特開2016-215980(P2016-215980A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2016-215980(P2016-215980A)
(43)【公開日】2016年12月22日
(54)【発明の名称】タイヤ
(51)【国際特許分類】
   B60C 11/12 20060101AFI20161125BHJP
   B60C 11/01 20060101ALI20161125BHJP
   B60C 5/00 20060101ALI20161125BHJP
【FI】
   B60C11/12 D
   B60C11/12 A
   B60C11/01 B
   B60C5/00 H
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2015-106557(P2015-106557)
(22)【出願日】2015年5月26日
(71)【出願人】
【識別番号】000005278
【氏名又は名称】株式会社ブリヂストン
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100100712
【弁理士】
【氏名又は名称】岩▲崎▼ 幸邦
(74)【代理人】
【識別番号】100101247
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 俊一
(74)【代理人】
【識別番号】100095500
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 正和
(74)【代理人】
【識別番号】100098327
【弁理士】
【氏名又は名称】高松 俊雄
(72)【発明者】
【氏名】櫻井 太郎
(57)【要約】
【課題】重心高さが高い車両に装着された場合でも効果的にショルダー偏摩耗を抑制し得るタイヤを提供する。
【解決手段】タイヤ10は、タイヤ赤道線CLを含む領域に形成されるセンター陸部15,16と、センター陸部15,16よりもタイヤ幅方向外側に形成されるショルダー陸部17,18とを備える。ショルダー陸部18には、第一サイプ21および第二サイプ22がタイヤ周方向に所定ピッチLPで複数形成されている。第一サイプ21は、タイヤ幅方向に延び、ショルダー陸部18内で終端し、第二サイプ22は、第一サイプ21よりもタイヤ赤道線CL側に位置し、かつ、タイヤ幅方向に延び、少なくともタイヤ幅方向内側端がショルダー陸部18内で終端する。第一サイプ21および第二サイプ22は、トレッド踏面視において直線状であり、第一サイプ21は、タイヤ径方向内側に向かってタイヤ周方向にジグザグ状であるジグザグ部分21bを有する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
タイヤ赤道線を含む領域に形成されるセンター陸部と、
前記センター陸部よりもタイヤ幅方向外側に形成されるショルダー陸部と
を備えるタイヤであって、
前記ショルダー陸部には、第一サイプおよび第二サイプがタイヤ周方向に所定ピッチで複数形成され、
前記第一サイプは、タイヤ幅方向に延び、前記ショルダー陸部内で終端し、
前記第二サイプは、前記第一サイプよりも前記タイヤ赤道線側に位置し、かつ、タイヤ幅方向に延び、少なくともタイヤ幅方向内側端が前記ショルダー陸部内で終端し、
前記第一サイプおよび前記第二サイプは、トレッド踏面視において直線状であり、
前記第一サイプは、タイヤ径方向内側に向かってタイヤ周方向にジグザグ状であるジグザグ部分を有する
ことを特徴とするタイヤ。
【請求項2】
前記第一サイプおよび前記第二サイプは、車両装着時外側に位置する前記ショルダー陸部に形成されている請求項1に記載のタイヤ。
【請求項3】
前記第一サイプと前記第二サイプとは、タイヤ幅方向に対して互いに逆方向に傾斜して配置されている請求項1に記載のタイヤ。
【請求項4】
前記第一サイプと前記第二サイプとは、タイヤ周方向に間隔を隔てて交互に配置されている請求項1に記載のタイヤ。
【請求項5】
前記第一サイプと前記第二サイプとは、タイヤ幅方向において重なるように配置されている請求項1に記載のタイヤ。
