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特開2016-215296スナップリングを組み付ける製造方法および製造装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2016-215296(P2016-215296A)
(43)【公開日】2016年12月22日
(54)【発明の名称】スナップリングを組み付ける製造方法および製造装置
(51)【国際特許分類】
   B23P 19/02 20060101AFI20161125BHJP
   F16B 21/18 20060101ALI20161125BHJP
【FI】
   B23P19/02 D
   F16B21/18 F
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2015-100870(P2015-100870)
(22)【出願日】2015年5月18日
(71)【出願人】
【識別番号】000001247
【氏名又は名称】株式会社ジェイテクト
(74)【代理人】
【識別番号】100089082
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 脩
(74)【代理人】
【識別番号】100130188
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 喜一
(74)【代理人】
【識別番号】100190333
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 群司
(72)【発明者】
【氏名】桑畑 雄一
【テーマコード(参考)】
3C030
3J037
【Fターム(参考)】
3C030BB17
3C030BC19
3J037AA08
3J037BA01
3J037BB08
3J037JA13
(57)【要約】
【課題】半径方向に対して傾斜した切れ目を有するスナップリングの位相を判定して、スナップリングの組付けを簡単且つ確実に行うことができるスナップリングを組み付ける製造方法および製造装置を提供する。
【解決手段】スナップリングを組み付ける製造方法は、スナップリング15の両端のうち外径側に鋭角角部を有する外側鋭角端部15aの位相を判定する位相判定工程S10と、スナップリング15を回転させて突起部(可動ピン38)に対する外側鋭角端部15aの位相を合わせる位相合わせ工程S20と、突起部にてスナップリング15の外側鋭角端部15a側を押圧することでダブルローラ10の内周溝(スナップリング溝)14にスナップリング15を嵌合させる嵌合工程S30と、を備える。
【選択図】図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
円環状に形成されて半径方向に対して傾斜した切れ目を有するスナップリングをテーパ状の挿入孔に配置して、前記スナップリングを突起部で軸線方向に押圧することにより、前記スナップリングの両端を重ね合わせるようにして縮径させた後、筒状部材の内周溝に前記スナップリングを弾性復帰させて組み付ける製造方法において、
前記スナップリングの両端のうち外径側に鋭角角部を有する外側鋭角端部の位相を判定する位相判定工程と、
前記スナップリングを回転させて前記突起部に対する前記外側鋭角端部の位相を合わせる位相合わせ工程と、
前記突起部にて前記スナップリングの前記外側鋭角端部側を押圧することで前記筒状部材の内周溝に前記スナップリングを嵌合させる嵌合工程と、
を備えるスナップリングを組み付ける製造方法。
【請求項2】
前記位相判定工程は、前記スナップリングの表裏を判別し、その表裏に応じた前記切れ目の位置で前記外側鋭角端部の位相を判定する、請求項1のスナップリングを組み付ける製造方法。
【請求項3】
前記位相合わせ工程は、前記位相判定工程で判別された前記スナップリングの表裏に応じて所定の方向へ前記スナップリングを回転させる、請求項2のスナップリングを組み付ける製造方法。
【請求項4】
前記嵌合工程は、前記スナップリングの外側鋭角端部を前記筒状部材の内周溝に嵌合した後に他の部分を嵌合する、請求項1〜3の何れか一項のスナップリングを組み付ける製造方法。
【請求項5】
