【解決手段】 カテーテルは、小孔上での使用に適合された電極アセンブリと、カテーテル内の収容位置と、小孔の管状領域内の展開位置との間で可動な安定化アセンブリとを有する。安定化アセンブリは、管状領域内へと遠位方向に延び、膨張されてそれ自体を管状領域内に楔着して、電極アセンブリを固定することができるバルーン部材を有する。バルーン部材は細長いエクステンダー上に装着され、該エクステンダーは、カテーテルを通って延び、バルーンを収容位置と展開位置との間で前進させかつ引っ込める長手方向の移動が提供されている。
前記安定化アセンブリは、前記バルーン部材が上に装着されている遠位部分を有するエクステンダーを含み、前記エクステンダーが、少なくとも前記遠位区分に対して長手方向に可動である、請求項1に記載のカテーテル。
前記エクステンダーの前記遠位部分が、流体を前記エクステンダーの前記ルーメンから前記バルーン部材の前記内部に通過させて、前記バルーンを膨張させるように構成されたポートを有する、請求項5に記載のカテーテル。
前記エクステンダーが、前記カテーテルの前記長さに沿って延び、ユーザーにより操作されて前記バルーンを前記収容位置と前記展開位置との間で移動させるように適合された近位部分を有する、請求項12に記載のカテーテル。
前記バルーンアセンブリが、前記エクステンダーを包囲する流体管を含み、前記流体管は、前記バルーンアセンブリが前記第2のルーメン内に収容された際、流体を通過させて前記バルーンアセンブリを洗い流すルーメンを有する、請求項12に記載のカテーテル。
【背景技術】
【0002】
心不整脈は、また特に心房細動は、とりわけ老年人口において一般的かつ危険な慢性疾患であり続けている。正常の洞律動を有する患者では、心房、心室及び興奮伝導組織からなる心臓は、電気的に興奮して、同期的な、パターン化した形で拍動する。心不整脈を有する患者では、心臓組織の異常領域は、正常な洞調律を有する患者におけるような、通常の伝導組織に関連する同期的な拍動周期には従わない。これに対して、心組織の異常領域では隣接組織への伝導が異常であり、これにより心臓周期が乱れて非同期的な心律動となる。そのような異常な伝導は、例えば、洞房(SA)結節の領域内、房室(AV)結節及びヒス束の伝導経路に沿って、あるいは心室及び心房室の壁を形成する心筋組織内などの、心臓の様々な領域で発生することが、従来より知られている。
【0003】
心房性不整脈を含めた心不整脈は、心房室の周りで散乱して、しばしば自己伝播する電気インパルスの複数の非同期的ループを特徴とする、マルチウェーブレットリエントラント型となる場合がある。マルチウェーブレットリエントラント型に代わって、又はそれに加えて、心不整脈はまた、心房の組織の孤立領域が、急速で反復的な様式で自律的に興奮する場合などの、局所的な起源を有する場合もある。
【0004】
多くの臨床症状が、不規則な心臓の機能、及びその結果としての、脳卒中、心不全、及び他の血栓塞栓症を含む心房細動に関連する、血行力学的な異常に起因する。現に、心房細動は、脳卒中の重大な原因であり、細動性壁運動によって左心房内に発生した血行力学的異常が心房内において血栓の形成を誘発すると考えられる。血栓塞栓症は、最終的に、左心室の中に移動し、その後、塞栓を脳循環に送り込み、そこで脳卒中を起こす。したがって、心房性不整脈を治療するために、薬理学的手技、外科的手技及びカテーテルアブレーション手技を含む、多くの手技が開発されている。
【0005】
心内膜の電気特性と心容積をマッピングし、エネルギーの印加により心組織を選択的に焼灼することによって、心臓のある部位から別の部位への望ましくない電気信号の伝播を中断させるかあるいは修正することが場合によっては可能となることが判明している。アブレーションプロセスは、非導電性の損傷を形成することによって望ましくない電気経路を破壊するものである。カテーテル系装置及び治療方法の例は、一般に、心房分割を標的としており、その開示が参照により本明細書に組み込まれる、米国特許第5,617,854号(Munsif)、米国特許第4,898,591号(Jang,et al.)、米国特許第5,487,385号(Avitall)、及び米国特許第5,582,609号(Swanson)に開示されているような、心房を画定する壁組織に直線又は曲線状の損傷を形成するよう適合されたアブレーションカテーテル装置及び方法によって行われてきた。加えて、そのような心房壁損傷を形成するための、様々なエネルギー送達による治療法がこれまでに開示されている。そうした治療法には、マイクロ波、レーザ、及びより一般的には、高周波のエネルギーを用いて、心組織壁に沿って導電遮断部を形成するものが含まれ、その開示が参照によって本明細書に組み込まれる、国際公開第93/20767号(Stem,et al.)、米国特許第5,104,393号(Isner,et al.)、及び米国特許第5,575,766号(Swartz,et al.)にそれぞれ開示されている。
