特開2016-214355(P2016-214355A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特開2016214355-歩行器組立用キット、及び歩行器 図000003
  • 特開2016214355-歩行器組立用キット、及び歩行器 図000004
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2016-214355(P2016-214355A)
(43)【公開日】2016年12月22日
(54)【発明の名称】歩行器組立用キット、及び歩行器
(51)【国際特許分類】
   A61H 3/04 20060101AFI20161125BHJP
【FI】
   A61H3/04
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2015-100089(P2015-100089)
(22)【出願日】2015年5月15日
(71)【出願人】
【識別番号】509146702
【氏名又は名称】朝良 勝
(71)【出願人】
【識別番号】513057843
【氏名又は名称】朝良 晃三
(74)【代理人】
【識別番号】100076406
【弁理士】
【氏名又は名称】杉本 勝徳
(74)【代理人】
【識別番号】100117097
【弁理士】
【氏名又は名称】岡田 充浩
(72)【発明者】
【氏名】朝良 勝
【テーマコード(参考)】
4C046
【Fターム(参考)】
4C046AA24
4C046AA49
4C046BB07
4C046CC02
4C046DD08
4C046DD26
4C046DD33
4C046DD46
(57)【要約】      (修正有)
【課題】コンパクトに収容可能で軽量な歩行器と、該歩行器を組立可能な歩行器組立用キットを提供する。
【解決手段】歩行器1は、歩行器組立用キット100により組み立てられる。歩行器組立用キットは、歩行器の左上、左下、右上、及び右下において少なくとも1本ずつ前後方向へ伸びるよう組み付けられる前後方向直管2と、歩行器の前側において上下に1本ずつ左右方向に伸びるよう組み付けられる左右方向直管3と、歩行器の左前、右前、左後、及び右後において1本ずつ上下方向に伸びるよう組み付けられる上下方向直管4と、チーズ5やエルボ6からなる継手とを備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
歩行器の左上、左下、右上、及び右下において少なくとも1本ずつ前後方向へ伸びるよう組み付けられる前後方向直管と、
歩行器の前側において上下に1本ずつ左右方向に伸びるよう組み付けられる左右方向直管と、
歩行器の左前、右前、左後、及び右後において1本ずつ上下方向に伸びるよう組み付けられる上下方向直管と、
前記前後方向直管、前記左右方向直管、及び前記上下方向直管からなる少なくとも10本の直管を連結するチーズ及び/又はエルボからなる継手と
を備え、
平面視で後方に開口したコ字をなす歩行器を組立可能な歩行器組立用キット。
【請求項2】
歩行器を下方から支持すべく歩行器の前後左右の4箇所に組み付けられる走行用キャスターを備える請求項1に記載の歩行器組立用キット。
【請求項3】
洗濯籠を備えた請求項1又は請求項2に記載の歩行器組立用キット。
【請求項4】
少なくとも左上及び右上の前後方向直管がJISK6741、又はJISK6742に規定された呼び径25の塩化ビニル製パイプにより形成されている請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の歩行器組立用キット。
【請求項5】
請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の歩行器組立用キットにより組み立てた歩行器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、足が不自由な人の歩行を補助する歩行器を簡易に組立可能な歩行器組立用キットと、該組立用キットを組み立てて形成した歩行器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、足が不自由な人の歩行を補助する歩行器は、一般に4つの車輪や4つの支持脚を使用者の周囲に配置するため、必然的にフレームが大きくなり、輸送や保管の際に嵩張ることが問題となる。