前記嵌合工程は、前記スナップリングの外側鋭角端部を前記筒状部材の内周溝に嵌合した後に、前記外側鋭角端部を押圧する前記突起部を所定位置まで後退させて、前記スナップリングの他の部分を他の突起部で押圧し嵌合する、請求項1〜4の何れか一項のスナップリングを組み付ける製造方法。
【請求項6】
前記嵌合工程は、前記スナップリングの外側鋭角端部を前記筒状部材の内周溝に嵌合した後に、前記突起部と前記スナップリングを相対回転させることで前記スナップリングの他の部分を押圧し嵌合する、請求項1〜4の何れか一項のスナップリングを組み付ける製造方法。
【請求項7】
円環状に形成されて半径方向に対して傾斜した切れ目を有するスナップリングをテーパ状の挿入孔に配置して、前記スナップリングを突起部で軸線方向に押圧することにより、前記スナップリングの両端を重ね合わせるようにして縮径させた後、筒状部材の内周溝に前記スナップリングを拡径させて組み付ける製造装置において、
回転する前記スナップリングに対して前記切れ目に入り込むことにより前記外側鋭角端部の位相を判定する位相判定治具と、
前記スナップリングを回転させて前記突起部に対する前記外側鋭角端部の位相を合わせる位相合わせ装置と、
前記スナップリングの入り口側から出口側に向かって縮径するテーパ状の挿入孔を有する第1治具と、
前記第1治具の前記挿入孔に対して軸線方向に進退移動可能に配置され、前記挿入孔への挿入方向先端に前記突起部を有する第2治具と、
を備えるスナップリングを組み付ける製造装置。
【請求項8】
前記位相判定治具は、表向きに載置されて回転する前記スナップリングに対して前記切れ目に入り込むことにより前記外側鋭角端部の位相を判定する第1位相判定治具と、裏向きに載置されて回転する前記スナップリングに対して前記切れ目に入り込むことにより前記外側鋭角端部の位相を判定する第2位相判定治具と、を有する、請求項7のスナップリングを組み付ける製造装置。
【請求項9】
前記第2治具は、円柱状の本体部と、前記本体部の先端面から軸線方向に突出して前記突起部を構成する固定ピン及び可動ピンと、を備える、請求項7又は8のスナップリングを組み付ける製造装置。
【請求項10】
前記可動ピンは、前記本体部に押圧方向へ進退移動可能に支持され、ばね部材により押圧方向へ常時付勢されている、請求項9のスナップリングを組み付ける製造装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の駆動力伝達装置などに用いられるスナップリングを組み付ける製造方法および製造装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両に搭載されるドライブシャフトのディファレンシャル側のジョイント部には、強制力を低減するために、例えば図1に示すようなダブルローラ10が採用されている。このダブルローラ10は、同軸状に配置された内輪11および外輪12と、内輪11と外輪12の間に介装された複数のニードル13と、筒状部材としての外輪12の内周溝(スナップリング溝)14に嵌合されてニードル13の脱落を防止するスナップリング15と、から構成されている。このダブルローラ10は、通常、作業者の手作業により組み付けられている。
【0003】
ここで、C字形状に形成されるスナップリング15は、切れ目からニードル13が脱落しないようにするため、切れ目が半径方向に対して傾斜した状態に形成されている。このスナップリング15をスナップリング溝14に組み付ける場合には、作業者がスナップリング15の外径を弾性変形により縮径させて、スナップリング溝14の内側所定位置に挿入した後、スナップリング15への押圧力を解除する。これにより、スナップリングが弾性復帰により拡径してスナップリング溝14に嵌合し組み付けられる。
【0004】
特許文献1には、治具の挿入孔の内周面によりスナップリングを縮径させて対象物に組み付ける場合に、スナップリングの縮径を円滑に行うことが可能なスナップリングの組付装置が開示されている。このスナップリングの組付装置は、テーパが付与された挿入孔を有する治具と、この治具に対して挿入孔の軸線方向に相対移動可能に配置された挿入部材とを備える。そして、挿入孔の出口側に組付対象物を配置するとともに、半径方向に対して傾斜した切れ目を有するスナップリングを挿入孔に挿入し、治具と挿入部材とを相対移動させ、スナップリングを挿入孔の内周面により縮径した後、スナップリングの弾性により拡径させて対象物に組み付ける。