【0006】
マッピングの後にアブレーションが続くこの2段階法において、通常、1つ又は2つ以上の電気センサを収容しているカテーテルを心臓の中に前進させ、多数の点でデータを取得することによって、心臓内の各点における電気活動が感知及び測定される。次いで、これらのデータが利用されて、アブレーションが実施される標的エリアが選択される。
【0007】
肺静脈の又は肺静脈付近の領域内でのマッピング及びアブレーションは、小孔及び周囲の管状組織の構成に起因して、特別な困難が課される。小孔を含む、肺静脈及び心臓の又は心臓付近の他の管状領域をマッピング及び焼灼するのに特に有用なカテーテルが開発されている。ラッソ(lasso)、バスケット、及びバルーンアセンブリを有するカテーテルも知られている。そのようなカテーテルは、例えば、その開示全体が参照により本明細書に組み込まれる、米国特許第6,866,662号、同第6,973,339号、同第7,003,342号、同第7,142,903号、同第7,412,273号、同第8,712,550号に開示されている。
【発明を実施するための形態】
【0023】
図1を参照すると、本発明の実施形態は、電極アセンブリ18及び入れ子部分20を有する遠位区分17を有するカテーテル10を提供し、入れ子部分20内に固定/安定化アセンブリ22が収容されて、心臓の管状領域内又は環状領域付近において患者の身体内に展開されて、電極アセンブリ18を固定することができる。カテーテルは、近位端及び遠位端を有する細長いカテーテル本体12と、カテーテル本体の遠位の遠位区分17と、カテーテル本体12の近位の制御ハンドル16とを備える。図示した実施形態では、電極アセンブリ18は、複数のリング電極19を有するラッソ形状であり、
図2に示すように、小孔上の周囲組織接触のために、心臓の管状領域25の小孔又は開口部21、例えば肺静脈の小孔21上に着座するように適合されている。固定アセンブリ22は、膨張可能なバルーン部材62と細長いエクステンダー又はロッド60とを有するバルーンアセンブリを含み、細長いエクステンダー又はロッド60は、管状領域の内面23との周囲組織接触のために、小孔21を越えて管状領域25内へとバルーン部材62を延在させる。バルーン部材62は、十分に膨張されてバルーン部材を管状領域内に楔着させることができ、このことは電極アセンブリ18を小孔上で安定化させ、かつ小孔上に固定する。患者の本体内への展開に先立って、固定アセンブリ22は、遠位区分17内に重ね入れられて収容される。
【0024】
図3A及び3Bを参照すると、カテーテル本体12は、単一の、軸線方向又は中心ルーメン26を有する細長い管状構造を備える。カテーテル本体12は、可撓性、即ち屈曲可能であるが、その長さに沿って実質的に非圧縮性である。カテーテル本体12は、任意の好適な構造のものでよく、任意の好適な材料で作製することができる。1つの構造は、ポリウレタン又はPEBAXで作製された外壁27を備える。外壁27は、カテーテル本体12の捻れ剛性を高めるために埋め込まれたステンレス鋼などの編組メッシュを備え、このため制御ハンドル16が回転させられるとカテーテルの長さがこれに対応して回転する。
【0025】
カテーテル本体12の外径は、重要ではない。同様に、外壁20の厚さは重要ではないが、中心ルーメン26がリードワイヤ、及び任意の他の所望のワイヤ、ケーブル、又は管を収容できるように十分薄い。所望の場合、外壁27の内面は、捻り安定性を向上させるために補強管28で裏打ちされる。
【0026】
カテーテル本体12の中心ルーメン26を通って延びる構成要素には、少なくとも、遠位電極アセンブリ18上のリング電極19に流体を供給するための潅注管36、例えばリング電極19における温度を測定するための熱電対ワイヤ46及び48、リング電極19のためのリードワイヤ40、牽引ワイヤ35及びその圧縮コイル37、アセンブリ22を固定するためのエクステンダー60、並びに遠位区分17の遠位端に位置する電磁センサ52のためのケーブル50が挙げられる。
【0027】
