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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2016-215139(P2016-215139A)
(43)【公開日】2016年12月22日
(54)【発明の名称】排ガス混合装置
(51)【国際特許分類】
   B01D 53/86 20060101AFI20161125BHJP
   F23J 15/00 20060101ALI20161125BHJP
【FI】
   B01D53/86 222
   F23J15/00 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2015-103605(P2015-103605)
(22)【出願日】2015年5月21日
(71)【出願人】
【識別番号】514030104
【氏名又は名称】三菱日立パワーシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100098017
【弁理士】
【氏名又は名称】吉岡 宏嗣
(72)【発明者】
【氏名】矢野 勝美
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 郷紀
(72)【発明者】
【氏名】森井 政治
【テーマコード(参考)】
3K070
4D048
4D148
【Fターム(参考)】
3K070DA02
3K070DA13
3K070DA22
3K070DA73
4D048AA06
4D048AB02
4D048AC04
4D048CA07
4D048CC23
4D148AA06
4D148AB02
4D148AC04
4D148CA07
4D148CC23
(57)【要約】
【課題】圧力損失の増加が小さく、排ガスの混合を促進できる排ガス混合装置を提供する。
【解決手段】燃焼排ガス中の窒素酸化物を還元する還元剤が添加された燃焼排ガスGが導入されるガス混合器1を備えた排ガス混合装置において、ガス混合器1は、直方体空間3の平行な2つの面の一方をガス流入面とし、他方をガス流出面として燃焼排ガスGが流通されるガス流路を有し、ガス流路は、ガス流入面とガス流出面が、それぞれ各面の中心7、8を通る直線(9a、10a)、(9b、10b)によって対称な同一面積の少なくとも四つの領域に区分され、ガス流入面の各領域に流入される燃焼排ガスGを、ガス流入面とガス流出面の中心を結ぶ線分Lの回りに領域を一つずつずらした位置のガス流出面の各領域に導くガス流路仕切板6(a〜d)を備えてなることを特徴とする。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃焼排ガス中の窒素酸化物を還元する還元剤が添加された前記燃焼排ガスが導入される脱硝装置の脱硝触媒層の前流側の排ガスダクトの流路断面に設けられる複数のガス混合器を備えた排ガス混合装置において、
前記ガス混合器は、直方体空間の平行な2つの面の一方をガス流入面とし、他方をガス流出面として前記燃焼排ガスが流通されるガス流路を有し、
前記ガス流路は、前記ガス流入面と前記ガス流出面が、それぞれ各面の中心を通る直線によって対称な同一面積の少なくとも四つの領域に区分され、前記ガス流入面の前記各領域に流入される前記燃焼排ガスを、前記ガス流入面と前記ガス流出面の前記中心を結ぶ線分の回りに前記領域を一つずつずらした位置の前記ガス流出面の前記各領域に導くガス流路仕切板を備えてなることを特徴とする排ガス混合装置。
【請求項2】
前記ガス流路仕切板は、前記ガス流入面と前記ガス流出面の前記中心を結ぶ線分を共通辺とする少なくとも四つの仕切板要素から形成され、
前記仕切板要素は、前記ガス流入面と前記ガス流出面の対称位置の前記領域間のガス流れを遮る曲折板により形成されてなることを特徴とする請求項1に記載の排ガス混合装置。
