【解決手段】軸箱4と側バリ12の間には、一対の軸バネ5が配置されていること、側バリ12には、軸バネ5の一端を保持する軸バネ座14aが形成されていること、側バリ12の軸バネ座14aの対応する位置には、外側に突出した円錐補強突出部132bが形成されていること、を特徴とする。
平行に配置された一対の側バリと、前記側バリの中央を接続する横バリとを有する台車枠と、車輪と車軸とからなる輪軸と、前記輪軸を回転可能に保持する軸箱を備えた軸箱支持装置とを有する鉄道車両用台車において、
前記軸箱と前記側バリの間には、一対の軸バネが配置されていること、
前記側バリには、前記軸バネの一端を保持する軸バネ座が形成されていること、
前記側バリの前記軸バネ座に対応する位置には、外側に突出した補強突出部が形成されていること、
を特徴とする鉄道車両用台車。
【背景技術】
【0002】
鉄道車両用台車100は、
図18に示すように、台車枠101と、車輪と車軸からなる輪軸2と、輪軸2を回転可能に保持する軸箱4を備えた軸箱支持装置3とから構成されている。
台車枠101は、レール8方向に沿って平行に配置された一対の側バリ102と、枕木方向に沿って備えられ、側バリ102の中央を接続する横バリ103から構成されており、略H型に形成されている。側バリ102から突き出した横バリ103には、空気バネ受け6が固定され、その上に空気バネ7が取り付けられている。輪軸2は、その両端部を保持する軸箱4に回転可能に保持されている。軸箱4を備えた軸箱支持装置3は、台車枠101に保持されている。
軸箱支持装置3は、台車枠101に対して輪軸2を適切な位置に保つ。軸箱支持装置3には、軸箱守式、軸はり式、円筒案内式、円錐積層ゴム式等、様々な方式がある。
図18では、円筒案内式の軸箱支持装置を示している。軸箱4と側バリ102との間には軸バネ5が配置されており、軸箱支持装置3は、軸箱4と軸バネ5を有する。軸バネ5は、レール8から伝わる振動を和らげる。軸箱支持装置の方式は、主に軸バネの種類によって異なる。側バリ102には、軸バネ5の一端面を保持する軸バネ座102aが形成されている。
【0003】
一般に、側バリ102は、板厚8〜9mmの鋼板を熱間または冷間プレスで加工することにより製造される。側バリのプレス品は、プレス自体の形状をシンプルにし、プレス型のコストや製作の容易化に配慮した形が主流である。側バリのプレス品には、モナカタイプとハットタイプがある。モナカタイプは、側バリを左右の部品に分割したものを合わせて構成されている。ハットタイプは、特許文献1に示すように、側バリを上下の部品に分割したものを合わせて構成されている。なお、特許文献1には、軸はり式軸箱支持装置を備える鉄道車両用台車の例が開示されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来の鉄道車両用台車100には、次のような問題があった。
すなわち、従来の鉄道車両用台車100を構成する側バリ102のうち、レール8から振動が伝わり、強い振動力を受ける軸バネ座102aは、強度を強く保つ必要がある。軸バネ座102aの強度を保つため、側バリ102の軸バネ座102aに対し、内部と外部に補強リブを溶接していた。また、補強リブを溶接する際、耐久性を保証するために高い溶接精度を要していた。さらに、軸バネ座102aには、補強のため、鍛造された部材を使用する必要があった。
しかし、補強のため内部と外部に補強リブを設けているため、全体重量が重くなるという問題があった。補強リブの溶接歪や修正に手間がかかり、また、わざわざ鍛造部材を用意しなければならず、製作費用が増加するという問題があった。
特許文献1に示す台車では、軸はり式軸箱支持装置しか使用できず、円錐積層ゴム式や円筒案内式等の軸箱支持装置には使用できなかった。
【0006】
本発明は、上記問題点を解決するためのものであり、全体として重量を低減させるとともに、コスト低減を図る鉄道車両用台車を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明の鉄道車両用台車は、次のような構成を有している。
