(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2016-214310(P2016-214310A)
(43)【公開日】2016年12月22日
(54)【発明の名称】模型車両の制御装置および模型車両制御用のコンピュータプログラム
(51)【国際特許分類】
A63H 19/24 20060101AFI20161125BHJP
【FI】
A63H19/24
【審査請求】有
【請求項の数】4
【出願形態】OL
【全頁数】25
(21)【出願番号】特願2015-99447(P2015-99447)
(22)【出願日】2015年5月14日
(11)【特許番号】特許第5987085号(P5987085)
(45)【特許公報発行日】2016年9月6日
(71)【出願人】
【識別番号】306009927
【氏名又は名称】株式会社トミーテック
(74)【代理人】
【識別番号】100101982
【弁理士】
【氏名又は名称】久米川 正光
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 守男
【テーマコード(参考)】
2C150
【Fターム(参考)】
2C150CA08
2C150CA21
2C150DA06
2C150EA03
2C150EB01
2C150EF11
2C150EF16
2C150FA12
(57)【要約】
【課題】様々なレイアウトに柔軟に対応できる拡張性の高いセクション閉塞制御を実現する。
【解決手段】
セクション判定部5fは、車両が次に進入しようとするセクションに先行車両が存在するか否かを判定する。進入条件判定部5gは、前記制約付セクションに進入しようとする場合、そのセクションにおける現在の状態が進入条件を満たすか否かを判定する。セクション制御部5bは、制約付セクションの現在の状態が進入条件を満たさない場合、進入条件を満たす状態になるまで、セクション判定部5fの判定結果に関わりなく、セクションへの対象車両の進入を許可しない。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
レイアウト上を走行する模型車両の位置を検出する位置センサからの情報に基づいて、前記レイアウトに設定されたセクションへの前記車両の進入を制御する制御装置において、
先行車両との衝突以外の要因で、セクションへの進入を阻害する状態が発生する特定のセクションを制約付セクションとし、前記制約付セクションへの進入を許可する進入条件に関する現在の状態を管理するテーブルと、
制御対象となる対象車両が次に進入しようとする第1のセクションに先行車両が存在するか否かを判定するセクション判定部と、
前記第1のセクションが前記制約付セクションである場合、前記第1のセクションにおける現在の状態が前記進入条件を満たすか否かを判定する進入条件判定部と、
前記セクション判定部の判定結果に基づいて、前記第1のセクションに所定数以上の車両を進入させない排他制御を行うとともに、前記第1のセクションが前記制約付セクションであって、かつ、その現在の状態が前記進入条件を満たさない場合、前記進入条件を満たす状態になるまで、前記セクション判定部の判定結果に関わりなく、前記第1のセクションへの前記対象車両の進入を許可しないセクション制御部と
を有することを特徴とする模型車両の制御装置。
【請求項2】
前記制約付セクションは、前記車両が走行する他の走行路と交差または一部が共用されているセクションであって、
前記進入条件は、前記他の車両が前記他の走行路に同時に進入しないことである、ことを特徴とする請求項1に記載された模型車両の制御装置。
【請求項3】
前記制約付セクションは、2つの走行路が交差したクロッシングレールを含むセクションであって、
前記進入条件は、前記クロッシングレールにおいて、前記制約付セクションに対応する一方の走行路とは異なる他方の走行路に他の車両が進入していないことである、ことを特徴とする請求項2に記載された模型車両の制御装置。
【請求項4】
前記制約付セクションは、2つの走行路が2方向に切り替わるダブルスリップポイントを含むセクションであって、
前記進入条件は、前記ダブルスリップポイントの設定方向に関わりなく、前記制約付セクションに対応する一方の走行路とは異なる他方の走行路に他の車両が進入していないことである、ことを特徴とする請求項2に記載された模型車両の制御装置。
【請求項5】
前記制約付セクションは、2つの走行路が2方向に切り替わるダブルクロッシングポイントを含むセクションであって、
前記進入条件は、前記ダブルクロッシングポイントが交差方向に設定されており、かつ、前記制約付セクションに対応する一方の走行路とは異なる他方の走行路に他の車両が進入していないことである、ことを特徴とする請求項2に記載された模型車両の制御装置。
【請求項6】
前記制約付セクションは、複数の走行路で共用されるターンテーブルに接続されたセクションであって、
前記進入条件は、前記ターンテーブルにおいて、前記制約付セクションに対応する走行路以外の走行路に他の車両が進入していないことである、ことを特徴とする請求項2に記載された模型車両の制御装置。
【請求項7】
前記制約付セクションは、前記車両とは異種の車両が走行する他の走行路と交差するセクションであって
前記進入条件は、前記他の走行路における交差部に前記異種の車両が進入していないことである、ことを特徴とする請求項2に記載された模型車両の制御装置。
【請求項8】
前記制約付セクションは、前記車両の走行とは無関係にリアルタイムで点灯色が切り替わる信号機が設置されたセクションであって、
前記進入条件は、前記信号機の点灯が赤でないことである、ことを特徴とする請求項1に記載された模型車両の制御装置。
【請求項9】
レイアウト上を走行する模型車両の位置を検出する位置センサからの情報に基づいて、前記レイアウトに設定されたセクションへの前記車両の進入を制御するコンピュータプログラムにおいて、
先行車両との衝突以外の要因で、セクションへの進入を阻害する状態が発生する特定のセクションを制約付セクションとし、前記制約付セクションへの進入を許可する進入条件に関する現在の状態を管理するステップと、
制御対象となる対象車両が次に進入しようとする第1のセクションに先行車両が存在するか否かを判定するステップと、
前記第1のセクションが前記制約付セクションである場合、前記第1のセクションにおける現在の状態が前記進入条件を満たすか否かを判定するステップと、
前記セクション判定の結果に基づいて、前記第1のセクションに所定数以上の車両を進入させない排他制御を行うとともに、前記第1のセクションが前記制約付セクションであって、かつ、その現在の状態が前記進入条件を満たさない場合、前記進入条件を満たす状態になるまで、前記セクション判定の結果に関わりなく、前記第1のセクションへの前記対象車両の進入を許可しないステップと
を有する処理をコンピュータに実行させることを特徴とする模型車両制御用のコンピュータプログラム。
【請求項10】
前記制約付セクションは、前記車両が走行する他の走行路と交差または一部が共用されているセクションであって、
前記進入条件は、前記他の車両が前記他の走行路に同時に進入しないことである、ことを特徴とする請求項9に記載された模型車両制御用のコンピュータプログラム。
【請求項11】
前記制約付セクションは、2つの走行路が交差したクロッシングレールを含むセクションであって、
前記進入条件は、前記クロッシングレールにおいて、前記制約付セクションに対応する一方の走行路とは異なる他方の走行路に他の車両が進入していないことである、ことを特徴とする請求項10に記載された模型車両制御用のコンピュータプログラム。
【請求項12】
前記制約付セクションは、2つの走行路が2方向に切り替わるダブルスリップポイントを含むセクションであって、
前記進入条件は、前記ダブルスリップポイントの設定方向に関わりなく、前記制約付セクションに対応する一方の走行路とは異なる他方の走行路に他の車両が進入していないことである、ことを特徴とする請求項10に記載された模型車両制御用のコンピュータプログラム。
【請求項13】
前記制約付セクションは、2つの走行路が2方向に切り替わるダブルクロッシングポイントを含むセクションであって、
前記進入条件は、前記ダブルクロッシングポイントが交差方向に設定されており、かつ、前記制約付セクションに対応する一方の走行路とは異なる他方の走行路に他の車両が進入していないことである、ことを特徴とする請求項10に記載された模型車両制御用のコンピュータプログラム。
【請求項14】
前記第2のセクションは、複数の走行路で共用されるターンテーブルに接続されたセクションであって、
前記進入条件は、前記ターンテーブルにおいて、前記制約付セクションに対応する走行路以外の走行路に他の車両が進入していないことである、ことを特徴とする請求項10に記載された模型車両制御用のコンピュータプログラム。
【請求項15】
前記制約付セクションは、前記車両とは異種の車両が走行する他の走行路と交差するセクションであって
前記進入条件は、前記他の走行路における交差部に前記異種の車両が進入していないことである、ことを特徴とする請求項10に記載された模型車両制御用のコンピュータプログラム。
【請求項16】
前記制約付セクションは、前記車両の走行とは無関係にリアルタイムで点灯色が切り替わる信号機が設置されたセクションであって、
