特開2016-215026(P2016-215026A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ テルモ株式会社の特許一覧
<>
  • 特開2016215026-イントロデューサ用シース 図000003
  • 特開2016215026-イントロデューサ用シース 図000004
  • 特開2016215026-イントロデューサ用シース 図000005
  • 特開2016215026-イントロデューサ用シース 図000006
  • 特開2016215026-イントロデューサ用シース 図000007
  • 特開2016215026-イントロデューサ用シース 図000008
  • 特開2016215026-イントロデューサ用シース 図000009
  • 特開2016215026-イントロデューサ用シース 図000010
  • 特開2016215026-イントロデューサ用シース 図000011
  • 特開2016215026-イントロデューサ用シース 図000012
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2016-215026(P2016-215026A)
(43)【公開日】2016年12月22日
(54)【発明の名称】イントロデューサ用シース
(51)【国際特許分類】
   A61M 25/06 20060101AFI20161125BHJP
   A61M 39/06 20060101ALI20161125BHJP
【FI】
   A61M25/06 550
   A61M39/06 110
   A61M39/06 122
【審査請求】有
【請求項の数】12
【出願形態】OL
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2016-190619(P2016-190619)
(22)【出願日】2016年9月29日
(62)【分割の表示】特願2013-522871(P2013-522871)の分割
【原出願日】2012年6月26日
(31)【優先権主張番号】特願2011-148578(P2011-148578)
(32)【優先日】2011年7月4日
(33)【優先権主張国】JP
(31)【優先権主張番号】特願2011-148581(P2011-148581)
(32)【優先日】2011年7月4日
(33)【優先権主張国】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000109543
【氏名又は名称】テルモ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000671
【氏名又は名称】八田国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】岡村 遼
【テーマコード(参考)】
4C066
4C167
【Fターム(参考)】
4C066AA07
4C066BB01
4C066CC01
4C066JJ04
4C167AA17
4C167BB04
4C167BB31
4C167BB33
4C167CC08
(57)【要約】
【課題】長尺体を適切な位置へ容易に導入可能な高いセンタリング性能を有するイントロデューサ用シース、弁体の止血性および挿通性を適正に維持可能なイントロデューサ用シースを提供する。
【解決手段】イントロデューサ用シース10は、ハブ30の内部空間33に配置された弁体40を押圧する突起部54が形成された環状部材50を有しており、突起部は、基端側から先端側へ向かう方向において曲面で形成され、かつ、環状部材の先端側の周縁部から弁体へ向かって突出して形成されており、貫通孔を形成する環状部材の壁面の曲面と突起部の基端側の壁面の曲面が連続的に形成されており、突起部は、貫通孔の壁面の先端側の終端を構成し、かつ、貫通孔の先端側の周縁部から貫通孔の中心部かつ先端側の方向に向かって突出して形成される。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
長尺体を挿通可能な中空部を備える管状部材と、
前記管状部材の中空部と連通する内部空間を備えて前記管状部材の基端側に備えられるハブと、
前記ハブの内部空間に配置され、基端側に形成される面に基端側スリットを有する弁体と、
前記弁体に当接して前記弁体を前記内部空間に固定するとともに前記長尺体を挿通可能な貫通孔を備えた環状部材と、を有し、
