【解決手段】実施形態の一態様に係るスピーカは、圧電アクチュエータと、複数の振動板とを備える。圧電アクチュエータは、与えられた電圧に応じて伸縮する。複数の振動板は、圧電アクチュエータの伸縮に応じて、それぞれ異なる共振周波数で振動して音を発生する。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、添付図面を参照して、本願の開示するスピーカの実施形態を詳細に説明する。なお、以下に示す実施形態によりこの発明が限定されるものではない。
【0010】
<1.第1の実施形態>
図1は、第1の実施形態にかかるスピーカ100の構成例を示す図である。
図1Aは、スピーカ100の斜視図である。
図1Bはスピーカ100の上面図であり、
図1Cは
図1Bの線X1におけるスピーカ100の断面図である。
【0011】
図1Aには、図中上向きを正方向とし、図中下向きを負方向とするZ軸を含む3次元の直交座標系を図示している。かかる直交座標系は、以下の説明に用いる他の図面においても示す場合がある。
【0012】
図1に示すように、スピーカ100は、フレーム10と、複数の振動板20A、20Bと、圧電アクチュエータ30とを備える。
【0013】
振動板20A、20Bは、圧電アクチュエータ30の伸縮に応じて振動し、音を発生する板状の部材である。振動板20A、20Bは、略長方形の振動面を有する。振動板20A、20Bは、各振動面が略同一平面(
図1のX−Y平面)になるように配置される。
図1Bに示す例では、振動板20A、20Bは、ギャップG離して配置される。
【0014】
振動板20A、20Bは、互いに共振周波数が異なる。振動板20A、20Bは、例えばアルミニウム、鉄、銅などの金属、ABS樹脂、アクリル樹脂、ポリカーボネートなどの樹脂、紙及び木材などの素材で構成される。このとき、振動板20A、20Bの共振周波数を互いに異なるものにするためには、例えば振動板20Aと振動板20Bとを異なる素材で構成すればよい。
【0015】
振動板20A、20Bは、共振周波数が大きく異なることが望ましい。このため、振動板20A、20Bの一方が金属の場合は、他方は金属以外の素材(例えば樹脂など)とすることが望ましい。なお、振動板20A、20Bの共振周波数が互いに異なるのであれば、振動板20A、20Bの双方を金属としてもよく、樹脂としてもよい。
【0016】
あるいは、振動板20A、20Bの形状や大きさによって共振周波数が互いに異なるようにしてもよい。この場合、振動板20A、20Bを同一の素材(例えばアルミニウムなど)としてもよい。あるいは、振動板20A、20B及び圧電アクチュエータ30の位置関係を調整することで、振動板20A、20Bの共振周波数が互いに異なるようにしてもよい。
【0017】
フレーム10は、略長方形の底面10Aと枠状の支持壁10Bを有する。フレーム10は、底面10Aと対向する面が開口した箱型の部材である。フレーム10は、スピーカ100の配置対象に固定される。例えば、配置対象が車両の車室内のインストルメントパネルの場合には、フレーム10がインストルメントパネルに固定される。
【0018】
支持壁10Bは、振動板20A、20Bの互いに近接する辺を除く外周部と接する。これにより、支持壁10Bは、振動板20A、20Bを支持する。このように、フレーム10の支持壁10Bは、振動板20A、20Bで形成される領域の最外周部を支持する。以下、支持壁10Bと接する振動板20A、20Bの外周部を固定端、支持壁10Bと接していない振動板20A、20Bの外周部を自由端とも称する。
【0019】
圧電アクチュエータ30は、与えられた電圧に応じて長手方向(X軸方向)に伸縮する。例えば
図1に示す圧電アクチュエータ30は、1枚の圧電素子で構成されるモノモルフ型のアクチュエータである。
【0020】
図1Cに示すように、圧電アクチュエータ30は、フレーム10と振動板20A、20Bとで形成される空間内に設けられる。また、
図1Bに示すように、圧電アクチュエータ30は、振動板20A、20Bによって形成される領域の略中央に設けられる。
【0021】
圧電アクチュエータ30は、略長方形の主面を有しており、主面が振動板20Aの振動面及び振動板20Bの振動面にそれぞれ接するように配置される。これにより、圧電アクチュエータ30の伸縮に応じて、振動板20A、20Bの両方が振動し、振動板20A、20Bから音が発生する。
【0022】
なお、ここでは圧電アクチュエータ30をモノモルフ型のアクチュエータであるとしたが、これに限られない。例えば、バイモルフ型のアクチュエータでもよく、積層型のアクチュエータでもよい。
【0023】
続いて、
図2を用いて、スピーカ100の動作について説明する。
図2Aは、複数の振動板20A、20Bをそれぞれ振動させた場合の音圧周波数特性の一例を示す図である。
図2Bは、第1の実施形態にかかるスピーカ100の音圧周波数特性の一例を示す図である。なお、
図2の横軸は周波数、縦軸は音圧を示している。
【0024】
また、
図2Aの実線は、振動板20Aを振動させた場合の音圧周波数特性の一例を示しており、点線は、振動板20Bを振動させた場合の音圧周波数特性の一例を示している。
【0025】
例えば、
図2Aの例では、振動板20Aを振動させた場合、周波数F1で音圧が小さくなるディップが発生し、周波数F2で音圧が大きくなるピークが発生する。一方、振動板20Bを振動させた場合、周波数F1で音圧が大きくなるピークが発生し、周波数F2付近で音圧が小さくなるディップが発生している。