図4A及び4Bを参照すると、遠位区分17は、軸上及び軸外ルーメンを有するマルチルーメン管29の区分を備える。開示した実施形態では、管29は、少なくとも軸上ルーメン30と、軸外ルーメン31、32、及び33とを有する。軸上ルーメン30は、ガイドワイヤ45を通過させるように構成されている。第1の軸外ルーメン31は、リードワイヤ40、潅注管36、並びに熱電対ワイヤ46及び48用に構成されている。第2の軸外ルーメン32は、ケーブル50用に構成されている。第3の軸外ルーメン33は、エクステンダー60の遠位部分上に装着されたバルーン部材62を収容するように構成されている。第5の軸外ルーメン34は、牽引ワイヤ35用に構成されている。
【0028】
遠位区分17の管29は、好ましくはカテーテル本体12よりも高い可撓性を有する、好適な無毒材料で作製されている。管29の好適な材料は、編組PEBAX又はポリウレタン、即ち埋め込まれた編組ステンレス鋼などのメッシュを有するポリウレタンである。各ルーメンの大きさは重要ではないが、それを通って延びるそれぞれの構成要素を収納するのに十分な大きさである。
【0029】
カテーテルの有用な長さ、即ち、身体内に挿入することができる、アセンブリ18及び22を除く部分は、所望に応じて変化させることができる。いくつかの実施形態では、有用な長さは、約110cm〜約120cmの範囲である。遠位区分17の長さは、この有用な長さの比較的小さい部分であり、好ましくは約3.5cm〜約10cm、より好ましくは約4cm〜約8cm、尚より好ましくは約6.5cmである。
【0030】
いくつかの実施形態では、
図3Aに示すように、遠位区分17の管29の近位端は、カテーテル本体12の遠位端内に受容されている。管29の外面は、カテーテル本体12の外壁27の内面に面している。カテーテル本体12と遠位区分17との接合部は、接着剤24、例えばエポキシにより密封されている。
【0031】
遠位区分17の管27の遠位端には、電極アセンブリ18が存在する。いくつかの実施形態では、アセンブリ18は管状領域25の小孔21上に着座するように適合され、固定アセンブリ22は、
図2に示すように、管状領域内に入り、管状領域25の内面23と接触するように適合されている。
図5を参照すると、電極アセンブリ18は、カテーテルの長手方向軸線の周囲にて概ね同心であり、概ね軸上の近位の軸線方向の線状セグメント80と、径方向の線状セグメント82と、概ね円形の遠位主要セグメント84とを含む。リング電極19は、カテーテルの長手方向軸線の周囲にて約360度延びる、概ね円形の主要セグメント84上に支持されている。概ね円形の主要セグメント84は、円形のセグメント84が案内シース(図示せず)に入ることを容易にし得る遠位線状セグメント84D(
図5に破線で示す)を含んでもよい。
【0032】
概ね円形の主要セグメント84は、カテーテル本体12に対して概ね横断方向であり、例えばカテーテル本体12に概ね直交する。概ね円形の主要セグメント84は、平坦な円形を形成する必要はないが、極わずかに螺旋状であってもよい。概ね円形の主要セグメント84は、約40mm〜100mm、より好ましくは約50mm〜90mmの範囲、尚より好ましくは約60mmの露出長さと、好ましくは約10mm〜約35mm、より好ましくは約15mm〜約30mmの範囲、尚より好ましくは約25mmの外径とを有する。概ね円形の主要セグメント84は、
図5に示すように、時計回り方向に、又は反時計回り方向に湾曲していてもよい。
【0033】
いくつかの実施形態では、
図4A、6A、及び6Bに示すように、電極アセンブリ18は、少なくとも第1のルーメン91及び第2のルーメン92を有するマルチルーメン管90を備える。第1のルーメン91は、潅注流体をリング電極19へ通過させるように構成されている。第2のルーメン92は、リードワイヤ40と、少なくとも1つの熱電対ワイヤ対46及び48と、電極アセンブリ18に形状及び支持を提供する支持部材94とにより占められる。管90と支持部材94との近位端は、遠位区分17のルーメン31の遠位端内へと短い距離を延びて、電極アセンブリ18を固定する。電極アセンブリ18の管90は、可撓性かつ生体適合性の任意の好適な材料、好ましくはポリウレタン又はPEBAXなどのプラスチックで作製することができる。支持部材94は、力が行使されると、その本来の形状から離れて真っ直ぐに伸ばすか又は屈曲させることができ、かつ力を取り除くと、実質的に本来の形状に戻ることが可能であるという点で、形状記憶を有する。形状記憶支持部材94に好適な材料は、ニッケル/チタン合金である。そのような合金は、典型的には、約55%のニッケル及び約45%のチタンを含むが、約54%〜約57%のニッケルを含み、残部をチタンとしてもよい。好ましいニッケル/チタン合金は、二チノールであり、これは延性、強度、耐腐食性、電気抵抗及び温度安定性と共に、優れた形状記憶性を有する。