前記環状部材は、前記弁体へ向かって突出して前記弁体の中心を先端側に凹むように押圧する突起部を有し、
前記突起部は、前記弁体の前記基端側スリットの端部よりも前記弁体の中心側の位置に当接して前記弁体を押圧しており、
前記貫通孔の壁面は、基端側から先端側へ向かって縮径し、基端側から先端側へ向かう方向において曲面で形成されており、
前記突起部は、基端側から先端側へ向かう方向において曲面で形成され、かつ、前記環状部材の先端側の周縁部から前記弁体へ向かって突出して形成されており、
前記貫通孔を形成する前記環状部材の壁面の曲面と前記突起部の基端側の壁面の曲面が連続的に形成されており、
前記突起部は、前記貫通孔の壁面の先端側の終端を構成し、かつ、前記貫通孔の先端側の周縁部から前記貫通孔の中心部かつ先端側の方向に向かって突出して形成される、ことを特徴とするイントロデューサ用シース。
【請求項2】
前記ハブは、前記弁体の端面が当接する支持面を備えた前記弁体を収納する収納部を有し、
前記環状部材は、前記突起部とともに前記弁体と当接する平面部を有し、
前記平面部は、前記支持面と実質的に平行に設けられており、前記支持面との間で前記弁体を先端側の方向に弾性的に変形させて前記弁体を固定する請求項1に記載のイントロデューサ用シース。
【請求項3】
前記環状部材は、前記貫通孔の壁面を基端側から見た投影面の径方向の幅が、前記投影面において前記貫通孔の壁面の径方向外側に形成される部位の径方向の幅以上である請求項2に記載のイントロデューサ用シース。
【請求項4】
前記環状部材は、基端側に面する表面の全てが曲面にて構成されている請求項2または3に記載のイントロデューサ用シース。
【請求項5】
前記貫通孔の壁面を構成する曲面の基端側から先端側へ向かう方向に沿う断面における曲線は、放物線、二次関数、指数関数若しくは対数関数のいずれか1つが描く線である請求項2〜4のいずれか1項に記載のイントロデューサ用シース。
【請求項6】
前記貫通孔の貫通方向と直交する面に対する前記曲線の接線の傾斜角度は、前記貫通孔の基端側の端部における基端側角度よりも、前記貫通孔の先端側の端部における先端側角度の方が大きい請求項5に記載のイントロデューサ用シース。
【請求項7】
前記曲線の傾斜角度は、前記基端側角度から前記先端側角度へと連続的に変化する請求項6に記載のイントロデューサ用シース。
【請求項8】
前記弁体の先端側に形成される面に先端側スリットを有し、前記貫通孔の先端側の端部は、前記弁体の先端側スリットの端部よりも前記弁体の中心側の位置に位置する請求項1〜7のいずれか1項に記載のイントロデューサ用シース。
【請求項9】
前記貫通孔の壁面を構成する曲面の基端側から先端側へ向かう方向に沿う断面における曲線は、変曲点を有する請求項1〜8のいずれか1項に記載のイントロデューサ用シース。
【請求項10】
前記ハブは、前記弁体へ向かって突出して前記弁体の中心を先端側へ凹むように押圧する突起部を有する請求項1〜9のいずれか1項に記載のイントロデューサ用シース。
【請求項11】
前記ハブは、前記弁体と当接する平面からなる平面部を有する請求項10に記載のイントロデューサ用シース。
【請求項12】
前記先端側スリットは、前記突起部の押圧により開口する請求項8に記載のイントロデューサ用シース。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、デバイスを体腔内へ導入するためのイントロデューサ用シースに関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年医療において、カテーテルと呼ばれる細長い中空管状の医療器具を用いて様々な形態の治療や検査が行われている。このような治療方法としては、カテーテルの長尺性を利用して直接患部に薬剤を投与する方法、加圧によって拡張するバルーンを先端に取り付けたカテーテルを用いて体腔内の狭窄部を押し広げて開く方法、先端部にカッターが取り付けられたカテーテルを用いて患部を削り取って開く方法、逆にカテーテルを用いて動脈瘤や出血箇所あるいは栄養血管に詰め物をして閉じる方法などがある。また、体腔内の狭窄部を開口した状態に維持するために、側面が網目状になっている管形状をしたステントをカテーテルを用いて体腔内に埋め込んで留置する治療方法などがある。さらに、体内の体にとって過剰となった液体を吸引することなどがある。
【0003】