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平11−19831号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところが、特許文献1に記載のスナップリングの組付装置では、スナップリングが半径方向に対して傾斜した切れ目を有する場合、スナップリングの両端のうち外径側に鋭角角部を有する外側鋭角端部から内周溝に装着させる必要があるため、スナップリングの表裏のうちいずれか一方しか組み付けることができない。また、スナップリングと挿入部材の位相が合わないと組み付けることができない。よって、作業者が治具の挿入孔にスナップリングをセットする際に、スナップリングの表裏および位相を合わせる必要がある。特に、位相については、わずかなズレがあった場合でも組み付け不能となるため、作業者への負担が大きい。
【0007】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、半径方向に対して傾斜した切れ目を有するスナップリングの位相を判定して、スナップリングの組付けを簡単且つ確実に行うことができるスナップリングを組み付ける製造方法および製造装置を提供することを解決すべき課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
(スナップリングを組み付ける製造方法)
スナップリングを組み付ける製造方法は、円環状に形成されて半径方向に対して傾斜した切れ目を有するスナップリングをテーパ状の挿入孔に配置して、前記スナップリングを突起部で軸線方向に押圧することにより、前記スナップリングの両端を重ね合わせるようにして縮径させた後、筒状部材の内周溝に前記スナップリングを弾性復帰させて組み付ける製造方法において、前記スナップリングの両端のうち外径側に鋭角角部を有する外側鋭角端部の位相を判定する位相判定工程と、前記スナップリングを回転させて前記突起部に対する前記外側鋭角端部の位相を合わせる位相合わせ工程と、前記突起部にて前記スナップリングの前記外側鋭角端部側を押圧することで前記筒状部材の内周溝に前記スナップリングを嵌合させる嵌合工程と、を備える。これにより、位相判定工程および位相合わせ工程を行った後に、嵌合工程を行うため、スナップリングの組み付けを簡単且つ確実に行うことができる。
【0009】
(スナップリングを組み付ける製造装置)
スナップリングを組み付ける製造装置は、円環状に形成されて半径方向に対して傾斜した切れ目を有するスナップリングをテーパ状の挿入孔に配置して、前記スナップリングを突起部で軸線方向に押圧することにより、前記スナップリングの両端を重ね合わせるようにして縮径させた後、筒状部材の内周溝に前記スナップリングを拡径させて組み付ける製造装置において、回転する前記スナップリングに対して前記切れ目に入り込むことにより前記外側鋭角端部の位相を判定する位相判定治具と、前記スナップリングを回転させて前記突起部に対する前記外側鋭角端部の位相を合わせる位相合わせ装置と、前記スナップリングの入り口側から出口側に向かって縮径するテーパ状の挿入孔を有する第1治具と、前記第1治具の前記挿入孔に対して軸線方向に進退移動可能に配置され、前記挿入孔への挿入方向先端に前記突起部を有する第2治具と、を備える。これにより、上述したスナップリングを組み付ける製造方法における効果と同様の効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の実施形態においてスナップリングを組み付ける対象物であるローラ部材の断面図である。
図2A】本発明の実施形態のスナップリングを組み付ける製造方法において用いられるスナップリングの表側を示す平面図である。
図2B】本発明の実施形態のスナップリングを組み付ける製造方法において用いられるスナップリングの裏側を示す平面図である。
図3】本発明の実施形態に係るスナップリングを組み付ける製造装置のスナップリングの表裏判別および位相判定工程と位相合わせ工程とを行う部位の概略構成図である。
図4】本発明の実施形態に係るスナップリングを組み付ける製造装置の第1及び第2位相判定治具を示す図であって図3のA矢視図である。
図5A】本発明の実施形態に係るスナップリングを組み付ける製造装置においてスナップリングが表向きに配置されている場合の、突起部と外側鋭角端部の位相を合わせる動作を示す説明図である。