【請求項6】
前記第一サイプは、タイヤ幅方向に対して0°から30°の範囲で傾斜して配置されており、前記第二サイプは、タイヤ幅方向に対して0°から30°の範囲で傾斜して配置されている請求項1に記載のタイヤ。
【請求項7】
タイヤ幅方向における前記ショルダー陸部の幅WSHOと、前記第一サイプの幅WS1とは、0.735≦幅WS1/幅WSHO≦0.854の関係を満たし、かつ、タイヤ幅方向における前記ショルダー陸部の幅WSHOと、前記第二サイプの幅WS2とは、0.182≦幅WS2/幅WSHO≦0.300の関係を満たす請求項1に記載のタイヤ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、偏摩耗を抑制したタイヤに関し、特に、ショルダー陸部の偏摩耗を抑制したタイヤに関する。
【背景技術】
【0002】
乗用自動車などに装着される空気入りタイヤ(以下、タイヤ)では、トレッドの偏摩耗を抑制するため、従来から様々な技術が投入されている。トレッドの偏摩耗の一つの形態として、ショルダー陸部がセンター陸部よりも早く摩耗するショルダー偏摩耗が知られている。
【0003】
このようなショルダー偏摩耗を抑制するため、例えば、ショルダー陸部に、タイヤ幅方向に延びる一対の細溝(横溝)を形成する方法が提案されている(例えば、特許文献1)。具体的には、タイヤ幅方向外側の周方向溝に開口する外向き横溝と、タイヤ幅方向内側の周方向溝に開口する内向き横溝とが、ショルダー陸部に形成される。このようなタイヤによれば、ショルダー陸部を区画する横溝を不要としつつ、ショルダー陸部の変形を低減できるため、ショルダー陸部の偏摩耗(ヒールアンドトゥ摩耗)が抑制される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−261296号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、近年、居住性や荷物の積載量などを考慮して、特に、軽自動車では、車高が高くなる傾向が強い。また、居住性や荷物の積載量が重要な要件となるミニバンなどは、そもそも車高が高いことが一般的である。
【0006】
このような車高が高い車両は、その重心高さも高くなるため、特に、コーナリング時に旋回方向外側に位置するタイヤに大きな荷重が掛かる。従って、特に、車両装着時外側のショルダー偏摩耗が顕著になり易い問題がある。
【0007】
そこで、本発明は、このような状況に鑑みてなされたものであり、重心高さが高い車両に装着された場合でも効果的にショルダー偏摩耗を抑制し得るタイヤの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係るタイヤは、タイヤ赤道線を含む領域に形成されるセンター陸部と、前記センター陸部よりもタイヤ幅方向外側に形成されるショルダー陸部とを備えるタイヤであって、前記ショルダー陸部には、第一サイプおよび第二サイプがタイヤ周方向に所定ピッチで複数形成され、前記第一サイプは、タイヤ幅方向に延び、前記ショルダー陸部内で終端し、前記第二サイプは、前記第一サイプよりも前記タイヤ赤道線側に位置し、かつ、タイヤ幅方向に延び、少なくともタイヤ幅方向内側端が前記ショルダー陸部内で終端し、前記第一サイプおよび前記第二サイプは、トレッド踏面視において直線状であり、前記第一サイプは、タイヤ径方向内側に向かってタイヤ周方向にジグザグ状であるジグザグ部分を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明の特徴によれば、重心高さが高い車両に装着された場合でも効果的にショルダー偏摩耗を抑制し得るタイヤを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の実施形態に係るタイヤのトレッドパターンの展開図である。
図2】(a)は図1のA−A線の矢視断面図であり、(b)は図1のB−B線の矢視断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
次に、本発明に係るタイヤの実施形態について、図面を参照しながら説明する。なお、以下の図面の記載において、同一または類似の部分には、同一または類似の符号を付している。
