(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2016-214809(P2016-214809A)
(43)【公開日】2016年12月22日
(54)【発明の名称】外反拇趾用中敷き及び履物
(51)【国際特許分類】
A43B 17/00 20060101AFI20161125BHJP
A61F 5/14 20060101ALI20161125BHJP
【FI】
A43B17/00 E
A61F5/14
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】書面
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2015-115255(P2015-115255)
(22)【出願日】2015年5月21日
(71)【出願人】
【識別番号】399043417
【氏名又は名称】有限会社内田販売システム
(71)【出願人】
【識別番号】592047663
【氏名又は名称】斎藤 辰夫
(72)【発明者】
【氏名】斎藤 辰夫
(72)【発明者】
【氏名】内田 広子
【テーマコード(参考)】
4C098
4F050
【Fターム(参考)】
4C098AA02
4C098BB12
4C098BC50
4F050BA26
4F050BA46
4F050BA48
4F050HA84
(57)【要約】 (修正有)
【課題】外反拇趾用の中敷き及び履物は、外反拇趾により変形している第1趾の関節に負荷をかけないように足裏に当接する一部分に凸部を形成するものが多かった。
【解決手段】中敷き及び中敷きの形状を用いた中底の下面には、拇指球aと小指球eに相当する部位の略中間地点を最頂部とした略円錐状の膨らみ2を有し、中敷き及び中敷きの形状を用いた中底の外縁に向かうに従い徐々に薄くなるように形成され、中敷き及び中敷きの形状を用いた中底の拇指球aに相当する部位には湾曲した凹部3′を形成する。
【選択図】
図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
履物に装着する中敷き及び前記中敷きの形状を用いた中底を有する履物であって、
前記中敷き及び前記中敷きの形状を用いた中底の下面には、拇指球と小指球に相当する部位の略中間地点を最頂部とした略円錐状の膨らみを有し、前記中敷き及び前記中敷きの形状を用いた中底の外縁に向かうに従い徐々に薄くなるように形成され、前記中敷き及び前記中敷きの形状を用いた中底の拇指球に相当する部位には湾曲した凹部を形成することを特徴とする外反拇趾用中敷き及び履物。
【請求項2】
前記中敷き及び前記中敷きの形状を用いた履物の中底の下面に形成する最頂部は、第2中足骨頭並びに第3中足骨頭に相当する部位近傍に形成することを特徴とする請求項1に記載の外反拇趾用中敷き及び履物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、外反拇趾や内反小趾の足趾の変形により、歩行時に足裏に痛みが生じることを抑制し、歩行が円滑に行える中敷き及び該中敷を装着した履物に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の外反拇趾用の中敷き及び履物は、外反拇趾により変形している第1趾の関節に負荷をかけないように足裏に当接する一部分に凸部を形成するものが多かった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】 特願2004−122405号広報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の履物のインソール構造は、O脚や変形性膝関節症の方が歩行する場合でも、スムーズな歩行が行える履物のインソール構造となっている。
【0005】
本発明は、外反拇趾や内反小趾により歩行が苦痛な人のための中敷き及び該中敷きを装着した履物を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に記載の本発明の外反拇趾用中敷き及び履物は、履物に装着する中敷き及び前記中敷きの形状を用いた中底を有する履物であって、中敷き及び前記中敷きの形状を用いた中底の下面には、拇指球と小指球に相当する部位の略中間地点を最頂部とした略円錐状の膨らみを有し、中敷き及び前記中敷きの形状を用いた中底の外縁に向かうに従い徐々に薄くなるように形成され、中敷き及び前記中敷きの形状を用いた中底の拇指球に相当する部位には湾曲した凹部を形成することを特徴とする。