カテーテルを用いて治療・検査などを行う場合には、一般的に、腕または脚に形成された穿刺部位にイントロデューサ用シースを導入し、イントロデューサ用シースの内腔を介してカテーテル等を経皮的に血管等の病変部に挿入している。
【0004】
イントロデューサ用シースには、通常、カテーテルやダイレータ等のデバイスの挿入を許容しつつ血液の逆流を防止する弁体がハブに設けられており、ハブの基端側に設けられる開口部から、弁体を介してデバイスを挿入する構造となっている(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
また、特許文献2に記載のイントロデューサ用シースは、スリットからなる貫通孔が形成される変形可能な弁体を、止血性およびデバイスの挿通性を調整するために湾曲させている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平8−131552号公報
【特許文献2】米国特許第6322541号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1に記載のイントロデューサ用シースでは、カテーテル等のデバイスを挿入する開口部が狭く、かつ開口部の外周が平面で形成されているため、デバイスを挿入することが容易ではない。
【0008】
また、特許文献2に記載のイントロデューサ用シースでは、弁体を挟持しているハブおよびキャップの面が湾曲しているため、デバイスを挿通させる際に、ハブおよびキャップの湾曲に沿って弁体が移動しやすくなり、また、キャップの融着度合いにより、止血性およびデバイスの挿通性が変化する虞がある。
【0009】
本発明は、上述した課題を解決するためになされたものであり、カテーテル等の長尺体を適切な位置へ容易に導入可能な高いセンタリング性能を有するイントロデューサ用シース、弁体の止血性および挿通性を適正に維持可能なイントロデューサ用シースを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成する本発明のイントロデューサ用シースは、長尺体を挿通可能な中空部を備える管状部材と、前記管状部材の中空部と連通する内部空間を備えて前記管状部材の基端側に備えられるハブと、前記ハブの内部空間に配置され、基端側に形成される面に基端側スリットを有する弁体と、前記弁体に当接して前記弁体を前記内部空間に固定するとともに前記長尺体を挿通可能な貫通孔を備えた環状部材と、を有し、前記環状部材は、前記弁体へ向かって突出して前記弁体の中心を先端側に凹むように押圧する突起部を有し、前記突起部は、前記弁体の前記基端側スリットの端部よりも前記弁体の中心側の位置に当接して前記弁体を押圧しており、前記貫通孔の壁面は、基端側から先端側へ向かって縮径し、基端側から先端側へ向かう方向において曲面で形成されており、前記突起部は、基端側から先端側へ向かう方向において曲面で形成され、かつ、前記環状部材の先端側の周縁部から前記弁体へ向かって突出して形成されており、前記貫通孔を形成する前記環状部材の壁面の曲面と前記突起部の基端側の壁面の曲面が連続的に形成されており、前記突起部は、前記貫通孔の壁面の先端側の終端を構成し、かつ、前記貫通孔の先端側の周縁部から前記貫通孔の中心部かつ先端側の方向に向かって突出して形成される、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明に係るイントロデューサ用シースは、貫通孔の壁面が、基端側から先端側へ向かって縮径し、基端側から先端側へ向かう方向において曲面で形成されるため、壁面に接した長尺体の先端を、曲面で形成される壁面によって弁体に向かって容易かつ円滑に導くことができ、高いセンタリング性能を発揮することができる。なお、貫通孔の壁面が基端側から先端側に向かって縮径するとは、貫通孔の壁面の内径が基端側から先端側に向かって縮径することを意味している。
【0012】
前記環状部材は、前記貫通孔の壁面を基端側から見た投影面の径方向の幅が、前記投影面において前記貫通孔の壁面の径方向外側に形成される部位の径方向の幅以上であれば、曲面で形成される壁面に長尺体の先端を接触させやすくなり、センタリング性能が向上する。
【0013】
前記環状部材は、基端側に面する表面の全てが曲面にて構成されていれば、壁面に接した長尺体の先端を、曲面で形成される壁面によって弁体に向かって円滑に導くことができ、センタリング性能が向上する。
【0014】