図5B】本発明の実施形態に係るスナップリングを組み付ける製造装置においてスナップリングが裏向きに配置されている場合の、突起部と外側鋭角端部の位相を合わせる動作を示す説明図である。
図6】本発明の実施形態に係るスナップリングを組み付ける製造装置の第1治具および第2治具を一部断面で示す説明図である。
図7】本発明の実施形態に係るスナップリングを組み付ける製造装置において第2治具の挿入孔に配置されたスナップリングを押圧する固定ピンおよび可動ピンの位置を示す説明図である。
図8】本発明の実施形態に係るスナップリングを組み付ける製造方法のフローチャートである。
図9】本発明の実施形態に係るスナップリングを組み付ける製造方法において嵌合工程を開始する直前の状態を示す説明図である。
図10】本発明の実施形態に係るスナップリングを組み付ける製造方法において嵌合工程の途中の状態を示す説明図である。
図11】本発明の実施形態に係るスナップリングを組み付ける製造方法において嵌合工程の途中の状態を示す説明図である。
図12】本発明の実施形態に係るスナップリングを組み付ける製造方法において嵌合工程の終了時の状態を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明に係るスナップリングを組み付ける製造方法および製造装置の実施形態について、図面を参照して具体的に説明する。
【0012】
〔実施形態1〕
本実施形態のスナップリングを組み付ける製造方法は、前述した図1に示すダブルローラ10の外輪(筒状部材)12の内周溝(スナップリング溝)14に対して、図2Aおよび図2Bに示すスナップリング15を組み付ける方法である。スナップリング15は、図2Aおよび図2Bに示すように、円環状に形成されて半径方向に対して傾斜(約30度)した切れ目を有する。そのため、このスナップリング15は、外径側に鋭角角部を有する外側鋭角端部15aと、内径側に鋭角角部を有する内側鋭角端部15bとを有する。なお、図2Aはスナップリングの表側を示し、図2Bはスナップリングの裏側を示すこととする。
【0013】
次に、本実施形態のスナップリングを組み付ける製造方法において用いる製造装置について、図3図7を参照して説明する。本実施形態の製造装置は、図3図5Aおよび図5Bに示すように、回転テーブル22や制御部(図示せず)等からなる位相合わせ装置と、第1及び第2位相判定治具23A,23Bと、第1治具31と、第2治具35とを備えている。
【0014】
位相合わせ装置は、図3に示すように、基台21と、上面にスナップリング15が載置される載置面を有し基台21上に回転可能に設けられた回転テーブル22と、回転テーブル22の回転を制御する制御部(図示せず)とを備える。そして、回転テーブル22の上方には、長尺棒状に形成された第1及び第2位相判定治具23A,23Bが、上下方向に昇降可能な基部24に対して上下方向(軸方向)に相対移動可能に取り付けられている。なお、基部24の昇降は、前記制御部により制御される。第1及び第2位相判定治具23A,23Bは、図3に示すように、回転テーブル22上に載置されて回転するスナップリング15に対して、下方先端が上方から当接する所定位置に設けられている。この第1及び第2位相判定治具23A,23Bは、ばね部材25(図3)により常時下方に付勢されている。
【0015】
第1及び第2位相判定治具23A,23Bの下方先端には、スナップリング15の切れ目に挿入可能な薄板状の挿入部が設けられている。第1位相判定治具23Aは、スナップリング15が回転テーブル22上に表向きに載置されている場合に、挿入部が切れ目に入り込むようにスナップリング15の半径方向に対する傾斜角度が互いに同じになるように配置されている。これにより、第1位相判定治具23Aは、挿入部が切れ目に入り込むことによって、スナップリング15が表向きに載置されていることを判別するのと同時に、スナップリング15の外側鋭角端部15aの位相を判定する。
【0016】
また、第2位相判定治具23Bは、スナップリング15が回転テーブル22上に裏向きに載置されている場合に、挿入部が切れ目に入り込むようにスナップリング15の半径方向に対する傾斜角度が互いに同じになるように配置されている。これにより、第2位相判定治具23Bは、挿入部が切れ目に入り込むことによって、スナップリング15が裏向きに載置されていることを判別するのと同時に、スナップリング15の外側鋭角端部15aの位相を判定する。