(1)平行に配置された一対の側バリと、前記側バリの中央を接続する横バリとを有する台車枠と、車輪と車軸とからなる輪軸と、前記輪軸を回転可能に保持する軸箱を備えた軸箱支持装置とを有する鉄道車両用台車において、前記軸箱と前記側バリの間には、一対の軸バネが配置されていること、前記側バリには、前記軸バネの一端を保持する軸バネ座が形成されていること、前記側バリの前記軸バネ座に対応する位置には、外側に突出した補強突出部が形成されていることを特徴とする。
【0008】
(2)(1)に記載の鉄道車両用台車において、前記補強突出部は、円錐台形状であること、を特徴とする。
(3)(1)に記載の鉄道車両用台車において、前記補強突出部は、円筒形状であること、を特徴とする。
【0009】
(4)(1)乃至(3)のいずれか一つに記載の鉄道車両用台車において、前記側バリは、前記横バリが固定される中央部と、前記中央部よりも高さ方向に狭い幅であって、前記中央部から前後方向に張り出す前方部及び後方部とから形成されていること、前記前方部の前方部上面及び前記後方部の後方部上面は、前記中央部の中央部上面よりも上方に位置すること、を特徴とする。
(5)(4)に記載の鉄道車両用台車において、前記前方部上面及び前記後方部上面と、前記中央部上面の段差は、20mm以上70mm以下であること、
を特徴とする。
(6)(4)または(5)に記載の鉄道車両用台車において、前記前方部上面の端部及び前記後方部上面の端部は、前記前方部上面の頂部及び前記後方部上面の頂部よりも下方に位置すること、を特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明の鉄道車両用台車の作用・効果を説明する。
(1)平行に配置された一対の側バリと、前記側バリの中央を接続する横バリとを有する台車枠と、車輪と車軸とからなる輪軸と、前記輪軸を回転可能に保持する軸箱を備えた軸箱支持装置とを有する鉄道車両用台車において、前記軸箱と前記側バリの間には、一対の軸バネが配置されていること、前記側バリには、前記軸バネの一端を保持する軸バネ座が形成されていること、前記側バリの前記軸バネ座に対応する位置には、外側に突出した補強突出部が形成されていることを特徴とするので、軸バネと当接して荷重を受ける部分が拡大されているため、応力集中を防止し、応力を分散させることができる。そのため、内部・外部に補強リブを設ける必要がなく、全体として重量を低減させ、補強リブの溶接歪や修正に手間がかからず、コスト低減を図ることができる。
【0011】
(2)(1)に記載の鉄道車両用台車において、前記補強突出部は、円錐台形状であること、を特徴とするので、補強突出部のみで荷重を受けることができ、余分な部分を大きくすることがないため、全体として重量を低減させることができる。
【0012】
(3)(1)に記載の鉄道車両用台車において、前記補強突出部は、円筒形状であること、を特徴とするので、下部部材を溶接するときの上部部材の変形がほとんどなく、溶接歪を最小限に抑えることができるため、溶接歪や修正の手間を省くことができる。
【0013】
(4)(1)乃至(3)のいずれか一つに記載の鉄道車両用台車において、前記側バリは、前記横バリが固定される中央部と、前記中央部よりも高さ方向に狭い幅であって、前記中央部から前後方向に張り出す前方部及び後方部とから形成されていること、前記前方部の前方部上面及び前記後方部の後方部上面は、前記中央部の中央部上面よりも上方に位置すること、を特徴とするので、断面の面積が大きくなるため、断面二次モーメントの値を上げることができ、断面係数を上げることができる。断面係数を上げることにより、側バリの耐久性を向上させることができ、鉄道車両用台車として数十年使用することができる。
【0014】
(5)(4)に記載の鉄道車両用台車において、前記前方部上面及び前記後方部上面と、前記中央部上面の段差は、20mm以上70mm以下であること、を特徴とするので、より効果的に断面係数を上げることができる。20mm以上の段差を設けないと、必要な断面係数を得られず、70mmを超えるとプレスすることが困難となる。