前記貫通孔の壁面を構成する曲面の基端側から先端側へ向かう方向に沿う断面における曲線が、放物線、二次関数、指数関数若しくは対数関数のいずれか1つが描く線であれば、曲面の基端側から先端側へ向かうにつれて曲線の角度を大きく変化させることができるため、長尺体が先端側に導かれるほど挿通する際の抵抗力が低減されて挿通性が向上する。
【0015】
前記貫通孔の貫通方向と直交する面に対する前記曲線の接線の傾斜角度は、前記貫通孔の基端側の端部における基端側角度よりも、前記貫通孔の先端側の端部における先端側角度の方が大きいようにすれば、貫通孔の基端側から先端側へ向かうにつれて傾斜角度が大きくなるため、長尺体が先端側に導かれるほど挿通する際の抵抗力が低減されて挿通性が向上する。
【0016】
前記曲線の傾斜角度が、前記基端側角度から前記先端側角度へと連続的に変化するようにすれば、貫通孔に接する長尺体を円滑に滑らすことができる。
【0017】
前記弁体の先端側に形成される面に先端側スリットを有し、前記貫通孔の先端側の端部が、前記弁体の先端側スリットの端部よりも前記弁体の中心側の位置に位置するようにすれば、先端側スリットが開口方向に力を受けやすく、先端側スリットがより開いた状態を維持できる。
【0018】
前記貫通孔の壁面を構成する曲面の基端側から先端側へ向かう方向に沿う断面における曲線が、変曲点を有すれば、変曲点を挟んで凹状および凸状の面が形成され、壁面の領域に応じて特性を変化させることができる。
【0019】
ハブに、弁体と当接する平面からなる平面部と、弁体へ向かって突出して弁体の中心を先端側へ凹むように押圧する突起部とが形成されるため、突起部によって弁体を湾曲させて適正な止血性および挿通性を与えつつ、平面部によって弁体の移動を抑制し、止血性および挿通性を適正な状態で維持することができる。
【0020】
前記弁体が、先端側に形成される面に先端側スリットを有し、前記突起部の押圧により前記先端側スリットが開口するようにすれば、長尺体の挿入時の摺動抵抗が低減し、挿通性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本実施形態に係るイントロデューサ用シースの平面図である。
図2】本実施形態に係るイントロデューサ用シースの基端部を示す部分断面図である。
図3図2のA−A線に沿う矢視図である。
図4】弁体を示す斜視図である。
図5】封止部材を示す断面図である。
図6】本実施形態に係るイントロデューサ用シースに長尺体を挿入する際を示す基端部の部分断面図である。
図7】本実施形態に係るイントロデューサ用シースに長尺体を挿入した際を示す基端部の部分断面図である。
図8】本実施形態に係るイントロデューサ用シースに長尺体を挿入した際の弁体の変形を示す部分断面図である。
図9】本実施形態に係るイントロデューサ用シースの他の例を示す基端部の部分断面図である。
図10】本実施形態に係るイントロデューサ用シースの他の例を示す基端部の部分断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、添付した図面を参照しながら、本発明の実施形態を説明する。なお、図面の説明において同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。また、図面の寸法比率は、説明の都合上誇張されており、実際の比率とは異なる場合がある。
【0023】
本実施形態に係るイントロデューサ用シース10は、体腔内へのアクセスルートを確保するための器具であり、体腔内へ留置されて、その内部に、例えばカテーテル、ガイドワイヤ、塞栓物等の医療用のデバイス100(長尺体)(図6参照)を挿通して、体腔内へ導入するためのものである。なお、以下の説明において、イントロデューサ用シース10の手元操作部側を「基端側」、体腔内へ挿通される側を「先端側」と称す。
【0024】
図1図3を参照して、イントロデューサ用シース10は、シースチューブ20、シースチューブ20の基端側に取り付けられるハブ30、ハブ30の内部に設けられる弁体40、弁体40をハブ30に固定するための環状部材50を備えている。
【0025】
シースチューブ20は、カテーテル等のデバイス100を挿通可能な中空部21を備える管状部材であり、経皮的に体腔内へ導入される。
【0026】
