において、ゲート電極14がゲート絶縁膜11を介して対向する部分は、ゲート電極14に適切な電圧が印加されたときにチャネル43が形成されるチャネル領域である。第1ボディ部分41は、チャネル43の形成によりエピタキシャル層3との間で電流経路を形成する。
【0045】
図1に示すように、ボディ領域4の第2ボディ部分42は、第1ボディ部分41よりもドレイン領域9側に張り出して形成された張り出し部である。第2ボディ部分42は、一対の曲線状部分6a,6bに沿って帯状に形成されている。
図4に示すように、第2ボディ部分42は、LOCOS膜12を挟んでゲート電極14の被覆部15と対向している。第2ボディ部分42のpn接合部42aは、ゲート絶縁膜11と、ゲート電極14におけるドレイン領域9側の端部との間に位置している。本実施形態では、第2ボディ部分42がソース領域7とドレイン領域9との間の領域の外に形成されているので、第2ボディ部分42は、エピタキシャル層3との間で電流経路を形成しない。
【0046】
図3および
図4を参照して、ボディ領域4は、当該ボディ領域4の表面部から底部に向かう厚さ方向に関して、当該厚さ方向中間部の不純物濃度が最も低くなるような不純物濃度分布を有している。より具体的には、ボディ領域4は、表面部に形成されたp型の第1高濃度領域44と、底部に形成され、第1高濃度領域44の不純物濃度よりも高い不純物濃度を有するp
+型の第2高濃度領域45とを含む。さらに、ボディ領域4は、第1高濃度領域44と第2高濃度領域45との間に介在し、第1高濃度領域44の不純物濃度よりも低い不純物濃度を有するp
−型の低濃度領域46を含む。第1高濃度領域44の不純物濃度は、たとえば1.0×10
17cm
−3〜1.0×10
18cm
−3cm
−3である。第2高濃度領域45の不純物濃度は、たとえば1.0×10
18cm
−3〜1.0×10
19cm
−3cm
−3である。低濃度領域46の不純物濃度は、たとえば1.0×10
16cm
−3〜1.0×10
17cm
−3cm
−3である。
【0047】
第1高濃度領域44および低濃度領域46は、エピタキシャル層3との間でpn接合部を形成するように設けられている。一方、第2高濃度領域45は、ボディ領域4の厚さ方向に関して、半導体基板2とエピタキシャル層3との境界を横切るように形成されており、エピタキシャル層3の一部との間でpn接合部を形成するように設けられている。このボディ領域4において、第2ボディ部分42は、第1ボディ部分41と異なる不純物濃度で形成されている。
【0048】
より具体的には、第1ボディ部分41は、
図3を参照して、第1高濃度領域44、第2高濃度領域45および低濃度領域46を含む。第1ボディ部分41では、第1高濃度領域44、第2高濃度領域45および低濃度領域46が、エピタキシャル層3との間でpn接合部41aを形成している。第1ボディ部分41の第1高濃度領域44は、エピタキシャル層3の一部を挟んでリサーフ層13と対向している。
【0049】
一方、第2ボディ部分42は、
図4を参照して、第2高濃度領域45および低濃度領域46を含む。第2ボディ部分42では、第2高濃度領域45および低濃度領域46が、エピタキシャル層3との間でpn接合部42aを形成している。第2ボディ部分42の低濃度領域46は、第1高濃度領域44と第2高濃度領域45との間からドレイン領域9側のエピタキシャル層3の表面部に引き出されている。第2ボディ部分42の低濃度領域46は、リサーフ層13に接している。第2ボディ部分42の第2高濃度領域45は、低濃度領域46の底部に接するようにその深さを維持した状態でドレイン領域9側に引き出されている。
【0050】
図1を参照して、第2ボディ部分42は、平面視において少なくともソース配線32の周縁32aがボディ領域4を横切る領域に形成されている。さらに、第2ボディ部分42は、平面視において少なくともドレイン配線33の周縁33aがボディ領域4を横切る領域に形成されている。また、