【0026】
図2Aに示すように、複数の振動板20A、20Bをそれぞれ単体で振動させた場合、音圧周波数特性のピークディップが大きくなり、音質が劣化する。そこで、本実施形態のスピーカ100では、複数の振動板20A、20Bを圧電アクチュエータ30で振動させる。これにより、振動板20A、20Bの音圧周波数特性のピークディップが互いに打ち消されあって、スピーカ100の音圧周波数特性は、
図2Bに示すように平坦となる。
【0027】
このように、本実施形態にかかるスピーカ100は、同一平面に配置した振動板20A、20Bを圧電アクチュエータ30によって振動させることで、スピーカ100の音圧周波数特性を平坦化することができる。これにより、スピーカ100は、音質の劣化を抑制することができる。
【0028】
また、本実施形態にかかるスピーカ100では、振動板20A、20BをギャップG離して配置し、振動板20A、20Bによって形成される領域の最外周部を支持壁10Bで支持するようにしている。これにより、振動板20A、20Bの互いに近接する外周部が自由端となり、振動板20A、20Bが共振しやすくなる。すなわち、振動板20A、20Bの共振モードの種類が増加する。
【0029】
例えば、振動板20A、20Bの共振周波数が近い場合、すなわち振動板20A、20Bそれぞれを振動させたときの音圧周波数特性が似ている場合、単に振動板20A、20Bを同時に振動させたとしても音圧周波数特性のピークディップが互いに打ち消されない場合がある。
【0030】
このような場合であっても、上述したように振動板20A、20Bの互いに近接する外周部を自由端とすることで、振動板20A、20Bの共振モードの種類を増加させることができる。これにより、振動板20A、20Bをそれぞれ異なる共振モードで振動させることができるようになり、スピーカ100の音圧周波数特性のピークディップの数を減少させることができる。このように、振動板20A、20Bが自由端を有することで、スピーカ100の音圧周波数特性を平坦化することができ、音質の劣化を抑制することができる。
【0031】
なお、上述した実施形態では、複数の振動板20A、20Bが2枚である場合について説明したが、振動板の数はこれに限られない。振動板の枚数は2枚以上であればよい。また、振動板20A、20Bそれぞれを一種類の素材で構成する場合について説明したが、複数の素材を組み合わせて各振動板20A、20Bを構成してもよい。例えば、異なる素材の板を貼り合わせて各振動板20A、20Bを構成してもよい。
【0032】
上述した実施形態では、振動板20A、20Bの形状が長方形状である場合について説明したが、これに限られない。例えば振動板20A、20Bは、楕円形状の板を二つに分割した形状であってもよい。また、振動板20A、20Bは同じ形状でなくともよく、同じ大きさでなくともよい。
【0033】
また、上述した実施形態では、圧電アクチュエータ30を振動板20A、20Bによって形成される領域の略中央に配置する場合について説明したが、これに限られない。例えば、圧電アクチュエータ30を振動板20A寄りに配置することで、圧電アクチュエータ30と振動板20Aとが接する面積を、圧電アクチュエータ30と振動板20Bとが接する面積より大きくするようにしてもよい。このように、圧電アクチュエータ30と振動板20A、20Bとが接する面積をそれぞれ異なる大きさとすることで、振動板20A、20Bの共振周波数をそれぞれ異ならせるようにしてもよい。
【0034】
また、振動板の最外周部の固定端よりも自由端の方が、最外周部付近が振動する振動モードの周波数において振幅が大きくなる。このため、自由端を備えた方が、いくつかの共振周波数で音圧を高くすることができる。
【0035】
また、高い周波数の音を再生し、低い周波数の音を抑制する場合には、1枚一体振動板とするよりも2枚に分割し、各々の振動板の最長部分(図におけるX方向)の長さを短くし、形状剛性を高めることで共振周波数を高い周波数領域で実現できる(すなわち、最も低い共振周波数を1枚一体振動板よりも高くする)。また、不要な低い周波数の音の再生を抑制できる。
【0036】
なお、単に1枚のままで振動板を小型にすれば(すなわち、最長部分を短く)、共振周波数を低減できるが、1枚振動板よりも面積が縮小されるので音圧が低下することとなる。振動板を小さく2枚に分割することで、共振周波数を高く維持しながら、かつ合計の面積を1枚振動板と同等に保つことにより、音圧低下を防止できる。
【0037】
また、上述した実施形態では、振動板20Aと20Bとが同一の特性であっても、振動板の一部が自由端であるため共振時の振幅が大きくなり、全周固定されている場合に比較して音圧を高くできる。
【0038】
また、上述した実施形態では、各々の振動板の最長部分が分割されない振動板の最長部分よりも小さくなることにより、共振周波数のうち最も低い共振周波数が、分割されない振動板と比較して高くなる。このため、低い周波数の再生が不要な場合の音質調整を、分割されない振動板と同等の面積を維持し、音圧を低下させずに実現できる。
【0039】
<2.第2の実施形態>
図3は、第2の実施形態にかかるスピーカ110の構成例を示す図である。
図3Aはスピーカ110の上面図であり、
図3Bは
図3Aの線X1におけるスピーカ110の断面図である。スピーカ110は、制振材40を有する点を除き、
図1のスピーカ100と同じ構成であるため、同一の構成要素には同一符号を付し説明を省略する。
【0040】