シースチューブ20の構成材料としては、例えばポリオレフィン(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、アイオノマー、またはこれら二種以上の混合物など)、ポリオレフィンエラストマー、ポリオレフィンの架橋体、ポリ塩化ビニル、ポリアミド、ポリアミドエラストマー、ポリエステル、ポリエステルエラストマー、ポリウレタン、ポリウレタンエラストマー、フッ素樹脂、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリアセタール、ポリイミド、ポリエーテルイミドなどの高分子材料またはこれらの混合物などを用いることができる。
【0027】
ハブ30には、シースチューブ20の内部と連通するサイドポート12が形成されている。サイドポート12には、例えばポリ塩化ビニル製の可撓性を有するチューブ13の一端が液密に接続されている。チューブ13の他端は、例えば三方活栓14が装着されている。この三方活栓14のポートからチューブ13を介してイントロデューサ用シース10内に、例えば生理食塩水のような液体を注入する。
【0028】
図2を参照して、ハブ30は、ハブ本体31と、ハブ本体31内に形成されてシースチューブ20の中空部21と連通する中心孔32(内部空間)と、中心孔32の基端側に設けられ弁体40を収納する収納部33(内部空間)と、を有している。収納部33の内径は、中心孔32の内径よりも大径に形成されている。収納部33は、弁体40の端面が当接する支持面34を有する。
【0029】
ハブ30の構成材料としては、特に限定されないが、硬質樹脂のような硬質材料が好適である。硬質樹脂の具体例としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリスチレン等が挙げられる。
【0030】
図2〜4を参照して、弁体40は、円形の膜状(円盤状)をなす弾性部材から構成され、ハブ30に対して液密に固定されている。弁体40の両面のうち、先端側の面を先端面41といい、反対側の端面を基端面42という。
【0031】
弁体40の先端面41には、先端面41にのみ到達する先端側スリット43が形成されている。弁体40の基端面42には、基端面42にのみ到達する基端側スリット44が形成されている。弁体40には、先端側スリット43と基端側スリット44とを十字状に交差させ、互いに重なる中央部でスリット同士の一部を連通させることによって挿通部45が形成される。
【0032】
弁体40の構成材料としては、特に限定されないが、例えば、弾性部材であるシリコーンゴム、ラテックスゴム、ブチルゴム、イソプレンゴム等が挙げられる。
【0033】
図2,3,5,8を参照して、環状部材50は、基端側から先端側へ貫通する貫通孔51を備えており、貫通孔51を構成する壁面52が、基端側から先端側へ向かって縮径し、基端側から先端側へ向かう方向において凸状の曲面で形成されている。すなわち、壁面52は、基端側から先端側へ向かう方向に沿う断面において、貫通孔51の内径が縮径するように凸状の曲線で形成されている。そして、図5に示すように、環状部材50は、貫通孔51の壁面52を基端側から見た投影面の径方向の幅X1が、同投影面において貫通孔51の壁面52の径方向外側に形成される基端外周部57の径方向の幅X2以上となっている。そして、環状部材50の基端側に面する表面の全て、すなわち壁面52および基端外周部57からなる表面の全てが、曲面にて構成されている。
【0034】
また、貫通孔51の壁面52を構成する曲面の基端側から先端側へ向かう方向に沿う断面は、基端側に膨らむ曲線であり、さらにその曲線Cが、放物線となっている。なお、曲線Cは、放物線に限定されず、例えば二次関数、指数関数または対数関数が描く線であってもよい。
【0035】
貫通孔51の貫通方向と直交する面Bに対する曲線Cの接線の傾斜角度は、貫通孔51の基端側の端部における基端側角度θ1よりも、貫通孔51の先端側の端部における先端側角度θ2の方が大きくなっており、下記の式(1)を満たす。なお、θ1は、本実施形態では0度である。
【0036】
90度≧θ2≧θ1≧0度 ・・・式(1)
そして、曲線Cの傾斜角度は、基端側角度θ1から先端側角度θ2へと連続的に変化している。
【0037】