【0003】
そこで、コンパクトに折り畳んで輸送や保管が行えるようにした歩行器が、種々提案されている(例えば、特許文献1、及び特許文献2)。
特許文献1の折畳み式歩行器は、左右の側枠体を前枠体との連結部回りに回動させて、前枠体に重ね合わせ、全体を板状に折り畳むよう構成されている。
【0004】
また、特許文献2の歩行器具は、後輪を支持する後輪フレームを前輪を支持する前輪フレームに対し揺動可能に連結し、後輪を前輪に近づけて折り畳むように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2011−62439号公報
【特許文献2】特開2013−150862号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、特許文献1や特許文献2のように、折り畳むだけでは、フレーム自体は縮まらないため、小さくできる範囲に限界があり、また、折り畳み式にすることで、構造が複雑になるためコスト高になったり、重くなったりするという問題がある。
【0007】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、折り畳み式の歩行器以上にコンパクトに収容可能で、安価、かつ軽量な歩行器と、その組立用キットの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するためになされた発明は、歩行器の左上、左下、右上、及び右下において少なくとも1本ずつ前後方向へ伸びるよう組み付けられる前後方向直管と、歩行器の前側において上下に1本ずつ左右方向に伸びるよう組み付けられる左右方向直管と、歩行器の左前、右前、左後、及び右後において1本ずつ上下方向に伸びるよう組み付けられる上下方向直管と、前記前後方向直管、前記左右方向直管、及び前記上下方向直管からなる少なくとも10本の直管を連結するチーズ及び/又はエルボからなる継手とを備え、平面視で後方に開口したコ字をなす歩行器を組立可能な歩行器組立用キットである。
【0009】
本発明に係る歩行器では、このように、直管と継手により組立可能に構成されているため、直管や継手をバラバラの状態で運搬、保管ができ、運搬や保管に必要なスペースや労力を抑制することができる。例えば、災害時の避難所に分解した状態で保管しておけば、歩行器の必要な被災者が、わざわざ歩行器を自宅から持参する必要が無い。
【0010】
本発明は、歩行器を下方から支持すべく歩行器の前後左右の4箇所に組み付けられる走行用キャスターを備えるものを含む。このように、本発明は、キャスターを設けていわゆる歩行補助車としてもよい。
【0011】
本発明の歩行器組立用キットは、洗濯籠を備えることが好ましい。こうすることで、歩行練習を兼ねて洗濯物を干すことができる。
【0012】
少なくとも左上及び右上の前後方向直管は、JISK6741又はJISK6742に規定された呼び径25の塩化ビニル製パイプにより形成されていることが好ましい。こうすることで、本キットにより組立てる歩行器を丈夫で軽くすることができ、また、歩行器組立用キットを安価で提供することができる。
【0013】
また、本発明は、上記いずれかの歩行器組立用キットで組み立てた歩行器を含む。
【発明の効果】
【0014】
以上説明したように、本発明の歩行器組立用キット、及び歩行器によれば、コンパクトに収容可能で、かつ軽量な歩行器を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の一の実施形態に係る歩行器組立用キットを用いて組み立てた歩行器の斜視図である。
図2図1の歩行器の上部フレームを示した平面図である。
図3図1の歩行器の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、適宜図面を参照しながら本発明の実施形態について詳述する。図1は、本発明の一実施形態に係る歩行器組立用キット100を用いて組み立てた歩行器1を示している。