【0034】
リング電極19用のリードワイヤ40は、管90のルーメン92を通って延びる。概ね円形の主要セグメント84において、各リードワイヤは、例えば
図6Aに示す方法で、管90の側壁内に形成された穴を通って、対応するリング電極19に接続されている。同様にルーメン92を通って延びる支持部材94は、管90の遠位端内に固定された遠位端を有し、該遠位端は、エポキシなどの好適な材料により密封されて、非外傷性ドーム端部18D(
図5参照)を形成してもよい。金属又はプラスチック、好ましくはポリアミドで作製された短い環(図示せず)を管90の遠位端内に装着して、遠位端が潰れるのを防止してもよい。
【0035】
図4Aに示すように、潅注管36の遠位端は、電極アセンブリ18の管90のルーメン91の近位端内へと短い距離を延びる。
図6Aに示すように、潅注管36により送達される流体は、ルーメン91に入り、管90の側壁内に形成された穴100を介してリング電極19に潅注される。流体はルーメン91を退出し、各リング電極19によって管90の周りに周方向に画定された環状間隙102に入り、リング電極19の側壁内に形成された穴103を介してリング電極19を退出する。
【0036】
リング電極19用の流体を送達する潅注管36は、遠位区分17のルーメン31、及びカテーテル本体12の中心ルーメン26を通って延びる。近位部分36Pは、
図1に示すように、制御ハンドル16の側部アーム27として延びてもよく、又は
図7Aに示すように、制御ハンドル16の近位方向に延びてもよい。いずれの場合でも、潅注管36は、潅注流体源(図示せず)と接続するための、栓141を有する弁アダプター140内で終結する。
【0037】
上述したように、ルーメン33は、固定アセンブリ22のバルーン部材62を収納する、遠位区分17内の入れ子部位20(
図3A)を提供する。エクステンダー60は、カテーテルに対して長手方向に移動させて、バルーン部材62を展開のためにルーメン33から前進させ、またバルーン部材62を収容のためにルーメン33内に引き戻すことができる。図示した
図1及び7Aの実施形態では、エクステンダー60は、制御ハンドル16の近位の近位部分60Pを有し、操作者による操作のために露出されている。エクステンダー60は、制御ハンドル16、カテーテル本体12、及び遠位区分17のルーメン33内を通過する。遠位部分60Dは、バルーン部材62を支持し、バルーン部材62を通って延びる。
【0038】
ルーメン33内部の収容位置では、バルーン部材62は、
図4Bに示すように、収縮し、折り畳まれている。その関連で、予め形成された折り目又は襞63をバルーン材料中に設けて、収容を容易にしてもよい。エクステンダー60により展開された際、バルーン部材62は、
図4及び5に示すように、延長された距離、電極アセンブリ18の遠位方向にあり、
図2に示すように、膨張されて管状領域25の内面23と接触する所望の周辺部を達成し、バルーン部材62を管状領域25内に解放可能に楔着している。
【0039】
バルーン部材62は、任意の好適な材料で構成されたバルーン膜70を含む。この材料は、該材料が弾性的に柔らかく、圧力の付与によって伸張するように、高い柔軟性を有する種類のものであってもよい。好適な材料としては、例えばシリコーン、ラテックス、及び低デュロメーターポリウレタン(例えば、約80Aのデュロメーター)などのエラストマーが挙げられる。図示した実施形態では、バルーン膜70は、エクステンダー60に付着されて液密シールを形成している遠位端及び近位端を有する。しかしながら、バルーン膜は、当技術分野にて既知のように別様に構成されてもよいことが理解される。
【0040】
バルーン部材62を膨張させるためには、
図3Aに示すように、固定アセンブリ22のエクステンダー60のルーメン61内に膨張流体を通過させる。いくつかの実施形態では、
図7Aに示すように、エクステンダー60の近位端60Pは、制御ハンドル16を越えて近位方向に延び、膨張流体源(図示せず)から膨張流体を受容するように適合された近位端137(例えば、メス型ルアーロック)により止血弁130に接続されている。膨張流体は、エクステンダー60のルーメン61を通って移動し、
図2及び4Aに示すように、バルーン部材62の内部においてエクステンダー60の遠位部分内に形成されたポート114を介してルーメン61を退出する。
図2及び5に示すように、バルーン膜70内にポート122が形成されて、潅注のために膨張流体がバルーンを退出することを可能にし、その中にバルーン部材62が固定された管状領域25の組織を冷却する。