環状部材50は、ハブ30に嵌合する形状を備え、外周部から側方へ張り出す鍔部56がハブ30と熱溶着または接着されて、ハブ30との間に弁体40を挟持する。環状部材50の先端側には、弁体40と当接する平面からなる環状の平面部53と、平面部53の内側に環状に形成されて弁体40へ向かって突出する突起部54とが形成されている。突起部54は、貫通孔51の先端側の周縁部から弁体40へ向かって突出して形成され、壁面52の先端側の終端を構成する。突起部54は、貫通孔51の先端側の周縁部から貫通孔51の中心部かつ先端側の方向に向かって突出して形成されている。突起部54の先端側部分54aは断面において直線状であり、弁体40に対して面状に接触している。突起部54の中心部に向かう方向の長さは、先端側の方向に向かう長さよりも大きい。突起部54の長軸方向の厚みは、中心部に向かう方向に従って小さくなっている。
【0038】
環状部材50の突起部54の先端側終端における内径Dは、ハブ30の弁体40に接する側の内径D2よりも小さくなっており、突起部54が、ハブ30の内径D2よりも内側にまで至っている。
【0039】
突起部54は、弁体40の基端面42を押圧して弁体40を弾性的に変形させ、弁体40の中心を先端側へ撓むように凹ませる。これにより、基端側スリット44が閉塞方向に力を受け、先端側スリット43が開口方向に力を受けた状態となる。
【0040】
そして、突起部54は、弁体40の基端側スリット44の端部46よりも弁体40の中心側の位置に当接して押圧している。また、突起部54は、弁体40の先端側スリット43の端部47よりも弁体40の中心側の位置で、弁体40に当接して押圧している。
【0041】
環状部材50の平面部53は、ハブ30の支持面34と実質的に平行に設けられている。平面部53は支持面34との間で弁体40を先端側の方向に弾性的に変形させて弁体40を固定している。
【0042】
また、環状部材50は、平面部53の中心側に、基端側へ窪んだ環状の凹部58が形成されている(図5,8参照)。
【0043】
貫通孔51の先端側における内径Dは、センタリング性能をより高めるために、挿入するカテーテル等のデバイス100の外径よりもわずかに大きい程度が望ましい。一例として、デバイス100が6Frのガイディングカテーテルの場合、ガイディングカテーテルの外径2.17mmに対して、貫通孔51の先端側における内径Dを2.20mm程度とすることができる。また、貫通孔51の先端側における内径Dを、デバイス100の外径よりもわずかに大きい程度とすることで、内径Dの縁部にデバイス100を接触させてデバイス100を操作でき、操作性が向上する。
【0044】
環状部材50の構成材料としては、特に限定されないが、硬質樹脂のような硬質材料が好適である。硬質樹脂の具体例としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリスチレン等が挙げられる。
【0045】
次に、イントロデューサ用シース10を使用したカテーテル等のデバイス100の挿入操作について以下簡単に説明する。
【0046】
まず、皮膚の所定位置に導入針などを用いて穿孔し、該穿孔よりガイドワイヤを例えば血管内に挿入する。そして、このガイドワイヤをイントロデューサ用シース10の先端からその内腔に挿通させて、ガイドワイヤに沿うようにしてイントロデューサ用シース10を血管内へ挿入する。なお、イントロデューサ用シース10を挿入する際には、挿入を補助するダイレータをイントロデューサ用シース10の内側に組み合わせることが好ましい。イントロデューサ用シース10を血管内に挿入した後は、ダイレータおよびガイドワイヤを抜去してイントロデューサ用シース10のみを残す。これにより、イントロデューサ用シース10が、体外と血管内とをつなぐ通路として機能し、このシースを通してカテーテル等のデバイス100を血管内へ挿入できる。
【0047】
次に、本実施形態に係るイントロデューサ用シース10の作用について説明する。
【0048】
本実施形態に係るイントロデューサ用シース10は、貫通孔51に形成される壁面52が、基端側から先端側へ向かって縮径し、基端側から先端側へ向かう方向において凸状の曲面で形成されている。このため、図6に示すように、カテーテル等のデバイス100を環状部材50の貫通孔51に挿入する際に、壁面52に接したデバイス100の先端を、曲面で形成される壁面52によって弁体40に向かって円滑に導くことができる。また、貫通孔51の壁面52が、基端側から先端側へ向かう方向において曲面であることで、中心部に近いほど中心軸に対する傾斜角が小さくなって挿入方向への抵抗が減少し、挿入性が向上する。
【0049】
そして、図5に示すように、貫通孔51の壁面52を基端側から見た投影面の径方向の幅X1が、同投影面における基端外周部57の径方向の幅X2以上となっているため、曲面で形成される壁面52にデバイス100の先端を接触させやすくなり、センタリング性能が向上する。
