【解決手段】眼科撮影装置1は、第1光学系30と、第1駆動部と、第1合焦制御部とを含む。第1光学系30は、第1合焦レンズ31と、視度補正レンズ70,71とを備え、被検眼Eからの光を第1受光素子35に導く。第1合焦レンズ31は、第1光路30の光軸に沿って移動可能である。視度補正レンズ70,71は、第1光路30に対して挿脱可能である。第1駆動部は、第1合焦レンズ31を移動する。第1合焦制御部は、第1光路30から視度補正レンズ70,71が退避されている退避状態と第1光路30に視度補正レンズ70,71が挿入されている挿入状態とで互いに異なる合焦制御を第1駆動部に対して実行する。
前記第2光学系は、光源からの光を測定光と参照光とに分割し、前記測定光を前記被検眼に入射させ、前記被検眼からの前記測定光の戻り光と前記参照光との干渉光を前記第2受光素子により検出する干渉光学系を含み、
前記第2合焦レンズは、前記測定光および前記戻り光の光路に配置され、
前記第2合焦制御部は、前記干渉光学系により検出された前記干渉光に基づいて前記第2合焦レンズの位置を決定する
ことを特徴とする請求項2に記載の眼科撮影装置。
前記合焦視標の像の位置が所定の位置になる前記合焦視標投影光学系の位置と前記第1合焦レンズの位置とが関連付けられた第2制御情報と、前記第2制御情報を補正するための補正情報とをあらかじめ記憶する記憶部を含み、
前記第1合焦制御部は、
前記退避状態において、前記第2制御情報に基づいて前記第1合焦レンズの位置を決定し、決定された合焦位置に前記第1合焦レンズを移動させるとともに、
前記挿入状態において、前記記憶部に記憶された前記第1合焦レンズの位置を前記補正情報に基づいて補正することにより前記第1合焦レンズの新たな位置を決定し、前記新たな合焦位置に前記第1合焦レンズを移動させる
ことを特徴とする請求項6に記載の眼科撮影装置。
【発明を実施するための形態】
【0012】
この発明の実施形態の一例について、図面を参照しながら詳細に説明する。実施形態に係る眼科撮影装置は、フォーカス位置の変更が可能で被検眼の撮影を行うための第1光学系と、第1光学系とは別途にフォーカス位置の変更が可能で当該被検眼の観察または撮影を行うための第2光学系とを含む。第1光学系は、光路に対して挿脱可能な視度補正レンズを含む。当該光路に視度補正レンズが挿入されている第1光学系は、第2光学系により当該被検眼に対して実行された合焦制御の制御内容に基づいてフォーカス位置を変更することが可能である。
【0013】
以下、実施形態に係る眼科撮影装置は、それぞれが被検眼の撮影が可能な2つの光学系を含むものとする。その具体例として、実施形態に係る眼科撮影装置は、眼底撮影装置の機能と光干渉断層計の機能とを有し、被検眼に対して眼底撮影と光コヒーレンストモグラフィ(Optical Coherence Tomography:以下、OCT)とを実行する。このOCTは、たとえば眼底や前眼部など、被検眼の任意の部位に対して実行される。
【0014】
以下の実施形態では、フーリエドメインタイプのOCTを実行可能な眼科撮影装置について説明する。特に、実施形態に係る眼科撮影装置は、スウェプトソースタイプのOCTの手法を適用可能である。なお、スウェプトソースタイプ以外のタイプ、たとえばスペクトラルドメインタイプのOCTを実行可能な眼科撮影装置に対して、この発明に係る構成を適用することも可能である。また、以下の実施形態では眼底撮影機能を有する眼底カメラとOCT装置とを組み合わせた装置について説明する。しかしながら、OCT装置以外のモダリティ、たとえばSLO(Scanning Laser Ophthalmoscope)、スリットランプ、眼科手術用顕微鏡、光凝固装置などに、実施形態に係る構成を有する眼底カメラを組み合わせることも可能である。
【0015】
この明細書では、OCTによって取得される画像をOCT画像と総称することがある。また、この明細書において引用された文献の記載内容を、以下の実施形態の内容として援用することが可能である。
【0016】
[構成]
図1に示すように、眼科撮影装置1は、眼底カメラユニット2、OCTユニット100および演算制御ユニット200を含んで構成される。眼底カメラユニット2は、従来の眼底カメラとほぼ同様の光学系を有する。OCTユニット100には、OCTを実行するための光学系が設けられている。演算制御ユニット200は、各種の演算処理や制御処理等を実行するコンピュータを具備している。
【0017】
〔眼底カメラユニット〕
図1に示す眼底カメラユニット2には、被検眼Eの眼底Efの表面形態を表す2次元画像(眼底像)を取得するための光学系が設けられている。眼底像には、観察画像や撮影画像などが含まれる。観察画像は、たとえば、近赤外光を用いて所定のフレームレートで形成されるモノクロの動画像である。撮影画像は、たとえば、可視光をフラッシュ発光して得られるカラー画像、または近赤外光若しくは可視光を照明光として用いたモノクロの静止画像であってもよい。眼底カメラユニット2は、これら以外の画像、たとえばフルオレセイン蛍光画像やインドシアニングリーン蛍光画像や自発蛍光画像などを取得可能に構成されていてもよい。
【0018】
眼底カメラユニット2には、被検者の顔を支持するための顎受けや額当てが設けられている。更に、眼底カメラユニット2には、照明光学系10と撮影光学系30とが設けられている。照明光学系10は眼底Efに照明光を照射する。撮影光学系30は、この照明光の眼底反射光を撮像装置(CCDイメージセンサ(単にCCDと呼ぶことがある)35、38)に導く。また、撮影光学系30は、OCTユニット100からの測定光を被検眼Eに導くとともに、被検眼Eを経由した測定光をOCTユニット100に導く。
【0019】
照明光学系10の観察光源11は、たとえばハロゲンランプまたはLED(Light Emitting Diode)により構成される。観察光源11から出力された光(観察照明光)は、曲面状の反射面を有する反射ミラー12により反射され、集光レンズ13を経由し、可視カットフィルタ14を透過して近赤外光となる。更に、観察照明光は、撮影光源15の近傍にて一旦集束し、ミラー16により反射され、リレーレンズ17、18、絞り19およびリレーレンズ20を経由する。そして、観察照明光は、孔開きミラー21の周辺部(孔部の周囲の領域)にて反射され、ダイクロイックミラー46を透過し、対物レンズ22により屈折されて眼底Efを照明する。
【0020】
観察照明光の眼底反射光は、対物レンズ22により屈折され、ダイクロイックミラー46を透過し、孔開きミラー21の中心領域に形成された孔部を通過し、ダイクロイックミラー55を透過し、撮影合焦レンズ31を経由し、ミラー32により反射される。更に、この眼底反射光は、ハーフミラー33Aを透過し、ダイクロイックミラー33により反射され、集光レンズ34によりCCDイメージセンサ35の受光面に結像される。CCDイメージセンサ35は、たとえば所定のフレームレートで眼底反射光を検出する。表示装置3には、CCDイメージセンサ35により検出された眼底反射光に基づく画像(観察画像)が表示される。なお、撮影光学系30のピントが前眼部に合わせられている場合、被検眼Eの前眼部の観察画像が表示される。
【0021】
撮影光源15は、たとえばキセノンランプまたはLEDにより構成される。撮影光源15から出力された光(撮影照明光)は、観察照明光と同様の経路を通って眼底Efに照射される。撮影照明光の眼底反射光は、観察照明光のそれと同様の経路を通ってダイクロイックミラー33まで導かれ、ダイクロイックミラー33を透過し、ミラー36により反射され、集光レンズ37によりCCDイメージセンサ38の受光面に結像される。表示装置3には、CCDイメージセンサ38により検出された眼底反射光に基づく画像(撮影画像)が表示される。なお、観察画像を表示する表示装置3と撮影画像を表示する表示装置3は、同一のものであってもよいし、異なるものであってもよい。また、被検眼Eを赤外光で照明して同様の撮影を行う場合には、赤外の撮影画像が表示される。また、撮影光源としてLEDを用いることも可能である。