【0015】
(6)(4)または(5)に記載の鉄道車両用台車において、前記前方部上面の端部及び前記後方部上面の端部は、前記前方部上面の頂部及び前記後方部上面の頂部よりも下方に位置すること、を特徴とするので、端部に向かって細く形成することにより、強度の必要な箇所は太くし、比較的強度の不必要な箇所は細くすることができるため、重量の低減を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】第1実施形態に係る鉄道車両用台車の正面図である。
【
図2】第1実施形態に係る鉄道車両用台車の台車枠の斜視図である。
【
図3】第1実施形態に係る鉄道車両用台車の台車枠の側バリの正面図である。
【
図7】第2実施形態に係る鉄道車両用台車の台車枠の側バリの正面図である。
【
図11】第3実施形態に係る鉄道車両用台車の台車枠の側バリの一部拡大図である。
【
図12】第4実施形態に係る鉄道車両用台車の台車枠の側バリの一部拡大図である。
【
図13】第5実施形態に係る鉄道車両用台車の台車枠の側バリの一部拡大図である。
【
図14】第6実施形態に係る鉄道車両用台車の台車枠の側バリの一部拡大図である。
【
図15】第7実施形態に係る鉄道車両用台車の台車枠の側バリの一部拡大図である。
【
図16】第8実施形態に係る鉄道車両用台車の台車枠の側バリの一部拡大図である。
【
図17】第9実施形態に係る鉄道車両用台車の台車枠の側バリの一部拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明の鉄道車両用台車1(以下、台車と記載)について、図面を参照しながら以下に詳細に説明する。
図1から
図6は、第1実施形態に係る台車1を示し、
図7から
図10は、第2実施形態、
図11から
図17は、各々第3実施形態から第9実施形態に係る台車1を示している。
【0018】
<第1実施形態>
図1は、第1実施形態に係る台車1の正面図である。
図2は、第1実施形態に係る台車1の台車枠10の斜視図である。
図3は、台車枠10の側バリ12の正面図である。
図4は、
図3のX−X端面図であり、
図5は、
図3のY−Y端面図であり、
図6は、
図3のZ−Z端面図である。
なお、第1実施形態に係る台車1の台車枠10を除く主な構成は、
図18に示す従来の台車100の構成と同様である。そのため、
図1では、従来の台車100と一部同じ符号を付すことにより、台車枠10を除く主な構成の説明を省略する。以下の第2実施形態から第9実施形態についても、台車枠を除く主な構成は従来の台車100と同様であるため、説明を省略する。従来の台車100と異なる台車枠10について、以下に説明する。
第1実施形態の台車枠10は、
図2に示すように、平行に配置された一対の側バリ12A、12Bと、側バリ12A、12Bの中央を接続する横バリ11から構成される。なお、一対の側バリ12A、12Bは、同一のものであるため、一方の側バリ12Aを説明することにより、他方の側バリ12Bの説明を省略する。なお、記載が煩雑となるため、以下、「A」「B」の符号を省略する。以下の第2から第9実施形態でも同様に他方の側バリの説明を省略し、「A」「B」の符号を省略する。
【0019】
図2及び
図3に示すように、側バリ12は、上部部材13と下部部材14とから構成される。側バリ12の上部部材13は、横バリ11が固定される中央部131と、中央部131から前後方向に張り出す前方部132及び後方部133とから形成されている。前方部132及び後方部133は、中央部131を中心に対称に形成されている。
下部部材14には、軸バネ5の一端を保持する軸バネ座14aが4箇所形成されている。上部部材13の前方部132には、一対の円錐補強突出部132bが形成されている。円錐補強突出部132bは、円錐台形状に形成され、上部部材13の両側面に外側に突出して形成されている。円錐補強突出部132bは、軸箱4を挟んだ、下部部材14の軸バネ座14aが形成される位置に形成されている。