図2の拡大図を参照して、第2ボディ部分42は、平面視においてボディ領域4における少なくとも直線状部分5a,5bと曲線状部分6a,6bとの境界Bを跨るように形成されている。
【0051】
以上、本実施形態によれば、第1ボディ部分41は、チャネル43の形成によりエピタキシャル層3との間で電流経路を形成する。一方、第2ボディ部分42は、ボディ領域4におけるソース領域7とドレイン領域9との間の領域の外に形成されている。そのため、第2ボディ部分42にはチャネル43が形成されないので、第2ボディ部分42は、エピタキシャル層3との間で電流経路を形成しない。つまり、第2ボディ部分42は、半導体装置1の閾電圧、漏れ電流等の特性に殆ど寄与しない。
【0052】
エピタキシャル層3では、ドレイン領域9からソース領域7に向けて電位勾配が生じ、相対的にドレイン領域9との距離が近い第2ボディ部分42のpn接合部42aには、第1ボディ部分41のpn接合部41aに印加される電界よりも高い電界が印加される。つまり、第2ボディ部分42によって、第1ボディ部分41のpn接合部41aにかかる電界強度が相対的に低減されている。
【0053】
したがって、ドレイン領域9およびソース領域7間にサージ電圧等の高電圧が印加されると、その負荷は第2ボディ部分42に集中するので、第1ボディ部分41よりも優先的に第2ボディ部分42をブレークダウンさせることができる。これにより、ブレークダウンに伴って発生する高電界やホットキャリア等を第2ボディ部分42に集中させることができる。しかも、第2ボディ部分42は第1ボディ部分41から離れて形成されているので、ボディ領域4におけるブレークダウンの発生箇所を、第1ボディ部分41から遠ざけることができる。その結果、第1ボディ部分41でのブレークダウンを効果的に回避または抑制できるので、第1ボディ部分41に接するゲート絶縁膜11が破損するのを効果的に抑制できる。
【0054】
一方、第2ボディ部分42では、pn接合部42aがLOCOS膜12に接しているので、第2ボディ部分42に接するゲート絶縁膜11に負荷が集中するのを抑制できる。これにより、第2ボディ部分42に接するゲート絶縁膜11が破損するのも抑制できる。その結果、ブレークダウンによるゲート絶縁膜11の破損に起因する特性の変動を抑制し、信頼性を向上できる半導体装置1を提供できる。
【0055】
また、本実施形態によれば、複数の第2ボディ部分42が形成されている。この構成によれば、複数の第2ボディ部分42でブレークダウンさせることができるので、ブレークダウンによる負荷を複数の第2ボディ部分42に分散させることができる。これにより、第2ボディ部分42一つあたりの負荷を低減できるので、第1ボディ部分41でのブレークダウンの発生を効果的に回避または抑制しつつ、ブレークダウンによるゲート絶縁膜11の破損に起因する特性の変動を効果的に抑制できる。
【0056】
ボディ領域4において、直線状部分5a,5bと曲線状部分6a,6bとの境界Bを跨る部分では、電界に乱れが生じたり、電界が集中したりする傾向がある。そのため、他の部分に比してブレークダウンが発生し易い。そこで、本実施形態では、少なくとも直線状部分5a,5bと曲線状部分6a,6bとの境界Bを跨るように第2ボディ部分42を形成している。これにより、直線状部分5a,5bと曲線状部分6a,6bとの境界Bを跨る部分でブレークダウンが発生したとしても、そのブレークダウンは、半導体装置1の特性に影響を殆ど与えない第2ボディ部分42で生じることになる。このように、ブレークダウンが発生し易い箇所に第2ボディ部分42を設けることにより、第1ボディ部分41でのブレークダウンの発生を抑制しつつ、ブレークダウンによるゲート絶縁膜11の破損に起因する特性の変動を効果的に抑制できる。
【0057】
また、本実施形態では、第2ボディ部分42のpn接合部42aを、ゲート絶縁膜11と、ゲート電極14におけるドレイン領域9側の端部との間に位置させているので、第2ボディ部分42のpn接合部42aでの電界強度を高めることができる。これにより、第1ボディ部分41での電界強度をより一層相対的に低減できる。その結果、第1ボディ部分41でのブレークダウンの発生を効果的に回避または抑制しつつ、ブレークダウンによるゲート絶縁膜11の破損に起因する特性の変動を効果的に抑制できる。