【0022】
LCD(Liquid Crystal Display)39は、固視標や視力測定用指標を表示する。固視標は被検眼Eを固視させるための指標であり、眼底撮影時やOCT計測時などに使用される。
【0023】
LCD39から出力された光は、その一部がハーフミラー33Aにて反射され、ミラー32に反射され、撮影合焦レンズ31およびダイクロイックミラー55を経由し、孔開きミラー21の孔部を通過する。孔開きミラー21の孔部を通過した光は、ダイクロイックミラー46を透過し、対物レンズ22により屈折されて眼底Efに照射される。LCD39の画面上における固視標の表示位置を変更することにより、被検眼Eの固視位置を変更できる。
【0024】
更に、眼底カメラユニット2には、従来の眼底カメラと同様にアライメント光学系50とフォーカス光学系60が設けられている。アライメント光学系50は、被検眼Eに対する装置光学系の位置合わせ(アライメント)を行うための指標(アライメント指標)を生成する。フォーカス光学系60は、被検眼Eに対してフォーカス(ピント)を合わせるための指標(スプリット指標)を生成する。
【0025】
アライメント光学系50のLED51から出力された光(アライメント光)は、絞り52、53およびリレーレンズ54を経由してダイクロイックミラー55により反射され、孔開きミラー21の孔部を通過する。孔開きミラー21の孔部を通過した光は、ダイクロイックミラー46を透過し、対物レンズ22により被検眼Eの角膜に照射される。
【0026】
アライメント光の角膜反射光は、対物レンズ22、ダイクロイックミラー46および上記孔部を経由し、その一部がダイクロイックミラー55を透過し、撮影合焦レンズ31を通過する。撮影合焦レンズ31を通過した角膜反射光は、ミラー32により反射され、ハーフミラー33Aを透過し、ダイクロイックミラー33に反射され、集光レンズ34によりCCDイメージセンサ35の受光面に投影される。CCDイメージセンサ35による受光像(アライメント指標)は、観察画像とともに表示装置3に表示される。ユーザは、従来の眼底カメラと同様の操作を行ってアライメントを実施する。また、演算制御ユニット200がアライメント指標の位置を解析して光学系を移動させることによりアライメントを行ってもよい(オートアライメント機能)。
【0027】
フォーカス光学系60は、撮影光学系30の光路(以下、「撮影光路」と表記する場合がある)に沿った撮影合焦レンズ31の移動に連動して、照明光学系10の光路(以下、「照明光路」と表記する場合がある)に沿って移動可能である。フォーカス光学系60の反射棒67は、照明光路に対して挿脱可能である。
【0028】
フォーカス調整を行う際には、照明光路上に反射棒67の反射面が斜設される。フォーカス光学系60のLED61から出力された光(フォーカス光)は、リレーレンズ62を通過し、スプリット視標板63により2つの光束に分離され、二孔絞り64を通過する。二孔絞り64を通過した光は、ミラー65により反射され、集光レンズ66により反射棒67の反射面に一旦結像されて反射される。更に、フォーカス光は、リレーレンズ20を経由し、孔開きミラー21に反射され、ダイクロイックミラー46を透過し、対物レンズ22により屈折されて眼底Efに照射される。
【0029】
フォーカス光の眼底反射光は、アライメント光の角膜反射光と同様の経路を通ってCCDイメージセンサ35により検出される。CCDイメージセンサ35による受光像(スプリット指標像)は、観察画像とともに表示装置3に表示される。演算制御ユニット200は、従来と同様に、スプリット指標像の位置を解析して撮影合焦レンズ31およびフォーカス光学系60を移動させてピント合わせを行う(オートフォーカス機能)。また、スプリット指標像を視認しつつ手動でピント合わせを行ってもよい。
【0030】
反射棒67は、被検眼Eの眼底Efと光学的に略共役な照明光路上の位置に挿入される。照明光路に対して挿入されている反射棒67の反射面の位置は、スプリット視標板63と光学的に略共役な位置である。スプリット視標光束は、前述のように、二孔絞り64などの作用により2つに分離される。被検眼Eの眼底Efと反射棒67の反射面とが共役ではない場合、CCDイメージセンサ35により取得されたスプリット視標像は、たとえば、左右方向に2つに分離して表示装置3に表示される。被検眼Eの眼底Efと反射棒67の反射面とが略共役である場合、CCDイメージセンサ35により取得されたスプリット視標像は、たとえば、上下方向に一致して表示装置3に表示される。眼底Efとスプリット視標板63とが常に光学的に共役になるように撮影合焦レンズ31と連動してフォーカス光学系60が照明光路に沿って移動される。眼底Efとスプリット視標板63とが共役になっていない場合にはスプリット視標像が2つに分離するため、2つのスプリット視標像が上下方向に一致するようにフォーカス光学系60を移動することにより、撮影合焦レンズ31の位置が求められる。なお、この実施形態では、2つのスプリット視標像が取得される場合について説明したが、3以上のスプリット視標像であってよい。
【0031】
撮影光学系30には、孔開きミラー21とダイクロイックミラー55との間で、撮影光路に対して挿脱可能な視度補正レンズ70、71が設けられる。視度補正レンズ70は、強度の遠視を補正するために用いられるプラス(+)レンズである。視度補正レンズ70には、たとえば、+20D(ディオプター)の凸レンズが用いられる。視度補正レンズ71は、強度の近視を補正するために用いられるマイナス(−)レンズである。視度補正レンズ71には、たとえば、−20D(ディオプター)の凹レンズが用いられる。たとえば、ターレット板に、周方向に沿って視度補正レンズ70、71が配設される。また、ターレット板の周方向には、孔部が形成される。ターレット板は、撮影光学系30の光軸から偏心した位置に設けられた回動軸の回りにステッピングモータ(駆動部)などで回動される。ステッピングモータでターレット板を回動軸の回りに回動させることにより、撮影光路に視度補正レンズ70や視度補正レンズ71を配置させたり、当該撮影光路から視度補正レンズ70および視度補正レンズ71を退避させたりすることができる。
【0032】
ダイクロイックミラー46は、眼底撮影用の光路からOCT用の光路を分岐させている。ダイクロイックミラー46は、OCTに用いられる波長帯の光を反射し、眼底撮影用の光を透過させる。このOCT用の光路には、OCTユニット100側から順に、コリメータレンズユニット40と、光路長変更部41と、光スキャナ42と、OCT合焦レンズ43と、ミラー44と、リレーレンズ45とが設けられている。
【0033】
光路長変更部41は、
図1に示す矢印の方向に移動可能とされ、OCT用の光路の光路長を変更する。この光路長の変更は、被検眼Eの眼軸長に応じた光路長の補正や、干渉状態の調整などに利用される。光路長変更部41は、たとえばコーナーキューブと、これを移動する機構とを含んで構成される。
【0034】
光スキャナ42は、被検眼Eの瞳孔と光学的に共役な位置に配置されている。光スキャナ42は、OCT用の光路を通過する光(測定光LS)の進行方向を変更する。それにより、被検眼Eを測定光LSでスキャンすることができる。光スキャナ42は、たとえば、測定光LSをx方向にスキャンするガルバノミラーと、y方向にスキャンするガルバノミラーと、これらを独立に駆動する機構とを含んで構成される。それにより、測定光LSをxy平面上の任意の方向にスキャンすることができる。
【0035】
〔OCTユニット〕
OCTユニット100の構成の一例を
図2に示す。OCTユニット100には、被検眼EのOCT画像を取得するための光学系が設けられている。この光学系は、従来のスウェプトソースタイプのOCT装置と同様の構成を有する。すなわち、この光学系は、波長掃引型(波長走査型)光源からの光を測定光と参照光とに分割し、被検眼Eからの測定光の戻り光と参照光路を経由した参照光とを干渉させて干渉光を生成し、この干渉光を検出する干渉光学系である。干渉光学系による干渉光の検出結果(検出信号)は、干渉光のスペクトルを示す信号であり、演算制御ユニット200に送られる。