【請求項3】
前記ガス流路は、前記ガス流入面と前記ガス流出面が、当該各面の辺に平行でかつ当該各面の中心を通る直交二直線によりそれぞれ四つの矩形領域に区分され、
前記ガス流路仕切板は、前記ガス流入面と前記ガス流出面の前記中心を結ぶ線分を共通辺とする四つの仕切板要素を、前記共通辺の周りに90°ピッチで回転させて配置されてなり、
前記仕切板要素は、前記ガス流入面と前記ガス流出面の対称位置の前記矩形領域間のガス流れを遮る曲折板によりに形成されてなることを特徴とする請求項1に記載の排ガス混合装置。
【請求項4】
前記仕切板要素は、前記ガス流入面の前記矩形領域の各頂点の三次元座標[xyz]を前記直交二直線の交点から時計回りにそれぞれ[000]、[100]、[110]、[010]とし、これらの頂点の対称位置の前記ガス流出面の前記矩形領域の各頂点の三次元座標[xyz]を、前記直交二直線の交点から時計回りにそれぞれ[001]、[101]、[111]、[011]としたとき、
前記頂点[100]と前記頂点[011]を結ぶ線分Lを底辺とし、前記頂点[110]と前記頂点[111]を結ぶ線分L上の点Pを頂点とする三角形板Aと、
前記共通辺Lを底辺とし、前記線分L上の点Pを頂点とする三角形板Bと、
前記頂点[000]と前記頂点[100]を結ぶ線分Lを底辺とし、前記点Pを頂点とする三角形板Cと、
前記頂点[011]と前記頂点[001]を結ぶ線分Lを底辺とし、前記点Pを頂点とする三角形板Dとから形成されてなることを特徴とする請求項3に記載の排ガス混合装置。
【請求項5】
前記ガス混合器は、前記直方体空間に流入するガス流に平行な面が平板により筒状に形成されていることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の排ガス混合装置。
【請求項6】
前記ガス混合器は、前記直方体空間に流入するガス流に平行な4面のうち対向する一対の二つの面が平板により形成され、他の一対の二つの面が開放されていることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の排ガス混合装置。
【請求項7】
前記ガス混合器は、前記直方体空間に流入するガス流に平行な四つの面が開放されていることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の排ガス混合装置。
【請求項8】
前記仕切板要素は、前記直方体空間の外面の平板に接する縁部は当該平板に固定され、前記直方体空間の外面の平板に接しない縁部は棒状の支持部材に固定されていることを特徴とする請求項5乃至7のいずれか1項に記載の排ガス混合装置。
【請求項9】
前記ガス混合器を、前記脱硝装置の前流側の排ガスダクトの流路断面の少なくとも一部に、複数段、複数列、配置してなることを特徴とする請求項1乃至8のいずれか1項に記載の排ガス混合装置。
【請求項10】
燃焼排ガス中の窒素酸化物を還元する還元剤が添加された前記燃焼排ガスが導入される脱硝装置の脱硝触媒層の前流側の排ガスダクトの流路断面に設けられる複数のガス混合器を備えた排ガス混合装置において、
前記ガス混合器は、直方体空間の平行な2つの面の一方をガス流入面とし、他方をガス流出面として前記燃焼排ガスが流通されるガス流路を有し、
前記ガス流路は、複数の二等辺三角形の板材の辺同士を接合させて形成され、前記板材の接合部が凹状または凸状となる接合部を隣り合わせ、あるいは凹部と凸部がガス流れ方向に対して順次交互となるように形成されてなることを特徴とする排ガス混合装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、排ガス混合装置に係り、特に、燃焼排ガス中の窒素酸化物を還元する還元剤が添加された燃焼排ガスが導入される脱硝装置の脱硝触媒層の前流側の排ガスダクトの流路断面に設けられる複数のガス混合器を備えた排ガス混合装置に関する。