【0017】
なお、第1及び第2位相判定治具23A,23Bの下方先端の挿入部がスナップリング15の切れ目に挿入されたときには、その変位をフォトマイクロセンサ26が検知して、その検知信号を制御部に送る。この検知信号を受けた制御部は、回転テーブル22を一旦停止させて、第1及び第2位相判定治具23A,23Bの挿入部をスナップリング15の切れ目から外した後、回転テーブル22を所定方向に所定角度だけ回転させて、突起部(可動ピン38)に対する外側鋭角端部15aの位相合わせを行う。
【0018】
即ち、例えばスナップリング15が表向きに載置されている場合には、図5Aに示すように、回転テーブル22を矢印X方向(反時計回り方向)に所定角度だけ回転させる。逆に、スナップリング15が裏向きに載置されている場合には、図5Bに示すように、回転テーブル22を矢印Y方向(時計回り方向)に所定角度だけ回転させる。
【0019】
第1治具31は、図6に示すように、円筒状に形成され、スナップリング15の入り口側(図6の上側)から出口側(図6の下側)に向かって徐々に縮径するテーパ状の挿入孔32を有する。第1治具31の出口側には、スナップリング15の組み付け対象物であるダブルローラ10を収容する収容部33が設けられている。この第1治具31は、駆動部(図示せず)により上下方向に昇降可能である。
【0020】
第2治具35は、図6に示すように、円柱状に形成され、駆動部(図示せず)により第1治具31の挿入孔32に対して軸線方向に進退移動可能に配置されている。この第2治具35は、円柱状の本体部36と、本体部36の挿入方向先端面から軸線方向に突出してスナップリング15を押圧する突起部を構成する2本の固定ピン37および1本の可動ピン38と、を備える。可動ピン38は、本体部36に対して押圧方向へ進退移動可能に支持され、ばね部材39により押圧方向へ常時付勢されている。
【0021】
図7に示すように、可動ピン38は、スナップリング15の外側鋭角端部15aを押圧する位置に配置され、2本の固定ピン37は、可動ピン38からほぼ等角度間隔離れた位置に配置されている。これにより、第2治具35は、第1治具31の挿入孔32に配置されたスナップリング15を、合計3本の固定ピン37および可動ピン38ピンで押圧するように構成されている。なお、可動ピン38の下方先端は、固定ピン37の下方先端よりも所定量下方に突出している。これにより、スナップリング15の外側鋭角端部15aが他の部分よりも先行して可動ピン38で押圧されることにより、外側鋭角端部15aと内側鋭角端部15bが軸線方向に重なり合って互い違いとなる状態で縮径される。
【0022】
次に、上述のスナップリング15を組み付ける製造装置により、前述した図1に示すダブルローラ10の外輪12の内周溝(スナップリング溝)14に対して、図2Aおよび図2Bに示すスナップリング15を組み付ける製造方法について説明する。本実施形態の製造方法は、図8に示すフローチャートのように、位相判定工程S10と、位相合わせ工程S20と、嵌合工程S30とを順に行うものである。
【0023】
位相判定工程S10では、回転テーブル22上の所定位置に1個のスナップリング15を載置する。このとき、スナップリング15の表裏および外側鋭角端部15a(切れ目)の位相は問われない。続いて、制御部の作動により基部24を下降させて、第1及び第2位相判定治具23A,23Bの下方先端の挿入部が、回転テーブル22上の所定位置に載置されたスナップリング15に接触した状態にする。
【0024】
この状態で、制御部により回転テーブル22を1方向(どちらの方向でもよい)に回転させる。これにより、例えばスナップリング15が回転テーブル22上に表向きに載置されている場合には、回転テーブル22上でスナップリング15が1回転するまでに第1位相判定治具23Aの先端の挿入部がスナップリング15の切れ目に入り込む。このとき、第1位相判定治具23Aの変位をフォトマイクロセンサ26が検知して検知信号を制御部に送り、この検知信号を受けた制御部により回転テーブル22が回転を停止する。これにより、第1位相判定治具23Aは、挿入部が切れ目に入り込むことによって、スナップリング15が表向きに載置されていることを判別するのと同時に、スナップリング15の外側鋭角端部15aの位相を判定する。