【0036】
光源ユニット101は、一般的なスウェプトソースタイプのOCT装置と同様に、出射光の波長を掃引(走査)可能な波長掃引型(波長走査型)光源を含んで構成される。波長掃引型光源は、共振器を含むレーザ光源を含んで構成される。光源ユニット101は、人眼では視認できない近赤外の波長帯において、出力波長を時間的に変化させる。
【0037】
光源ユニット101から出力された光L0は、光ファイバ102により偏波コントローラ103に導かれてその偏光状態が調整される。偏波コントローラ103は、たとえばループ状にされた光ファイバ102に対して外部から応力を与えることで、光ファイバ102内を導かれる光L0の偏光状態を調整する。
【0038】
偏波コントローラ103により偏光状態が調整された光L0は、光ファイバ104によりファイバカプラ105に導かれて測定光LSと参照光LRとに分割される。
【0039】
参照光LRは、光ファイバ110によりコリメータ111に導かれて平行光束となる。平行光束となった参照光LRは、光路長補正部材112および分散補償部材113を経由し、コーナーキューブ114に導かれる。光路長補正部材112は、参照光LRの光路長(光学距離)と測定光LSの光路長とを合わせるための遅延手段として作用する。分散補償部材113は、参照光LRと測定光LSとの間の分散特性を合わせるための分散補償手段として作用する。
【0040】
コーナーキューブ114は、コリメータ111により平行光束となった参照光LRの進行方向を逆方向に折り返す。コーナーキューブ114に入射する参照光LRの光路と、コーナーキューブ114から出射する参照光LRの光路とは平行である。また、コーナーキューブ114は、参照光LRの入射光路および出射光路に沿う方向に移動可能とされている。この移動により参照光LRの光路の長さが変更される。
【0041】
なお、
図1および
図2に示す構成においては、測定光LSの光路(測定光路、測定アーム)の長さを変更するための光路長変更部41と、参照光LRの光路(参照光路、参照アーム)の長さを変更するためのコーナーキューブ114の双方が設けられている。しかしながら、光路長変更部41とコーナーキューブ114のうちのいずれか一方が設けられていてもよい。また、これら以外の光学部材を用いて、測定光路長と参照光路長との差を変更することも可能である。
【0042】
コーナーキューブ114を経由した参照光LRは、分散補償部材113および光路長補正部材112を経由し、コリメータ116によって平行光束から集束光束に変換されて光ファイバ117に入射する。光ファイバ117に入射した参照光LRは、偏波コントローラ118に導かれてその偏光状態が調整される。
【0043】
偏波コントローラ118は、たとえば、偏波コントローラ103と同様の構成を有する。偏波コントローラ118により偏光状態が調整された参照光LRは、光ファイバ119によりアッテネータ120に導かれて、演算制御ユニット200の制御の下で光量が調整される。アッテネータ120により光量が調整された参照光LRは、光ファイバ121によりファイバカプラ122に導かれる。
【0044】
一方、ファイバカプラ105により生成された測定光LSは、光ファイバ127により導かれ、コリメータレンズユニット40により平行光束とされる。平行光束にされた測定光LSは、光路長変更部41、光スキャナ42、OCT合焦レンズ43、ミラー44およびリレーレンズ45を経由してダイクロイックミラー46に到達する。そして、測定光LSは、ダイクロイックミラー46により反射され、対物レンズ22により屈折されて被検眼Eに照射される。測定光LSは、被検眼Eの様々な深さ位置において散乱(反射を含む)される。このような後方散乱光を含む測定光LSの戻り光は、往路と同じ経路を逆向きに進行してファイバカプラ105に導かれ、光ファイバ128を経由してファイバカプラ122に到達する。
【0045】
ファイバカプラ122は、光ファイバ128を介して入射された測定光LSと、光ファイバ121を介して入射された参照光LRとを合成して(干渉させて)干渉光を生成する。ファイバカプラ122は、所定の分岐比(たとえば1:1)で、測定光LSと参照光LRとの干渉光を分岐することにより、一対の干渉光LCを生成する。ファイバカプラ122から出射した一対の干渉光LCは、それぞれ光ファイバ123、124により検出器125に導かれる。
【0046】
検出器125は、たとえば一対の干渉光LCをそれぞれ検出する一対のフォトディテクタを有し、これらによる検出結果の差分を出力するバランスドフォトダイオード(Balanced Photo Diode)である。検出器125は、その検出結果(検出信号)をDAQ(Data Acquisition System)130に送る。DAQ130には、光源ユニット101からクロックKCが供給される。クロックKCは、光源ユニット101において、波長掃引型光源により所定の波長範囲内で掃引(走査)される各波長の出力タイミングに同期して生成される。光源ユニット101は、たとえば、各出力波長の光L0を分岐することにより得られた2つの分岐光の一方を光学的に遅延させた後、これらの合成光を検出した結果に基づいてクロックKCを生成する。DAQ130は、クロックKCに基づき、検出器125の検出結果をサンプリングする。DAQ130は、サンプリングされた検出器125の検出結果を演算制御ユニット200に送る。演算制御ユニット200は、たとえば一連の波長走査毎に(Aライン毎に)、検出器125により得られた検出結果に基づくスペクトル分布にフーリエ変換等を施すことにより、各Aラインにおける反射強度プロファイルを形成する。更に、演算制御ユニット200は、各Aラインの反射強度プロファイルを画像化することにより画像データを形成する。
【0047】
〔演算制御ユニット〕
演算制御ユニット200の構成について説明する。演算制御ユニット200は、検出器125から入力される検出信号を解析して被検眼EのOCT画像を形成する。そのための演算処理は、従来のスウェプトソースタイプのOCT装置と同様である。
【0048】
また、演算制御ユニット200は、眼底カメラユニット2、表示装置3およびOCTユニット100の各部を制御する。たとえば演算制御ユニット200は、被検眼EのOCT画像を表示装置3に表示させる。
【0049】
演算制御ユニット200は、たとえば、従来のコンピュータと同様に、マイクロプロセッサ、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、ハードディスクドライブ、通信インターフェイスなどを含む。ハードディスクドライブ等の記憶装置には、眼科撮影装置1を制御するためのコンピュータプログラムが記憶されている。演算制御ユニット200は、各種の回路基板、たとえばOCT画像を形成するための回路基板を備えていてもよい。また、演算制御ユニット200は、キーボードやマウス等の操作デバイス(入力デバイス)や、LCD等の表示デバイスを備えていてもよい。
【0050】
〔制御系〕
眼科撮影装置1の制御系の構成について
図3を参照しつつ説明する。なお、
図3においては、眼科撮影装置1のいくつかの構成要素が省略されており、この実施形態を説明するために特に必要な構成要素が選択的に示されている。
【0051】
(制御部)
眼科撮影装置1の制御系は、制御部210を中心に構成される。制御部210は、たとえば、マイクロプロセッサ、RAM、ROM、ハードディスクドライブ、通信インターフェイス等を含んで構成される。制御部210には、主制御部211と記憶部212が設けられている。
【0052】
(主制御部)
主制御部211は前述の各種制御を行う。特に、