【0050】
また、環状部材50の基端側に面する表面の全てが曲面にて構成されているため、壁面52に接するデバイス100の先端を、曲面で形成される壁面52によって弁体40に向かって円滑に導くことができ、センタリング性能が向上する。
【0051】
また、壁面52を構成する曲面の基端側から先端側へ向かう方向に沿う断面が基端側に膨らむ曲線であるため、デバイス100を滑らかにセンタリングすることができる。更に、その曲線Cが放物線となっているため、基端側から先端側へ向かうにつれて曲線Cの角度を大きく変化させることができ、デバイス100が先端側に導かれるほど挿通する際の抵抗力が低減されて、挿通性が向上する。
【0052】
また、貫通孔51の基端側の端部における基端側角度θ1よりも、貫通孔51の先端側の端部における先端側角度θ2の方が大きくなっているため、デバイス100が先端側に導かれるほど挿通する際の抵抗力が低減されて、挿通性が向上する。
【0053】
そして、曲線Cの傾斜角度が、基端側角度θ1から先端側角度θ2へと連続的に変化しているため、貫通孔51に接するデバイス100を円滑に滑らすことができる。
【0054】
そして、突起部54が、弁体40の基端側スリット44の端部46よりも弁体40の中心側の位置に当接して押圧しているため、貫通孔51の壁面52に接したデバイス100が、常に基端側スリット44の端部46よりも弁体40の中心側に導かれることになり、図7に示すように、デバイス100が弁体40の挿通部45へ円滑に挿入され、挿通性が向上する。また、壁面52に接したデバイス100が、弁体40の中心側に導かれることで、デバイス100が弁体40の挿通部45から離れた部位に接することによる弁体40の損傷をも抑制できる。
【0055】
そして、突起部54が、弁体40の先端側スリット43の端部47よりも弁体40の中心側の位置に当接して押圧しているため、先端側スリット43が開口方向に力を受けやすく、先端側スリット43がより開いた状態を維持する。
【0056】
突起部54は、貫通孔51の先端側の周縁部から貫通孔51の中心部且つ先端側の方向に向かって突出して形成されているので、弁体40の窪みと環状部材50の壁面52の曲面が連続的に構成されてデバイスのセンタリング性能が高まる。突起部54の先端側部分54aは断面において直線状であり、弁体40に対して面状に接触しているので、弁体40に対する保持力が向上する。突起部54の中心部に向かう方向の長さは、先端側の方向に向かう長さよりも大きいので、弁体40になだらかな窪みを形成することができる。突起部54の長軸方向の厚みは、中心部に向かう方向に従って小さくなっているので、弁体40を弾性的に押圧することができる。
【0057】
また、突起部54の先端側終端における内径Dが、ハブ30の弁体40に接する側の内径D2よりも小さいため、突起部54がハブ30の内径D2よりも内側にまで至り、センタリング性能が向上する。
【0058】
そして、突起部54が、環状部材50の貫通孔51の先端側の周縁部から弁体40へ向かって突出して形成されているため、環状部材50側(基端側)から弁体40を押圧でき、突起部54によって弁体40を先端側へ容易に湾曲させる(凹ませる)ことができる。弁体40は、突起部54によって押圧されて基端側スリット44が閉塞方向に力を受け、先端側スリット43が開口方向に力を受けた状態となっているため、弁体40が凹むことなしに平坦な場合と比較して、閉塞方向に力を受ける基端側スリット44により止血効果が向上し、かつ開いた先端側スリット43によってデバイス100挿入時の摺動抵抗が低減され、挿通性が向上する。
【0059】
また、弁体40の基端面42が突起部54によって凹状に湾曲しているため、デバイス100の先端を弁体40自体の凹状の基端面42によりガイドして、挿通する際の抵抗力が小さい中央部へ導くことができる。したがって、より小さい力でデバイス100を挿通することが可能となり、挿通性が向上する。
【0060】