制振材40は、複数の振動板20A、20Bの間に設けられる。制振材40は、振動板20A、20Bの互いに近接する外周部それぞれに接する。
図3に示すように、制振材40は、略直方体形状を有している。制振材40は、振動板20A、20Bの間のギャップGをふさぐように、フレーム10と振動板20A、20Bとで形成される空間外に設けられる。
【0041】
図3Aに示すように、制振材40の長手方向(Y軸方向)の長さは、振動板20A、20Bの自由端の長さと同じである。また、
図3Bに示すように、制振材40は、圧電アクチュエータ30と、振動板20A、20Bを挟んで対向するように配置される。制振材40は、振動板20A、20Bの自由端における振動を例えば熱エネルギーに変換し吸収する。
【0042】
ここで、制振材40を振動板20A、20Bの支持壁10Bと接していない外周部に設ける点について説明する。振動板20A、20Bの固定端は、支持壁10Bと接しているため大きく振動しない。一方、振動板20A、20Bの自由端は、制振材40を設けない場合、自由に振動することができる。そのため、周波数によっては振動板20A、20Bの自由端が大きく振動し、スピーカ110の音圧周波数特性に過度のピークが発生する場合がある。
【0043】
そこで、本実施形態にかかるスピーカ110では、振動板20A、20Bの自由端に制振材40を設けることで、自由端に発生する共振を適度に抑制する。これにより、スピーカ110の音圧周波数特性に発生する過度のピークを抑制することができ、音質の劣化を抑制することができる。
【0044】
なお、ここでは、制振材40の長手方向の長さが、振動板20A、20Bの自由端の長さと同じである場合について説明したが、これに限られない。制振材40によって振動板20A、20Bの自由端に発生する共振を適度に抑制できればよく、制振材40の長手方向の長さが振動板20A、20Bの自由端の長さより短くても長くてもよい。
【0045】
また、制振材40の形状は直方体形状に限られず、どのような形状であってもよい。さらに、制振材40が複数あってもよい。例えば、複数の制振材40をギャップGに沿って配置するようにしてもよい。
【0046】
あるいは、制振材40が、振動板20Aの自由端に接する第1制振材と、振動板20Bの自由端に接する第2制振材とを有するようにしてもよい。このように、振動板20A、20B外周部それぞれに接する第1、第2制振材をそれぞれ設けることで、例えば振動板20A、20Bの素材や共振周波数に応じた制振材をそれぞれ選択することができる。
【0047】
<3.第3の実施形態>
図4は、第3の実施形態にかかるスピーカ120の構成例を示す図である。
図4Aはスピーカ120の上面図であり、
図4Bはスピーカ120の側面図である。なお、
図1のスピーカ100と同一の構成要素には同一の符号を付し説明を省略する。
【0048】
図4に示すように、スピーカ120は、フレーム11と、振動板21と、圧電アクチュエータ30とを備える。
【0049】
振動板21は、圧電アクチュエータ30の伸縮に応じて振動し、音を発生する板状の部材である。振動板21は、略長方形の振動面を有する。振動板21は、例えばアルミニウム、鉄、銅などの金属、ABS樹脂、アクリル樹脂、ポリカーボネートなどの樹脂、紙及び木材などの素材で構成される。
【0050】
フレーム11は、略長方形の底面11Aと枠状の支持壁11Bを有する。フレーム11は、底面11Aと対向する面が開口した箱型の部材である。支持壁11Bは、振動板21の外周部の一部を支持する。具体的には、支持壁11Bは、複数の支持部材11Cを有しており、複数の支持部材11Cを介して振動板21を支持する。
【0051】
複数の支持部材11Cは、支持壁11Bと同じ厚み及び所定の高さを有する略直方体形状の部材である。複数の支持部材11Cは、支持壁11Bと一体形成される。また、
図4の例では、複数の支持部材11Cはそれぞれ支持壁11Bの各辺の略中央に設けられる。
【0052】
図4に示すように、本実施形態では、支持壁11Bの支持部材11Cが振動板21の外周部の一部を支持する。これにより、振動板21の外周部のうち各辺の略中央は、複数の支持部材11Cによって固定される。以下、支持部材11Cが支持する振動板21の外周部を振動板21の固定端とも称する。一方、各辺の角部は、複数の支持部材11Cによって固定されず、自由に振動する。以下、振動板21の外周部のうち、支持部材11Cと接していない部分を振動板21の自由端とも称する。
【0053】
振動板21の外周部のうち、支持部材11Cと接していない自由端が、接している固定端と比べて共振しやすくなり、振動板21の共振モードの種類が増加する。このため、スピーカ120の音圧周波数特性のピークディップの数が減少し、平坦化する。また、動板21の外周部のうち、支持部材11Cと接していない自由端が、接している固定端と比べて振動板21の共振時の振幅が大きくなる。このため、スピーカ120の音圧を高めることができる。
【0054】
このように、支持壁11Bの支持部材11Cが振動板21の外周部の一部を支持することで、スピーカ120の音圧周波数特性を平坦化することができ、音質の劣化を抑制することができる。また、支持壁11Bの支持部材11Cが振動板21の外周部の一部を支持することで、スピーカ120のいくつかの共振周波数で音圧を高めることができる。
【0055】
なお、一般的に圧電素子単体では振幅が小さい。このため、圧電素子を用いたスピーカは音圧が低くなる。本実施の形態のように、自由端を備えた構成は、固定端と比較して振幅が大きくなり、音圧を高めることができる。