【0012】
本実施形態においては、(1)トレッド部の全体構成、(2)サイプの詳細構成、(3)作用・効果、(4)実施例、および(5)その他の実施形態について説明する。
【0013】
(1)トレッド部の全体構成
本実施形態に係るタイヤ(空気入りタイヤ)10は、ビード部やカーカス層、ベルト層(不図示)を備える一般的なラジアルタイヤである。また、タイヤ10には、空気ではなく、窒素ガスなどの不活性ガスが充填されてもよい。
【0014】
図1に示すように、タイヤ10は、走行時に路面に接地するトレッド部11を備える。トレッド部11には、タイヤ赤道線CL上をタイヤ周方向に延びるセンター主溝12と、センター主溝12を挟むように設けられ、タイヤ周方向に延びる一対のショルダー主溝13,14とが形成されている。これらの周方向溝(センター主溝12および一対のショルダー主溝13,14)によって、センター陸部15,16およびショルダー陸部17,18がトレッド部11に区画形成されている。センター陸部15,16は、タイヤ赤道線CLを含む領域に形成されており、ショルダー陸部17,18は、センター陸部15,16よりもタイヤ幅方向外側に形成されている。
【0015】
車両装着時内側INに位置するショルダー陸部17には、外側サイプ(以下、幅方向サイプ)19および内側サイプ(以下、周方向サイプ)20が形成されている。幅方向サイプ19は、タイヤ幅方向に延び、ショルダー陸部17内で終端する。周方向サイプ20は、幅方向サイプ19よりもタイヤ赤道線CL側に位置し、かつ、タイヤ周方向に延び、ショルダー陸部17内で終端する。これらの幅方向サイプ19および周方向サイプ20は、タイヤ周方向に間隔を隔てて交互に配置されており、相互に連通していない。その一方で、幅方向サイプ19と周方向サイプ20とは、タイヤ幅方向において重なるように配置されている。また、幅方向サイプ19および周方向サイプ20は、タイヤ周方向に所定ピッチ(本実施形態では、等ピッチ)LPでそれぞれ複数配置されている。なお、ここで、「ピッチLP」が「等ピッチ」の場合、「ピッチLP」とは、タイヤ周方向に隣接する同種類のサイプ同士の中心線間の距離、すなわち、タイヤ10の全周長を同種類のサイプの合計ピッチ数で除したものを意味するものとする。
【0016】
一方、車両装着時外側OUTに位置するショルダー陸部18には、外側サイプ(以下、第一サイプ)21および内側サイプ(以下、第二サイプ)22が形成されている。第一サイプ21は、タイヤ幅方向に延び、ショルダー陸部18内で終端する。第二サイプ22は、第一サイプ21よりもタイヤ赤道線CL側に位置し、かつ、タイヤ幅方向に延び、タイヤ幅方向内側端がショルダー陸部18内で終端する。これらの第一サイプ21および第二サイプ22は、タイヤ周方向に間隔を隔てて交互に配置されており、相互に連通していない。その一方で、第一サイプ21および第二サイプ22とは、タイヤ幅方向において重なるように配置されている。また、第一サイプ21および第二サイプ22は、タイヤ周方向に所定ピッチ(本実施形態では、等ピッチ)LPでそれぞれ複数配置されている。
【0017】
なお、本明細書において、「車両装着時内側IN」とは、車両への装着姿勢において、車両幅方向内側、すなわち、タイヤ赤道線CLを挟んで車両の中心線に近い側を意味するものとする。同様に、本明細書において、「車両装着時外側OUT」とは、車両への装着姿勢において、車両幅方向外側、すなわち、タイヤ赤道線CLを挟んで車両の中心線から遠い側を意味するものとする。
【0018】
(2)サイプの詳細構成
上述したように、車両装着時外側OUTに位置するショルダー陸部18には、第一サイプ21および第二サイプ22が形成されている。これらの第一サイプ21および第二サイプ22は、トレッド踏面視において直線状である。
【0019】
第一サイプ21のタイヤ幅方向外側端は、タイヤ接地端TW上に位置している。これに限られず、第一サイプ21のタイヤ幅方向外側端は、タイヤ接地端TWに対してタイヤ赤道線CL側とは反対側に位置してもよく、タイヤ接地端TWよりもタイヤ赤道線CL側に位置してもよい。また、第一サイプ21は、図1および図2(a)に示すように、直線部分21aおよびジグザグ部分21bから構成されている。直線部分21aは、ショルダー陸部18の踏面18aから第一サイプ21の所定の深さまで、タイヤ径方向において直線状である。ジグザグ部分21bは、直線部分21aの下端からタイヤ径方向内側に向かってタイヤ周方向にジグザグ状である。