また、環状部材50に、突起部54とともに弁体40と当接する平面部53が形成されているため、平面部53によって弁体40の移動を確実に抑制でき、止血性および挿通性を適正な状態で維持できる。環状部材50に突起部54が形成されずに平坦な面でのみ弁体40を押圧すると、弁体40の圧縮量が一定に定まらずに個体差が大きくなり、デバイス100のセンタリング性や挿通性が均一でなくなるが、本実施形態では、突起部54によって弁体40を押圧する構成となっているため、弁体40の望ましい圧縮量を容易に確保することができ、個体差をほとんど生じさせることなしに、デバイス100のセンタリング性および挿通性を常に高く実現できる。平面部53は、ハブ30の支持面34と実質的に平行に設けられており、平面部53は支持面34との間で弁体40を先端側の方向に弾性的に変形させて弁体を固定しているので、弁体40の移動をより確実に抑制でき、止血性および挿通性を適正な状態で維持できる。
【0061】
また、環状部材50の平面部53の中心側に、基端側へ窪んだ環状の凹部58が形成されているため、図8に示すように、平面部53にて弁体40を先端側に押圧しつつ(下向き白抜き矢印を参照)、突起部54の先端側部分54aによって弁体40を押圧した状態(右下向き白抜き矢印を参照)において、弁体40の一部が環状の凹部58に左上向き白抜き矢印の力を受けながら逃げて、その力と反作用の力が弁中心部にかかるので、単に突起部54によって弁体40を押圧した状態における窪み(二点鎖線を参照)デバイス100の挿入により変形した弁体40が逃げることができる。このため弁体40の中央部の窪みがより大きくなり、センタリング性能が向上する。
【0062】
そして、突起部54が、壁面52の先端側の終端を構成しているため、壁面52により中心側に導かれたデバイス100の先端を、図7に示すように、そのまま弁体40へ円滑に導くことができる。
【0063】
なお、本発明は上述した実施の形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲内で種々改変することができる。例えば、図9に示すイントロデューサ用シースの他の例のように、貫通孔61の壁面62を構成する曲面の基端側から先端側へ向かう方向に沿う断面における曲線C2が、変曲点P1、P2を有してもよい。すなわち、壁面62の先端側(中心側)に凸状の曲面62Aが形成され、変曲点P1を挟んで基端側(径方向外側)に凹状の曲面62Bが形成され、変曲点P2を挟んでさらに基端側(径方向外側)に凸状の曲面62Cが形成されている。このような構成とすれば、凹状の曲面62Bおよび凸状の曲面62Cにおいては、貫通孔61へ挿入されたデバイス100の先端が貫通孔61から径方向外方へ逸脱することを抑制しつつデバイス100のセンタリングを行い、凸状の曲面62Aにおいて、曲面62Bから導かれたデバイス100を弁体40へ円滑に導くことができる。なお、変曲点の数は、1個でもよく、また3個以上であってもよい。変曲点を有する曲線としては、例えば3次以上の関数による曲線を利用できる。
【0064】
また、突起部54が、環状部材50に形成された貫通孔51の壁面52の先端側の終端を構成する形態を示したが、突起部が設けられる位置およびその構造はこのような形態に限定されず、突起部によって弁体40を湾曲させて止血性および挿入性を向上し得る限りにおいて変更することが可能である。例えば、環状部材50の他の部位に突起部を設けてもよいし、図10に示すイントロデューサ用シースの他の例のように、環状部材側ではなしに、ハブ30の支持面34の外周部に基端側へ突出する環状の突起部35を形成し、弁体40の中央部が先端側へ撓むように圧縮させる構成としてもよい。
【0065】
また、環状部材の貫通孔は、凸状の曲面でなくてもよく、凹状の曲面としたり、凸状の曲面と凹状の曲面とを組み合わせたり、断面が直線的なテーパ形状としたり、または一定の内径の孔とすることもできる。
【0066】
また、弁体の構造は、必ずしも交差するスリットにより構成されなくてもよい。
【符号の説明】
【0067】
10 イントロデューサ用シース、
20 シースチューブ(管状部材)、
21 中空部、
30 ハブ、
31 ハブ本体、
32 中心孔(内部空間)、
33 収納部(内部空間)、
40 弁体、
41 先端面、
42 基端面、
43 先端側スリット、
44 基端側スリット、
46 端部、
47 端部、
50 環状部材、
51、61 貫通孔、
52、62 壁面、
54 突起部、
54a 先端側部分、
57 基端外周部、
58 端部、
100 デバイス(長尺体)、
C 曲線、
P 変曲点、
X1 壁面の径方向の幅、
X2 基端外周部の径方向の幅、
θ1 基端側角度、
θ2 先端側角度。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10