【0058】
また、平面視において、エピタキシャル層3におけるソース配線32の周縁32aおよびドレイン配線33の周縁33aがボディ領域4を横切る部分では、電界に乱れが生じたり、電界が集中したりする傾向がある。そのため、他の部分に比してブレークダウンが発生し易い。そこで、本実施形態では、少なくとも平面視においてソース配線32の周縁32aおよびドレイン配線33の周縁33aがボディ領域4を横切る部分に第2ボディ部分42を形成している。これにより、ソース配線32の周縁32aおよびドレイン配線33の周縁33aがボディ領域4を横切る部分でブレークダウンが発生したとしても、そのブレークダウンは、半導体装置1の特性に影響を殆ど与えない第2ボディ部分42で生じることになる。これにより、他の部分でのブレークダウンの発生を抑制しつつ、ブレークダウンに起因する半導体装置1の特性の変動を効果的に抑制できる。
【0059】
また、本実施形態では、エピタキシャル層3の表面部にリサーフ層13が形成されている。所定のドレイン・ソース間電圧V
DSが印加されると、リサーフ層13とエピタキシャル層3との間に形成されたpn接合部から空乏層が拡がり、リサーフ層13が形成されたエピタキシャル層3の表面部全域を速やかに空乏化できる。これにより、エピタキシャル層3における電界を緩和できるので、第2ボディ部分42により第1ボディ部分41でのブレークダウンの発生を効果的に回避または抑制しつつ、半導体装置1全体でブレークダウンの発生を抑制できる。
【0060】
<第2実施形態>
図5は、本発明の第2実施形態に係る半導体装置51の平面図であって、LOCOS膜12上の構成の図示を省略して内部の構成を示している。
図5において、前述の
図2等に示された各部に対応する構成には同一の参照符号を付して、説明を省略する。
半導体装置51は、ボディ領域4における一対の直線状部分5a,5bに形成された第2ボディ部分42をさらに含む。より具体的には、半導体装置51は、ボディ領域4におけるソース領域7とドレイン領域9との間の領域に交互に形成された複数の第1ボディ部分41および平面視矩形状の複数の第2ボディ部分42を含む。
【0061】
第2ボディ部分42は、平面視における直線状部分5a,5bに沿う方向に関して、ソース領域7の幅W
4よりも狭い幅W
5で形成されている。この直線状部分5a,5bに形成された第2ボディ部分42において、ゲート電極14がゲート絶縁膜11を介して対向する領域にはチャネル43が形成されるが、ゲート電極14(被覆部15)がLOCOS膜12を介して対向する領域にはチャネル43は殆ど形成されない。したがって、この直線状部分5a,5bにおいて、第2ボディ部分42は、エピタキシャル層3との間で電流経路を形成しない。
【0062】
以上、本実施形態によっても、前述の第1実施形態において述べた効果と同様の効果を奏することができる。また、本実施形態によれば、ボディ領域4におけるソース領域7とドレイン領域9との間の領域に、複数の第1ボディ部分41と、複数の第2ボディ部分42とが形成されている。この構成によれば、互いに対向するソース領域7とドレイン領域9との間の領域において、第1ボディ部分41がブレークダウンするリスクを効果的に低減できる。また、直線状部分5a,5bにおいて、複数の第2ボディ部分42でブレークダウンさせることができるので、ブレークダウンによる負荷を複数の第2ボディ部分42に分散させることができる。これにより、第2ボディ部分42一つあたりの負荷を低減できるので、ブレークダウンに起因するゲート絶縁膜11の損傷等を効果的に抑制できる。
【0063】
<第3実施形態>
図6は、本発明の第3実施形態に係る半導体装置52の平面図であって、LOCOS膜12上の構成の図示を省略して内部の構成を示している。