【0020】
第二サイプ22のタイヤ幅方向内側端は、ショルダー陸部18が隣接するショルダー主溝14に開口している。これに限られず、第二サイプ22のタイヤ幅方向内側端は、ショルダー陸部18内に位置してもよい。また、第二サイプ22は、図1および図2(b)に示すように、ショルダー陸部18の踏面18aから第二サイプ22の底部22bまで、タイヤ径方向において直線状である直線部分22aから構成されている。
【0021】
第一サイプ21および第二サイプ22のタイヤ周方向の長さ(溝幅)は、0.5mm程度であって、周方向溝であるセンター主溝12および一対のショルダー主溝13,14の溝幅と比較して十分小さい。また、ショルダー陸部18の踏面18aから第一サイプ21の底部21cまでの長さ(深さ)と、ショルダー陸部18の踏面18aから第二サイプ22の底部22bまでの長さ(深さ)とは、ほぼ同じ長さである。
【0022】
第一サイプ21と第二サイプ22とは、タイヤ幅方向に対して互いに逆方向に傾斜して配置されている(千鳥配置)。具体的には、第一サイプ21は、タイヤ幅方向に対して10°の傾斜角度で傾斜して配置され、第二サイプ22は、タイヤ幅方向に対して第一サイプ21の傾斜方向とは逆方向に10°の傾斜角度で傾斜して配置されている。第一サイプ21は、タイヤ幅方向に対して0°から30°の範囲で傾斜して配置され、第二サイプ22は、タイヤ幅方向に対して第一サイプ21の傾斜方向とは逆方向に0°から30°の範囲で傾斜して配置されるのが好ましい。
【0023】
タイヤ幅方向における第一サイプ21の幅WS1図1参照)は、タイヤ幅方向内側端がショルダー主溝14にまで達しない範囲であり、タイヤ幅方向における第二サイプ22の幅WS2図1参照)と比較すると大きい。換言すると、第二サイプ22の幅WS2は、第一サイプ21の幅WS1と比較して小さい。タイヤ幅方向におけるショルダー陸部18の幅WSHOと、第一サイプ21の幅WS1とは、0.735≦幅WS1/幅WSHO≦0.854の関係を満たし、かつ、タイヤ幅方向におけるショルダー陸部18の幅WSHOと、第二サイプ22の幅WS2とは、0.182≦幅WS2/幅WSHO≦0.300の関係を満たすのが好ましい。なお、「タイヤ幅方向における第一サイプ21の幅WS1」、「タイヤ幅方向における第二サイプ22の幅WS2」とは、タイヤ幅方向と平行な方向に沿った幅である。
【0024】
なお、タイヤ接地端TWの位置は、日本自動車タイヤ協会(JATMA)のYear Bookにおいて規定される標準サイズのホイールリム(正規リムホイール)に組み付けられたタイヤ10において、JATMAで規定される測定条件(適用リムへの装着、規定内圧の設定、設定温度など)を満たした状態で測定される。なお、JATMAに代えて、他の規格(TRA、ETRTOなど)に従ってもよい。また、本明細書において、「直線状」とは、完全な直線のみならず、緩やかな曲率をもつ曲線をも含むものとする。
【0025】
(3)作用・効果
本実施形態に係るタイヤ10では、ショルダー陸部18には、第一サイプ21および第二サイプ22がタイヤ周方向に等ピッチLPで複数形成されている。第一サイプ21は、タイヤ幅方向に延び、ショルダー陸部18内で終端し、第二サイプ22は、第一サイプ21よりもタイヤ赤道線CL側に位置し、かつ、タイヤ幅方向に延び、タイヤ幅方向内側端がショルダー陸部18内で終端する。第一サイプ21および第二サイプ22は、トレッド踏面視において直線状であり、第一サイプ21は、タイヤ径方向内側に向かってタイヤ周方向にジグザグ状であるジグザグ部分21bを有する。
【0026】