【0056】
なお、ここでは、複数の支持部材11Cの数が4個の場合について説明したが、複数の支持部材11Cの数はこれに限られない。複数の支持部材11Cによって振動板21を支持できればよく、4個より多くても少なくてもよい。
【0057】
また、複数の支持部材11Cの配置は、支持壁11Bの各辺の中央に限られない。例えば、複数の支持部材11Cを支持壁11Bの各辺の角部に設けてもよい。振動板21の角部は、各辺の中央部に比べて振動しやすい。そこで、複数の支持部材11Cを支持壁11Bの各辺の角部に設けることで、当該角部における過度の共振を抑制することができ、スピーカ120の音圧周波数特性の過度のピークを抑制することができる。また、支持壁11Bを各辺の中央部に設けた場合と比較して共振周波数の種類が異なるため、支持壁11Bを設ける位置を変えることにより、スピーカ120の音圧周波数特性を変えることができ、スピーカ120に要求される性能に応じて音質を調整できる。
【0058】
複数の支持部材11Cの形状は略直方体形状に限られない。例えば、複数の支持部材11Cを支持壁11Bの各辺の角部に設ける場合に、支持壁11Bの角部にあわせてL字形状としてもよい。あるいは、支持部材11Cの形状は、例えば支持壁11Bと接する面積が、振動板21と接する面積より大きい略台形状であってもよい。
【0059】
このように、複数の支持部材11Cの個数、配置あるいは形状は、スピーカ120の音圧周波数特性に合わせて適宜変更することができる。
【0060】
<3−1.変形例1>
なお、
図4では、振動板21が1枚の場合について説明したが、振動板の枚数は複数であってもよい。
図5に複数の振動板20A、20Bを有するスピーカ130を示す。
図5Aは変形例1にかかるスピーカ130の上面図であり、
図5Bはスピーカ130の側面図である。
【0061】
図5に示すスピーカ130は、
図1に示すスピーカ100と同様に、振動板20A、20Bを有する。このように、複数の振動板20A、20Bを複数の支持部材11Cで支持するようにしてもよい。これにより、複数の振動板20A、20Bの自由端の数を増加させることができる。
【0062】
なお、複数の支持部材11Cの個数、配置あるいは形状は、振動板20A、20Bの音圧周波数特性に合わせて適宜変更することができる。複数の支持部材11Cの個数や配置等を変更することで、例えば振動板20A、20Bが同じ素材であっても共振周波数を異ならせることができる。
【0063】
また、
図5では、
図1に示すスピーカ100のフレーム10を、
図4に示すフレーム11に置き換えた場合について説明したがこの限りではない。例えば
図3に示すスピーカ110のフレーム10を
図4に示すフレーム11に置き換えてもよい。あるいは後述する実施形態の各スピーカに適用してもよい。
【0064】
<4.第4の実施形態>
図6は、第4の実施形態にかかるスピーカ140の構成例を示す図である。
図6Aはスピーカ140の上面図であり、
図6Bは
図6Aの線X1におけるスピーカ140の断面図である。なお、他の実施形態と同一の構成要素には同一の符号を付し説明を省略する。
【0065】
図6に示すように、スピーカ140は、フレーム10と、振動板21と、圧電アクチュエータ30と、支持制振材50とを備える。
【0066】
支持制振材50は、支持壁10Bと同じ厚み及び所定の高さを有する枠状の制振材である。支持制振材50は、振動板21と支持壁10Bとの間に設けられる。支持制振材50は、振動板21の外周部を支持する。すなわち、支持壁10Bは、支持制振材50を介して振動板21の外周部を支持する。
【0067】
スピーカ140は、フレーム10、支持制振材50及び振動板21によって形成される空間を有する。また、圧電アクチュエータ30は、かかる空間内に配置される。
【0068】
このように、振動板21の外周部を支持制振材50が支持することで、振動板21の外周部の不要な共振を抑制することができる。これにより、スピーカ140の音圧周波数特性上の過度のピークを抑制することができ、音圧周波数特性を平坦化することができる。したがって、スピーカ140の音質の劣化を抑制することができる。
【0069】
なお、ここでは、振動板21が1枚の場合について説明したが、振動板の枚数は複数であってもよい。例えば、
図1、
図3に示すスピーカ100、110の支持壁10Bと複数の振動板20A、20Bとの間に支持制振材50を設けてもよい。この場合、支持制振材50は、複数の振動板によって形成される領域の最外周部と支持壁10Bとの間に配置される。
【0070】
<5.第5の実施形態>
図7は、第5の実施形態にかかるスピーカ150の構成例を示す図である。
図7Aはスピーカ150の上面図であり、
図7Bはスピーカ150の側面図である。なお、他の実施形態と同一の構成要素には同一の符号を付し説明を省略する。
【0071】
図7に示すように、スピーカ150は、フレーム10と、振動板21と、圧電アクチュエータ30と、複数の支持制振材51A〜51D(以下、支持制振材51とも称する)を備える。
【0072】
複数の支持制振材51は、フレーム10の支持壁10Bと同じ厚み及び所定の高さを有する略直方体形状の制振材である。支持制振材51は、振動板21と支持壁10Bとの間に設けられる。本実施形態では、
図7に示すように、複数の支持制振材51は、それぞれ支持壁10Bの各辺の略中央に配置される。支持壁10Bは、複数の支持制振材51を介して振動板21の外周部を支持する。