【0041】
ルーメン33内に流体を送達して、例えば展開若しくは収容の準備においてルーメン33を洗い流すために、及び/又はバルーン部材62を潤滑化するために、エクステンダー60を包囲し、かつ、その長さの殆どが、近位部分60Pの部分を含むエクステンダー60と同軸に延びる流体管104が設けられる。いくつかの実施形態では、管104は、遠位区分17の管29のルーメン33内で終結する遠位端と、ルーメン33と液密シールを形成する外径サイズとを有する。それ自体のルーメン105は、エクステンダー60の外面の周りに管状間隙を提供して、流体が横を通過することを可能にする寸法を有する(
図3A及び3B)。いくつかの実施形態では、
図7Aに示すように、管104は、制御ハンドル16の外部で終結する近位端104Pを有し、近位端104P上に、側部アーム113を有する止血弁112、例えばTuohy Borst弁が装着されて、潤滑流体源(図示せず)から潤滑流体を管104及びルーメン33に導入する。
【0042】
止血弁112は止血弁130の遠位方向にあり、したがってエクステンダー60は、流体管104のルーメン105を通過し、ルーメン105と同軸に延びることができる。例えばTuohy−Borstのように、止血弁112は把持部材117を有し、把持部材117は、回転によってエクステンダー60を固定位置にロックして、カテーテルに対するエクステンダー60の長手方向の移動を防止することができる。
【0043】
ルーメン116を有するガイドワイヤ管又は内側本体115が設けられて、ガイドワイヤ45(
図4A)がカテーテル内を通過し、患者の脈管構造を通るカテーテルの前進を助けることを可能にする。ガイドワイヤ内側本体115は、
図1及び7Aに示すように、制御ハンドル16の近位の露出部分115Pを有し、内側本体115Pの近位端において操作者がガイドワイヤ45の挿入のためにルーメン116にアクセスすることを可能にする。露出した近位部分115Pは、
図1に示すように、制御ハンドル16の側部アームとして延びてもよく、又は
図7Aに示すように、制御ハンドルから近位方向に延びてもよい。いずれの場合でも、管115は、制御ハンドル16からカテーテル本体12のルーメン26を通って遠位方向に延び(
図3A)、管29のルーメン30に沿ったいずれかの箇所で終結してもよく(
図3A)、ルーメン30は、カテーテルの遠位区分17の外部と連絡する遠位開口部30Dを有する(
図5)。これらの実施形態では、ガイドワイヤ内側本体115は、エクステンダー60とは別々に、カテーテルに沿って長手方向に延びる。
【0044】
しかしながら、別の実施形態では、
図7B及び7Cに示すように、ガイドワイヤ内側本体115’は、エクステンダー60と同軸であり、エクステンダー60のルーメン61を通って延びる。ガイドワイヤ内側本体115’は、エクステンダー60Pの近位端上に装着された止血弁150から遠位方向に延びる。弁150は、流体源(図示せず)からバルーン部材膨張流体を受容するための側部アーム151を有する。弁150は、把持部材138と共に、他の止血弁139、例えばTuohy Borstに接続されたメス型ルアーロック147も有する。内側本体115’は、内側本体115’の近位端の近位のガイドワイヤ45の部分が、把持部材138により把持されるように、把持部材138の遠位の近位端を有する。
【0045】
ガイドワイヤ内側本体115’は、弁150内で、又はエクステンダー60のルーメン61内の遠位方向のいずれかの箇所で終結する遠位端を有し得ることが理解される。いくつかの実施形態では、
図8に示すように、内側本体115’は、エクステンダー60のルーメン61内においてバルーン部材60を通って延び、バルーン部材60の遠位端においてルーメン61を退出する遠位端115Dを有する。これらの実施形態では、遠位区分17の管29は、
図9A及び9Bに示すように、4つのルーメンを有する。ルーメン31は、灌流管36、熱電対ワイヤ対46及び48、並びにリードワイヤ40を支持している。ルーメン32は、センサ52及びセンサケーブル50を支持している。ルーメン33は、バルーン部材62、エクステンダー60、及びルーメン61内のガイドワイヤ管115を支持している。ルーメン34は、牽引ワイヤを支持している。ルーメン32の遠位部分は、遠位電極アセンブリ18及び支持部材94の管90の近位端を受容している。
【0046】