【背景技術】
【0002】
発電所等において、燃焼設備から発生する燃焼排ガス中の窒素酸化物を処理するために、一般に脱硝装置が用いられる。燃焼設備は、石炭焚き、ガス焚き、油焚き等のボイラの他、ガスタービンなどの燃焼設備である。脱硝装置は、上流側で排ガスにアンモニア及びアンモニア化合物等の還元剤を添加し、脱硝装置内に設けられた脱硝触媒上で還元剤と排ガス中の窒素酸化物を反応させて窒素に還元処理する。還元剤は基本的にはガスで供給するか、溶液を排ガス中に直接噴霧するが、溶液噴霧の場合も高温排ガスにより加熱気化されるため、結局ガス状で添加されることになる。
【0003】
ところで、脱硝処理対象の排ガス量は、例えば1000MWクラスの発電設備の場合、300万mN/hに達する。これに対し、還元剤は希釈用空気などを含めても9000mN/hである。つまり、排ガス量は還元剤ガスに対して300倍ほどであるから、脱硝効率を高めるためには、極少量の還元剤ガスを多量の排ガス中に均一に分散させる必要がある。特に、窒素酸化物(NOx)の系外への排出規制が強化される傾向にあり、例えば脱硝率90%以上が要求されている。一方で、還元剤である未反応のアンモニアが脱硝装置から流出するスリップアンモニア濃度が数ppm以下に規制されている。このような規制を満たすためには、脱硝触媒上流でアンモニア(NH)対窒素酸化物(NOx)のモル比が1を超えないように制御することが重要である。
【0004】
例えば、特許文献1には、排ガスダクトの流路断面を複数の領域に分割し、各々の領域毎に複数のアンモニア注入ノズルを配置して、各領域毎にアンモニア注入量を独立して制御することが提案されている。これによれば、脱硫触媒出口の流路断面におけるNOx濃度、あるいはスリップアンモニア濃度を実測し、領域ごとにアンモニア注入量をフィードバック制御して微調整することが可能である。
【0005】
また、特許文献2に示すようなガス混合器を用いることが一般的に行われている。これはアンモニア注入ノズルと脱硝触媒との間の排ガスダクトに設置され、排ガスとアンモニアガスを混合する効果が期待される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許第4069196号
【特許文献2】特許第4539930号
【特許文献3】実開平6−31826号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、特許文献1の方法によっても、排ガスダクトの取り回し方向等の敷設形状、ガイドベーンの有無、排ガスダクトサイズ等によって、アンモニア注入量の増減が反映される部位が変動するため、アンモニア注入量の調整は容易ではない。また、排ガスダクト断面の各部位における排ガス流速及びNOx濃度にバラツキが生じる。さらに、ある領域内のアンモニア注入量を増減させても、必ずしもその延長上の部位のアンモニア濃度が増減するわけではない。したがって、アンモニアノズル数を極限まで増やしても状況は同じで、ダクト断面の各部位の排ガス流速及びNOx濃度のバラツキに対応してアンモニア(NH)注入量を調整するのは困難な作業である。
【0008】
これらのことから、NOxの出口濃度を満足し、かつ余剰のNHを排出しないためには、脱硝触媒の入口側の排ガス流路断面の全領域において、高い割合でNH/NOxのモル比を均一にしなくてはならない。また、発電負荷が変わればガス流速、NOx濃度も変動するため、それぞれの状況を想定して調整条件を決める必要がある。それには、NH/NOxのモル比変動率(CV=標準偏差/平均値)が7%以下となるようにする必要があった。しかも限られた短いダクト長で達成する必要があった。また、設備の発電負荷が変わればガス流速、窒素酸化物濃度も変動するため、それぞれの状況を想定して調整条件を決める必要があった。
【0009】