図3に示すように、主制御部211は、眼底カメラユニット2の撮影合焦駆動部31A、CCDイメージセンサ35および38、LCD39、光路長変更部41、および光スキャナ42を制御する。また、主制御部211は、OCT合焦駆動部43A、フォーカス光学系駆動部60Aおよび反射棒駆動部67A等を制御する。また、主制御部211は、OCTユニット100の光源ユニット101、参照駆動部114A、検出器125およびDAQ130などを制御する。
【0053】
撮影合焦駆動部31Aは、撮影光路の光軸に沿って撮影合焦レンズ31を移動する。それにより、撮影光学系30の合焦位置が変更される。なお、主制御部211は、図示しない光学系駆動部を制御して、眼底カメラユニット2に設けられた光学系を3次元的に移動させることができる。この制御は、アライメントやトラッキングにおいて用いられる。トラッキングとは、被検眼Eの運動に合わせて装置光学系を移動させるものである。トラッキングを行う場合には、事前にアライメントとピント合わせが実行される。トラッキングは、被検眼Eを動画撮影して得られる画像に基づき被検眼Eの位置や向きに合わせて装置光学系をリアルタイムで移動させることにより、アライメントとピントが合った好適な位置関係を維持する機能である。
【0054】
OCT合焦駆動部43Aは、測定光路の光軸に沿ってOCT合焦レンズ43を移動する。それにより、測定光LSの合焦位置が変更される。測定光LSの合焦位置は、測定光LSのビームウェストの深さ位置(z位置)に相当する。
【0055】
フォーカス光学系駆動部60Aは、照明光路の光軸に沿ってフォーカス光学系60を移動する。フォーカス光学系駆動部60Aは、撮影合焦駆動部31Aによる撮影合焦レンズ31の移動に連動してフォーカス光学系60を移動する。
【0056】
反射棒駆動部67Aは、照明光路に反射棒67を配置させたり、照明光路から反射棒67を退避させたりする。照明光路に反射棒67を配置させることにより、2つのスプリット視標像が表示装置3に表示される。前述のように、2つのスプリット視標像の位置を解析することにより、撮影光学系30を合焦させることができる。
【0057】
参照駆動部114Aは、参照光路に設けられたコーナーキューブ114を移動させる。それにより、参照光路の長さが変更される。なお、前述したように、光路長変更部41と、コーナーキューブ114および参照駆動部114Aとのいずれか一方のみが設けられた構成であってもよい。
【0058】
主制御部211は、撮影合焦制御部211aと、OCT合焦制御部211bと、強度検出部211cとを含む。
【0059】
(撮影合焦制御部)
撮影合焦制御部211aは、撮影光学系30を合焦させるように撮影合焦駆動部31Aを制御する。撮影合焦駆動部31Aとフォーカス光学系駆動部60Aとは連動するため、撮影合焦駆動部31Aに対する制御はフォーカス光学系駆動部60Aに対する制御と同一視できる。撮影合焦制御部211aは、撮影光路から視度補正レンズ70、71が退避されている退避状態と撮影光路に視度補正レンズ70または視度補正レンズ71が挿入されている挿入状態とで互いに異なる合焦制御を撮影合焦駆動部31Aに対して実行する。
【0060】
<退避状態>
退避状態においては、撮影合焦制御部211aは、2つのスプリット視標像の位置関係が基準位置関係になるようにフォーカス光学系駆動部60Aを制御することにより撮影合焦レンズ31の位置を決定する。2つのスプリット視標像は、フォーカス光学系60により2つのスプリット視標が投影された被検眼Eからの戻り光に基づいてCCD35により取得される。撮影合焦制御部211aは、CCD35により取得された画像を解析し、当該画像に描出された2つのスプリット視標像の位置関係を上下方向に一致するように撮影合焦駆動部31Aを制御する。撮影合焦制御部211aは、2つのスプリット視標像が上下方向に一致するときの撮影光路上の撮影合焦レンズ31の位置を合焦位置として決定する。撮影合焦制御部211aは、撮影合焦駆動部31Aを制御することにより、決定された位置に撮影合焦レンズ31を移動させる。撮影合焦制御部211aは、2つのスプリット視標像が上下方向に一致するフォーカス光学系60の位置に対応して記憶部212にあらかじめ記憶された後述の撮影合焦制御情報212aを参照することにより撮影合焦レンズ31の位置を決定することが可能である。
【0061】
<挿入状態>
前述のように、挿入状態においては撮影光学系30によりスプリット視標像を取得することができない。挿入状態においては、撮影合焦制御部211aは、後述のOCT合焦制御部211bにより決定されたOCT合焦レンズ43の位置に基づいて撮影合焦レンズ31の位置を決定する。後述のようにOCT合焦制御部211bは、干渉光学系により検出された干渉光LCに基づいてOCT合焦レンズ43の位置を決定するため、撮影合焦制御部211aは、当該干渉光LCに基づいて撮影合焦レンズ31の位置を決定することが可能である。撮影合焦制御部211aは、後述の強度検出部211cにより検出される干渉光LCの強度が最大になるように撮影合焦レンズ31の位置を決定することが可能である。また、撮影合焦制御部211aは、OCT合焦制御部211bによるOCT合焦駆動部43Aに対する制御内容(制御履歴)に基づいて撮影合焦レンズ31の位置を決定するようにしてもよい。撮影合焦制御部211aは、撮影合焦駆動部31Aを制御することにより、決定された位置に撮影合焦レンズ31を移動させる。撮影合焦制御部211aは、記憶部212にあらかじめ記憶された後述のOCT合焦制御情報212bを参照することにより撮影合焦レンズ31の位置を決定することが可能である。
【0062】
(OCT合焦制御部)
OCT合焦制御部211bは、干渉光学系を合焦させるようにOCT合焦駆動部43Aを制御する。前述のように、OCT合焦制御部211bは、干渉光学系により検出された干渉光LCに基づいてOCT合焦レンズ43の位置を決定する。その具体例として、OCT合焦制御部211bは、強度検出部211cにより検出される干渉光LCの強度が最大になるようにOCT合焦レンズ43の位置を決定する。OCT合焦制御部211bは、OCT合焦駆動部43Aを制御することにより、決定された合焦位置にOCT合焦レンズ43を移動させる。
【0063】
(強度検出部)
強度検出部211cは、干渉光学系により検出された干渉光の強度を検出する。強度検出部211cは、検出器125により検出された検出信号に基づいて干渉光の強度を検出する。強度検出部211cは、干渉光の強度の最大値を検出することが可能である。OCT合焦制御部211bは、あらかじめ設定された被検眼Eのスキャン範囲またはスキャン位置において強度検出部211cにより干渉光の強度が最大になるようにOCT合焦レンズ43の合焦位置を決定する。
【0064】
(記憶部)
記憶部212は、各種のデータを記憶する。記憶部212に記憶されるデータとしては、たとえば、OCT画像の画像データ、眼底像の画像データ、被検眼情報などがある。被検眼情報は、患者IDや氏名などの被検者に関する情報や、左眼/右眼の識別情報などの被検眼に関する情報を含む。また、記憶部212には、眼科撮影装置1を動作させるための各種プログラムやデータが記憶されている。
【0065】
記憶部212には、撮影合焦制御情報212aと、OCT合焦制御情報212bとがあらかじめ記憶されている。
【0066】
撮影合焦制御情報212aは、
図4に示すように、2つのスプリット視標像の位置関係が前述の基準位置関係になるフォーカス光学系60の位置F1、F2、・・・と撮影合焦レンズ31の位置D1、D2、・・・とが関連付けられた制御情報である。被検眼Eの視度に応じて、照明光路上で2つのスプリット視標像の位置関係が基準位置関係になるフォーカス光学系60の位置が決まる。また、被検眼Eの視度に応じて、撮影光学系30を合焦させる撮影合焦レンズ31の撮影光路上の位置が決まる。したがって、フォーカス光学系60の位置から被検眼Eの視度を求め、求められた被検眼Eの視度から撮影合焦レンズ31の位置を求めることができるため、