【0073】
これにより、振動板21の外周部のうち各辺の略中央は、複数の支持制振材51を介して支持壁10Bに支持される。一方、各辺の角部は、複数の支持制振材51を介して支持されず自由に振動する。
【0074】
振動板21の外周部のうち支持壁10Bに支持されていない部分は共振しやすくなり、振動板21の共振モードの種類が増加する。また、振動板21の外周部のうち支持壁10Bに支持される部分は、支持制振材51を介して支持されるため、外周部の不要な共振が抑制され、振動板21の音圧周波数特性上の過度のピークを抑制することができる。これにより、スピーカ150の音圧周波数特性を平坦化することができ、スピーカ150の音質の劣化を抑制することができる。また、振動板21の外周部のうち支持されていない部分は振幅が大きくなり、スピーカ150の音圧を高めることができる。振幅が過度の大きさとなった場合は音圧周波数特性上でピークとなるが、過大振幅時の共振の反作用を受ける支持制振材51の制振作用により、過度な振幅を抑制でき、スピーカ150の音圧周波数特性の平坦度を維持しながら、音圧を高めることができる。
【0075】
なお、ここでは、振動板21が1枚の場合について説明したが、振動板の枚数は複数であってもよい。例えば、
図1、
図3に示すスピーカ100、110の支持壁10Bと複数の振動板20A、20Bとの間に複数の支持制振材51を設けてもよい。この場合、支持制振材51は、複数の振動板によって形成される領域の最外周部と支持壁10Bとの間に配置される。
【0076】
<6.第6の実施形態>
図8は、第6の実施形態にかかるスピーカ160の構成例を示す図である。
図8Aはスピーカ160の上面図であり、
図8Bはスピーカ160の側面図である。なお、他の実施形態と同一の構成要素には同一の符号を付し説明を省略する。
【0077】
図8に示すスピーカ160は、フレーム12と、振動板21と、圧電アクチュエータ30と、複数の支持制振材52A、52B(以下、支持制振材52とも称する)とを備える。
【0078】
フレーム12は、略長方形の底面12Aと枠状の支持壁12Bを有する。フレーム12は、底面12Aと対向する面が開口した箱型の部材である。支持壁12Bは、複数の支持部材12Cを有する。
【0079】
複数の支持部材12Cは、支持壁12Bと同じ厚み及び所定の高さを有する略直方体形状の部材である。支持部材12Cの長手方向(
図8AのX軸方向)の長さは、振動板21の長手方向(
図8AのX軸方向)の長さから支持制振材52の厚みを除いた長さとほぼ同じである。
【0080】
複数の支持部材12Cは、振動板21の長手方向の外周部と支持壁12Bとの間に設けられる。
図8Aに示す例では、複数の支持部材12Cは、略平行に2つ設けられる。支持壁12Bは、複数の支持部材12Cを介して振動板21の長手方向の外周部を支持する。なお、支持部材12Cを、支持壁12Bと一体形成してもよい。
【0081】
複数の支持制振材52は、支持壁12Bと同じ厚み及び支持部材12Cと同じ高さとを有する略直方体形状の制振材である。支持制振材52の長手方向(
図8AのY軸方向)の長さは、振動板21の短手方向(
図8AのY軸方向)の長さとほぼ同じである。
【0082】
複数の支持制振材52は、振動板21の短手方向の外周部と支持壁12Bとの間に設けられる。支持壁12Bは、複数の支持制振材52を介して振動板21の短手方向の外周部を支持する。
【0083】
スピーカ160は、フレーム12、支持制振材52及び振動板21によって形成される空間を有する。また、圧電アクチュエータ30は、かかる空間内に配置される。
【0084】
このように、振動板21の外周部が支持制振材52及び支持壁12Bの両方に接することで、外周部の過度な共振が抑制され、振動板21の音圧周波数特性上の過度のピークを抑制することができる。これにより、スピーカ160の音圧周波数特性を平坦化することができ、スピーカ160の音質の劣化を抑制することができる。
【0085】
なお、ここでは、振動板21が1枚の場合について説明したが、振動板の枚数は複数であってもよい。例えば、
図1、
図3に示すスピーカ100、110の支持壁10Bと複数の振動板20A、20Bとの間に支持部材12C及び支持制振材52を設けてもよい。この場合、支持部材12C及び支持制振材52は、複数の振動板20A、20Bによって形成される領域の最外周部と支持壁12Bとの間に配置される。
【0086】
また、複数の支持部材12C及び複数の支持制振材52の個数、配置あるいは形状は、振動板21の音圧周波数特性に合わせて適宜変更することができる。さらに、
図5及び
図7に示すように、振動板21の外周部の一部が、複数の支持部材12C及び複数の支持制振材52に接しないようにすることもできる。このように、振動板21の外周部の一部と支持壁12Bとの間に隙間を設けることで、かかる振動板21の外周部の一部を共振しやすいようにしてもよい。
【0087】
<7.第7の実施形態>
図9は、第7の実施形態にかかるスピーカ170の構成例を示す図である。
図9Aはスピーカ170の上面図であり、
図9Bは
図9Aの線X1におけるスピーカ170の断面図である。
【0088】
図9に示すスピーカ170は、フレーム13と、振動板22A、22Bと、圧電アクチュエータ30A、30Bとを備える。
【0089】
振動板22Aは、圧電アクチュエータ30Aの伸縮に応じて振動し、音を発生する板状の部材である。また、振動板22Bは、圧電アクチュエータ30Bの伸縮に応じて振動し、音を発生する板状の部材である。振動板22A、22Bは、略長方形の振動面を有する。振動板22A、22Bは、各振動面が略同一平面(