また、上部部材13の後方部133には、前方部132と同様に一対の円錐補強突出部133bが形成されている。円錐補強突出部133bは、上部部材13の両側面に外側に突出して形成されている。円錐補強突出部133bは、軸箱4を挟んだ、下部部材14の軸バネ座14aに対応する位置に形成されている。
【0020】
次に、側バリ12の断面形状について説明する。上部部材13の断面形状は、
図4から
図6に示すように、開口部13aを有する略コの字状に形成されている。下部部材14は、上部部材13の開口部13aを塞いで溶接接合されている。円錐補強突出部133bの断面形状は、
図4に示すように下部部材14から上方に向かってテーパ形状で形成されている。後方部133の断面形状は、
図5及び
図6に示すように、中央部131よりも上下方向(高さ方向に)に狭い幅で形成されている。なお、前方部132の断面形状は、後方部133の断面形状と同じであるため、説明を省略する。
【0021】
図3に示すように、前方部132の前方部上面132aと後方部133の後方部上面133aは、中央部131の中央部上面131aよりも上方に位置する。前方部上面132aと中央部上面131aの段差Lは、約25mmで形成されている。また、後方部上面133aと中央部上面131aの段差Mは、約25mmで形成されている。
段差L、Mの大きさは、20mm以上70mm以下であればよい。20mm以上の段差を設けないと、必要な断面係数を得られないためである。一方、段差L、Mが70mmを超えると、プレスすることが困難となる。なお、段差L、Mの大きさは、20mm以上50mm以下であれば尚よい。段差L、Mが50mmを超えると、車体とのスペースが狭くなりすぎるため問題となるためである。
【0022】
段差L、Mがあることにより、前方部132、後方部133にかけて側バリ12の断面積をより大きくすることができる。一般的に、中央部上面131aは、空気バネ7を介して車体に取り付けられる。車体の位置は、ホームの高さにより決定される。そのため、中央部上面131aの位置は、常に固定される。そこで、本出願人は、中央部上面131aの高さを変えることなく、断面係数を考慮し、比較的自由に設計できる前方部132、後方部133に着目した。前方部132、後方部133にかけて断面積を上げるために段差L、Mを設けることにより、十分な強度及び耐久性を有する台車を発明することができた。
すなわち、断面積が大きくなるため、断面二次モーメントの値を上げることができ、断面係数を上げることができる。断面係数を上げることにより、側バリ12の耐久性を向上させることができ、鉄道車両用台車として数十年使用することができる。
【0023】
図18に示す従来の側バリ102のうち、補強のため、側バリ102の内部・外部に補強リブを設けていた。また、軸バネ5が配置される軸バネ座102aには、補強のため鍛造された部材を使用していた。
円錐補強突出部132b、133bにより、下部部材14の軸バネ座14aは、従来の軸バネ座102aと比較して、軸バネ5と当接して荷重を受ける部分が拡大されている。荷重を受ける部分が拡大されているため、軸バネ座14aの応力集中を防止し、応力を分散させることができる。内部・外部補強は不要となるため、下部部材14のためにわざわざ鍛造部材を用意する必要はなく、普通の鋼板を使用することができるため、コストの低減を図ることができる。また、円錐補強突出部132b、133bが円錐台形状であることにより、その部分のみで荷重を受けることができ、余分な部分を大きくすることがないため、全体として重量を低減させることができる。
【0024】
側バリ12は、板厚8〜9mmの鋼板を熱間プレスで加工することにより製造される。このとき、一回のプレスで円錐補強突出部132b、133bを設けることができる。内部・外部に補強リブを余分に設けなくてよいため、全体として重量を低減させることができる。また、手間を要せず、コストを低減させることができる。なお、側バリ12は、冷間プレスで加工しても良い。
【0025】