歩行器組立用キット100は歩行器1の、左上、左下、右上、右下に組み付けられる4本の前後方向直管2と、4本の左右方向直管3と、4本の上下方向直管4と、8個のチーズ5と、8個のエルボ6とを主に備える他、4個のキャスター7と、洗濯かご8と、図外の組立用の説明図とを備え、図外の段ボール等の包装用容器に、これら全ての部材が分離した状態で梱包されて販売される。1本の前後方向直管2は、図2に示すように、第1前後方向直管21、第2前後方向直管22、及び第3前後方向直管23からなる。
尚、本発明は、以下の実施形態に限られるものではない。
【0017】
歩行器1は、図1に示すように、それぞれ後方が開口した上部フレーム10と下部フレーム20を左前、右前、左後、及び右後に1本ずつ配設される上下方向直管4で連結し、下部フレーム20の下側に連結された4つのキャスター7で支持する構成を有している。
【0018】
上下フレーム10及び下部フレーム20は、図2図3に示すように、歩行器1の左右で前後方向に延びる前後方向直管2と平行な前後2本の左右方向直管3とでコ字状(詳細には、鳥居状)に形成されている。上下フレーム10及び下部フレーム20は、左右の前後方向直管2と、前後の左右方向直管3に囲まれた洗濯籠設置スペース81を有している。下側2本の左右方向直管3は上側2本の左右方向直管3よりやや長く、図1に示すように、左右に対向する上下方向直管4が正面視でややハの字になるよう構成して、歩行器1の安定性を確保している。
【0019】
また、前側2本の左右方向直管3と、後側2本の上下方向直管4と、左上、左下、右上、右下の4本の前後方向直管2が、8個のエルボ6を介して無端状に連結し前側2本の上下方向直管4及び後側2本の左右方向直管3は、前後方向の中間位置で前後方向直管2を連結するよう構成されているため、突出箇所がなく、使用者が安全に使用することができる。
【0020】
前後方向直管2、左右方向直管3、及び上下方向直管4は、JISK6742に規定された呼び径25の水道用硬質塩化ビニル管を予め所定の長さに切断してバリ取り等の仕上げ処理が施されている。
【0021】
本実施例では前後方向直管2を、第1前後方向直管21、第2前後方向直管22、及び第3前後方向直管23からなる長さの異なる3種の前後方向直管2により形成している。
一例で、第1前後方向直管21は、長さ70mm、第2前後方向直管22は、長さ90mm、第3前後方向直管23は、長さ400mmである。
【0022】
上部フレーム10の2本の左右方向直管3は、一例で、長さ360mmであり、下部フレーム20の左右方向直管3は、一例で、長さ460mmである。また、4本の上下方向直管4は、一例で、長さ590mmである。
【0023】
チーズ5は、JISK6743に規定された呼び径25×25のチーズからなり、歩行器1の前側、後側に隣接する第1チーズ51、及び第2チーズ52とからなる。エルボ6は、同規定の呼び径25のエルボからなり、同じくそれぞれ歩行器1の前側、後側に組み付けられる第1エルボ61、第2エルボ62とからなる。
【0024】
キャスター7は、一例で、直径75mmの前側キャスター71と、直径65mmの後側キャスター72とからなる。
【0025】
次に、上記の構成を有する歩行器組立用キット100を用いて、歩行器1を組み立てる方法について説明する。
歩行器組立用キット100から歩行器1を組み立てる際には、最初に、上部フレーム10、及び下部フレーム20を組み立てる。そして、上部フレーム10は、コ字状をなす上部フレーム前側部10aとH字状をなす上部フレーム後側部10bを別途に組み立てる。
【0026】
上部フレーム前側部10aは、図2に示すように、1本の左右方向直管3の両端に、第1エルボ61を介して第1前後方向直管21の前端を連結して形成する。この際、左右方向直管3、左右の第1エルボ61及び左右の第1前後方向直管21には、左右の前後方向直管21が互いに平行になるように、連結部の周方向の位置合わせをするための図外の目印線が設けられている。左右方向直管3、第1エルボ61及び第1前後方向直管21の接着には、樹脂製接着剤を用いる。
【0027】
上部フレーム後側部10bは、第1チーズ51の後側の主管5aに第2前後方向直管22の前端を連結したものを左右に一対設け、続けて、左右の第2前後方向直管22の後端に第2チーズ52の前側の主管5aをそれぞれ連結し、左右の第2チーズ52の後側の主管5aに第3前後方向直管23の前端をそれぞれ連結する。しかる後、左右の第2チーズ51の枝管5b同士を左右方向直管3で連結し、第3前後方向直管23の後端に第2エルボ62を連結する。こうして、上部フレーム後側部10bが完成する。