【0025】
また、スナップリング15が回転テーブル22上に裏向きに載置されている場合には、回転テーブル22上でスナップリング15が1回転するまでに第2位相判定治具23Bの先端の挿入部がスナップリング15の切れ目に入り込む。このとき、第2位相判定治具23Bの変位をフォトマイクロセンサ26が検知して検知信号を制御部に送り、この検知信号を受けた制御部により回転テーブル22が回転を停止する。これにより、第2位相判定治具23Bは、挿入部が切れ目に入り込むことによって、スナップリング15が裏向きに載置されていることを判別するのと同時に、スナップリング15の外側鋭角端部15aの位相を判定する。
【0026】
次の位相合わせ工程S20では、第1及び第2位相判定治具23A,23Bの挿入部をスナップリング15の切れ目から外した後、制御部により回転テーブル22を所定方向に所定角度だけ回転させて、スナップリング15が第1治具31の挿入孔32に投入配置された際に可動ピン38(突起部)に対する外側鋭角端部15aの位相合わせを行う。
【0027】
即ち、例えばスナップリング15が回転テーブル22上に表向きに載置されている場合には、図5Aに示すように、回転テーブル22を矢印X方向(反時計回り方向)に所定角度だけ回転させる。これにより、スナップリング15を外側鋭角端部15aが可動ピン38と同じ位相となる位置に回転移動させる。逆に、スナップリング15が回転テーブル22上に裏向きに載置されている場合には、図5Bに示すように、回転テーブル22を矢印Y方向(時計回り方向)に所定角度だけ回転させる。これにより、スナップリング15を外側鋭角端部15aが可動ピン38と同じ位相となる位置に回転移動させる。
【0028】
なお、外側鋭角端部15aの位相は、可動ピン38が外側鋭角端部15aの内側の鈍角角部よりも先端側に位置しない範囲で、可動ピン38が鈍角角部に接近した位置が好ましい。このようにすれば、後述の嵌合工程S30において、可動ピン38と内側鋭角端部15bとの干渉を回避しつつ、可動ピン38で外側鋭角端部15aをより確実に押圧することができる。
【0029】
次の嵌合工程S30では、図9に示すように、第1治具31の下方にある作業台40上の所定位置に、スナップリング15の組み付け対象物であるダブルローラ10を配置する。そして、位相合わせ工程S20を終了後、回転テーブル22上で位相合わせされたスナップリング15を、把持具(図示せず)等で把持して平行移動させて第1治具31の挿入孔32に挿入配置する。このとき、スナップリング15の外側鋭角端部15aの位相と第2治具35の可動ピン38の位相が合わされた状態を維持する。
【0030】
続いて、図10に示すように、駆動部を作動させて第1及び第2治具31,35を下降させる。これにより、第1治具31の下方出口側に設けられた収容部33に組み付け対象物であるダブルローラ10が収容された状態で第1治具31が停止し、その後、第2治具35は更に下降する。これにより、第2治具35の3本の固定ピン37および可動ピン38がスナップリング15を下方に押圧する。このとき、スナップリング15の外側鋭角端部15a側を押圧する可動ピン38が、他の部分を押圧する固定ピン37よりも所定量下方に突出しているので、外側鋭角端部15aが他の部分よりも先行して可動ピン38で押圧される。これにより、スナップリング15は、外側鋭角端部15aと内側鋭角端部15bが軸線方向において互い違いとなる状態で縮径される。
【0031】
そして、図11に示すように、ダブルローラ10の内周溝(スナップリング溝)14に先に到達した外側鋭角端部15aが、弾性復帰により拡径して他の部分よりも先にスナップリング溝14に嵌合する。その後、図12に示すように、スナップリング溝14に到達した固定ピン37で押圧される他の部分が、弾性復帰により拡径してスナップリング溝14に嵌合し、スナップリング15全体がスナップリング溝14に嵌合して組み付けを完了する。なお、スナップリング15全体がスナップリング溝14に嵌合する直前には、固定ピン37よりも下方に突出している可動ピン38は、ばね部材39の付勢力に抗して所定位置に止まり、他の部分のスナップリング溝14への嵌合を待つようにしている。
【0032】
その後、駆動部を作動させて第1及び第2治具31,35を上昇させて初期位置に戻した後、スナップリング15の組み付けを完了したダブルローラ10を取り出して、スナップリング15の組み付け作業を終了する。