図1のX−Y平面)になるように配置される。
【0090】
図9に示す振動板22A、22Bは、それぞれ異なる大きさを有する。振動板22A、22Bは、互いに共振周波数が異なる。なお、振動板22A、22Bの素材等は、
図1に示す振動板20A、20Bと同じである。
【0091】
フレーム13は、略長方形の底面13Aと、枠状の支持壁13Bと、仕切り壁13Cとを有する。フレーム13は、底面13Aと対向する面が開口した箱型の部材である。支持壁13Bは、振動板22A、22Bで形成される領域の最外周部を支持する。支持壁13Bは、振動板22A、22Bの互いに近接する辺を除く外周部と接する。
【0092】
仕切り壁13Cは、複数の振動板22A、22Bのうち少なくとも一つの振動板の外周部を支持する。
図9の例では、仕切り壁13Cは、振動板22A、22Bの互いに近接する外周部を支持する。
【0093】
仕切り壁13Cは、フレーム13及び振動板22A、22Bによって形成される空間を、圧電アクチュエータ30Aを含む第1空間と、圧電アクチュエータ30Bを含む第2空間とに分割する。これにより、スピーカ170は、第1空間と、第2空間とを有することとなる。
【0094】
仕切り壁13Cは、第1空間と第2空間とを連通させる凹部60を有する。また、凹部60は、複数の振動板22A、22Bそれぞれの外周部が仕切り壁13Cに沿った向き(
図9のY軸方向)にわたって仕切り壁13Cに接する形状である。かかる点について
図10を用いて詳細に説明する。
【0095】
図10は、凹部60の詳細を説明するための図である。
図10Aは
図9Aにおける領域R1の拡大図であり、
図10Bは、かかる領域R1をX軸方向からみた図である。
【0096】
凹部60は、仕切り壁13Cの複数の振動板22A、22B側(Z軸正方向)の端部に設けられる。すなわち、凹部60は、複数の振動板22A、22B側(Z軸正方向)が開口しており、仕切り壁13C上に振動板22A、22Bが配置されることで圧電アクチュエータ30Aを含む空間と、圧電アクチュエータ30Bを含む空間とを連通する貫通孔となる。
【0097】
図10Aに示すように、仕切り壁13Cは、凸部13D〜13Fを有する。凸部13Dは、仕切り壁13Cの厚み方向(X軸方向)の略中央に位置し、凹部60のY軸正方向から負方向へと伸びる壁である。また、凸部13E、13Fは、仕切り壁13Cの厚み方向の両端部にそれぞれ位置し、凹部60のY軸負方向から正方向へと伸びる壁である。かかる凸部13D〜13Fによって、凹部60は、折れ曲がった経路を有する。
【0098】
また、凸部13DのY軸方向の長さL1は、凹部60の仕切り壁13Cに沿った向き(Y軸方向)の幅L2以上である(L1≧L2)。なお、
図10AではL1=L2の場合を図示している。これにより、振動板22A、22Bの外周部は、仕切り壁13Cの長手方向において、仕切り壁13Cの短手方向のいずれかの位置で仕切り壁13Cと接することとなる。したがって、
図10Bに示すように、X軸方向から仕切り壁13Cをみた場合、凹部60を通して連結する空間が見えず、凹部60が凸部13Dによってふさがれているように見える。
【0099】
このように、本実施形態では、凹部60の第1空間側の開口と第2空間側の開口との間に、当該開口を遮る凸部13Dを設けることで、振動板22A、22Bの外周部が、いずれかの位置で仕切り壁13Cおよび支持壁13Bと接することになる。すなわち、振動板22A、22Bの外周部はいずれも固定端となる。
【0100】
本実施形態にかかるスピーカ170は、2つの振動板22A、22Bをそれぞれ圧電アクチュエータ30A、30Bで振動させることで、スピーカ170の音圧周波数特性として、2つの振動板22A、22Bの音圧周波数特性が重なり合った特性が得られる。したがって、スピーカ170の音圧周波数特性を平坦化することができ、スピーカ170は、音質の劣化を抑制することができる。
【0101】
また、単に仕切り壁13Cによってスピーカ170を第1空間と第2空間に分割すると、スピーカ170を動作させた場合に
図9のZ軸正方向に力が発生し、振動板22A、22Bが剥がれてしまう可能性がある。そこで、本実施形態では、仕切り壁13Cに凹部60を設ける。これにより、Z軸方向に発生する力を抑制し、振動板22A、22Bの剥離を抑制することができる。
【0102】
かかる凹部60を設ける場合に、上述したように振動板22A、22Bの外周部が、仕切り壁13Cの長手方向において、仕切り壁13Cのいずれかと接するようにする。これにより、振動板22A、22Bの外周部が、仕切り壁13C及び支持壁13Bのいずれかと接することになり、振動板22A、22Bの外周部に発生する不要な共振を抑制することができる。これにより、スピーカ170の音圧周波数特性を平坦化することができ、スピーカ170は、音質の劣化を抑制することができる。
【0103】
次に、連結孔について説明する。振動板背面の空気は、振動板を支える空気ばねとして作用する。このため、フレーム側面と底面に囲まれた空間の容積の大きさにより空気ばねの弾性率が変化(すなわち、共振点が変化)し、音圧周波数特性が変化する。良好な音圧周波数特性を得るためには、フレーム側面と底面に囲まれた空間の容積を適切にする必要がある。
【0104】
しかし、取付けスペースの制約から、スピーカ最外形の寸法が決まってしまうと、必要な容積よりも小さい容積しか得られない恐れがある。