図4に示す撮影合焦制御情報212aを事前に生成することができる。撮影合焦制御部211aは、撮影合焦制御情報212aに基づいてフォーカス光学系60の位置から撮影合焦レンズ31の位置を特定する。このとき、撮影合焦制御部211aは、撮影合焦制御情報212aとしてあらかじめ記憶された制御情報を用いて補間処理を行い、補間処理により得られた新たな制御情報に基づいて撮影合焦レンズ31の合焦位置を特定することが可能である。
【0067】
OCT合焦制御情報212bは、
図5に示すように、OCT合焦レンズ43の位置C1、C2、・・・と、撮影合焦レンズ31の位置d1、2、・・・とが関連付けられた制御情報である。被検眼Eの視度に応じて、干渉光学系を合焦させるOCT合焦レンズ43の測定光路上の位置が決まる。また、前述のように、被検眼Eの視度に応じて、撮影光学系30を合焦させる撮影合焦レンズ31の撮影光路上の位置が決まる。したがって、OCT合焦レンズ43の位置から被検眼Eの視度を求め、求められた被検眼Eの視度から撮影合焦レンズ31の位置を求めることができるため、
図5に示すOCT合焦制御情報212bを事前に生成することができる。撮影合焦制御部211aは、OCT合焦制御情報212bに基づいてOCT合焦レンズ43の位置から撮影合焦レンズ31の位置を特定する。このとき、撮影合焦制御部211aは、OCT合焦制御情報212bとしてあらかじめ記憶された制御情報を用いて補間処理を行い、補間処理により得られた新たな制御情報に基づいて撮影合焦レンズ31の合焦位置を特定することが可能である。
【0068】
(画像形成部)
画像形成部220は、検出器125(DAQ130)からの検出信号に基づいて、眼底Efの断面像の画像データを形成する。すなわち、画像形成部220は、干渉光学系による干渉光LCの検出結果に基づいて被検眼Eの画像データを形成する。この処理には、従来のスウェプトソースタイプのOCTと同様に、ノイズ除去(ノイズ低減)、フィルタ処理、FFT(Fast Fourier Transform)などの処理が含まれている。このようにして取得される画像データは、複数のAライン(被検眼E内における各測定光LSの経路)における反射強度プロファイルを画像化することにより形成された一群の画像データを含むデータセットである。
【0069】
画質を向上させるために、同じパターンでのスキャンを複数回繰り返して収集された複数のデータセットを重ね合わせる(加算平均する)ことができる。
【0070】
また、画像形成部220は、撮影合焦レンズ31を通過した被検眼Eからの2以上のスプリット視標の戻り光に基づいてCCD35により検出された画像信号から、2以上のスプリット視標像が描出された画像を形成する。なお、当該2以上のスプリット視標像が描出された画像の形成は、主制御部211により行われてもよい。
【0071】
画像形成部220は、たとえば、前述の回路基板を含んで構成される。なお、この明細書では、「画像データ」と、それに基づく「画像」とを同一視することがある。また、被検眼Eの部位とその画像とを同一視することもある。
【0072】
(データ処理部)
データ処理部230は、画像形成部220により形成された画像に対して各種のデータ処理(画像処理)や解析処理を施す。たとえば、データ処理部230は、画像の輝度補正や分散補正等の補正処理を実行する。また、データ処理部230は、眼底カメラユニット2により得られた画像(眼底像、前眼部像等)に対して各種の画像処理や解析処理を施す。
【0073】
データ処理部230は、断面像の間の画素を補間する補間処理などの公知の画像処理を実行することにより、被検眼Eのボリュームデータ(ボクセルデータ)を形成することができる。ボリュームデータに基づく画像を表示させる場合、データ処理部230は、このボリュームデータに対してレンダリング処理を施して、特定の視線方向から見たときの擬似的な3次元画像を形成する。
【0074】
データ処理部230は、眼底像とOCT画像との位置合わせを行うことができる。眼底像とOCT画像とが並行して取得される場合には、双方の光学系が同軸であることから、(ほぼ)同時に取得された眼底像とOCT画像とを、撮影光学系30の光軸を基準として位置合わせすることができる。また、眼底像とOCT画像との取得タイミングに関わらず、OCT画像のうち眼底Efの相当する画像領域の少なくとも一部をxy平面に投影して得られる正面画像と、眼底像との位置合わせをすることにより、そのOCT画像とその眼底像とを位置合わせすることも可能である。この位置合わせ手法は、眼底像取得用の光学系とOCT用の光学系とが同軸でない場合においても適用可能である。また、双方の光学系が同軸でない場合であっても、双方の光学系の相対的な位置関係が既知であれば、この相対位置関係を参照して同軸の場合と同様の位置合わせを実行することが可能である。
【0075】
以上のように機能するデータ処理部230は、たとえば、マイクロプロセッサ、RAM、ROM、ハードディスクドライブ、回路基板等を含んで構成される。ハードディスクドライブ等の記憶装置には、上記機能をマイクロプロセッサに実行させるコンピュータプログラムがあらかじめ格納されている。
【0076】
(ユーザインターフェイス)
ユーザインターフェイス240には、表示部241と操作部242とが含まれる。表示部241は、前述した演算制御ユニット200の表示デバイスや表示装置3を含んで構成される。操作部242は、前述した演算制御ユニット200の操作デバイスを含んで構成される。操作部242には、眼科撮影装置1の筐体や外部に設けられた各種のボタンやキーが含まれていてもよい。また、表示部241は、眼底カメラユニット2の筺体に設けられたタッチパネルなどの各種表示デバイスを含んでいてもよい。
【0077】
なお、表示部241と操作部242は、それぞれ個別のデバイスとして構成される必要はない。たとえばタッチパネルのように、表示機能と操作機能とが一体化されたデバイスを用いることも可能である。その場合、操作部242は、このタッチパネルとコンピュータプログラムとを含んで構成される。操作部242に対する操作内容は、電気信号として制御部210に入力される。また、表示部241に表示されたグラフィカルユーザインターフェイス(GUI)と、操作部242とを用いて、操作や情報入力を行うようにしてもよい。
【0078】
撮影光学系30は、実施形態に係る「第1光学系」の一例である。撮影光学系30の光路である撮影光路は、実施形態に係る「第1光路」の一例である。撮影合焦レンズ31は、実施形態に係る「第1合焦レンズ」の一例である。CCD35は、実施形態に係る「第1受光素子」の一例である。撮影合焦駆動部31Aは、実施形態に係る「第1駆動部」の一例である。撮影合焦制御部211aは、実施形態に係る「第1合焦制御部」の一例である。
【0079】
OCTユニット100、コリメータレンズユニット40、光路長変更部41、光スキャナ42、OCT合焦レンズ43、ミラー44およびリレーレンズ45は、実施形態に係る「第2光学系」または「干渉光学系」の一例である。測定光LSやその戻り光の光路である測定光路は、実施形態に係る「第2光路」の一例である。OCT合焦レンズ43は、実施形態に係る「第2合焦レンズ」の一例である。検出器125は、実施形態に係る「第2受光素子」の一例である。OCT合焦駆動部43Aは、実施形態に係る「第2駆動部」の一例である。OCT合焦制御部211bは、実施形態に係る「第2合焦制御部」の一例である。
【0080】
照明光学系10の光路である照明光路は、実施形態に係る「第3光路」の一例である。フォーカス光学系60は、実施形態に係る「合焦視標投影光学系」の一例である。2つのスプリット視標は、実施形態に係る「合焦視標」の一例である。フォーカス光学系駆動部60Aは、実施形態に係る「第3駆動部」の一例である。撮影合焦制御情報212aは、実施形態に係る「第2制御情報」の一例である。OCT合焦制御情報212bは、実施形態に係る「第1制御情報」の一例である。
【0081】
[動作例]