また、特許文献2に示すような混合器は、一般的には圧力損失を高めることで整流効果を高め、アンモニアノズル上流の排ガス流速を均一化する効果により、NH/NOxのモル比を均一化しやすくする。しかも、窒素酸化物濃度の異なる部位を互いにかき混ぜることで均一化する効果が起こり、比較的短距離でモル比の均一化が図れる。しかし、圧力圧損が高くファン動力が増加する問題が残っている。
【0010】
特許文献3に記載のガス混合器は、旋回流によるガスの混合があまり期待できないから、短いダクト長で排ガスダクトの流路断面における排ガス流速を均等化するとともに、脱硝触媒の入側におけるNH/NOxのモル比変動率(CV=標準偏差/平均値)を、十分低くしようとすると、圧力損失が大きくなり、排ガスを誘引するファン動力が増加する問題がある。
【0011】
本発明が解決しようとする課題は、圧力損失の増加が小さく、排ガスの混合を促進できるコンパクトな排ガス混合装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の課題を解決するため、本発明は、燃焼排ガス中の窒素酸化物を還元する還元剤が添加された前記燃焼排ガスが導入される脱硝触媒を備えた脱硝装置の前流側の排ガスダクトの流路断面に設けられる複数のガス混合器を備えた排ガス混合装置において、前記ガス混合器は、直方体空間の平行な2つの面の一方をガス流入面とし、他方をガス流出面として前記燃焼排ガスが流通されるガス流路を有し、前記ガス流路は、前記ガス流入面と前記ガス流出面が、それぞれ各面の中心を通る直線によって対称な同一面積の少なくとも四つの領域に区分され、前記ガス流入面の前記各領域に流入される前記燃焼排ガスを、前記ガス流入面と前記ガス流出面の前記中心を結ぶ線分の回りに前記領域を一つずつずらした位置の前記ガス流出面の前記各領域に導くガス流路仕切板を備えてなることを特徴とする。
【0013】
このように構成されることから、本発明のガス混合器によれば、排ガス流入面の各領域に流入される燃焼排ガスは、ガス流路仕切板によって、ガス流入面とガス流出面の中心を結ぶ線分の回り(例えば、時計回りまたは反時計回り)に、一つの領域ずつガス流れ方向が偏流されてガス流出面から流出される。その結果、本発明のガス混合器を流通する燃焼排ガスは、主流に対して旋回力を受けてガス流出面から排出される。この旋回流により、燃焼排ガスと還元剤との混合が促進され、脱硝装置の上流にて排ガスダクト(煙道)内に供給される少量の還元剤等を短い距離で均一に分散することができる。しかも、流入される燃焼排ガスの偏流角は最大でも90°であるから、燃焼排ガスの旋回流に伴う圧力損失の増加を抑制できる。ガス流入面とガス流出面の区分領域を四つを超えるようにすれば、旋回力は弱くなるが、圧力損失の増加をより抑制することができる。なお、本発明の排ガス混合装置は、脱硝触媒層が排ガスの流れ方向に複数設けられる場合、脱硝触媒層と脱硝触媒層との間に流路断面に設けられる場合にも適用可能である。
【0014】
ここで、前記ガス流路仕切板は、前記ガス流入面と前記ガス流出面の前記中心を結ぶ線分を共通辺とする少なくとも四つの仕切板要素から形成され、前記仕切板要素は、前記ガス流入面と前記ガス流出面の対称位置の前記領域間のガス流れを遮る曲折板により形成されてなることを特徴とする。
【0015】
特に、前記ガス流路を、前記ガス流入面と前記ガス流出面を、各面の辺に平行でかつ各面の中心を通る直交二直線によりそれぞれ四つの領域に区分することが好ましい。これによれば、本発明のガス混合器に流入する燃焼排ガスの主流に対して、効果的に旋回流が形成される。また、圧力損失の増加を抑制できる。
【0016】
この場合の前記ガス流路は、前記ガス流入面と前記ガス流出面が、当該各面の辺に平行でかつ当該各面の中心を通る直交二直線によりそれぞれ四つの矩形領域に区分され、前記ガス流路仕切板は、前記ガス流入面と前記ガス流出面の前記中心を結ぶ線分を共通辺とする四つの仕切板要素を、前記共通辺の周りに90°ピッチで回転させて配置されてなり、前記仕切板要素は、前記ガス流入面と前記ガス流出面の対称位置の前記矩形領域間のガス流れを遮る曲折板によりに形成されてなることを特徴とする。