任意の実施形態において、遠位区分17は、牽引ワイヤ35によって偏向可能にされてもよく、牽引ワイヤ35の近位端は制御ハンドル16内に固定され、牽引ワイヤ35の遠位端は、管29の遠位端付近で管29の側壁内に固定されている。牽引ワイヤ35は、
図3A及び3Bに示すように、カテーテル本体12を通って延び、
図4Bに示すように、遠位区分17のルーメン34を通って延びる。カテーテル本体12の長さにわたって、牽引ワイヤ35は、当技術分野にて既知のように、圧縮コイル37により包囲されて、圧縮コイル37の遠位端の遠位のカテーテルの部分の偏向を可能にする。また当技術分野にて既知のように、牽引ワイヤの遠位端は、例えばT字形アンカーによって、管29の側壁内に固定されてもよい。牽引ワイヤ35は、ステンレス鋼又はニチノールなどの任意の好適な金属で作製されてもよく、好ましくは、Teflon(登録商標)などで被覆される。コーティングによって牽引ワイヤに潤滑性が付与される。牽引ワイヤは、約0.15〜約0.25mm(約0.006〜約0.010インチ)の範囲の直径を有することが好ましい。遠位区分17のルーメン34を通って延びる牽引ワイヤ35の部分は、TEFLONコーティングを有して、牽引ワイヤが管29の側壁内を切ることを防止してもよい。
【0047】
リング電極19のそれぞれは、リードワイヤ40を介して適切なマッピング若しくは監視システム、及び/又はアブレーションエネルギー源に電気的に接続され、リードワイヤ40の近位端は、制御ハンドル16の近位端において電気コネクタ120に接続されている(
図1)。カテーテル全体において、リードワイヤ40は非導電性保護シース(図示せず)で囲まれてもよく、該シースは、任意の好適な材料、好ましくはポリイミドで作製されてもよい。
【0048】
電極は、白金又は金、好ましくは、白金とイリジウムとの組み合わせなどの任意の好適な固体導電性材料で作製され、接着剤などで、管材上に載置することができる。あるいは、リング電極は、プラチナ、金及び/又はイリジウムのような導電性材料で管を被覆することにより形成できる。コーティングは、スパッタリング、イオンビーム蒸着、又は同等の手法を使用して付与することができる。電極アセンブリ18は、単極性検知用に構成された、隣接するリング電極から等間隔離れたリング電極を有して示されているが、リング電極は、アセンブリ18上で対をなす構成で双極性検知用に構成されてもよいことが理解される。
【0049】
電極アセンブリ18上のリング電極19の数は、所望に応じて変更することができる。リング電極の数は、約6個〜約20個、好ましくは、約8個〜約12個の範囲である。リング電極19のいずれかがアブレーションに適合されている場合、熱電対ワイヤ46及び48の対を設けて、それぞれのリング電極の温度を検出してもよい。熱電対ワイヤ46及び48は、カテーテル本体12を通って延び(
図3B及び4A)、遠位区分17の管29のルーメン31内に至り、更に電極アセンブリ18の管90のルーメン91に至る。(
図4A)。
【0050】
圧縮コイル37は、任意の好適な金属、好ましくはステンレス鋼で作製され、可撓性、即ち屈曲を提供するが圧縮には抵抗するように、それ自体に対して緊密に巻き付けられる。圧縮コイルの内径は好ましくは、牽引ワイヤ35の直径よりもわずかに大きなものである。牽引ワイヤ35を被覆するTeflon(登録商標)は、牽引ワイヤ24が、圧縮コイル内を自由に摺動できるようにする。カテーテル本体12内で、圧縮コイル37の外面はまた、例えば、ポリイミドの管でできた、可撓性の非導電性シース(図示せず)で覆われている。圧縮コイルは、その近位端が、カテーテル本体の近位端付近においてカテーテル本体12に固定されている。
【0051】
使用時、案内シースが患者の身体内に挿入され、患者の脈管構造を通って前進されて、心臓の標的領域、例えば左心房に到達する。次いで、ガイドワイヤ45が制御ハンドル16の外部でその近位端においてガイドワイヤ管115内に挿入され、カテーテルを通って、遠位区分17の開口部30D(
図5)又はエクステンダー60の遠位端(
図8)を通過して遠位方向に、そして案内シースを介して患者の脈管構造内に至って標的領域に到達する。いくつかの実施形態によれば、固定アセンブリ22は、カテーテルが患者の身体に入る前に、遠位区分17から展開される。例えば、固定アセンブリ22の展開に先立って、弁112の側部アーム113を介して流体が管104内に入れられて、固定アセンブリ22のバルーン部材62が重ね入れられているルーメン33を洗い流す。洗い流し後、エクステンダー60の露出部分60Pをエクステンダーを制御ハンドル16に対して前進させ、ルーメン33からバルーン部材62を展開する。バルーン部材62(折り畳まれた構成にある)は遠位電極アセンブリ18を越えて前進され、例えば、概ね円形の主要部分84により囲まれている開放領域85(