ショルダー陸部18に、タイヤ幅方向に延びる第一サイプ21が全く形成されていない場合、センター陸部15,16とショルダー陸部18とで剛性の差異が大きくなるため、センター陸部15,16およびショルダー陸部18のいずれかが集中的に摩耗(偏摩耗)する可能性がある。このため、一般的な荷重領域で使用され得るタイヤ10においては、偏摩耗の抑制、エッジ効果(エッジ部が路面を引っ掻くことにより生じるトラクション効果)および水膜除去効果の観点から、ショルダー陸部18が、タイヤ幅方向に延びる第一サイプ21(または幅方向溝)を有することが好ましい。
【0027】
重心高さが高い車両にタイヤ10が装着された場合、特に、コーナリング時には、タイヤ10における車両装着時外側OUTのショルダー陸部18に荷重が集中する。このため、タイヤ10のようにショルダー陸部18が第一サイプ21を有すると、特に、タイヤ10における車両装着時外側OUTのショルダー陸部18において、タイヤ周方向へのブロック倒れ込みが起こり易い傾向がある。タイヤ周方向へのブロック倒れ込みが起こると、タイヤ10における車両装着時外側OUTのショルダー陸部18の偏摩耗(ヒールアンドトゥ摩耗)が発生する虞がある。
【0028】
そこで、本実施形態に係るタイヤ10では、周方向へのブロック倒れ込みを抑制するため、ショルダー陸部18に、ジグザグ部分21bを有する第一サイプ21を形成している。このため、荷重が掛かるとジグザグ部分21bによって分断されたショルダー陸部18が相互に支え合い、ジグザグ部分21bを設けた領域のブロック剛性が向上する。ブロック剛性が向上すると、ショルダー陸部18の当該領域の変形(タイヤ周方向へのブロック倒れ込み)が抑制され、ショルダー陸部18の偏摩耗(ヒールアンドトゥ摩耗)の発生を抑制することが可能になる。
【0029】
しかしながら、タイヤ幅方向における第一サイプ21の幅WS1が大き過ぎると、ショルダー陸部18が第一サイプ21によりタイヤ周方向に区画されたブロックのように個々に動き易くなってタイヤ周方向への連続性が維持できなくなるため、タイヤ周方向へのブロック倒れ込みが却って起こり易くなる。また、タイヤ周方向の剛性分布の不均一性が高まるため、ショルダー陸部18の偏摩耗(ヒールアンドトゥ摩耗)が生じ易くなる虞がある。一方、タイヤ幅方向における第一サイプ21の幅WS1が小さ過ぎると、第一サイプ21のある領域とない領域とで剛性に差異が生じるため、剛性の差異によるショルダー陸部18の偏摩耗が発生する懸念がある。
【0030】
そこで、本実施形態に係るタイヤ10では、ショルダー陸部18のタイヤ周方向への連続性を維持しつつ、タイヤ幅方向の剛性バランスを調整するため、ショルダー陸部18における第一サイプ21よりもタイヤ赤道線CL側の部分に、第二サイプ22を形成している。
【0031】
このように、ショルダー陸部18に第一サイプ21および第二サイプ22を形成することにより、タイヤ周方向へのブロック倒れ込みの発生を効果的に抑制することができ、重心高さが高い車両にタイヤ10が装着された場合でも効果的にショルダー偏摩耗を抑制することが可能になる。
【0032】
さらに、第一サイプ21および第二サイプ22が、トレッド踏面視において直線状であることにより、第一サイプ21および第二サイプ22がトレッド踏面視でジグザグ状である場合と比較して、ロードノイズの発生を低減することができる。
【0033】
また、本実施形態に係るタイヤ10では、第一サイプ21および第二サイプ22は、車両装着時外側OUTに位置するショルダー陸部18に形成されている。このようにすることにより、重心高さが高い車両にタイヤ10が装着された場合に、コーナリング時に旋回方向外側に位置するタイヤにおいて、特に、車両装着時外側OUTのショルダー偏摩耗が顕著になり易いところ、車両装着時外側OUTのショルダー偏摩耗を効果的に抑制することができる。
【0034】
また、本実施形態に係るタイヤ10では、第一サイプ21と第二サイプ22とは、タイヤ幅方向に対して互いに逆方向に傾斜して配置されている。このようにすることにより、タイヤ転動時に発生するパターンノイズが分散することから、パターンノイズを低減することができる。
【0035】
また、本実施形態に係るタイヤ10では、第一サイプ21と第二サイプ22とは、タイヤ周方向に間隔を隔てて交互に配置されている。このようにするにより、ショルダー陸部18におけるタイヤ周方向の剛性バランスが良好になることから、ショルダー陸部18の耐偏摩耗性がより向上する。
【0036】