前記進入条件は、前記信号機の点灯が赤でないことである、ことを特徴とする請求項9に記載された模型車両制御用のコンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、模型車両の制御装置、および、模型車両制御用のコンピュータプログラムに係り、特に、レイアウトに設定されたセクションに進入する車両の排他制御に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、電気的に分離された複数のセクションよりなるレイアウトにおいて、必要なセクションだけに電流を流すことによって、複数の車両の個別制御を行う車両運転装置が開示されている。この車両運転装置では、進入先となるセクションに複数の車両を進入させないという排他制御、すなわち、セクション閉塞制御を行うことで、レイアウト上を走行する車両同士の衝突を回避する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−225472号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述した特許文献1は、エンドレスに通常のポイントを組み合わせた単純なレイアウトを例に、セクション閉塞制御の基本概念を開示するものであり、様々な構成のレイアウトに柔軟に対応できるような拡張性については考慮されていない。実際のレイアウトの構成は様々であり、単純なセクション閉塞制御だけでは、車両同士の衝突を防止できない構成も考えられる。また、特許文献1は、専ら、同種の模型車両(鉄道模型)のレイアウトに着目しているが、路面電車およびバスといったように、別個に制御される異種の模型車両が走行する複合的なレイアウトでは、交差点等における異種の車両同士の衝突を防止するような統合的な制御が望まれる。
【0005】
本発明は、かかる事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、様々なレイアウトに柔軟に対応できる拡張性の高いセクション閉塞制御を実現することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1の発明は、レイアウト上を走行する模型車両の位置を検出する位置センサからの情報に基づいて、レイアウトに設定されたセクションへの車両の進入を制御する制御装置を提供する。この制御装置は、テーブルと、セクション判定部と、進入条件判定部と、セクション制御部とを有する。テーブルは、先行車両との衝突以外の要因で、セクションへの進入を阻害する状態が発生する特定のセクションを制約付セクションとし、制約付セクションへの進入を許可する進入条件に関する現在の状態を管理する。セクション判定部は、制御対象となる対象車両が次に進入しようとする第1のセクションに先行車両が存在するか否かを判定する。進入条件判定部は、第1のセクションが制約付セクションである場合、第1のセクションにおける現在の状態が進入条件を満たすか否かを判定する。セクション制御部は、セクション判定部の判定結果に基づいて、第1のセクションに所定数以上の車両を進入させない排他制御を行うとともに、第1のセクションが制約付セクションであって、かつ、その現在の状態が進入条件を満たさない場合、進入条件を満たす状態になるまで、セクション判定部の判定結果に関わりなく、第1のセクションへの対象車両の進入を許可しない。
【0007】
第2の発明は、レイアウト上を走行する模型車両の位置を検出する位置センサからの情報に基づいて、レイアウトに設定されたセクションへの車両の進入を制御するコンピュータプログラムを提供する。このコンピュータプログラムは、先行車両との衝突以外の要因で、セクションへの進入を阻害する状態が発生する特定のセクションを制約付セクションとし、制約付セクションへの進入を許可する進入条件に関する現在の状態を管理するステップと、制御対象となる対象車両が次に進入しようとする第1のセクションに先行車両が存在するか否かを判定するステップと、第1のセクションが制約付セクションである場合、第1のセクションにおける現在の状態が進入条件を満たすか否かを判定するステップと、セクション判定の結果に基づいて、第1のセクションに所定数以上の車両を進入させない排他制御を行うとともに、第1のセクションが制約付セクションであって、かつ、その現在の状態が進入条件を満たさない場合、進入条件を満たす状態になるまで、セクション判定の結果に関わりなく、第1のセクションへの対象車両の進入を許可しないステップと
を有する処理をコンピュータに実行させる。
【0008】
ここで、第1または第2の発明において、制約付セクションは、車両が走行する他の走行路と交差または一部が共用されているセクションであってもよく。この場合、進入条件は、他の車両が他の走行路に同時に進入しないことである。また、制約付セクションは、2つの走行路が交差したクロッシングレールを含むセクションであってもよく、この場合、進入条件は、クロッシングレールにおいて、制約付セクションに対応する一方の走行路とは異なる他方の走行路に他の車両が進入していないことである。また、制約付セクションは、2つの走行路が2方向に切り替わるダブルスリップポイントを含むセクションであってもよく、この場合、進入条件は、ダブルスリップポイントの設定方向に関わりなく、制約付セクションに対応する一方の走行路とは異なる他方の走行路に他の車両が進入していないことである。また、制約付セクションは、2つの走行路が2方向に切り替わるダブルクロッシングポイントを含むセクションであってもよく、この場合、進入条件は、ダブルクロッシングポイントが交差方向に設定されており、かつ、制約付セクションに対応する一方の走行路とは異なる他方の走行路に他の車両が進入していないことである。また、制約付セクションは、複数の走行路で共用されるターンテーブルに接続されたセクションであってもよく、この場合、進入条件は、ターンテーブルにおいて、制約付セクションに対応する走行路以外の走行路に他の車両が進入していないことである。また、制約付セクションは、車両とは異種の車両が走行する他の走行路と交差するセクションであってもよく、この場合、進入条件は、他の走行路における交差部に異種の車両が進入していないことである。
【0009】
また、第1または第2の発明において、制約付セクションは、車両の走行とは無関係にリアルタイムで点灯色が切り替わる信号機が設置されたセクションであってもよい。この場合、進入条件は、信号機の点灯が赤でないことである。
【発明の効果】
【0010】
第1または第2の発明によれば、先行車両との衝突以外の要因で、セクションへの進入を阻害する状態が発生する特定のセクションを制約付セクションとして設定し、制約付セクションの現在の状態が進入条件に満たすことをセクション閉塞制御よりも優先させる。これにより、セクション閉塞制御だけでは衝突を回避できないレイアウト構成においても、衝突を回避できるので、柔軟かつ拡張性の高いセクション閉塞制御を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図2】第1の実施形態に係るクロッシングレールの説明図
【
図8】進入条件判定付セクション制御ルーチンのフローチャート
【
図11】第2の実施形態に係るダブルスリップポイントの説明図
【
図12】第3の実施形態に係るダブルクロッシングポイントの説明図
【
図13】第4の実施形態に係るターンテーブルの説明図
【
図14】第5の実施形態に係る統合レイアウトの説明図
【
図15】第5の実施形態に係る制御装置のブロック構成図
【
図16】第6の実施形態に係る統合レイアウトの説明図
【
図17】第6の実施形態に係る制御装置のブロック構成図
【発明を実施するための形態】
【0012】
(第1の実施形態)
図1は、鉄道模型用の制御システムの全体構成図である。車両A,Bを含む複数の車両が走行するレイアウト1は、直線レール、カーブレール、ポイントといった多数のレールを組み合わせることによって構成されている。基本的に、レール同士の接続には、ジョイントと呼ばれる導電性の接続部材が用いられ、ジョイントにて電気的に接続されたレール同士は、連続した同一セクションが形成される。また、一部のレール同士の接続には、ギャップと呼ばれる絶縁性の接続部材が用いられ、ギャップにて電気的に分離されたレール同士は、互いに別個のセクションが形成される。同図に示した例では、レイアウト1中の10箇所にギャップを設けることで、レイアウト1を電気的に分離された9つのセクション1a〜1i、すなわち、交差点Cでレールが交差した8字状のエンドレスを構成する7つのセクション1a〜1gと、複線ホームの待避線に相当するセクション1hと、エンドレスから分岐した引込み線に相当するセクション1iとに分割されている。このようなレイアウト1において、それぞれのセクション1a〜1iの長さは、原則として、そのレイアウト1での走行を想定する車両の最大長よりも大きくし、走行中の車両を停止させる際の過走行分を十分に見越した長さにすることが好ましい。なお、本明細書において、「車両」とは、制御上、1つのまとまった走行単位となるものを指し、1台の車両(動力車)のみならず、複数の車両より編成される列車(複数の動力車を含んでいてもよい。)を含む。また、物理的に互いに連結されていなくても、極めて近接した状態を維持しながら併走する複数の車両も、1つのまとまった走行単位である限り、1つの「車両」とみなす。