【0007】
請求項2に記載の本発明の外反拇趾用中敷き及び履物は、中敷き及び前記中敷きの形状を用いた履物の中底の下面に形成する最頂部は、第2中足骨頭並びに第3中足骨頭に相当する部位近傍に形成することを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
請求項1に記載の本発明の外反拇趾用中敷き及び履物は、中敷き及び履物の中底の下面に略円錐状の膨らみを有することで、足を踏み込んだ際に略円錐状の膨らみが反床力によって圧迫され、膨らみの体積分上へ押し上げられる構造となっている。これにより、横のアーチを押し上げ拇指球と小指球にかかる負担を軽減できるという効果を発揮する。また、従来の外反拇趾用の中敷きは、上面に突起物を形成しているものが多く、外反拇趾の症状を有する方にとっては足裏に違和感を覚えるとともに痛みを助長するものだった。これを中敷きの下面に形成することで足裏に伝わる違和感を軽減し、更に床からの反発を柔らげ、痛みを抑制することができるという効果を発揮する。また、拇指球に相当する部位に湾曲させた凹部を形成することで、拇指球と床との間に隙間ができ、床からの反発が直接拇指球に届くのを軽減することができるという効果を発揮するものである。
【0009】
請求項2に記載の外反拇趾用中敷き及び履物は、中敷き及び中底の下面に形成する最頂部を第二中足骨頭並びに第三中足骨頭に相当する部位近傍に形成することにより、外反拇趾、内反小趾の原因ともいえる横アーチの崩れを抑制するとともに、外反拇趾、内反小趾によって歩行時に痛む足裏の痛みを軽減できるという効果を発揮する。また、第二中足骨頭並びに第三中足骨頭に相当する部位周辺に最頂部を有することで、拇指球側と小指球側に遊びができ、親指側と小指側の窮屈さを軽減できるとともに足の指が広がりやすくなるという効果を発揮するものである。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】 本発明の外反拇趾用中敷き及び履物の、中敷きの正面図である。
【
図2】 本発明の外反拇趾用中敷き及び履物の、中敷きの背面図である。
【
図3】 本発明の外反拇趾用中敷き及び履物の、中敷きの左側面図である。
【
図4】 本発明の外反拇趾用中敷き及び履物の、中敷きの右側面図である。
【
図5】 本発明の外反拇趾用中敷き及び履物の、中敷きの平面図である。
【
図6】 本発明の外反拇趾用中敷き及び履物の、中敷きの底面図である。
【
図7】 本発明の外反拇趾用中敷き及び履物の、中敷きに足を置き、踏み込む前の正面図である。
【
図8】 本発明の外反拇趾用中敷き及び履物の、中敷きに足を置き、踏み込んだ時の正面図である。
【
図9】 本発明の外反拇趾用中敷き及び履物の中敷きのA−A線断面図である。
【
図10】 本発明の外反拇趾用中敷き及び履物の、中敷きに足を置いた時のイメージ図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明を図面に示す実施形態
図1〜
図10に基づき説明をする。ただし、以下の実施するための形態は、本発明の外反拇趾用中敷きおよび履物の一例として説明するものであり、この説明の図の項に限定されるものではない。
【0012】
図1は、本発明の外反拇趾用中敷き及び履物の、中敷きの正面図である。中敷き本体1、略円錐状の膨らみ2、最頂部2′、湾曲した凹部3、3′、つま先側4の図から構成される。中敷き本体1の最大の特徴は、略円錐状に形成される膨らみ2、最頂部2′と湾曲した凹部3、3′である。略円錐状の膨らみ2は、親指の付け根の肉厚部分の通称拇指球と言われる部分と、小指の付けの肉厚部分の通称小指球と言われる部分の略中間点が最頂部2′となるように形成することができる。また、湾曲した凹部3′は、拇指球に相当する部位を凹ませることで他の部位より薄くなるように形成する。これにより、最頂部2′と凹部3′に高低差を生じさせることができ、拇指球が遊べるような隙間を作ることができ、拇指球と床面との接触度合いを軽減させることができる。拇指球と床面との接触度合いが少なくなることで拇指球にかかる床からの反発を軽減することができ、外反拇趾によって、歩行時に痛む足裏の苦痛を和らげることができるというものである。
【0013】
図2は、本発明の外反拇趾用中敷き及び履物の、中敷き1の背面図である。略円錐形の膨らみ2、最頂部2′、湾曲した凹部3、3′、つま先側4の図から構成される。中敷き1のつま先側4は踵側5より薄く形成するが、つま先側4並びに踵側5の厚さは同一でもよい。
【0014】