以上、説明したように、本実施形態の台車1によれば、平行に配置された一対の側バリ12と、側バリ12の中央を接続する横バリ11とを有する台車枠10と、車輪と車軸とからなる輪軸2と、輪軸2を回転可能に保持する軸箱4を備えた軸箱支持装置3とを有する台車1において、軸箱4と側バリ12の間には、一対の軸バネ5が配置されていること、側バリ12には、軸バネ5の一端を保持する軸バネ座14aが形成されていること、側バリ12の軸バネ座14aに対応する位置には、外側に突出した円錐補強突出部132b、133bが形成されていることを特徴とするので、軸バネ5と当接して荷重を受ける部分が拡大されているため、応力集中を防止し、応力を分散させることができる。そのため、内部・外部に補強リブを設ける必要がなく、全体として重量を低減させ、補強リブの溶接歪や修正に手間がかからず、コスト低減を図ることができる。
【0026】
円錐補強突出部132b、133bは、円錐台形状であること、を特徴とするので、円錐補強突出部132b、133bのみで荷重を受けることができ、余分な部分を大きくすることがないため、全体として重量を低減させることができる。
【0027】
側バリ12は、横バリ11が固定される中央部131と、中央部131よりも高さ方向に狭い幅であって、中央部131から前後方向に張り出す前方部132及び後方部133とから形成されていること、前方部132・後方部133の前方部上面132a・後方部上面133aは、中央部131の中央部上面131aよりも上方に位置すること、を特徴とするので、前方部上面132a・後方部上面133aが中央部上面131aよりも上方に位置することにより、断面の面積が大きくなるため、断面二次モーメントの値を上げることができ、断面係数を上げることができる。断面係数を上げることにより、側バリの耐久性を向上させることができ、鉄道車両用台車として数十年使用することができる。なお、前方部上面132a、後方部上面133aと、中央部上面131aの段差L、Mは、20mm以上70mm以下であることが好ましい。
【0028】
<第2実施形態>
次に、本発明の台車1の第2実施形態について、
図7から
図10を用いて説明する。なお、本実施形態の側バリ22以外の構成は第1実施形態の台車枠10と共通しているため、説明を省略する。
図7は、側バリ22の正面図である。
図8は、
図7のX´−X´端面図であり、
図9は、
図7のY´−Y´端面図であり、
図10は、
図7のZ´−Z´端面図である。
【0029】
第2実施形態の側バリ22と第1実施形態の側バリ12の差異は、補強突出部の形状である。側バリ22の上部部材23に形成される補強突出部は、
図8に示すように、円筒形状をしている。
図7に示すように、前方部232に一対の円筒補強突出部232bが、後方部233に一対の円筒補強突出部233bがそれぞれ形成されている。円筒補強突出部232b、233bが円筒形状であることにより、下部部材14の溶接による上部部材13の変形がほとんどなく、溶接歪を最小限に抑えることができるため、溶接歪や修正の手間を省くことができる。
【0030】
<第3実施形態>
本発明の台車1の第3実施形態について、
図11を用いて説明する。なお、第3実施形態の側バリ32以外の構成は、第1実施形態の台車枠10と共通しているため、説明を省略する。
図11は、側バリ32の一部正面図である。側バリ32は前後対称に形成されているため、後方部の図示とその説明を省略している。同様に、以下の第4から第9実施形態について後方部の図示とその説明を省略している。
【0031】
第3実施形態の側バリ32と第1実施形態の側バリ12の差異は、前方部上面332aの形状である。
図11に示すように、前方部上面332aの頂部P1は、中央部331の中央部上面331aの位置(一点鎖線N)よりも上方に形成されている。これに加え、前方部上面332aの端部Tは、頂部P1よりも下方に形成されている。すなわち、前方部上面332aの頂部P1から、端部Tに向かって細くなるように形成されている。端部Tに向かうほど、曲げモーメントが小さくなるからである。すなわち、端部T側に荷重負担があまりかからないため、前方部332の端部Tが細く形成されても十分な強度を有するからである。端部Tに向かって細く形成することにより、強度の必要な箇所は太くし、比較的強度の不必要な箇所は細くすることができるため、重量の低減を図ることができる。前方部332には、一対の円錐補強突出部332bが形成されている。