【0013】
セクション1a〜1iのそれぞれにおいて、レールへの電気的な接続を行うコネクタ部には、フィーダ2a〜2iのいずれかが取り付けられている。また、それぞれのセクション1a〜1iの端部近傍には、車両の位置を検出する位置センサ3がギャップを挟んで対向するように設けられている。位置センサ3としては、例えば、車両の通過に伴う光の反射の有無を検出する光センサ、車両に装備された車輪の接触の有無を検出する接触センサ、車両に搭載された磁石を検出する磁気センサ、RFID(Radio Frequency Identification)等を用いることができる。また、レール(セクション)に供給する電流の変化をモニタリングすることによって、そのセクションにおける車両の有無を検出してもよい。位置センサ3によって検出された位置情報は、後述する制御システム4の一部を構成する制御装置5に入力される。ギャップを挟んで一対の位置センサ3を配置する理由は、主に、車両を検出する時間的な順序から、この車両の走行方向を容易に認識できるようにするためだが、他の手段で走行方向を認識できるのであれば、位置センサ3を一対で配置する必要は必ずしもない。また、位置センサ3は、レイアウト1上における車両の位置を検出できるものであれば、センサの種類、個数、設置形態等を問わない。
【0014】
制御システム4は、配線類を介してレイアウト1に接続されており、制御装置5と、複数の給電装置6と、駆動装置7と、コントローラ8と、ポイントスイッチ9とを主体に構成されている。制御装置5は、コンピュータ等より構成され、レイアウト1上における車両A,Bの車速制御、前照灯や室内灯の点灯制御、ポイントの切り替えといった各種の制御を統合的に行う。給電装置6は、本実施形態では、パルス幅変調(PWM)を用いて、自己に割り当てられたセクションへの給電を行う。具体的には、制御装置5からの指示に応じたパルス幅(デューティ比)を有する駆動電圧が生成され、パルス幅変調された電圧としてセクションに供給される。駆動装置7は、制御装置5からの指示に応じて、レイアウト1中のポイントの切り替え等を行う。また、この駆動装置7を用いて、ターンテーブル、踏切、信号といった各種の制御機器・アクセサリー類を動作させてもよい。コントローラ8は、車両を手動運転で走行させる際、その車速や進行方向を制御するために使用される。また、ポイントスイッチ9は、この手動運転の際、ポイントの切り替えを行うために使用される。
【0015】
制御装置5と、下位装置6,7との間は、配線類で接続されている。本実施形態において、インターフェース装置10と下位装置との間は、ケーブルの本数を削減するためにシリアル接続(カスケード接続)されており、両者の間でシリアルデータ通信が行われる。この通信は、最低限、上位装置からの命令を下位装置に伝達できれば足りるので、一方向通信であってもよいが、双方向通信にして、命令の受信確認を下位装置から上位装置に返信するようにしてもよい。これにより、通信精度が高まり、より信頼性の高い制御を行うことが可能となる。なお、上位装置と下位装置との間におけるデータの受け渡しは、シリアルデータ通信に限定されるものではなく、有線、無線、光といった任意の通信媒体を介して、任意のデータ通信方式を採用することができる。
【0016】
図2は、
図1の交差点Cで用いられているクロッシングレールの説明図である。クロッシングレールは、ポイントのような渡りの機能を有さず、2つの走行路が単純に平面交叉したレールである。同図において、2つの走行路、すなわち、左上と右下とを結ぶ走行路と、左下と右上とを結ぶ走行路とは、互いに電気的に分離されており、それぞれ別個のセクション1b,1eを構成している。セクション1eの車両Aと、セクション1bの車両Bとが同時にクロッシングレールに進入すると、交差部分において車両A,Bが衝突する。この衝突を回避することは、通常のセクション閉塞制御では困難であり、本実施形態では、後述する手段を講じることで、これを回避している。
【0017】
図3は、制御装置5のブロック構成図である。この制御装置5は、位置センサ3からのセンサ情報に基づいて、セクション1a〜1iへの車両の進入を制御する。制御装置5は、車両位置管理部5aと、セクション制御部5bと、車両制御部5cとを主体に構成されている。また、制御装置5がアクセス可能なメモリには、車両位置テーブル5dやセクションテーブル5e等が格納されている。車両位置管理部5aは、位置センサ3からのセンサ情報に基づいて、レイアウト1上の車両の位置をセクション単位で特定し、現在の位置を車両位置テーブル5dに記述する。セクション制御部5bは、セクション判定部5fと、進入条件判定部5gとを含む。セクション判定部5fは、制御対象となる対象車両が次に進入しようとするセクションに先行車両が存在するか否かを判定する。進入条件判定部5gは、次のセクションが制約付セクションである場合、このセクションにおける現在の状態が進入条件を満たすか否かを判定する。セクション制御部5bは、セクション判定部5fの判定結果に基づいて、次のセクションに複数の対象車両を進入させない排他制御を行う。また、セクション制御部5bは、次のセクションが制約付セクションであって、かつ、その現在の状態が進入条件を満たさない場合、進入条件を満たす状態になるまで、セクション判定部5fの判定結果に関わりなく、次のセクションへの対象車両の進入を許可しない。
【0018】
図4は、車両位置テーブル5dの説明図である。このテーブル5dには、セクション1a〜1iのそれぞれに、現在、どの車両が存在するかが記述されている。同図の例は、
図1に示した車両の配置に対応して、セクション1aに車両A、セクション1hに車両Bがそれぞれ存在することを示している。なお、「0」は、空きの状態、すなわち、そのセクションに車両が存在しないことを示す。本実施形態において、(1)車両の初期配置は予め決められており、(2)車両は必ず隣り合ったセクション間を連続して走行し、かつ、(3)その走行方向も位置センサ3からのセンサ情報から一義的に特定される。したがって、位置センサ3からのセンサ情報そのものからは、車両A,Bを特定することはできなくとも、上記(1)〜(3)が保証されている限り、セクションに存在する車両の種別を特定することができる。車両位置テーブル5dによって、車両A,Bの現在位置がリアルタイムで管理され、車両A,Bが移動した場合、その旨がセクション制御部5bに通知される。
【0019】
図5は、セクションテーブル5eの説明図である。このテーブル5eには、セクション1a〜1iのそれぞれについて、占有権の有無が記述されている。占有権とは、そのセクション(リソース)を排他的に使用できる権利、換言すれば、そのセクションへの進入の可否を示しており、本実施形態では1つの車両のみに与えられる。同図の例は、
図1に示した車両の配置(停止状態)に対応して、セクション1aに車両Aの占有権、セクション1hに車両Bの占有権がそれぞれ設定されていることを示している。なお、「0」は、占有権が与えられていない状態を示す。占有権が設定されていないセクションについては、即座に占有権を設定できるが、占有権を設定済みのセクションについては、それが空くまで、待ち状態となる。セクションテーブル5eによって、セクション1a〜1iの占有権の有無をリアルタイムで管理され、車両A,Bの移動に応じて、占有権の状態(進入可能なセクション数)がセクション制御部5bに通知される。
【0020】
セクション制御部5bに入力される情報としては、上述した車両位置テーブル5dの情報以外に、セクション構成、進入条件および走行経路といった情報も入力される。
図6は、
図1に例示したレイアウト1におけるセクション構成の説明図である。線で繋がれたもの同士が隣り合ったセクションであり、ポイントを含むセクション1b,1e,1gについては、3つのセクションと隣接している。このセクション構成によって、それぞれのセクション1a〜1iがどのような接続関係にあるかが特定される。ここで、二重丸のセクション1b,1eは「制約付セクション」、すなわち、先行車両との衝突以外の要因で、セクションへの進入を阻害する状態が発生するセクションである。本実施形態では、レイアウト1における複数の走行路が交差または一部が共用されているセクションを制約付セクションとして設定しており、2つの走行路が交差したクロッシングレールは、その典型である。この制約付セクションには、このセクションへの進入を許可する進入条件が設定されている。クロッシングレールの場合、一方の走行路であるセクション1bの進入条件は、他方の走行路であるセクション1eに占有権が設定されていないことであり、他方の走行路であるセクション1eの進入条件は、一方の走行路であるセクション1bに占有権が設定されていないことである。
【0021】
図7は、車両A,Bの走行経路の説明図である。走行経路は、レイアウト1上を車両がどのような経路で走行するかを示すものとして予め設定されている。同図の例では、車両Aは、セクション1aから8字状のエンドレスを1周して再びセクション1aに戻り、車両Bは、セクション1hからエンドレスを半周してセクション1i(引き込み線)に入ることを、それぞれ示している。なお、走行経路の情報として、それぞれのセクションにおける加減速といった車速情報を付加してもよい。
【0022】