図5において、前述の
図2等に示された各部に対応する構成には同一の参照符号を付して、説明を省略する。
半導体装置52は、平面視において環状のボディ領域4およびソース領域7を含む。ボディ領域4は、その環状に沿うように配置された複数(本実施形態では、8個)の第1ボディ部分41と複数(本実施形態では、8個)の第2ボディ部分42とを含む。そして、複数の第1ボディ部分41と複数の第2ボディ部分42とが、それぞれ等間隔に形成されている。平面視において、複数の第1ボディ部分41は、等しい幅で形成されている。第1ボディ部分41は、チャネル43の形成によりエピタキシャル層3との間で電流経路を形成する。
【0064】
複数の第2ボディ部分42は、等しい幅(大きさ)で平面視略三角形状に形成されている。第2ボディ部分42において、ゲート電極14がゲート絶縁膜11を介して対向する領域にはチャネル43が形成されるが、ゲート電極14(被覆部15)がLOCOS膜12を介して対向する領域にはチャネル43は殆ど形成されない。したがって、第2ボディ部分42は、エピタキシャル層3との間で電流経路を形成しない。このような第2ボディ部分42は、少なくとも一つ以上形成されていればよく、上記個数に限定されない。
【0065】
このような構成によっても、前述の各実施形態において述べた効果と同様の効果を奏することができる。
<さらに他の実施形態>
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は、さらに他の形態で実施することもできる。
【0066】
たとえば、前述の各実施形態では、半導体装置1,51,52が、平面視において直線状部分5a,5bおよび曲線状部分6a,6bを有する略長円環状のボディ領域4を含む例について説明した。しかし、半導体装置1,51,52は、略円環状のボディ領域4を含んでいてもよい。略円環状のボディ領域4を含む例として、
図7に示す半導体装置53が採用されてもよい。
図7では、前述の半導体装置52の変形例として、半導体装置53を示している。略円環状のボディ領域4の場合、ソース領域7、ボディコンタクト領域8、ドレイン領域9、LOCOS膜12等の構成も略円環状のボディ領域4に対応した形状で形成されている。
【0067】
また、半導体装置1,51,52は、略長円環状(すなわち無端状)のボディ領域4に代えて、有端帯状のボディ領域4を含んでいてもよい。有端帯状のボディ領域4を含む例として、
図8に示す半導体装置54が採用されてもよい。
図8では、前述の半導体装置51の変形例として、半導体装置54を示している。有端帯状のボディ領域4の場合、ソース領域7、ボディコンタクト領域8、ドレイン領域9、LOCOS膜12等の構成も有端帯状のボディ領域4に対応した形状で形成されている。
【0068】
また、前述の各実施形態では、半導体装置1,51,52が厚い絶縁膜の一例としてのLOCOS膜12を含む例について説明した。半導体装置1,51,52は、LOCOS膜12に代えて、STI(Shallow Trench Isolation)を含んでいてもよい。厚い絶縁膜がSTIである場合、半導体装置1,51,52は、ゲート絶縁膜11とドレイン領域9との間でエピタキシャル層3を掘り下げて形成された平面視環状のトレンチと、トレンチに埋設された絶縁体とを含む。絶縁体は、エピタキシャル層3上で、ゲート絶縁膜11と一体的に形成されていてもよい。絶縁体としては、酸化シリコンや窒化シリコン等を例示できる。その他、素子分離技術により形成される絶縁膜は「厚い絶縁膜」として適切である。
【0069】
また、前述の各実施形態では、第2ボディ部分42が、第2高濃度領域45と、低濃度領域46とを含む例について説明した(
図4参照)。しかし、第2ボディ部分42は、第1高濃度領域44をさらに含んでいてもよい。また、ボディ領域4が一様な不純物濃度で形成されることにより、第1ボディ部分41および第2ボディ部分42が同一の一様な不純物濃度を有していてもよい。また、第1ボディ部分41および第2ボディ部分42は、互いに異なる一様な不純物濃度を有していてもよい。この場合、第2ボディ部分42は、第1ボディ部分41よりも低い不純物濃度を有していてもよい。