眼科撮影装置1の動作について説明する。実施例に係る眼科撮影装置1は、眼底カメラユニット2による被検眼Eの眼底Efの画像の取得と、OCTユニット100等による眼底Efの断面像の取得とを行う。眼科撮影装置1において、OCTユニット100等により眼底Efの断面像を取得するときの動作は公知である。以下では、眼底カメラユニット2により被検眼Eの眼底Efの画像を取得するときの動作例について説明する。
【0082】
実施形態に係る眼科撮影装置1の動作例を説明する前に、比較例に係る眼科撮影装置の動作例を説明する。
【0083】
図6に、比較例に係る眼科撮影装置の動作例のフロー図を示す。この動作例では、撮影のためのアライメント(オートアライメント)が既に実行され、トラッキングも既に開始さているものとする。
【0084】
(S21)
撮影光路に視度補正レンズが挿入されているとき(S21:Y)、比較例に係る眼科撮影装置の動作はS27に移行する。撮影光路から視度補正レンズが退避されているとき(S21:N)、比較例に係る眼科撮影装置の動作はS22に移行する。
【0085】
(S22)
撮影光路から視度補正レンズが退避されているとき(S21:N)、比較例に係る眼科撮影装置を制御する制御部は、照明光路に反射棒を挿入させ、スプリット視標像が上下方向に一致する位置(スプリット輝線合致位置)までフォーカス光学系を移動させる。
【0086】
(S23)
スプリット視標像が上下方向に一致する位置までフォーカス光学系が移動されると、制御部は、移動後のフォーカス光学系の移動位置を記憶部に記憶させる。
【0087】
(S24)
記憶部には、フォーカス光学系の移動位置と被検眼Eの視度とが対応付けられた制御情報があらかじめ記憶されている。制御部は、記憶部に記憶された制御情報を参照することにより、S23において記憶されたフォーカス光学系の移動位置から被検眼Eの視度を求める。
【0088】
(S25)
被検眼Eの視度と撮影光学系のフォーカス位置を変更するための撮影合焦レンズの位置とはあらかじめ対応付けられている。制御部は、S24において求められた被検眼Eの視度から撮影合焦レンズの位置を求める。
【0089】
(S26)
制御部は、S25において求められた位置に撮影合焦レンズを移動させる。合焦位置に撮影合焦レンズが移動された後、比較例に係る眼科撮影装置は眼底Efに対する撮影を実行する。以上で、比較例に係る眼科撮影装置の動作を終了する(エンド)。
【0090】
(S27)
撮影光路に視度補正レンズが挿入されているとき(S21:Y)、比較例に係る眼科撮影装置は、図示しない操作部に対するユーザの操作を受けて手動で合焦調整が行われる。すなわち、手動で撮影合焦レンズが移動される。手動で撮影合焦レンズの位置が調整された後、比較例に係る眼科撮影装置は眼底Efに対する撮影を実行する。以上で、比較例に係る眼科撮影装置の動作を終了する(エンド)。
【0091】
以上のように、比較例に係る眼科撮影装置では、撮影光路に視度補正レンズが挿入されたとき、前述のスプリット視標像を用いた合焦制御が不可能になるため、手動で合焦調整を行う必要がある。
【0092】
図7に、実施形態に係る眼科撮影装置1の動作例のフロー図を示す。この動作例では、撮影のためのアライメント(オートアライメント)が既に実行され、トラッキングも既に開始されているものとする。
【0093】
(S1)
まず、主制御部211は、撮影光路に視度補正レンズ70、71が挿入されているか否かを判定する。主制御部211は、撮影光路に対して視度補正レンズ70または視度補正レンズ71を挿入または退避させる操作ノブ(操作部242)の状態から撮影光路に視度補正レンズ70、71が挿入されているか否かを判定することが可能である。また、主制御部211は、視度補正レンズ70、71を移動させる移動機構に設けられたセンサの検出結果から撮影光路に視度補正レンズ70、71が挿入されているか否かを判定することが可能である。主制御部211により撮影光路に視度補正レンズ70または視度補正レンズ71が挿入されていると判定されたとき(S1:Y)、眼科撮影装置1の動作はS7に移行する。主制御部211により撮影光路から視度補正レンズ70および視度補正レンズ71が退避されていると判定されたとき(S1:N)、眼科撮影装置1の動作はS2に移行する。
【0094】
(S2)
主制御部211により撮影光路から視度補正レンズ70および視度補正レンズ71が退避されていると判定されたとき(S1:N)、撮影合焦制御部211aは、反射棒駆動部67Aに対する制御を行うことにより、照明光路に反射棒67を挿入させる。続いて、撮影合焦制御部211aは、フォーカス光学系駆動部60Aに対する制御を行うことにより、スプリット視標像が上下方向に一致する位置(スプリット輝線合致位置)までフォーカス光学系60を移動させる。
【0095】
(S3)
スプリット視標像が上下方向に一致する位置までフォーカス光学系60が移動されると、主制御部211(撮影合焦制御部211a)は、移動後のフォーカス光学系60の移動位置を記憶部212に記憶させる。
【0096】
(S4)
撮影合焦制御部211aは、記憶部212に記憶された撮影合焦制御情報212aを参照することにより、S3において記憶されたフォーカス光学系60の移動位置から撮影合焦レンズ31の位置を求める。
【0097】
(S5)
撮影合焦制御部211aは、撮影合焦駆動部31Aに対する制御を行うことにより、S4において求められた位置に撮影合焦レンズ31を移動させる。合焦位置に撮影合焦レンズ31が移動された後、眼科撮影装置1は眼底Efに対する撮影を実行する。以上で、実施形態に係る眼科撮影装置1の動作を終了する(エンド)。
【0098】
(S7)
主制御部211により撮影光路に視度補正レンズ70または視度補正レンズ71が挿入されていると判定されたとき(S1:Y)、OCT合焦制御部211bは、OCT計測を実行させ、強度検出部211cにより干渉光LCの検出を開始させる。OCT合焦制御部211bは、OCT合焦駆動部43Aに対する制御を行うことにより、強度検出部211cにより検出される干渉光LCの強度が最大になる位置までOCT合焦レンズ43を移動させる。
【0099】
(S8)
干渉光LCの強度が最大になる位置までOCT合焦レンズ43が移動されると、主制御部211(OCT合焦制御部211b)は、移動後のOCT合焦レンズ43の移動位置を記憶部212に記憶させる。
【0100】
(S9)
撮影合焦制御部211aは、記憶部212に記憶されたOCT合焦制御情報212bを参照することにより、S8において記憶されたOCT合焦レンズ43の移動位置から撮影合焦レンズ31の位置を求める。その後、眼科撮影装置1の動作はS5に移行する。
【0101】
以上のように、撮影光路に視度補正レンズが挿入されたとき、比較例では手動で合焦調整を行う必要があるのに対し、実施形態に係る眼科撮影装置1では、自動で合焦させることが可能になる。
【0102】
なお、この実施形態では、実施形態に係る「第2光学系」がOCTを用いて被検眼Eを撮影する光学系である場合について説明したが、実施形態に係る「第2光学系」が被検眼Eからの光を接眼レンズに導く観察系であってもよい。
【0103】
[効果]
実施形態に係る眼科撮影装置の効果について説明する。
【0104】
実施形態の眼科撮影装置(たとえば、眼科撮影装置1)は、第1光学系(たとえば、撮影光学系30)と、第1駆動部(たとえば、撮影合焦駆動部31A)と、第1合焦制御部(たとえば、撮影合焦制御部211a)とを含む。第1光学系は、第1合焦レンズ(たとえば、撮影合焦レンズ31)と、視度補正レンズ(たとえば、視度補正レンズ70、71)とを備え、被検眼(たとえば、被検眼E)からの光を第1受光素子(たとえば、CCD35)に導く。第1合焦レンズは、第1光路(たとえば、撮影光路)の光軸に沿って移動可能である。視度補正レンズは、第1光路に対して挿脱可能である。第1駆動部は、第1合焦レンズを移動する。第1合焦制御部は、第1光路から視度補正レンズが退避されている退避状態と第1光路に視度補正レンズが挿入されている挿入状態とで互いに異なる合焦制御を第1駆動部に対して実行する。
【0105】