図8は、セクション制御部5bにおいて実行されるセクション制御ルーチンのフローチャートである。このルーチンは、レイアウト1上における車両の位置が変わる毎、あるいは、所定の間隔で繰り返し実行される。まず、ステップ1において、ループ変数nが「1」にセットされる。つぎに、ステップ2において、n個先のセクションが制約付セクションで、かつ、現在の状態が進入条件を満たさないか否かが判断される。制約付セクションであるか否かは、システムとして予め設定されており、n個先のセクションが制約付セクションである場合には、上述したように、セクションテーブル5eを参照して、制約付セクションに紐付けられたセクションについて、占有権が設定されているか否かによって行われる。例えば、n個先のセクションがセクション1b(制約付セクション)の場合、このセクション1bに紐付けられたセクション1eに占有権が設定されていないことをもって、セクション1bの進入条件を満たすと判断される。ステップ2の判断結果が「肯定」の場合、すなわち、制御対象となる車両(対象車両)が現在位置するセクションが制約付セクションであって、かつ、現在の状態がその進入条件を満たさない場合、ステップ3以降の手順をスキップして本ルーチンを抜ける。これに対して、ステップ2の判断結果が「否定」の場合、すなわち、(1)n個先のセクションが制約付セクションでない場合、または、(2)n個先のセクションは制約付セクションだが、その進入条件を満たす場合には、ステップ3に進む。ステップ3では、セクションテーブル5eを参照して、n(=1)個先のセクションが空いているか、すなわち、セクションテーブル5eにおける該当セクションが「0」(占有権が未設定)であるかが判断される。ステップ3の判断結果が「否定」の場合は、ステップ4以降の手順をスキップして本ルーチンを抜ける。これに対して、ステップ3の判断結果が「肯定」の場合は、ステップ4に進み、n(=1)個先のセクションについて対象車両の占有権が確保され、その旨がセクションテーブル5eに書き込まれる。この占有権の確保によって、n(=1)個先のセクションへの対象車両の進入が許可される。そして、続くステップ5において、ループ変数nが「3」に到達したかが判断される。「3」に到達していない場合には、ループ変数nに1を加算した上で(ステップ6)、ステップ2に戻り、ステップ2以降の手順が繰り返される。これに対して、ループ変数nが「3」に到達している場合には、ステップ5の判断結果が「肯定」となって、本ルーチンを抜ける。
【0023】
本ルーチンによれば、現在のセクションから1個先のセクションの占有権の確保から始まって、最大で3個先のセクションについて占有権の確保が試みられる。そして、あるセクションの占有権が確保できなければ、それよりも先のセクションについては、占有権の確保は試みられない。また、n個先のセクションが制約付セクションであって、かつ、占有権の有無に関する現在の状態が進入条件(占有権が未設定)を満たさない場合、セクションテーブル5eの内容が更新されて、進入条件を満たす状態になるまで、n個先のセクションへの対象車両の進入は許可されない。
【0024】
図9は、車両制御部5cにおいて実行される車両制御ルーチンのフローチャートである。現在のセクションよりも先のセクションの占有権を確保できない場合、すなわち、次のセクションに他の車両が現に存在するか、あるいは、そこに他の車両が進入しようとしている場合、ステップ11の判断結果より、停止モードが設定される(ステップ12)。停止モードでは、自動運転の場合、予めプログラムされた車速に関わりなく、対象車両を現在のセクションにて強制的に停止させる。また、手動運転の場合、自動運転と同様に停止させるか、あるいは、コントローラ8の表示灯を点灯させたり、スピーカから警報を発することによって、ユーザに停止操作を促す。また、1個先のセクションまでしか占有権を確保できない場合、ステップ11,13の判断結果より、抑速モードが設定される(ステップ14)。抑速モードでは、自動運転の場合、予めプログラムされた車速に関わりなく(制限速度より大の場合)、所定の制限速度に強制的に減速される。また手動運転の場合、自動運転と同様に減速させるか、あるいは、コントローラ8の表示灯を点灯させたり、スピーカから警報を発することによって、ユーザに減速操作を促す。さらに、2個先のセクションまでしか占有権を確保できない場合、ステップ11,13、15の判断結果より、制限解除モードが設定される(ステップ16)。制限解除モードでは、自動運転の場合、予めプログラムされていた車速どおりに設定される。また手動運転の場合、コントローラ8の操作どおりに車速が制御される。3個先のセクションまで占有権が確保できた場合、ステップ11,13、15の判断結果より、加速モードが設定される(ステップ17)。加速モードでは、自動運転の場合、予めプログラムされていた車速よりも加速される。また手動運転の場合、コントローラ8の操作どおりに車速が制御される。その際、コントローラ8の表示灯やスピーカを介して、ユーザに加速を促してもよい。
【0025】
図10は、
図7の走行経路に基づいてセクション閉塞制御を行った場合におけるセクションテーブル5eの遷移表である。初期状態では、
図1に示した車両A,Bの配置に従い、車両Aが存在するセクション1aに車両Aの占有権、車両Bが存在するセクション1hに車両Bの占有権が割り当てられている。なお、理解の便宜上、同表に示す太字は、車両A,Bが現に存在するセクションを示す。また、ブランクは「0」であることを示す。
【0026】
停車中の車両Aが出発するタイミングt0になると、車両Aが存在する現在のセクション1aから3つ先までのセクション1b〜1dについて、占有権の確保が試みられる。セクション1bは制約付セクションであり、その進入条件は「セクション1eに占有権が設定されていないこと」であるが、タイミングt0においてセクション1eは「0」である。よって、進入条件を満たすとともに、セクション1b〜1dも「0」であるから、セクション1b〜1dの占有権が車両Aに割り当てられる。これにより、セクション1aの車両Aは加速モードで加速し始める。
【0027】
車両Aがセクション1bに進入したタイミングt1において、セクション1aの占有権が解放されるとともに、セクション1eの占有権が車両Aによって確保される。なお、セクション1eは制約付セクションであるが、その進入条件となるセクション1bの占有権は車両Aによって既に確保されているので、問題はない。これにより、車両Aは引き続き加速モードで走行する。タイミングt1の直後、停車中の車両Bが出発するタイミングになると、車両Bの現セクション1hから3つ先までのセクション1b〜1dについて、占有権の確保が試みられる。しかしながら、この時点では、セクション1eの占有権が車両Aに既に確保されているので、制約付セクション1bの進入条件を満たさない。よって、車両Bは引き続きセクション1hにて停止したままとなる。
【0028】
車両がセクション1cに進入したタイミングt2において、セクション1bの占有権が解放されるとともに、セクション1fの占有権が車両Aによって確保される。これにより、車両Aは引き続き加速モードで走行する。車両Bの現セクション1hの1つ先のセクション1bは空いたものの、セクション1bの進入条件を未だ満たさない。よって、車両Bは引き続きセクション1hにて停止したままとなる。この停止状態は、車両Aがセクション1fに進入するタイミングt5まで継続する。
【0029】
車両Aがセクション1fに進入したタイミングt5において、セクション1eの占有権が解放される。これにより、制約付セクション1bの進入条件が満たされるので、セクション1bの占有権が車両Bに割り当てられる。それとともに、その先のセクション1c,1dの占有権も車両Bに割り当てられる。これにより、セクション1hの車両Bは加速モードで加速し始める。それ以降、車両A,Bは、互いに干渉を受けることなく、走行経路にしたがい、終点となるセクション1a,1iに向かって、それぞれ走行する。
【0030】
このように、第1の実施形態によれば、先行車両との衝突以外の要因で、セクションへの進入を阻害する状態が発生する特定のセクションを制約付セクションとして設定し、制約付セクションの現在の状態が進入条件に満たすことをセクション判定部5fの判定結果よりも優先させる。これにより、セクション判定部5fの判定結果だけでは対応できないクロッシングレールに対しても対応可能になるので、拡張性の高いセクション閉塞制御を実現することができる。
【0031】
なお、上述した第1の実施形態では、現セクションから3つ先のセクションまでの空き状態をモニタリングし、これに応じて、加速、制限解除、抑速、停止を設定しているが、最低限、1つ先のセクションだけをモニタリングして、走行/停止のみを切り替えれば足りる。また、4つ以上先までモニタリングして、車速の制御をよりきめ細かく行うことも可能である。
【0032】
(第2の実施形態)