【0070】
また、前述の各実施形態では、半導体装置1,51,52が、平面視環状に連続的に形成された一つのボディ領域4を含む例について説明した。しかし、半導体装置1,51,52は、複数の部分に分割されて断続的に形成されたボディ領域4を含んでいてもよい。この場合、ボディ領域4は、LOCOS膜12の外周縁に沿う帯状の領域において、複数の部分に分割されて断続的に形成されていてもよい。
【0071】
また、前述の各実施形態において、半導体基板2の導電型をp型として説明したが、半導体基板2の導電型を反転してn型としてもよい。この場合、半導体基板2の導電型の変更に応じて、その他の領域の導電型も反転すればよい。
また、前述の各実施形態では、半導体装置1,51,52が一つの平面視環状のボディ領域4を備える一つのLDMIS領域を含む構成について説明した。しかし、半導体装置1,51,52は、互いに間隔を空けて形成された複数の平面視環状のボディ領域4を備えることにより、互いに間隔を空けて形成された複数のLDMIS領域を含んでいてもよい。
【0072】
また、前述の各実施形態において、半導体装置1,51,52は、LDMIS領域に加えて、CMIS(Complementary MIS)領域、BJT(Bipolar Junction Transistor)領域、JFET(Junction Field Effect Transistor)領域、コンデンサ領域、抵抗領域等の各種半導体素子領域および/または受動素子領域を含んでいてもよい。さらに、半導体装置1,51,52は、LDMIS領域とこれらの半導体素子領域および/または受動素子領域との組み合わせによって、LSI(Large Scale Integration)、SSI(Small Scale Integration)、MSI(Medium Scale Integration)、VLSI(Very Large Scale Integration)、ULSI(Ultra-Very Large Scale Integration)等の集積回路を構成していてもよい。
【0073】
LDMIS領域を有する半導体装置の一つの具体例を以下に説明する。
図9は、LDMIS領域を内蔵する半導体装置の一例であるゲートドライバIC60を備えた回路(この実施形態では電源回路)を示す。この電源回路は、負荷を駆動するためのパワースイッチング回路61を含む。パワースイッチング回路61は、高電圧電源(たとえば600V以下)とグランド電位との間に直列に接続されたハイサイドパワーデバイスQH(上アーム)およびローサイドパワーデバイスQL(下アーム)とを含むハーフブリッジ回路からなる。一対のパワーデバイスQH,QLの間の接続点62に負荷が接続される。パワーデバイスQH,QLは、たとえばパワーMOSFET(Metal-Oxide-Semiconductor Field-Effect Transistor)、IGBT(Insulated-Gate Bipolar Transistor)などのスイッチング素子である。ゲートドライバIC60は、制御電圧電源から与えられる制御電圧Vccにより動作し、パワーデバイスQH,QLのゲートにオン/オフ制御信号を入力する。
【0074】
ゲートドライバIC60は、ハイサイドパワーデバイスQHのゲートに接続されるハイサイドゲート駆動信号出力端子HOと、ローサイドパワーデバイスQLのゲートに接続されるローサイドゲート駆動信号出力端子LOと、ハイサイドゲート駆動信号出力端子HOに対応した論理入力信号Hinが入力されるハイサイド駆動信号入力端子HINと、ローサイドゲート駆動信号出力端子LOに対応した論理入力Linが入力されるローサイド駆動信号入力端子LINとを含む。ゲートドライバIC60は、さらに、ハイサイドフローティング電源端子VBと、ハイサイドフローティングリターン端子VSと、ローサイド電源端子VCCと、ローサイドリターン端子COMとを備えている。