【0032】
<第4実施形態>
本発明の台車1の第4実施形態について、
図12を用いて説明する。第4実施形態の側バリ42と第3実施形態の側バリ32の差異は、補強突出部の形状である。側バリ42は、第3実施形態の側バリ32の円錐台形状の円錐補強突出部332bを円筒形状の円筒補強突出部432bにしたものである。
【0033】
<第5実施形態>
本発明の台車1の第5実施形態について、
図13を用いて説明する。第5実施形態の側バリ52と第3実施形態の側バリ32とは、前方部上面の頂部の位置が異なる。側バリ52のうち、前方部上面532aの頂部P2は、第3実施形態の側バリ32の前方部上面332aの頂部P1と比較して、より外側に形成されている。
【0034】
<第6実施形態>
本発明の台車1の第6実施形態について、
図14を用いて説明する。第6実施形態の側バリ62のうち、中央部上面631aと前方部上面632aは、同じ高さで形成されており、段差はない。そこで、側バリ62は、断面係数を上げるため、上面側ではなく下面側に段差を形成して、断面の面積を大きくしている。すなわち、側バリ62では、中央部下面631bから端部側前方部下面632eに向かって、距離Qの中央部側前方部傾斜下面632dが形成されている。これにより、断面係数が上がり、強度が向上する。
このとき、前方部632にある一対の円錐補強突出部632bのうち、一方の円錐補強突出部632bは、端部側前方部下面632eの位置に形成され、他方の円錐補強突出部632bは、中央部側前方部傾斜下面632dの位置に形成されている。
【0035】
<第7実施形態>
本発明の台車1の第7実施形態について、
図15を用いて説明する。第7実施形態の側バリ72と第6実施形態の側バリ62の差異は、補強突出部の形状である。側バリ72は、第6実施形態の側バリ62の円錐台形状の円錐補強突出部632bを円筒形状の円筒補強突出部732bにしたものである。
【0036】
<第8実施形態>
本発明の台車1の第8実施形態について、
図16を用いて説明する。第8実施形態の側バリ82は、第6実施形態と同様に、中央部上面831aと前方部上面832aは、同じ高さで形成されており、段差はない。そこで、側バリ82は、断面係数を上げるため、上面側ではなく下面側に段差を形成して、断面積を大きくしている。すなわち、中央部下面831bから端部側前方下面832eに向かって、距離Rの中央部側前方部傾斜下面832dが形成されている。中央部側前方部傾斜下面832d(距離R)は、第6実施形態の中央部側前方部傾斜下面632d(距離Q)と比較して、短く(R<Q)、第6実施形態の中央部側前方部傾斜下面632dの方が緩やかに傾斜が形成されている。
このとき、前方部832にある一対の円錐補強突出部832bは、端部側前方部下面632eの位置に形成され、中央部側前方部傾斜下面832dの位置には形成されていない。
【0037】
<第9実施形態>
本発明の台車1の第9実施形態について、
図17を用いて説明する。第9実施形態の側バリ92と第8実施形態の側バリ82の差異は、補強突出部の形状である。側バリ92は、第8実施形態の側バリ82の円錐台形状の円錐補強突出部832bを円筒形状の円筒補強突出部932bにしたものである。
【0038】
なお、本実施形態は単なる例示にすぎず、本発明を何ら限定するものではない。したがって本発明は当然に、その要旨を逸脱しない範囲内で様々な改良、変形が可能である。
例えば、第1〜9実施形態における補強突出部は、円錐台形状か、円筒形状で形成されているが、円錐台形状の補強突出部と円筒形状の補強突出部を複合的に用いても良い。
例えば、第1〜9実施形態における軸箱支持装置は、円筒案内式を用いているが、軸はり式軸箱支持装置等を適宜用いても良い。
例えば、第1〜9実施形態における側バリは、ハットタイプを用いているが、モナカタイプを用いても良い。