図11は、第2の実施形態に係るダブルスリップポイントの説明図である。ダブルスリップポイントは、両渡り付きで平面交叉しており、電気的に分離された4つのセクション1j〜1nを有する。トングレールの切り替えによって、2つの走行路を2方向に選択できる。トングレールを直線方向に設定した場合、セクション1j,1n(またはセクション1k,1m)を結ぶ方向に走行路が形成される。また、トングレールを曲線方向に設定した場合、セクション1j,1m(またはセクション1k,1n)を結ぶ方向に走行路が形成される。トングレールが直線/曲線のどちらの方向に設定されていても、上述したクロッシングレールと同様、交差部において車両が衝突する。そこで、ダブルスリップポイントを含むセクション1j〜1nのそれぞれを制約付セクションとして設定とし、その進入条件を、ダブルスリップポイントの設定方向に関わりなく、制約付セクションに対応する一方の走行路とは異なる他方の走行路に他の車両が進入していないこと、とする。具体的には、例えば、セクション1jについては、その他の3つのセクション1k,1m,1nのいずれにも占有権が設定されていないことを進入条件とするといった如くである。これにより、車両の進行方向を考慮せずとも、車両の衝突を防止することができる。
【0033】
このように、第2の実施形態によれば、セクション判定部5fの判定結果だけでは対応できないダブルスリップポイントに対しても対応可能になるので、第1の実施形態と同様、拡張性の高いセクション閉塞制御を実現することができる。なお、第2の実施形態の変形として、片渡り付で平面交差したシングルスリップポイントについて、ダブルクロッシングポイントの場合と同様に、制約付セクションを設定してもよい。
【0034】
(第3の実施形態)
図12は、第3の実施形態に係るダブルクロッシングポイントの説明図である。ダブルクロッシングポイントも、両渡り付きで平面交叉しているが、ダブルスリップポイントとは異なり、直線方向に設定した場合には、交差部での車両の衝突が生じない。このダブルクロッシングポイントは、電気的に分離された4つのセクション1p〜1sを有し、トングレールの切り替えによって、2つの走行路を2方向に選択できる。トングレールを直線方向に設定した場合、セクション1p,1r(またはセクション1q,1s)を結ぶ方向に走行路が形成される。また、トングレールを曲線方向に設定した場合、セクション1p,1s(またはセクション1q,1r)を結ぶ方向に走行路が形成される。トングレールが曲線方向に設定されている場合、上述したクロッシングレールと同様、交差部において車両が衝突する。そこで、ダブルクロッシングポイントを含むセクション1p〜1sのそれぞれを制約付セクションとして設定とし、その進入条件を、ダブルクロッシングポイントが曲線方向に設定されており、かつ、制約付セクションに対応する一方の走行路とは異なる他方の走行路に他の車両が進入していないこと、とする。これにより、車両の進行方向を考慮せずとも、車両の衝突を防止することができる。なお、ポイントの設定方向は、テーブルによって管理してもよいし、ポイントスイッチの切替状態を物理的または電気的にモニタリングすることによって行ってもよい。
【0035】
このように、第3の実施形態によれば、セクション判定部5fの判定結果だけでは対応できないダブルクロッシングポイントに対しても対応可能になるので、第1の実施形態と同様、拡張性の高いセクション閉塞制御を実現することができる。
【0036】
(第4の実施形態)
図13は、第4の実施形態に係るターンテーブルの説明図である。ターンテーブル11は、上述したポイント類とは異なり、走行路が直接交差してはいないが、ターンテーブル11上のレールRが共用されるため、セクションへの進入を阻害する状態が発生し得る。ターンテーブル11から放射状に延びる複数のレールは、それぞれ独立したセクション1t〜を形成しているが、ターンテーブル上のレールRは、走行路として接続された放射状のレールのいずれかと導通するため、1つの独立したセクションにはなっていない。そこで、ターンテーブル11に接続されたセクション1t〜1xのそれぞれを制約付セクションとして設定とし、その進入条件を、他のセクションに占有権が設定されていないこと、とする。これにより、車両の進行方向を考慮せずとも、車両の衝突を防止することができる。
【0037】
このように、第4の実施形態によれば、セクション判定部5fの判定結果だけでは対応できないターンテーブル11に対しても対応可能になるので、第1の実施形態と同様、拡張性の高いセクション閉塞制御を実現することができる。
【0038】
(第5の実施形態)
図14は、第5の実施形態に係る鉄道(路面電車)およびバスの統合レイアウトの説明図である。路面電車Aは、道路に設置されたレール上を外部からの給電によって走行し、バスaは、内蔵された電池で走行する。バスaには、前輪のステアリング舵角と連動した磁石が取り付けられており、道路の裏側に取り付けられたガイドレールに沿って磁石が変位することで、道路に沿って走行する。バスaは、道路側に設置されたセンサ3’(例えばRFID等)にて走行/停止を切り替えることができる。このセンサ3’は、上述した位置センサ3としての機能も有しており、このセンサ情報に基づいて、上述したセクション閉塞制御が行われる。路面電車Aとバスaとは制御システムが異なり、交差点で衝突する可能性があるので、両者を調停する必要がある。
【0039】
図15は、第5の実施形態に係る制御装置5のブロック構成図である。上述した第1から第4の実施形態は、同種の車両を対象とした同じシステムであり、進入条件判定部5gが行う進入条件の判定は、セクション判定部5fと同様、同一のセクションテーブル5eを参照すれば足りる。しかしながら、路面電車Aとバスaとは制御が異なるため、(路面電車A用の)セクションテーブル5eではバスaの位置を把握できない。そこで、進入条件判定部5gをセクション制御部5bの外部に設け、バスaのセクション閉塞制御を行うためのバス用セクションテーブル5hを参照して、両者の調停が行われる。具体的には、路面電車Aが走行するセクションQを制約付セクションとし、その進入条件を、バスaが走行するセクションrに占有権が設定されていないこと、とする。バスaの占有権は、バス用の制御システムによってリアルタイムで管理されており、占有権の状態は、バス用セクションョンテーブル5hに記述されている。進入条件判定部5gは、バス用セクションテーブル5hを参照して、セクションQに占有権を割り当てる際、セクションrの現在の状態が進入条件を満たすか否かを判定する。これにより、交差点において、路面電車Aとバスaとが衝突しないように、両者を調停することができる。なお、それ以外の点については、
図3の構成と同様なので、同一の符号を付して、ここでの説明を省略する。
【0040】
このように、第5の実施形態によれば、セクション判定部5fの判定結果だけでは対応できない異種の制御システムとの連携が可能になるので、拡張性の高いセクション閉塞制御を実現することができる。
【0041】
(第6の実施形態)
図16は、第6の実施形態に係る統合レイアウトの説明図である。本実施形態は、バスaのセクション占有を進入条件とする代わりに、交差点に置ける信号機の点灯状態を進入条件とするものである。交差点の信号機は、路面電車Aやバスaの走行とは無関係にリアルタイムで点灯色が切り替わる。
【0042】
図17は、第6の実施形態に係る制御装置のブロック構成図である。進入条件判定部5gをセクション制御部5bの外部に設け、信号機の点灯状態を管理する信号管理テーブル5iを参照して、両者の制御が行われる。具体的には、路面電車Aが走行するセクションQを制約付セクションとし、その進入条件を、進行方向の信号機が赤でないこと、とする。信号機の点灯状態は、点灯制御システムによってリアルタイムで管理されており、信号管理テーブル5iに記述されている。進入条件判定部5gは、信号管理テーブル5iを参照して、セクションQに占有権を割り当てる際、進行方向の信号機における現在の状態が進入条件を満たすか否かを判定する。これにより、交差点において、路面電車Aとバスaとが衝突しないように、両者を調停することができる。なお、それ以外の点については、
図3の構成と同様なので、同一の符号を付して、ここでの説明を省略する。
【0043】
このように、第6の実施形態によれば、第5の実施形態と同様、拡張性の高いセクション閉塞制御を実現することができる。
【0044】
なお、上述した各実施形態では、鉄道模型車両の給電方式として、パルス幅変調を用いているが、これは一例であって、直流電圧値そのものを可変にする通常の直流制御(DC制御)を用いてもよい。また、DC制御に代えて、DCC(Digital Command Control)と呼ばれる方式を用いてもよい。DCCでは、制御対象となる車両にデコーダが搭載されており、コントローラからの命令が、レイアウトを構成するレールを介して、車両側のデコーダに伝達される。この命令には、アドレスが付されており、指定されたアドレスに対応するデコーダのみが命令を実行することで、走行用モータの駆動やライト類の点灯といった制御が個別に行われる。レイアウトには12V程度の交流が常に流れており、命令に従って、デコーダが交流を直流に変換して車両に搭載されたモータを駆動することで、車速が制御される。DCCを用いる場合、DC制御のような分割給電は必ずしも必要なく、1箇所のフィーダからレイアウト全体に給電してもよい。また、模型車両は、レール等の給電経路から集電して自走するものであればよく、車輪の代わりに、集電シュー等で集電するものであってもよい。また、上述したバスaのように、外部から走行を制御できるものである限り、外部から給電を行う必要はなく、内蔵された電池等によって自走する車両であってもよい。特に、バスaの前面に前方監視センサを設け、先行車との車間を調整するようにすれば、1つのセクションに複数のバスaを進入させても、衝突を有効に回避することができる。その意味において、本発明に係るセクション閉塞制御において、1つのセクションに進入可能な車両の数は、1つに限定されるものではなく、所定数以下であればよい。