【0075】
図10は、ゲートドライバIC60の内部に備えられる電気回路の一例を示す。ゲートドライバIC60の内部回路は、ローサイドゲート駆動信号入力端子LINに対応して、シュミットトリガ71L、遅延回路72L、NORゲート73L、ローサイド電流バッファ回路74Lおよび低電圧検出回路75Lを含む。さらに、ゲートドライバIC60の内部回路は、ハイサイドゲート駆動信号入力端子HINに対応して、シュミットトリガ71H、パルスジェネレータ76H、高電圧レベルシフタ77H、パルスフィルタ78H、SRフリップフロップ79H、ハイサイド電流バッファ回路74Hおよび低電圧検出回路75Hを含む。パルスフィルタ78H、SRフリップフロップ79H、ハイサイド電流バッファ回路74Hおよび低電圧検出回路75Hは、動作電圧が比較的高いハイサイド回路80Hを構成する。一方、シュミットトリガ71L,71H、遅延回路72L、NORゲート73L、ローサイド電流バッファ回路74L、低電圧検出回路75Lおよびパルスジェネレータ76Hは、動作電圧が比較的低いローサイド回路80Lを構成する。ローサイド回路80Lは、0Vを基準電位として動作する回路であるのに対して、ハイサイド回路80Hは、基準電位が0〜数百Vに変化しながら動作する回路である。高電圧レベルシフタ77Hは、入力側の回路(ローサイド回路80Lに含まれる回路)と、ハイサイド回路80Hとをインタフェースするレベルシフト回路であり、ローサイド回路80Lからハイサイド回路80Hへの信号伝達の機能を担う。
【0076】
高電圧レベルシフタ77Hには、たとえば2つの高耐圧NDMOS(Nチャンネル型Diffused MOS)81,82が用いられる。これらの高耐圧NDMOS81,82を2つのLDMIS領域でそれぞれ構成することができる。
図11は、ゲートドライバIC60を構成する半導体チップ90内の領域配置の一例を示す。半導体チップ90は、ハイサイド回路80Hが形成されるハイサイド領域91Hと、ローサイド回路80Lが形成されるローサイド領域91Lと、高電圧レベルシフタ77Hを構成する2つのLDMIS領域92とを含む。ハイサイド領域91Hは、ローサイド領域91Lに取り囲まれるように配置されており、ローサイド領域91Lから電気的に分離されている。具体的には、ハイサイド領域91Hとローサイド領域91Lとの境界部には、それらの領域を互いに分離する分離領域91Iが配置されている。分離領域91Iは、誘電体で構成されていてもよいし、pn接合で形成されていてもよい。分離領域91Iは、平面視において、ハイサイド領域91Hを取り囲むように連続した環状に形成されている。そして、2つのLDMIS領域92が、ローサイド領域91L内、すなわち、ハイサイド領域91Hの外に互いに近接して配置されている。より具体的には、2つのLDMIS領域92は、ローサイド領域91L内においてハイサイド領域91Hの近傍に配置されている。
【0077】
図12は、ゲートドライバIC60を構成する半導体チップ90内の領域配置の他の例を示す。ハイサイド領域91Hは、ローサイド領域91Lに取り囲むように配置されている。ハイサイド領域91Hとローサイド91L領域との境界部には、それらの領域を互いに分離する分離領域91Iが配置されている。分離領域91Iは、誘電体で構成されていてもよいし、pn接合で形成されていてもよい。分離領域91Iは、平面視において、ハイサイド領域91Hを取り囲むように連続した環状に形成されている。そして、2つのLDMIS領域92がそれぞれ分離領域91Iを跨ぐように形成されている。たとえば、LDMIS領域92は、前述の
図8に示した構造を有し、ハイサイド領域91H側にドレインを配置し、ローサイド領域91L側にソースを配置し、分離領域91Iにソース−ドレイン間の領域を配置して構成されていてもよい。
【0078】
以上に述べた実施形態の他にも、特許請求の範囲に記載された事項の範囲で種々の設計変更を施すことが可能である。