また、本実施形態に係るタイヤ10では、第一サイプ21と第二サイプ22とは、タイヤ幅方向において重なるように配置されている。このようにすることにより、これらの第一サイプ21および第二サイプ22がタイヤ周方向に存在しない部分へのプレーンリブの形成を回避できる。このため、プレーンリブ部分の剛性が他の部分よりも高くなり、剛性が局所的に高くなることを抑制することにより、効果的にショルダー偏摩耗を抑制することが可能になる。
【0037】
また、本実施形態に係るタイヤ10では、第一サイプ21は、タイヤ幅方向に対して0°から30°の範囲で傾斜して配置されており、第二サイプ22は、タイヤ幅方向に対して0°から30°の範囲で傾斜して配置されている。このようにすることにより、タイヤ周方向に働くエッジ成分が適度に増加することから、ブレーキ性能が向上する。
【0038】
さらに、本実施形態に係るタイヤ10では、タイヤ幅方向におけるショルダー陸部18の幅WSHOと、第一サイプ21の幅WS1とは、0.735≦幅WS1/幅WSHO≦0.854の関係を満たし、かつ、タイヤ幅方向におけるショルダー陸部18の幅WSHOと、第二サイプ22の幅WS2とは、0.182≦幅WS2/幅WSHO≦0.300の関係を満たす。このようにすることにより、ショルダー陸部18におけるタイヤ幅方向の剛性バランスが良好になることから、ショルダー陸部18の耐偏摩耗性がより向上する。
【0039】
(4)実施例
次に、本発明の効果を明確にするために、実施例1〜3および比較例1〜3に係るタイヤを用いて行った試験の結果について説明する。なお、本発明は、これらの例によって何ら限定されるものではない。
【0040】
本試験では、全てのタイヤのサイズ及びパターン設計因子を同じとした。ここで、本試験では、全てのタイヤのサイズを「155/65R14」とした。
【0041】
ここで、比較例1としては、第一サイプ21が直線部分21aのみから構成されているタイヤを用いた。また、比較例2としては、第一サイプ21がショルダー主溝14まで突き抜けるように構成され、かつ第二サイプ22がショルダー陸部18に形成されていないタイヤを用いた。さらに、比較例3としては、タイヤ幅方向に対する第一サイプ21および第二サイプ22の幅が実施例1〜3よりも小さくなるように構成されているタイヤを用いた。
【0042】
表1に、かかる試験の結果を示す。ブレーキ性能および耐摩耗性の評価結果については指数で表示し、指数が大きいほど、ブレーキ性能および耐摩耗性が優れている。
【0043】
【表1】
【0044】
表1に示す結果から、実施例1〜3に係るタイヤは、比較例1〜3に係るタイヤに比べて、耐摩耗性を向上することができることが判った。さらに、実施例1,3に係るタイヤは、ブレーキ性能および耐摩耗性の両方を向上することができることが判った。
【0045】
(5)その他の実施形態
上述したように、本発明の実施形態を通じて本発明の内容を開示したが、この開示の一部をなす論述および図面は、本発明を限定するものであると理解すべきではない。この開示から当業者には様々な代替実施の形態、実施例および運用技術が明らかとなる。
【0046】
例えば、本発明の実施形態は、次のように変更することができる。
【0047】
上述の実施形態におけるタイヤ10では、第二サイプ22が直線部分22aから構成されるとしたが、これに限られず、タイヤ径方向内側に向かってタイヤ周方向にジグザグ状であるジグザグ部分を有するものでもよい。また、上述の実施形態におけるタイヤ10は、ラジアルタイヤであるとしたが、これに限られず、例えば、全体がゴムで形成されたソリッドタイヤでもよい。さらに、上述の実施形態におけるタイヤ10では、第一サイプ21および第二サイプ22がタイヤ周方向に等ピッチで複数形成されるとしたが、これに限られず、タイヤ周方向に隣接する同種類のサイプの間隔が等しくない不等ピッチで形成されていてもよい。
【符号の説明】
【0048】
10 タイヤ
11 トレッド部
15 センター陸部
16 センター陸部
17 ショルダー陸部
18 ショルダー陸部
21 外側サイプ(第一サイプ)
21b ジグザグ部分
22 内側サイプ(第二サイプ)
CL タイヤ赤道線
LP ピッチ
図1
図2