【0045】
また、上述した各実施形態では、鉄道模型への適用例について説明したが、本発明は、これに限定されるものではなく、各種の模型車両全般に対して、広く適用することができる。さらに、上述したセクション閉塞制御では、セクション内に進入できる車両を1台に限定しているが、例えば、道路を数珠つなぎで複数のバスが走行する状況を再現するために、所定数(複数を含む)としてもよい。この場合、バスに内蔵された前方センサによって、前方の障害物を検出して、バスを停止させるようにすれば、上述したセクション閉塞制御をそのまま適用することができる。
【0046】
さらに、
図3等に示した制御装置5の構成によって実現される機能は、コンピュータプログラムを用いても機能的に等価なものが実現できる。
【符号の説明】
【0047】
1 レイアウト
1a〜1i セクション
2a〜2i フィーダ
3 位置センサ
4 制御システム
5 制御装置
5a 車両位置管理部
5b セクション制御部
5c 車両制御部
5d 車両位置テーブル
5e セクションテーブル
5f セクション判定部
5g 進入条件判定部
6 給電装置
7 駆動装置
8 コントローラ
9 ポイントスイッチ
11 ターンテーブル
【手続補正書】
【提出日】2016年2月3日
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
レイアウト上を走行する模型車両の位置を検出する位置センサからの情報に基づいて、前記レイアウトに設定されたセクションへの前記模型車両の進入を制御する制御装置において、
第1のセクションに存在し、かつ、制御対象となる前記模型車両である対象車両が、前記第1のセクションの次に進入しようとする第2のセクションにおいて、前記対象車両に先行する前記模型車両である先行車両が存在するか否かを判定するセクション判定部と、
前記第2のセクションにおける前記先行車両との衝突以外の要因で、前記第2のセクションへの進入を阻害する状態が発生する特定のセクションを制約付セクションとし、前記制約付セクションへの進入を許可する進入条件に関する現在の状態を管理するテーブルと、
前記第2のセクションが前記制約付セクションである場合、前記第2のセクションにおける現在の状態が前記進入条件を満たすか否かを判定する進入条件判定部と、
前記セクション判定部の判定結果に基づいて、前記第2のセクションに所定数以上の前記模型車両を進入させない排他制御を行うとともに、前記第2のセクションが前記制約付セクションであって、かつ、その現在の状態が前記進入条件を満たさない場合、前記進入条件を満たす状態になるまで、前記セクション判定部の判定結果に関わりなく、前記第2のセクションへの前記対象車両の進入を許可しないセクション制御部と
を有することを特徴とする模型車両の制御装置。
【請求項2】
電気的に分離された複数のセクションを有し、それぞれのセクションにパルス幅変調された駆動電圧が供給されるレイアウトであって、前記レイアウト上を走行する模型車両の位置を検出する位置センサからの情報に基づいて、前記セクションへの前記模型車両の進入を制御する制御装置において、
前記模型車両がセクションを排他的に使用できる権利である占有権の有無を、前記レイアウトのセクション毎に管理するセクションテーブルと、
前記セクションテーブルを参照して、第1のセクションに存在し、かつ、制御対象となる前記模型車両である対象車両が、前記第1のセクションの次に進入しようとする第2のセクションについて、占有権に設定されているか否かを判定するセクション判定部と、
前記第2のセクションが、前記模型車両が走行する前記レイアウトに設定された第3のセクションと交差または一部が共用されるセクションとして予め設定された制約付セクションである場合、前記セクションテーブルを参照して、前記第3のセクションに占有権が設定されているか否かを判定する進入条件判定部と、
前記セクション判定部の判定結果に基づいて、前記第2のセクションに所定数以上の前記模型車両を進入させない排他制御を行うとともに、前記第2のセクションが前記制約付セクションであって、かつ、前記第3のセクションに占有権が設定されている場合、前記第3のセクションの占有権が解放されるまで、前記セクション判定部の判定結果に関わりなく、前記第2のセクションへの前記対象車両の進入を許可しないセクション制御部と
を有することを特徴とする模型車両の制御装置。
【請求項3】
第1の模型車両が走行する第1のレイアウトと、前記第1の模型車両とは異種の第2の模型車両が走行する第2のレイアウトとが統合されており、前記第1のレイアウト上を走行する前記第1の模型車両の位置を検出する位置センサからの情報に基づいて、前記第1のレイアウトに設定されたセクションへの前記第1の模型車両の進入を制御する制御装置において、
前記第1の模型車両がセクションを排他的に使用できる権利である占有権の有無を、前記第1のレイアウトのセクション毎に管理する第1のセクションテーブルと、
前記第1のセクションテーブルを参照して、第1のセクションに存在し、かつ、制御対象となる前記第1の模型車両である対象車両が、前記第1のセクションの次に進入しようとする第2のセクションについて、占有権に設定されているか否かを判定するセクション判定部と、
前記第2のセクションが、前記第2の模型車両が走行する前記第2のレイアウトに設定された第3のセクションと交差するセクションとして予め設定された制約付セクションである場合、前記第2の模型車両がセクションを排他的に使用できる権利である占有権の有無を前記第2のレイアウトのセクション毎に管理する第2のセクションテーブルを参照して、前記第3のセクションに占有権が設定されているか否かを判定する進入条件判定部と、
前記セクション判定部の判定結果に基づいて、前記第2のセクションに所定数以上の前記第1の模型車両を進入させない排他制御を行うとともに、前記第2のセクションが前記制約付セクションであって、かつ、前記第3のセクションに占有権が設定されている場合、前記第3のセクションの占有権が解放されるまで、前記セクション判定部の判定結果に関わりなく、前記第2のセクションへの前記対象車両の進入を許可しないセクション制御部と
を有することを特徴とする模型車両の制御装置。
【請求項4】
前記第1の模型車両は、外部からの給電によってレール上を走行する鉄道模型車両であり、前記第2の模型車両は、内蔵された電池によって道路上を走行する模型車両であることを特徴とする請求項3に記載された模型車両の制御装置。
【請求項5】
レイアウト上を走行する模型車両の位置を検出する位置センサからの情報に基づいて、前記レイアウトに設定されたセクションへの前記模型車両の進入を制御するコンピュータプログラムにおいて、
第1のセクションに存在し、かつ、制御対象となる前記模型車両である対象車両が、前記第1のセクションの次に進入しようとする第2のセクションにおいて、前記対象車両に先行する前記模型車両である先行車両が存在するか否かを、セクション判定として判定するステップと、
前記第2のセクションにおける前記先行車両との衝突以外の要因で、前記第2のセクションへの進入を阻害する状態が発生する特定のセクションを制約付セクションとし、前記制約付セクションへの進入を許可する進入条件に関する現在の状態を管理するステップと、
前記第2のセクションが前記制約付セクションである場合、前記第2のセクションにおける現在の状態が前記進入条件を満たすか否かを判定するステップと、
前記セクション判定の結果に基づいて、前記第2のセクションに所定数以上の前記模型車両を進入させない排他制御を行うとともに、前記第2のセクションが前記制約付セクションであって、かつ、その現在の状態が前記進入条件を満たさない場合、前記進入条件を満たす状態になるまで、前記セクション判定の結果に関わりなく、前記第2のセクションへの前記対象車両の進入を許可しないステップと
を有する処理をコンピュータに実行させることを特徴とする模型車両制御用のコンピュータプログラム。
【請求項6】
電気的に分離された複数のセクションを有し、それぞれのセクションにパルス幅変調された駆動電圧が供給されるレイアウトであって、前記レイアウト上を走行する模型車両の位置を検出する位置センサからの情報に基づいて、前記セクションへの前記模型車両の進入を制御するコンピュータプログラムにおいて、
セクションテーブルを用いて、前記模型車両がセクションを排他的に使用できる権利である占有権の有無を、前記レイアウトのセクション毎に管理するステップと、
前記セクションテーブルを参照して、第1のセクションに存在し、かつ、制御対象となる前記模型車両である対象車両が、前記第1のセクションの次に進入しようとする第2のセクションについて、占有権に設定されているか否かを、セクション判定として判定するステップと、
前記第2のセクションが、前記模型車両が走行する前記レイアウトに設定された第3のセクションと交差または一部が共用されるセクションとして予め設定された制約付セクションである場合、前記セクションテーブルを参照して、前記第3のセクションに占有権が設定されているか否かを判定するステップと、
前記セクション判定の結果に基づいて、前記第2のセクションに所定数以上の前記模型車両を進入させない排他制御を行うとともに、前記第2のセクションが前記制約付セクションであって、かつ、前記第3のセクションに占有権が設定されている場合、前記第3のセクションの占有権が解放されるまで、前記セクション判定の結果に関わりなく、前記第2のセクションへの前記対象車両の進入を許可しないステップと