図5)内を通過する。次いで、操作者は、バルーン部材62を案内シース内に挿入し、バルーン部材62tが案内シースの遠位端を通過し、標的領域に到達するまで、近位エクステンダー部分60Pを介して患者の脈管構造を通ってバルーン部材62を前進させる。次いで、バルーン部材62を左心房の管状領域、例えば肺静脈内に前進させ、ここで操作者は、
図7Aの弁アダプター130又は
図7Bの弁150の側部アーム151を介して、膨張流体を受容するエクステンダー60のルーメン61を通過してバルーン部材内に送達される流体を用いて膨張させる。十分に膨張すると、バルーン部材62は、電極アセンブリ18用のアンカーとして管状領域25内に適切に留められる。
【0052】
バルーン部材62が膨張されかつ留められる前、又は膨張されかつ留められた後、操作者は、遠位電極アセンブリ18を真っ直ぐにすることにより、電極アセンブリ18の遠位端を案内シース内に挿入して患者の脈管構造に入れる。操作者は、ガイドワイヤ45により案内され、また、その上にカテーテル本体が通されるエクステンダー60により案内されるように、電極アセンブリ18を、次いで遠位区分17及びカテーテル本体12を、案内シースを通して前進させる。電極アセンブリ18が標的領域に到達し、案内シースの遠位端を通過した際、操作者は電極アセンブリ18が小孔21上に着座するよう位置付ける。操作者は、エクステンダー60の位置を制御ハンドル16に対してロックすることにより、電極アセンブリ18の位置をバルーン部材62に対して固定することができる。次いで、電極アセンブリ18をエクステンダー60及びバルーン部材62により小孔上で安定化させる。
図2に示すように、エクステンダー60は、電極アセンブリ18の概ね円形の主要部分84により囲まれている開放領域85を通って延び、したがって固定アセンブリ22は、軸線方向及び径方向の両方の安定性を電極アセンブリ18に提供する。
【0053】
操作者がバルーン部材62及び電極アセンブリ18を、アセンブリ18を小孔上に固定するための位置に配置した際、操作者は弁112の把持部材117を作動させて、エクステンダー60を、制御ハンドル16及びカテーテルに定着されている流体管104に対してロックしてもよい。把持部材117はエクステンダー60をカテーテルに対してロックし、これは次にバルーン部材62及び電極アセンブリ18を互いに対してロックし、それによりバルーン部材62は電極アセンブリ8を固定する。このロック作用は、操作者又は助手が電極アセンブリ18を小孔上に保持し及び押し付ける必要性を解消する。
【0054】
操作者が遠位電極アセンブリ18を、例えば他の肺静脈及び小孔に再配置することを欲する場合、操作者はバルーン部材62への膨張流体の流れを停止してもよく、これは次いで、ポート122を介して、バルーン部材62が管状領域25から取り外されるのに十分、バルーン膜70を収縮させる。操作者は把持部材117を解放し、近位エクステンダー部分60Pを引いて、バルーン部材62を電極アセンブリ18に向かって近づけるよう後退させ、又はルーメン33内に再収容する。操作者は、エクステンダー部分60を操作してバルーン部材62を第2の管状領域内に前進させることにより、バルーン部材62を第2の管状領域内に再配置する。次いで、操作者はバルーン部材62を膨張させてバルーン部材62を留まらせ、バルーン部材62が電極アセンブリ18を第2の管状領域の小孔上に固定するように把持部材117をロックする。
【0055】
左心房の肺静脈の診断及び/又は治療処置後、操作者はバルーン部材62を収縮させ、バルーン部材をルーメン33内に引き戻し、カテーテルを案内シース内に引き戻し、カテーテルを患者の本体から除去する。
【0056】
以上の説明は、本発明の特定の代表的な実施形態を参照して提示されてきた。本発明に関係する当業者は、記載した構造の代替及び変更が、本発明の原理、趣旨及び範囲を有意に逸脱することなく実施でき、また図面は必ずしも当尺ではないことを理解するであろう。更に、実施形態の任意の1つの特徴を他の実施形態の代わりに、又は他の実施形態に加えて使用できることが理解される。したがって、前述の記述は、添付図面に記載及び例示された正確な構造のみに関するものとして理解されるべきではない。むしろ、その最も完全かつ最も正確な範囲を有するべき以下の特許請求の範囲に一致し、かつそれを支持するものとして理解するべきである。
【0057】
〔実施の態様〕
(1) カテーテルであって、