図3は、本発明の外反拇趾用中敷き及び履物の、中敷き1の左側面図である。略円錐状の膨らみ2、最頂部2′、湾曲した凹部3′、つま先側4、踵側5の図から構成される。湾曲した凹部3′とつま先側4は、中敷き1全体の中で最も薄く形成される部位である。最頂部2′は中敷き1全体の中で最も厚く形成され、等間隔に水平曲線を描くようにつま先側、中敷き1の外縁、土踏まず側に向かうに従い徐々に薄くなるように形成する。
【0015】
図4は、本発明の外反拇趾用中敷き及び履物の、中敷き1の右側面図である。略円錐状の膨らみ2、最頂部2′、湾曲した凹部3′、つま先側4、踵側5の図から構成される。拇指球と床面が接触するのを軽減する部位が湾曲した凹部3′であり、略円錐状の膨らみ2、最頂部2′である。また、湾曲した凹部3′、つま先側4は同一の厚さに形成する。
【0016】
図5は、本発明の外反拇趾用中敷き及び履物の、中敷き1の平面図である。中敷き本体1の図から構成される。中敷き本体1の上面は凹凸のない平面に形成される。また、踵側は踵の位置がずれないように目的によってはカップ状に形成することもできる。
【0017】
図6は、本発明の外反拇趾用中敷き及び履物の、中敷き1の底面図である。略円錐状の膨らみ2、湾曲した凹部3、3′、つま先側4、踵側5、切断A−A線の図から構成される。湾曲した凹部3の湾曲の曲がりの度合いは、男性用、女性用によって、大きく湾曲する場合や小さく湾曲する場合があり、湾曲の度合いは対象年齢、用途などにより随意設定することができる。また、素材は低反発素材、高反発素材など対象年齢、用途、外反拇趾の症状などにより適宜使用することができる。
【0018】
図7は、本発明の外反拇趾用中敷き及び履物の、中敷き1に足を置き踏み込む前の正面図である。
略円錐状の膨らみ2、湾曲した凹部3、3′、足の第1趾(親指)a、第2趾b、第3趾c、第4趾d、第5趾(小指)eの図で構成される。足を踏み込む前は中敷き1の上面は平らな状態となっている。中敷き1の下面は最頂部2′があることで正面から見ると逆三角形の形状を表している。
【0019】
図8は、本発明の外反拇趾用中敷き及び履物の、中敷き1に足を置き踏み込んだ時の正面図である。略円錐状の膨らみ2、湾曲した凹部3′、足の第1趾a、第2趾b、第3趾c、第4趾d、第5趾eの図から構成される。略円錐状の膨らみ2は踏み込んだ時の体重の重さと床からの反発により圧縮された状態になる。ところが、中敷き1の内部では体積の釣り合いを保つために床よりも柔らかい足裏側に盛り上がろうとする。この原理を利用して、第1趾a、第5趾eは下方向に沈み、第2趾b、第3趾c、第4趾dは上に押し上げられ足指全体が横に広がる状態となる。この状態で歩行すると、拇指球と小指球に加わる圧力が抑制され、歩行時の足裏の痛みを軽減することができる。
【0020】
人間の足裏は、拇指球から踵の間にある縦のアーチ、小指球と踵の間にある縦のアーチ、拇指球と小指球の間にある横のアーチから形成されている。この横のアーチが加齢や他の原因で落ちてくると外反拇趾や内反小趾といった足趾の変形が起こり、歩行するたびに足裏が痛むという症状が表れてくる。この横のアーチを
図8のように中敷き1によって意図的に上に上げることで、歩行時の足裏の痛みを軽減することが可能となってくる。また、足指全体が横に広がることで、人間が本来が行ってきた足の指先の運動をすることができ、足の横アーチが崩れるために起こる外反拇趾や内反小趾の予防も期待できる。
【0021】
図9は、本発明の外反拇趾用中敷き及び履物の、中敷き1のA−A線断面図である。最頂部2′、つま先側4、踵側5の図から構成される。最頂部2′の厚さ及び位置は対象年齢、用途などに合わせて随意設定することができる。
【0022】
図10は、本発明の外反拇趾用中敷き及び履物の、中敷き1に足を置いた時のイメージ図である。最頂部2′、湾曲した凹部3、3′、最頂部2′の図から構成される。最頂部2′の位置は第2趾b、第3趾cの間、中足骨頭近傍に形成することが望ましい。また、湾曲した凹部3は、各趾の基節骨底を境に湾を描くように形成し、また、拇指球に相当する部分は第1趾の中足骨底に沿うように湾曲させることが望ましい。湾曲した凹部3′は、拇指球に相当する部分につま先側と同様に薄く形成することが望ましい。
【産業上の利用可能性】
【0023】
外反拇趾、内反小趾などの足趾の痛みを軽減する、予防する中敷き及び履物を提供する。
【符号の説明】
【0024】
1 中敷き本体
2 略円錐状の膨らみ
2′ 最頂部
3、3′ 湾曲した凹部
4 つま先側
5 踵側
A 断面切り取り線
a 第1趾
b 第2趾
c 第3趾
d 第4趾
e 第5趾