を有することを特徴とする模型車両制御用のコンピュータプログラム。
【請求項7】
第1の模型車両が走行する第1のレイアウトと、前記第1の模型車両とは異種の第2の模型車両が走行する第2のレイアウトとが統合されており、前記第1のレイアウト上を走行する前記第1の模型車両の位置を検出する位置センサからの情報に基づいて、前記第1のレイアウトに設定されたセクションへの前記第1の模型車両の進入を制御するコンピュータプログラムにおいて、
第1のセクションテーブルを用いて、前記第1の模型車両がセクションを排他的に使用できる権利である占有権の有無を、前記第1のレイアウトのセクション毎に管理するステップと、
前記第1のセクションテーブルを参照して、第1のセクションに存在し、かつ、制御対象となる前記第1の模型車両である対象車両が、前記第1のセクションの次に進入しようとする第2のセクションについて、占有権に設定されているか否かを、セクション判定として判定するステップと、
前記第2のセクションが、前記第2の模型車両が走行する前記第2のレイアウトに設定された第3のセクションと交差するセクションとして予め設定された制約付セクションである場合、前記第2の模型車両がセクションを排他的に使用できる権利である占有権の有無を前記第2のレイアウトのセクション毎に管理する第2のセクションテーブルを参照して、前記第3のセクションに占有権が設定されているか否かを判定するステップと、
前記セクション判定の結果に基づいて、前記第2のセクションに所定数以上の前記第1の模型車両を進入させない排他制御を行うとともに、前記第2のセクションが前記制約付セクションであって、かつ、前記第3のセクションに占有権が設定されている場合、前記第3のセクションの占有権が解放されるまで、前記セクション判定の結果に関わりなく、前記第2のセクションへの前記対象車両の進入を許可しないステップと
を有することを特徴とする模型車両制御用のコンピュータプログラム。
【請求項8】
前記第1の模型車両は、外部からの給電によってレール上を走行する鉄道模型車両であって、前記第2の模型車両は、内蔵された電池によって道路上を走行する模型車両であることを特徴とする請求項7に記載された模型車両制御用のコンピュータプログラム。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0006
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0006】
第1の発明は、レイアウト上を走行する模型車両の位置を検出する位置センサからの情報に基づいて、レイアウトに設定されたセクションへの
模型車両の進入を制御する制御装置を提供する。この制御装置は、テーブルと、セクション判定部と、進入条件判定部と、セクション制御部とを有する。
セクション判定部は、第1のセクションに存在し、かつ、対象車両(制御対象となる模型車両)が第1のセクションの次に進入しようとする第2のセクションにおいて、先行車両(対象車両に先行する模型車両)が存在するか否かを判定する。テーブルは、第2のセクションにおける先行車両との衝突以外の要因で、
第2のセクションへの進入を阻害する状態が発生する特定のセクションを制約付セクションとし、制約付セクションへの進入を許可する進入条件に関する現在の状態を管理する。進入条件判定部は、第
2のセクションが制約付セクションである場合、第
2のセクションにおける現在の状態が進入条件を満たすか否かを判定する。セクション制御部は、セクション判定部の判定結果に基づいて、第
2のセクションに所定数以上の
模型車両を進入させない排他制御を行うとともに、第1のセクションが制約付セクションであって、かつ、その現在の状態が進入条件を満たさない場合、進入条件を満たす状態になるまで、セクション判定部の判定結果に関わりなく、第
2のセクションへの対象車両の進入を許可しない。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0007
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0007】
第2の発明は、レイアウト上を走行する模型車両の位置を検出する位置センサからの情報に基づいて、レイアウトに設定されたセクションへの
模型車両の進入を制御するコンピュータプログラムを提供する。このコンピュータプログラムは、
第1のセクションに存在し、かつ、対象車両(制御対象となる模型車両)が第1のセクションの次に進入しようとする第2のセクションにおいて、先行車両(対象車両に先行する模型車両)が存在するか否かを、セクション判定として判定するステップと、第2のセクションにおける先行車両との衝突以外の要因で、第2のセクションへの進入を阻害する状態が発生する特定のセクションを制約付セクションとし、制約付セクションへの進入を許可する進入条件に関する現在の状態を管理するステップと、第2のセクションが制約付セクションである場合、第2のセクションにおける現在の状態が進入条件を満たすか否かを判定するステップと、上記セクション判定の結果に基づいて、第2のセクションに所定数以上の模型車両を進入させない排他制御を行うとともに、第2のセクションが制約付セクションであって、かつ、その現在の状態が進入条件を満たさない場合、進入条件を満たす状態になるまで、上記セクション判定の結果に関わりなく、第2のセクションへの対象車両の進入を許可しないステップとを有する処理をコンピュータに実行させる。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0008
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0008】
ここで、第1または第2の発明において、
電気的に分離された複数のセクションを有し、それぞれのセクションにパルス幅変調された駆動電圧が供給されたレイアウトにおいて、同種の模型車両同士の衝突を防止するように制御してもよい。この場合、セクションの占有権(模型車両がセクションを排他的に使用できる権利)の有無をセクション毎に管理するセクションテーブルを用いて、第2のセクションへの対象車両の進入を許可するか否かが判定される。その際、第2のセクションが、模型車両が走行するレイアウトに設定された第3のセクションと交差または一部が共用されるセクションとして予め設定された制約付セクションである場合、セクションテーブルを参照して、第3のセクションに占有権が設定されているか否かも併せて判定され、第3のセクションに占有権が設定されているときは、第3のセクションの占有権が解放されるまで、セクション判定部の判定結果に関わりなく、第2のセクションへの対象車両の進入は許可されない。また、第1のまたは第2の発明において、第1の模型車両が走行する第1のレイアウトと、第1の模型車両とは異種の第2の模型車両が走行する第2のレイアウトとが統合されたレイアウトにおいて、異種の車両同士の衝突を防止するように制御してもよい。この場合、第1のレイアウトにおけるセクションの占有権の有無をセクション毎に管理する第1のセクションテーブルを用いて、第2のセクションへの対象車両の進入を許可するか否かが判定される。その際、第2のセクションが、第2の模型車両が走行する第2のレイアウトに設定された第3のセクションと交差するセクションとして予め設定された制約付セクションである場合、第2のセクションテーブルを参照して、第3のセクションに占有権が設定されているか否かも併せて判定される。この第2のセクションテーブルは、第2の模型車両がセクションを排他的に使用できる権利である占有権の有無を第2のレイアウトのセクション毎に管理する。そして、第3のセクションに占有権が設定されているときは、第3のセクションの占有権が解放されるまで、セクション判定部の判定結果に関わりなく、第2のセクションへの対象車両の進入は許可されない。この場合、第1の模型車両は、外部からの給電によってレール上を走行する鉄道模型車両であって、第2の模型車両は、内蔵された電池によって道路上を走行する模型車両であってもよい。
【手続補正書】
【提出日】2016年6月15日
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の模型車両が走行する第1のレイアウトと、前記第1の模型車両とは給電方式が異なる異種の第2の模型車両が走行する第2のレイアウトとが統合されており、前記第1のレイアウト上を走行する前記第1の模型車両の位置を検出する位置センサからの情報に基づいて、前記第1のレイアウトに設定されたセクションへの前記第1の模型車両の進入を制御する制御装置において、
前記第1の模型車両がセクションを排他的に使用できる権利である占有権の有無を、前記第1のレイアウトのセクション毎に管理する第1のセクションテーブルと、
前記第1のセクションテーブルを参照して、第1のセクションに存在し、かつ、制御対象となる前記第1の模型車両である対象車両が、前記第1のセクションの次に進入しようとする第2のセクションについて、占有権に設定されているか否かを判定するセクション判定部と、