【0017】
さらに、具体的には、前記仕切板要素は、図1(b)に示すように、前記ガス流入面の前記矩形領域の各頂点の三次元座標[xyz]を、前記直交二直線の交点から時計回りにそれぞれ[000]、[100]、[110]、[010]とし、これらの頂点の対称位置の前記ガス流出面の前記矩形領域の各頂点の三次元座標[xyz]を、前記直交二直線の交点から時計回りにそれぞれ[001]、[101]、[111]、[011]としたとき、次に述べる四つの三角形板A〜Dから形成することが好ましい。
三角形板Aは、前記頂点[100]と前記頂点[011]を結ぶ線分Lを底辺とし、前記頂点[110]と前記頂点[111]を結ぶ線分L上の点Pを頂点とする三角形の平板とする。三角形板Bは、共通辺Lを底辺とし、前記線分L上の点Pを頂点とする三角形の平板とする。三角形板Cは、前記頂点[000]と前記頂点[100]を結ぶ線分Lを底辺とし、前記点Pを頂点とする三角形の平板とする。三角形板Dは、前記頂点[011]と前記頂点[001]を結ぶ線分Lを底辺とし、前記点Pを頂点とする三角形の平板とする。
【0018】
上記の三角形板A〜Dの仕切板要素からなるガス流路仕切板によれば、流入される燃焼排ガスの流れに、時計回りの旋回力が付与される。しかし、本発明は、時計回りの旋回力を付与するガス流路仕切板に限られるものではなく、流入される燃焼排ガスの流れに、反時計回りの旋回力を付与するようにしてもよい。この場合は、図1(b)を参照して説明すれば、ガス流入面側の1/4の領域の左上の領域に流入した燃焼排ガスを、ガス流出面側の1/4の領域の右上の領域から流出させ、ガス流入面側の1/4の領域の左下の領域に流入した燃焼排ガスを、ガス流出面側の1/4の領域の左上の領域から流出させるように、順次ずらして四枚の三角形板からなる仕切板要素によりガス流路仕切板を形成する。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、圧力損失の増加が小さく、排ガスの混合を促進できる排ガス混合装置を提供することができる。また、本発明の排ガス混合装置は、排ガスの進行方向にスペースを要さずコンパクトであるので、排ガスダクトの狭い箇所にも追設することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明のガス混合器の実施例1の構造を説明する斜視図である。
図2】実施例1のガス混合器を排ガスダクトの流路断面の全面に配置した排ガス混合装置の構成を示す図である。
図3】本発明のガス混合器の実施例2の構造を説明する斜視図である。
図4】本発明のガス混合器の実施例3の構造を説明する斜視図である。
図5】比較例3のガス混合器と、そのガス混合器を排ガスダクトの流路断面の全面に配置した排ガス混合装置の構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明を実施例に基づいて説明する。
【実施例1】
【0022】
図1(a)に本発明の実施例1のガス混合器1の斜視構成図を示す。本実施例1のガス混合器1は、燃焼排ガス中の窒素酸化物を還元する還元剤が添加された燃焼排ガスが導入される脱硝触媒を備えた脱硝装置の前流側の排ガスダクトの流路断面に設けられる。一般に、大型発電設備に用いられる脱硝触媒を備えた脱硝装置の流路断面は角型であり、その脱硝装置に排ガスを導入する排ガスダクトの流路断面も矩形であることが多い。そこで、本実施例のガス混合器1は、排ガスダクトの流路断面を複数の矩形領域に分け、その矩形領域に対応させたサイズのガス混合器を多段に重ねて、かつ複数列並べて構成した排ガス混合装置に適用するものとして説明する。
【0023】