細長いカテーテル本体と、
少なくとも第1のルーメン及び第2のルーメンを含む、前記カテーテル本体の遠位のマルチルーメン管を含む遠位区分と、
前記遠位区分の遠位の電極アセンブリであって、前記電極アセンブリの近位端が前記第1のルーメン内に受容されている、電極アセンブリと、
収容位置と展開位置との間で可動な安定化アセンブリであって、前記安定化アセンブリが前記収容位置にあるときに、前記遠位区分の前記第2のルーメン内に収納され、前記安定化アセンブリが前記展開位置にあるときに、前記電極アセンブリの遠位にある、バルーン部材を有する、安定化アセンブリと、を備える、カテーテル。
(2) 前記安定化アセンブリは、前記バルーン部材が上に装着されている遠位部分を有するエクステンダーを含み、前記エクステンダーが、少なくとも前記遠位区分に対して長手方向に可動である、実施態様1に記載のカテーテル。
(3) 前記エクステンダーが、前記カテーテル本体及び前記遠位区分を通って長手方向に延びる、実施態様2に記載のカテーテル。
(4) 前記エクステンダーが、前記バルーン部材の内部を通って延びる遠位部分を有する、実施態様2に記載のカテーテル。
(5) 前記エクステンダーが、前記エクステンダーの長さに沿って前記エクステンダーを通るルーメンを有する、実施態様4に記載のカテーテル。
【0058】
(6) 前記エクステンダーの前記遠位部分が、流体を前記エクステンダーの前記ルーメンから前記バルーン部材の前記内部に通過させて、前記バルーンを膨張させるように構成されたポートを有する、実施態様5に記載のカテーテル。
(7) 更にガイドワイヤ管を備える、実施態様5に記載のカテーテル。
(8) 前記ガイドワイヤ管が、前記エクステンダーの前記ルーメンを通って延びる、実施態様7に記載のカテーテル。
(9) 前記電極アセンブリが、小孔と接触するように構成された概ね円形の主要部分を有する、実施態様1に記載のカテーテル。
(10) 前記バルーン部材は、前記バルーン部材が膨張された際、前記小孔の管状領域内に楔着されるように構成されている、実施態様9に記載のカテーテル。
【0059】
(11) 心臓の管状領域内又は管状領域付近での使用に適合されたカテーテルであって、
細長いカテーテル本体と、
少なくとも第1のルーメン及び第2のルーメンを含む、前記カテーテル本体の遠位のマルチルーメン管を含む遠位区分と、
前記遠位区分の遠位の電極アセンブリであって、前記電極アセンブリが、前記管状領域の小孔と接触するように構成された概ね円形の主要部分を有し、前記概ね円形の主要部分が、少なくとも1つのリング電極を有する、電極アセンブリと、
収容位置と展開位置との間で前記遠位区分に対して長手方向に可動なバルーンアセンブリであって、前記バルーンが前記収容位置において前記第2のルーメン内に収納され、前記バルーンが前記展開位置において前記電極アセンブリの遠位方向の前記管状領域内に前進されて、前記電極アセンブリを前記小孔上で安定化させる、バルーンアセンブリと、を備える、カテーテル。
(12) 前記バルーンアセンブリが、細長いエクステンダーと、前記エクステンダーの遠位部分上に装着されたバルーン部材とを含む、実施態様11に記載のカテーテル。
(13) 前記エクステンダーが、前記カテーテルの前記長さに沿って延び、ユーザーにより操作されて前記バルーンを前記収容位置と前記展開位置との間で移動させるように適合された近位部分を有する、実施態様12に記載のカテーテル。
(14) 前記エクステンダーが、流体を通過させて前記バルーンを膨張させるための、前記エクステンダーを通るルーメンを有する、実施態様12に記載のカテーテル。
(15) 前記エクステンダーが、少なくとも1つのポートを有する側壁を有し、流体が前記ポートを通過して前記バルーン内へと入る、実施態様12に記載のカテーテル。
【0060】
(16) 前記バルーンアセンブリが、前記エクステンダーを包囲する流体管を含み、前記流体管は、前記バルーンアセンブリが前記第2のルーメン内に収容された際、流体を通過させて前記バルーンアセンブリを洗い流すルーメンを有する、実施態様12に記載のカテーテル。
(17) 更に、前記カテーテルを通って延びるガイドワイヤ管を備える、実施態様11に記載のカテーテル。
(18) 前記ガイドワイヤ管が、前記バルーンアセンブリを通って延びる、実施態様17に記載のカテーテル。
(19) 更に、前記エクステンダーのルーメンを通って延びるガイドワイヤ管を備える、実施態様12に記載のカテーテル。
(20) 少なくとも前記ガイドワイヤ管と前記エクステンダーとが同軸である、実施態様18に記載のカテーテル。