上部フレーム後側部10bにおいて、第2チーズ52と第3前後方向直管23の連結部はボルト・ナットにより連結し、その他の連結部は接着剤により連結する。また、第1チーズ51は、左右に対向する上下方向直管4がハの字になるよう、枝管5bが下方かつやや外側に向いて連結されるよう目印線が設けられている。
【0028】
次に、上部フレーム前側部10a、及び上部フレーム後側部10bが完成すると、上部フレーム前側部10aの左右の第1前後方向直管21の後端を上部フレーム後側部10bの左右の第1チーズ51の前側の主管5aに差し込むようにして、上部フレーム前側部10aと上部フレーム後側部10bとを連結する。
【0029】
上部フレーム10の組立と並行、又は前後して、下部フレーム20を組み立てる。下部フレーム20は、上部フレームより長い左右方向直管3を用い、第1チーズ51を上方かつやや内側に向けて連結する以外は、上部フレーム10と同様に組み立てる。
【0030】
上部フレーム10、及び下部フレーム20を組み立てると、図3に示すように、上部フレーム10及び下部フレーム20の上下に対向する第1チーズ51の枝管5bどうし、及び第2エルボ62どうしをそれぞれ上下方向直管4で連結する。
【0031】
こうして、上下フレーム10及び下部フレーム20を連結したら、下部フレーム20の下端部前側に矩形の板材からなるキャスタープレート9をボルト・ナットにより取り付けキャスタープレート9の下面に前側キャスター71をボルト・ナットにより取り付ける。また、下部フレーム20の第2エルボ62の下端部に後側キャスター82をボルト・ナットにより取り付ける。そして、最後に、上部フレーム10、及び下部フレーム20の前後の左右方向直管3の間の洗濯籠設置スペース81に洗濯籠8をセットする。キャスタープレート9は、左右の下部フレーム20の左右の前後方向直管2よりもやや内側に延出するよう設けられており、上側フレーム10に洗濯籠8が乗るように構成されている。
【0032】
組立てた歩行器1を用いて歩行を行う際には、後方の開口部から歩行器1の内側に入り両手で左右の第3前後方向直管23を握って体を支持しながら歩行を行う。また、歩行器1を用いて洗濯物を干す場合は、歩行器1を室内用と室外用の2台用意しておき、上側の洗濯籠8に洗濯したばかりの洗濯物を入れて、例えば庭に出る縁側まで、室内用の歩行器1を用いて歩いて行き、縁側に腰を下ろして庭に降りると、洗濯物を洗濯籠8ごと室外用の歩行器1に移し替える。
【0033】
以上、示したように、歩行器組立用キット100は、直管2,3,4が予め所定の長さに形成されており、これらをチーズ5やエルボ6で連結するだけで容易に組立てることができる。また直管2,3,4は、JISK6742に規定された呼び径25(外径φ32mm)の水道用硬質塩化ビニル管が用いられているので、非常に握りやすく、握った際に最も力が入りやすい。
【0034】
また、上部フレーム後側部10b、及び下部フレーム後側部20bにおいて、第2チーズ52と第3前後方向直管23の連結部は、ボルト・ナットにより連結されているため、当該連結部より後側の部分を容易に取り外して、移送や保管のスペースを省略できる。
【0035】
本発明に係る歩行器組立用キット及び歩行器は、上記の実施形態に限定されるものではなく、例えば、キャスターは、省略することもできるし、前側2つだけにしてもよく、洗濯籠も省略可能である。全ての結合部を接着剤により接着してもよいし、ボルト・ナットにより結合してもよい。全ての連結箇所をボルト・ナットで連結するようにすると、組立前の状態に分解できるため、バラバラに分解してよりコンパクトに保管ができる。また、直管及び継手は、塩化ビニル製に限らず、アルミニウムや鉄、ステンレス等の金属にすることもできる。
【符号の説明】
【0036】
100 歩行器組立用キット
1 歩行器
2(21,22,23) 前後方向直管
3(31,32) 左右方向直管
4 上下方向直管
5(51,52) チーズ
6(61,62) エルボ
7(71,72) キャスター
8 洗濯籠
図1
図2
図3