本実施例1のガス混合器1は、図1(a)に示すように、図示矢印2に示す方向から流入される燃焼排ガスGが流通される直方体空間3のガス流路を有して形成されている。本実施例のガス流路は、直方体空間3のガス流入方向2に平行な面に平板4(a〜d)を配置してなる断面矩形の矩形流路壁4により形成されている。図において断面矩形の矩形流路壁4の手前側の開口面がガス流入面とされ、奥側の開口面がガス流出面とされている。断面矩形の矩形流路壁4の内部には、同一形状に形成された4つの仕切板要素6a〜6dからなるガス流路仕切板6が配置されている。仕切板要素6a〜6dは、全て同一形状に形成されている。
【0024】
本実施例1のガス流路のガス流入面とガス流出面は、それぞれ各面の辺に平行でかつ各面の中心7、8を通る直交二直線(9a、9b)、(10a、10b)によって対称な同一面積のそれぞれ四つの矩形領域に区分されている。ガス流路仕切板6は、ガス流入面の各領域に流入される燃焼排ガスGを、ガス流入面とガス流出面の中心7、8を結ぶ線分Lの回りに、本実施例では時計回りに領域を一つずつずらした位置のガス流出面の各領域に導くように形成されている。つまり、仕切板要素6a〜6dを、線分Lを共通辺として、共通辺の周りに90°ピッチで、本実施例では時計回りに回転させて設置されている。
【0025】
仕切板要素6a〜6dは、ガス流入面とガス流出面の対称位置の矩形領域間のガス流れを遮る曲折板によりに形成されている。図1(b)を参照して、仕切板要素6aの構成を詳細に説明する。仕切板要素6aは、図示のように、4枚の三角形板A〜Dで構成されている。いま、ガス流入面の矩形領域の各頂点の三次元座標[xyz]を直交二直線9a、9bの交点7から時計回りにそれぞれ[000]、[100]、[110]、[010]とする。また、これらの頂点の対称位置のガス流出面の矩形領域の各頂点の三次元座標[xyz]を、直交二直線10aと10bの交点8から時計回りにそれぞれ[001]、[101]、[111]、[011]とする。
【0026】
三角形板Aは、頂点[100]と頂点[011]を結ぶ線分Lを底辺とし、頂点[110]と頂点[111]を結ぶ線分L上の点Pを頂点とする三角形の平板である。三角形板Bは、共通辺Lを底辺とし、線分L上の点Pを頂点とする三角形の平板である。三角形板Cは、頂点[000]と頂点[100]を結ぶ線分Lを底辺とし、点Pを頂点とする三角形の平板である。三角形板Dは、頂点[011]と頂点[001]を結ぶ線分Lを底辺とし、点Pを頂点とする三角形の平板である。三角形板Aの点Pの線分L上の位置は、線分Lの中心から線分Lの長さの1/3以内で前後させてもよい。また、三角形板B〜Dの点Pの位置も、線分Lの中心から線分Lの長さの1/3以内で前後させてもよい。
【0027】
また、図示を省略しているが、仕切板要素6b〜6dは、仕切板要素6aと同様に、三角形板A〜Dから同一の形状に形成され、線分Lを共通辺として、共通辺の周りに90°ピッチで、本実施例では時計回りに回転させて設置されている。仕切板要素6a〜6dは、平板4(a〜d)に接する縁部はそれぞれ平板4(a〜d)に溶接等で固定されている。平板4(a〜d)に接しない仕切板要素6a〜6dの縁部は、図1(b)に示すように、直交二直線(9a、9b)、(10a、10b)および線分Lに沿って設置されたパイプなどの棒状の支持部材11に溶接等で固定されている。
【0028】
本実施例1のガス混合器1を格子要素として構成した排ガス混合装置の一例を図2に示す。図示のように、ガス混合器1を相隣るように、脱硝装置の前流側の排ガスダクト25内の全断面に配置した例である。実施例1では平板4(a〜d)を配置してなる断面矩形の矩形流路壁4によりガス流路仕切板6a〜6dの構造体を囲っているが、断面矩形の矩形流路壁4を設けない場合は、図示のようになる。なお、図2は一例であり、本発明の排ガス混合装置は、複数のガス混合器1を、脱硝装置の前流側の排ガスダクト25の流路断面の少なくとも一部に、複数段、複数列、配置して構成している。すなわち、ガス混合器1を2段、複数列配置する場合は、水平仕切板14と、垂直仕切板15を設け、ガス混合器1の全体の外周壁は、排ガスダクト25の外周壁を利用する。