このような構成によれば、退避状態で行われる合焦制御と異なる合焦制御を挿入状態において実行するようにしたので、視度補正レンズの挿入により光学的な関係が変化する場合でも自動で合焦させることができる。すなわち、第1光路に視度補正レンズが挿入されている状態であっても、第1光路から視度補正レンズが退避されている状態であっても、いわゆるオートフォーカス機能で第1光学系を合焦させることが可能になる。
【0106】
また、実施形態に係る眼科撮影装置は、第2光学系(たとえば、干渉光学系は、OCTユニット100、コリメータレンズユニット40、光路長変更部41、光スキャナ42、OCT合焦レンズ43、ミラー44およびリレーレンズ45など)と、第2駆動部(たとえば、OCT合焦駆動部43A)と、第2合焦制御部(たとえば、OCT合焦制御部211b)とを含んでもよい。第2光学系は、第2合焦レンズ(たとえば、OCT合焦レンズ43)を備え、被検眼からの光を第2受光素子(たとえば、検出器125)または接眼レンズに導く。第2合焦レンズは、第2光路(たとえば、測定光またはその戻り光の光路)の光軸に沿って移動可能である。第2駆動部は、第2合焦レンズを移動する。第2合焦制御部は、第2駆動部に対して合焦制御を実行することにより第2合焦レンズの位置を決定し、決定された合焦位置に第2合焦レンズを移動させる。第1合焦制御部は、挿入状態において、第2合焦制御部により決定された第2合焦レンズの位置に基づいて第1合焦レンズの位置を決定し、決定された合焦位置に第1合焦レンズを移動させる。
【0107】
このような構成によれば、挿入状態において第1駆動部に対する合焦制御に第2駆動部に対する合焦制御内容を反映させるようにしたので、退避状態だけではなく挿入状態であっても、高精度な合焦制御を自動で実行させることができる。
【0108】
また、実施形態に係る眼科撮影装置では、第2光学系は、干渉光学系を含む。干渉光学系は、光源(たとえば、光源ユニット101)からの光(たとえば、光L0)を測定光(たとえば、測定光LS)と参照光(たとえば、参照光LR)とに分割し、測定光を被検眼に入射させ、被検眼からの測定光の戻り光と参照光との干渉光(たとえば、干渉光LC)を第2受光素子により検出する。第2合焦レンズは、測定光および戻り光の光路に配置される。第2合焦制御部は、干渉光学系により検出された干渉光に基づいて第2合焦レンズの位置を決定する。
【0109】
このような構成によれば、干渉光学系により生成された干渉光に基づいて第1光学系を合焦させるようにしたので、挿入状態であっても退避状態と同様に、高精度な合焦制御を自動で実行させることが可能になる。
【0110】
また、実施形態に係る眼科撮影装置は、強度検出部(たとえば、強度検出部211c)を含む。強度検出部は、干渉光学系により検出された干渉光の強度を検出する。第2合焦制御部は、強度検出部により検出される干渉光の強度が最大になるように第2合焦レンズの位置を決定する。
【0111】
このような構成によれば、干渉光の強度に基づいて第1光学系を合焦させるようにしたので、挿入状態において、簡素な制御で高精度な合焦制御を自動で実行させることが可能になる。
【0112】
また、実施形態に係る眼科撮影装置は、記憶部(たとえば、記憶部212)を含む。記憶部は、第2合焦レンズの位置と第1合焦レンズの位置とが関連付けられた第1制御情報(たとえば、OCT合焦制御情報212b)をあらかじめ記憶する。第1合焦制御部は、挿入状態において、第2合焦制御部により決定された第2合焦レンズの位置と第1制御情報とに基づいて第1合焦レンズの位置を決定する。
【0113】
このような構成によれば、第1制御情報に基づいて第1光学系を合焦させるようにしたので、挿入状態における合焦制御の簡素化と高速化とを図ることができる。
【0114】
また、実施形態に係る眼科撮影装置は、照明光学系(たとえば、照明光学系10)と、合焦視標投影光学系(たとえば、フォーカス光学系60)と、第3駆動部(たとえば、フォーカス光学系駆動部60A)とを含む。照明光学系は、被検眼と視度補正レンズとの間で第1光路に合成される第3光路(たとえば、照明光路)を経由して、照明光束を被検眼に照射する。合焦視標投影光学系は、第3光路を経由して被検眼に合焦視標(たとえば、スプリット視標)を投影する。第3駆動部は、第3光路の光軸に沿って合焦視標投影光学系を移動する。第1受光素子は、第1合焦レンズを通過した被検眼からの合焦視標の戻り光を受光する。第1合焦制御部は、退避状態において、第1受光素子により取得された合焦視標の像の位置に基づいて第3駆動部を制御することにより第1合焦レンズの位置を決定し、決定された合焦位置に第1合焦レンズを移動させる。
【0115】
このような構成によれば、前述の効果に加えて、退避状態において、フォーカス光学系により得られた合焦視標の像の位置に基づいて高精度な合焦制御を自動で実行することが可能になる。
【0116】
[第1変形例]
実施形態に係る撮影合焦制御部211aは、
図5に示したOCT合焦制御情報212bに基づいて撮影合焦レンズ31の合焦位置を求めるものに限定されない。
【0117】
第1変形例に係る眼科撮影装置の構成および動作は、実施形態に係る眼科撮影装置1の構成および動作とほぼ同様である。以下では、第1変形例に係る眼科撮影装置について、本実施形態との相違点を中心に説明する。
【0118】
図8に、第1変形例に係る眼科撮影装置の制御系のブロック図の一例を示す。
図8において、
図3と同様の部分には同一符号を付し、適宜説明を省略する。第1変形例に係る眼科撮影装置の制御系の構成が実施形態に係る眼科撮影装置1の制御系の構成と異なる主な点は、OCT合焦制御情報212bに代えて補正情報212cが記憶部312に記憶されている点である。
【0119】
第1変形例に係る眼科撮影装置では、制御部210に代えて制御部310が設けられる。制御部310は、主制御部311と、記憶部312とを含む。主制御部311は、撮影合焦制御部211dと、OCT合焦制御部211bと、強度検出部211cとを含む。記憶部312は、撮影合焦制御情報212aと、補正情報212cとを記憶する。
【0120】
補正情報212cは、OCT合焦レンズ43の位置から撮影合焦レンズ31の位置を求めるために撮影合焦制御情報212aを補正するための制御情報である。補正情報212cは、たとえば、OCT合焦レンズ43の位置と補正値とが関連付けられた制御情報であってよい。補正情報212cは、撮影合焦レンズ31の位置D1、D2、・・・のそれぞれに対応した補正値を含んでもよいし、合焦位置D1、D2、・・・のうち複数の位置に対して1つの補正値が割り当てられた情報であってもよい。
【0121】
撮影合焦制御部211dは、撮影光路に視度補正レンズ70または視度補正レンズ71が挿入されている状態において、撮影合焦制御情報212aから得られた撮影合焦レンズの位置を補正情報212cに基づいて補正する。それにより、撮影合焦制御部211dは、撮影合焦レンズ31の位置を新たに決定する。撮影合焦制御部211dは、撮影合焦駆動部31Aに対する制御を行うことにより、当該新たに決定された合焦位置に撮影合焦レンズ31を移動させる。
【0122】
[効果]
実施形態に係る眼科撮影装置は、記憶部(たとえば、記憶部312)を含む。記憶部は、第2制御情報(たとえば、撮影合焦制御情報212a)と補正情報(たとえば、補正情報212c)とをあらかじめ記憶する。第2制御情報は、合焦視標の像の位置が所定の位置になる合焦視標投影光学系の位置と第1合焦レンズの位置とが関連付けられた情報である。補正情報は、第2制御情報を補正するための情報である。第1合焦制御部(たとえば、撮影合焦制御部211d)は、退避状態において、第2制御情報に基づいて第1合焦レンズの位置を決定し、決定された合焦位置に第1合焦レンズを移動させる。第1合焦制御部は、挿入状態において、記憶部に記憶された第1合焦レンズの位置を補正情報に基づいて補正することにより第1合焦レンズの新たな位置を決定し、新たな合焦位置に第1合焦レンズを移動させる。
【0123】