【0033】
以上のように、本実施形態のスナップリングを組み付ける製造方法によれば、位相判定工程S10および位相合わせ工程S20を行った後に、嵌合工程S30を行うようにしているため、スナップリング15の組み付けを簡単且つ確実に行うことができる。
【0034】
また、位相判定工程S10は、スナップリング15の表裏を判別し、その表裏に応じた切れ目の位置で外側鋭角端部15aの位相を判定するようにしている。これにより、位相判定工程S10において、スナップリング15の表裏の判別と位相の判定とを同時に行うため、スナップリング15が表裏どちらの場合でも組み付けを確実に行うことができる。
【0035】
また、位相合わせ工程S20は、位相判定工程S10で判別されたスナップリング15の表裏に応じて所定の方向へスナップリング15を回転させるようにしている。これにより、スナップリング15が表裏どちらの場合でも組み付けを確実に行うことができる。
【0036】
また、嵌合工程S30は、スナップリング15の外側鋭角端部15aをダブルローラ10のスナップリング溝14に嵌合した後に他の部分を嵌合するようにしている。これにより、スナップリング15の外側鋭角端部15aから先に嵌合するため、スナップリング15を確実に組み付けることができる。
【0037】
そして、本実施形態のスナップリングを組み付ける製造装置によれば、上記のスナップリング15を組み付ける製造方法における効果と同様の効果を奏する。また、位相判定治具は、表向きに載置されて回転するスナップリング15に対して切れ目に入り込むことにより外側鋭角端部15aの位相を判定する第1位相判定治具23Aと、裏向きに載置されて回転するスナップリング15に対して切れ目に入り込むことにより外側鋭角端部15aの位相を判定する第2位相判定治具23Bと、を有する。これにより、第1及び第2位相判定治具23A,23Bでスナップリング15の表裏も同時に判別することができる。
【0038】
さらに、第2治具35は、円柱状の本体部36と、本体部36の先端面から軸線方向に突出して突起部を構成する固定ピン37及び可動ピン38とを備える。これにより、スナップリング15の外側鋭角端部15aを確実に押圧できる第2治具35を簡単な構造で実現することができる。
【0039】
また、可動ピン38は、本体部36に押圧方向へ進退移動可能に支持され、ばね部材39により押圧方向へ常時付勢されている。これにより、スナップリング15の外側鋭角端部15aを可動ピン38で確実に押圧することができる。
【0040】
〔他の実施形態〕
本発明は、上記の実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変更することが可能である。
【0041】
例えば、上記の実施形態では、嵌合工程S30は、スナップリング15の外側鋭角端部15aをスナップリング溝14に嵌合した後に、他の部分を嵌合するようにしていたが、外側鋭角端部15aをスナップリング溝14に嵌合した後に、外側鋭角端部15aを押圧する可動ピン38を固定ピン37と同じ位置まで後退させて、スナップリング15の他の部分を固定ピン37で押圧し嵌合するようにしてもよい。このようにすれば、スナップリング15を確実に組み付けることができる。
【0042】
また、嵌合工程S30は、スナップリング15の外側鋭角端部15aをスナップリング溝14に嵌合した後に、可動ピン38とスナップリング15を相対回転させることでスナップリング15の他の部分を可動ピン38で押圧し嵌合するようにしてもよい。このようにすれば、スナップリング15の外側鋭角端部15aを押圧する可動ピン38だけでスナップリング15全体を押圧して組み付けることができる。
【符号の説明】
【0043】
10:ダブルローラ、 14:内周溝(スナップリング溝)、 15:スナップリング、 15a:外側鋭角端部、 15b:内側鋭角端部、 22:回転テーブル、 23A:第1位相判定治具、 23B:第2位相判定治具、 25:ばね部材、 26:フォトマイクロセンサ、 31:第1治具、 32:挿入孔、 35:第2治具、 37:固定ピン、 38:可動ピン、 39:ばね部材。
図1
図2A
図2B
図3
図4
図5A
図5B
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12