【0029】
大型発電設備に用いられる脱硝触媒を備えた脱硝装置は流路断面が角型であり、その上流の排ガスダクトの断面も矩形であることが多い。したがって、ガス混合器1のガス流路の断面寸法は、排ガスダクトの断面の縦横寸法のうち、短い方の寸法に合わせて決定するのが望ましい。例えば、本実施例1では、排ガスダクトのサイズは、18.4m×4.6mを想定した。ガス混合器1の断面サイズは製造し易さ、メンテナンス性を考え、短い方の寸法4.6mの2分の1の2.3mを基準とした。なお、ガス混合器1のサイズは、ガス流速やモル比の分布の仕方、還元剤注入ノズルの調整領域のサイズに応じて適宜設定する。例えば、本発明のガス混合器1は旋回流を起こすタイプであるため、ガス流れ方向から見て正方断面であることが望ましい。しかし、排ガスダクトのサイズに応じて若干縦横比を変えても構わない。本実施例1では2.3×2.3mの正方形とすることにより、排ガスダクトの横幅寸法にも過不足なく入る。
【0030】
以上説明した実施例1のガス混合器1によれば、排ガス流入面の四つの矩形領域に流入される燃焼排ガスGは、ガス流路仕切板6(a〜d)によって、ガス流入面とガス流出面の中心を結ぶ線分Lの回り(例えば、時計回り)に、一つの領域ずつガス流れ方向が偏流されてガス流出面から流出される。その結果、本実施例のガス混合器1を流通する燃焼排ガスGの主流は旋回力を受け、旋回流となってガス流出面から排出される。この旋回流により、燃焼排ガスGと還元剤である例えばアンモニアとの混合が促進される。その結果、脱硝装置の上流にて排ガスダクト(煙道)内に供給される少量の還元剤等を短い距離で均一に分散することができる。しかも、流入される燃焼排ガスGの偏流角は90°であるから、燃焼排ガスGの旋回流に伴う圧力損失の増加を抑制できる。なお、ガス流入面とガス流出面の区分数を四つを超える領域にすれば、旋回力は弱くなるが、圧力損失の増加を一層抑制することができる。
【0031】
例えば、本実施例のガス混合器1を用いて排ガス混合装置を構成することにより、NH/NOxのモル比の変動率CV(標準偏差/平均値)が7%以下、ガス流速の変動率CV(標準偏差/平均値)が15%以下とすることができる。しかも、ガス混合器1の圧力損失の増大を抑えることができる。
【実施例2】
【0032】
図3に、本発明の実施例2のガス混合器30の斜視構成図を示す。本実施例2が、実施例1のガス混合器1と相違する点は、直方体空間3のガス流入方向2に平行な上下2面にのみ平板4a,cを配置し、他の垂直方向の2面の仕切板を省略してガス流路を形成している点が相違する。言い換えれば、直方体空間に流入するガス流に平行な4面のうち対向する一対の二つの面が平板により形成され、他の一対の二つの面が開放されている。その他の点は、実施例1と同一であることから、同一の符号を付して説明を省略する。
【実施例3】
【0033】
図4に、本発明の実施例3のガス混合器40の斜視構成図を示す。本実施例3が、実施例1のガス混合器1あるいは実施例2のガス混合器30と相違する点は、直方体空間3のガス流入方向2に平行な4面の平板4a〜4dをすべて省略したことにある。つまり、直方体空間3に流入するガス流に平行な四つの面が開放されている。また、図示していないが、ガス流路仕切板6の仕切板要素6a〜6dは、縁部をパイプなどの棒状の支持部材に溶接等で固定させて、強度を確保している。
【0034】