【0105】
そこで、
図9ないし
図12に示すように、2枚の振動板の各々が別々の空気室の前に取り付けられ、両者が一体となったフレーム構造の場合、両方の空気室の仕切りに孔を開けて連結すれば、各々の振動板は隣の空気室も容積として利用できる。このため、スピーカの外形寸法を大きくせずに容積を増加させることができ、良好な音圧周波数特性を得ることができる。空気室を連結する方法は、フレームの振動板の貼付け面を確保する必要があるため、
図12に示すように仕切り壁の中央付近に孔を開けることである。
【0106】
しかし、仕切り壁の中央付近に孔を開けると、フレームを樹脂成型で製造する場合には、孔の部分が金型による形成方向(金型を抜く方向・Z方向)と直角となるため、フレームが金型で形成できない(金型から抜くことができない)。また、樹脂成型時に金型で形成できるようにすると(金型が抜けるようにすると)、孔の形状が単純な切欠状の孔(凹部)となり、振動板貼付け面に途切れができてしまう。なお、いわゆるスライド金型構造とした場合には、金型構造が複雑となり、さらにコストが上昇する。
【0107】
そこで、
図9ないし
図11に示すような構成とすることで、フレームが金型で形成でき(金型から抜けて)、振動貼付け面に途切れができることがない。
【0108】
<7−1.変形例2>
なお、かかる凹部60の形状は、
図10に示す例に限られない。例えば
図11に示すように、凹部61を仕切り壁13Cの長手方向(
図11のY軸方向)において斜めに設けてもよい。
【0109】
図11に示す仕切り壁13Cは、テーパ部13G、13Hを有する。テーパ部13G、13Hの頂部がそれぞれY軸方向において距離L3(L3≧0)だけ重複するように凹部61を設ける。これにより、X軸方向から仕切り壁13Cをみた場合、凹部61を通して連結する空間が見えず、凹部61がテーパ部13G、13Hによってふさがれているように見える。
【0110】
このように、凹部61の第1空間側の開口と第2空間側の開口とがX軸方向からみて重ならないようにすることで、振動板22A、22Bの外周部が、いずれかの位置で仕切り壁13Cおよび支持壁13Bと接するようにしてもよい。
【0111】
なお、上述した凹部60、61の形状は上述した例に限られない。振動板22A、22Bの外周部はいずれも固定端となればよく、凹部60、61が例えば複数回折れ曲がっていてもよく、曲線であってもよい。
【0112】
<7−2.変形例3>
図12は、変形例3にかかるスピーカ180の断面図である。スピーカ180は、貫通孔62を除き、
図10のスピーカ170と同じ構成であるため、同一の構成要素には同一符号を付し説明を省略する。
【0113】
貫通孔62は、仕切り壁13CのZ軸方向における略中央に設けられる。なお、貫通孔62は、
図10及び
図11に示すように平面視において折れ曲がった経路や斜めの経路を有していてもよく、X軸と平行な直線路であってもよい。
【0114】
貫通孔62を仕切り壁13Cの高さ方向(Z軸方向)における略中央に設けることで、貫通孔62の形状を適宜変更することができる。
【0115】
このように、振動板22A、22Bの外周部が、仕切り壁13Cの長手方向において、仕切り壁13Cと接していればよく、凹部60、61、貫通孔62の形状や位置は上述した例に限られない。
【0116】
また、第7の実施形態では、仕切り壁13Cによってスピーカ170を2つの空間に分割したが、これに限られない。例えば2つのスピーカを連結して一つのスピーカを形成するようにしてもよい。この場合、連結する支持壁それぞれに凹部を設けるようにすればよい。
【0117】
第7の実施形態では、振動板22A、22Bの短手方向が接するように振動板22A、22Bを配置しているが、これに限られない。振動板22A、22Bの長手方向が接するように振動板22A、22Bを配置してもよい。
【0118】
さらに、例えば
図1、
図3に示すように、振動板22A、22Bをそれぞれ複数の振動板で構成するようにしてもよい。あるいは、
図4〜
図8に示すように、フレーム13の支持壁13B及び仕切り壁13Cが、振動板22A、22Bの外周部の一部を支持するようにしてもよく、支持壁13B及び仕切り壁13Cとの間に支持制振材51、52を設けるようにしてもよい。
【0119】
<8.第8の実施形態>
図13は、第8の実施形態にかかるスピーカ190の構成例を示す図である。
図13Aは、スピーカ190の上面図であり、
図13Bはスピーカ190の側面図である。
【0120】
スピーカ190は、互いに共振モードが異なる(共振周波数が異なる)2つの振動板を重ねて配置し、振動板23Aからの音と、振動板23Bから放射されて振動板23Aを透過して出てくる音とを干渉させて、
図2A及び
図2Bで示した原理により、音圧周波数特性の平坦化を図ることを目的とする。換言すれば、前述の
図1Aないし
図1Cの構成例では、複数の振動板を横に並べて配置して
図2A及び
図2Bで示した平坦化の効果を発揮したが、
図13に示す構成例は、複数の振動板を縦に重ねて配置し、
図2A及び
図2Bで示した平坦化の効果の発揮を目的とする。なお、一方の振動板が低域周波数の再生に有利で、他方の振動板が高域周波数の再生に有利であることを示すものではない。
【0121】
また、
図2Aに示したように、複数の振動板23A及び23Bをそれぞれ単体で振動させた場合、音圧周波数特性のピークディップが大きくなり、音質が劣化する。そこで、本実施の形態のスピーカ190は、複数の振動板23A及び23BをZ方向に重ねて配置し、圧電アクチュエータ31で振動させる。これにより、振動板23A及び23Bの音圧周波数特性のピークディップが互いに打ち消し合って、スピーカ190の音圧周波数特性は、