このような構成によれば、退避状態では第2制御情報に基づいて第1光学系を合焦させ、挿入状態では第2制御情報と補正情報とに基づいて第1光学系を合焦させるようにしたので、視度補正レンズを用いた合焦制御の簡素化と高速化とを図ることができる。
【0124】
[第2変形例]
実施形態に係る眼科撮影装置1では、撮影光路に視度補正レンズ70、71が挿入されているか否かの判定結果に応じて互いに異なる合焦制御を実行する場合について説明したが、実施形態に係る眼科撮影装置1の動作はこれに限定されるものではない。
【0125】
第2変形例に係る眼科撮影装置の構成および動作は、実施形態に係る眼科撮影装置1の構成および動作とほぼ同様である。以下では、第2変形例に係る眼科撮影装置について、本実施形態との相違点を中心に説明する。
【0126】
図9に、第2変形例に係る眼科撮影装置の制御系のブロック図の一例を示す。
図9において、
図3と同様の部分には同一符号を付し、適宜説明を省略する。第2変形例に係る眼科撮影装置の制御系の構成が実施形態に係る眼科撮影装置1の制御系の構成と異なる主な点は、眼底カメラユニット2に代えて眼底カメラユニット2aが設けられた点と、制御部210に代えて制御部410が設けられた点である。
【0127】
眼底カメラユニット2aの構成が眼底カメラユニット2の構成と異なる点は、補正レンズ駆動部70Aが設けられた点である。補正レンズ駆動部70Aは、視度補正レンズ70、71を移動する。補正レンズ駆動部70Aは、後述の視度補正制御部211fからの制御を受け、撮影光路に対して視度補正レンズ70または視度補正レンズ71を挿脱させる。
【0128】
制御部410が制御部210と異なる点は、主制御部211に変えて主制御部411が設けられた点である。主制御部411は、撮影合焦制御部211aと、OCT合焦制御部211bと、強度検出部211cと、判定部211eと、視度補正制御部211fとを含む。
【0129】
撮影合焦制御部211aは、所定の合焦可能範囲で撮影合焦駆動部31Aを制御することにより撮影合焦レンズ31の位置を決定する。判定部211eは、撮影光路から視度補正レンズ70、71が退避されている状態で所定の合焦可能範囲で撮影光学系30が撮影合焦レンズ31により合焦されたか否かを判定する。判定部211eは、たとえば、前述の合焦可能範囲でスプリット視標像が上下に一致したとき撮影光学系30が撮影合焦レンズ31により合焦されたと判定する。また、判定部211eは、たとえば、前述の合焦可能範囲でスプリット視標像が上下に一致しないとき撮影光学系30が撮影合焦レンズ31により合焦されなかったと判定する。
【0130】
視度補正制御部211fは、判定部211eによる判定結果に基づいて補正レンズ駆動部70Aを制御する。判定部211eにより撮影光学系30が撮影合焦レンズ31により合焦されなかったと判定されたとき、視度補正制御部211fは、補正レンズ駆動部70Aに撮影光路に視度補正レンズ70または視度補正レンズ71を挿入させる。
【0131】
図10に、実施形態の第2変形例に係る眼科撮影装置の動作例のフロー図を示す。この動作例では、撮影のためのアライメント(オートアライメント)が既に実行され、トラッキングも既に開始されているものとする。また、この動作例は、視度補正レンズ70を挿入する場合について説明する。
【0132】
(S11)
まず、撮影合焦制御部211aは、反射棒駆動部67Aに対する制御を行うことにより、照明光路に反射棒67を挿入させる。続いて、撮影合焦制御部211aは、フォーカス光学系駆動部60Aを制御することにより、所定の合焦可能範囲でフォーカス光学系60を移動させ、スプリット視標像が上下方向に一致する位置(スプリット輝線合致位置)を探索する。
【0133】
(S12)
判定部211eは、S11において、スプリット視標像が上下方向に一致する位置が探索されたか否かを判定する。スプリット視標像が上下方向に一致する位置が探索されたと判定されたとき(S12:Y)、第2変形例に係る眼科撮影装置の動作はS13に移行する。スプリット視標像が上下方向に一致する位置が探索されなかったと判定されたとき(S12:N)、第2変形例に係る眼科撮影装置の動作はS16に移行する。
【0134】
(S13)
スプリット視標像が上下方向に一致する位置が探索されたと判定されたとき(S12:Y)、主制御部411(撮影合焦制御部211a)は、移動後のフォーカス光学系60の移動位置を記憶部212に記憶させる。
【0135】
(S14)
撮影合焦制御部211aは、記憶部212に記憶された撮影合焦制御情報212aを参照することにより、S13において記憶されたフォーカス光学系60の移動位置から撮影合焦レンズ31の位置を求める。
【0136】
(S15)
撮影合焦制御部211aは、撮影合焦駆動部31Aに対する制御を行うことにより、S14において求められた位置に撮影合焦レンズ31を移動させる。合焦位置に撮影合焦レンズ31が移動された後、第2変形例に係る眼科撮影装置は眼底Efに対する撮影を実行する。以上で、第2変形例に係る眼科撮影装置の動作を終了する(エンド)。
【0137】
(S16)
スプリット視標像が上下方向に一致する位置が探索されなかったと判定されたとき(S12:N)、視度補正制御部211fは、補正レンズ駆動部70Aを制御することにより撮影光路に視度補正レンズ70を挿入させる。
【0138】
(S17)
OCT合焦制御部211bは、OCT計測を実行させ、強度検出部211cにより干渉光LCの検出を開始させる。OCT合焦制御部211bは、OCT合焦駆動部43Aに対する制御を行うことにより、強度検出部211cにより検出される干渉光LCの強度が最大になる位置までOCT合焦レンズ43を移動させる。
【0139】
(S18)
干渉光LCの強度が最大になる位置までOCT合焦レンズ43が移動されると、主制御部411(OCT合焦制御部211b)は、移動後のOCT合焦レンズ43の移動位置を記憶部212に記憶させる。
【0140】
(S19)
撮影合焦制御部211aは、記憶部212に記憶されたOCT合焦制御情報212bを参照することにより、S18において記憶されたOCT合焦レンズ43の移動位置から撮影合焦レンズ31の位置を求める。その後、第2変形例に係る眼科撮影装置の動作はS15に移行する。
【0141】
なお、
図10では、視度補正レンズ70を自動で挿入させる場合について説明したが、視度補正レンズ71を自動で挿入させる場合も同様である。また、撮影光路に視度補正レンズ70を自動で挿入させた状態で視度補正レンズ70による視度補正が良好か否かを判定し、視度補正が良好ではないと判定されたとき、当該撮影光路に視度補正レンズ71を自動で挿入させてもよい。たとえば、視度補正レンズが挿入されている状態で強度検出部211cにより検出される干渉光の強度が所定の閾値強度以上であるとき、視度補正が良好であると判定することが可能である。
【0142】
[効果]
実施形態に係る眼科撮影装置は、補正レンズ駆動部(たとえば、補正レンズ駆動部70A)と、判定部(たとえば、判定部211e)と、視度補正制御部(たとえば、視度補正制御部211f)とを含む。補正レンズ駆動部は、視度補正レンズを移動する。判定部は、退避状態において所定の合焦可能範囲で第1合焦レンズにより第1光学系が合焦されたか否かを判定する。視度補正制御部は、判定部により第1光学系が合焦されなかったと判定されたとき、補正レンズ駆動部に第1光路に視度補正レンズを挿入させる。
【0143】
このような構成によれば、第1光路に対して視度補正レンズを自動で挿入させ、且つ、挿入状態で前述の合焦制御を実行させるようにしたので、視度補正レンズの挿入制御を含め、視度補正レンズを用いた合焦制御を自動で実行させることが可能になる。
【0144】
(その他の変形例)
以上に説明した構成は、この発明を好適に実施するための一例に過ぎない。よって、この発明の要旨の範囲内における任意の変形(省略、置換、付加等)を適宜に施すことが可能である。適用される構成は、たとえば目的に応じて選択される。また、適用される構成に応じ、当業者にとって自明の作用効果や、本明細書において説明された作用効果が得られる。