次に、表1に、本発明の実施例1〜3のNH/NOxのモル比の変動率CV[%]、ガス流速の変動率CV[%]の数値解析結果を、圧力損失[Pa]を、比較例1〜3の数値解析結果と対比して示す。比較例1は、各実施例1〜3のガス混合器を設置しない排ガスダクトの例である。比較例2は、特許文献2のガス混合器を設置して排ガス混合装置を構成した例である。比較例3は、図5(a)に示す特許文献3のガス混合器を、図5(b)に示すように、排ガスダクト25に設置して排ガス混合装置を構成した例である。
【0035】
なお、表1に示す数値解析は、数値解析ソフトFLUENT Ver6を使用し、入口面のガス流速の変動率CV=20%となるような初期値を与えて、実機スケールの排ガス混合装置により行った。また、アンモニアノズルも実機サイズを再現した構造を用い、入口ガス流速に応じてアンモニア注入量を変化させた。
【表1】
【0036】
表1に示すように、実施例1〜3は、いずれもガス混合器を備えていない比較例1と比べて 圧力損失は40Pa程度高くなるが、NH/NOxのモル比CVは低く、混合性は優れていることが判る。つまり、比較例1はガス混合器がないため、ガス流速CVについては問題ないが、NH/NOxのモル比CVが9.2%と最も高く、通常要求される7%は満足しなかった。
【0037】
また、実施例1〜3は、いずれも比較例2と比べて 圧力損失が低く、NH/NOxモル比CV、ガス流速CVともに低いので混合性も整流性能も優れていることが判る。つまり、比較例2は、NH/NOxのモル比CVは比較例1と比べてほとんど変化せず、本実施例1〜3に比べると効果は小さいと考えられる。
【0038】
実施例1〜3は、いずれも比較例3と比べて 圧力損失、NH/NOxモル比CVともに低く、混合性に優れている。ところで、比較例3のガス混合器は、二枚の三角形板17、18の組を頂点部で互い違いに正対させた構造であり、入口から入ったガス流を上流側の二枚の三角形板17が一旦2方向に分散させたのち、次の二枚の三角形板18が互い違いの位置に存在するので合流して出口面より出ていく構造となっている。つまり、ガス流を絞る効果が主であり、ガス流に大きな旋回流を与える構造ではない。これらのことから、本発明の実施例1〜3のガス混合器は、比較例1〜3に対して効果が高いものであることが判った。
【0039】
以上、本発明を実施例に基づいて説明したが、本発明はこれらに限定されるものではなく、本発明の主旨の範囲で変形又は変更された形態で実施することが可能であることは、当業者にあっては明白なことであり、そのような変形又は変更された形態が本発明の技術的範囲に属することは当然である。
【0040】
例えば、上記実施例1〜3では、ガス流路仕切板6の仕切板要素6a〜6dを、三角形板A〜Dを組み合わせて形成したが、これに限られるものではない。要は、ガス流入面の各領域に流入される燃焼排ガスGを、ガス流入面とガス流出面の中心を結ぶ線分Lの回りに領域を一つずつずらした位置のガス流出面の各領域に導くように、緩やかな曲面に加工した平板を用いて形成してもよい。
【0041】
また、上記実施例1〜3のガス流路仕切板6は、ガス流入面の各領域に流入される燃焼排ガスGを、ガス流入面とガス流出面の中心を結ぶ線分の時計回りに、領域を一つずつずらした位置のガス流出面の各領域に導くように形成した。しかし、本発明は、ガス流入面の各領域に流入される燃焼排ガスGを、ガス流入面とガス流出面の中心を結ぶ線分の反時計回りに、領域を一つずつずらした位置のガス流出面の各領域に導くように形成しても、技術的効果は同じである。
【0042】
さらに、本発明のガス流路は、複数の二等辺三角形の板材の辺同士を接合させて形成され、前記板材の接合部が凹状または凸状となる接合部を隣り合わせ、あるいは凹部と凸部がガス流れ方向に対して順次交互となるように形成されてなるものでもよい。
【符号の説明】
【0043】
1 ガス混合器
3 直方体空間
4 矩形流路壁
6 ガス流路仕切板
6a〜6d 仕切板要素
7 ガス流入面の中心
8 ガス流出面の中心
9a、9b 直交二直線
10a、10b 直交二直線
A〜D 三角形板
〜L 線分
、P
図1
図2
図3
図4
図5