前記第2のセクションが、前記第2の模型車両が走行する前記第2のレイアウトに設定された第3のセクションと交差するセクションとして予め設定された制約付セクションである場合、前記第2の模型車両がセクションを排他的に使用できる権利である占有権の有無を前記第2のレイアウトのセクション毎に管理する第2のセクションテーブルを参照して、前記第3のセクションに占有権が設定されているか否かを判定する進入条件判定部と、
前記セクション判定部の判定結果に基づいて、前記第2のセクションに所定数以上の前記第1の模型車両を進入させない排他制御を行うとともに、前記第2のセクションが前記制約付セクションであって、かつ、前記第3のセクションに占有権が設定されている場合、前記第3のセクションの占有権が解放されるまで、前記セクション判定部の判定結果に関わりなく、前記第2のセクションへの前記対象車両の進入を許可しないセクション制御部と
を有することを特徴とする模型車両の制御装置。
【請求項2】
前記第1の模型車両は、外部からの給電によってレール上を走行する鉄道模型車両であって、
前記第2の模型車両は、内蔵された電池によって道路上を走行する模型車両であることを特徴とする請求項1に記載された模型車両の制御装置。
【請求項3】
第1の模型車両が走行する第1のレイアウトと、前記第1の模型車両とは給電方式が異なる異種の第2の模型車両が走行する第2のレイアウトとが統合されており、前記第1のレイアウト上を走行する前記第1の模型車両の位置を検出する位置センサからの情報に基づいて、前記第1のレイアウトに設定されたセクションへの前記第1の模型車両の進入を制御するコンピュータプログラムにおいて、
第1のセクションテーブルを用いて、前記第1の模型車両がセクションを排他的に使用できる権利である占有権の有無を、前記第1のレイアウトのセクション毎に管理するステップと、
前記第1のセクションテーブルを参照して、第1のセクションに存在し、かつ、制御対象となる前記第1の模型車両である対象車両が、前記第1のセクションの次に進入しようとする第2のセクションについて、占有権に設定されているか否かを、セクション判定として判定するステップと、
前記第2のセクションが、前記第2の模型車両が走行する前記第2のレイアウトに設定された第3のセクションと交差するセクションとして予め設定された制約付セクションである場合、前記第2の模型車両がセクションを排他的に使用できる権利である占有権の有無を前記第2のレイアウトのセクション毎に管理する第2のセクションテーブルを参照して、前記第3のセクションに占有権が設定されているか否かを判定するステップと、
前記セクション判定の結果に基づいて、前記第2のセクションに所定数以上の前記第1の模型車両を進入させない排他制御を行うとともに、前記第2のセクションが前記制約付セクションであって、かつ、前記第3のセクションに占有権が設定されている場合、前記第3のセクションの占有権が解放されるまで、前記セクション判定の結果に関わりなく、前記第2のセクションへの前記対象車両の進入を許可しないステップと
を有することを特徴とする模型車両制御用のコンピュータプログラム。
【請求項4】
前記第1の模型車両は、外部からの給電によってレール上を走行する鉄道模型車両であって、
前記第2の模型車両は、内蔵された電池によって道路上を走行する模型車両であることを特徴とする請求項3に記載された模型車両制御用のコンピュータプログラム。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0006
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0006】
第1の発明は、第1の模型車両が走行する第1のレイアウトと、第1の模型車両とは給電方式が異なる異種の第2の模型車両が走行する第2のレイアウトとが統合されており、第1のレイアウト上を走行する第1の模型車両の位置を検出する位置センサからの情報に基づいて、第1のレイアウトに設定されたセクションへの第1の模型車両の進入を制御する制御装置を提供する。この制御装置は、第1のセクションテーブルと、セクション判定部と、進入条件判定部と、セクション制御部とを有する。第1のセクションテーブルは、第1の模型車両がセクションを排他的に使用できる権利である占有権の有無を、第1のレイアウトのセクション毎に管理する。セクション判定部は、第1のセクションテーブルを参照して、対象車両が第1のセクションの次に進入しようとする第2のセクションについて、占有権に設定されているか否かを判定する。この対象車両は、第1のセクションに存在し、かつ、制御対象となる第1の模型車両である。進入条件判定部は、第2のセクションが第2の模型車両が走行する第2のレイアウトに設定された第3のセクションと交差するセクションとして予め設定された制約付セクションである場合、第2のセクションテーブルを参照して、第3のセクションに占有権が設定されているか否かを判定する。第2のセクションテーブルは、第2の模型車両がセクションを排他的に使用できる権利である占有権の有無を第2のレイアウトのセクション毎に管理する。セクション制御部は、セクション判定部の判定結果に基づいて、第2のセクションに所定数以上の第1の模型車両を進入させない排他制御を行う。それとともに、セクション制御部は、第2のセクションが制約付セクションであって、かつ、第3のセクションに占有権が設定されている場合、第3のセクションの占有権が解放されるまで、セクション判定部の判定結果に関わりなく、第2のセクションへの対象車両の進入を許可しない。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0007
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0007】
ここで、第1の発明において、上記第1の模型車両は、外部からの給電によってレール上を走行する鉄道模型車両であって、上記第2の模型車両は、内蔵された電池によって道路上を走行する模型車両であってもよい。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0008
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0008】
第2の発明は、第1の模型車両が走行する第1のレイアウトと、第1の模型車両とは給電方式が異なる異種の第2の模型車両が走行する第2のレイアウトとが統合されており、第1のレイアウト上を走行する第1の模型車両の位置を検出する位置センサからの情報に基づいて、第1のレイアウトに設定されたセクションへの第1の模型車両の進入を制御するコンピュータプログラムを提供する。このコンピュータプログラムは、第1のセクションテーブルを用いて、第1の模型車両がセクションを排他的に使用できる権利である占有権の有無を、第1のレイアウトのセクション毎に管理するステップと、第1のセクションテーブルを参照して、第1のセクションに存在し、かつ、制御対象となる第1の模型車両である対象車両が、第1のセクションの次に進入しようとする第2のセクションについて、占有権に設定されているか否かを、セクション判定として判定するステップと、第2のセクションが、第2の模型車両が走行する第2のレイアウトに設定された第3のセクションと交差するセクションとして予め設定された制約付セクションである場合、第2の模型車両がセクションを排他的に使用できる権利である占有権の有無を第2のレイアウトのセクション毎に管理する第2のセクションテーブルを参照して、第3のセクションに占有権が設定されているか否かを判定するステップと、セクション判定の結果に基づいて、第2のセクションに所定数以上の第1の模型車両を進入させない排他制御を行うとともに、第2のセクションが制約付セクションであって、かつ、第3のセクションに占有権が設定されている場合、第3のセクションの占有権が解放されるまで、セクション判定の結果に関わりなく、第2のセクションへの対象車両の進入を許可しないステップとを有する処理をコンピュータに実行させる。
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0009
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0009】
ここで、第2の発明において、上記第1の模型車両は、外部からの給電によってレール上を走行する鉄道模型車両であって、上記第2の模型車両は、内蔵された電池によって道路上を走行する模型車両であってもよい。
【手続補正6】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0010
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0010】
第1または第2の発明によれば、先行車両との衝突以外の要因で、セクションへの進入を阻害する状態が発生する特定のセクションを制約付セクションとして設定し、制約付セクションの現在の状態が進入条件に満たすことをセクション閉塞制御よりも優先させる。これにより、セクション閉塞制御だけでは衝突を回避できないレイアウト構成においても、衝突を回避できるので、柔軟かつ拡張性の高いセクション閉塞制御を実現することができる。
特に、給電方式が異なる異種の模型車両間で制御システムが異なっていたとしても、相互の連携が可能になるので、より拡張性の高いセクション閉塞制御を実現することができる。