図2Bに示すように平坦となる。
【0122】
すなわち、本実施の形態に係るスピーカ190は、振動板の面に垂直な方向に重ねて配置した振動板23A及び23Bを圧電アクチュエータ31によって振動させることで、スピーカ190の音圧周波数特性を平坦化できる。これにより、スピーカ190は、音質の劣化を抑制できる。
【0123】
図13に示すスピーカ190は、フレーム15と、振動板23A、23Bと、圧電アクチュエータ31と、複数の支持部材70A〜70D(以下、支持部材70とも称する)とを備える。フレーム15、振動板23A、23B、及び圧電アクチュエータ31は、配置を除いて
図1に示す振動板20A、20Bと同じであるため、説明を省略する。
【0124】
本実施形態にかかる振動板23A、23Bは、振動面が略平行となるように配置される。具体的には、
図13AのZ軸方向に圧電アクチュエータ31の厚みと同じだけ離して配置される。
【0125】
圧電アクチュエータ31は、振動板23A、23Bの間に設けられる。圧電アクチュエータ31は隣接する振動板23A、23Bそれぞれに接するように設けられる。具体的には、圧電アクチュエータ31は、一面と振動板23Aの振動面とが接し、当該一面と対向する対向面と振動板23Bの振動面とが接するように配置される。これにより、圧電アクチュエータ31は、振動板23A、23Bの両方を振動させる。
【0126】
支持部材70は、振動板23A、23Bの間に設けられる。支持部材70は、隣接する振動板23A、23Bそれぞれの外周部に接するように設けられる。これにより、支持部材70は、振動板23Aを支持する。また、支持部材70の厚み(Z軸方向の長さ)は、圧電アクチュエータ31の厚み(Z軸方向の長さ)とほぼ同じである。
【0127】
支持部材70は、例えばアルミニウムなどの金属、樹脂、及び木材などの素材で構成される。支持部材70は、例えばフレーム15と同じ素材で構成してもよい。あるいは、支持部材70を制振材で構成してもよい。
【0128】
フレーム15は、振動板23Bの外周部を支持する。
図13Bに示す例では、フレーム15が振動板23Bの外周部全てを支持する場合について示しているが、これに限られない。例えば
図4〜
図8に示すように、フレーム15が、振動板23Bの外周部の一部を支持するようにしてもよく、フレーム15と振動板23Bの外周部との間に支持制振材51、52を設けるようにしてもよい。
【0129】
本実施形態にかかるスピーカ190は、略平行に配置した振動板23A、23Bを圧電アクチュエータ31によって振動させることで、スピーカ190の音圧周波数特性を平坦化することができる。これにより、スピーカ190は、音質の劣化を抑制することができる。
【0130】
具体的には、フレーム15によって外周部を固定した振動板23Bが圧電アクチュエータ31の伸縮に応じて振動することによって、低い周波数領域において比較的良好な音圧が得られる。また支持部材70によって一部の外周部を固定した振動板23Aが圧電アクチュエータ31の伸縮に応じて振動することによって、高い周波数領域において比較的良好な音圧が得られる。
【0131】
したがって、圧電アクチュエータ31の伸縮に応じて振動板23A、23Bが振動することによって、広い周波数領域において良好な音圧を得ることができ、スピーカ190の音質の劣化を抑制することができる。
【0132】
また、振動板23A、23Bを略平行に配置しているため、スピーカ190を小型化することができる。さらに、支持部材70の厚みと圧電アクチュエータ31の厚みをほぼ同じにすることで、スピーカ190の厚み(
図13のZ軸方向の長さ)が増加することを抑制できる。すなわち、スピーカ190の小型化、薄型化を実現しつつ音質の劣化を抑制することができる。
【0133】
なお、支持部材70の個数、配置あるいは形状は、スピーカ190の音圧周波数特性に合わせて適宜変更することができる。また、振動板23A、23Bの大きさは、スピーカ190の音圧周波数特性に合わせて適宜変更することができる。このとき、振動板23A、23Bの大きさは必ずしも同じ大きさでなくともよい。また、振動板23A、23Bの数は2枚に限られず、2枚以上であればよい。
【0134】
<8−1.変形例4>
図14は、変形例4にかかるスピーカ200の構成例を示す上面図である。スピーカ200は、振動板24Aを除き、
図13のスピーカ190と同じ構成であるため、同一の構成要素には同一符号を付し説明を省略する。
【0135】
振動板24Aは、少なくとも一つの孔80を有する。孔80は、フレーム15の支持壁によって外周部が支持される一方の振動板23Bが発する音を、他方の振動板24Aからスピーカ200外部へと放音するための放音孔である。
【0136】
このように、スピーカ200の外側に設けられる振動板24Aに孔80を設けることによって、スピーカ200の内側に設けられる振動板23Bから発生する音の放射効率を改善することができる。
【0137】
さらなる効果や変形例は、当業者によって容易に導き出すことができる。このため、本発明のより広範な態様は、以上のように表しかつ記述した特定の詳細および代表的な実施形態に限定されるものではない。したがって、添付の特許請求の範囲およびその均等物によって定義される総括的な発明の概念の精神または範囲から逸脱することなく、様々な変更が可能である。